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電気工学等 ・ 5 / 8

受変電設備・幹線・照明設備の据付と検査 — 施工管理者は「結線」ではなく「計画と確認」を見る

読み終えると、こうなる

キュービクルの搬入や照明の点灯試験の現場に立ち会ったとき、施工管理者が結線そのものではなく何を確認しているかを言い当てられるようになる

  • キュービクルの搬入計画で、施工管理者が着工前に確認すべき項目(重量・搬入経路・クレーンの能力・基礎の養生期間)を挙げられる
  • 幹線のサイズを電気工事士・設計者が計算した後、施工管理者が確認すべき視点(電圧降下の基準内か、将来の増設余地があるか)を説明できる
  • 照明設備の竣工検査で行う3つの試験(絶縁抵抗測定・点灯試験・照度測定)を、それぞれ何を確認するためのものかで説明できる
  • 分岐幹線に過電流遮断器を設ける位置について、3m・8m・55%・35%という数字の意味を説明できる
考えてみよう

巨大なキュービクルがトレーラーで現場に到着した日、実際に高圧ケーブルをつなぐのは電気工事士だ。幹線の太さを計算するのも、照明が正しく点灯するかを最終的に見極めるのも、電気の知識さえあれば同じ人がまとめてできそうに見える。

だとしたら、なぜこの現場には「施工管理技士」という、自分では結線をしない別の役割の人間がわざわざ必要なのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、受変電設備・幹線・照明設備という同じ設備を見ていても、電気工事士と施工管理者ではまったく違う視点でその設備を見ていることを説明できるようになっている。

種明かしは単純だ。電気工事士が見ているのは「その電線・機器が正しく結線されているか」という施工そのものであるのに対し、施工管理者が見ているのは「その工事が、決められた工程・基準・安全の枠の中で計画どおり進んでいるか」という進め方だ。同じ設備を前にしていても、見ている対象がそもそも違う。

受変電設備(キュービクル)の搬入・設置計画

キュービクルは軽いものでも数百kg、大型になれば数トンに達する重量物だ。これを現場に運び込み、所定の位置に据え付けるまでには、電気工事とは別の管理項目が並ぶ。

基礎工事 ― 「打設したその日」に搬入できない理由

キュービクルは、あらかじめ用意した基礎の上にクレーンで据え付ける。基礎工事は次の順序で進む。

  1. 掘削
  2. 配筋・型枠の設置
  3. コンクリート打設
  4. 養生(強度発現を待つ期間)
  5. 強度確認
コンクリートは打設した直後には、まだ設計どおりの強度が出ていない。この状態で数百kg〜数トンの重量物を乗せると、基礎が沈下したり損傷したりする危険がある。**「基礎ができた」と「基礎に重量物を乗せられる」は同じタイミングではない。** 施工管理者は、養生期間(コンクリートが所定の強度に達するまでの日数)を工程表に必ず織り込み、搬入・据付の日程を前倒ししないよう管理する。

搬入計画 ― 重量・経路・クレーンの3点を事前に確認する

基礎の準備と並行して、施工管理者はキュービクル本体の搬入計画を立てる。確認する項目は、大きく3つに整理できる。

  • 重量・寸法:キュービクルの総重量と外形寸法を、製作図・仕様書で事前に把握する
  • 搬入経路:現場までの道路幅、電線類の地上高(架空線と接触しないか)、搬送車両が敷地に進入・旋回できるスペースがあるかを実地で確認する
  • クレーンの能力:据付位置までの作業半径において、そのクレーンの吊り能力がキュービクルの重量を上回っているか
キュービクル搬入・設置計画の流れ(施工管理者の確認点) 基礎工事:掘削→配筋・型枠→打設 養生(強度発現を待つ)→強度確認 搬入経路の確認(道路幅・架空線・旋回スペース) クレーンによる据付・アンカー固定 配線接続(電気工事士による結線作業) 施工管理者は各段階の「工程・条件」を確認し、 最後の結線作業そのものは電気工事士が行う 基礎の養生期間・搬入経路・クレーン能力の確認は施工管理者の役割。実際の結線作業は電気工事士が行う(自作の概念図)

据付後は、水平・垂直の調整、アンカーボルトによる固定を行い、そこから先の高圧ケーブルの結線・接続は電気工事士の作業になる。施工管理者がここで果たす役割は「結線する」ことではなく、「据付までの各段階が、決められた条件(強度・経路・能力)を満たして進んでいるかを確認し、工程を組む」ことにある。

幹線サイズを決めるとき、施工管理者は何を確認するか

幹線の太さそのものを計算する作業は、電気工事士や設計者が電技解釈・内線規程の基準にもとづいて行う。施工管理者が幹線設計そのものを一から計算することは、通常の役割ではない。

では施工管理者は何を見ているのか。大きく2つの視点がある。

① 電圧降下が基準の範囲に収まっているか

内線規程は、幹線・分岐回路の電圧降下について、標準電圧の2%以下とするのを原則としつつ、電気使用場所内の変圧器(構内変圧器)から供給する場合の幹線については、この基準を緩和できるとしている。こう長が長くなる現場では、この緩和の有無が設計に影響してくる。

電圧降下の基準は「2%以下」という1つの数字だけで覚えると、こう長が長い現場や構内変圧器から供給する現場で判断を誤りやすい。**「標準電圧の2%以下が原則。ただし供給方式によって緩和される場合がある」という構造**で理解しておくと、計算値が2%をわずかに超えていた場合にも、即座に「設計ミス」と決めつけず、「どの基準が適用される計画なのか」を設計者に確認するという、施工管理者らしい対応につながる。

② 将来の増設を見込んだ余裕があるか

現在の負荷に対してぎりぎりのサイズで幹線を決めてしまうと、将来設備を増設したときに幹線から引き直す大工事になりかねない。施工管理者は、設計段階の負荷計算が「今の負荷」だけを見たものか、将来の増設分を見込んだものかを確認し、必要であれば設計者・発注者と将来計画をすり合わせる調整役になる。

加えて、幹線を通す電線管やケーブルラックのルートが、空調ダクトや給排水配管など他業種の設備と干渉しないかという取り合い調整も、施工管理者が工程会議で確認する実務上のポイントだ。幹線のサイズという「数字」の裏側には、こうした複数の確認事項が積み重なっている。

照明設備の検査・試験項目

照明設備の工事が終わったら、竣工検査で「設計どおりに機能しているか」を確認する。代表的な項目は3つある。

  • 絶縁抵抗測定:照明器具を連続点灯させ、各部の温度がほぼ一定になった状態で測定する。冷えた状態と温度が上がった状態とでは絶縁抵抗の値が変わるため、実使用に近い状態で測定するのが基本になる
  • 点灯試験:全灯を点灯させ、消灯・点滅がないか、調光機能や制御(タイマー・センサー連動など)が意図どおりに動くかを確認する
  • 照度測定:設計で定めた照度が実際に確保されているかを、照度計で測定して確認する
照度測定は、スイッチを入れた瞬間の値をそのまま使ってはいけない。JIS C 7612(照度測定方法)は、光源が安定するまで待ってから測定するという手順を示している。**光源には「点けてから本来の明るさに落ち着くまでの時間」がある**という前提を知らないと、点灯直後の不安定な値を竣工検査の記録として残してしまう。

3つの試験に共通するのは、「その場で目視して終わり」ではなく、いつ・どんな条件で・どんな数値だったかを記録として残す点だ。施工管理者は、この記録が竣工図や仕様書の設計値と整合しているかを確認し、品質管理の資料として残す役割を担う。

低圧幹線からの分岐回路 — 過電流遮断器はどこまで離せるか

幹線から分岐して負荷につながる分岐回路にも、過電流遮断器を設ける位置に関するルールがある。電気工事士や設計者が最終判断する内容だが、施工管理者も現場で図面と実際の施工が対応しているかを確認する立場になるため、大枠を知っておく必要がある。

原則は「分岐点から3m以内」に過電流遮断器を施設することだが、次の2つの緩和条件のいずれかを満たせば、3mを超えた位置に設けることもできる。

  • 緩和1(距離無制限):分岐幹線の許容電流が、幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上であれば、分岐点からの距離に制限がなくなる
  • 緩和2(8m以下):分岐幹線の許容電流が定格電流の35%以上55%未満であれば、分岐点から8m以下の箇所まで施設できる

例題

定格電流200Aの過電流遮断器で保護された幹線から、長さ8mの分岐幹線に過電流遮断器を設ける場合、必要な許容電流の最小値を求める。

200A×0.35=70A200\text{A} \times 0.35 = 70\text{A}
「3m・8m・55%・35%」という数字は、距離が長くなるほど、それに見合うだけの太さ(許容電流)を分岐幹線に持たせなければならない、という考え方に基づく。分岐幹線が細いまま長く延ばすと、その区間で短絡事故が起きたときに幹線側の遮断器では守り切れないおそれがあるため、距離に応じた許容電流の下限が設けられている。

電動機分岐回路の特例 — 過電流遮断器は「短絡保護」寄りに大きくできる

ここまでの3m・8m・55%・35%のルールは、照明や一般コンセントも含む分岐回路に共通する原則だった。これに対し、電動機又はこれに類する始動電流が大きい電気機械器具(電技解釈上「電動機等」)のみに至る低圧分岐回路には、別枠の規定がある(電技解釈149条2項2号)。

電動機は始動時に、定格電流の数倍にあたる始動電流が瞬間的に流れる。一般の分岐回路と同じ考え方で過電流遮断器の定格を電線の許容電流以下に抑えてしまうと、始動のたびに遮断器が動作してしまい実用にならない。そこで電動機等のみに至る分岐回路の過電流遮断器は、定格電流を電線の許容電流の2.5倍まで大きくすることが認められている。一方で電線自体の太さ(許容電流)は、その部分を通じて供給される電動機等の定格電流の合計を1.25倍(合計が50Aを超える場合は1.1倍)した値以上を確保しなければならない。

一般の分岐回路では「過電流遮断器の定格電流は電線を保護できる値に収める」のが原則だが、電動機分岐回路ではこの原則をそのまま当てはめると、始動電流のたびに遮断器が動作してしまう。そこで遮断器の定格は電線の許容電流の2.5倍まで緩められ、遮断器の役割は実質的に**短絡のような大電流を検出して遮断すること**に重心が移る。日常的な過負荷から電動機自体を守る役割は、遮断器ではなく電動機側の過負荷保護装置(サーマルリレー等)が別に受け持つ、という役割分担で理解しておく。

自動火災報知設備 — P型受信機の基礎

自動火災報知設備は、火災の発生を感知器で検知し、受信機に表示して建物内に知らせる設備だ。施工管理技士は自ら結線する立場ではないが、竣工検査や消防検査に向けて、受信機に求められる基本機能を知っておく必要がある。

受信機には、感知器や発信機からの信号を固有の信号(電圧・電流など)で受け取るP型と、信号にアドレス情報を持たせるR型があり、P型はさらに1級・2級に分かれる。P型2級受信機は1級よりも簡易な仕様で、次のような違いがある。

  • 火災表示試験装置による試験機能は、1級・2級どちらにも必須
  • 導通試験装置による試験機能は、P型1級受信機には必須だが、P型2級受信機では省略できる
  • 発信機との間で電話連絡ができる装置も、P型2級受信機では設けなくてよい
  • 複数回線を扱うP型受信機には、密閉型蓄電池等による予備電源が必要
「P型」という同じ系統の名前から、1級と2級に同じ機能が必須だと思い込みやすい。2級は1級から一部の機能(導通試験・電話連絡装置など)を省略した簡易版だと押さえておくと、「2級受信機で省略できる機能はどれか」という出題パターンに対応しやすい。

機能面だけでなく、接続できる回線数にも級によって上限の違いがある。

  • P型1級受信機(多回線用):接続回線数の上限が定められておらず、大規模な建物にも対応できる
  • P型2級受信機:接続回線数は5回線以下に限られる
  • P型3級受信機:接続回線数は1回線のみ
回線数が多い(=警戒区域が多い)大規模な建物ほど、より上位の級の受信機が必要になる、という対応関係で覚えておく。P型2級とP型3級はどちらも小規模建物向けだが、上限回線数(5回線以下か、1回線のみか)は異なるため、同じだと思い込まないよう注意する。

感知器の種類 — 何を、どんな基準で検知しているか

受信機に信号を送る側の機器が感知器だ。「熱」を検知するタイプと「煙」を検知するタイプがあり、同じ「熱」を検知する感知器でも検知の基準が異なる2種類がある。

  • 差動式スポット型:周囲の温度上昇率が一定の率以上になったときに作動する。緩やかな温度上昇(暖房など)では作動せず、火災特有の急激な温度上昇にだけ反応するため、事務室・居室など温度が安定した場所に広く使われる。
  • 定温式スポット型:周囲の温度が一定温度に達したときに作動する。温度が日常的に変動する厨房・ボイラー室などに向く。
  • 光電式スポット型:内部の発光部から出た光が、侵入した煙の粒子に当たって乱反射する(または分離型では光が遮られる)ことを受光部が検知する。
  • イオン化式スポット型:イオン室内の空気をわずかにイオン化しておき、煙が流入するとイオン電流が変化することを検知する。
差動式と定温式は、どちらも「熱」を検知するという共通点から、検知基準まで同じだと錯覚しやすい。「差動」は温度の変化の速さ(上昇率)、「定温」は温度の絶対値(一定温度)を見ている、と名前が示す意味から検知基準を区別しておく。

差動式スポット型感知器は事務室・居室など温度が安定した場所に広く使われる一方、設置に適さない場所もある。厨房・調理室のように急激な温度変化(コンロの熱気など)が日常的に生じる場所では、その変化を火災と誤認し非常誤報(非火災報)を招きやすいため、温度の絶対値で判定する定温式スポット型の方が適する。また、駐車場・車庫のように自動車の排気ガスが滞留しやすい場所、じんあい・粉じんが多量に滞留する場所、著しく煙が滞留する場所は、煙を検知原理とする光電式スポット型などの煙感知器では排気ガス・粉じんを煙と誤検知しやすいため不向きで、こうした場所には熱感知器(差動式分布型・定温式など)が選ばれる。逆に、廊下・階段・エレベーター昇降路など、初期の煙をいち早く捉えて避難経路を確保したい場所には、煙感知器の設置が求められる。

感知器の設置場所は「何が日常的にその場所に存在するか」から考える。厨房は温度変化が激しいため定温式向き、駐車場・粉じんの多い場所は排気ガス・粉じんを煙と誤認しやすいため煙感知器が不向きで熱感知器向き、廊下・階段のように煙による避難経路の安全確保が優先される場所は煙感知器向き、と場所の性質と感知器の検知原理を対応づけて覚えておく。

非常ベル — 自動火災報知設備とは別の「知らせる」設備、消防法上は「警報設備」

自動火災報知設備が感知器で自動的に火災を検知する設備であるのに対し、非常ベル(非常警報設備)は、火災に気づいた人が手動で操作し、建物内に音で知らせるための設備だ。消防法上、次の機器で構成される。

  • 起動装置:手動操作により音響装置を鳴動させる装置
  • 音響装置:起動装置の操作を受けて建物内に警報音を鳴らす装置
  • 表示灯:赤色の灯火で、起動装置の近傍に、通行の支障がなく多数の目にふれる位置に設ける
  • 非常電源および配線:停電時にも作動を継続できるようにするための電源

