巨大なキュービクルがトレーラーで現場に到着した日、実際に高圧ケーブルをつなぐのは電気工事士だ。幹線の太さを計算するのも、照明が正しく点灯するかを最終的に見極めるのも、電気の知識さえあれば同じ人がまとめてできそうに見える。
だとしたら、なぜこの現場には「施工管理技士」という、自分では結線をしない別の役割の人間がわざわざ必要なのか。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、受変電設備・幹線・照明設備という同じ設備を見ていても、電気工事士と施工管理者ではまったく違う視点でその設備を見ていることを説明できるようになっている。
種明かしは単純だ。電気工事士が見ているのは「その電線・機器が正しく結線されているか」という施工そのものであるのに対し、施工管理者が見ているのは「その工事が、決められた工程・基準・安全の枠の中で計画どおり進んでいるか」という進め方だ。同じ設備を前にしていても、見ている対象がそもそも違う。
受変電設備(キュービクル)の搬入・設置計画
キュービクルは軽いものでも数百kg、大型になれば数トンに達する重量物だ。これを現場に運び込み、所定の位置に据え付けるまでには、電気工事とは別の管理項目が並ぶ。
基礎工事 ― 「打設したその日」に搬入できない理由
キュービクルは、あらかじめ用意した基礎の上にクレーンで据え付ける。基礎工事は次の順序で進む。
- 掘削
- 配筋・型枠の設置
- コンクリート打設
- 養生(強度発現を待つ期間)
- 強度確認
搬入計画 ― 重量・経路・クレーンの3点を事前に確認する
基礎の準備と並行して、施工管理者はキュービクル本体の搬入計画を立てる。確認する項目は、大きく3つに整理できる。
- 重量・寸法:キュービクルの総重量と外形寸法を、製作図・仕様書で事前に把握する
- 搬入経路:現場までの道路幅、電線類の地上高(架空線と接触しないか)、搬送車両が敷地に進入・旋回できるスペースがあるかを実地で確認する
- クレーンの能力:据付位置までの作業半径において、そのクレーンの吊り能力がキュービクルの重量を上回っているか
据付後は、水平・垂直の調整、アンカーボルトによる固定を行い、そこから先の高圧ケーブルの結線・接続は電気工事士の作業になる。施工管理者がここで果たす役割は「結線する」ことではなく、「据付までの各段階が、決められた条件(強度・経路・能力)を満たして進んでいるかを確認し、工程を組む」ことにある。
幹線サイズを決めるとき、施工管理者は何を確認するか
幹線の太さそのものを計算する作業は、電気工事士や設計者が電技解釈・内線規程の基準にもとづいて行う。施工管理者が幹線設計そのものを一から計算することは、通常の役割ではない。
では施工管理者は何を見ているのか。大きく2つの視点がある。
① 電圧降下が基準の範囲に収まっているか
内線規程は、幹線・分岐回路の電圧降下について、標準電圧の2%以下とするのを原則としつつ、電気使用場所内の変圧器(構内変圧器)から供給する場合の幹線については、この基準を緩和できるとしている。こう長が長くなる現場では、この緩和の有無が設計に影響してくる。
② 将来の増設を見込んだ余裕があるか
現在の負荷に対してぎりぎりのサイズで幹線を決めてしまうと、将来設備を増設したときに幹線から引き直す大工事になりかねない。施工管理者は、設計段階の負荷計算が「今の負荷」だけを見たものか、将来の増設分を見込んだものかを確認し、必要であれば設計者・発注者と将来計画をすり合わせる調整役になる。
加えて、幹線を通す電線管やケーブルラックのルートが、空調ダクトや給排水配管など他業種の設備と干渉しないかという取り合い調整も、施工管理者が工程会議で確認する実務上のポイントだ。幹線のサイズという「数字」の裏側には、こうした複数の確認事項が積み重なっている。
照明設備の検査・試験項目
照明設備の工事が終わったら、竣工検査で「設計どおりに機能しているか」を確認する。代表的な項目は3つある。
- 絶縁抵抗測定:照明器具を連続点灯させ、各部の温度がほぼ一定になった状態で測定する。冷えた状態と温度が上がった状態とでは絶縁抵抗の値が変わるため、実使用に近い状態で測定するのが基本になる
- 点灯試験:全灯を点灯させ、消灯・点滅がないか、調光機能や制御(タイマー・センサー連動など)が意図どおりに動くかを確認する
- 照度測定:設計で定めた照度が実際に確保されているかを、照度計で測定して確認する
3つの試験に共通するのは、「その場で目視して終わり」ではなく、いつ・どんな条件で・どんな数値だったかを記録として残す点だ。施工管理者は、この記録が竣工図や仕様書の設計値と整合しているかを確認し、品質管理の資料として残す役割を担う。
低圧幹線からの分岐回路 — 過電流遮断器はどこまで離せるか
幹線から分岐して負荷につながる分岐回路にも、過電流遮断器を設ける位置に関するルールがある。電気工事士や設計者が最終判断する内容だが、施工管理者も現場で図面と実際の施工が対応しているかを確認する立場になるため、大枠を知っておく必要がある。
原則は「分岐点から3m以内」に過電流遮断器を施設することだが、次の2つの緩和条件のいずれかを満たせば、3mを超えた位置に設けることもできる。
- 緩和1(距離無制限):分岐幹線の許容電流が、幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上であれば、分岐点からの距離に制限がなくなる
