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「PF管でいいと思っていたら、CD管が届いた」――電材の発注ミスとして意外に多いのがこのパターンだ。結論を先に言うと、PF管とCD管の一番の違いは難燃性(自己消火性)の有無であり、VE管はそもそも別のJIS規格(JIS C 8430)に基づく硬質管である。PF管・CD管はどちらもJIS C 8411(合成樹脂製可とう電線管)が規定する製品で、この規格の中で難燃性区分によって枝分かれしている。オレンジ色のCD管は見た目で判別しやすいが、なぜオレンジ色になっているのか、なぜコンクリート埋設専用なのかを規格の理屈から説明できる技術者は多くない。
この記事でわかること
- PF管・CD管がJIS C 8411、VE管がJIS C 8430という別のJIS規格に基づく製品であること
- PF管とCD管を分けている「難燃性(自己消火性)」という規格上の区分
- 用途別(露出配管・コンクリート埋設・屋外)の選び方の考え方
- PF管・CD管・VE管の一覧比較表
- 現場で起きやすい誤解(CD管の露出配管、VE管の可とう性の誤認)
定義:JIS C 8411とJIS C 8430の規定範囲
JIS C 8411(合成樹脂製可とう電線管)
JIS C 8411は「電気配線で電線を保護するために用いる合成樹脂製可とう電線管の寸法、構造及び試験方法」を規定する規格だ(日本規格協会 JSA Group Webdeskの規格概要より)。この1つの規格の中に、PF管とCD管という2つの区分が含まれている。
規格の構成を確認すると、PF管は複層構造(内層に難燃性のない樹脂、外層に難燃性樹脂を組み合わせる構造)と単層構造(全体を難燃性材料で構成する構造)のいずれかを取り、「非延焼性」に分類される。CD管は単層構造のみで「延焼性」に分類され、難燃性を持たない。使用温度によってタイプ区分(低温での使用可否)も設けられている(きかくるい.com掲載の規格構成の要約による)。
つまりPF管とCD管は「別の規格」ではなく、「同じJIS C 8411の中で難燃性区分が異なる2種類」という関係にある。
JIS C 8430(硬質ポリ塩化ビニル電線管)
VE管はJIS C 8411とは別の規格、JIS C 8430(硬質ポリ塩化ビニル電線管)が規定する製品だ。この規格は「硬質ポリ塩化ビニル電線管の寸法、構造及び試験方法」を規定しており(JSA Group Webdeskの規格概要より)、記号はVEで、塩化ビニルを主体に安定剤・顔料を加えた材料構成となる。
規格上、圧縮試験・衝撃試験・耐熱特性それぞれに強度区分が設けられている(きかくるい.com掲載の規格構成の要約による)。可とう性(曲げやすさ)を前提とした規格であるPF管・CD管に対し、VE管は硬質の直管であることを前提とした規格である点が構造的に異なる。
選び方:用途別にどれを選ぶか
規格上の区分(難燃性・可とう性)は、そのまま現場での使い分けの根拠になる。
- 屋内の露出配管・隠ぺい配管:自己消火性を持つPF管が原則。CD管は延焼性のため露出配管には使えない。
- コンクリートへの直接埋設:CD管が使える(コスト・柔軟性で有利)。ただし合成樹脂製可とう電線管工業会の解説によれば、施設場所は電技解釈第158条に基づき「直接コンクリートに埋め込む場合」に限定されるため、露出部分にCD管を使うことは原則できない。
- 屋外・地中埋設・直線的なルート:硬質で耐候性のあるVE管が選ばれることが多い。可とう性がほぼないため、複雑な取り回しにはPF管の方が施工しやすい。
- 配線ルートが複雑で頻繁に曲げが必要な箇所:柔軟に曲げられるPF管が施工性で有利。
最終的な選定は、内線規程(JEAC 8001)・電技解釈の該当条文・現場の施工要領書に照らして判断する必要がある。より広い電線管の種類(金属管・ケーブルラック等を含む)の選び方は電線管・配線ダクトの種類と選び方、コンクリート埋設時の曲げ半径や屈曲回数のルールはコンクリート埋設PF管の施工基準で詳しく扱っている。
比較表:PF管・CD管・VE管
| 項目 | PF管 | CD管 | VE管 |
|---|---|---|---|
| 準拠JIS規格 | JIS C 8411 | JIS C 8411 | JIS C 8430 |
| 材質 | ポリエチレン・ポリプロピレン等(複層または難燃性単層) | ポリエチレン・ポリプロピレン等(単層、非難燃) | 硬質ポリ塩化ビニル |
| 可とう性 | あり(手で曲げられる) | あり(手で曲げられる) | ほぼなし(硬質の直管) |
| 難燃性(自己消火性) | あり(非延焼性) | なし(延焼性) | – (硬質管として別区分の試験) |
| 識別色の慣行 | 規格上の指定色はなくベージュ・グレー等メーカーにより異なる | オレンジ色 | 一般に薄いグレー系(メーカーにより異なる) |