消防法上、消防用設備等は大きく「消火設備」「警報設備」「避難設備」などに分類されるが、非常ベルはこの分類上警報設備に属する。警報設備には、非常ベルのほかにも自動式サイレン・放送設備(これら3つをまとめて非常警報設備と呼ぶ)、自動火災報知設備、漏電火災警報器、ガス漏れ火災警報設備などが含まれる。非常ベル・自動式サイレン・放送設備はいずれも「人に火災を知らせる」設備という共通の役割を持ちながら、伝達手段(ベル音・サイレン音・肉声/音声放送)が異なる別々の設備として区別される。

自動火災報知設備と非常ベルは、どちらも「火災を知らせる」設備という共通点があるため混同しやすいが、自動火災報知設備は感知器による自動検知、非常ベルは人による手動起動という、検知の主体が違う別の設備だと区別しておく。非常ベルにも自動火災報知設備と同じく非常電源の設置が必要な点は共通する。また、両方とも消防法上の「警報設備」という同じグループに属する設備であり、「消火設備」(スプリンクラー等)とは分類そのものが異なる点もあわせて押さえておく。

入退室管理設備 — カードリーダー・電気錠・コントローラーの3点セット

オフィスビルや工場のセキュリティ強化を目的に導入される入退室管理設備も、電気工事施工管理技士が電源・配線計画で関わる弱電設備の1つだ。基本的な機器構成は、次の3つに整理できる。

  • 認証装置(カードリーダー等):ICカード・生体認証(指紋・顔等)・暗証番号などで、通行しようとする人を識別する機器。
  • 電気錠:認証結果を受けてドアの施錠・解錠を電気的に行う機器。停電時にもバッテリーで一定時間動作を継続できるものや、火災時に自動的に解錠する機能を持つものもある。
  • 制御装置(コントローラー):認証装置からの信号を受け取り、あらかじめ登録された権限と照合して電気錠の開閉を判定する、システム全体の制御部。複数の扉をまとめて管理できるものもある。
入退室管理設備は「認証装置(誰かを確認する)→コントローラー(通してよいか判断する)→電気錠(実際にドアを動かす)」という一連の流れで機器を対応づけて覚えると理解しやすい。自動火災報知設備の「感知器→受信機→音響装置」という流れと同じく、検知(認証)・判断(制御)・動作(施錠/解錠)の3段階に分かれる弱電設備だという点で共通している。

誘導灯 — 避難のための「常時点灯」設備

誘導灯は、火災などで停電や煙が発生しても避難口や避難通路を示せるよう、消防法上設置が義務付けられている設備だ。自動火災報知設備が「異常を知らせる」設備であるのに対し、誘導灯は「逃げる方向を示し続ける」設備という役割の違いがある。消防法上、代表的な基準には次のようなものがある。

  • 停電時にも点灯を継続できるよう、非常電源を附置すること
  • 通路誘導灯には、音による案内を補助する音声誘導機能を設けることができる
  • 誘導灯用の電源の開閉器には、それが誘導灯用のものであることを表示すること(他の照明と間違えて消灯されるのを防ぐため)
  • 通路誘導灯は、天井や壁面だけでなく床面に設けることもできる(低い位置に設置することで、煙が充満した際にも視認しやすくする効果がある)
誘導灯は「常時点灯していて当たり前」に見えるが、その常時点灯を停電時にも支えているのが非常電源であり、電源の開閉器に表示を義務付けているのも、清掃や改修工事の際に誤って誘導灯の電源を落とされないようにするためだ。「なぜこの基準があるのか」を避難行動の実効性から考えると、丸暗記に頼らずに済む。

表示面の等級(A級・B級・C級)と非常電源の容量

避難口誘導灯・通路誘導灯は、消防法施行規則第28条の3にもとづき、表示面の縦寸法によって3つの等級に区分される。

等級表示面の縦寸法
A級0.4m以上
B級0.2m以上0.4m未満
C級0.1m以上0.2m未満

等級が大きいほど表示面が大きく、遠くからでも視認できる有効範囲(歩行距離)が広くなる。天井が高く歩行距離が長い大規模施設ではA級、廊下幅の狭い小規模施設ではC級というように、施設の規模や避難経路の長さに応じて等級を選定する。

非常電源の容量は原則として20分間継続点灯できることが基準だが、避難完了までに時間を要する大規模施設では60分間以上が求められる。具体的には、延べ面積5万m²以上の防火対象物、地階を除く階数15以上かつ延べ面積3万m²以上の防火対象物、延べ面積1,000m²以上の地下街などが対象になる。

点滅機能・音声誘導機能は「すべての誘導灯」には求めない

点滅機能(キセノンランプ等を点滅させる機能)・音声誘導機能(避難口の所在を示す警報音・音声を繰り返す機能)は、誘導灯を目立たせるための便利な追加機能に見えるが、消防法上は一律の義務ではない。視力・聴力の弱い者が避難経路として利用する部分がある防火対象物や、雑踏・照明看板等で誘導灯を識別しにくい不特定多数出入りの防火対象物のうち、自動火災報知設備を設置しているもので、主要な避難口に避難口誘導灯を設置する場合に、原則として点滅機能・音声誘導機能(またはその両方)を備えることが求められる。「目立たせたい設備には自由に付けてよい機能」ではなく、「特定の利用者・特定の建物用途に対して備えるべき機能」という位置づけで理解しておくと、対象範囲を取り違えにくい。

建築設備の予備電源義務 — どの設備に必要で、どの設備に不要か

建築基準法は、火災などの非常時に電源が失われても最低限の機能を維持できるよう、一部の防災設備に予備電源(自家発電設備等)の設置を求めている。代表的な対象は次のとおり。

  • 電源を必要とする排煙設備
  • 非常用の照明装置
  • 非常用エレベーター

これに対して、同じ建物内の縦動線設備であるエスカレーターには、この予備電源設置義務は定められていない。避難や消火活動そのものに直結する設備かどうかが、予備電源義務の有無を分ける一つの目安になる。

「縦に人や物を運ぶ設備」という共通点だけで、非常用エレベーターとエスカレーターを同列に扱わないこと。非常用エレベーターは消防隊の活動動線として法令上重要な位置づけを持つのに対し、エスカレーターにはその位置づけがなく、予備電源義務も課されていない。

非常用の照明装置の構造 — 建設省告示が定める4つの基準

非常用の照明装置は、建築基準法施行令とこれに基づく建設省告示(昭和45年建設省告示第1830号)によって、構造そのものにも細かい基準が定められている。施工管理者が竣工検査で確認すべき代表的な項目は次の4つだ。

  • 材料:照明器具(照明カバーその他照明器具に付属するものを含む)のうち主要な部分は、難燃材料で造るか、覆わなければならない。
  • 照度:常温下で床面において水平面照度1lx以上を確保できることが原則。ただし、蛍光灯またはLEDランプを光源とする場合は、火災による温度上昇で光度が低下しやすいことを見込んで、2lx以上を確保できるものとしなければならない。
  • 予備電源の点灯時間:予備電源は、充電を行うことなく30分間継続して非常用の照明装置を点灯させることができるものとする。
  • 切替・復帰:常用の電源が断たれた場合に自動的に予備電源に切り替えられて接続され、常用の電源が復旧した場合には自動的に切り替えられて復帰するものとする。
「非常用照明の照度は1lx以上」という基準だけを覚えていると、蛍光灯・LEDランプを使う場合の例外(2lx以上)を見落としやすい。白熱灯は1lx、蛍光灯・LEDランプは2lxと、光源の種類によって必要な照度が変わる点をセットで覚えておく。竣工検査で照度計を当てるときも、設置されている光源の種類に応じてどちらの基準を満たすべきかを先に確認する。

LEDランプの発光原理と特性 — 発熱の少なさと弱点をセットで知る

非常用照明の光源としても使われるLEDランプは、白熱灯・蛍光灯とは発光の仕組みが根本的に異なる。LEDはエレクトロルミネセンス(電界発光)と呼ばれる原理で発光する。半導体に電圧をかけると、電子と正孔が結合するときに余ったエネルギーがそのまま光として放出される仕組みで、フィラメントを高温にして光らせる白熱灯や、放電で発生する紫外線を蛍光体で可視光に変える蛍光灯とは、熱を経由しない点が大きく異なる。

この発光原理には長所と弱点がある。

  • 長所:発光効率が高く、周囲温度の変化による光束の低下が蛍光ランプより小さい。蛍光ランプは放電管内の水銀蒸気圧が周囲温度の影響を受けやすく、低温環境などで光束(明るさ)が大きく落ち込みやすいのに対し、LEDランプは比較的安定した光束を保ちやすい。
  • 弱点1(耐圧の低さ):LED素子は耐圧が低く、電圧の変化(サージ・静電気放電など)により破壊されやすい。
  • 弱点2(発熱と放熱):発光そのものは熱を経由しないが、素子自体は動作時に発熱するため、フィンを付けるなどの放熱対策をしないと劣化が早まる。
「LEDは熱に弱い(放熱対策が必要)」という弱点と、「LEDは周囲温度の変化による光束低下が蛍光灯より小さい」という長所は、別の軸の話だと区別しておく。前者は素子自体の発熱・劣化の話、後者は周囲環境の温度変化に対する明るさの安定性の話であり、混同して「LEDは蛍光灯より温度変化の影響を受けやすい」と誤解しないよう注意する。

低圧配線・照明の実務ルール — 内線規程・電技解釈の数字を押さえる

ここまでのキュービクル・幹線・照明の話に加えて、施工管理者が現場の図面と施工の対応を確認するうえで押さえておきたい、低圧配線まわりの実務的な数字を整理しておく。

低圧進相コンデンサは「負荷側」に接続する

三相誘導電動機の力率を改善するために取り付ける低圧進相用コンデンサは、内線規程上、手元開閉器よりも負荷側(電動機に近い側)に接続するのが原則だ。電源側に接続してしまうと、電動機を手元開閉器で停止しても、コンデンサだけは系統に接続されたままになってしまう。低力率の電動機に力率改善用として取り付けること、放電抵抗器付のものを使用すること、容量を電動機の無効分より大きくしないことも、あわせて押さえておきたいポイントになる。

「コンデンサは力率改善設備だから、系統に近い側(電源側)に付けた方が効果が広く及びそうだ」という直感は逆。電動機と一緒に発停できる負荷側への接続が原則だと覚えておく。

手元開閉器の種類 — カバー付ナイフスイッチだけは容量に制限がある

電動機・加熱装置・電力装置の電路には、操作しやすい位置に手元開閉器を施設するのが内線規程の原則だ。手元開閉器として使える機器には、次のような種類がある。

  • 箱開閉器:開閉器をボックスに収容したもの。
  • 電磁開閉器:電磁接触器とサーマルリレー(熱動継電器)を組み合わせたもの。多頻度の開閉に適し、過負荷保護も兼ねる。
  • 配線用遮断器:現在もっとも広く使われる方式。トリップ機能(過電流保護)を除き、電路の開閉だけを行う用途で使われる。
  • カバー付ナイフスイッチ:充電部をカバーで覆ったナイフスイッチ。

このうちカバー付ナイフスイッチだけは、原則として電動機の手元開閉器には不向きとされ、対地電圧150V以下・400W以下(定格30A)の小容量の電動機に限って使用が認められる、例外的な位置づけになる。箱開閉器・電磁開閉器・配線用遮断器の3つには、こうした容量の制限はない。

内線規程が4種類の機器を並列に挙げているため、カバー付ナイフスイッチも他の3つと同じ条件で使えると誤解しやすい。「カバー付ナイフスイッチだけ、対地電圧150V以下・400W以下(定格30A)の小容量機器に限定」という例外を切り分けて覚えておく。対地電圧200Vの三相動力回路など、この条件を超える電動機にはカバー付ナイフスイッチを使えない。

低圧配線の支持点間距離 — 可とう管だけ短い

屋内の低圧配線を造営材に取り付ける際、配線方法によって支持点間の距離の目安が内線規程で示されている。

配線方法支持点間の距離(目安)
合成樹脂製可とう電線管(CD管・PF管)1m以下
金属管2m以下
金属線ぴ1.5m以下
ライティングダクト2m以下
「電線管の支持間隔はだいたい2m」と一律に覚えると、合成樹脂製可とう電線管(CD管・PF管)だけがより短い1m以下という例外を見落としやすい。可とう管は硬質の管より変形しやすいぶん、支持点を密にする必要があると理解しておくと、この数字の違いに納得がいく。

湿気の多い場所で使える配線工事、使えない配線工事

湿気の多い場所・水気のある場所に低圧屋内配線を施設する場合、電気設備の技術基準の解釈は、工事の種類ごとに施設の可否を個別に定めている。ケーブル工事・合成樹脂管工事(CD管を除く)・金属管工事・金属可とう電線管工事(2種)は、必要な防湿措置を施したうえで施設できる。これに対し金属ダクト工事・金属線ぴ工事は、湿気の多い場所には施設できない。

「金属製で不燃性が高いから、湿気の多い場所でも使えるはずだ」という材質からの連想は誤り。施設できる工事は種類ごとに個別に定められており、金属ダクト工事・金属線ぴ工事はその対象から外れている例外だと覚えておく。

金属線ぴ工事の施設場所 — 使用電圧300V以下・乾燥した場所限定

金属線ぴ工事(電線を金属製の樋状の線ぴに収める工事)には、他の管工事以上に厳しい施設場所の制限がある。電気設備の技術基準の解釈上、金属線ぴ工事を施設できるのは使用電圧300V以下の電路に限られ、場所についても展開した場所、または点検できる隠ぺい場所であって、いずれも乾燥した場所に限定される。湿気の多い場所・水気のある場所には(防湿措置を施しても)施設できず、屋外・屋側にも使えない。

金属管工事は防湿措置を施せば湿気の多い場所にも施設できるのに対し、金属線ぴ工事は乾燥した場所限定という、同じ「金属製の管・線ぴ」でも扱いが異なる点に注意する。「金属製だから水気に強そう」という直感ではなく、「線ぴ工事(金属線ぴ・合成樹脂線ぴ)は乾燥した屋内限定、管工事(金属管等)は防湿措置で湿気の多い場所にも対応できる」と、工事の系統ごとに整理しておく。

低圧屋側電線路の工事の種類 — 屋内配線よりも選べる工事が少ない

建物の外壁に沿って施設する低圧屋側電線路は、屋内配線以上に雨風にさらされる環境のため、電気設備の技術基準の解釈上、施設できる工事の種類が屋内配線よりも絞り込まれている。低圧屋側電線路に使える代表的な工事は、がいし引き工事・合成樹脂管工事・金属管工事(木造以外の造営物)・バスダクト工事(木造以外の造営物)・ケーブル工事の5種類だ。これに対し、屋内配線では使える金属線ぴ工事・金属ダクト工事は、低圧屋側電線路には使えない。

低圧屋側電線路で使える工事は「がいし引き・合成樹脂管・金属管・バスダクト・ケーブル」の5つとセットで覚えておく。金属線ぴ工事・金属ダクト工事は屋内配線では使える工事だが、湿気・水気の影響を受けやすい屋側には対象外という点で、前段の「湿気の多い場所で使えない工事」の考え方ともつながっている。金属管工事・バスダクト工事は、木造の造営物では施設できないという条件も付く点に注意する。

