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天井裏の照明回路を延長する内装工事で、前工程の余り材にあったオレンジ色の可とう電線管をそのまま露出配線に流用してしまう――そんな行き違いは決して珍しくない。PF管もCD管も同じ「合成樹脂製可とう電線管」(JIS C 8411)の仲間で、外観も施工感覚もよく似ているからだ。しかし両者を分けるのは色そのものではなく、自己消火性の有無という一段見えにくい基準であり、色はその基準を現場で見分けるための表示にすぎない。竣工検査や消防検査で「この管はCD管では」と指摘され、天井裏を開けてやり直す――管種の取り違えはこうした手戻りに直結する。
現場では「とりあえずPF管」で済む場面も多いが、コンクリート埋設・屋外露出・防爆エリアなど条件が変わると選定基準が大きく異なる。本記事では、実務で遭遇する主要な電線管・配線ダクトの種別と、内線規程(JEAC 8001)・JIS規格に基づく施設制限を整理する。
この記事でわかること
- PF管・CD管・VE管・金属可とう管・薄鋼(C管)・厚鋼(G管)の定義と使い分け
- コンクリート埋設・屋外・屋内露出ごとの選定フロー
- ケーブルラックと配線ダクトの構造上の違いと適用場所
- 内線規程(JEAC 8001)・JIS規格が定める施設制限のポイント
- 管径の選び方の考え方
電線管の種類と特徴
種別一覧
| 種別 | 規格 | 材質 | 色 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| PF管(合成樹脂製可とう電線管) | JIS C 8411 | ポリエチレン等 | 規定なし(ベージュ・グレー・白・黒等) | 屋内露出・隠ぺい、一般配管 |
| CD管(合成樹脂製可とう電線管) | JIS C 8411 | ポリエチレン等 | オレンジ | コンクリート直埋専用 |
| VE管(硬質塩化ビニル電線管) | JIS C 8430 | 硬質PVC | グレー | 屋外・地中・腐食環境 |
| 金属可とう電線管 | JIS C 8309 | 鋼製 | 銀 | 機器接続部、振動箇所 |
| 薄鋼電線管(C管) | JIS C 8305 | 鋼製 | 銀 | 屋内一般、露出・隠ぺい |
| 厚鋼電線管(G管) | JIS C 8305 | 鋼製 | 銀 | 外力大、屋外、特定場所 |
PF管(合成樹脂製可とう電線管・自己消火性あり)
PF管は自己消火性を有する合成樹脂製の可とう電線管であり(JIS C 8411)、現在の屋内配線工事で最も広く使われている種別だ。柔軟性があるため狭所での取り回しがしやすく、ハンマードリルと専用コネクタを使えば比較的短時間で施工できる。
露出配管・隠ぺい配管の両方に使用でき、内線規程(JEAC 8001)でも一般的な屋内電線管工事の標準品として扱われている。ただしコンクリート内への埋設にもPF管は使用可能だが、その場合はコンクリート打設時の圧力・アルカリ性への耐性を確認し、適切な肉厚品を選ぶ必要がある。
品揃えの広さという点では未来工業(製品情報 →)のラインナップが豊富で、管径・カラー・付属品が体系的に揃っている。
CD管(合成樹脂製可とう電線管・自己消火性なし)
CD管はPF管と同じ合成樹脂製可とう電線管だが、自己消火性を持たない点が決定的な違いだ(JIS C 8411)。オレンジ色の外観で現場でも識別しやすい。
コンクリート直埋専用であり、露出部分や隠ぺい部分に使用することは内線規程(JEAC 8001)で認められていない。建築現場でコンクリートスラブや壁への先行配管として仕込む際に使われる。誤って露出部に施工した場合、消防検査や竣工検査で指摘を受ける可能性があるため、受け取った段階で色を確認することが重要だ。
このPFとCDの線引きは、第二種電気工事士の学科試験でも定番の出題になっている。「オレンジ色はコンクリート埋込専用」という結論だけを覚えると、自己消火性という理由を絡めた問い方に対応できない。理由から整理したものが電線管工事の種類と使い分けにある。技能試験では候補問題No.12でPF管16の取り付けが実技課題になる。