- 緩和2(8m以下):分岐幹線の許容電流が定格電流の35%以上55%未満であれば、分岐点から8m以下の箇所まで施設できる
例題
定格電流200Aの過電流遮断器で保護された幹線から、長さ8mの分岐幹線に過電流遮断器を設ける場合、必要な許容電流の最小値を求める。
電動機分岐回路の特例 — 過電流遮断器は「短絡保護」寄りに大きくできる
ここまでの3m・8m・55%・35%のルールは、照明や一般コンセントも含む分岐回路に共通する原則だった。これに対し、電動機又はこれに類する始動電流が大きい電気機械器具(電技解釈上「電動機等」)のみに至る低圧分岐回路には、別枠の規定がある(電技解釈149条2項2号)。
電動機は始動時に、定格電流の数倍にあたる始動電流が瞬間的に流れる。一般の分岐回路と同じ考え方で過電流遮断器の定格を電線の許容電流以下に抑えてしまうと、始動のたびに遮断器が動作してしまい実用にならない。そこで電動機等のみに至る分岐回路の過電流遮断器は、定格電流を電線の許容電流の2.5倍まで大きくすることが認められている。一方で電線自体の太さ(許容電流)は、その部分を通じて供給される電動機等の定格電流の合計を1.25倍(合計が50Aを超える場合は1.1倍)した値以上を確保しなければならない。
自動火災報知設備 — P型受信機の基礎
自動火災報知設備は、火災の発生を感知器で検知し、受信機に表示して建物内に知らせる設備だ。施工管理技士は自ら結線する立場ではないが、竣工検査や消防検査に向けて、受信機に求められる基本機能を知っておく必要がある。
受信機には、感知器や発信機からの信号を固有の信号(電圧・電流など)で受け取るP型と、信号にアドレス情報を持たせるR型があり、P型はさらに1級・2級に分かれる。P型2級受信機は1級よりも簡易な仕様で、次のような違いがある。
- 火災表示試験装置による試験機能は、1級・2級どちらにも必須
- 導通試験装置による試験機能は、P型1級受信機には必須だが、P型2級受信機では省略できる
- 発信機との間で電話連絡ができる装置も、P型2級受信機では設けなくてよい
- 複数回線を扱うP型受信機には、密閉型蓄電池等による予備電源が必要
機能面だけでなく、接続できる回線数にも級によって上限の違いがある。
- P型1級受信機(多回線用):接続回線数の上限が定められておらず、大規模な建物にも対応できる
- P型2級受信機:接続回線数は5回線以下に限られる
- P型3級受信機:接続回線数は1回線のみ
感知器の種類 — 何を、どんな基準で検知しているか
受信機に信号を送る側の機器が感知器だ。「熱」を検知するタイプと「煙」を検知するタイプがあり、同じ「熱」を検知する感知器でも検知の基準が異なる2種類がある。
- 差動式スポット型:周囲の温度上昇率が一定の率以上になったときに作動する。緩やかな温度上昇(暖房など)では作動せず、火災特有の急激な温度上昇にだけ反応するため、事務室・居室など温度が安定した場所に広く使われる。
- 定温式スポット型:周囲の温度が一定温度に達したときに作動する。温度が日常的に変動する厨房・ボイラー室などに向く。
- 光電式スポット型:内部の発光部から出た光が、侵入した煙の粒子に当たって乱反射する(または分離型では光が遮られる)ことを受光部が検知する。
- イオン化式スポット型:イオン室内の空気をわずかにイオン化しておき、煙が流入するとイオン電流が変化することを検知する。
差動式スポット型感知器は事務室・居室など温度が安定した場所に広く使われる一方、設置に適さない場所もある。厨房・調理室のように急激な温度変化(コンロの熱気など)が日常的に生じる場所では、その変化を火災と誤認し非常誤報(非火災報)を招きやすいため、温度の絶対値で判定する定温式スポット型の方が適する。また、駐車場・車庫のように自動車の排気ガスが滞留しやすい場所、じんあい・粉じんが多量に滞留する場所、著しく煙が滞留する場所は、煙を検知原理とする光電式スポット型などの煙感知器では排気ガス・粉じんを煙と誤検知しやすいため不向きで、こうした場所には熱感知器(差動式分布型・定温式など)が選ばれる。逆に、廊下・階段・エレベーター昇降路など、初期の煙をいち早く捉えて避難経路を確保したい場所には、煙感知器の設置が求められる。
非常ベル — 自動火災報知設備とは別の「知らせる」設備、消防法上は「警報設備」
自動火災報知設備が感知器で自動的に火災を検知する設備であるのに対し、非常ベル(非常警報設備)は、火災に気づいた人が手動で操作し、建物内に音で知らせるための設備だ。消防法上、次の機器で構成される。
- 起動装置:手動操作により音響装置を鳴動させる装置
- 音響装置:起動装置の操作を受けて建物内に警報音を鳴らす装置
- 表示灯:赤色の灯火で、起動装置の近傍に、通行の支障がなく多数の目にふれる位置に設ける
- 非常電源および配線:停電時にも作動を継続できるようにするための電源
消防法上、消防用設備等は大きく「消火設備」「警報設備」「避難設備」などに分類されるが、非常ベルはこの分類上警報設備に属する。警報設備には、非常ベルのほかにも自動式サイレン・放送設備(これら3つをまとめて非常警報設備と呼ぶ)、自動火災報知設備、漏電火災警報器、ガス漏れ火災警報設備などが含まれる。非常ベル・自動式サイレン・放送設備はいずれも「人に火災を知らせる」設備という共通の役割を持ちながら、伝達手段(ベル音・サイレン音・肉声/音声放送)が異なる別々の設備として区別される。
