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電線管の種類を間違えると、施工後に「コンクリートを壊してやり直し」あるいは「消防検査で指摘」という事態になりかねない。現場では「とりあえずPF管」で済む場面も多いが、コンクリート埋設・屋外露出・防爆エリアなど条件が変わると選定基準が大きく異なる。本記事では、実務で遭遇する主要な電線管・配線ダクトの種別と、内線規程(JEAC 8001)・JIS規格に基づく施設制限を整理する。
この記事でわかること
- PF管・CD管・VE管・金属可とう管・薄鋼(C管)・厚鋼(G管)の定義と使い分け
- コンクリート埋設・屋外・屋内露出ごとの選定フロー
- ケーブルラックと配線ダクトの構造上の違いと適用場所
- 内線規程(JEAC 8001)・JIS規格が定める施設制限のポイント
- 管径の選び方の考え方
電線管の種類と特徴
種別一覧
| 種別 | 規格 | 材質 | 色 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| PF管(合成樹脂製可とう電線管) | JIS C 8411 | ポリエチレン等 | 規定なし(ベージュ・グレー・白・黒等) | 屋内露出・隠ぺい、一般配管 |
| CD管(合成樹脂製可とう電線管) | JIS C 8411 | ポリエチレン等 | オレンジ | コンクリート直埋専用 |
| VE管(硬質塩化ビニル電線管) | JIS C 8430 | 硬質PVC | グレー | 屋外・地中・腐食環境 |
| 金属可とう電線管 | JIS C 8309 | 鋼製 | 銀 | 機器接続部、振動箇所 |
| 薄鋼電線管(C管) | JIS C 8305 | 鋼製 | 銀 | 屋内一般、露出・隠ぺい |
| 厚鋼電線管(G管) | JIS C 8305 | 鋼製 | 銀 | 外力大、屋外、特定場所 |
PF管(合成樹脂製可とう電線管・自己消火性あり)
PF管は自己消火性を有する合成樹脂製の可とう電線管であり(JIS C 8411)、現在の屋内配線工事で最も広く使われている種別だ。柔軟性があるため狭所での取り回しがしやすく、ハンマードリルと専用コネクタを使えば比較的短時間で施工できる。
露出配管・隠ぺい配管の両方に使用でき、内線規程(JEAC 8001)でも一般的な屋内電線管工事の標準品として扱われている。ただしコンクリート内への埋設にもPF管は使用可能だが、その場合はコンクリート打設時の圧力・アルカリ性への耐性を確認し、適切な肉厚品を選ぶ必要がある。
品揃えの広さという点では未来工業(製品情報 →)のラインナップが豊富で、管径・カラー・付属品が体系的に揃っている。
CD管(合成樹脂製可とう電線管・自己消火性なし)
CD管はPF管と同じ合成樹脂製可とう電線管だが、自己消火性を持たない点が決定的な違いだ(JIS C 8411)。オレンジ色の外観で現場でも識別しやすい。
コンクリート直埋専用であり、露出部分や隠ぺい部分に使用することは内線規程(JEAC 8001)で認められていない。建築現場でコンクリートスラブや壁への先行配管として仕込む際に使われる。誤って露出部に施工した場合、消防検査や竣工検査で指摘を受ける可能性があるため、受け取った段階で色を確認することが重要だ。
このPFとCDの線引きは、第二種電気工事士の学科試験でも定番の出題になっている。「オレンジ色はコンクリート埋込専用」という結論だけを覚えると、自己消火性という理由を絡めた問い方に対応できない。理由から整理したものが電線管工事の種類と使い分けにある。技能試験では候補問題No.12でPF管16の取り付けが実技課題になる。
VE管(硬質塩化ビニル電線管)
VE管は剛性の高い硬質塩化ビニル製の電線管であり(JIS C 8430)、耐腐食性・耐薬品性に優れる。屋外露出配管・地中埋設・化学工場など腐食環境での配管が主な用途だ。
PF管より硬いため、曲げ加工にはトーチランプや電熱ベンダーを使う必要があり、施工手間はやや大きい。ただし地中埋設の場合は土圧に対する剛性が求められるため、VE管の特性が活きる場面でもある。屋外での紫外線劣化に対してはUV対応品を選ぶか別途保護を施す必要がある(業界目安)。
金属可とう電線管
金属可とう電線管(JIS C 8309)は、鋼製の帯状素材を螺旋状に巻いた構造を持ち、曲げ自在かつ機械的強度が高い。モーター・ポンプ等の機器への最終接続部や、振動が伝わる箇所の接続に使われる。剛性のある金属管だけでは対応できない微振動を吸収できるため、機械室での配線には欠かせない部材だ。
内線規程(JEAC 8001)では、金属可とう電線管を使用する際は原則として接地(アース)を施すことを求めている。2種金属可とう電線管(プリカチューブ等)は耐水性・耐油性を高めた製品であり、屋外・油脂雰囲気での使用に適している。
薄鋼電線管(C管)・厚鋼電線管(G管)