もう一段深く:色だけで判断してよいのか
JIS C 8411:2019は、実務でよく使う「自己消火性」という言葉を規格用語としては使っていない。規格が定めるのは「延焼性」「非延焼性」という区分で、CD管に相当する延焼性の管は「オレンジ色を基調とし、塗装又は表面処理によって着色したものであってはならない」(7.1 a)と定められている。一方PF管に相当する非延焼性の管は任意の色でよいが、黄・オレンジ・赤を採用する場合は非延焼性である旨を製品上に明確に表示することが義務付けられている(7.1 b)。
つまり理屈のうえでは、オレンジ色のPF管(非延焼性・表示付き)も存在しうる。現場での「オレンジ=CD管」という経験則はほぼ確実に成立するが、その根拠は色そのものではなく規格が求める表示義務にある。受け取った資材を確認する際は、色に加えて管に刻印された「PF」「CD」の表示まで確認する癖をつけておくと、万一の取り違えを防げる。
VE管(硬質塩化ビニル電線管)
VE管は剛性の高い硬質塩化ビニル製の電線管であり(JIS C 8430)、耐腐食性・耐薬品性に優れる。屋外露出配管・地中埋設・化学工場など腐食環境での配管が主な用途だ。
PF管より硬いため、曲げ加工にはトーチランプや電熱ベンダーを使う必要があり、施工手間はやや大きい。ただし地中埋設の場合は土圧に対する剛性が求められるため、VE管の特性が活きる場面でもある。屋外での紫外線劣化に対してはUV対応品を選ぶか別途保護を施す必要がある(業界目安)。
金属可とう電線管
金属可とう電線管(JIS C 8309)は、鋼製の帯状素材を螺旋状に巻いた構造を持ち、曲げ自在かつ機械的強度が高い。モーター・ポンプ等の機器への最終接続部や、振動が伝わる箇所の接続に使われる。剛性のある金属管だけでは対応できない微振動を吸収できるため、機械室での配線には欠かせない部材だ。
内線規程(JEAC 8001)では、金属可とう電線管を使用する際は原則として接地(アース)を施すことを求めている(電技解釈第160条)。2種金属可とう電線管(プリカチューブ等)は耐水性・耐油性を高めた製品であり、屋外・油脂雰囲気での使用に適している。
もう一段深く:「1種・2種」という呼び方は今も生きているのか
現場では今も「1種・2種金属可とう電線管」という呼び方が根強く残っているが、JIS C 8309は1999年の改正で1種の区分を廃止し、現行規格は実質的に旧2種相当(プリカチューブ)のみを「金属製可とう電線管」として規定している。ただし電気用品安全法の分類では今も1種・2種の区分が使われており、資材カタログやメーカー呼称でも両方の呼び方が混在しているのが実情だ。発注時に「1種」と指定された場合は、外径や施設場所に制限がある旧規格の系統を指している可能性があるため、型番と用途を照合して確認するとよい。
薄鋼電線管(C管)・厚鋼電線管(G管)
金属管の代表的な2種類だ。いずれもJIS C 8305に規定されており、機械的保護力が高く、接地工事と組み合わせることで電磁シールド効果も得られる。
- 薄鋼電線管(C管):肉厚が薄く軽量。一般屋内の露出・隠ぺい配管に広く採用される。切断・ねじ切り加工が比較的容易だ。
- 厚鋼電線管(G管):肉厚が大きく外力に対する強度が高い。可燃性ガス等の存在する場所の金属管工事について、電技解釈第176条は「薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度」を求めており、厚鋼はその上位の選択肢にあたる。重量があるためサポートの設計も重要だ。
金属管工事では管端のリーマー処理(バリ取り)を怠ると、電線被覆を傷つけて絶縁不良の原因になる。電線管工事の専用工具セット(Amazonで確認 →)には、パイプカッター・リーマー・ねじ切り器がセットになったものがある。
もう一段深く:金属管の接地はいつ省略できるか