入退室管理設備 — カードリーダー・電気錠・コントローラーの3点セット
オフィスビルや工場のセキュリティ強化を目的に導入される入退室管理設備も、電気工事施工管理技士が電源・配線計画で関わる弱電設備の1つだ。基本的な機器構成は、次の3つに整理できる。
- 認証装置(カードリーダー等):ICカード・生体認証(指紋・顔等)・暗証番号などで、通行しようとする人を識別する機器。
- 電気錠:認証結果を受けてドアの施錠・解錠を電気的に行う機器。停電時にもバッテリーで一定時間動作を継続できるものや、火災時に自動的に解錠する機能を持つものもある。
- 制御装置(コントローラー):認証装置からの信号を受け取り、あらかじめ登録された権限と照合して電気錠の開閉を判定する、システム全体の制御部。複数の扉をまとめて管理できるものもある。
誘導灯 — 避難のための「常時点灯」設備
誘導灯は、火災などで停電や煙が発生しても避難口や避難通路を示せるよう、消防法上設置が義務付けられている設備だ。自動火災報知設備が「異常を知らせる」設備であるのに対し、誘導灯は「逃げる方向を示し続ける」設備という役割の違いがある。消防法上、代表的な基準には次のようなものがある。
- 停電時にも点灯を継続できるよう、非常電源を附置すること
- 通路誘導灯には、音による案内を補助する音声誘導機能を設けることができる
- 誘導灯用の電源の開閉器には、それが誘導灯用のものであることを表示すること(他の照明と間違えて消灯されるのを防ぐため)
- 通路誘導灯は、天井や壁面だけでなく床面に設けることもできる(低い位置に設置することで、煙が充満した際にも視認しやすくする効果がある)
表示面の等級(A級・B級・C級)と非常電源の容量
避難口誘導灯・通路誘導灯は、消防法施行規則第28条の3にもとづき、表示面の縦寸法によって3つの等級に区分される。
| 等級 | 表示面の縦寸法 |
|---|---|
| A級 | 0.4m以上 |
| B級 | 0.2m以上0.4m未満 |
| C級 | 0.1m以上0.2m未満 |
等級が大きいほど表示面が大きく、遠くからでも視認できる有効範囲(歩行距離)が広くなる。天井が高く歩行距離が長い大規模施設ではA級、廊下幅の狭い小規模施設ではC級というように、施設の規模や避難経路の長さに応じて等級を選定する。
非常電源の容量は原則として20分間継続点灯できることが基準だが、避難完了までに時間を要する大規模施設では60分間以上が求められる。具体的には、延べ面積5万m²以上の防火対象物、地階を除く階数15以上かつ延べ面積3万m²以上の防火対象物、延べ面積1,000m²以上の地下街などが対象になる。
点滅機能・音声誘導機能は「すべての誘導灯」には求めない
点滅機能(キセノンランプ等を点滅させる機能)・音声誘導機能(避難口の所在を示す警報音・音声を繰り返す機能)は、誘導灯を目立たせるための便利な追加機能に見えるが、消防法上は一律の義務ではない。視力・聴力の弱い者が避難経路として利用する部分がある防火対象物や、雑踏・照明看板等で誘導灯を識別しにくい不特定多数出入りの防火対象物のうち、自動火災報知設備を設置しているもので、主要な避難口に避難口誘導灯を設置する場合に、原則として点滅機能・音声誘導機能(またはその両方)を備えることが求められる。「目立たせたい設備には自由に付けてよい機能」ではなく、「特定の利用者・特定の建物用途に対して備えるべき機能」という位置づけで理解しておくと、対象範囲を取り違えにくい。
建築設備の予備電源義務 — どの設備に必要で、どの設備に不要か
建築基準法は、火災などの非常時に電源が失われても最低限の機能を維持できるよう、一部の防災設備に予備電源(自家発電設備等)の設置を求めている。代表的な対象は次のとおり。
- 電源を必要とする排煙設備
- 非常用の照明装置
- 非常用エレベーター
これに対して、同じ建物内の縦動線設備であるエスカレーターには、この予備電源設置義務は定められていない。避難や消火活動そのものに直結する設備かどうかが、予備電源義務の有無を分ける一つの目安になる。
非常用の照明装置の構造 — 建設省告示が定める4つの基準
非常用の照明装置は、建築基準法施行令とこれに基づく建設省告示(昭和45年建設省告示第1830号)によって、構造そのものにも細かい基準が定められている。施工管理者が竣工検査で確認すべき代表的な項目は次の4つだ。
- 材料:照明器具(照明カバーその他照明器具に付属するものを含む)のうち主要な部分は、難燃材料で造るか、覆わなければならない。
- 照度:常温下で床面において水平面照度1lx以上を確保できることが原則。ただし、蛍光灯またはLEDランプを光源とする場合は、火災による温度上昇で光度が低下しやすいことを見込んで、2lx以上を確保できるものとしなければならない。
- 予備電源の点灯時間:予備電源は、充電を行うことなく30分間継続して非常用の照明装置を点灯させることができるものとする。
- 切替・復帰:常用の電源が断たれた場合に自動的に予備電源に切り替えられて接続され、常用の電源が復旧した場合には自動的に切り替えられて復帰するものとする。
LEDランプの発光原理と特性 — 発熱の少なさと弱点をセットで知る
