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主任技術者・監理技術者の設置義務 — この資格が現場で持つ意味

読み終えると、こうなる

2級電気工事施工管理技士の合格証が、なぜ即座に主任技術者の資格証明になるのかを、条文の構造から説明できるようになる

  • 建設業者が請け負ったすべての工事に主任技術者を置く義務があると、根拠条文(26条1項)とともに説明できる
  • 2級電気工事施工管理技士が主任技術者になれる根拠を、実務経験の要否を含めて説明できる
  • 監理技術者が必要になる条件を、主任技術者との違い(発注者から直接請け負う特定建設業者、下請契約の金額)として説明できる
  • 主任技術者・監理技術者の職務(施工計画・工程管理・品質管理・技術上の指導監督)を挙げられる
考えてみよう

第二種電気工事士は、免状を取得しても3年間は主任電気工事士になれない。ところが2級電気工事施工管理技士は、技術検定に合格したその日から、建設工事現場の主任技術者になれる。同じ「実務経験を問われそうな国家資格」なのに、なぜこの差がつくのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この資格が現場で持つ意味そのものを説明できるようになっている。

主任技術者・監理技術者の制度は、この2級電気工事施工管理技士という資格が現場で価値を持つ、まさにその根拠となる規定だ。ここを正確に理解しておくことが、この科目の中心になる。

すべての工事に必要な主任技術者、一部の工事に必要な監理技術者

建設業者は、請け負った建設工事を施工するときは、工事現場ごとに、当該工事の施工の技術上の管理をつかさどる主任技術者を置かなければならない(建設業法26条1項)。この義務は、一般建設業・特定建設業を問わず、また工事の規模を問わず、建設業許可業者が請け負ったすべての工事に及ぶ。

これに対して監理技術者は、一部の工事にだけ必要になる。発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が、その工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(2以上あるときはその総額)が政令で定める金額以上になる場合、主任技術者に代えて監理技術者を置かなければならない(26条2項)。この政令で定める金額は、現在4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)だ。

主任技術者と監理技術者の関係 主任技術者(26条1項) 建設業者が請け負ったすべての工事に必要 うち、下記に該当する工事は 発注者から直接請け負った特定建設業者で 下請代金総額4,500万円以上(建築一式7,000万円以上) 監理技術者(26条2項)を主任技術者に代えて配置 さらに公共性の高い重要工事(26条3項)は専任義務が加わる 主任技術者と監理技術者の関係(自作の概念図。建設業法26条1項〜3項にもとづく)
主任技術者と監理技術者は、別々の資格ではない。**同じ「工事現場の技術上の管理者」というポストの、要件の重さが違うだけ**だ。監理技術者を置く工事でも「主任技術者と監理技術者の両方が必要」なわけではなく、監理技術者が主任技術者の役割を兼ねて配置される(主任技術者に「代えて」置く)。すべての工事の土台に主任技術者があり、一定規模以上の元請工事ではその土台がそのまま監理技術者に置き換わる、という一段構造で捉えると分かりやすい。

技術検定の合格が、そのまま主任技術者の資格証明になる理由

主任技術者になれるのは、建設業法7条2号のイ・ロ・ハのいずれかに該当する者だ。

  • : 学校教育法による高等学校卒業後5年以上、または大学・高等専門学校卒業後3年以上の実務経験を有する者
  • : 学歴を問わず10年以上の実務経験を有する者
  • : 国土交通大臣がイ・ロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者

技術検定(施工管理技士試験)の合格者は、このハに該当する者として扱われる。イ・ロが実務経験の「年数」で知識・技術を推定する仕組みなのに対し、ハは試験によって「知識・技術そのもの」を直接確認する仕組みだ。

ここで冒頭の疑問に戻る。第二種電気工事士に3年の実務経験期間が必要になるのは、試験が電気工事の作業に必要な知識を問うものであって、現場での施工管理の経験までは証明しないからだ。これに対して施工管理技士の技術検定は、そもそも施工計画・工程管理・品質管理といった**施工管理の実務能力そのもの**を問う試験になっている。試験の中身が、証明したい能力と一致しているからこそ、合格の瞬間にその能力が証明済みとなり、追加の実務経験を必要としない。**「何を試験しているか」と「何の資格として使うか」が一致している**、という設計を理解すると、実務経験を問われる資格と問われない資格の違いが見えてくる。

もう1つの「専任の技術者」— 営業所技術者と主任技術者は、場所が違う別ポスト

7条2号は、実は主任技術者の要件を直接定めた条文ではない。正確には、建設業の許可を受けるための要件として、「その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者)を専任の者として置くこと」を求めている条文だ。26条の主任技術者は、この7条2号イ・ロ・ハの基準を借りて「工事現場ごとに置く技術上の管理者」を定義している、という構造になる。

つまり、営業所技術者(7条2号、許可要件)と主任技術者(26条、現場配置)は、**資格要件は共通していても、配置される「場所」が異なる別のポスト**だ。営業所技術者は建設業の許可を受けた営業所に常駐して契約の締結・履行を管理する立場、主任技術者は個々の工事現場で施工の技術上の管理を行う立場になる。2級電気工事施工管理技士の技術検定合格者は7条2号ハに該当するため、電気工事業の一般建設業の許可を受けた営業所の営業所技術者にもなれるし、工事現場の主任技術者にもなれる。ただし同じ人物が、同時に複数の場所へ「専任」で置かれることはできない点には注意したい。