| 主な用途 | 屋内外の露出配管・隠ぺい配管、複雑な取り回し | コンクリートへの直接埋設専用 | 屋外・地中埋設、直線的な露出配管 |
(PF管の識別色は規格で一律に定められているわけではなく、CD管のオレンジ色との対比で「オレンジでなければPF管の可能性が高い」という一方向の判別が実務では使われる。色だけで種別を断定せず、刻印・製品ラベルもあわせて確認するのが確実だ。)
注意点:現場でよくある誤解
「CD管はPF管の廉価版だから、露出配管でも代用できる」という誤解
CD管はPF管よりも安価で柔軟性に優れるため、コスト都合で露出配管への転用を検討したくなる場面がある。しかし難燃性を持たないCD管を露出・隠ぺい配管に用いることは、電技解釈第158条に基づく施設場所の制限に反する。合成樹脂製可とう電線管工業会の解説では、CD管の使用はコンクリートへの直接埋込みに限定されており、屋内外の露出での敷設は認められていないとされている。コスト差の理由が「材料費」ではなく「難燃性能の有無」にあることを理解しておく必要がある。
「VE管も手で曲げられる」という誤解
名称に「電線管」とだけ付くPF管・CD管・VE管を同列に扱い、VE管も現場でPF管同様に手曲げできると誤解されることがある。VE管は硬質ポリ塩化ビニルの直管であり、曲げるにはトーチランプ等での加熱や専用の曲げ継手(ノーマルベンド等)が必要だ。無理に力を加えて曲げようとすると割れ・亀裂の原因になる。
「PF管とCD管は別の規格の製品」という誤解
外見や用途が異なるため別々の規格に基づく製品と思われがちだが、PF管とCD管はどちらもJIS C 8411という同一の規格の中で、難燃性区分によって分かれている製品だ。一方でVE管は名称が似ていても、可とう性を前提としないJIS C 8430という別規格の製品である。「PF管・CD管=同じ規格内の区分」「VE管=別規格」という整理を押さえておくと、規格書や製品カタログを読む際に迷いにくい。
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よくある質問
PF管とCD管の一番の違いは何ですか?
難燃性(自己消火性)の有無です。PF管はバーナー等で燃焼させた炎を取り去った後、一定時間内に自然に消える「自己消火性」の試験に合格することが求められますが、CD管にはこの要件がありません。外見上はCD管がオレンジ色に着色されている点で判別できますが、規格上の本質的な違いは難燃性区分(PF管=非延焼性、CD管=延焼性)にあります。両者とも合成樹脂製可とう電線管としてJIS C 8411で規定される製品です。
CD管を露出配管に使ってはいけないのはなぜですか?
CD管は自己消火性を持たないため、露出配管中に火災が起きた場合、管自体が燃え広がる経路になりうるためです。合成樹脂製可とう電線管工業会の解説によれば、CD管の施設場所は電技解釈第158条に基づき直接コンクリートに埋め込む場合に限定されています。コンクリートという不燃材料に囲まれることで初めて安全性が担保される構造だと理解しておくとよいでしょう。屋内の露出・隠ぺい配管には自己消火性を持つPF管を選ぶのが原則です。
VE管とPF管はどちらが硬いですか、使い分けの基準は?
VE管の方が硬質です。VE管(JIS C 8430)は硬質ポリ塩化ビニルの直管で、可とう性(自在に曲げられる性質)はほぼありません。曲げ加工にはトーチランプで加熱するか専用継手を使う必要があります。一方PF管(JIS C 8411)は合成樹脂製可とう電線管であり、手で曲げられる柔軟性が特徴です。現場では、直線的なルートや屋外・露出配管でVE管、配線ルートが複雑で取り回しが必要な箇所でPF管、という使い分けが一般的です。
PF管とCD管とVE管は、それぞれ何のJIS規格に基づいていますか?
PF管とCD管はいずれもJIS C 8411(合成樹脂製可とう電線管)が規定する製品です。同じ規格の中で、難燃性区分によってPF管(非延焼性)とCD管(延焼性)に分かれています。VE管はJIS C 8411とは別の規格であるJIS C 8430(硬質ポリ塩化ビニル電線管)が規定する製品で、可とう性を持たない硬質管である点が構造的に異なります。「PF管・CD管は同じ規格の中の区分」「VE管は別規格の製品」という整理が規格上の違いの本質です。
屋外・地中埋設にはどの管を選べばよいですか?
露出配管を伴う屋外用途にはVE管またはPF管が使われることが多く、コンクリートに直接埋め込む用途にはCD管が使われます。ただし現場条件(耐候性の要求水準、曲げの多さ、コンクリート打設の有無、他の埋設管との位置関係)によって最適な選定は変わるため、内線規程(JEAC 8001)や電技解釈の該当条文、施工要領書を確認したうえで判断することが実務上は確実です。管種ごとの詳しい選定フローは電線管・配線ダクトの選び方の記事も参照してください。
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