非常用照明の光源としても使われるLEDランプは、白熱灯・蛍光灯とは発光の仕組みが根本的に異なる。LEDはエレクトロルミネセンス(電界発光)と呼ばれる原理で発光する。半導体に電圧をかけると、電子と正孔が結合するときに余ったエネルギーがそのまま光として放出される仕組みで、フィラメントを高温にして光らせる白熱灯や、放電で発生する紫外線を蛍光体で可視光に変える蛍光灯とは、熱を経由しない点が大きく異なる。
この発光原理には長所と弱点がある。
- 長所:発光効率が高く、周囲温度の変化による光束の低下が蛍光ランプより小さい。蛍光ランプは放電管内の水銀蒸気圧が周囲温度の影響を受けやすく、低温環境などで光束(明るさ)が大きく落ち込みやすいのに対し、LEDランプは比較的安定した光束を保ちやすい。
- 弱点1(耐圧の低さ):LED素子は耐圧が低く、電圧の変化(サージ・静電気放電など)により破壊されやすい。
- 弱点2(発熱と放熱):発光そのものは熱を経由しないが、素子自体は動作時に発熱するため、フィンを付けるなどの放熱対策をしないと劣化が早まる。
低圧配線・照明の実務ルール — 内線規程・電技解釈の数字を押さえる
ここまでのキュービクル・幹線・照明の話に加えて、施工管理者が現場の図面と施工の対応を確認するうえで押さえておきたい、低圧配線まわりの実務的な数字を整理しておく。
低圧進相コンデンサは「負荷側」に接続する
三相誘導電動機の力率を改善するために取り付ける低圧進相用コンデンサは、内線規程上、手元開閉器よりも負荷側(電動機に近い側)に接続するのが原則だ。電源側に接続してしまうと、電動機を手元開閉器で停止しても、コンデンサだけは系統に接続されたままになってしまう。低力率の電動機に力率改善用として取り付けること、放電抵抗器付のものを使用すること、容量を電動機の無効分より大きくしないことも、あわせて押さえておきたいポイントになる。
手元開閉器の種類 — カバー付ナイフスイッチだけは容量に制限がある
電動機・加熱装置・電力装置の電路には、操作しやすい位置に手元開閉器を施設するのが内線規程の原則だ。手元開閉器として使える機器には、次のような種類がある。
- 箱開閉器:開閉器をボックスに収容したもの。
- 電磁開閉器:電磁接触器とサーマルリレー(熱動継電器)を組み合わせたもの。多頻度の開閉に適し、過負荷保護も兼ねる。
- 配線用遮断器:現在もっとも広く使われる方式。トリップ機能(過電流保護)を除き、電路の開閉だけを行う用途で使われる。
- カバー付ナイフスイッチ:充電部をカバーで覆ったナイフスイッチ。
このうちカバー付ナイフスイッチだけは、原則として電動機の手元開閉器には不向きとされ、対地電圧150V以下・400W以下(定格30A)の小容量の電動機に限って使用が認められる、例外的な位置づけになる。箱開閉器・電磁開閉器・配線用遮断器の3つには、こうした容量の制限はない。
低圧配線の支持点間距離 — 可とう管だけ短い
屋内の低圧配線を造営材に取り付ける際、配線方法によって支持点間の距離の目安が内線規程で示されている。
| 配線方法 | 支持点間の距離(目安) |
|---|---|
| 合成樹脂製可とう電線管(CD管・PF管) | 1m以下 |
| 金属管 | 2m以下 |
| 金属線ぴ | 1.5m以下 |
| ライティングダクト | 2m以下 |
湿気の多い場所で使える配線工事、使えない配線工事
湿気の多い場所・水気のある場所に低圧屋内配線を施設する場合、電気設備の技術基準の解釈は、工事の種類ごとに施設の可否を個別に定めている。ケーブル工事・合成樹脂管工事(CD管を除く)・金属管工事・金属可とう電線管工事(2種)は、必要な防湿措置を施したうえで施設できる。これに対し金属ダクト工事・金属線ぴ工事は、湿気の多い場所には施設できない。
金属線ぴ工事の施設場所 — 使用電圧300V以下・乾燥した場所限定
金属線ぴ工事(電線を金属製の樋状の線ぴに収める工事)には、他の管工事以上に厳しい施設場所の制限がある。電気設備の技術基準の解釈上、金属線ぴ工事を施設できるのは使用電圧300V以下の電路に限られ、場所についても展開した場所、または点検できる隠ぺい場所であって、いずれも乾燥した場所に限定される。湿気の多い場所・水気のある場所には(防湿措置を施しても)施設できず、屋外・屋側にも使えない。
低圧屋側電線路の工事の種類 — 屋内配線よりも選べる工事が少ない
建物の外壁に沿って施設する低圧屋側電線路は、屋内配線以上に雨風にさらされる環境のため、電気設備の技術基準の解釈上、施設できる工事の種類が屋内配線よりも絞り込まれている。低圧屋側電線路に使える代表的な工事は、がいし引き工事・合成樹脂管工事・金属管工事(木造以外の造営物)・バスダクト工事(木造以外の造営物)・ケーブル工事の5種類だ。これに対し、屋内配線では使える金属線ぴ工事・金属ダクト工事は、低圧屋側電線路には使えない。
「使用電圧200V」と「対地電圧200V」は別物 — 単相3線式の対地電圧
一般住宅に広く使われる、中性点を接地した単相3線式100/200Vの配線では、「使用電圧」と「対地電圧」を混同しやすい。
L1-L2間から取り出す200Vの回路を見ると、つい「対地電圧も200Vだ」と考えてしまいがちだが、実際には中性線(N)が接地されているため、L1-N間・L2-N間はそれぞれ対地電圧100Vにしかならない。使用電圧200Vの回路であっても、L1・L2それぞれの電圧線と大地との間の電位差(対地電圧)は、依然として100Vのままだ。
光源色の相関色温度 — 昼光色が最も高い