「使用電圧200V」と「対地電圧200V」は別物 — 単相3線式の対地電圧

一般住宅に広く使われる、中性点を接地した単相3線式100/200Vの配線では、「使用電圧」と「対地電圧」を混同しやすい。

L1-L2間から取り出す200Vの回路を見ると、つい「対地電圧も200Vだ」と考えてしまいがちだが、実際には中性線(N)が接地されているため、L1-N間・L2-N間はそれぞれ対地電圧100Vにしかならない。使用電圧200Vの回路であっても、L1・L2それぞれの電圧線と大地との間の電位差(対地電圧)は、依然として100Vのままだ。

対地電圧は「感電したときにどれだけの電圧がかかるか」に直結する数値であり、使用電圧とは別の軸で管理される。単相3線式100/200Vでは、使用電圧が100Vでも200Vでも、対地電圧は中性線が接地されている限り常に100V——この関係を知っていると、対地電圧に関する施設制限(コンセントの対地電圧は原則150V以下、など)を現場で正しく当てはめられる。

光源色の相関色温度 — 昼光色が最も高い

照明設計・竣工検査で扱う光源色の種類には、JIS(日本産業規格)が定める相関色温度(K、ケルビン)の分類がある。相関色温度が低いほど赤み・暖かみのある光(電球色)になり、高いほど青みのある光(昼光色)になる。代表的な3つの光源色を色温度の高い順に並べると、昼光色・白色・電球色になる。

オフィスの天井照明でよく使われる「白色」「昼白色」に対し、暖色系の照明でくつろぎ感を出したい店舗や住宅では「電球色」が選ばれやすい。色温度の数字が大きいほど青白く、小さいほど赤みを帯びるという関係を押さえておくと、順序を丸暗記しなくても導ける。

照明の基礎用語 — 「照度」と「光束発散度」は光の向きが逆

照明設備の仕様書や測定記録には、光束・光度・照度・輝度・光束発散度といった、似た響きの用語が並ぶ。それぞれ何を測っているかを区別しておく。

  • 光束〔lm〕:光源が出す放射エネルギーのうち、人の目の感度(視感度)というフィルタを通して「光」として感じられる量。
  • 光度〔cd〕:ある方向へ向かう光束の立体角密度。光源がどの方向にどれだけ強く光を発しているかを表す。
  • 照度〔lx(=lm/m²)〕:ある面(受光面)に入射する光束を、その面の面積で割った値。「照らされる側」の明るさを表す。
  • 光束発散度〔lm/m²〕:発光面・反射面・透過面など、光を発散する面から出ていく光束を、その面の面積で割った値。「光を発する側」の明るさを表す。
  • 輝度〔cd/m²〕:光度の面積密度で、その面がどれだけまぶしく(明るく)見えるかを表す。
  • 視感度:波長555nmの黄緑色の光を最大感度(1)として、他の波長の光が人の目にどれだけ明るく感じられるかを相対値で表したもの。
  • グレア:視野の中に輝度の高いものがあることで生じる、目の不快感や物の見えにくさという視覚の状態。
照度と光束発散度は、単位こそ同じlm/m²でも、光の向きが逆であることを区別しておく。**面が光を「受け取る」場合が照度、面が光を「発散する」場合が光束発散度**——「受光面の単位面積あたりに入射する光束」という説明は照度のものであり、光束発散度の説明として使うと誤りになる。

反射率・透過率・吸収率 — 合計すると必ず1になる

物体に光束が入射すると、その光は必ず反射(跳ね返る)・透過(通り抜ける)・吸収(物体内部で熱などに変わる)のいずれかの形で処理される。それぞれの割合を表すのが反射率ρ\rho・透過率τ\tau・吸収率α\alphaで、入射した光束のエネルギーはどこにも消えずにこの3つに配分されるため、次の関係が常に成り立つ。

ρ+τ+α=1\rho + \tau + \alpha = 1

不透明な物体(透過率τ=0\tau=0)では反射率と吸収率の合計が1になり、透明なガラスのように吸収率α\alphaがほぼ0とみなせる物体もある、というように、物体の性質によって3つの配分は変わる。

例題

半透明の板ガラスに光束が入射し、反射率0.08、透過率0.85だったときの吸収率を求める。

α=1ρτ=10.080.85=0.07\alpha = 1 - \rho - \tau = 1 - 0.08 - 0.85 = 0.07
反射率・透過率・吸収率は、それぞれ別の物理現象として個別に習うため、3つがつながった1つの枠組みだと気づきにくい。「入射した光のエネルギーは、反射・透過・吸収のいずれかに必ず配分される」とイメージしておけば、2つの値が分かれば残り1つはその場で計算できる。

点光源直下の照度を計算する — 逆二乗の法則

竣工検査で照度計を当てる前に、設計段階では計算で照度を見積もる場面がある。もっとも基本的なパターンが、点光源の直下にある水平面の照度を求める計算だ。光源の光度II〔cd〕と、光源から照らされる点までの距離rr〔m〕が分かれば、次の式で水平面照度EE〔lx〕を求められる。

E=Ir2 [lx]E = \frac{I}{r^2}\ [\text{lx}]

光度が大きいほど照度は高くなり、距離が離れるほど照度は急激に低くなる(距離の2乗に反比例する)。距離を2倍にすると照度は1/4に、3倍にすると1/9に落ちる。

例題

光度320cdの点光源の直下4mの位置にある水平面の照度を求める。

E=32042=32016=20 lxE = \frac{320}{4^2} = \frac{320}{16} = 20\ \text{lx}
照度計算でつまずきやすいのは、距離rの2乗を忘れて単純な反比例(E=I/r)で計算してしまうこと。「距離が離れるほど暗くなる」というイメージ自体は合っていても、2乗を忘れると数値が大きくずれる。クーロンの法則(静電力)と同じ「逆二乗の法則」の仲間だと意識しておくと、2乗を忘れにくくなる。

一般事務室照明の省エネルギー対策 — 保守率は「大きい」器具を選ぶ

照明の省エネルギー対策として、竣工検査や設計の場面でよく問われる代表的な手法を整理しておく。

  • タスク・アンビエント照明方式:作業面(タスク)に必要な照度を局所照明で確保し、周囲(アンビエント)の照度は控えめにする方式。全般照明だけの場合より少ない電力で必要な明るさを確保できる。
  • 点滅区分の細分化:照明回路をこまめに分割し、使っていないエリアだけを消灯できるようにする。
  • 昼光利用の調光制御:明るさセンサで窓際などの自然光の量を検知し、照明の出力を自動で調整する。
  • 保守率の大きい照明器具の選定:保守率とは、照明器具が経年劣化や汚れによってどれだけ暗くなるかを見込んだ係数で、値は1未満(0〜1)になる。保守率の値が大きい(=劣化・汚れによる減光が少ない)器具を選ぶほど、当初の設計照度を余分に高く見積もる必要がなくなり、無駄な電力消費を抑えられる。
「保守率は小さい方が良さそうだ」という直感は誤り。保守率が小さい器具は、将来暗くなることを見込んで初期照度を余分に高く設計しなければならず、かえって電力を余分に使うことになる。省エネルギー対策としては、劣化・汚れの影響を受けにくい**保守率の大きい器具**を選ぶのが正しい。

道路照明の基礎 — 灯具配列と照明区分

ここまでの照明は事務室・工場など屋内が中心だったが、施工管理者が敷地内の外構工事などで関わる道路照明にも、屋内照明とは別の基礎用語がある。

灯具の配列には、片側配列・千鳥配列・向合せ配列がある。市街地道路や中央分離帯のある道路には千鳥配列が広く使われるが、道路の曲線部では、千鳥配列は路面の輝度分布が不均一になりやすく誘導効果に劣る。曲線部で路面の輝度分布を均一に近づけ、ドライバーに道路の線形を予知させる高い誘導効果を確保するには、道路の線形に沿わせやすい片側配列が適している。

照明区分にも代表的な2つがある。

  • 連続照明:原則として一定の間隔で灯具を配置し、道路を連続的に照明する方式。
  • 局部照明:交差点・インターチェンジ・横断歩道など、必要な箇所だけを局部的に照明する方式。

連続照明のない横断歩道部では、路面(背景)を明るくして歩行者のシルエットを浮かび上がらせ、ドライバーに視認させるシルエット方式が使われることもある。

「よく使われる配列=どんな道路形状にも適した配列」とは限らない。千鳥配列は市街地の道路には向くが、曲線部の誘導効果では片側配列に劣る、と配列の種類と道路の形状(直線か曲線か)をセットで押さえておく。

キュービクル式高圧受電設備 — PF・S形とCB形の違い

高圧で受電する工場やビルの多くは、変圧器・遮断器などの受電機器一式を金属製の箱に収めたキュービクル式高圧受電設備を使う。JIS C 4620では、公称電圧6.6kV・受電設備容量4000kV・A以下のものがこの規格の対象になる。

キュービクルは、主遮断装置(受電した高圧を最初に開閉・保護する装置)の形式によって、大きく2種類に分かれる。

  • PF・S形:主遮断装置に、高圧限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(LBS)を組み合わせたものを使う形式。構造が簡素で価格を抑えやすく、受電設備容量300kV・A以下の比較的小規模な設備で多く採用される。
  • CB形:主遮断装置に、事故電流を実際に遮断できる高圧遮断器(CB)を使い、電流の異常を検出する過電流継電器(OCR)等と組み合わせて保護する形式。PF・S形より高精度な保護・選択遮断が可能で、受電設備容量4000kV・A以下の設備まで対応できる。
CB形の主遮断装置を「断路器(DS)と過電流継電器の組み合わせ」だと取り違えやすいが、断路器は無負荷状態でしか開閉できず、事故電流を遮断する能力を持たない。CB形の主遮断装置は、実際に電流を遮断できる**遮断器(CB)**と、その遮断器に動作指令を出す**過電流継電器(OCR)**の組み合わせだと区別しておく。容量の目安は「PF・S形=300kV・A以下、CB形=4000kV・A以下」とセットで覚えると、選定の妥当性を検収の場でその場で確認できる。

JIS C 4620は、主遮断装置の形式だけでなく、保護・安全に関わる細かな規定も定めている。

  • 使用電圧300Vを超える低圧引出し回路には、原則として地絡遮断装置を設ける。ただし、防災用・保安用電源などの回路は、地絡遮断装置に代えて警報装置とすることができる(停電させると防災上かえって危険なため)。
  • PF・S形の主遮断装置の電源側は、短絡接地器具などで容易かつ確実に接地できる構造とする(保守点検時に電源側を接地し、感電・誤通電を防ぐため)。
  • CB形は、保守点検時の安全を確保するため、主遮断装置の電源側に断路器を設ける。点検対象(主遮断装置)よりもさらに電源に近い側に断路器を置くことで、点検中に電源側から電気が流れ込むのを防ぐ。
CB形の断路器の位置は、「保守点検時の安全のため」という目的から、つい点検対象に近い負荷側に置くとイメージしやすいが、実際は電源側だと押さえておく。断路器の役割は「電源から切り離すこと」であり、電源に近い側に置いてこそ、点検中に電源側から電気が逆流するのを防げる。

高圧受電設備の構成機器 — ストレスコーンとブッシング

キュービクルの周辺には、遮断器・開閉器のほかにも、それぞれ専用の役割を持つ構成機器がある。

  • ストレスコーン:高圧ケーブルの端末部を接続のために処理(段むき)すると、遮へい層を切断した部分に電界が集中し、絶縁破壊や放電のリスクが高まる。ストレスコーンは、この電界の集中を緩和するために取り付ける部材。
  • 変圧器のブッシング:変圧器のタンク(外箱)内部にある巻線と、外部の電線とをつなぐ部品。導体とタンクの間を絶縁しながら電気的に接続する役割を持つ。振動を抑える目的の部品ではない。
  • 変流器(CT)・電力量計:変流器は計器や保護継電器を動作させるために電流を変換する機器、電力量計(一般送配電事業者が設置するもの)は電力需給用計器用変成器に接続して使用電力量を計量する機器。
変圧器のブッシングは、タンクを貫通して設置される見た目から「機械的な振動対策の部品」だと誤解しやすいが、役割はあくまで「貫通部の絶縁+電気的な接続」の2点に絞られる。振動対策が必要な場合は、防振ゴムや防振基礎など別の対策が使われる、と役割を切り分けておく。

高圧受電設備規程の基本用語 — 「区分開閉器」「短絡電流」「地絡電流」

キュービクルの図面や仕様書には、高圧受電設備規程が定める用語がそのまま使われる。代表的なものを整理しておく。

  • 区分開閉器:保守点検の際に電路を区分する(切り分ける)ための開閉装置。事故電流を遮断する能力までは求められておらず、あくまで「区切るための開閉器」という位置づけになる。
  • 短絡電流:電路の線間が、インピーダンスの少ない状態で接触したことにより、その部分を通じて流れる電流。
  • 地絡電流:地絡によって電路の外部に流出し、電路や機器の損傷などの事故を引き起こすおそれのある電流。
区分開閉器を「事故電流を遮断できる開閉器」だと思い込みやすいが、その役割はあくまで保守点検時に電路を区切ることにある。実際に事故電流を遮断する能力を持つのはCB形の高圧遮断器(CB)であり、区分開閉器とは役割が異なる。短絡電流(線間の接触による電流)と地絡電流(地絡による電路外部への流出電流)も、事故の起き方が違う別の概念として区別しておく。

高圧交流電磁接触器 — 「多頻度開閉」に特化した機器

キュービクルの中には、遮断器・断路器のほかに高圧交流電磁接触器(VMC等)が使われる場面がある。代表的な用途は、力率改善用の進相コンデンサの投入・遮断だ。進相コンデンサは、自動力率調整装置(APFC)からの信号を受けて日に何度も投入・遮断を繰り返すことがあり、この多頻度開閉に耐える機器が必要になる。

高圧遮断器が数千回程度の開閉で交換時期に近づくのに対し、真空電磁接触器は数万〜数十万回の開閉に耐えられる堅牢性を持つ。ただし電磁接触器はあくまで負荷電流の開閉に特化した機器であり、短絡電流のような大電流を遮断する能力は持たない。短絡事故からの保護は、高圧遮断器やヒューズなど別の機器が受け持つ。

「高圧の開閉に使う機器」という共通点から、電磁接触器も遮断器と同じように事故電流を遮断できると誤解しやすい。「多頻度の開閉に強い(電磁接触器)」と「大電流の事故を遮断できる(遮断器)」は別の役割だと区別しておく。

直列リアクトルの目的 — 突入電流と高調波流出を抑える

高圧進相コンデンサに関連してもう1つ、直列リアクトルという機器がある。1998年のJIS改正以降、高圧・特別高圧の進相コンデンサには直列リアクトルを取り付けて使用するのが原則になっているが、その目的は次の2点に限られる。

  • 突入電流の抑制:進相コンデンサを回路に投入した瞬間、コンデンサには一時的に定格電流をはるかに超える突入電流が流れ込む。直列リアクトルはこの突入電流を抑制する。
  • 高調波流出の抑制:回路を高調波に対して誘導性にすることで、コンデンサに流れ込んだ高調波電流が電源側(系統)へ流出するのを抑える。

