2級電気工事施工管理技士とは — 「工事する人」と「管理する人」は別の資格
電気工事士が電気工事の作業そのものに従事する資格であるのに対し、電気工事施工管理技士は電気工事の施工計画・工程管理・品質管理・安全管理を担う資格だ。FCIPの受検の手引は、対象となる技術を「電気工事の実施にあたり、その施工計画及び施工図の作成並びに当該工事の工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理を的確に行うために必要な技術」と定義している。
現場で言えば、電気工事士が実際に配線を施工する側だとすれば、施工管理技士はその工程を組み、下請け業者を管理し、安全と品質を担保する側になる。建設業法上、この資格を持つ人は工事現場に置く主任技術者になれる。電材の商流でいえば、施工管理技士は現場全体の資材調達計画を握る立場になることが多く、電気工事士とはまた違う角度から発注判断に関わってくる。
まず要点を先に置いておく。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施団体 | 一般財団法人建設業振興基金(FCIP) |
| 試験の構成 | 第一次検定 → 第二次検定の2段階 |
| 第一次検定 | 62問中40問解答(四肢択一・五肢択一マークシート)・2時間30分・得点比率60%以上で合格 |
| 第二次検定 | 知識問題(四肢択一)+能力問題(記述式)・2時間・得点比率60%以上で合格 |
| 実施回数 | 年2回。前期(6月)は第一次検定のみ、後期(11月)は第一次・第二次を同日実施 |
| 第一次検定の合格率 | 43.8〜60.3%(令和3〜8年度) |
| 第二次検定の合格率 | 43.0〜51.8%(令和3〜7年度) |
| 合格後 | 第一次検定合格のみで「2級電気工事施工管理技士補」(生涯有効)。第二次検定合格で「2級電気工事施工管理技士」 |
2級電気工事施工管理技士で何ができるようになるのか
第二次検定まで合格すると、建設業法上の主任技術者になれる。これにより、一定規模の電気工事現場において、施工計画の作成・工程管理・品質管理・安全管理を任される立場に就ける。
第一次検定だけに合格した段階でも、令和3年度の制度改正以降は「2級電気工事施工管理技士補」という国家資格が生涯有効なものとして交付される。以前は第一次検定(旧・学科試験)に合格しても、第二次検定(旧・実地試験)に進まなければ資格として何も残らなかったが、現在は第一次検定合格の実績がそのまま資格として残る。
電気工事士との違い
| 資格 | 何をする資格か | 所管・根拠法令 |
|---|---|---|
| 電気工事士(第一種・第二種) | 電気工事の作業そのものに従事する | 経済産業省・電気工事士法 |
| 電気工事施工管理技士(1級・2級) | 電気工事の施工計画・工程管理・品質管理・安全管理を行う | 国土交通省・建設業法 |
電気工事士の資格だけでは、法律上「現場の主任技術者」にはなれない。逆に施工管理技士の資格だけでは、電気工事の作業そのものはできない。実務では、電気工事士として現場経験を積んだ人が施工管理技士を取得し、現場を管理する側に回るというキャリアパスが一般的だ。
第一次検定 — 62問中40問、得点比率60%で合格
第一次検定は、FCIPが検定問題PDFに明記している通り「62問出題し、そのうち40問解答を要する試験であり、各問題1点、40点満点」の試験だ。設問群ごとに全問必須のものと、複数問から選択解答するものが混在している。得点比率60%以上(40点満点中24点以上)で合格となる。
検定科目は、受検の手引p.12の表で次の3区分に整理されている。
- 電気工学等 — 電気理論・電気機器から発変電・送配電・電気設備、関連分野(土木・建築・機械換気等)まで
- 施工管理法 — 知識問題(四肢択一)と能力問題(五肢択一)の2種類。能力問題(No.37〜40)は令和3年度の制度改正で新設された区分で、単純な暗記では解けない、現場条件を踏まえた判断が問われる
- 法規 — 建設業法・電気工事士法・電気事業法・労働安全衛生法など
なお、科目ごとの正確な出題数配分(電気工学等が何問、法規が何問、といった内訳)はFCIPの受検の手引・検定問題PDFのいずれにも明記されていない。市販の対策教材やサイトで見かける「電気工学10問・電気設備15問」といった内訳表は、各社が過去問を独自集計した非公式の分析値であり、公式資料そのものではない点は押さえておきたい。
第二次検定 — 記述式の正答は非公開
第二次検定は後期(11月)のみ、第一次検定と同日に実施される。第一次検定が合格基準に届かなかった場合、第二次検定はそもそも採点対象外になる。
出題は施工管理法の知識問題(四肢択一マークシート)と能力問題(記述式)で構成される。記述式の設問についてはFCIPが正答を公表しない(受検の手引に明記)。四肢択一設問の正答肢番号のみが公表される。このため、電材サーチでは第二次検定の内容を過去問ベースで機械的に検証する手法(第一種電気工事士・電験三種で用いた「サイトの解説だけで過去問を解いて正答率を実測する」手法)を、模範解答が存在しない第二次検定には適用しない。第一次検定(マークシート)に絞ってコンテンツの正確性を検証している。
試験日程と受験資格
年2回、前期(6月・第一次検定のみ)と後期(11月・第一次検定+第二次検定同日)に実施される。第一次検定は試験実施年度に満17歳以上であれば受験できる。第二次検定の受験資格(実務経験年数等)は、令和6年度の制度改正で新受検資格・旧受検資格が並存する形になっており、旧受検資格には令和10年度までの経過措置がある。
難易度をどう見るか — 合格率を数字で読む
| 期 | 第一次検定 | 第二次検定 |
|---|---|---|
| R3(後期のみ) | 57.1% | 50.4% |
| R4(後期のみ) | 55.6% | 46.7% |
| R5前期 | 53.2% | — |
| R5後期 | 43.8% | 43.0% |
| R6前期 | 49.8% | — |
| R6後期 | 47.5% | 51.4% |
| R7前期 | 60.3% | — |
| R7後期 | 55.1% | 51.8% |
| R8前期 | 57.4% | — |
第二次検定は後期のみの実施のため前期の数値はない。第一次検定は43.8〜60.3%の範囲で年度ごとの振れ幅がやや大きく、電験三種や電気工事士と比べても「その年度の問題の当たり外れ」が出やすい試験だと言える。
よくある質問
電気工事士の資格がなくても2級電気工事施工管理技士は受験できますか
第一次検定は満17歳以上であれば、電気工事士資格の有無にかかわらず受験できます。ただし第二次検定には実務経験等の受検資格があり、令和6年度改正で新受検資格・旧受検資格が並存しています(旧資格は令和10年度まで経過措置)。
第一次検定に合格すれば何か資格が残りますか
残ります。令和3年度の制度改正により、第一次検定に合格するだけで「2級電気工事施工管理技士補」という生涯有効な国家資格が交付されるようになりました。第二次検定に進まなくても、この資格自体は失効しません。
前期(6月)に第一次検定へ合格すれば、その年の後期(11月)に第二次検定だけ受けられますか
前期は第一次検定のみの実施で、後期は第一次・第二次を同日に実施する形になっています。前期合格後に後期で第二次検定のみを受けられるかどうかの詳細な運用は受検の手引の年度ごとの記載を確認してください(本ページでは未確認の点として扱います)。
第二次検定の記述式問題は、模範解答を見て自己採点できますか
できません。FCIPは記述式設問の正答を公表していません。四肢択一設問の正答肢番号のみが公表されます。