在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 24時間受付 / 電話は平日 9:00〜17:00 03-3833-6431
電力 ・ 10 / 16

保護継電器と遮断器の協調

読み終えると、こうなる

キュービクルや制御盤の保護協調図(整定値の一覧)を見たとき、なぜその動作時間・遮断容量が選ばれているのかを、選択遮断の考え方から読み解けるようになる

  • 継電器と遮断器の役割の違いを、検出と遮断という機能で説明できる
  • 保護協調(選択遮断)で、限時継電器の反限時特性を利用して下位の保護装置を上位より先に動作させる設計にする理由と、その動作順序を説明でき、限時特性図とタイムレバー位置から整定すべきタップ電流や動作時間を計算できる。あわせて反限時特性・定限時特性・瞬時特性・反限時定限時特性という限時特性の種類を、動作時間と電流の関係の違いから区別できる
  • 遮断器を選定する際に確認すべき2つの定格(定格電流・定格遮断電流)を挙げ、それぞれ何と比較すべきかを言える。あわせて、消弧能力を持たず負荷電流の遮断ができない断路器と遮断器の役割の違い、両者を操作する正しい順序、誤操作防止のインタロックの役割、そして真空遮断器(VCB)が小形軽量・長寿命・多頻度開閉に強い一方で開閉サージ・動作音に留意が必要という特有の性質も説明できる
  • 継電器が電流・電圧を検出できる仕組み(計器用変成器CT・PT)と、変流器の二次側を開放してはならない理由を説明できる
考えてみよう

キュービクルの中で短絡事故が起きたとき、なぜ事故を起こした分岐回路のブレーカーだけが落ちて、 ビル全体、あるいは電力会社の配電用変電所までもが一緒に停電しないのか。

保護のための装置は、系統のあちこちに何段にも設置されている。それなのに、事故が起きた 「その場所」だけをピンポイントで切り離せるのはなぜなのか。

このトピックを読み終えるころには、キュービクルや制御盤の保護協調図(整定値の一覧)を見て、 なぜその動作時間・遮断容量が選ばれているのかを、選択遮断の考え方から読み解けるようになっている。

種明かしは、系統に並んだ複数の保護装置が、わざと動作するタイミングに階段状の差をつけている ことにある。この仕組みを保護協調(協調保護)と呼ぶ。

継電器と遮断器 — 頭脳と筋肉の役割分担

保護システムは、性格の異なる2つの機器が組んで成り立っている。

継電器(リレー) は、電流や電圧を常時監視し、異常(過電流・地絡など)を検出したときに 「切れ」という指令(トリップ信号)を出す装置だ。過電流を検出する過電流継電器(OCR)、 地絡事故を検出する地絡継電器(GR)や地絡方向継電器(DGR)などがある。継電器自身は、 電流を物理的に遮断する能力を持たない。あくまで判断を下す「頭脳」の役割だ。

遮断器(ブレーカー) は、継電器からの指令を受けて、実際に大電流を安全に断ち切る機器だ。 高圧受電設備の真空遮断器(VCB)や、低圧の配線用遮断器(MCCB)などがこれにあたる。 遮断器自身は「切るべきかどうか」を自分で判断せず、指令を受けて実行する「筋肉」の役割だ。

「継電器が切る」「遮断器が判断する」と覚えてしまうと本末転倒になる。迷ったら、 「検知して命令するのが継電器、命令を受けて実行するのが遮断器」という役割の順番で 思い出すとよい。指令を出す側と、力を出す側は別の機器だ。

保護協調(選択遮断)— 事故に一番近い装置だけを、先に動かす

系統には、電源側(上位)から末端の分岐回路(下位)まで、何段もの継電器・遮断器が直列に 配置されている。事故が起きたとき、もし電源側から末端まですべての保護装置が同時に動作したら、 事故と無関係な区間まで巻き込んで大規模停電になってしまう。

そこで保護協調は、事故点に一番近い下位の保護装置が最初に動作し、事故区間だけを切り離す よう設計する。上位の保護装置は、下位が正常に動作すれば出番がない。下位が万一動作しなかった 場合にだけ動く「バックアップ」として、あえて遅く動作するように整定されている。これを選択遮断 と呼ぶ。