2級と1級の壁 — 主任技術者にはなれても、監理技術者にはなれない

監理技術者になれる資格要件は、建設業法15条2号に定められており、主任技術者の要件(7条2号)よりも一段上に設定されている。原則として1級の国家資格保有者等が対象で、2級電気工事施工管理技士はこの要件を満たさない。

「施工管理技士」という同じ資格名でも、1級と2級の間には、単なる難易度の差以上の**制度上の壁**がある。2級は主任技術者にはなれるが、監理技術者にはなれない。将来、大規模な元請工事の技術上の管理者を目指すのであれば、1級の取得がその壁を越える具体的な手段になる、という位置関係を知っておくと、資格取得の計画が立てやすくなる。

電気工事業は「指定建設業」— 監理技術者の実務経験ルートが封じられている業種

この壁がなぜ生じるのかを、もう一段掘り下げておく。建設業法施行令5条の2は、施工技術の総合性・普及状況その他の事情を考慮して、指定建設業を土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種に限定している。29業種のうち、この7業種だけが指定建設業に当たり、電気工事業はその一つだ。

指定建設業に係る建設工事の監理技術者になれる者は、建設業法26条2項のかっこ書により、15条2号(技術検定合格者等)又は(イの者と同等以上の能力を有すると国土交通大臣が認定した者)に該当する者に限られる。15条2号が定める実務経験ルート(発注者から直接請け負った請負代金4,500万円以上の工事に関し2年以上指導監督的な実務経験を有する者)は、指定建設業では明文で除外されている。

指定建設業でない業種(大工工事業や左官工事業など)であれば、長年の実務経験だけを積み重ねて監理技術者になる道(ロ)が残っている。ところが電気工事業は指定建設業であるため、この実務経験ルートが最初から封じられており、**技術検定に合格すること(イ)が事実上唯一の現実的な道**になる。2級電気工事施工管理技士が監理技術者になれないのは、単に「2級だから」ではなく、電気工事業が指定建設業であるがゆえに実務経験ルートも使えず、1級相当の技術検定合格者等でなければならないという、二重の理由が重なっているからだ。

専任義務 — さらに重い工事には、その現場だけを見る担当者が必要

公共性のある施設もしくは工作物、または多数の者が利用する施設もしくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、主任技術者・監理技術者は工事現場ごとに専任の者でなければならない(26条3項)。専任が必要になる請負代金の基準は4,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)だ。専任とは、他の工事現場の主任技術者・監理技術者を兼任せず、その現場の管理に専念することを指す。

主任技術者・監理技術者の職務そのものは、26条の3に定められている。工事現場における建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理、および施工に従事する者への技術上の指導監督を誠実に行う、というものだ。

電材商社の現場で、この資格がどう効いてくるか

取引先の電気工事業者と話すとき、「この現場は誰が主任技術者になるのか」「この規模の工事なら監理技術者が必要になるのではないか」という視点を持てるようになると、案件の体制が見えやすくなる。特に、下請への発注額が大きい元請案件では、監理技術者の要件を満たす技術者がいるかどうかが、その業者がその規模の工事を元請として受けられるかどうかの分かれ目になる。

2級電気工事施工管理技士の資格は、「主任技術者として現場を任せられる」という具体的な証明書になる。この資格を持つ技術者がいることは、電気工事業者にとって単なる肩書きではなく、請け負える工事の範囲そのものを左右する実務上の武器だ。

この資格を取ったあと、現場で何が変わるか

合格通知が届いた次の現場で、変わることが一つある。それまでは「主任技術者の下について、指示された範囲を施工する側」だったのが、あなた自身の名前が、その現場の施工計画書と工事台帳に主任技術者として記載される側に変わる。元請の担当者や発注者から「この現場、誰が主任技術者ですか」と聞かれたとき、答えるのがあなた自身になる。

それは同時に、責任の所在があなたに移るということでもある。工程が遅れそうになったとき、「なぜ遅れているのか」「どう挽回するのか」を説明するのはあなただ。品質検査で指摘を受けたとき、是正の判断を下すのもあなただ。事故が起きれば、26条の3の「誠実に行う」義務を実際に負うのもあなただ。この記事の前半で読んだ「専任義務」「職務内容」は、そのときになって初めて、自分ごとの条文として読み返すことになる。

工事現場に出る電気工事士としてキャリアを積んできた人にとって、この資格が変えるのは技術力そのものではない。「指示される側」から「現場の体制を組み、責任を持つ側」への立場の転換だ。取引先の電材商社にとっても、あなたが主任技術者になった瞬間から、あなたへの提案は「この材料で施工できますか」ではなく「この現場、どう進める計画ですか」という一段上の話に変わっていく。

冒頭の疑問、2級電気工事施工管理技士がなぜ合格した瞬間から主任技術者になれるのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 主任技術者の設置義務を、特定建設業者や大規模工事だけの話だと思い込む