照明設計・竣工検査で扱う光源色の種類には、JIS(日本産業規格)が定める相関色温度(K、ケルビン)の分類がある。相関色温度が低いほど赤み・暖かみのある光(電球色)になり、高いほど青みのある光(昼光色)になる。代表的な3つの光源色を色温度の高い順に並べると、昼光色・白色・電球色になる。
照明の基礎用語 — 「照度」と「光束発散度」は光の向きが逆
照明設備の仕様書や測定記録には、光束・光度・照度・輝度・光束発散度といった、似た響きの用語が並ぶ。それぞれ何を測っているかを区別しておく。
- 光束〔lm〕:光源が出す放射エネルギーのうち、人の目の感度(視感度)というフィルタを通して「光」として感じられる量。
- 光度〔cd〕:ある方向へ向かう光束の立体角密度。光源がどの方向にどれだけ強く光を発しているかを表す。
- 照度〔lx(=lm/m²)〕:ある面(受光面)に入射する光束を、その面の面積で割った値。「照らされる側」の明るさを表す。
- 光束発散度〔lm/m²〕:発光面・反射面・透過面など、光を発散する面から出ていく光束を、その面の面積で割った値。「光を発する側」の明るさを表す。
- 輝度〔cd/m²〕:光度の面積密度で、その面がどれだけまぶしく(明るく)見えるかを表す。
- 視感度:波長555nmの黄緑色の光を最大感度(1)として、他の波長の光が人の目にどれだけ明るく感じられるかを相対値で表したもの。
- グレア:視野の中に輝度の高いものがあることで生じる、目の不快感や物の見えにくさという視覚の状態。
反射率・透過率・吸収率 — 合計すると必ず1になる
物体に光束が入射すると、その光は必ず反射(跳ね返る)・透過(通り抜ける)・吸収(物体内部で熱などに変わる)のいずれかの形で処理される。それぞれの割合を表すのが反射率・透過率・吸収率で、入射した光束のエネルギーはどこにも消えずにこの3つに配分されるため、次の関係が常に成り立つ。
不透明な物体(透過率)では反射率と吸収率の合計が1になり、透明なガラスのように吸収率がほぼ0とみなせる物体もある、というように、物体の性質によって3つの配分は変わる。
例題
半透明の板ガラスに光束が入射し、反射率0.08、透過率0.85だったときの吸収率を求める。
点光源直下の照度を計算する — 逆二乗の法則
竣工検査で照度計を当てる前に、設計段階では計算で照度を見積もる場面がある。もっとも基本的なパターンが、点光源の直下にある水平面の照度を求める計算だ。光源の光度〔cd〕と、光源から照らされる点までの距離〔m〕が分かれば、次の式で水平面照度〔lx〕を求められる。
光度が大きいほど照度は高くなり、距離が離れるほど照度は急激に低くなる(距離の2乗に反比例する)。距離を2倍にすると照度は1/4に、3倍にすると1/9に落ちる。
例題
光度320cdの点光源の直下4mの位置にある水平面の照度を求める。
一般事務室照明の省エネルギー対策 — 保守率は「大きい」器具を選ぶ
照明の省エネルギー対策として、竣工検査や設計の場面でよく問われる代表的な手法を整理しておく。
- タスク・アンビエント照明方式:作業面(タスク)に必要な照度を局所照明で確保し、周囲(アンビエント)の照度は控えめにする方式。全般照明だけの場合より少ない電力で必要な明るさを確保できる。
- 点滅区分の細分化:照明回路をこまめに分割し、使っていないエリアだけを消灯できるようにする。
- 昼光利用の調光制御:明るさセンサで窓際などの自然光の量を検知し、照明の出力を自動で調整する。
- 保守率の大きい照明器具の選定:保守率とは、照明器具が経年劣化や汚れによってどれだけ暗くなるかを見込んだ係数で、値は1未満(0〜1)になる。保守率の値が大きい(=劣化・汚れによる減光が少ない)器具を選ぶほど、当初の設計照度を余分に高く見積もる必要がなくなり、無駄な電力消費を抑えられる。
道路照明の基礎 — 灯具配列と照明区分
ここまでの照明は事務室・工場など屋内が中心だったが、施工管理者が敷地内の外構工事などで関わる道路照明にも、屋内照明とは別の基礎用語がある。
灯具の配列には、片側配列・千鳥配列・向合せ配列がある。市街地道路や中央分離帯のある道路には千鳥配列が広く使われるが、道路の曲線部では、千鳥配列は路面の輝度分布が不均一になりやすく誘導効果に劣る。曲線部で路面の輝度分布を均一に近づけ、ドライバーに道路の線形を予知させる高い誘導効果を確保するには、道路の線形に沿わせやすい片側配列が適している。
照明区分にも代表的な2つがある。
- 連続照明:原則として一定の間隔で灯具を配置し、道路を連続的に照明する方式。
- 局部照明:交差点・インターチェンジ・横断歩道など、必要な箇所だけを局部的に照明する方式。
連続照明のない横断歩道部では、路面(背景)を明るくして歩行者のシルエットを浮かび上がらせ、ドライバーに視認させるシルエット方式が使われることもある。
キュービクル式高圧受電設備 — PF・S形とCB形の違い
高圧で受電する工場やビルの多くは、変圧器・遮断器などの受電機器一式を金属製の箱に収めたキュービクル式高圧受電設備を使う。JIS C 4620では、公称電圧6.6kV・受電設備容量4000kV・A以下のものがこの規格の対象になる。
キュービクルは、主遮断装置(受電した高圧を最初に開閉・保護する装置)の形式によって、大きく2種類に分かれる。
