天井裏で作業中の先輩から電話が入った。「悪い、倉庫からコンビネーション1個持ってきてくれ」。
倉庫の棚の前に立つと、そこには太さのよく似た短い筒が何種類も並んでいる。箱のラベルには、カップリング、TSカップリング、コンビネーションカップリング。どれも「管と管をつなぐ部品」のはずだ。つなぐだけの筒に、なぜ3つも名前が分かれているのか。そして、似た筒を取り違えて持っていくと、なぜその場で工事が止まってしまうのか。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、棚の前で迷わずに正しい1個をつかめるようになっている。
電線管そのものの種類と使い分けは電線管工事の種類が受け持っている。ここで扱うのは、その管の脇役たち——付属品だ。学科試験の材料写真の問題では、この脇役の名前と役割が繰り返し問われる。
付属品の仕事は、突き詰めると3つしかない。つなぐ、曲げる、そして守る・留める。名前は多いが、どの部品もこの3つのどれかに属している。
つなぐ — カップリングが3つに分かれる理由
管どうしを一直線につなぐ筒が、カップリングだ。ところが棚には3種類ある。
- カップリング: ねじが切ってある薄鋼電線管どうしを、ねじ込んで接続する
- TSカップリング: 硬質ポリ塩化ビニル電線管(VE管)どうしを、受け口に差し込んで接着剤で接続する
- コンビネーションカップリング: 異なる種類の管どうし(たとえば金属管とPF管)の境目を接続する
ねじなし電線管には専用のねじなしカップリングがあり、こちらは止めねじで管を固定する。
曲げる — ノーマルベンドとユニバーサル
配管が直角に曲がる箇所には、専用の部品がある。
- ノーマルベンド: ゆるやかに湾曲した管。曲がりの内側に無理な力をかけずに、配管の向きを90度変える
- ユニバーサル: L形のボックス状で、曲がりの部分にふた付きの取出し口がある部品。露出配管の直角箇所に使い、ふたを開けて電線を引き入れられる
どちらも「直角の曲がり」に使う点は同じで、写真問題での見分け方はふたの有無だ。ふたがなく、つるりと湾曲していればノーマルベンド。曲がりの部分にふたが見えればユニバーサルになる。
守る・留める — 接続部とその周辺の部品
電線管工事には、管の中で電線を接続してはならないという大原則があった。接続は必ずボックスの中で行う。だから管とボックスの出会う場所には、専用の部品が集まっている。
- ロックナット: ボックスの穴のところで、管側の部品(ボックスコネクタ等)やねじを切った管を締め付けてボックスに固定するリング状の部品。片面に凹みがあり、凹みのある面をボックス側に向けて取り付ける。どちら側に何個入れるかは管の種類と使う接続部品で変わるので、技能試験で使うねじなしボックスコネクタでの手順は候補問題No.11で扱う
- 絶縁ブッシング: 管の端(切り口)に取り付けて、通線する電線の絶縁被覆が鋭い切り口で傷つくのを防ぐ部品
- リングレジューサ: ボックスの穴が管の径より大きいときに、穴径を合わせるために使う部品
箱にも役割分担がある — 接続する箱と、引き入れるための箱
ここで、その「ボックス」の側にも名前が分かれていることに触れておきたい。管の中で電線を接続できない以上(電技解釈第159条第1項第三号)、接続点は必ずどこかの箱の中に置かれる。だが箱の仕事は接続だけではない。
- アウトレットボックス: 埋込配管の分岐点に据え、照明器具・スイッチ・コンセントの取付位置にもなる金属製の箱。JIS C 8340が鋼製電線管用の金属製ボックスとして規定しているのは、このアウトレットボックスとスイッチボックス、コンクリートボックス、そして露出配管用の丸形露出ボックス等で、寸法の決まった製品として作られる
- ジョイントボックス: 電線相互の接続点に置く箱。技能試験でおなじみの、ケーブル同士をリングスリーブでつなぐあの場所だ
- プルボックス: 多数の電線管が集まってくる箇所に据える、ふた付きの大きな箱
最初の2つの目的は「つなぐ場所を作ること」だ。ところがプルボックスの第一の目的はそこにない。電線を引き入れやすくすることそのものにある。名前のプル(pull)は、そこで電線を引くという意味だ。