電技解釈は、金属管工事(第159条)・金属可とう電線管工事(第160条)のいずれについても、使用電圧が300Vを超える場合はC種接地工事、300V以下の場合はD種接地工事を原則として求めている。ただしD種接地工事は、管の全長が4m以下のものを乾燥した場所に施設する場合(対地電圧の条件は付かない)、または屋内配線の使用電圧が直流300V又は交流対地電圧150V以下で管の全長が8m以下のものに簡易接触防護措置を施すとき・乾燥した場所に施設するとき、のいずれかに該当すれば省略が認められる特例がある。
現場では「短い管だから接地は省略できる」という判断が独り歩きしがちだが、4m以下の側でも「乾燥した場所」という条件は必要で、8m以下の側では対地電圧の上限も加わる。判断に迷う場合は、省略せず接地しておくのが安全側の選択だ。
ケーブルラックと配線ダクトの違いと選び方
ケーブルラック
ケーブルラックは梯子型の開放構造を持つ支持設備であり、ケーブルを上に載せて固定する。電気室・機械室・工場の幹線ルートで大量・大径のケーブルを整然と敷設するのに向いている。
- 開放構造のため放熱性が高く、ケーブルの許容電流を落としにくい
- 後からのケーブル追加・変更が容易
- 重量に耐えるよう、吊りボルト・サポートの間隔を適切に設計する必要がある(業界目安として1.5〜2m間隔が多い)
配線ダクト(電線ダクト)
配線ダクトは蓋付きトレー状の構造であり、ケーブルを内部に収めて外観を整える用途が中心だ。事務所内の天井裏・OAフロア・制御盤周辺の分岐配線に多く用いられる。
- 蓋があるため防塵・防滴の観点で優れる
- 収容本数・断面積に制約があり過密充填は避ける(電気設備技術基準の解釈 第162条では、電線断面積の合計はダクト内断面積の20%以下、制御回路等のみの場合は50%以下とされる)
- 金属製ダクトは接地が必要(電気設備技術基準の解釈 第162条)
| 比較項目 | ケーブルラック | 配線ダクト |
|---|---|---|
| 構造 | 梯子型・開放 | トレー型・蓋付き |
| 主な場所 | 電気室・工場幹線 | 事務所・天井内分岐 |
| 放熱性 | 高い | やや低い |
| ケーブル追加 | 容易 | 蓋の開閉が必要 |
| 防塵性 | 低い | 高い |
線ぴ(せんぴ)とは
線ぴ(せんぴ)は、電線を収めて造営材に沿わせる細長い箱で、電気設備の技術基準の解釈が「金属線ぴ工事」として一つの配線方法に定めている(電技解釈 第161条)。同じ形の金属の樋でも、幅5cmが境界になる。電技解釈は金属ダクトを「幅が5cmを超え、かつ、厚さが1.2mm以上の鉄板又はこれと同等以上の強さを有する金属製のもの」と定め(第162条第2項第一号)、電気用品安全法施行令は電気用品としての線ぴを「幅が五〇ミリメートル以下のものに限る」と定めている(別表第二 二(三))。同じ形をしていても、5cmを跨ぐと適用条文が第161条から第162条へ移る。なお同施行令での表記は「線樋」(樋に「ぴ」のルビ)で、電技解釈の「線ぴ」とは表記が異なる。
もう一点、同施行令 別表第二 二 の柱書は「銅製及び黄銅製のもの並びに防爆型のものを除く」として、銅製・黄銅製のものを電気用品の対象から外している。一方、電技解釈第161条第2項は、電気用品安全法の適用を受ける金属製線ぴ(第一号)と、黄銅又は銅で堅ろうに製作し内面を滑らかにした幅5cm以下・厚さ0.5mm以上のもの(第二号)の、いずれかに適合すればよいと定めている。厚さの数値が書かれているのは、この第二号の黄銅・銅製についてだけだ。
線ぴはさらに幅で1種と2種に分かれ、1種金属線ぴは幅4cm未満、2種金属線ぴは幅4cm以上5cm以下である。現場では1種を「メタルモール」、2種を「レースウェイ」「ワイヤーモールド」と呼ぶ(いずれもパナソニック TERASU辞書「金属線ぴ工事」の職人用語欄による)。パナソニックは自社のメタルモールについて、A型・B型は電気用品技術基準に適合した一種金属線ぴで、内線規程3125節・電技解釈第161条(金属線ぴ工事)に基づき施工するもの、C型は内線規程3145節・電技解釈第162条(金属ダクト工事)に使用できるものだと案内している。適合するJIS規格は無いとも明記している(パナソニック FAQ「メタルモールにJIS規格はありますか」より)。同じ商品名でも、型によって適用される工事の種類が変わる。