この動作順序を実現する鍵が、限時継電器が持つ反限時特性——流れる電流が大きいほど動作時間が 短くなる特性——と、上位・下位の間に意図的に設ける動作時間の差(協調のための余裕)だ。

例で考える

下位のOCRが0.2秒で動作し、下位の遮断器が指令を受けてから0.1秒で実際に電流を遮断するとすれば、 下位側で事故が除去されるまでの合計時間は0.3秒になる。上位のOCRは、この0.3秒より確実に遅く 動作するよう、たとえば0.6秒といった余裕を持たせた時間に整定する。こうすることで、下位が 正常に動作した事故では上位はまったく動作せず、下位が万一動作しなかった場合にだけ、 少し遅れて上位が事故を除去する保険として働く。

「なぜ上位を早く動作させないのか」と直感的に迷ったら、選択遮断の目的(停電範囲の最小化) に立ち返るとよい。上位が先に動くと、事故と無関係な広い範囲まで一緒に停電してしまう。 下位が先、上位は後(バックアップ)という順序でなければ、選択遮断そのものが成立しない。

遮断器の選定 — 「流せる電流」と「遮断できる電流」は別物

遮断器には、性格の異なる2つの定格がある。

  • 定格電流:通常運転時に連続して流せる電流の大きさ
  • 定格遮断電流(遮断容量):短絡事故のような異常時に、安全に遮断できる電流の大きさ

遮断器を選定するときは、負荷電流に対して定格電流が十分であることに加えて、その系統で 想定される最大の短絡電流に対して、定格遮断電流が上回っていることを、必ず両方確認する 必要がある。定格電流だけを見て「流せるから大丈夫」と判断すると、通常運転では問題がなくても、 いざ短絡事故が起きたときに遮断しきれず、遮断器自体が破損する重大事故につながりかねない。

真空遮断器(VCB)の特徴 — 小形・長寿命だが、開閉サージには注意

高圧受電設備の遮断器として広く使われる真空遮断器(VCB)には、他の消弧方式の遮断器には ない特有の性質がある。

真空遮断器は、高真空状態に保った容器(バルブ)の中で接点を開閉し、真空が持つ優れた絶縁 耐力を利用してアークを消弧する。SF6ガスや油といった消弧媒体を使わないため、ガス漏れや 油の劣化・保守といった負担がなく、小形・軽量で電極の寿命が長く、保守も容易という利点が ある。開閉時の機械的な消耗が少ないため、比較的多頻度の開閉動作にも適している。

一方で、真空遮断器には注意すべき点もある。真空中でのアーク遮断は電流を急激に断ち切る 性質があるため、他の方式に比べて開閉サージ(開閉操作にともなって発生する過渡的な 高電圧)が高くなることが懸念される場合がある。このような場合には、避雷器などを用いて、 真空遮断器に接続される機器(変圧器やモーターなど)を保護することがある。また、動作時の (開閉音)は、空気を使って消弧する空気遮断器に比べて大きい傾向がある。

真空遮断器の長所(小形軽量・長寿命・多頻度開閉に強い)と短所(開閉サージが高くなりうる・ 動作音が大きい)は、どちらも「真空中でアークを急激に断ち切る」という同じ動作原理から 生まれている。長所だけを覚えると比較問題で選択肢を誤りやすいので、開閉サージ対策として 避雷器と組み合わせることがある、という点までセットで押さえておく。

断路器 — 「切る」ではなく「切り離す」ための機器

遮断器と並んで受変電設備でよく見かける機器に断路器(DS: Disconnecting Switch)がある。 遮断器と似た外見で回路を開閉するが、役割はまったく違う。

断路器は消弧装置を持たない。つまりアークを安全に消す能力がなく、負荷電流のような電流が 流れている状態のまま開くと、接触子間にアークが飛び続けて焼損や短絡事故を引き起こす危険がある。 断路器の目的は電流を「遮断する」ことではなく、機器の点検・修理の際に、電源側から回路を 確実に切り離す(縁を切る)ことにある。

