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技能試験の基礎(試験の形・端子台・KIP・第一種固有の欠陥) ・ 6 / 6

制御回路の結線(電磁開閉器・押しボタン・表示灯)

読み終えると、こうなる

赤・白・緑といった表示灯の色や、開閉器の記号だけを見て、その回路がいつ・どんな条件で動く設計かを読み解けるようになる

  • 電源側と負荷側のどちらに表示灯をつなぐべきかを、『いつ点くべきランプか』という役割から判断できる
  • 2つの検出装置(タイムスイッチと自動点滅器など)が直列か並列かで、点灯条件がAND条件になるかOR条件になるか見分けられる
  • 支給された制御機器が実物か端子台代用かを、施工条件で確認してから結線を組み立てられる
考えてみよう

赤ランプには「運転表示灯」、白ランプには「電源表示灯」としか図に書かれていない。どちらを開閉器の電源側に、どちらを負荷側につなぐかは、どこにも書かれていない。

名前だけを見れば、赤は動いているときのランプ、白は電気が来ているときのランプ、というくらいの理解で終わってしまいそうになる。だが実際に結線する段になると、電源側・負荷側のどちらにつなぐかを決めなければならない。

見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、名前だけでは分からないこの結線を、本番でどう決めればいいかが分かるようになっている。

候補問題に登場する制御機器

第一種の候補問題10問のうち、5問(No.5・6・8・9・10)に何らかの制御・表示回路が含まれる。並べてみると、次のようになる。

候補問題主な制御機器表示・検出の要素
No.5開閉器「S」(3P15A)赤ランプ(運転表示灯)・白ランプ(電源表示灯)
No.6開閉器「S」(3P15A)ランプレセプタクル「R」(運転表示灯)・電流計「A」
No.8電磁開閉器「MS」・押しボタン「B」ランプレセプタクル「R」(運転表示灯)
No.9タイムスイッチ「TS」・自動点滅器 A(3A)屋外灯の自動点滅
No.10VCB補助接点赤ランプ・緑ランプ

候補問題の注3は「MSは電磁開閉器を示す」と定義している。この定義がある以上、MSという記号を見たら電磁開閉器だと確定できる。一方で、表示灯の結線先や、複数の検出装置の組み合わせ方(直列か並列か)は、図には書かれていない。

表示灯——「いつ点くべきランプか」で決める

電源表示灯と運転表示灯の点灯条件 開閉器 電源表示灯=電源側 開閉器を入れる前から点灯 運転表示灯=負荷側 開閉器を入れたときだけ点灯 同じ「表示灯」でも、電源側につなぐか負荷側につなぐかで、点灯するタイミングがまったく変わる

電源表示灯は「開閉器を入れる前から点く位置」、つまり開閉器の電源側につなぐ。運転表示灯は「開閉器を入れたときだけ点く位置」、つまり負荷側につなぐ。この役割の意味さえ分かっていれば、当日の施工条件がどちらを指定してきても迷わない。No.5の赤(運転表示灯)・白(電源表示灯)、No.6の運転表示灯、No.10のVCB補助接点(a接点・b接点)から赤・緑ランプへの表示回路も、すべて同じ考え方で結線を決める。

名前を覚えるのではなく、「いつ点くべきランプか」で覚えるのが近道だ。役割さえ理解していれば、施工条件を読んだ瞬間に結線が決まる。丸暗記では、施工条件の指定が少し変わっただけで対応できなくなる。

電磁開閉器と押しボタン——検出・判断・実行の骨格

No.8は、電磁開閉器「MS」に押しボタン「B」が接続され、ランプレセプタクル「R」が運転表示灯として、電流計「A」とコンデンサも描かれる制御回路だ。押しボタンを押す(検出)→電磁開閉器が動作する(判断・実行)→電動機が回り、運転表示灯が点く(結果の表示)、という一連の流れが、この回路の骨格になる。

なお、押しボタンは既設配線付きで支給される場合がある。前のトピックで扱った欠陥12-3(既設配線の変更・撤去)が直接関係する場面であり、既設配線は外さず活かして電磁開閉器と結ぶ前提で結線を組み立てる。

直列か並列か——2つの検出装置の組み合わせ

No.9は、屋外灯を自動点滅させる課題で、タイムスイッチ「TS」と自動点滅器(A(3A))という2つの検出装置が組み合わされている。

タイムスイッチは時刻で「点ける・消す」を判断し、自動点滅器は明るさで判断する。この2つを直列につなげば、時間帯も暗さもどちらも条件を満たしたときだけ点灯する(AND条件)。並列につなげば、どちらか一方の条件だけで点灯する(OR条件)。