金属線ぴと金属ダクトの区分
| 区分 | 幅 | 適用条文 | 樋そのものの規定 | 内部での電線の接続点 |
|---|---|---|---|---|
| 1種金属線ぴ(現場の呼び名: メタルモール) | 4cm未満 | 電技解釈 第161条 | 電気用品安全法の適用を受ける金属製線ぴ、または黄銅・銅で堅ろうに製作し幅5cm以下・厚さ0.5mm以上のもの(第161条第2項) | 設けない(第161条第1項第二号) |
| 2種金属線ぴ(現場の呼び名: レースウェイ・ワイヤーモールド) | 4cm以上5cm以下 | 電技解釈 第161条 | 同上 | 電線を分岐する場合であること・電気用品安全法の適用を受ける2種金属製線ぴであること・接続点を容易に点検できるように施設すること・線ぴにD種接地工事を施すことなどを全て満たす場合だけ例外的に可(第161条第1項第二号ただし書) |
| 金属ダクト | 5cm超 | 電技解釈 第162条 | 厚さ1.2mm以上の鉄板またはこれと同等以上の強さの金属製(第162条第2項第一号) | 電線を分岐する場合であって、接続点が容易に点検できるときは可(第162条第1項第三号) |
幅による1種・2種の区分と現場での呼び名は、パナソニック TERASU辞書「金属線ぴ工事」による。条文の数値は経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」(令和7年11月20日改正)第161条・第162条による。
金属線ぴのD種接地工事を省略できる条件
| 根拠 | 線ぴの長さ | 付帯条件 |
|---|---|---|
| 第161条第3項第二号イ | 4m以下 | なし |
| 第161条第3項第二号ロ | 8m以下 | 屋内配線の使用電圧が直流300Vまたは交流対地電圧150V以下であり、かつ簡易接触防護措置を施すか、乾燥した場所に施設すること |
ここでいう線ぴの長さは、2本以上の線ぴを接続して使う場合はその全長で数える(第161条第3項第二号イ)。ただし2種金属製線ぴで線ぴ内分岐をする場合は、この省略規定にかかわらずD種接地工事を施す必要がある(第161条第1項第二号ニ)。
4mという数字を他の工事へそのまま流用しないこと。ケーブル工事では「防護装置の金属製部分の長さが4m以下のものを乾燥した場所に施設する場合」と条件が付く(第164条第1項第四号イ)。線ぴの4mにはこの乾燥条件が無い。条文が違えば付帯条件も違う。
金属線ぴ工事ができる場所(電技解釈 第156条 156-1表)
| 施設場所 | 使用電圧 | 金属線ぴ工事 |
|---|---|---|
| 展開した場所・乾燥した場所 | 300V以下 | できる |
| 展開した場所・乾燥した場所 | 300V超過 | できない |
| 展開した場所・湿気の多い場所または水気のある場所 | 300V以下/300V超過とも | できない |
| 点検できる隠ぺい場所・乾燥した場所 | 300V以下 | できる |
| 点検できる隠ぺい場所・乾燥した場所 | 300V超過 | できない |
| 点検できる隠ぺい場所・湿気の多い場所または水気のある場所 | ― | できない |
| 点検できない隠ぺい場所 | 300V以下/300V超過とも | できない |
つまり金属線ぴが選べるのは「300V以下」かつ「乾燥した場所」だけで、湿気の多い場所・水気のある場所と、点検できない隠ぺい場所には条文上そもそも選択肢に入らない。収める電線は屋外用ビニル絶縁電線(OW)を除く絶縁電線に限られる(第161条第1項第一号)。
施設制限と使い分けフロー(内線規程・JIS)
内線規程(JEAC 8001)および電気設備技術基準の解釈が定める主な施設制限を整理する。