理由は通線を一度やれば体で分かる。管が長く続くほど、そして曲がり角が増えるほど、電線と管の内面の摩擦は積み重なっていく。ある長さを超えると、何人がかりで引いても電線は動かなくなる。そこで配管の途中に大きな箱を置き、電線をいったん外へ出せるようにする。区間を区切ってしまえば、それぞれの区間は引ける長さに収まる。幹線のように太くて硬いケーブルほど、この効き目は大きい。
だから同じ「箱」でも、置かれる理由が違う。アウトレットボックスは器具と分岐のために配線の行き先へ置かれ、プルボックスは配管が集中する結節点——天井裏や、各階をまたぐ竪穴の配管と横引きの配管が交わる場所——に置かれる。寸法も、規格で決まった大きさのアウトレットボックスに対してプルボックスは自由度が高く、集まる管の本数と太さに合わせて大きくなる。
| 箱 | 第一の目的 | 置かれる場所 |
|---|---|---|
| アウトレットボックス | 電線の分岐・接続と、照明器具やスイッチ・コンセントの取付け | 器具の取付位置、埋込配管の分岐点 |
| ジョイントボックス | 電線相互の接続 | 接続点となる場所 |
| プルボックス | 管への電線の引き入れを容易にすること(あわせて接続・分岐の場にもなる) | 多数の電線管が集合する箇所 |
なお、金属管を金属製のプルボックスにつなぐときは、管とボックスその他の附属品の接続と同じく、堅ろうにかつ電気的に完全に接続することが求められる(第159条第3項第六号)。プルボックスだけを名指しして接地工事を課す条文があるのではなく、管と電気的につながっていることで管側の接地に乗る、という組み立てだ。
ただし、この「管側の接地に乗る」という組み立ては、合成樹脂管には当てはまらない。 合成樹脂管は絶縁物なので、そもそも接地の経路にならない。そこで第158条第3項第五号は、合成樹脂管工事で金属製のボックスを使う場合、そのボックス自体にD種接地工事を施すこと(使用電圧300V以下。300V超はC種、接触防護措置を施せばD種に緩和)を直接求めている。
だから「合成樹脂管工事だから接地は要らない」と読むと外す。絶縁物の管を使うことは、金属部品の接地を免除する理由にならない——むしろ、頼れる相手がいないぶん自分で接地する必要がある。乾燥した場所や対地電圧150V以下+簡易接触防護措置といった省略条件は別に置かれているので、そちらは条文で確認する。
なお、合成樹脂管をプルボックスに接続する場合の接続方法の規定は、第158条第3項第六号に金属管と同じ形で置かれている。
そして配管そのものを建物に留める部品がサドルだ。半円のアーチで管をまたぎ、両足をビスで造営材に固定する。よく似た役割で名前だけ問われるのがステープル(ステップル)で、こちらはU字型の釘のような形をした、VVFケーブルを木造の造営材に留めるための材料。管ではなくケーブル用という一点が、写真問題での定番のひっかけになっている。
写真の1点で決める — 名前ではなく、写っている形で選ぶ
材料写真の問題は、名前を思い出すゲームに見えて、実は消去法のゲームだ。写真には、写っているものと同じくらい「写っていないもの」が手がかりとして写り込んでいる。ねじ山が見えない。止めネジが出ていない。金属の部品がひとつもない。受口の内側に、可とう管をつかむ歯がない——この4つを確かめるだけで、4つの選択肢はたいてい半分以下に減る。
以下は、メーカーの製品資料とカタログ写真で形まで確認できた部品だけを並べた表だ。名前と用途に、「写真のどこを見れば決まるか」を1点だけ足しておく。
| 部品 | 何に使うか | 写真の決め手(1点) |
|---|---|---|
| カップリング | ねじの切ってある管どうしを一直線につなぐ | 金属製の筒で、内側にねじ山が見える(外周に止めネジは出ていない) |
| ねじなしカップリング | ねじの切っていないねじなし電線管どうしをつなぐ | 外周に止めネジが出ている金属の筒で、まっすぐな左右対称の形 |
| TSカップリング(VE管用) | VE管どうしをつなぐ | 金属部品・ねじ山・止めネジが一切なく、両端が受口になっている樹脂の筒。受口の内側は滑らかな円筒で、可とう管をつかむ歯がない(外形は製品によって違う。未来工業PVF形のように段差のないまっすぐな円筒もあれば、両端の受口がふくらんで中央がくびれた段付きの形もある) |
| コンビネーションカップリング | 種類の違う管の境目をつなぐ(PF管とVE管、ねじなし電線管とPF管、防水プリカとねじなし電線管など) | 左右で構造が違う。それぞれの管用のカップリングを2つ合わせた形。差し込む方式とねじで締める方式がある |