金属管の代表的な2種類だ。いずれもJIS C 8305に規定されており、機械的保護力が高く、接地工事と組み合わせることで電磁シールド効果も得られる。
- 薄鋼電線管(C管):肉厚が薄く軽量。一般屋内の露出・隠ぺい配管に広く採用される。切断・ねじ切り加工が比較的容易だ。
- 厚鋼電線管(G管):肉厚が大きく外力に対する強度が高い。可燃性ガス等の存在する場所の金属管工事について、電技解釈第176条は「薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度」を求めており、厚鋼はその上位の選択肢にあたる。重量があるためサポートの設計も重要だ。
金属管工事では管端のリーマー処理(バリ取り)を怠ると、電線被覆を傷つけて絶縁不良の原因になる。電線管工事の専用工具セット(Amazonで確認 →)には、パイプカッター・リーマー・ねじ切り器がセットになったものがある。
ケーブルラックと配線ダクトの違いと選び方
ケーブルラック
ケーブルラックは梯子型の開放構造を持つ支持設備であり、ケーブルを上に載せて固定する。電気室・機械室・工場の幹線ルートで大量・大径のケーブルを整然と敷設するのに向いている。
- 開放構造のため放熱性が高く、ケーブルの許容電流を落としにくい
- 後からのケーブル追加・変更が容易
- 重量に耐えるよう、吊りボルト・サポートの間隔を適切に設計する必要がある(業界目安として1.5〜2m間隔が多い)
配線ダクト(電線ダクト)
配線ダクトは蓋付きトレー状の構造であり、ケーブルを内部に収めて外観を整える用途が中心だ。事務所内の天井裏・OAフロア・制御盤周辺の分岐配線に多く用いられる。
- 蓋があるため防塵・防滴の観点で優れる
- 収容本数・断面積に制約があり過密充填は避ける(電気設備技術基準の解釈 第162条では、電線断面積の合計はダクト内断面積の20%以下、制御回路等のみの場合は50%以下とされる)
- 金属製ダクトは接地が必要(電気設備技術基準の解釈 第162条)
| 比較項目 | ケーブルラック | 配線ダクト |
|---|---|---|
| 構造 | 梯子型・開放 | トレー型・蓋付き |
| 主な場所 | 電気室・工場幹線 | 事務所・天井内分岐 |
| 放熱性 | 高い | やや低い |
| ケーブル追加 | 容易 | 蓋の開閉が必要 |
| 防塵性 | 低い | 高い |
施設制限と使い分けフロー(内線規程・JIS)
内線規程(JEAC 8001)および電気設備技術基準の解釈が定める主な施設制限を整理する。
コンクリート埋設
コンクリート内に電線管を埋設する場合
├─ 可とう管を使いたい → PF管(自己消火性あり)またはCD管を選ぶ
│ └─ CD管は「コンクリート直埋専用」。露出部分への延長は禁止
└─ 剛性管を使いたい → VE管またはC管・G管を選ぶ
電技解釈第158条第3項第七号も、CD管は直接コンクリートに埋め込むか、専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管・ダクトに収める場合に限って使えると定めており、コンクリート外に露出させる部分には自己消火性のある管材を使う必要がある。
屋外・地中
屋外・地中埋設
├─ 地中直埋 → VE管(耐腐食性)が標準。金属管の場合は防食処理が必要
├─ 屋外露出 → VE管またはG管。C管は外力・腐食環境では不適とされる場合がある
└─ 紫外線環境 → UV対応VE管またはステンレス製金属管(業界目安)
屋内露出・隠ぺい
屋内配管
├─ 一般露出・隠ぺい → PF管が最も汎用的
├─ 機械的保護が必要 → C管(薄鋼)またはG管(厚鋼)
├─ 機器接続部・振動箇所 → 金属可とう電線管
└─ 特定場所(可燃性ガス等) → 薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度(電技解釈第176条。管相互は5山以上ねじ合わせ)
管径の選び方
電線管の管径は、管内を通す電線の外径と本数から決定する。内線規程(JEAC 8001)および電気設備技術基準の解釈に基づく目安は以下のとおりだ。
管内断面積に占める電線断面積の合計
├─ 原則:32%以下
└─ 例外(同一サイズ電線・屈曲少・引き替え容易な場合のみ):48%以下
※太さの異なる電線が混在する場合は例外を適用せず、32%以下とする
実務では、JIS各規格に付属する電線管選定表またはメーカー(未来工業等)が公開する選定ツールを参照するのが確実だ。余裕を持って一サイズ上の管径を選ぶことが現場の慣行とされる。将来の電線追加を想定した先行配管の場合は特に余裕径を確保することが望ましい。
各種PF管・VE管の管径ラインナップは(Amazonで確認 →)、品番・管径・入り数ごとに比較できる。
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よくある質問
PF管とCD管は外見が似ていますが、どう見分けますか?
