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法規 ・ 6 / 8

現場で必要な許可・届出 — 道路を使う工事は2つの許可を区別する

読み終えると、こうなる

現場が道路に接するとき、「継続して道路の一部を使う」のか「一時的に道路上で作業する」のかを見分けて、必要な許可の種類を判断できるようになる

  • 道路占用許可(道路法32条)と道路使用許可(道路交通法77条)の許可権者と対象行為の違いを説明できる
  • 電柱・電線・ケーブルの設置工事が道路占用許可の対象になると判断できる
  • 道路上での工事・作業が道路使用許可の対象になると判断できる
  • 同じ現場で両方の許可が同時に必要になる場面があると具体例を挙げて説明できる
考えてみよう

道路沿いの電柱から新しい建物へ引込線を延ばす工事を計画している。道路の上に電線が継続して残ることになるので、道路管理者への許可申請を済ませた。ところが工事当日、警察官から「道路使用許可はどうしましたか」と声をかけられる。道路管理者の許可は取ったはずなのに、なぜ別の許可が必要になるのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、道路に関わる工事で必要になる2つの許可を、それぞれ何のための許可かを区別して説明できるようになっている。

電気工事の現場は、建物の敷地内だけで完結するとは限らない。電柱・電線・地中ケーブルの工事のように、公道に関わる場面では、建設業法や電気事業法とは別の法律に基づく許可・届出が必要になる。ここでは代表的な2つ、道路占用許可と道路使用許可を扱う。

道路占用許可 — 道路管理者に、道路空間の継続使用を認めてもらう許可

道路に電柱、電線、変圧塔その他これらに類する工作物や、水管・下水道管・ガス管その他これらに類する物件を設け、継続して道路を使用しようとする場合は、道路管理者の許可を受けなければならない(道路法32条1項)。これが道路占用許可だ。

許可を受けようとする者は、占用の目的、期間、場所、工作物の構造、工事実施の方法、工事の時期、道路の復旧方法などを記載した申請書を道路管理者に提出する。道路管理者は、国道か都道府県道か市町村道かによって、国・都道府県・市町村のいずれかになる。

道路占用許可のポイントは「継続して」という言葉だ。工事が終わった後も、電柱や電線、地中ケーブルという工作物が道路(の上空・地下を含む)に残り続ける。道路という公共空間の一部を、特定の目的のために継続して専有することへの許可、と捉えると分かりやすい。

道路使用許可 — 所轄警察署長に、一時的な道路上の行為を認めてもらう許可

道路において工事若しくは作業をしようとする者又はその請負人は、当該行為に係る場所を管轄する所轄警察署長の許可を受けなければならない(道路交通法77条1項1号)。これが道路使用許可だ。同条は、他にも道路に工作物を設けて露店を出す行為や、祭礼行事・ロケーションなど一般交通に著しい影響を及ぼす行為も対象に含めている。

道路使用許可のポイントは「一般交通への影響」だ。道路交通法は交通の安全と円滑を目的とする法律であり、道路使用許可は、工事や作業によって一時的に交通の流れが妨げられることに対する許可になる。工事が終われば、その影響もなくなる、という一時性がある。

2つの許可の違いを、表で並べて確認する

道路占用許可道路使用許可
根拠法令道路法32条道路交通法77条
許可権者道路管理者所轄警察署長
対象道路に工作物を設け、継続して道路を使用する行為道路における工事・作業など、一般交通に影響を及ぼす行為
着眼点道路空間の継続的な専有一時的な交通への影響
冒頭の疑問に戻る。電線を道路上に継続して残すことについては道路占用許可(道路管理者)でカバーされるが、その電線を張るために工事当日、道路上に足場を組んだり作業員が立ち入ったりする行為は、道路交通への一時的な影響を伴う「道路における工事又は作業」に当たり、別途、道路使用許可(所轄警察署長)が必要になる。**1つの工事に、性質の異なる2つの許可がそれぞれ必要になる**ことがある、という点が、この2つの制度を理解するうえで最も重要な視点だ。

地中ケーブルの新設工事も同じ構造で理解できる。工事完了後も地中にケーブルという工作物が継続して残る点では道路占用許可の対象になり、掘削などの工事期間中に道路上で作業を行う点では道路使用許可の対象になる。どちらか一方だけを取得して安心していると、もう一方の許可漏れという事態になりかねない。