| 2号コネクタ(VE管用) | VE管をボックスのノックアウトに接続する | 片側がVE管の受口、反対側がおねじ、中間に六角のつば |
| ノーマルベンド | 配管の向きを直角(90度)に変える | 両端が受口の、加工済みの90度曲がり管。通線しやすいゆるやかなカーブ |
| ユニバーサル | 金属管の途中に90度の曲がりをつくる | 曲がりの部分に取出し口がある。通線時にここから配線を取り出せる。ボックスではないので中で結線はできない |
| エントランスキャップ | 垂直に立ち上げた電線管の上端。引込口から管内への雨水の浸入を防ぐ | 上部が丸いドーム状のひさし。電線取出し口の面が斜め下を向き、管の差込口は本体の下から下向きに出る |
| ターミナルキャップ | 水平に施設した電線管の末端。雨水の浸入を防ぎ、電線の向きを90度変える | 横向きの円筒(ドラム)状の本体。取出し口の面が管の差込口の軸と直角。ドーム状のひさしがない |
| ロックナット | ボックスコネクタなどをボックスに固定する | 片面に凹みのあるリング。凹みのある面をボックス側に向けて締め付ける |
| プラブッシング/ブッシング/キャップ付絶縁ブッシング | 管口で電線の被覆を守る | 樹脂製ならプラブッシング(絶縁性)、金属製ならブッシング(強度)、金属にキャップが付いていればキャップ付絶縁ブッシング(両方を兼ねる) |
とくに取り違えやすい組が3つある。順に、形の違いだけを取り出して見ておく。
つなぐ側 — カップリングとねじなしカップリング。 どちらも短い筒で、遠目には区別がつかない。分かれ目は、外周に止めネジが出ているかどうかの一点だ。
曲げる側 — ノーマルベンドとユニバーサル。 どちらも配管の向きを90度変える部品だが、片方は曲がった管そのもの、もう片方は曲がりに取出し口を持つ本体だ。
管端を塞ぐ側 — エントランスキャップとターミナルキャップ。 説明文はどちらも「管の端に付けて、引込口から管内へ雨水が入るのを防ぐ」で同じになる。違いは、どちら向きの管に付くか。そしてそれは、形にそのまま出ている。
写真問題を、実際に削ってみる
材料写真の問題は、写真を1枚見せて「写真に示す材料の用途は。」とだけ聞いてくる。用途を選ばせるのであって、名前を答えさせるのではない。ここでは、樹脂の継手が1つ写っている場面を想定して、実際に削る手順を追ってみる。並ぶ用途は、たとえばこんな4つだ。
- 合成樹脂製可とう電線管どうしを接続する
- 金属管と硬質ポリ塩化ビニル電線管を接続する
- 硬質ポリ塩化ビニル電線管どうしを接続する
- 合成樹脂製可とう電線管とCD管を接続する
写っているのは、灰色の樹脂でできた短い筒だとしよう。ねじ山も止めネジも金属部品も一切なく、両端が受口になっている。手前側の端面には肉厚のある断面が見えていて、そのまま受口の内側まで見通せる。
ここから、消せるものを消していく。金属部品がひとつも写っていないのだから、金属管が絡む1つは落ちる。ここまでは誰でも来られる。問題は、残った3つがどれも「樹脂の管どうし」だという点だ。ここで「左右対称だから異種管用ではない」と考えてCD管の絡む1つを消すのは危ない。PF管とCD管は呼び径の体系が共通で外径も近く、その両者をつなぐ継手は左右がほとんど同じ形に見えるからだ。左右対称という手がかりが効くのは、金属と樹脂のように素材ごと違う管が相手のときだけだと考えたほうがいい。
代わりに使うのは、受口の内側だ。合成樹脂製可とう電線管(PF管・CD管)は外周が蛇腹状に波打っている。その波に食い込ませないと管が抜けてしまうので、可とう管用の継手は管口の内側に細かい歯を並べている。未来工業のPF管用カップリング(MFSC形)の製品写真を見ると、筒の口にぐるりと歯の列が並び、外周には解除用のスリットが入っている。同社のPF管⇔VE管のコンビネーションカップリングにいたっては、PF管側の口にだけ歯があり、VE管側は歯のない滑らかな受口で、左右の顔がはっきり違う。
いま見ている受口には、この歯がない。内側は滑らかな円筒のままだ。つまりこの筒は、波打った管をつかむ気がまったくない——接着剤で固めることを前提にした、硬質の直管用の受口である。これで可とう管が絡む2つがまとめて落ち、残るのは硬質ポリ塩化ビニル電線管どうしをつなぐ用途だけになる。