- PF・S形:主遮断装置に、高圧限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(LBS)を組み合わせたものを使う形式。構造が簡素で価格を抑えやすく、受電設備容量300kV・A以下の比較的小規模な設備で多く採用される。
- CB形:主遮断装置に、事故電流を実際に遮断できる高圧遮断器(CB)を使い、電流の異常を検出する過電流継電器(OCR)等と組み合わせて保護する形式。PF・S形より高精度な保護・選択遮断が可能で、受電設備容量4000kV・A以下の設備まで対応できる。
JIS C 4620は、主遮断装置の形式だけでなく、保護・安全に関わる細かな規定も定めている。
- 使用電圧300Vを超える低圧引出し回路には、原則として地絡遮断装置を設ける。ただし、防災用・保安用電源などの回路は、地絡遮断装置に代えて警報装置とすることができる(停電させると防災上かえって危険なため)。
- PF・S形の主遮断装置の電源側は、短絡接地器具などで容易かつ確実に接地できる構造とする(保守点検時に電源側を接地し、感電・誤通電を防ぐため)。
- CB形は、保守点検時の安全を確保するため、主遮断装置の電源側に断路器を設ける。点検対象(主遮断装置)よりもさらに電源に近い側に断路器を置くことで、点検中に電源側から電気が流れ込むのを防ぐ。
高圧受電設備の構成機器 — ストレスコーンとブッシング
キュービクルの周辺には、遮断器・開閉器のほかにも、それぞれ専用の役割を持つ構成機器がある。
- ストレスコーン:高圧ケーブルの端末部を接続のために処理(段むき)すると、遮へい層を切断した部分に電界が集中し、絶縁破壊や放電のリスクが高まる。ストレスコーンは、この電界の集中を緩和するために取り付ける部材。
- 変圧器のブッシング:変圧器のタンク(外箱)内部にある巻線と、外部の電線とをつなぐ部品。導体とタンクの間を絶縁しながら電気的に接続する役割を持つ。振動を抑える目的の部品ではない。
- 変流器(CT)・電力量計:変流器は計器や保護継電器を動作させるために電流を変換する機器、電力量計(一般送配電事業者が設置するもの)は電力需給用計器用変成器に接続して使用電力量を計量する機器。
高圧受電設備規程の基本用語 — 「区分開閉器」「短絡電流」「地絡電流」
キュービクルの図面や仕様書には、高圧受電設備規程が定める用語がそのまま使われる。代表的なものを整理しておく。
- 区分開閉器:保守点検の際に電路を区分する(切り分ける)ための開閉装置。事故電流を遮断する能力までは求められておらず、あくまで「区切るための開閉器」という位置づけになる。
- 短絡電流:電路の線間が、インピーダンスの少ない状態で接触したことにより、その部分を通じて流れる電流。
- 地絡電流:地絡によって電路の外部に流出し、電路や機器の損傷などの事故を引き起こすおそれのある電流。
高圧交流電磁接触器 — 「多頻度開閉」に特化した機器
キュービクルの中には、遮断器・断路器のほかに高圧交流電磁接触器(VMC等)が使われる場面がある。代表的な用途は、力率改善用の進相コンデンサの投入・遮断だ。進相コンデンサは、自動力率調整装置(APFC)からの信号を受けて日に何度も投入・遮断を繰り返すことがあり、この多頻度開閉に耐える機器が必要になる。
高圧遮断器が数千回程度の開閉で交換時期に近づくのに対し、真空電磁接触器は数万〜数十万回の開閉に耐えられる堅牢性を持つ。ただし電磁接触器はあくまで負荷電流の開閉に特化した機器であり、短絡電流のような大電流を遮断する能力は持たない。短絡事故からの保護は、高圧遮断器やヒューズなど別の機器が受け持つ。
直列リアクトルの目的 — 突入電流と高調波流出を抑える
高圧進相コンデンサに関連してもう1つ、直列リアクトルという機器がある。1998年のJIS改正以降、高圧・特別高圧の進相コンデンサには直列リアクトルを取り付けて使用するのが原則になっているが、その目的は次の2点に限られる。
- 突入電流の抑制:進相コンデンサを回路に投入した瞬間、コンデンサには一時的に定格電流をはるかに超える突入電流が流れ込む。直列リアクトルはこの突入電流を抑制する。
- 高調波流出の抑制:回路を高調波に対して誘導性にすることで、コンデンサに流れ込んだ高調波電流が電源側(系統)へ流出するのを抑える。
ここでよく紛れ込む誤った選択肢が「コンデンサの残留電荷を放電するため」という説明だ。残留電荷を安全に放電する役割は放電抵抗(またはコイル)が担うものであり、直列リアクトルの目的には含まれない。
高調波の発生源 — 電力用コンデンサは発生源ではない
高調波とは、商用周波数(50Hz・60Hz)の整数倍の周波数を持つ、本来の波形には含まれないはずの成分のことだ。高調波は、整流回路を持つインバータやサイリスタなどによる制御を行う電子機器、電源の交直変換を行う機器で発生する。代表的な発生源には、アーク炉(不安定な放電現象を伴う)、整流器・サイクロコンバータ(交流⇔直流の電力変換を行う)などがある。
これに対し電力用コンデンサは、電力変換を行わない受動素子であり、高調波を能動的に発生させる機器ではない。むしろ、系統に存在する高調波と回路の定数によっては共振を起こし、過電流や異常発熱といった悪影響を受けやすい側の機器になる(そのため高圧進相コンデンサには直列リアクトルを組み合わせるのが原則になっている)。
変圧器の過負荷保護方式 — 何を検出する機器で構成されるか
変圧器の過負荷保護は、単一の機器ではなく、検出する対象が異なる複数の機器の組み合わせで成り立っている。