色で判断するのが確実だ。CD管はオレンジ色と定められている(JIS C 8411)。PF管の色は規格で定められておらず、ベージュ・グレー・ミルキーホワイト・黒などメーカーによって異なるため、「オレンジならCD管」という一方向でのみ確実に判別できる。ただし自己消火性の有無が最大の違いであり、PF管は自己消火性を持つため露出・隠ぺい配線に使用できる。CD管は自己消火性がないためコンクリート埋設専用であり、露出部分での使用は内線規程(JEAC 8001)で認められていない。
露出配線にCD管を使ってはいけませんか?
原則として禁止だ。CD管は合成樹脂製可とう電線管のうち自己消火性を持たない種別であり、万一の火災時に延焼する危険がある。内線規程(JEAC 8001)では、CD管はコンクリート内への直接埋設用途にのみ使用を認めている。露出配線・隠ぺい配線にはPF管またはVE管を選ぶこと。
VE管は屋内配管に使えますか?
技術的には使用可能だが、一般的には屋外・地中埋設・腐食環境が主な用途だ。VE管(硬質塩化ビニル電線管、JIS C 8430)はPF管に比べて剛性が高く曲げ加工に手間がかかるため、屋内の複雑な取り回しにはPF管が選ばれることが多い。耐薬品性・耐腐食性が要求される室内(工場・薬品室等)ではVE管が適している。
金属管(薄鋼・厚鋼)はどんな場所に使いますか?
機械的保護が必要な場所・防爆エリア・重要幹線ルート等に使う。薄鋼電線管(C管)は一般工場・屋内の露出・隠ぺい配管に広く使われる。厚鋼電線管(G管)はより大きな外力が加わる場所や、屋外・重要幹線ルートに採用される(可燃性ガス等の場所の要求は電技解釈第176条の「薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度」で、厚鋼はその上位にあたる)。金属管は接地(アース)処理が必要である点に注意する。
ケーブルラックと配線ダクトの違いは何ですか?
ケーブルラックは梯子状の開放構造でケーブルを載せて敷設する設備であり、主に電気室・機械室・工場の幹線ルートに使用する。配線ダクト(電線ダクト)は蓋付きのトレー状構造で、ケーブルを覆い隠す用途や事務所・天井内の分岐配線に使われることが多い。ケーブルラックは放熱性に優れ多数の太径ケーブルを敷設するのに向いており、配線ダクトは見た目の整頓や防塵に優れる。
電線管の管径はどうやって選びますか?
内線規程(JEAC 8001)では、管内に通す電線の断面積の合計を管内断面積の32%以下とするのが原則だ。ただし、同一サイズの電線を収容し、屈曲が少なく(直線に近く)、引き入れ・引き替えが容易な条件が揃う場合に限り、48%まで緩和できる例外がある。太さの異なる電線を混在させる場合は、この例外は使えず無条件で32%を適用する。電線本数の多寡で32%・48%が決まるわけではない点に注意。具体的には電線本数・外径から計算するか、JISまたはメーカーの電線管選定表を参照するのが確実だ。判断に迷う場合は32%基準で選定するのが安全である。
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