電材商社の現場で、この区別がどう効いてくるか

現場から「道路の許可は取ったので大丈夫です」という報告を受けたとき、それが道路占用許可なのか道路使用許可なのか、あるいは両方なのかを確認する視点を持てるようになる。特に、電柱・電線・地中ケーブルのように継続して道路に残る資材を扱う場面では、施工後も残り続ける工作物としての許可(占用)と、施工中の一時的な作業としての許可(使用)の両方が絡んでくることを意識しておくと、現場との会話に具体性が出る。

どちらの許可も、着工前に取得しておくべき手続きだ。工事計画の届出(電気事業法)と同じように、「許可待ちの期間」を工程表に織り込む発想が、道路に関わる工事でも必要になる。

この資格を取ったあと、現場で何が変わるか

この資格を取ったあと、電柱から新しい建物へ引込線を延ばす工事の計画段階で、あなたは「道路管理者への占用許可と、所轄警察署長への使用許可の両方が要る」と、着工前に自分で洗い出せるようになる。片方の許可だけを取って安心し、工事当日に警察官から声をかけられて慌てる——という事態を、計画段階で未然に防げる立場に変わる。

地中ケーブルの新設工事のように、工事完了後も工作物が道路に残る案件では、「継続して残るものだから占用許可」「掘削中の一時的な作業だから使用許可」と、性質の違う2つの許可をそれぞれ別の窓口に申請するスケジュールを組む。この2段階の許可待ち期間を、電気事業法の工事計画届出の30日間と同じように、着工前の工程表に織り込む発想を持てるようになる。

電材商社との関係でも、電柱・電線・地中ケーブルのような道路に関わる資材の案件で、現場からの「道路の許可は取ったので大丈夫です」という報告を鵜呑みにせず、「占用と使用、両方取れていますか」と確認できる担当者になる。許可の抜け漏れが工期の遅れに直結することを理解しているからこそ、取引先との工程調整もより具体的になる。

冒頭の疑問、道路管理者の許可を取ったのに警察署長からも声をかけられた理由。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 道路占用許可と道路使用許可を、同じ許可の別名だと思い込む

    なぜ引っかかるどちらも『道路を使うための許可』という同じような響きのため、1つの許可制度の別の呼び方だと錯覚しやすい

    見破り方道路占用許可(道路法32条、道路管理者が窓口)は工作物を設けて継続的に道路空間を使う許可、道路使用許可(道路交通法77条、所轄警察署長が窓口)は道路上で一時的に工事・作業等を行う許可という、根拠法令・許可権者・対象行為がすべて異なる別の制度だと確認する

  2. 電柱・電線の設置工事は、道路使用許可(警察署長)だけで足りると思い込む

    なぜ引っかかる工事という行為そのものに注目すると、道路交通法上の道路使用許可のイメージが先に立ちやすい

    見破り方電柱・電線のように継続して道路上に工作物を残す場合は、道路管理者への道路占用許可(道路法32条)も必要になると確認する。工事期間中の作業については道路使用許可、工作物を道路に残し続けることについては道路占用許可、という2段階で考える

  3. どちらか一方の許可を取得すれば、もう一方は不要になると思い込む

    なぜ引っかかる『許可を取った』という達成感から、複数の許可が並行して必要になる場面があることを見落としやすい

    見破り方道路占用許可は道路管理者、道路使用許可は所轄警察署長という別の行政機関が窓口であり、一方の許可がもう一方を兼ねることはない。工事の内容によって、両方が必要になるか、どちらか一方で足りるかを個別に確認する

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 道路に電柱、電線、変圧塔その他これらに類する工作物を設け、継続して道路を使用しようとする場合は、道路管理者の許可(道路占用許可)を受けなければならない(道路法32条1項)
  2. 道路占用許可の申請書には、占用の目的、期間、場所、工作物の構造、工事実施の方法、工事の時期、道路の復旧方法などを記載する
  3. 道路において工事若しくは作業をしようとする者又はその工事・作業の請負人は、当該行為に係る場所を管轄する所轄警察署長の許可(道路使用許可)を受けなければならない(道路交通法77条1項1号)
  4. 道路占用許可は道路管理者(国道は国土交通大臣・道路管理者、都道府県道は都道府県、市町村道は市町村など)が窓口、道路使用許可は所轄警察署長が窓口という、許可権者の異なる別の許可制度
  5. 道路占用許可は『継続して道路空間の一部を使用する権利』を与えるもの、道路使用許可は『一時的に道路上で工事・作業等を行う行為』を許可するもので、対象にしている行為の性質が異なる
  6. 電柱・電線・地中ケーブルの新設工事のように、継続して道路上に工作物を設ける工事では、道路占用許可と道路使用許可の両方が必要になる場面が多い
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