第一種の作品には6 600Vという電圧表記が必ず入る。候補問題No.7は、その中でも高圧受電設備をもっとも色濃く感じさせる問題だ——VCB(真空遮断器)、CT(変流器)、過電流継電器、電流計。
では、60分の作業のうち、受験者が実際に「高圧部分」を施工している時間は、作品のどこからどこまでか。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、この問題で本当に手を動かす範囲がどこなのかが分かるようになっている。
まず前提を確認しておく。ここでは配線図そのものは載せない。試験センターが公表している候補問題のPDFを手元に開き、No.7の図を見ながら読み進めてほしい。
図から読み取るもの
No.7の配線図に描かれているのは、次の要素だ。
- 電源:3φ3W 6 600V(施工省略)
- VCB(真空遮断器・施工省略)
- CT×2(変流器)
- 変圧器(単相・一次側)
- 過電流継電器「I>」×2(施工省略)
- 電流計「A」(施工省略)
- アウトレットボックス
CT二次側のED接地、変圧器二次側(負荷へ・施工省略)とEB接地を含む。この問題は10問の中で、高圧側の結線が描かれている範囲が最も広い。
「広く見えて、狭い」——施工省略の範囲を見極める
CT二次側のED接地と、変圧器のEB接地
CT(変流器)の二次側にはD種接地(ED)が求められる。一方、変圧器二次側にはB種接地(EB)が求められる。どちらも「接地」だが、対象も電線の太さも異なる。前の候補No.6で扱ったとおり、B種接地は5.5mm2、D種接地は1.6mmという違いが実際の支給材料に表れる。No.7はCTのED接地と変圧器のEB接地の両方が登場するため、10問の中でもこの2種類の接地を同時に扱う機会が多い問題だと言える。
なぜCTの二次側を接地するのか
CTは、一次側に流れる大きな電流を、計器や継電器が扱いやすい小さな電流に変換する機器だ。もし二次側の回路が開放(断線)した状態で一次側に電流が流れ続けると、CTの二次側には異常に高い電圧が発生し、感電や機器の焼損につながる恐れがある。ED接地は、この万一の異常時に電位を逃がすための備えであり、CTを扱う回路では欠かせない要素になる。図の中でED接地が破線表記になっているのも、実際の危険性を反映した設計だと理解できる。
複線図を起こす順序
- 施工省略の範囲を洗い出す — 電源〜VCB、過電流継電器、電流計という、図の大部分を占める施工省略部分を先にマークする
- CT・変圧器の端子台まわりを確認する — 実際に結線が必要な範囲を絞り込む
- CT二次側から継電器・電流計への配線を追う — 低圧の計器回路として、高圧の主回路とは別に扱う
- 接地線を種類ごとに結線する — EDとEBを混同しない
踏みやすい欠陥項目
- 8-3イ・ロ — 端子台の高圧側(20mm以上)・低圧側(5mm以上)の露出基準を混同すると該当
- 3.誤接続,誤結線のもの — 施工省略の境界を誤り、省略すべき部分に結線してしまうと該当
一歩先の使い道
CT・VTを含む計器回路の結線は、実際の受変電設備の点検・更新工事でそのまま使う知識だ。高圧機器そのものに触れなくても、端子台まわりの結線精度が設備全体の信頼性を左右する。保護継電器が正しく動作するかどうかは、CTからの信号が正確に届いているかにかかっており、その最初の一歩が端子台への確実な結線になる。
今日試せる行動
キュービクルの写真や図解を見る機会があれば、変流器(CT)がどこに配置され、二次側がどこへつながっているかを探してみるといい。「測る」ための回路がどう組まれているかが見えてくる。
覚える意味
高圧機器本体を施工省略にしているのは、危険性への配慮でもある。実際の高圧作業は資格・経験を積んだ上で行うものであり、技能試験ではその手前の低圧側の結線精度を問う設計になっている。試験という限られた環境の中でも、安全に配慮した出題の作り方そのものから、現場での役割分担の考え方を読み取ることができる。
面白さ
「高圧の試験」という響きの大きさに対して、実際に手を動かす範囲が思いのほか小さいと分かると、試験の設計そのものへの見方が変わる。
ワクワクする未来
CT・VTまわりの結線力は、これから更新期を迎える多くのキュービクル設備の現場で求められ続ける技能になる。
冒頭の「実際に高圧部分を施工している時間はどこからどこまでか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。