ここでよく紛れ込む誤った選択肢が「コンデンサの残留電荷を放電するため」という説明だ。残留電荷を安全に放電する役割は放電抵抗(またはコイル)が担うものであり、直列リアクトルの目的には含まれない。

「コンデンサに直列に取り付ける機器」という共通点から、直列リアクトルと放電抵抗の役割を混同しやすい。直列リアクトルの目的は「突入電流の抑制」と「高調波流出の抑制」の2点、コンデンサの残留電荷を放電するのは別部品の放電抵抗(コイル)の役割、と部品ごとに役割を1対1で結び付けて覚えておく。

高調波の発生源 — 電力用コンデンサは発生源ではない

高調波とは、商用周波数(50Hz・60Hz)の整数倍の周波数を持つ、本来の波形には含まれないはずの成分のことだ。高調波は、整流回路を持つインバータやサイリスタなどによる制御を行う電子機器、電源の交直変換を行う機器で発生する。代表的な発生源には、アーク炉(不安定な放電現象を伴う)、整流器・サイクロコンバータ(交流⇔直流の電力変換を行う)などがある。

これに対し電力用コンデンサは、電力変換を行わない受動素子であり、高調波を能動的に発生させる機器ではない。むしろ、系統に存在する高調波と回路の定数によっては共振を起こし、過電流や異常発熱といった悪影響を受けやすい側の機器になる(そのため高圧進相コンデンサには直列リアクトルを組み合わせるのが原則になっている)。

「電気機器」という共通点だけで選択肢を見ると、電力用コンデンサも高調波発生源のグループに含めてしまいやすい。高調波は整流・交直変換など電力変換を行う機器で発生するものであり、電力変換を行わない電力用コンデンサは発生源ではなく、むしろ高調波の影響を受けやすい側だと区別しておく。

変圧器の過負荷保護方式 — 何を検出する機器で構成されるか

変圧器の過負荷保護は、単一の機器ではなく、検出する対象が異なる複数の機器の組み合わせで成り立っている。

  • 過電流継電器(OCR)+変流器(CT):変流器(CT)で変圧器一次側の電流を検出し、過電流継電器(OCR)が整定値を超えた電流を検出して遮断器に動作指令を出す。過負荷から短絡まで、電気的な異常を電流値として捉える保護方式。
  • サーマルリレー(熱動継電器):バイメタルが電流による発熱で湾曲する仕組みを利用し、過負荷・拘束・欠相を検出する保護機器。ただしこれは主に電動機など負荷側を焼損から守るための機器であり、変圧器本体の保護を主目的とするものではない。大容量の回路では、CTを介して電流を検出する構成をとることもある。
  • 警報接点付温度計:油入変圧器の油温上昇そのものを直接検出する機器。75kV・A以上の油入変圧器には標準付属品として温度計が備わり、規定の油温(周囲温度30℃+温度上昇限度60Kを目安に90℃前後で設定されることが多い)を超えると警報接点が動作する。電流ではなく、温度という物理量を直接測る点が他の2方式と異なる。

この3つはいずれも「変圧器またはその周辺の異常を検出して、警報や遮断につなげる」という共通点を持つ。

ここで紛れ込みやすい誤った選択肢が「直列リアクトル」だ。直列リアクトルは高圧進相コンデンサに直列に取り付け、コンデンサ投入時の突入電流の抑制と、高調波電流の電源側への流出抑制を目的とする機器であり、そもそも電流や温度を検出して警報・遮断を行う保護継電器ではない。「高圧設備でよく見る機器だから、変圧器の保護にも関係するはず」という連想は誤りで、OCR+CT・サーマルリレー・警報接点付温度計はいずれも「何かを検出する」機器であるのに対し、直列リアクトルは検出とは無関係の抑制専用機器だと区別しておく。

構内情報通信網(LAN)の機器とイーサネット規格

弱電設備の一つとして、施工管理者はLAN配線の竣工検査にも関わる。LANを構成する機器には、それぞれ役割の違いがある。

  • ルータ:ネットワーク上を流れるデータをIPアドレスによって他のネットワークへ中継する機器
  • モデム:デジタル信号とアナログ信号を相互に変換する機器
  • リピータハブ:受信した信号を増幅・整形してすべてのポートへ中継する機器
  • メディアコンバータ:光ファイバとメタルケーブルなど、異なる伝送媒体の間で信号形式を変換する機器

配線材料を選ぶ際に関わるのが、イーサネットの規格ごとの伝送媒体の違いだ。10BASE5(同軸ケーブル)・100BASE-TX・1000BASE-T(いずれもメタルのより対線ケーブル)に対し、100BASE-FXは伝送媒体に光ファイバケーブルを使う規格になる。

モデムとルータは、どちらも「インターネット接続に使う箱形の機器」という見た目の共通点から役割を混同しやすい。モデムは「信号の種類(デジタル・アナログ)を変換する」機器、ルータは「IPアドレスを見てデータの行き先(ネットワーク)を振り分ける」機器と、扱う対象で区別する。イーサネット規格は、名前に「BASE」の前の数字(通信速度)だけでなく、末尾の記号(伝送媒体)にも注目すると、光ファイバを使う規格かどうかを見分けやすい。

テレビ共同受信設備 — 分配器・分岐器・混合器・分波器の違い

弱電設備にはLANのほかに、テレビ共同受信設備(アンテナで受信した地上デジタル放送・BS/CS放送の電波を、建物内の各住戸・各室へ配る設備)もある。これを構成する機器も、名前が似ているぶん役割を混同しやすい。

  • 分配器:入力信号を2つ以上の出力へ均等に分配する機器。各出力の電波レベルはそろう。
  • 分岐器:分配器と似ているが、出力ごとにレベル差をつけて信号の一部を取り出す機器。メイン出力(そのまま素通り)と分岐出力(一部を分けて取り出す)でレベルが異なる。
  • 混合器:地上デジタル放送とBS/CS放送のように、異なる周波数帯域の信号を1本の同軸ケーブルにまとめる機器。
  • 分波器:混合された異なる周波数帯域の信号を、それぞれの周波数帯域ごとに選別して取り出す機器。混合器を逆向きに使うと分波器としても使える、表裏一体の関係にある。
「複数の周波数帯の信号を扱う機器」という共通点から、混合器と分波器の働きを逆に覚えやすい。混合器は複数の信号を1本のケーブルに「まとめる」機器、分波器はまとめられた信号を「選り分ける」機器と、信号の流れる向きで区別する。分配器(均等に分ける)と分岐器(レベル差をつけて一部を取り出す)の違いも、名前だけでなく実際のレベル配分の違いで押さえておく。

テレビ共同受信設備の損失計算 — 末端まで信号がどれだけ弱まるか

分配器・分岐器・直列ユニットの名前と役割を覚えたら、次はそれぞれの機器で信号がどれだけ弱まる(減衰する)かを積み上げて、末端(テレビ受信機接続端子)までの総合損失を求める計算に進む。総合損失を構成する要素は次の4つだ。

  • 同軸ケーブル自体の損失:ケーブルの長さ〔m〕×1mあたりの損失〔dB/m〕
  • 分配器・分岐器を通過する損失:分配器なら分配損失、分岐器ならメイン側の通過損失
  • 経由する直列ユニットの挿入損失:信号がそのまま通過していくだけの、末端より手前にある直列ユニット1個あたりの損失。経由する個数分だけ積み上げる
  • 末端の直列ユニットの結合損失:末端でテレビ受信機側へ信号の一部を分けて取り出す際に生じる損失。最後の1回だけ加える

例題

増幅器出口から末端Bまでの同軸ケーブルの長さが15m(損失0.2dB/m)、分配器の分配損失が4.0dB、末端Bまでに経由する中間の直列ユニットが2個(挿入損失1個あたり1.5dB)、末端Bの直列ユニットの結合損失が10.0dBのときの総合損失を求める。

15×0.2+4.0+1.5×2+10.0=3.0+4.0+3.0+10.0=20.0 dB15\times0.2 + 4.0 + 1.5\times2 + 10.0 = 3.0+4.0+3.0+10.0 = 20.0\ \text{dB}
「通過するだけの中間ユニットの挿入損失」と「末端で信号を取り出すユニットの結合損失」を混同すると、足し算の内訳を誤りやすい。経由するユニットの数だけ挿入損失を積み上げ、末端の1台だけ結合損失に置き換える、という区別を先に確認してから、同軸ケーブル損失・分配損失と合算する。

事務所の照度基準 — JIS Z9110の維持照度

照明計画では、光束法による平均照度の計算(電気の基礎理論の関連トピックを参照)とは別に、「そもそも各室でどれだけの明るさが必要か」という目標値を先に押さえておく必要がある。この目標値を定めているのがJIS Z9110(照明基準総則)で、室の用途ごとに維持照度(器具の経年劣化を見込んでも下回ってはならない下限値)の推奨値が示されている。

  • 事務室:750lx(長時間の書類作業・パソコン作業を想定)
  • 応接室・会議室:500lx(来客対応や資料確認が中心)
  • 更衣室:200lx(着替えが主目的で、細かい作業は行わない)
維持照度の大小は「その場でどれだけ細かい作業をするか」で決まると考える。長時間の書類・パソコン作業を行う事務室が最も高く(750lx)、来客対応や資料確認が中心の応接室・会議室がこれに続き(500lx)、細かい作業をしない更衣室は低め(200lx)になる。数値を丸暗記するより、作業内容と明るさの必要性を結び付けて覚えるほうが取り違えにくい。

過電流遮断器を施設してはならない箇所 — 保護装置を付けない方が安全な電路

これまで見てきた分岐幹線への過電流遮断器の設置位置ルール(3m・8m・35%・55%)とは別に、電気設備技術基準の解釈には、そもそも過電流遮断器を施設してはならない箇所を定めた規定もある。

  • 接地線
  • 多線式電路の中性線
  • 電路の一部に接地工事を施した低圧電線路の接地側電線

これらの電線に共通するのは、いずれも地絡電流や漏れ電流を大地へ逃がすための経路になっているという点だ。ここに過電流遮断器を施設し、万一誤って作動(遮断)してしまうと、地絡電流の逃げ道が断たれ、感電や火災の危険がかえって増してしまう。

「保護装置は電路のどこに付けても安全性が上がる」という直感は、接地線・中性線・接地側電線には当てはまらない。これらは地絡電流・漏れ電流を大地へ逃がすための経路であり、遮断されると保護そのものが機能しなくなる例外だと押さえておく。

コンセントの極配置 — 電圧ごとに形状を変えて誤接続を防ぐ

現場で目にするコンセント・プラグは、電圧・電流が違えば形状も変えられている。これはJIS C 8303で、電圧・電流の組み合わせごとに専用の刃受け形状(極配置)が定められているためだ。

単相100V用のコンセントが2本の平行な刃受けで構成されるのに対し、単相200V(15A/20A共用)用のコンセントは、100V用とは明確に異なるT字形の刃受けに接地極を加えた専用の形状になっている。

コンセントの極配置が電圧ごとに違う理由は、単なる規格上の分類ではなく、誤接続の物理的な防止にある。100V用プラグは200V用コンセントの刃受け形状に合わないため差し込めず、その逆も同様——「表示ラベルで見分ける」のではなく「形状そのものが違うから挿さらない」という設計思想を理解しておく。

開放形高圧受電設備とキュービクル式の比較 — 長所が入れ替わる場面がある

これまで見てきたキュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)の内部構造の話とは別に、そもそも「開放形」と「キュービクル式」のどちらを選ぶか、という比較の視点も押さえておきたい。

  • 設置面積:キュービクル式は金属箱にすべての機器を収めるため、開放形より小さい面積で設置できる。
  • 据付作業量:キュービクル式は工場で事前に組み立てた製品を現地で据え付けるだけで済むため、現地での作業量を削減できる。
  • 感電の危険性:キュービクル式は接地した金属箱内に充電部・機器が収納されるため、露出した機器に触れるリスクが少なく感電の危険性が低い。
  • 変圧器の増設・更新のしやすさ:ここは逆転する。開放形は機器が露出しており、周囲にスペースさえあれば個別の機器交換・追加が比較的容易。キュービクル式は箱の中に機器を収めている都合上、増設用の予備スペースや搬入経路があらかじめ確保されていないと、変圧器の増設・大型機器の更新にかえって大きなコストと時間がかかりやすい。
「コンパクトにまとまっている=何をするにも効率的」という直感で、キュービクル式の長所を増設・更新のしやすさにまで広げて考えてしまいやすい。設置面積・据付の速さ・安全性はキュービクル式が有利、変圧器の増設・更新のしやすさは開放形が有利、と長所の対象が入れ替わる点を区別しておく。

地区音響装置 — 音圧と設置距離の基準

自動火災報知設備が火災を検知したあと、建物内にいる人へ警報を鳴らして知らせるのが地区音響装置(ベル・音声装置等)の役割だ。消防法上、次のような技術基準が定められている。

  • 公称音圧:音響により警報を発する装置(ベル等)は90dB以上、音声により警報を発する装置は92dB以上
  • 設置距離:各階ごとに、その階の各部分から一の地区音響装置までの水平距離が25m以下となるように設ける。
  • 配線:十分な電流容量を有し、かつ的確に接続されていること。
地区音響装置の「水平距離25m以下」は、発信機の「歩行距離50m以下」と数値も測り方も異なる別の基準。水平距離は直線距離、歩行距離は実際に歩く経路の距離を指す。どちらも自動火災報知設備の設置基準として似た言い回しで登場するため、装置の種類(地区音響装置か発信機か)とセットで数値を確認する。

JIS配線用図記号 — 発電機(G)と電動機(M)の区別

配線用図記号(JIS C 0303)の中には、丸(円)の中にアルファベット1文字を入れるという共通の形式を持つ記号がいくつもある。中でも発電機電動機は、どちらも「回転して電気エネルギーと機械エネルギーを変換する機器」という点で混同しやすいうえ、図記号も丸の中の文字が1つ違うだけなので、現場の設計図やこの資格の試験でも取り違えやすい組み合わせだ。

  • 電動機:丸の中にM。必要に応じて電気方式・電圧・容量を傍記する。
  • 発電機:丸の中にG。必要に応じて電気方式・電圧・容量に加え、原動機(エンジンやタービンなど)の種類・出力も傍記する。
  • 小形変圧器:丸の中にT。ベル変圧器はB、リモコン変圧器はR、ネオン変圧器はNというように、さらに細かい傍記文字で種類を区別する。
電動機(M)は「電気を受け取って動力に変える」機器、発電機(G)は「動力(原動機)を受け取って電気を生み出す」機器で、エネルギーの流れる向きが逆になる。発電機の図記号だけに原動機の種類・出力を傍記できるのは、発電機が単体では動かず、必ず何らかの原動機とセットで働く機器だからだ。「丸の中の文字」だけで判断せず、その機器がエネルギーをどちら向きに変換しているかを合わせて意識すると、GとMを取り違えにくくなる。

「誰が何を確認しているか」を切り分けられるようになる

この整理が頭に入ると、現場で施工管理者が何をしているのかが見えてくる。キュービクルの搬入日には、クレーンのオペレーターでも電気工事士でもなく、養生期間や搬入経路が計画どおりか確認している人がいる。幹線の設計図を前にしたときも、太さの計算式そのものより先に、電圧降下の基準と将来の増設余地を気にしている人がいる。照明の点灯試験の日には、光がついたかどうかだけでなく、測定した記録がきちんと残っているかを見ている人がいる。

