候補問題No.11とNo.12は、配線図の骨格がよく似ている。単相2線式100Vの電源があり、ランプレセプタクルがあり、点滅器がイとロの2つあり、そして管の中にIV 1.6を通してボックスにつなぐ区間がある。違うのは管の種類だけ——No.11は「E19」、No.12は「PF16」。
ところが、欠陥の判断基準を開くと様子が変わる。
「9.金属管工事部分」には9-1から9-6まで6つの項目がある。「10.合成樹脂製可とう電線管工事部分」には10-1と10-2の2つしかない。同じ「管をボックスにつなぐ」作業なのに、採点の目が4項目ぶん消えている。
しかも、消えた4項目のうち3つはボンド線という1本の電線に関するものだ。管の材質が変わっただけで、なぜ電線が1本まるごと不要になるのか。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、この項目数の差が「PF管のほうが甘く採点される」という話ではなく、材質から必然的に出てくる差だと分かるようになっている。
No.12に何が入っているか
公表された候補問題No.12の配線図には、次の要素が示されている。
- 電源:単相2線式(1φ2W)100V
- VVF 2.0-2C(電源側の幹線)
- ランプレセプタクル(Rロ)
- IV 1.6(PF16)
- 点滅器(イ・ロ)
PF16=合成樹脂製可とう電線管(PF管)の16(呼び径)、そこに絶縁電線IV1.6を通す。No.11のE19(ねじなし電線管)と対になる、樹脂管の問題だ。
その他の区間は注記の「記載のない電線の種類は,VVF1.6とする」に従う。「器具においては,端子台で代用する場合がある」ため材料表の確認も欠かせない。そして——「配線図,施工条件等の詳細については,試験問題に明記します」。管をボックスのどの穴に接続するか、電線の色をどうするか、接続方法をリングスリーブにするか差込形コネクタにするかは、当日の問題用紙で確定する。
配線図そのものは試験センターの著作物にあたるためここには載せていない。公式PDFを開いて対応する図を見ながら読み進めてほしい。
複線図を起こす順序
回路の考え方はNo.11とほぼ同じだ。管は電線の通り道であって、回路要素ではない。
- 管の区間を「ただの電線数本」に読み替える。 PF16の中を通るIV線の本数は、その先の器具が何を要求するかで決まる。管の材質は複線図に一切影響しない。
- 接地側(白)を配る。 電源の接地側から、スイッチを経由せず器具の接地側端子へ直行させる。
- 非接地側(黒)を配る。 電源の非接地側から各点滅器へ。
- 点滅器から各照明器具へ戻りの線を引く。 点滅器がイとロの2つあるので、戻りも2本。どちらがイでどちらがロかを図の上で区別しておく。
複線図が完成してから「この区間は管を通る」と印を付け、通す本数を確定させてからIV線を切る。管に通したあとで本数を間違えたと気づくと、抜き差しの時間がまるごと損になる。
PF管の組み立ては部品4つで終わる
判断基準10-1に列挙された構成部品は「合成樹脂製可とう電線管」「コネクタ」「ボックス」「ロックナット」の4つ。これが採点の対象になるすべてだ。
手順は、管をコネクタに確実に差し込み、コネクタをボックスの穴に通して、ボックスの内側からロックナットで締める。それだけだ。試験センターの資料でも、この工事の欠陥の例として示されているのは「隙間がある」「ロックナットが外れている」「管が外れている又は引っ張って外れるもの」の3つに絞られている。
なぜボンド線が消えるのか
ボンド線は、金属管や金属製ボックスといった「本来は電気が流れないはずの金属部」どうしを電気的につなぎ、接地するための電線だ。万一その金属部に漏電しても、人が触れる前に電気が地面へ逃げるようにしている。
PF管は合成樹脂製で、管そのものが電気を通さない。つなぐべき金属部が管路に生じないのだから、ボンディングという作業自体が発生しない。
同じ理屈で、他の項目も消えている。
- 止めねじ(9-3) ——ねじなしボックスコネクタの止めねじは、管を規定の力で固定すると同時に、金属管とコネクタを電気的に確実に接触させる役割も担う。PF管のコネクタにこの構造は不要。
- 絶縁ブッシング(9-1、9-2ロ) ——金属管の切り口は鋭く、そのままでは通線した電線の絶縁被覆を傷つける。絶縁ブッシングはその切り口を覆う部品だ。樹脂管には金属の切り口がない。