- 過電流継電器(OCR)+変流器(CT):変流器(CT)で変圧器一次側の電流を検出し、過電流継電器(OCR)が整定値を超えた電流を検出して遮断器に動作指令を出す。過負荷から短絡まで、電気的な異常を電流値として捉える保護方式。
- サーマルリレー(熱動継電器):バイメタルが電流による発熱で湾曲する仕組みを利用し、過負荷・拘束・欠相を検出する保護機器。ただしこれは主に電動機など負荷側を焼損から守るための機器であり、変圧器本体の保護を主目的とするものではない。大容量の回路では、CTを介して電流を検出する構成をとることもある。
- 警報接点付温度計:油入変圧器の油温上昇そのものを直接検出する機器。75kV・A以上の油入変圧器には標準付属品として温度計が備わり、規定の油温(周囲温度30℃+温度上昇限度60Kを目安に90℃前後で設定されることが多い)を超えると警報接点が動作する。電流ではなく、温度という物理量を直接測る点が他の2方式と異なる。
この3つはいずれも「変圧器またはその周辺の異常を検出して、警報や遮断につなげる」という共通点を持つ。
構内情報通信網(LAN)の機器とイーサネット規格
弱電設備の一つとして、施工管理者はLAN配線の竣工検査にも関わる。LANを構成する機器には、それぞれ役割の違いがある。
- ルータ:ネットワーク上を流れるデータをIPアドレスによって他のネットワークへ中継する機器
- モデム:デジタル信号とアナログ信号を相互に変換する機器
- リピータハブ:受信した信号を増幅・整形してすべてのポートへ中継する機器
- メディアコンバータ:光ファイバとメタルケーブルなど、異なる伝送媒体の間で信号形式を変換する機器
配線材料を選ぶ際に関わるのが、イーサネットの規格ごとの伝送媒体の違いだ。10BASE5(同軸ケーブル)・100BASE-TX・1000BASE-T(いずれもメタルのより対線ケーブル)に対し、100BASE-FXは伝送媒体に光ファイバケーブルを使う規格になる。
テレビ共同受信設備 — 分配器・分岐器・混合器・分波器の違い
弱電設備にはLANのほかに、テレビ共同受信設備(アンテナで受信した地上デジタル放送・BS/CS放送の電波を、建物内の各住戸・各室へ配る設備)もある。これを構成する機器も、名前が似ているぶん役割を混同しやすい。
- 分配器:入力信号を2つ以上の出力へ均等に分配する機器。各出力の電波レベルはそろう。
- 分岐器:分配器と似ているが、出力ごとにレベル差をつけて信号の一部を取り出す機器。メイン出力(そのまま素通り)と分岐出力(一部を分けて取り出す)でレベルが異なる。
- 混合器:地上デジタル放送とBS/CS放送のように、異なる周波数帯域の信号を1本の同軸ケーブルにまとめる機器。
- 分波器:混合された異なる周波数帯域の信号を、それぞれの周波数帯域ごとに選別して取り出す機器。混合器を逆向きに使うと分波器としても使える、表裏一体の関係にある。
テレビ共同受信設備の損失計算 — 末端まで信号がどれだけ弱まるか
分配器・分岐器・直列ユニットの名前と役割を覚えたら、次はそれぞれの機器で信号がどれだけ弱まる(減衰する)かを積み上げて、末端(テレビ受信機接続端子)までの総合損失を求める計算に進む。総合損失を構成する要素は次の4つだ。
- 同軸ケーブル自体の損失:ケーブルの長さ〔m〕×1mあたりの損失〔dB/m〕
- 分配器・分岐器を通過する損失:分配器なら分配損失、分岐器ならメイン側の通過損失
- 経由する直列ユニットの挿入損失:信号がそのまま通過していくだけの、末端より手前にある直列ユニット1個あたりの損失。経由する個数分だけ積み上げる
- 末端の直列ユニットの結合損失:末端でテレビ受信機側へ信号の一部を分けて取り出す際に生じる損失。最後の1回だけ加える
例題
増幅器出口から末端Bまでの同軸ケーブルの長さが15m(損失0.2dB/m)、分配器の分配損失が4.0dB、末端Bまでに経由する中間の直列ユニットが2個(挿入損失1個あたり1.5dB)、末端Bの直列ユニットの結合損失が10.0dBのときの総合損失を求める。
事務所の照度基準 — JIS Z9110の維持照度
照明計画では、光束法による平均照度の計算(電気の基礎理論の関連トピックを参照)とは別に、「そもそも各室でどれだけの明るさが必要か」という目標値を先に押さえておく必要がある。この目標値を定めているのがJIS Z9110(照明基準総則)で、室の用途ごとに維持照度(器具の経年劣化を見込んでも下回ってはならない下限値)の推奨値が示されている。
- 事務室:750lx(長時間の書類作業・パソコン作業を想定)
- 応接室・会議室:500lx(来客対応や資料確認が中心)
- 更衣室:200lx(着替えが主目的で、細かい作業は行わない)
過電流遮断器を施設してはならない箇所 — 保護装置を付けない方が安全な電路
これまで見てきた分岐幹線への過電流遮断器の設置位置ルール(3m・8m・35%・55%)とは別に、電気設備技術基準の解釈には、そもそも過電流遮断器を施設してはならない箇所を定めた規定もある。
- 接地線
- 多線式電路の中性線
- 電路の一部に接地工事を施した低圧電線路の接地側電線
これらの電線に共通するのは、いずれも地絡電流や漏れ電流を大地へ逃がすための経路になっているという点だ。ここに過電流遮断器を施設し、万一誤って作動(遮断)してしまうと、地絡電流の逃げ道が断たれ、感電や火災の危険がかえって増してしまう。