コンクリート埋設
コンクリート内に電線管を埋設する場合
├─ 可とう管を使いたい → PF管(自己消火性あり)またはCD管を選ぶ
│ └─ CD管は「コンクリート直埋専用」。露出部分への延長は禁止
└─ 剛性管を使いたい → VE管またはC管・G管を選ぶ
電技解釈第158条第3項第七号も、CD管は直接コンクリートに埋め込むか、専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管・ダクトに収める場合に限って使えると定めており、コンクリート外に露出させる部分には自己消火性のある管材を使う必要がある。
屋外・地中
屋外・地中埋設
├─ 地中直埋 → VE管(耐腐食性)が標準。金属管の場合は防食処理が必要
├─ 屋外露出 → VE管またはG管。C管は外力・腐食環境では不適とされる場合がある
└─ 紫外線環境 → UV対応VE管またはステンレス製金属管(業界目安)
屋内露出・隠ぺい
屋内配管
├─ 一般露出・隠ぺい → PF管が最も汎用的
├─ 機械的保護が必要 → C管(薄鋼)またはG管(厚鋼)
├─ 機器接続部・振動箇所 → 金属可とう電線管
└─ 特定場所(可燃性ガス等) → 薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度(電技解釈第176条。管相互は5山以上ねじ合わせ)
管径の選び方
電線管の管径は、管内を通す電線の外径と本数から決定する。内線規程(JEAC 8001)および電気設備技術基準の解釈に基づく目安は以下のとおりだ。
管内断面積に占める電線断面積の合計
├─ 原則:32%以下
└─ 例外(同一サイズ電線・屈曲少・引き替え容易な場合のみ):48%以下
※太さの異なる電線が混在する場合は例外を適用せず、32%以下とする
実務では、JIS各規格に付属する電線管選定表またはメーカー(未来工業等)が公開する選定ツールを参照するのが確実だ。余裕を持って一サイズ上の管径を選ぶことが現場の慣行とされる。将来の電線追加を想定した先行配管の場合は特に余裕径を確保することが望ましい。
もう一段深く:なぜ32%・48%という数字なのか
32%・48%という数字の出どころは内線規程(JEAC 8001)で、法令そのものではない。電気設備の技術基準の解釈には占有率の数値が一切登場しない(全文を検索しても「32%」「48%」の記載は無い)。解釈が電線管工事について定めているのは、電線が絶縁電線であること、より線または直径3.2mm以下の単線であること、管内に接続点を設けないこと、管の厚さ、支持点間の距離、接地工事といった項目で、合成樹脂管工事が第158条、金属管工事が第159条にあたる。占有率は、この法令の枠内で実務が守るべき目安として内線規程が定めている値だと理解しておくと、根拠を聞かれたときに答えを間違えない。
一方48%まで緩和できる例外は、内線規程が実務経験と実験に基づいて追加した基準で、「同一サイズの電線・屈曲が少ない・引き入れ引き替えが容易」という3条件がすべてそろって初めて成立する。この占有率が守られている理由は大きく2つある。ひとつは施工性で、電線を後から引き抜いて交換する際、管内に電線同士がこすれ合う余裕がないと通線・引き替え自体ができなくなる。もうひとつは放熱で、電線に電流が流れると必ずジュール熱が発生し、電線同士が密着していると熱がこもりやすくなる。占有率の基準は、施工性と発熱対策を同時に満たすためのものだと理解しておくと、現場での判断がぶれにくい。
この発熱の問題をさらに掘り下げると、電線の本数が増えるほど許容電流そのものを下げる「電流減少係数」という別の基準にもつながる。占有率を守っていても、電線本数が多ければ許容電流は下がるため、両方をあわせて確認する必要がある(詳しくは電線管に電線を詰め込みすぎて発熱・溶損した事例を参照)。
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よくある質問
PF管とCD管は外見が似ていますが、どう見分けますか?