この性質から、断路器と遮断器を組み合わせて使う回路には、決まった操作順序がある。

  • 回路を開放するとき:先に遮断器で負荷電流・故障電流を遮断し、回路が無負荷になったことを 確認してから、断路器を開く。
  • 回路を投入するとき:逆に、先に無負荷の断路器を投入し、そのあとで遮断器を投入する。

この順序を誤り、電流が流れたまま断路器を開いてしまうと、接触子間にアークが発生して重大事故に つながる。この誤操作を防ぐため、遮断器が投入(入)状態のままでは断路器を操作できないように するインタロック装置が、受変電設備には一般に組み込まれている。

断路器と遮断器の違いは「切り離すため」か「遮断するため」かで区別すると覚えやすい。断路器は 点検のために電源から縁を切る係、遮断器は事故電流を実際に断ち切る係——役割が違うからこそ、 操作する順序も決まっている。「遮断器が先に切って、断路器が後から開く」「投入は逆に断路器が 先」という順序をセットで覚えておくと、操作手順を問う設問で迷わない。

継電器の目 — 計器用変成器(CT・PT)と、変流器の二次開放が危険な理由

継電器は電流・電圧の異常を検出する「頭脳」だと説明したが、継電器自身は高圧・大電流の 系統をそのまま直接測ることができない。そこで系統と継電器の間に計器用変成器を挟み、 大電流・高電圧を継電器が扱いやすい小さな値(例:電流5A、電圧110V級)に変換している。 電流を変換するのが変流器(CT)、電圧を変換するのが計器用変圧器(PT)だ。

このCTには、実務上とても重要な鉄則がある。一次電流(負荷電流)が流れている状態で、 二次側を絶対に開放してはならない。変圧器の二次側を開放した場合は単に電流が流れなく なるだけだが、CTは一次電流によって磁束が強制的に作られる機器のため、二次側を開放すると 一次電流のほぼ全てが励磁電流としてコアに流れ込み、二次側に絶縁を破壊しかねない異常高電圧が 発生する。点検などで二次側の負荷(電流計や継電器)を一時的に外す必要があるときは、 必ず先に二次側を短絡してから作業するのが鉄則だ。

「変圧器の二次開放=ただ電流が流れなくなるだけ」という感覚をCTにそのまま持ち込むと、 二次開放の危険性を見落とす。CTは二次側を開放した瞬間に危険側へ振れる機器だと覚え、 作業前には必ず二次側を短絡する、という手順とセットで理解しておく。

限時特性図とタイムレバー位置 — OCRの動作時間を自分で計算する

保護協調の節で見た「反限時特性」——電流が大きいほど動作時間が短くなる特性——を、実際に 数値として扱えるようにしたのが限時特性図だ。カタログや教材に載る限時特性図は、 多くの場合タイムレバー位置10(最大) における基準の特性として描かれている。実務では このタイムレバー位置を、必要な動作時間に合わせて10より小さい値に整定して使う。

タイムレバー位置を変えると、同じ電流倍数(タップ整定電流の何倍の電流が流れているか)に 対する動作時間全体が伸び縮みする。多くの機種では、同じ電流倍数における動作時間は、 タイムレバー位置にほぼ比例するという関係が成り立つ。つまり、基準特性(位置10)での 動作時間がわかれば、実際に整定したタイムレバー位置での動作時間は、次の比率で換算できる。

実際の動作時間基準特性(位置10)の動作時間×整定したタイムレバー位置10\text{実際の動作時間} \approx \text{基準特性(位置10)の動作時間} \times \frac{\text{整定したタイムレバー位置}}{10}
限時特性図を見るときにまず確認すべきは「これは何番のタイムレバー位置における特性か」だ。 図に描かれた時間の数値を、実際に整定されている位置での動作時間だと思い込んで、そのまま 答えに使ってしまうミスが起きやすい。図の基準位置と、実際の整定位置が違えば、必ず上の比率で 換算し直す。なお、この比例関係はあくまで多くの機種に共通する目安であり、実際の特性曲線は メーカー・型式ごとに細部が異なるため、実務では必ずカタログの限時特性図そのものを確認する。