コンセントの極配置 — 電圧ごとに形状を変えて誤接続を防ぐ
現場で目にするコンセント・プラグは、電圧・電流が違えば形状も変えられている。これはJIS C 8303で、電圧・電流の組み合わせごとに専用の刃受け形状(極配置)が定められているためだ。
単相100V用のコンセントが2本の平行な刃受けで構成されるのに対し、単相200V(15A/20A共用)用のコンセントは、100V用とは明確に異なるT字形の刃受けに接地極を加えた専用の形状になっている。
開放形高圧受電設備とキュービクル式の比較 — 長所が入れ替わる場面がある
これまで見てきたキュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)の内部構造の話とは別に、そもそも「開放形」と「キュービクル式」のどちらを選ぶか、という比較の視点も押さえておきたい。
- 設置面積:キュービクル式は金属箱にすべての機器を収めるため、開放形より小さい面積で設置できる。
- 据付作業量:キュービクル式は工場で事前に組み立てた製品を現地で据え付けるだけで済むため、現地での作業量を削減できる。
- 感電の危険性:キュービクル式は接地した金属箱内に充電部・機器が収納されるため、露出した機器に触れるリスクが少なく感電の危険性が低い。
- 変圧器の増設・更新のしやすさ:ここは逆転する。開放形は機器が露出しており、周囲にスペースさえあれば個別の機器交換・追加が比較的容易。キュービクル式は箱の中に機器を収めている都合上、増設用の予備スペースや搬入経路があらかじめ確保されていないと、変圧器の増設・大型機器の更新にかえって大きなコストと時間がかかりやすい。
地区音響装置 — 音圧と設置距離の基準
自動火災報知設備が火災を検知したあと、建物内にいる人へ警報を鳴らして知らせるのが地区音響装置(ベル・音声装置等)の役割だ。消防法上、次のような技術基準が定められている。
- 公称音圧:音響により警報を発する装置(ベル等)は90dB以上、音声により警報を発する装置は92dB以上。
- 設置距離:各階ごとに、その階の各部分から一の地区音響装置までの水平距離が25m以下となるように設ける。
- 配線:十分な電流容量を有し、かつ的確に接続されていること。
JIS配線用図記号 — 発電機(G)と電動機(M)の区別
配線用図記号(JIS C 0303)の中には、丸(円)の中にアルファベット1文字を入れるという共通の形式を持つ記号がいくつもある。中でも発電機と電動機は、どちらも「回転して電気エネルギーと機械エネルギーを変換する機器」という点で混同しやすいうえ、図記号も丸の中の文字が1つ違うだけなので、現場の設計図やこの資格の試験でも取り違えやすい組み合わせだ。
- 電動機:丸の中にM。必要に応じて電気方式・電圧・容量を傍記する。
- 発電機:丸の中にG。必要に応じて電気方式・電圧・容量に加え、原動機(エンジンやタービンなど)の種類・出力も傍記する。
- 小形変圧器:丸の中にT。ベル変圧器はB、リモコン変圧器はR、ネオン変圧器はNというように、さらに細かい傍記文字で種類を区別する。
「誰が何を確認しているか」を切り分けられるようになる
この整理が頭に入ると、現場で施工管理者が何をしているのかが見えてくる。キュービクルの搬入日には、クレーンのオペレーターでも電気工事士でもなく、養生期間や搬入経路が計画どおりか確認している人がいる。幹線の設計図を前にしたときも、太さの計算式そのものより先に、電圧降下の基準と将来の増設余地を気にしている人がいる。照明の点灯試験の日には、光がついたかどうかだけでなく、測定した記録がきちんと残っているかを見ている人がいる。
その人が施工管理者だ。電気工事士が「結線という点」の正確さを担うのに対し、施工管理者は「工事の始まりから終わりまでの線」が計画・基準どおりに引かれているかを担う。この役割の違いこそが、電気工事士とは別に施工管理技士という国家資格が存在する理由になる。
この資格を取ったあと、現場で何が変わるか
合格した後、最初のキュービクル更新工事で、あなたは搬入日の朝、養生期間の記録と搬入経路の実地確認を、あなた自身の判断で「まだ据え付けてはいけない」と止める側に立つ。基礎の打設から数日しか経っていないのに現場から「もう固まっているから据え付けたい」と急かされたとき、材齢と強度発現の関係を知っているかどうかが、そのプレッシャーに流されず「養生期間はあと何日必要です」と根拠を持って言えるかどうかを分ける。
竣工検査の日には、点灯試験の立ち会いで「電気工事士が全灯点灯を確認して終わり」ではなく、照度測定の記録が光源の安定を待って測定されたものかを確認し、絶縁抵抗測定の数値が竣工図の設計値と整合しているかを品質管理の記録として残す役目を負う。分岐幹線の過電流遮断器の設置位置についても、図面と施工が対応しているかを現場でその場でチェックする——これは電気工事士の仕事ではなく、施工管理者としてあなたが背負う仕事になる。
電材商社にとっても、あなたが施工管理者として現場に入った瞬間から、提案の仕方が変わる。「このケーブルは在庫があります」ではなく、「この幹線サイズなら電圧降下の基準に収まりますか」「この防災設備なら予備電源の要件を満たしますか」という、検査項目を見据えた会話ができる相手として扱われるようになる。
冒頭の「なぜ結線をしない施工管理技士が必要なのか」という問いの答え合わせは、理解度チェックの最後の問題でしてみよう。