色で判断するのが確実だ。CD管はオレンジ色と定められている(JIS C 8411)。PF管の色は規格で定められておらず、ベージュ・グレー・ミルキーホワイト・黒などメーカーによって異なるため、「オレンジならCD管」という一方向でのみ確実に判別できる。ただし自己消火性の有無が最大の違いであり、PF管は自己消火性を持つため露出・隠ぺい配線に使用できる。CD管は自己消火性がないためコンクリート埋設専用であり、露出部分での使用は内線規程(JEAC 8001)で認められていない。
露出配線にCD管を使ってはいけませんか?
原則として禁止だ。CD管は合成樹脂製可とう電線管のうち自己消火性を持たない種別であり、万一の火災時に延焼する危険がある。内線規程(JEAC 8001)では、CD管はコンクリート内への直接埋設用途にのみ使用を認めている。露出配線・隠ぺい配線にはPF管またはVE管を選ぶこと。
VE管は屋内配管に使えますか?
技術的には使用可能だが、一般的には屋外・地中埋設・腐食環境が主な用途だ。VE管(硬質塩化ビニル電線管、JIS C 8430)はPF管に比べて剛性が高く曲げ加工に手間がかかるため、屋内の複雑な取り回しにはPF管が選ばれることが多い。耐薬品性・耐腐食性が要求される室内(工場・薬品室等)ではVE管が適している。
金属管(薄鋼・厚鋼)はどんな場所に使いますか?
機械的保護が必要な場所・防爆エリア・重要幹線ルート等に使う。薄鋼電線管(C管)は一般工場・屋内の露出・隠ぺい配管に広く使われる。厚鋼電線管(G管)はより大きな外力が加わる場所や、屋外・重要幹線ルートに採用される(可燃性ガス等の場所の要求は電技解釈第176条の「薄鋼電線管又はこれと同等以上の強度」で、厚鋼はその上位にあたる)。金属管は接地(アース)処理が必要である点に注意する。
ケーブルラックと配線ダクトの違いは何ですか?
ケーブルラックは梯子状の開放構造でケーブルを載せて敷設する設備であり、主に電気室・機械室・工場の幹線ルートに使用する。配線ダクト(電線ダクト)は蓋付きのトレー状構造で、ケーブルを覆い隠す用途や事務所・天井内の分岐配線に使われることが多い。ケーブルラックは放熱性に優れ多数の太径ケーブルを敷設するのに向いており、配線ダクトは見た目の整頓や防塵に優れる。
電線管の管径はどうやって選びますか?