つまり、10の項目が2つしかないのは「PF管は簡単だから甘く見る」という話ではない。金属という材質が持ち込んでいた危険が、樹脂では最初から発生しない。だから見るべき項目もそのぶん減る。この対応関係が腑に落ちると、No.11とNo.12を別々に暗記する必要がなくなる。
踏みやすい欠陥項目
PF管工事で採点されるのは、原文で次の2項目だ。
10-1.構成部品(「合成樹脂製可とう電線管」,「コネクタ」,「ボックス」,「ロックナット」)が正しい位置に使用されていないもの
ロックナットをボックスの外側に付けてしまう、といった取り違えが該当する。試験センターの資料には「ロックナットが外れている」状態も欠陥の例として示されている。
10-2.構成部品間の接続が適切でないもの
- イ.「管」を引っ張って外れるもの
- ロ.「管」と「ボックス」との接続部分を目視して隙間があるもの
管をコネクタに差し込むとき、奥まで入っていないと引っ張ったときに抜ける。隙間についても許容寸法の記載はなく、目視で見えれば欠陥だ。
そして、管以外の部分は他の候補問題と同じ基準で見られる。No.12で管に安心して他を落とすのが最ももったいない。
12-4.ゴムブッシングの使用が適切でないもの
- イ.ゴムブッシングを使用していないもの
- ロ.ボックスの穴の径とゴムブッシングの大きさが相違しているもの
管を接続しない側の穴にケーブルを通すときは、ゴムブッシングを忘れない。
8-7.ランプレセプタクル又は露出形コンセント等の巻き付けによる結線部分の処理が適切でないもの
- イ.心線の巻き付けが不足(3/4周以下),又は重ね巻きしたもの
- ロ.心線を左巻きにしたもの
- ハ.心線がねじの端から5mm以上はみ出したもの
- ニ.カバーが締まらないもの
ランプレセプタクル(Rロ)の輪作りは、試験センターが「よくある欠陥事例」として名指ししている項目でもある。
11-4.取付枠に配線器具の位置を誤って取り付けたもの
点滅器がイ・ロの2つあるため、連用取付枠にどの器具をどの位置で付けるかが施工条件で指定される可能性がある。イ「配線器具が1個の場合に,中央以外に取り付けたもの」、ロ「配線器具が2個の場合に,中央に取り付けたもの」、ハ「配線器具が3個の場合に,中央に指定した器具以外を取り付けたもの」。
時間配分の目安
試験時間はすべての候補問題について40分(公表資料)。以下は練習時の配分例で、公式に定められたものではない。
| 経過 | やること |
|---|---|
| 〜2分 | 問題文と施工条件を読む。管の接続位置、電線の色、接続方法に印を付ける |
| 〜7分 | 複線図を描く。管を通るIV線の本数と、イ・ロの戻り線の区別をここで確定させる |
| 〜11分 | PF管の組み立て(管→コネクタ→ボックス→ロックナット)。部品が4つなので短く済む |
| 〜16分 | ケーブル切断・外装はぎ取り・IV線の通線 |
| 〜28分 | ランプレセプタクルの輪作り、連用取付枠への器具取付 |
| 〜36分 | 電線相互の接続 |
| 〜40分 | 見直し。管を軽く引いて外れないか、ボックスとの接続部に隙間がないかを確認 |
No.11より管の作業が短く済むぶん、余った時間は輪作りと圧着の見直しに回したい。管工事の問題で落ちる人の多くは、実は管以外のところで落ちている。
曲がる管が、建物のかたちに合わせてくれる
PF管の強みは、手で曲げられることだ。木造の壁の中、天井裏、梁を避けながらの配線——建物のかたちが先にあって、配線をそれに合わせなければならない場所では、可とう性がそのまま作業の速さになる。金属管のような曲げの道具も技術も要らないので、後からの増設にも向く。No.12 を組めるということは、すでに建っている建物に配線を1本足す、という仕事に手が届くということだ。
見分け方をひとつ覚えておくと役に立つ。PF管には自己消火性があり、露出でも隠ぺいでも使える。よく似た蛇腹のCD管はオレンジ色で、コンクリートに埋め込む専用だ。色を分けてあるのは、間違えて露出配管に使わせないための決めごとになっている。天井裏や分電盤のまわりで蛇腹の管を見つけたら、まず色を確かめてみるといい。
金属管に比べて欠陥の項目が少ないのは、手を抜いてよいからではなく、守るべき部品が本当に少ないからだ。だからこそ、その2点は外せない。増設のしやすさという性質は、太陽光や通信線、充電設備といった「後から足す設備」が増えるこれから、ますます効いてくる。
冒頭の「消えた4項目」の答え合わせは、理解度チェックの最後の問題でしてみよう。