ここで正直に書いておきたいことがある。名前を先に当てにいくと、かえって迷う。たとえばメーカーがTSカップリング(ストレートタイプ)として売っている製品は、ねじも段差もないまっすぐな円筒スリーブだ。一方で、両端の受口がふくらんで中央がくびれた段付きの製品もある。頭の中に1枚だけ写真を持っていると、それと違う形が出た瞬間に手が止まってしまう。だから写真問題の解き方は「名前を思い出してから用途を答える」ではない。写真に写っている手がかりで選択肢を削り、最後に残った用途を選ぶ。素材(金属か樹脂か)、締め方(ねじ山・止めネジの有無)、受口の内側(歯があるか滑らかか)の3つを順に当てれば、名前を1つも思い出さないまま1つに絞れる。
もうひとつ。写真問題には、取り付けられて現場に残る部材と、手に持って使う工具が混ざって出る。ガスボンベに金属のバーナーヘッドが付いた工具が写っていれば、それは硬質ポリ塩化ビニル電線管の曲げ加工に使うトーチランプで、管に取り付けて残る部材ではない。まず部材か工具かに分けてしまうのが、いちばん速い1手目になる。
管と附属品には、決まった相方がある
「使用する材料の組合せとして誤っているもの」を選ぶ問題では、 管の種類と附属品が噛み合っているかを見る。管ごとに使える附属品が決まっている。
| 管 | 正しい相方 | 接続のしかた |
|---|---|---|
| ねじなし電線管(E) | ねじなし用カップリング、ねじなしボックスコネクタ(ボックス側はロックナットで締める) | 止めねじを締め、頭がねじ切れるまで回す |
| 薄鋼・厚鋼電線管(C・G) | ねじ付きカップリング、ロックナット・ブッシング | 管端にねじを切ってねじ込む |
| 硬質塩化ビニル電線管(VE) | TSカップリング | 接着剤で接続する |
| 合成樹脂製可とう電線管(PF・CD) | PF/CD用カップリング・コネクタ | 差し込んで留める |
| 金属製可とう電線管(F2) | コンビネーションカップリング(異種管をつなぐ) | — |
- ねじなし電線管に、管へ直接ねじ込むタイプの附属品は噛み合わない(管にねじが切られていない)。ただしロックナット自体は使う——ねじなしボックスコネクタのおねじに締めてボックスに固定するので、「ねじなし電線管の工事にロックナットを使用した」は正しい組合せだ
- VE管にPF用カップリングは付かない(径も接続方式も違う)
- リングスリーブに圧着端子用の工具は使えない(握りの色が違う)
ブッシングは、電線の被覆が金属の切り口で傷つくのを防ぐ部品だ。ただし 「ブッシング」と一括りにしない。管端に付ける絶縁ブッシングは電線管工事の 相方であり、管を使わない工事には出てこない。一方、アウトレットボックスの 打ち抜き穴(ノックアウト)にはめるゴムブッシングは、ケーブル工事でこそ使う ——技能試験でも、金属製アウトレットボックスにケーブルを引き込む課題では ゴムブッシングの取り付け忘れが欠陥になる。「管端=絶縁ブッシング、箱の穴= ゴムブッシング」と、付く場所で分けておく。
部品の名前が分からなくても、「これは何と一緒に使うものか」を1つ思い出せば消せる。
ボックスは「置かれる場所」で姿が変わる
配線図の写真問題では、似た箱がいくつも並ぶ。用途によって形がはっきり違うので、 どこに置かれるものかで見分ける。
| ボックス | 見た目の決め手 |
|---|---|
| スイッチボックス(埋込用) | 浅い箱。壁の中に埋め、前面に器具を留めるねじ穴がある |
| アウトレットボックス | 八角形または四角の金属箱。側面にノックアウト(管を通す打ち抜き穴)が並ぶ |
| コンクリートボックス | 底が浅く、コンクリート打設に埋め込む前提。深さ調整用の部品が付く |
| プルボックス | 大きな箱。多数の電線を中継するために使い、蓋がねじ留め |
| 防水プルボックス(屋外・地中用) | パッキン付きの蓋。透明な蓋のものもあり、中の結線が外から見える。屋外や地中の引込部に置く |
- 壁のスイッチ・コンセントの位置 → スイッチボックス
- 天井裏で複数のケーブルが集まる点 → アウトレットボックス
- 屋外・車庫・地中の引込部 → 防水プルボックス
屋外に置くものは、必ず水の侵入を防ぐ仕掛けがある。パッキン、防水パッキン付きの蓋、 下向きの電線引込口——これらが写っていれば屋外用だ。逆に、ノックアウトが素通しの 金属箱は屋内用で、屋外には使えない。
埋込用と露出配管用 — ボックスは「受け口」の有無で割れる