内線規程(JEAC 8001)では、管内に通す電線の断面積の合計を管内断面積の32%以下とするのが原則だ。ただし、同一サイズの電線を収容し、屈曲が少なく(直線に近く)、引き入れ・引き替えが容易な条件が揃う場合に限り、48%まで緩和できる例外がある。太さの異なる電線を混在させる場合は、この例外は使えず無条件で32%を適用する。電線本数の多寡で32%・48%が決まるわけではない点に注意。具体的には電線本数・外径から計算するか、JISまたはメーカーの電線管選定表を参照するのが確実だ。判断に迷う場合は32%基準で選定するのが安全である。
線ぴ(せんぴ)とは何ですか?
電線を収めて造営材に沿わせる細長い箱のことで、電気設備の技術基準の解釈が「金属線ぴ工事」として一つの配線方法に定めている(電技解釈 第161条)。幅5cmが金属ダクトとの境界で、電技解釈は金属ダクトを「幅が5cmを超え、かつ、厚さが1.2mm以上の鉄板又はこれと同等以上の強さを有する金属製のもの」と定め(第162条第2項第一号)、電気用品安全法施行令は電気用品としての線ぴを「幅が五〇ミリメートル以下のものに限る」としている(別表第二 二(三))。なお同施行令での表記は「線樋」(樋に「ぴ」のルビ)で、電技解釈の「線ぴ」とは表記が異なる。収める電線は屋外用ビニル絶縁電線(OW)を除く絶縁電線に限られ、線ぴ内に電線の接続点を設けないのが原則である(第161条第1項)。
一種金属線ぴと二種金属線ぴの違いは何ですか?
幅で分かれる。1種金属線ぴは幅4cm未満、2種金属線ぴは幅4cm以上5cm以下である(パナソニック TERASU辞書「金属線ぴ工事」より)。同辞書は現場での呼び名として、1種を「メタルモール」、2種を「レースウェイ」「ワイヤーモールド」と挙げている。条文上の違いは電線の接続点だ。線ぴ内に接続点を設けないのが原則だが、電線を分岐する場合であって、電気用品安全法の適用を受ける2種金属製線ぴであり、接続点を容易に点検できるように施設し、線ぴにD種接地工事を施すことなどを全て満たすときに限って例外が認められる(電技解釈 第161条第1項第二号ただし書)。1種にはこの例外がない。
金属線ぴと金属ダクトはどう見分けますか?
幅5cmが境界だ。5cm以下なら金属線ぴ(電技解釈 第161条)、5cmを超えれば金属ダクト(第162条)で、適用条文が変わる。樋そのものの規定も違い、金属ダクトは厚さ1.2mm以上の鉄板またはこれと同等以上の強さの金属製とされている(第162条第2項第一号)。金属線ぴは、電気用品安全法の適用を受ける金属製線ぴであるか、黄銅または銅で堅ろうに製作し内面を滑らかにした幅5cm以下・厚さ0.5mm以上のものであることが求められる(第161条第2項)。パナソニックは自社のメタルモールについて、A型・B型は電気用品技術基準に適合した一種金属線ぴ、C型は金属ダクト工事に使用できる製品だと案内しており、同じ商品名でも型で工事の種類が変わる(パナソニック FAQ より)。
金属線ぴの接地(D種接地工事)は省略できますか?
2つの場合に省略できる。ひとつは線ぴの長さが4m以下のものを施設するとき(電技解釈 第161条第3項第二号イ)。もうひとつは、屋内配線の使用電圧が直流300Vまたは交流対地電圧150V以下の場合に、電線を収める線ぴの長さが8m以下のものへ簡易接触防護措置を施すか、乾燥した場所に施設するときだ(同号ロ)。線ぴの長さは、2本以上を接続して使う場合はその全長で数える。ただし2種金属製線ぴで線ぴ内分岐をする場合は、この省略規定にかかわらずD種接地工事を施す必要がある(第161条第1項第二号ニ)。なおケーブル工事の防護装置では4m省略に「乾燥した場所」という条件が付き(第164条第1項第四号イ)、線ぴとは条件が異なる。
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