例題

事故電流750Aが流れる系統で、OCRを0.18秒で動作させたい。このOCRのタイムレバー位置は3に 整定されており、タイムレバー位置10における限時特性は、電流倍数5倍のとき動作時間0.60秒 だったとする。

タイムレバー位置3での動作時間は、基準特性の値に(3/10)を掛けた値になるはずなので、

0.60×310=0.180.60 \times \frac{3}{10} = 0.18\text{秒}

これは目標の動作時間とちょうど一致する。つまり、電流倍数5倍のときに整定どおりの動作時間が 得られることになるので、整定すべきタップ電流は、事故電流をこの倍数5で割って求める。

タップ電流=750A5=150A\text{タップ電流} = \frac{750\text{A}}{5} = 150\text{A}

限時特性の種類 — 反限時だけではない4つの動作パターン

ここまで見てきた反限時特性(電流が大きいほど動作時間が短くなる特性)は、限時継電器の 代表的な動作パターンだが、実際にはこれ以外にも複数の種類がある。動作時間曲線の形の違いで 整理すると覚えやすい。

  • 反限時特性:電流が大きいほど動作時間が短くなる。動作時間曲線は右肩下がりの曲線になる。
  • 定限時特性:整定した電流値を超えれば、その後の電流の大きさに関わらず動作時間がほぼ 一定になる。動作時間曲線は電流軸に対してほぼ水平な直線として現れる。
  • 瞬時特性:整定値を超えたら、電流の大きさに関わらずほとんど遅れなく動作する。動作時間 曲線は横軸(0秒)に近い位置にほぼ張り付く。
  • 反限時定限時特性:反限時特性と定限時特性を組み合わせた性質を持つ。低い電流域では 反限時特性のように電流が大きいほど動作時間が短くなるが、電流がある程度大きくなると 動作時間の減少が頭打ちになり、大電流域ではほぼ一定の時間に近づく。
4つの特性を丸暗記するより、「動作時間曲線がどんな形をしているか」をイメージして区別する 方が忘れにくい。反限時特性は右肩下がりの曲線、定限時特性は水平な直線、瞬時特性は ほぼ0秒に張り付いた線、反限時定限時特性は「低電流域は右肩下がり、大電流域は水平に近づく」 という2段構えの曲線——という形の違いをセットで思い出すとよい。

保護協調の設計では、上位・下位の保護装置にどの特性を組み合わせるかによって、事故の種類や 系統の構成に応じた最適な動作順序を作り込む。たとえば、上位側には大電流の重大事故を 確実に早く止めたい区間に瞬時特性を組み合わせる、といった使い分けが実務では行われている。

受電設備では、CTと計器用変圧器を一体化したVCT(計器用変成器)が使われることも多く、 電力量計と組み合わせて電力会社との取引用電力量を計量する役割を担う。また、高圧受電設備の 主開閉器としてよく使われる高圧交流負荷開閉器(LBS)は、負荷電流や変圧器の励磁電流など 定格電流以下の電流を開閉する機器で、遮断器(CB)のように短絡電流のような大きな異常電流を 安全に遮断する能力(遮断容量)は持たない。「開閉できる=遮断もできる」と考えず、LBSは 通常時の開閉専用、短絡事故の遮断は上位のCB(または限流ヒューズとの組み合わせ)が担う、 という役割分担で理解しておく必要がある。

電材商社として保護継電器や遮断器を選定・提案する場面では、単体の定格を満たしているかだけ でなく、上位・下位の整定値が階段として噛み合っているか——つまり協調が取れているか—— までを確認できることが、波及事故を防ぐうえでの実務上の生命線になる。

冒頭の「なぜ事故区間だけが止まるのか」の答え合わせは、理解度チェックの最後の問題で してみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 継電器の役割と遮断器の役割を混同し、「継電器が電流を遮断する」と考えてしまう

    なぜ引っかかる両方とも保護システムの一部として連携して動くため、どちらが検出し、どちらが遮断するのかを取り違えやすい。

    見破り方継電器(リレー)は電流・電圧を検知してトリップ指令を出す「頭脳」、遮断器(ブレーカー)はその指令を受けて実際に電流を切る「筋肉」——という役割分担を固定して覚える。