その人が施工管理者だ。電気工事士が「結線という点」の正確さを担うのに対し、施工管理者は「工事の始まりから終わりまでの線」が計画・基準どおりに引かれているかを担う。この役割の違いこそが、電気工事士とは別に施工管理技士という国家資格が存在する理由になる。

この資格を取ったあと、現場で何が変わるか

合格した後、最初のキュービクル更新工事で、あなたは搬入日の朝、養生期間の記録と搬入経路の実地確認を、あなた自身の判断で「まだ据え付けてはいけない」と止める側に立つ。基礎の打設から数日しか経っていないのに現場から「もう固まっているから据え付けたい」と急かされたとき、材齢と強度発現の関係を知っているかどうかが、そのプレッシャーに流されず「養生期間はあと何日必要です」と根拠を持って言えるかどうかを分ける。

竣工検査の日には、点灯試験の立ち会いで「電気工事士が全灯点灯を確認して終わり」ではなく、照度測定の記録が光源の安定を待って測定されたものかを確認し、絶縁抵抗測定の数値が竣工図の設計値と整合しているかを品質管理の記録として残す役目を負う。分岐幹線の過電流遮断器の設置位置についても、図面と施工が対応しているかを現場でその場でチェックする——これは電気工事士の仕事ではなく、施工管理者としてあなたが背負う仕事になる。

電材商社にとっても、あなたが施工管理者として現場に入った瞬間から、提案の仕方が変わる。「このケーブルは在庫があります」ではなく、「この幹線サイズなら電圧降下の基準に収まりますか」「この防災設備なら予備電源の要件を満たしますか」という、検査項目を見据えた会話ができる相手として扱われるようになる。

冒頭の「なぜ結線をしない施工管理技士が必要なのか」という問いの答え合わせは、理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 施工管理技士(補)が自らキュービクルや幹線の結線作業を行ってよいと誤解させる

    なぜ引っかかる『管理』という言葉から現場作業全般を担当するとイメージしやすいが、実際の電気工事の作業(結線等)は電気工事士法上、電気工事士免状を持つ者でなければ行えない

    見破り方施工管理技士の役割を『計画・確認・管理』、電気工事士の役割を『実際の作業』と、根拠法令(建設業法/電気工事士法)ごとに仕分けて考える

  2. キュービクルの基礎コンクリートを打設した直後に搬入・据付してよいと誤解させる

    なぜ引っかかる基礎ができた=強度が出た、と早合点しやすいが、コンクリートは打設直後は強度が発現しておらず、重量物を乗せると沈下・損傷の危険がある

    見破り方基礎工事の工程を『打設→養生→強度確認→搬入・据付』の順で押さえ、養生期間を工程表に必ず織り込む

  3. 幹線の電圧降下基準を、こう長や供給方式に関係なく一律『2%以下』だと思い込ませる

    なぜ引っかかる内線規程が目安として示す基準には、構内変圧器から供給する場合などの緩和があり、単純に『2%を超えたら即NG』という話ではない

    見破り方電圧降下の基準は『標準電圧の2%以下が原則』としつつ、供給方式による緩和幅があることを併せて確認する。数値を単独で機械的に暗記せず、『原則+条件付き緩和』という構造で理解する

  4. 照明の照度測定を、光源を点灯した直後に行ってよいと誤解させる

    なぜ引っかかるスイッチを入れれば数値はすぐ表示されるため、点灯直後に測定しても正確だと思いがちだが、光源には安定するまでの時間がある

    見破り方JIS C 7612が示すとおり、光源の種類ごとに安定するまで待ってから測定するという手順(白熱灯は目安5分、放電灯は目安30分など)を、測定前のルールとして押さえる

  5. 分岐回路の過電流遮断器の設置距離ルールを『3m以内』の一律ルールだと思い込み、緩和の存在を見落とす

    なぜ引っかかる『分岐点から3m以内』という数字だけを覚えていると、現場で分岐幹線が3mを超える場合に『施設基準違反』と即断してしまい、35%ルール・55%ルールという緩和条件を確認せずに済ませてしまう

    見破り方距離だけでなく『電線の許容電流が幹線用遮断器の定格電流の何%か』を必ずセットで確認する。55%以上なら距離無制限、35%以上55%未満なら8m以下、という2段階の緩和があることを思い出す

  6. 電動機分岐回路の過電流遮断器も、一般の分岐回路と同じく電線の許容電流以下の定格でなければならないと思い込む

    なぜ引っかかる『過電流遮断器は電線を保護するために電線の許容電流以下の定格にする』という一般原則が強く印象に残っているため、電動機特有の始動電流という例外事情があることを見落としやすい

    見破り方電動機又はこれに類する始動電流が大きい電気機械器具(電動機等)のみに至る低圧分岐回路では、始動電流のたびに遮断器が動作してしまうのを避けるため、過電流遮断器の定格電流を電線の許容電流の2.5倍まで大きくすることが認められている(電技解釈149条2項2号)と確認する。電線自体の太さは、電動機等の定格電流の合計を1.25倍(合計50A超は1.1倍)した値以上で別途確保する

  7. P型1級受信機に求められる機能を、P型2級受信機にもそのまま当てはめてしまう

    なぜ引っかかる『P型』という同じ系統の名前のため、1級と2級の機能差(導通試験装置・電話連絡装置の要否など)を意識せず、2級にも1級と同じ機能が必須だと思い込みやすい

    見破り方P型2級受信機は、P型1級受信機から省略できる機能(導通試験装置・発信機との電話連絡装置など)がある簡易版だと押さえる。『2級だから省略できる機能はどれか』という視点で選択肢を確認する

  8. 低圧進相コンデンサを、電源側(手元開閉器より系統寄り)に接続してもよいと考えてしまう

    なぜ引っかかる『コンデンサは力率を改善する設備だから、系統に近い側に付けた方が効果が広く及びそうだ』という直感的なイメージから、電源側への接続を選んでしまいやすい

    見破り方コンデンサは個々の電動機の力率を改善する目的で設置するため、その電動機と一緒に発停できる負荷側(手元開閉器より電動機側)に接続するのが原則だと押さえる。電源側に接続すると、電動機を止めてもコンデンサが系統に接続されたままになってしまう

  9. 低圧屋内配線の支持点間距離を、工事の種類によらず一律の数字で覚えてしまう

    なぜ引っかかる『電線管の支持間隔は2m』のように単純化して覚えると、合成樹脂製可とう電線管(CD管・PF管)だけがより短い1m以下という、他とは異なる基準を持つことを見落としやすい

    見破り方金属管・ライティングダクトは2m以下、金属製線ぴは1.5m以下、合成樹脂製可とう電線管だけは1m以下、と『可とう管だけ短い』という例外を意識して覚える

  10. 湿気の多い場所で使える工事方法を、『不燃性の材料を使っていれば何でもよい』のように広く捉えてしまう

    なぜ引っかかる金属ダクトも金属製で不燃性が高いという印象から、湿気の多い場所でも問題なく使えると考えやすいが、電気設備技術基準の解釈は工事の種類ごとに個別に可否を定めており、材料の不燃性だけで判断できるわけではない

    見破り方湿気の多い場所で施設できる工事は『ケーブル・合成樹脂管(CD管除く)・金属管・金属可とう電線管(2種)』の4つと覚え、金属ダクト工事はこの4つに含まれない例外だと意識する

  11. 光束発散度を、照度と同じ『面が光を受け取る量』だと取り違える

    なぜ引っかかる照度も光束発散度も単位が同じlm/m²(=lx)であるため、両者を『同じもの』または『どちらも光を受け取る側の指標』だと混同しやすいが、照度は面が受け取る光束の面積密度、光束発散度は面(発光面・反射面)から出ていく光束の面積密度で、光の向き(入射か発散か)が逆

    見破り方『面が光を受ける場合が照度、面が光を発する(発散する)場合が光束発散度』と、光の向きで対にして覚える。照明器具や光源そのものの明るさを表すのが光束発散度、机上面など照らされる側の明るさを表すのが照度、と対象で区別してもよい

  12. 省エネルギーのために『保守率が小さい照明器具』を選ぶのが正しいと錯覚する

    なぜ引っかかる『小さい』という言葉の響きから、値が小さいほど省エネで効率が良さそうだと直感的に連想しやすいが、保守率は経年劣化・汚れによる光束減少を見込んだ係数で、値が小さい器具は初期照度を余分に高く設計しなければならず、かえって無駄な電力を使うことになる

    見破り方保守率は『どれだけ暗くなることを見込んでおくか』の係数であり、値が大きい(=劣化・汚れによる減光が少ない)器具を選ぶ方が、無駄な初期照度を抑えられ省エネにつながる、と因果関係を確認する

  13. キュービクルのCB形の主遮断装置を『断路器と過電流継電器の組み合わせ』だと取り違える

    なぜ引っかかる断路器(DS)と遮断器(CB)はどちらも高圧回路の開閉に関わる機器で、キュービクルの受電部に並んで設置されることも多いため、名前も役割も混同しやすい

    見破り方断路器(DS)は無負荷状態でしか開閉できず、電流を遮断する能力を持たない『区切るだけ』の機器。CB形の主遮断装置は、実際に事故電流を遮断する能力を持つ高圧遮断器(CB)と、その遮断器に動作指令を出す過電流継電器(OCR)の組み合わせだと区別する

  14. 照度計算の距離rを2乗し忘れ、単純な反比例(E=I/r)で計算してしまう

    なぜ引っかかる『距離が離れるほど暗くなる』というイメージ自体は正しいため、2乗を見落としても『それらしい』値が出てしまい、計算ミスに気づきにくい

    見破り方E=I/r²のrに必ず2乗が付いていることを、単位を書きながら確認する。距離を2倍にすると照度は1/2ではなく1/4になる、という具体例で検算するとよい

  15. 単相3線式の使用電圧200Vを、そのまま対地電圧200Vだと思い込む

    なぜ引っかかる『200Vの回路だから対地電圧も200Vのはずだ』という直感的な連想から、使用電圧と対地電圧を同じ数値だと決めつけてしまいやすいが、対地電圧は各電圧線と接地された中性線との間の電位差であり、使用電圧(電圧線どうしの間の電位差)とは測る2点が異なる

    見破り方『使用電圧はどの2線間の電圧か』『対地電圧はどの線と大地の間の電圧か』を別々に図示して確認する。単相3線式では、使用電圧200V(L1-L2間)でも対地電圧は100V(L1-N間・L2-N間)のままだと押さえる

  16. 高圧受電設備規程の区分開閉器を、事故電流を遮断できる開閉器だと思い込む

    なぜ引っかかる『開閉器』という名前から、遮断器と同じように事故電流を遮断できる機器だと連想しやすいが、区分開閉器はあくまで保守点検の際に電路を区分するための機器で、事故電流を遮断する能力は求められていない

    見破り方『区分開閉器=保守点検用の区切り役』『高圧遮断器(CB)=事故電流を実際に遮断する役』と、役割の違いで区別する。名前に『開閉器』が付くからといって、遮断器と同じ能力を持つとは限らない

  17. 誘導灯には非常電源が不要だと誤解する

    なぜ引っかかる誘導灯は常時点灯している設備という印象が強く、停電時にどう動作するかまで意識が向きにくい

    見破り方誘導灯の役割は『停電時にこそ避難口・避難通路を示すこと』にあると意識する。非常電源の附置は、この役割を停電時にも果たすための前提条件だと理解しておく

  18. 高圧進相コンデンサの定格電圧を、回路電圧(6600V)そのままだと思い込む

    なぜ引っかかる『コンデンサの定格電圧=回路電圧』という単純な対応をイメージしやすいが、1998年のJIS改正以降は直列リアクトルを取り付けるのが原則になり、リアクトルによる端子電圧の上昇分を見込んだ値がコンデンサの定格電圧として規定されている

    見破り方直列リアクトル付きの高圧進相コンデンサでは『定格電圧=回路電圧+リアクトルによる電圧上昇分』とセットで考える。リアクトル容量6%なら7020V、13%なら7590Vと、リアクトル容量比率によって規格上の定格電圧が変わる

  19. 光束法の計算式N=EA/(FUM)で、分子と分母を取り違えて計算してしまう

    なぜ引っかかるE(照度)・A(面積)・F(光束)・U(照明率)・M(保守率)という5つの記号が並ぶため、どれが分子でどれが分母かを機械的に暗記していると取り違えやすい

    見破り方『欲しい明るさ(E×A)を、器具1台が出せる実効的な光束(F×U×M)で割れば、必要な台数が出る』と意味から式を組み立てる。分母のF・U・Mのどれか1つでも小さくなれば、より多くの台数が必要になる、という因果関係で検算する

  20. EリレーにはEeとリレーが持つ保護機能に短絡保護も含まれると思い込む

    なぜ引っかかる『電動機を守るリレー』とひとくくりに考えると、過負荷・欠相・反相に加えて短絡からも守ってくれると連想しやすいが、大電流を瞬時に検出・遮断する短絡保護は、サーマルリレーのような比較的動作の遅い保護要素ではなく、配線用遮断器やヒューズが受け持つ役割

    見破り方Eリレーが検出するのは『じわじわ進行する異常(過負荷・欠相・相順の誤り)』であり、瞬時の大電流(短絡)を検出する役割ではないと区別する。短絡保護は別の機器(遮断器・ヒューズ)が担うとセットで覚える

  21. 高圧限流ヒューズの記号Gを『電動機用』だと思い込む

    なぜ引っかかるアルファベット1文字の記号(T・M・C・G)が並ぶ中で、Gが何を表すかを他の記号と混同しやすい。特に電動機(Motor)の頭文字はMだが、紛らわしい記号として誤って覚えてしまいやすい

    見破り方T(Transformer=変圧器用)、M(Motor=電動機用)、C(Capacitor=リアクトルなしコンデンサ用)、LC(Capacitor with reactor=リアクトル付きコンデンサ用)と英単語の頭文字で対応づけ、Gは特別な保護機能を持たない一般用だと区別する

  22. 変圧器の低圧側中性点の接地を、D種接地工事の対象だと思い込む

    なぜ引っかかるD種接地工事が『低圧電路の接地』全般を指すという大まかなイメージから、低圧側に関わる接地はすべてD種だろうと一般化してしまいやすいが、高低圧混触時の電位上昇を抑える変圧器の低圧側中性点(または一端子)の接地は、目的が異なるB種接地工事に区分される

    見破り方『何のための接地か』を先に確認する。感電・火災防止のための機器外箱等の接地はD種(300V以下)、高低圧混触時の低圧側電位上昇を抑えるための変圧器低圧側の接地はB種、と目的で接地の種別を仕分ける

  23. 標準電圧100Vの維持範囲を、基準値と許容幅の数字を入れ替えて『103V±6V』のように覚えてしまう

    なぜ引っかかる101と103、6と3のように似た数字が並ぶため、基準値(101V)と許容幅(±6V)の組合せを正確に覚えていないと、別の法規で見た数字と混同しやすい

    見破り方『標準電圧100V→101Vを中心に上下6V』『標準電圧200V→202Vを中心に上下20V』と、標準電圧の数値に1〜2%程度上乗せした値が基準になっている、という成り立ちごと覚えておくと数字を取り違えにくい