候補問題の図は、この2つの機器をただ並べて描いているだけで、直列か並列かは示されていない。当日の施工条件でどちらかが指定される。回路図を見た瞬間に「これはAND条件かOR条件か」を意識できるかどうかが、結線の正確さを左右する。

第二種にあって、第一種にないもの

リモコンリレーは第二種の学科試験(写真鑑別・配線図)でくり返し出てくる器具だが、令和8年度の第一種候補問題10問の図を確認する限り、いずれにも登場しない。第二種の技能の候補問題13問にも登場しない。学科で覚えた器具の一覧を、そのまま技能の練習リストに持ち込みやすい部分なので、意識して切り分けておく必要がある。

一歩先の使い道

電磁開閉器・押しボタン・表示灯の結線は、工場やビルの動力設備における制御盤の基本構成そのものだ。表示灯を「いつ点くべきか」から考える習慣は、実際の制御盤の点検・修理でも役立つ。

今日試せる行動

身の回りにある家電やポンプの運転表示灯を観察し、それが電源が来ているだけで点くのか、動作中だけ点くのかを見分けてみるといい。役割で見る目が、そのまま結線の判断につながる。

覚える意味

表示灯の結線を間違えることは、単なる見た目の問題ではない。運転中なのか停止中なのかを人が正しく認識できなくなることは、現場の安全にそのまま関わる。

面白さ

同じ「ランプ」という部品が、つなぐ場所によってまったく違う意味を持つと知ると、制御盤の中の小さな豆電球1つにも設計意図が見えてくる。

ワクワクする未来

電磁開閉器・タイムスイッチ・表示灯を組み合わせる力は、工場やビル設備の自動制御という、これから広がっていく現場仕事の土台になる。

冒頭の「赤・白どちらを電源側につなぐか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 表示灯の結線先を『名前』だけで決めさせる

    なぜ引っかかる『運転表示灯』『電源表示灯』という名前から、それぞれ固定の端子があるはずだと思い込みやすい。だが候補問題の図には結線先の指定がなく、どちら側につなぐかは当日の施工条件で確定する。

    見破り方表示灯の名前を見たら、まず『いつ点くべきランプか』を自問する。電源表示灯は開閉器を入れる前から点く位置、運転表示灯は入れたときだけ点く位置——役割の意味からその都度結線を決める。

  2. 2つの検出装置が並んでいるのを見て、直列か並列かを『たぶんこう』で決めさせる

    なぜ引っかかるタイムスイッチと自動点滅器のような組み合わせは、直列なら両方の条件が揃ったときだけ点灯するAND回路、並列ならどちらか一方で点灯するOR回路になる。図には2つの機器が並んで描かれているだけで、どちらの構成かは読み取れない。

    見破り方検出装置が2つ以上並ぶ回路では、直列・並列の指定を施工条件で必ず確認してから結線する。憶測で直列と決めつけない。

  3. 第一種にもリモコンリレーが出るはずだと思わせる

    なぜ引っかかる第二種の学科試験でリモコンリレーを何度も見ているため、上位資格である第一種の技能でも当然出ると連想しやすい。だが公表されている第一種の候補問題10問の図を見る限り、リモコンリレーは登場しない。第二種の技能の候補問題13問にも登場しない。

    見破り方第二種で学んだ器具の一覧をそのまま第一種に持ち込まず、第一種の候補問題10問に実際に描かれている器具だけを対象に練習する。

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 候補問題の注3で『MSは電磁開閉器を示す』と定義されている。No.8はMS+押しボタン(B)+運転表示灯(R)+三相誘導電動機の制御回路
  2. No.5は開閉器『S』(3P15A)と赤ランプ(運転表示灯)・白ランプ(電源表示灯)、No.6は開閉器『S』と運転表示灯『R』・電流計『A』、No.9はタイムスイッチ『TS』と自動点滅器(A(3A))、No.10はVCB補助接点と赤・緑ランプの組み合わせ
  3. 表示灯をどちら側(電源側/負荷側、a接点/b接点)につなぐかは、候補問題の図には特記がなく、当日の施工条件で確定する
  4. タイムスイッチと自動点滅器を直列につなぐか並列につなぐかで、屋外灯の点灯条件はAND(両方の条件が揃ったときだけ点灯)にもOR(どちらか一方で点灯)にもなる。図は2つの機器を並べて描いているだけで、直列・並列の別は当日の施工条件で確定する
  5. リモコンリレーは第二種の学科試験(写真鑑別・配線図)で問われる器具で、技能試験の候補問題には第二種13問・第一種10問のいずれにも登場しない(公表資料の図で確認済み)
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