  2. 保護協調で「上位ほど早く動作させるべき」と、順序を逆に考えてしまう

    なぜ引っかかる事故から一番近い保護装置(下位)が先に動いて被害範囲を最小化するのが選択遮断の目的だが、上位のほうが“格上”だから先に動くはずという直感で逆に覚えてしまう。

    見破り方「事故点に一番近い遮断器から順番に、時間差をつけて動作する」という選択遮断の目的(停電範囲の最小化)に立ち返れば、下位が先・上位は後(バックアップ)という順序が自然に導ける。

  3. 遮断器の選定で、定格電流(通常時に流せる電流)だけを見て、定格遮断電流(短絡電流を遮断できる能力)の確認を怠る

    なぜ引っかかる通常運転時の負荷電流に対する余裕にばかり目が行き、事故時にしか問題にならない遮断容量の確認が後回しになりやすい。

    見破り方遮断器を選ぶときは「定格電流 ≥ 負荷電流」と「定格遮断電流 ≥ 系統の想定短絡電流」の2つの不等式を、必ず両方確認する。

  4. 断路器を、遮断器と同じように負荷電流や短絡電流を遮断できる機器だと誤解する

    なぜ引っかかるどちらも「回路を開閉する機器」という共通点があり、名前も似ているため、断路器にも遮断器と同じ消弧能力があると思い込みやすい。

    見破り方断路器は消弧装置を持たないため、電流が流れている状態で開くとアークが消えずに接触子が焼損する。回路を開放するときは必ず先に遮断器で電流を切り、無負荷になってから断路器を開く、という操作順序をセットで覚える。

  5. 真空遮断器(VCB)の短所を見落とし、「長所しかない万能な遮断器」だと誤解する

    なぜ引っかかる小形軽量・長寿命・保守容易という長所が強調して語られやすく、開閉サージ・動作音といった短所が見落とされがちになる。

    見破り方真空遮断器の長所と短所はどちらも『真空中でアークを急激に遮断する』という同じ動作原理から生まれていることを思い出す。急激に遮断できるからこそ小形・高性能になる一方、その急激さが開閉サージという別の課題を生む、という表と裏の関係で理解する。

  6. 変流器(CT)の二次側を、変圧器と同じ感覚で「開放しても電圧が出るだけ」と軽く考えてしまう

    なぜ引っかかる変圧器の二次側開放は単に電流が流れなくなるだけで大きな危険はないが、変流器は一次電流(負荷電流)によって磁束が強制的に作られる機器のため、二次側を開放すると全ての一次電流が励磁電流としてコアに流れ込み、二次側に極めて高い電圧が発生する。この違いを知らずに「開放=安全」と誤解しやすい。

    見破り方変流器は「常に低インピーダンスの負荷(電流計や継電器)を二次側につないでおく機器」だと覚える。点検などで二次側の負荷を外す必要があるときは、必ず先に二次側を短絡してから作業する、という手順とセットで理解しておく。

  7. 限時特性図(タイムレバー位置10の基準特性)に描かれた動作時間の数値を、実際に整定されているタイムレバー位置での動作時間としてそのまま使ってしまう

    なぜ引っかかるカタログや教材に載る限時特性図は、タイムレバー位置10(最大)における基準特性として描かれることが多い。実際に整定されているタイムレバー位置がそれより小さい場合でも、図に描かれた時間の数値をそのまま答えとして使ってしまいやすい。

    見破り方図やカタログ値が「どのタイムレバー位置における特性か」を必ず確認する。実際の整定位置と異なる場合は、動作時間がタイムレバー位置にほぼ比例するという関係を使って、基準特性の値を実際の整定位置の比率(整定位置÷10)で換算してから答える、という手順を毎回踏む。

  8. 限時特性の種類(反限時特性・定限時特性・瞬時特性・反限時定限時特性)を、名前だけで覚えて動作時間曲線の形を取り違える

    なぜ引っかかる「限時」「瞬時」「定限時」といった似た漢字の並ぶ用語が並んでいるため、それぞれが電流と動作時間のどんな関係を表しているのかが曖昧なまま名前だけを暗記してしまいやすい。