点滅器やコンセントを取り付ける材料を写真4枚から選ばせる出題がある。候補には樹脂製のボックスが何枚も並び、形も色も似ている。ここで効く決め手は1つだけだ。
- 受け口が突き出ている → 露出配管用のボックス。PF管用・VE管用など、電線管をつなぐために作られている
- 受け口が無く、のっぺりした箱 → 埋込用のボックス。壁の中に埋めてケーブルを直接引き込む
木造住宅のVVFケーブル工事で点滅器を取り付ける場面なら、そもそも電線管を使わない。だから受け口の付いたボックスは、その時点で圏外になる。
分かれ目は受け口の有無であって、金属か樹脂かではない。金属製アウトレットボックスはケーブル工事でも普通に使う——電技解釈第164条は、ケーブル工事の「金属製の電線接続箱」に接地工事を求めており、箱が金属であることを前提にした条文だ。「金属箱=ケーブル工事では誤り」と覚えると、正しい選択肢を切ってしまう。
この見分けは、管と附属品に決まった相方があるという話と同じ根から来ている。受け口の形は、そこにつながるはずの相手を語っている。 ねじなしボックスコネクタが止めねじを持っているのはねじなし電線管が相手だからであり、露出ボックスが受け口を持っているのは電線管が相手だからだ。相手のいない受け口は、図面の上では矛盾になる。
形の見分けももう一段補っておく。細長い長方形の箱=スイッチボックス(点滅器・コンセントを収める)、正方形や八角形の箱=アウトレットボックス(電線の分岐点・照明器具の取付点)。長方形か、四角か八角か——縦横の比率を先に見て、次に受け口の有無を見る、という2段階で4択はほどける。
「コンビネーション1個」の電話に、棚の前で迷わなくなる
付属品の名前が全部つながると、最初に変わるのは材料の注文だ。図面を見て「この配管ルートなら、カップリングが3個、ノーマルベンドが2個、サドルは何個」と数え上げる作業——現場で「材料拾い」と呼ばれる仕事は、名前と役割が一対一で頭に入っていて初めて成立する。電話一本、伝票一枚が名前だけで通じる世界であり、取り違えた1個は配送をもう一往復させる。冒頭の工事が止まった理由も、そこにある。
サドルの数を出すには、支持点の間隔を何mで置くかが要る。この間隔は電気設備の技術基準の解釈が決めているわけではなく、金属管を2m以下の間隔で支持するというのは内線規程(民間の規程)が示している目安だ。数字の出どころが法令なのか規程なのかを分けておくと、試験でも現場でも足を取られない。
今日試せることもある。ホームセンターの電材コーナーには、VE管の付属品(TSカップリング、ノーマルベンド、2号コネクタ)とサドル・ステープルあたりが、素手で触れる形で並んでいることが多い。金属管用のカップリングも置いている店なら、TSカップリングと両手に取って内側を覗いてみるといい。片方にはねじ山が切られ、もう片方はつるりとした受け口になっている。素材が止め方を決めるという話が、10秒で手に入る。エントランスキャップやユニバーサルのように棚に常備されていない品は、メーカーのカタログPDFで写真を見ておけば十分だ。外へ出れば、もう1つ試せることがある。電柱から建物へ引き込む線が垂直に立ち上がっている管の先端を見上げてみるといい。上が丸いドーム状になっていて、電線の出口が斜め下を向いていれば、それがエントランスキャップだ。壁を水平に貫いてきた管の末端についている、ひさしのない横向きの円筒がターミナルキャップになる。街の景色の中に、写真問題の答えがそのまま設置されている。
この小さな部品たちは、事故の歴史の上に立っている。配線の弱点は昔から接続部と管の端に集中してきた。切り口で被覆が傷つけば漏電になり、固定が甘ければ振動で接続が緩む。絶縁ブッシング1個、ロックナット1個は、その弱点を部品の形で塞いだ答えだ。そしてこの知識は後付けの工事でこそ効いてくる。EV充電器や太陽光のように、建物が完成したあとから屋外へ配線を延ばす仕事は露出配管が主戦場で、曲がり角のノーマルベンド、壁面のサドル、素材が切り替わる境目のコンビネーションカップリングと、このトピックの部品が総出演する。管の選定側の知識は電線管・配線ダクトの種類と選び方にまとめてある。
先輩はなぜ「コンビネーション」を名指ししたのか。天井裏で何と何をつなごうとしていたのか——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。