  24. 照明方式の分類で、間接照明を『下方への光束配分が多い方式』だと逆に覚えてしまう

    なぜ引っかかる『直接』『間接』という言葉の響きだけでは、光がどちらの方向に多く配分されるかが直感的に分かりにくく、間接照明を『下方(作業面)を間接的に照らす方式』のようにイメージして下方配分が多いと誤解しやすい

    見破り方『間接』は『天井や壁を経由して間接的に届く』という意味だと捉え直す。上方(天井)への配分が多い間接照明は、天井や壁での反射を経て初めて作業面に光が届くため、直接照明より照明率(効率)が劣る、という因果関係とセットで覚える

  25. 漏電遮断器は感電・火災防止のためどんな負荷にも設置すべきだと一般化し、消防用設備の電源回路にも設置すべきだと考えてしまう

    なぜ引っかかる『漏電遮断器=安全のための装置』という一般的なイメージが強く、消火栓ポンプのような消防用設備であっても、安全のためには設置しておいた方がよいと直感的に考えてしまいやすい

    見破り方『何から何を守るための遮断か』を確認する。一般負荷における漏電遮断器は人体の感電・漏電火災から『人』を守るための装置だが、消火栓ポンプが火災時に地絡を検出して停止してしまうと、消火活動という『より優先度の高い安全』が損なわれる。優先すべき安全の対象が入れ替わる場面だと整理する

  26. 光束法の説明(N=EA/(FUM)、室全体の平均照度を求める)を、逐点法の説明(配光データで各点の直接照度を予測する)と入れ替えて覚えてしまう

    なぜ引っかかるどちらも『光源の配光データを使う照度計算』という共通点があるため、『室全体の平均値を求める方法』か『各点ごとの値を求める方法』かという計算の目的の違いを見落としやすい

    見破り方光束法は『室』を主語にした計算(室の平均照度)、逐点法は『点』を主語にした計算(各位置の直接照度)だと、名前の中の『点』という文字を手がかりに区別する

  27. LAN機器のうち、モデムとルータの役割を同じものだと混同する

    なぜ引っかかるどちらもインターネット接続に使う『箱形の機器』という見た目の共通点があり、家庭用のホームゲートウェイのように1台に両方の機能が統合された製品も多いため、別々の役割を持つ機器だと意識しにくい

    見破り方モデムは『信号の種類(デジタル・アナログ)を変換する』機器、ルータは『IPアドレスを見てデータの行き先(ネットワーク)を振り分ける』機器と、それぞれが扱う対象(信号の形式か、宛先か)で役割を区別する

  28. 建築物等の雷保護システムの用語(JIS A 4201)に、架空送電線のがいし装置に付属するアークホーンを含めてしまう

    なぜ引っかかるどちらも『雷から設備を守るための部品』という共通点があるため、送電線の付属機器であるアークホーンと、建築物の雷保護システムの受雷部設計に関する用語(回転球体法・保護レベル・水平導体)を同じ規格の仲間だと混同しやすい

    見破り方『何を保護する規格か』を確認する。JIS A 4201は建築物等の雷保護システムに関する規格で、回転球体法・保護レベル・水平導体などの受雷部設計の用語を含む。アークホーンは架空送電線のがいし装置に取り付ける別分野の部品であり、この規格の用語には含まれない

  29. 自動火災報知設備の発信機の設置高さを、感知器や表示灯と同じ天井付近だと思い込む

    なぜ引っかかる自動火災報知設備の機器は天井や壁の高い位置に設置されるイメージが強く、発信機も同じように高い位置に設置すると連想しやすいが、発信機は火災発見者が手動で押す起動装置のため、人の手が届く高さに設置する必要がある

    見破り方発信機は『人が押す』機器であり、感知器のように『自動で検知する』機器とは設置目的が違うと区別する。床面から0.8m以上1.5m以下という高さは、大人が無理なく手を伸ばして押せる範囲だとイメージすると覚えやすい

  30. 非常用の照明装置の床面水平面照度基準を、光源の種類にかかわらず一律1lx以上だと思い込む

    なぜ引っかかる『非常用照明は1lx以上』という基準値を最初に覚えると、光源の種類による例外があることまで意識せず、蛍光灯やLEDランプの場合にも同じ1lxをそのまま当てはめてしまいやすい

    見破り方白熱灯は1lx以上が基準だが、蛍光灯・LEDランプは火災時の温度上昇で光度が低下しやすいことを見込んで、2lx以上を確保できる必要があると区別する。『光源の種類によって必要照度が変わる』という点を先に押さえておく

  31. LEDランプは、周囲温度の変化による光束の低下が蛍光ランプより大きいと誤って覚える

    なぜ引っかかるLEDは半導体素子で熱に弱いというイメージが先行し、『熱に弱い=温度変化の影響を受けやすい』と直感的に結びつけてしまいやすいが、実際に温度変化で光束が大きく変動しやすいのは蛍光ランプ(放電管内の水銀蒸気圧が温度に敏感)の方

    見破り方LEDは発光の仕組み上、周囲温度が多少変化しても発光効率が大きく崩れにくい。『放熱対策(フィン等)が必要=熱に弱い』という点と、『周囲温度変化による光束低下の大小』は別の軸の話だと切り分けて考える

  32. 高圧交流電磁接触器を、断路器や高圧遮断器と同じように短絡電流を遮断できる機器だと思い込む

    なぜ引っかかる『高圧の開閉に使う機器』という共通点から、電磁接触器も遮断器と同じように事故電流を遮断できると連想しやすいが、電磁接触器は負荷電流の開閉(投入・遮断)を繰り返し行うことに特化した機器で、短絡電流のような大電流を遮断する能力は持たない

    見破り方『多頻度の開閉に強い(電磁接触器)』と『大電流の事故を遮断できる(遮断器)』は別の役割だと区別する。進相コンデンサの自動力率調整のように、日に何度も開閉する用途には電磁接触器、短絡事故の遮断には高圧遮断器、と使い分けを役割ベースで覚える

  33. 自動火災報知設備の感知器の種類のうち、差動式は『一定の温度に達したら』作動すると、定温式と取り違えて覚える

    なぜ引っかかる差動式・定温式はどちらも『熱』を検知する感知器という共通点があるため、検知の基準が『温度の絶対値(一定温度)』なのか『温度の変化の速さ(上昇率)』なのかを取り違えやすい

    見破り方『差動』という名前は『温度差(変化の速さ)』を検知することを表し、『定温』という名前は『一定の温度』に達したことを検知することを表す、と名前の意味から検知基準を思い出す

  34. 物質に入射する光束の反射率・透過率・吸収率の総和が1になることを知らず、3つを独立した無関係の値だと考えてしまう

    なぜ引っかかる反射・透過・吸収は、それぞれ別の物理現象(跳ね返る・通り抜ける・熱に変わる)として個別に習うため、3つの値が『入射光束100%の配分先』という1つの枠組みでつながっていることを見落としやすい

    見破り方入射した光のエネルギーがどこにも消えずに、必ず反射・透過・吸収のいずれかに配分されるとイメージする。3つの率を足すと必ず1(100%)になるという関係を使えば、2つの値が分かれば残り1つはその場で計算できる

  35. P型2級受信機の接続回線数の上限を、P型1級受信機と同じように制限なしだと思い込む

    なぜ引っかかるP型1級・P型2級は名前も機能(火災表示・警戒区域の表示など)も似ているため、導通試験装置や電話連絡装置の省略可否だけでなく、接続できる回線数そのものにも上限の違いがあることを見落としやすい

    見破り方『級が下がるほど、機能だけでなく規模(回線数)も制限される』と整理する。P型1級は回線数無制限、P型2級は5回線以下、P型3級は1回線のみと、級が下がるごとに小規模な建物向けに絞られていくと覚える

  36. 変圧器のブッシングを、振動を抑えるための部材だと誤解する

    なぜ引っかかるブッシングが変圧器の外箱(タンク)を貫通して設置される部品であることから、機械的な役割(振動の吸収・緩和)を持つ部材だとイメージしやすいが、実際の役割はタンク内部の導体と外部の電線を絶縁しながら電気的に接続することにある

    見破り方ブッシングの役割を『貫通部の絶縁+電気的な接続』の2点に絞って覚える。振動対策が必要な場合は、変圧器の設置に防振ゴムや防振基礎など別の対策が使われる、と役割を切り分けて区別する

  37. キュービクルのCB形にある断路器を、主遮断装置の負荷側に設けると思い込む

    なぜ引っかかる『保守点検時の安全のため』という目的から、点検対象に近い側(負荷側)に断路器を置くとイメージしやすいが、実際には電源側からの逆送電を遮断し作業者を守るため、主遮断装置よりも電源側に断路器を設ける

    見破り方断路器の役割は『電源から切り離すこと』だと意識する。保守点検の対象(主遮断装置やその先の回路)よりも、電源に近い側(電源側)に断路器を置いてこそ、点検中に電源側から電気が流れ込むのを防げる、という位置関係で確認する

  38. 直列リアクトルの目的に、コンデンサの残留電荷の放電を含めてしまう

    なぜ引っかかる『コンデンサに直列に取り付ける機器』という共通点から、残留電荷を安全に逃がすための放電抵抗と、直列リアクトルの役割を混同しやすい

    見破り方直列リアクトルの目的は『突入電流の抑制』と『高調波流出の抑制』の2点に限られる。コンデンサの残留電荷を放電するのは放電抵抗(またはコイル)の役割であり、直列リアクトルとは別の部品が担っていると区別する

  39. 電力用コンデンサを、高調波を発生させる機器の1つに含めてしまう

    なぜ引っかかるアーク炉・整流器・サイクロコンバータと並べて『電気機器』という共通点だけで選択肢を見ると、電力用コンデンサも同じグループ(高調波発生源)に含めてしまいやすい

    見破り方高調波は、整流回路やサイリスタなど半導体による電力変換(交直変換)を行う機器で発生する。電力用コンデンサは電力変換を行わない受動素子であり、高調波を発生させる側ではなく、系統の高調波と共振するなどしてむしろ影響を受けやすい側だと区別する

  40. カバー付ナイフスイッチを、箱開閉器・電磁開閉器・配線用遮断器と同列に、どんな容量の電動機にも使える手元開閉器だと思い込む

    なぜ引っかかる内線規程が『箱開閉器・電磁開閉器・配線用遮断器・カバー付ナイフスイッチ等のうち用途に適したもの』と4種類を並列に挙げているため、4つとも同じ条件で使えると誤解しやすい

    見破り方カバー付ナイフスイッチだけは『原則不向き、対地電圧150V以下・400W以下(定格30A)に限り可』という例外条件が付くと押さえておく。対地電圧200Vの動力回路など、150Vを超える電動機の手元開閉器には使えないと判断する

  41. 分波器と混合器の働きを逆に覚えてしまう

    なぜ引っかかるどちらも『複数の周波数帯の信号を扱う機器』という共通点があり、名前の『混合』『分波』という言葉の響きだけでは、信号をまとめる側とより分ける側のどちらがどちらかを混同しやすい

    見破り方混合器は複数の信号を1本のケーブルに『まとめる』機器、分波器はまとめられた信号を周波数帯ごとに『選り分ける』機器と、信号の流れる向き(送信側でまとめる、受信側で分ける)で区別する。分波器を逆向きに使うと混合器としても使える、という表裏の関係も併せて覚えておく

  42. 灯具の千鳥配列を、道路の曲線部でも高い誘導効果を発揮する配列だと思い込む

    なぜ引っかかる千鳥配列は市街地道路や中央分離帯のある道路に広く使われる配列のため、『よく使われる配列=どんな道路形状にも適した配列』と一般化してしまいやすい

    見破り方道路の曲線部では、灯具の配列によって路面の輝度分布の均一さ(=誘導効果)が変わる。千鳥配列は曲線部で輝度分布が不均一になり誘導効果に劣り、道路の線形に沿わせやすい片側配列の方が曲線部の誘導効果に優れると区別しておく

  43. JIS維持照度の数値を、部屋の『広さ』や『重要度』のイメージだけで直感的に順位づけてしまい、実際の推奨値の大小関係を取り違える

    なぜ引っかかる『事務室は毎日長時間作業する部屋だから明るいはず』という感覚は正しいが、応接室・会議室・更衣室のように直感的に明るさを見当づけにくい部屋の順位は、実際の数値を確認しないと誤りやすい

    見破り方維持照度は『その場でどれだけ細かい作業をするか』で決まると考える。書類作業を長時間行う事務室(750lx)が最も高く、来客対応や会議で資料を見る応接室・会議室(500lx)がこれに続き、着替えが主目的で細かい作業をしない更衣室(200lx)は低めになる、と作業内容から数値の大小を確認する

  44. 接地側電線にも過電流遮断器を付けておけば、より安全になると思い込む

    なぜ引っかかる『電路のどこにでも保護装置を付けておいた方が安全』という直感から、接地線・中性線・接地側電線にも過電流遮断器を施設した方が良いと誤解しやすい

    見破り方接地側電線は、地絡電流や漏れ電流を大地へ逃がすための経路になっている。ここに過電流遮断器を付けて誤って遮断されると、地絡電流の逃げ道が断たれ、感電・火災の危険がかえって増す。『保護装置を付けない方が安全な電路もある』という例外として、接地線・多線式電路の中性線・接地側電線の3つを押さえておく

  45. 単相200Vのコンセントとプラグを、単相100V用と同じ形状のまま使えると思い込み、誤って100V用の負荷を200V回路に接続してしまう

    なぜ引っかかる『同じ単相』という共通点から、100Vと200Vのコンセント・プラグも同じ形状で、電圧の違いは表示や仕様書で確認するものだと考えてしまいやすい

    見破り方JIS C 8303では、単相200V(15A/20A共用)のコンセントは、単相100V用とは異なるT字形の刃受けに接地極を加えた専用の形状が定められている。形状そのものが違うため、100V用プラグは200V用コンセントに物理的に挿さらない、と誤接続防止の仕組みを先に確認する

  46. キュービクル式高圧受電設備は、箱に機器がまとまっている分、変圧器の増設や更新も開放形よりまとめて簡単にできると思い込む

    なぜ引っかかる『コンパクトにまとまっている=何をするにも効率的』という漠然としたイメージから、キュービクル式の長所(設置面積・据付作業量・感電リスク)を、増設・更新のしやすさにまで拡張して当てはめてしまいやすい

    見破り方キュービクル式は機器を金属箱に収める都合上、増設用の予備スペースや周囲の搬入経路があらかじめ確保されていないと、変圧器の増設や大型機器の更新に大きなコストと時間がかかる。逆に開放形は機器が露出しており、周囲にスペースさえあれば個別の機器交換・追加がしやすい。『設置面積・据付の速さ・安全性はキュービクル式が有利、増設・更新のしやすさは開放形が有利』と、長所の対象が違う点を区別しておく

  47. 地区音響装置の水平距離25m以下という基準を、発信機の歩行距離50m以下という基準と混同する

    なぜ引っかかるどちらも自動火災報知設備の設置基準で、『各階の各部分から一の装置まで』という言い回しが似ているため、距離の測り方(直線距離か、実際に歩く経路の距離か)と数値の対応を取り違えやすい