    見破り方動作時間曲線の形をイメージして区別する。反限時特性は電流が増えるほど右肩下がりに動作時間が短くなる曲線、定限時特性は電流の大きさによらず動作時間が一定の水平線、瞬時特性は整定値を超えたらほぼゼロ秒で動作する(曲線がほぼ0秒に張り付く)、反限時定限時特性は低電流域では反限時特性のように下がり大電流域では水平に近づく、という4種類の曲線の形をセットで思い出す。

参考文献・出典

理解度チェック(15問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、15問で確認しよう。 内訳は基本7問・応用3問・ひっかけ5問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 15 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 継電器(リレー)は事故を検出して指令を出す「頭脳」、遮断器(ブレーカー)は指令を受けて実際に電流を遮断する「筋肉」。役割が違う
  2. 保護協調(選択遮断)は、事故点に一番近い下位の保護装置が先に動作し、上位はバックアップとして待機する仕組み。停電範囲を事故区間だけに絞る
  3. 限時継電器の反限時特性は、電流が大きいほど動作時間が短くなる。上位・下位の動作時間に意図的な差(協調のための余裕)を設けて、動作順序を制御する
  4. 遮断器には「定格電流」(通常時に流せる電流)と「定格遮断電流=遮断容量」(短絡事故時に安全に遮断できる電流)の2つの定格があり、両方の条件を満たす必要がある
  5. 真空遮断器(VCB)は高真空バルブ内で接点を開閉し、真空の絶縁耐力でアークを消弧する。SF6ガスや油を使わないため小形軽量・長寿命・保守容易で多頻度開閉にも適する一方、真空中でアークを急激に遮断する性質上、開閉サージが高くなることが懸念される場合があり、動作音も空気遮断器より大きい傾向がある
  6. 断路器(DS)は消弧装置を持たず、負荷電流や短絡電流を遮断する能力がない。回路の点検・修理の際に電源から機器を確実に切り離す(縁を切る)目的で使う機器で、電流が流れている状態のまま開閉してはならない。回路を開放するときは必ず先に遮断器で電流を遮断し、無負荷になった断路器をそのあとで開放する。この順序を誤ると接触子間にアークが発生し、焼損や短絡事故につながるため、遮断器が投入状態のままでは断路器を操作できないインタロック装置が一般に設けられている
  7. 継電器が高圧・大電流の系統を直接監視できないため、間に計器用変成器(変流器CT・計器用変圧器PT)を挟み、扱いやすい小さな電流・電圧に変換して継電器に入力している。特に変流器(CT)は、一次電流が流れている状態で二次側を絶対に開放してはならない——開放すると二次側に異常高電圧が発生し、絶縁破壊や感電の危険がある
  8. 限時継電器(OCR)の反限時特性図は、タイムレバー位置10(最大)のときの基準特性として示されることが多い。多くの機種では、同じ電流倍数における動作時間はタイムレバー位置にほぼ比例して短縮されるため、基準特性の値を実際の整定位置の比率で換算すれば、任意のタイムレバー位置での動作時間や、目標動作時間を満たすタップ整定電流を計算で求められる(具体的な特性曲線は機種ごとに異なるため、実務では必ずメーカーの限時特性図を確認する)
  9. 受電設備でよく使われるVCT(計器用変成器)は変流器と計器用変圧器を一体化した機器で、電力量計と組み合わせて取引用電力量を計量する。高圧交流負荷開閉器(LBS)は負荷電流までの開閉に使う機器で、短絡電流を遮断する能力(遮断容量)は遮断器(CB)ほど持たない点に注意する
  10. 限時継電器の動作特性には、電流が大きいほど動作時間が短くなる反限時特性のほかにも種類がある。定限時特性は整定電流を超えれば電流の大きさに関わらず一定の時間で動作する特性、瞬時特性は整定値を超えたらほとんど遅れなく動作する特性、反限時定限時特性は低電流域では反限時特性のように電流が大きいほど動作時間が短くなるが、電流がある程度大きくなると動作時間の減少が頭打ちになりほぼ一定の時間に収束する、反限時特性と定限時特性を組み合わせた特性である
Xでシェア
打ち合わせを予約 見積依頼