    見破り方地区音響装置は『水平距離25m以下』(直線距離)、発信機は『歩行距離50m以下』(実際に歩く経路の距離)と、測り方も数値も異なる別の基準だとセットで区別する

  48. テレビ共同受信設備の損失計算で、経由する直列ユニットの挿入損失と、末端で信号を取り出す結合損失を同じもの(挿入損失)として扱ってしまう

    なぜ引っかかるどちらも『直列ユニットで生じる損失』という共通点があるため、通過するだけの中間ユニットと、信号を取り出す末端ユニットとで、発生する損失の種類が違うことを見落としやすい

    見破り方信号がそのまま通過していく中間の直列ユニットでは挿入損失、末端でテレビ受信機側へ信号を分けて取り出す直列ユニットでは結合損失、と『通過するだけか、取り出すか』で損失の種類を区別する。総合損失を求める設問では、経由するユニットの数だけ挿入損失を足し、最後に結合損失を1回だけ足す、という数え方を意識する

  49. 金属線ぴ工事を、金属管工事と同じように防湿措置を施せば湿気の多い場所にも施設できると思い込む

    なぜ引っかかる『金属製の管・線ぴ工事』という共通点から、金属管工事(防湿措置で湿気の多い場所にも対応可)と金属線ぴ工事の施設条件も同じだと類推してしまいやすい

    見破り方金属線ぴ工事は使用電圧300V以下・乾燥した展開場所又は点検できる隠ぺい場所限定という、金属管工事より狭い制限が付くと押さえておく。『金属製だから水気に強そう』という材質の印象ではなく、工事の種類ごとに施設場所の規定が個別に定められていると確認する

  50. 低圧屋側電線路にも、屋内配線で使える金属線ぴ工事・金属ダクト工事がそのまま使えると思い込む

    なぜ引っかかる『低圧の配線工事』という共通点から、屋内配線で使える工事の種類がそのまま屋側(屋外に面した外壁沿い)にも適用できると考えてしまいやすい

    見破り方屋側は雨風にさらされる環境のため、屋内配線より使える工事の種類が絞り込まれると意識する。低圧屋側電線路は『がいし引き・合成樹脂管・金属管(木造以外)・バスダクト(木造以外)・ケーブル』の5種類に限られ、金属線ぴ工事・金属ダクト工事は対象外だと確認する

  51. 差動式スポット型感知器を、温度が変化する場所ならどこにでも設置できる万能な感知器だと思い込む

    なぜ引っかかる『温度の上昇率を検知する感知器』という説明だけを覚えると、厨房のような日常的に急激な温度変化が起きる場所にも問題なく設置できると誤解しやすい

    見破り方差動式スポット型は『火災特有の急激な温度上昇』と『日常的な温度変化』を区別できない弱点があると意識する。厨房のように日常的に急な温度変化が起きる場所では非火災報を招きやすいため、温度の絶対値で判定する定温式スポット型の方が適していると場所ごとに使い分ける

  52. 駐車場・車庫のような場所には、初期の煙を検知できる煙感知器を設置する方が望ましいと思い込む

    なぜ引っかかる『煙感知器の方が火災の検知が早い』という一般的な傾向を、場所を問わず当てはめてしまいやすい

    見破り方煙感知器は排気ガス・粉じんを煙と誤検知しやすいという弱点がある。駐車場・車庫のように自動車の排気ガスが日常的に滞留する場所や、じんあい・粉じんが多い場所には、煙ではなく熱で判定する熱感知器(差動式分布型・定温式等)が選ばれると、その場所に何が日常的に存在するかから判断する

  53. 非常ベルを、消防法上の分類がない独立した設備だと考えてしまう

    なぜ引っかかる自動火災報知設備・誘導灯といった他の消防用設備と役割が異なることに気を取られ、非常ベル自体がどの分類グループに属するかという視点が抜け落ちやすい

    見破り方消防用設備等は消火設備・警報設備・避難設備等に大分類されると押さえたうえで、非常ベルは自動式サイレン・放送設備とともに非常警報設備を構成し、警報設備というグループに属すると確認する。自動火災報知設備も同じ警報設備のグループに属する仲間だと整理する

  54. 入退室管理設備の電気錠を、単なる電動の鍵であり停電時には一切動作しないと思い込む

    なぜ引っかかる『電気で動くもの=停電したら止まる』という単純な発想にとらわれ、セキュリティ設備として求められる停電時・火災時の安全性への配慮を見落としやすい

    見破り方電気錠には、停電時にもバッテリーで一定時間動作を継続できるものや、火災時に自動的に解錠して避難経路を確保する機能を持つものがあると押さえておく。認証装置・コントローラー・電気錠という3つの機器構成と、それぞれの役割(識別・判断・動作)をセットで確認する

  55. 変圧器の過負荷保護方式を選ぶ設問で、進相コンデンサ用の直列リアクトルを保護機器の1つに含めてしまう

    なぜ引っかかる直列リアクトルもキュービクル内の高圧機器という共通点があるため、『高圧設備に使う機器だから変圧器の保護にも関係するはず』と連想しやすい。また『リアクトル』という語の響きが、電流を制限して保護するための機器のように聞こえることも紛れ込みやすい理由の1つ

    見破り方『何を検出して保護するか』で機器を仕分ける。過電流継電器(OCR)+CTは一次側の過電流・短絡を検出、サーマルリレー+CTは負荷(電動機等)側の過負荷を検出、警報接点付温度計は油温そのものを検出と、変圧器の過負荷保護に関わる機器はいずれも異常を検出する機能を持つ。直列リアクトルは進相コンデンサの突入電流抑制・高調波流出抑制が目的で、そもそも何かを検出して警報・遮断する保護継電器ではないと区別する

参考文献・出典

理解度チェック(64問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、64問で確認しよう。 内訳は基本20問・応用12問・ひっかけ32問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 64 問正解

覚えておきたいポイント

  1. キュービクルの搬入・設置は、基礎工事(掘削→配筋・型枠→コンクリート打設→養生→強度確認)を終えてから、搬入経路の確保→クレーンによる据付→固定→配線接続、という順に進む。養生期間中は重量物を据え付けられないため、施工管理者はこの期間を工程表に必ず織り込む
  2. 幹線サイズの計算そのものは電気工事士・設計者の仕事だが、施工管理者は内線規程が目安として示す電圧降下基準(幹線は標準電圧の2%以下が原則で、こう長や供給方式によって3%前後まで緩和される場合がある)に収まっているか、将来の設備増設を見込んだ余裕があるかを確認する立場になる
  3. 照明設備の竣工検査は、絶縁抵抗測定(連続点灯で温度上昇させた状態で規定値以上)・点灯試験(全灯点灯・調光や制御動作の確認)・照度測定(JIS C 7612に基づき光源が安定してから測定)の3点が柱になる
  4. 施工管理技士(補)の資格だけでは実際の結線作業はできない。建設業法上の管理資格(施工管理技士)と、電気工事士法上の作業資格(電気工事士)は別物で、施工管理者の役割は工程・品質・安全の観点から施工が計画・基準どおり進んでいるかを確認・管理することにある
  5. 低圧幹線から分岐する電線は、原則として分岐点から3m以内に過電流遮断器を施設する。ただし、電線の許容電流が幹線用遮断器の定格電流の55%以上なら距離の制限がなくなり、35%以上55%未満でも分岐幹線の長さが8m以下なら施設できる、という緩和がある
  6. 電動機又はこれに類する始動電流が大きい電気機械器具(電技解釈上「電動機等」)のみに至る低圧分岐回路は、一般の分岐回路とは別の規定に従う(電技解釈149条2項2号)。始動電流による誤動作を避けるため、過電流遮断器の定格電流は電線の許容電流の2.5倍まで大きくすることが認められている。一方で電線の許容電流は、その部分を通じて供給される電動機等の定格電流の合計を1.25倍(合計が50Aを超える場合は1.1倍)した値以上を確保しなければならない
  7. 自動火災報知設備のP型受信機は、複数回線を扱うものに予備電源が必要。P型1級受信機に必須の導通試験装置は、P型2級受信機では省略できる機能の1つで、発信機との電話連絡装置も2級では設けなくてよい
  8. 建築基準法上、予備電源の設置が求められる代表的な防災設備には、排煙設備・非常用の照明装置・非常用エレベーターがある。同じ縦動線の設備でもエスカレーターにはこの予備電源義務がない
  9. 低圧進相コンデンサは、手元開閉器(電動機を発停する開閉器)よりも負荷側(電動機に近い側)に接続するのが内線規程上の原則。電源側に接続すると、電動機を停止しても系統からコンデンサを切り離せなくなる
  10. 低圧屋内配線を造営材に取り付ける支持点間の距離は、工事の種類によって内線規程が目安を示している。金属管工事は2m以下、金属製線ぴ工事は1.5m以下、ライティングダクト工事は2m以下が目安だが、合成樹脂製可とう電線管(CD管・PF管)は1m以下と、他より短い間隔が求められる
  11. 湿気の多い場所の低圧屋内配線工事では、ケーブル工事・合成樹脂管工事(CD管を除く)・金属管工事・金属可とう電線管工事(2種)は、必要な防湿措置を施したうえで施設できる。これに対し金属ダクト工事は、電気設備の技術基準の解釈上、湿気の多い場所には施設できない
  12. 一般照明用光源色の相関色温度(JIS)は、電球色が最も低く、白色、昼光色の順に高くなる。高い順に並べると『昼光色・白色・電球色』になる
  13. 照明の基礎用語は、面が光を受ける側(照度)と面が光を発する側(光束発散度)で対になる。光束(lm)は人の目の感度(視感度)を通して測った光のエネルギー量、光度(cd)は光束の立体角密度、照度(lx=lm/m²)は面が受け取る光束の面積密度、光束発散度(lm/m²)は発光・反射面から出ていく光束の面積密度、輝度(cd/m²)は光度の面積密度で、グレアは視野内の高輝度な部分により不快感や見えにくさが生じる視覚の状態を指す
  14. 一般事務室照明の省エネルギー対策では、保守率(照明器具が経年劣化・汚れで暗くなる度合いを見込んだ係数)の値が大きい器具を選定するのが正しい。保守率の値が小さい器具を選ぶことは、初期照度を余分に高く設計する必要が生じ省エネに反する
  15. キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)は、主遮断装置の形式でPF・S形とCB形に大別される。PF・S形は高圧限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(LBS)を組み合わせた形式で受電設備容量300kV・A以下、CB形は高圧遮断器(CB)と過電流継電器(OCR)等を組み合わせた形式で受電設備容量4000kV・A以下が目安
  16. 点光源の直下にある水平面照度E〔lx〕は、光度I〔cd〕と光源からの距離r〔m〕を使ってE=I/r²で求まる(逆二乗の法則)。距離が2倍になると照度は1/4に、3倍になると1/9に落ちる
  17. 非常用の照明装置の構造(建築基準法施行令・建設省告示第1830号)には、照明器具(照明カバー等を含む)の主要な部分は難燃材料で造るか覆うこと、常温下で床面の水平面照度を1lx以上(蛍光灯またはLEDランプを用いる場合は2lx以上)確保すること、予備電源は充電を行うことなく30分間継続して点灯させられること、常用電源が断たれたときに自動的に予備電源へ切り替わり復旧時は自動的に復帰することが定められている
  18. 中性点を接地した単相3線式100/200Vでは、使用電圧が200Vであっても、L1-N間・L2-N間の対地電圧はどちらも100Vのままである。使用電圧と対地電圧は別の軸で管理される数値
  19. 高圧受電設備規程上、区分開閉器は保守点検の際に電路を区分するための開閉装置(事故電流の遮断能力は不要)。短絡電流は電路の線間が低インピーダンスで接触して流れる電流、地絡電流は地絡によって電路の外部に流出し事故を引き起こすおそれのある電流と定義される。区分開閉器(高圧気中負荷開閉器等)は通常の負荷電流であれば入り切りできるが、短絡電流のような事故電流を遮断する能力は持たない。一方、断路器はそもそも消弧能力を持たないため負荷電流の開閉すらできず、電流が流れていない無負荷の状態でしか操作できない。『負荷電流は開閉できるが事故電流は遮断できない区分開閉器』と『無負荷状態でしか開閉できない断路器』は、どちらも遮断器ではない点は共通するが、扱える電流の範囲が異なる
  20. 誘導灯は消防法上、非常電源を附置すること、電源の開閉器には誘導灯用である旨を表示することが求められる。通路誘導灯には音声誘導機能を設けることができ、床面に設置することもできる。設置場所も避難口誘導灯と通路誘導灯で区分されており、避難口誘導灯は文字通り『避難口』の上部またはその直近に設ける一方、通路誘導灯は廊下の曲がり角や、階段・傾斜路の踊場など、避難経路を誘導する必要がある箇所に設ける
  21. 高圧の三相進相コンデンサに直列リアクトルを組み合わせて使用する場合、日本産業規格(JIS)上、回路電圧6600Vで直列リアクトルの容量をコンデンサ容量の6%とするとき、コンデンサの定格電圧は7020Vと定められている。1998年のJIS改正以降、高圧・特別高圧の進相コンデンサは直列リアクトルを取り付けて使用するのが原則になった
  22. 全般照明において、室の平均照度E〔lx〕を得るのに必要な照明器具台数N〔台〕は、光束法によりN=EA/(FUM)で求まる(F:照明器具1台あたりの光束〔lm〕、A:室の面積〔m²〕、U:照明率、M:保守率)。分子に平均照度と面積、分母に光束・照明率・保守率が入る
  23. 低圧三相誘導電動機の保護に用いるEリレー(電子式サーマルリレー等)は、過負荷保護に加えて欠相保護(3線のうち1線が断線した状態を検出)・反相保護(相順が逆になった状態を検出し電動機の逆回転を防ぐ)の機能を持つ複合的な保護継電器。短絡電流のような大電流を瞬時に遮断する短絡保護は、配線用遮断器やヒューズなど別の機器が受け持つ役割で、Eリレー単体の機能には含まれない
  24. 高圧限流ヒューズは、日本産業規格(JIS C 4604)上、保護対象によって記号が使い分けられる。T:変圧器用、M:電動機用、C:リアクトルなしコンデンサ用、LC:リアクトル付きコンデンサ用、G:特別な保護機能を持たない一般用で、『G=電動機用』のように取り違えやすい。ヒューズは溶断特性(どの電流・時間で切れるか)が製品ごとにあらかじめ固定されており、施工後に動作特性を調整することはできない。これに対し遮断器と継電器を組み合わせた保護方式は、整定値(動作させる電流・時間)を変更するだけで動作特性を調整できる点が、両者の大きな違いになる
  25. 変圧器の高圧側・低圧側が混触したときの低圧側電位上昇を抑えるため、変圧器の低圧側中性点(または一端子)に施す接地はB種接地工事。これに対し、使用電圧300V以下の低圧電路にある機器の金属製外箱や、高圧計器用変成器の二次側電路には、原則としてD種接地工事を施す。『変圧器の低圧側中性点』は一見D種の対象に見えやすいが、実際はB種接地工事の対象
  26. 一般送配電事業者は、電気事業法にもとづき、標準電圧100Vの電気を供給する場所では101Vの上下6Vを超えない値に、標準電圧200Vの電気を供給する場所では202Vの上下20Vを超えない値に、供給電圧を維持するよう努めなければならない
  27. 光源からの光束配分によって照明方式は複数に分類される。下方(作業面側)への光束配分が大部分を占める直接照明は照明率が高いが影が濃くなりやすい。上方(天井側)への光束配分が大部分を占める間接照明は、天井や壁の反射光で室内全体が一様な明るさになり柔らかい雰囲気を与えるが照明率は劣る。ほかに下方配分が中心の半直接照明、上方・下方への配分がほぼ均等な全般拡散照明がある
  28. 内線規程上、消火栓ポンプ・スプリンクラーポンプなど消防用設備の電源回路には、火災時の地絡検出による誤遮断で消火活動に支障が出ることを避けるため、原則として漏電遮断器を設けない。一方、浄化槽・冷却塔ファン・揚水ポンプなど、屋外や水気の多い場所に設置される一般の負荷には、感電・漏電火災の防止のため漏電遮断器の設置が求められる
  29. 光束法(N=EA/(FUM))は、対象とする室全体の平均照度を求める計算方法。これに対し、光源・照明器具の配光測定データを使って作業面内の各位置における直接照度を予測する計算方法は逐点法と呼ばれ、光束法とは目的が異なる。室指数は、作業面と照明器具との間の室部分の形状(間口・奥行・天井高さの関係)を表す数値で、照明率を求めるために使う
  30. 構内情報通信網(LAN)を構成する機器には役割の違いがある。ルータはネットワーク上を流れるデータをIPアドレスによって他のネットワークへ中継する機器、モデムはデジタル信号とアナログ信号を相互に変換する機器、リピータハブは受信した信号を増幅・整形してすべてのポートへ中継する機器、メディアコンバータは光ファイバとメタルケーブルなど異なる伝送媒体の間で信号形式を変換する機器
  31. 建築物等の雷保護システムはJIS A 4201に規定され、受雷部の設計方法として保護角法・メッシュ法・回転球体法がある。回転球体法は、想定される雷撃距離を半径とする仮想球体を建築物の周囲で転がし、球体が地表と受雷部だけに接する範囲を保護範囲とみなす設計方法。保護レベル・水平導体もこの規格の用語だが、アークホーン(架空送電線のがいし装置に取り付ける雷サージ対策部品)は建築物の雷保護システムの用語には含まれない。同様に『開閉サージ』もJIS A4201の受雷部設計に関する用語ではなく、遮断器・断路器などの開閉操作にともなって生じる過電圧を指す別の概念で、避雷器やSPD(サージ防護デバイス)の選定・保護協調を扱う文脈で使われる用語である
  32. 自動火災報知設備のP型発信機(火災発見者が手動で押して火災信号を送る起動装置)は、各階ごとにその階の各部分から一の発信機までの歩行距離が50m以下となるように設け、床面からの高さが0.8m以上1.5m以下の箇所に設置することが定められている
  33. LEDランプはエレクトロルミネセンス(電界発光)の原理を利用して発光する。LED素子は耐圧が低く電圧の変化(サージ・静電気等)により破壊されやすいため、発光時に生じる熱を逃がすフィンなどの放熱対策も必要になる。蛍光ランプは周囲温度の変化(特に低温)で光束が大きく低下しやすいのに対し、LEDランプは発光の仕組み上、周囲温度の変化による光束低下が蛍光ランプより小さい
  34. 高圧交流電磁接触器(VMC等)は、進相コンデンサの投入・遮断のような負荷電流の多頻度開閉に使われる機器。高圧遮断器が数千回程度で交換時期になるのに対し、真空電磁接触器は数万〜数十万回の開閉に耐えられる耐久性を持つが、短絡電流を遮断する能力は持たない(短絡保護は別の遮断器・ヒューズが担う)
  35. 自動火災報知設備の感知器には検知原理の異なる種類がある。差動式スポット型は周囲の温度上昇率が一定以上になったとき、定温式スポット型は周囲の温度が一定温度に達したときに火災信号を発信する。光電式スポット型は煙による光の乱反射(または遮光)を、イオン化式スポット型はイオン室内の煙によるイオン電流の変化を検出する
  36. 非常ベル(非常警報設備)は、起動装置(手動操作により音響装置を鳴動させる)・音響装置・表示灯・非常電源および配線によって構成される。表示灯は赤色とし、起動装置(発信機)の近傍で多数の目にふれる位置に設ける。非常電源の設置など、消防法上の技術基準に従って施工・維持する必要がある
  37. 構内情報通信網(LAN)のイーサネット規格は、伝送媒体によって金属ケーブルを使うものと光ファイバケーブルを使うものに分かれる。100BASE-FXは伝送媒体に光ファイバケーブルを使う規格で、10BASE5・100BASE-TX・1000BASE-Tは金属(同軸・より対線)ケーブルを使う規格
  38. 物体に入射した光束は、反射・透過・吸収のいずれかの形で必ず処理されるため、反射率ρ・透過率τ・吸収率αの合計は常に1(100%)になる(ρ+τ+α=1)。不透明な物体では透過率τ=0のため反射率と吸収率の合計が1になり、ガラスのような透明体では吸収率αがほぼ0とみなせる場合がある、というように物体の性質によって3つの配分は変わる
  39. 自動火災報知設備のP型受信機は、級によって接続できる回線数の上限が決まっている。P型1級受信機(多回線用)は回線数の上限が定められていないのに対し、P型2級受信機は5回線以下、P型3級受信機は1回線のみに限られる。回線数が多い大規模な建物ほど、より上位の級(1級)の受信機が必要になる
  40. 高圧受電設備の構成機器には、それぞれ専用の役割がある。ストレスコーンは、高圧ケーブルの端末部で遮へい層を段むきした切断点に生じる電界の集中を緩和するための部材。変圧器のブッシングは、タンク内部の巻線と外部の電線を、絶縁を保ちながら電気的に接続するための部材で、振動を抑える目的の部品ではない
  41. キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)には、主遮断装置の形式(PF・S形/CB形)の違いに加え、細かな保護・安全上の規定がある。使用電圧300Vを超える低圧引出し回路には地絡遮断装置を設けることが原則だが、防災用・保安用電源などの回路は警報装置に代えることができる。PF・S形の主遮断装置の電源側は、短絡接地器具などで容易かつ確実に接地できる構造とする。CB形は、保守点検時の安全を確保するため、主遮断装置の電源側に断路器を設ける(負荷側ではない)
  42. 高圧進相コンデンサに直列リアクトルを組み合わせる目的は、コンデンサ投入時に生じる突入電流の抑制と、高調波電流が電源側(系統)へ流出するのを抑制することの2点。コンデンサの残留電荷を放電する役割は放電抵抗(またはコイル)が担うものであり、直列リアクトルの目的ではない
  43. 電気機器のうち高調波を発生させるのは、アーク炉・整流器・サイクロコンバータなど、半導体による電力変換(整流・交直変換)を行う機器。電力用コンデンサは無効電力を調整する受動素子であり、高調波を能動的に発生させる機器ではない(むしろ系統の高調波と共振するなど影響を受けやすい側)
  44. 低圧電動機の電路に施設する手元開閉器には、箱開閉器・電磁開閉器・配線用遮断器・カバー付ナイフスイッチのうち用途に適したものを用いる。ただしカバー付ナイフスイッチは原則として電動機の手元開閉器には不向きで、対地電圧150V以下・400W以下(定格30A)の電動機に限り使用できる例外的な位置づけになる
  45. テレビ共同受信設備を構成する機器には役割の違いがある。分配器は入力信号を2つ以上の出力へ均等に分配する機器、分岐器は分けた信号にレベル差をつけて一部を取り出す機器、混合器は異なる周波数帯の信号(地上デジタル放送とBS・CS放送等)を1本の同軸ケーブルにまとめる機器、分波器は混合された異なる周波数帯の信号を選別して取り出す機器で、混合器と分波器は互いに逆の働きをする。通過損失(信号レベルの低下量)を比べると、入力を均等に分け合う分配器の分配損失は、幹線側にほとんどの信号を素通りさせて一部だけを取り出す分岐器の挿入損失より大きい。分岐器は幹線側(通過側)の損失を小さく抑えられる代わりに、分岐側へ取り出す信号は結合損失によって大きく減衰する
  46. 道路照明の灯具配列には片側配列・千鳥配列・向合せ配列があるが、道路の曲線部では千鳥配列は路面輝度分布が不均一になり誘導効果に劣る。曲線部の適切な誘導効果を確保するには、道路の線形に沿わせやすい片側配列が適している
  47. JIS Z9110(照明基準総則)には、室の用途ごとの維持照度の推奨値が定められている。事務所の事務室は750lx、応接室・会議室は500lx、更衣室は200lxが目安で、作業の細かさ・滞在時間の長さに応じて必要な明るさの水準が変わる。同じ表9(事務所)では、電気室(配電盤・計器盤)は200lx程度、集中監視室・制御室は500lx程度が目安として示されており、電子計算機室も500lx程度(場面によっては750〜300lxの範囲)が目安になる
  48. 電気設備技術基準の解釈では、接地線・多線式電路の中性線、および電路の一部に接地工事を施した低圧電線路の接地側電線には、原則として過電流遮断器を施設してはならないと定められている。これは、地絡電流や漏れ電流を大地へ逃がす経路そのものを遮断してしまうと、保護協調が崩れ感電・火災の危険が増すことを防ぐための規定
  49. JIS C 8303では、単相200V(定格電流15A/20A共用)のコンセントは、単相100V用とは異なるT字形の刃受けに接地極を加えた専用の極配置が定められている。これは、形状を100V用と明確に異なるものにすることで、誤って100V用プラグを200V回路に差し込んでしまう(またはその逆の)誤接続を防止するため
  50. 開放形高圧受電設備とキュービクル式高圧受電設備を比較すると、キュービクル式は金属製の箱にすべての機器を収めるため設置面積を小さくでき、工場で事前に組み立てた製品を据え付けるため現地での据付作業量を削減でき、充電部が露出しないため感電の危険性も低い。一方、変圧器の増設や更新は、機器を露出させたまま個別に交換・追加できる開放形の方が容易で、箱の中に機器を収めるキュービクル式は増設スペースや搬入経路の制約から、かえって時間とコストがかかりやすい
  51. 自動火災報知設備の地区音響装置(ベル・音声装置等)は、公称音圧を音響式で90dB以上、音声式で92dB以上とすること、各階ごとにその階の各部分から一の地区音響装置までの水平距離が25m以下となるように設けること、配線は十分な電流容量を持ち確実に接続することが定められている
  52. テレビ共同受信設備で末端(テレビ受信機接続端子)までの信号レベルの総合損失を求めるときは、同軸ケーブル自体の損失(長さ×1mあたりの損失)、分配器・分岐器を通過する分配損失、経由する直列ユニットの挿入損失(通過するだけの中間ユニットの分)、末端の直列ユニットで信号を取り出す際の結合損失を、すべて合算する
  53. 金属線ぴ工事は使用電圧300V以下の電路に限られ、展開した場所又は点検できる隠ぺい場所であって、いずれも乾燥した場所にしか施設できない。湿気の多い場所・水気のある場所には防湿措置を施しても施設できず、屋外・屋側にも使えない点で、防湿措置により湿気の多い場所にも対応できる金属管工事とは扱いが異なる
  54. 低圧屋側電線路に施設できる工事は、がいし引き工事・合成樹脂管工事・金属管工事(木造以外の造営物)・バスダクト工事(木造以外の造営物)・ケーブル工事の5種類。屋内配線で使える金属線ぴ工事・金属ダクト工事は、低圧屋側電線路には使用できない
  55. 差動式スポット型感知器は事務室・居室など温度が安定した場所に向く一方、厨房のように急激な温度変化が日常的に生じる場所では非火災報を招きやすいため定温式スポット型の方が適する。駐車場・車庫のように排気ガスが滞留する場所、じんあい・粉じんが多量に滞留する場所は、煙感知器では誤検知しやすいため熱感知器(差動式分布型・定温式等)が選ばれ、逆に廊下・階段など初期の煙を早く捉えたい場所には煙感知器の設置が求められる
  56. 消防法上、消防用設備等は消火設備・警報設備・避難設備等に分類され、非常ベルは自動式サイレン・放送設備とともに非常警報設備を構成し、警報設備というグループに属する。警報設備には他に自動火災報知設備・漏電火災警報器・ガス漏れ火災警報設備なども含まれ、非常ベルはこのうち手動起動・ベル音による警報という役割を担う
  57. 入退室管理設備の基本的な機器構成は、通行者を識別する認証装置(カードリーダー等)、認証結果と登録権限を照合して開閉を判定する制御装置(コントローラー)、実際にドアを施錠・解錠する電気錠の3つに整理できる。電気錠は停電時のバッテリー動作や火災時の自動解錠機能を持つものもある
  58. 避難口誘導灯・通路誘導灯は、消防法施行規則第28条の3上、表示面の縦寸法によってA級(0.4m以上)・B級(0.2m以上0.4m未満)・C級(0.1m以上0.2m未満)の3等級に区分される。誘導灯の非常電源の容量は原則として20分間だが、延べ面積5万m²以上の防火対象物、地階を除く階数15以上かつ延べ面積3万m²以上の防火対象物、延べ面積1,000m²以上の地下街(令別表第一(十六の二)項)などでは60分間以上とすることが求められる
  59. 誘導灯の点滅機能・音声誘導機能は、すべての誘導灯に一律で求められる機能ではない。視力・聴力の弱い者が避難経路として利用する部分がある防火対象物や、不特定多数が出入りし雑踏・照明看板等で誘導灯を識別しにくい部分がある防火対象物のうち、自動火災報知設備を設置しているもので、主要な避難口に避難口誘導灯を設置する場合に、原則として点滅機能・音声誘導機能(またはその両方)を有するものとすることが定められている
  60. JIS C 0303(構内電気設備の配線用図記号)では、発電機は円の中にGを記入した図記号で表す。電動機(円の中にM)と『丸の中に1文字』という基本形が共通するため見誤りやすいが、発電機の図記号には必要に応じて電気方式・電圧・容量に加え原動機(エンジン等)の種類・出力も傍記できる点が、電気方式・電圧・容量のみを傍記する電動機と異なる。小形変圧器も同じ『丸+文字』の系列でTを傍記し(ベル変圧器はB、リモコン変圧器はR、ネオン変圧器はNのように、さらに細かい傍記文字で区別)、G・M・Tのどれを指しているかを文字だけで正確に読み分ける必要がある
  61. 変圧器の過負荷保護は、検出対象が異なる複数の機器で構成される。過電流継電器(OCR)+変流器(CT)は変圧器一次側の電流を監視し過電流・短絡を検出する組み合わせ、サーマルリレー(熱動継電器)は電動機等の負荷側の過負荷・拘束・欠相を検出する機器で、変圧器本体というより負荷側の保護を目的とし、大容量回路ではCTを介して電流を検出する構成をとることもある。警報接点付温度計は油入変圧器の油温上昇そのものを直接検出する機器(75kV・A以上の油入変圧器に標準付属)で、過負荷管理の目安として使われる。これに対し直列リアクトルは高圧進相コンデンサとセットで使う突入電流・高調波流出抑制用の機器であり、何かを検出して警報・遮断を行う保護継電器ではないため、変圧器の過負荷保護方式には含まれない
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