    なぜ引っかかる監理技術者や専任義務など『特別な場合』の規定が目立つため、主任技術者そのものも特別な工事にだけ必要な仕組みだと錯覚しやすい

    見破り方26条1項の対象は『建設業者』が『請け負った建設工事』全般であり、一般建設業・特定建設業を問わず、どんな規模の工事でも主任技術者は必要だと確認する。監理技術者はそのうちの一部の工事に、主任技術者に代えて置くものにすぎない

  2. 2級電気工事施工管理技士が主任技術者になるには、資格取得後にさらに実務経験を積む必要があると思い込む

    なぜ引っかかる電気工事士法上の主任電気工事士(第二種電気工事士は免状取得後3年以上の実務経験が必要)と似た制度だと連想し、施工管理技士にも同様の待機期間があると誤解しやすい

    見破り方施工管理技士の技術検定合格者は、建設業法7条2号ハの『大臣が同等以上の知識及び技術を有すると認定した者』として扱われる。試験合格の中にすでに実務レベルの知識・技術の証明が組み込まれているため、合格後すぐに主任技術者になれると確認する

  3. 2級電気工事施工管理技士があれば、監理技術者にもなれると思い込む

    なぜ引っかかる『施工管理技士』という同じ資格名のため、1級・2級の違いを主任技術者・監理技術者の違いと結びつけずに、どちらの資格でもどちらの技術者にもなれると誤解しやすい

    見破り方監理技術者の資格要件(建設業法15条2号)は、主任技術者の要件(7条2号)よりも一段上に設定されており、原則として1級の国家資格等が必要になると確認する。2級は主任技術者の要件は満たすが、監理技術者の要件は原則として満たさない

  4. 専任義務のある工事の基準金額を、監理技術者を置くべき下請契約の金額基準と混同する

    なぜ引っかかるどちらも『一定額以上の工事に、より重い義務がかかる』という同じ構造をしているため、数字を入れ替えて出題されやすい

    見破り方26条2項(監理技術者を置く基準)は『下請契約の請負代金の総額』、26条3項(専任義務の基準)は『元請としての請負代金』という、金額の性質そのものが違うと区別する。数字だけでなく、何の金額を指しているかを確認する

  5. 建設業法7条2号の『営業所ごとに置く専任の技術者(営業所技術者)』を、26条の主任技術者と同じポストだと思い込む

    なぜ引っかかるどちらも同じ7条2号イ・ロ・ハの基準で判定される資格者のため、条文上の要件が同じ=配置場所も同じだと錯覚しやすい

    見破り方7条2号は、建設業の許可を受けるための要件として『営業所ごとに』置く技術者(営業所技術者)を定めた条文、26条は許可取得後に『工事現場ごとに』置く技術者(主任技術者)を定めた条文だと確認する。資格要件(7条2号イ・ロ・ハ)は共通でも、配置される場所(営業所か、工事現場か)が異なる別のポストであり、同一人物が両方を兼ねることは想定されていない

  6. 指定建設業でも、監理技術者は15条2号イ・ロ・ハのどの経路でもなれると思い込む

    なぜ引っかかる監理技術者の資格要件(15条2号)を1つの基準として覚えると、指定建設業かどうかで使える経路が絞られることを見落としやすい

    見破り方26条2項のかっこ書は、指定建設業に係る建設工事の監理技術者について、15条2号イ(技術検定合格者等)又はハ(大臣認定)に該当する者に限ると定めており、ロ(実務経験ルート)を明文で除外していると確認する。電気工事業は建設業法施行令5条の2が定める指定建設業7業種の一つであり、電気工事の監理技術者は実務経験だけではなれない

  7. 指定建設業を、電気工事業を含まない他の専門工事だけの話だと思い込む

    なぜ引っかかる『指定』という言葉から、電気工事より特殊な業種(例えば鋼構造物工事や造園工事)だけが対象だと連想しやすい

    見破り方建設業法施行令5条の2は指定建設業を土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種に限定列挙していると確認する。電気工事業はこの7業種に明文で含まれており、2級電気工事施工管理技士が扱う業種そのものが指定建設業に当たる

参考文献・出典

理解度チェック(12問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、12問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用4問・ひっかけ4問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 12 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 建設業者は、請け負った建設工事を施工するときは、工事現場ごとに主任技術者を置かなければならない(建設業法26条1項)。すべての建設業許可業者・すべての請負工事が対象
  2. 主任技術者になれるのは、建設業法7条2号イ・ロ・ハのいずれかに該当する者。技術検定(施工管理技士試験)の合格者はハの『国土交通大臣が同等以上の知識及び技術を有すると認定した者』として扱われ、実務経験なしで直ちに主任技術者になれる
  3. 発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の総額が政令で定める金額(4,500万円以上、建築一式工事は7,000万円以上)になる場合、主任技術者に代えて監理技術者を置かなければならない(26条2項)
  4. 監理技術者になれる資格は、主任技術者よりも一段上の要件(建設業法15条2号)が求められ、原則として1級の国家資格等が必要になる。2級電気工事施工管理技士は主任技術者にはなれるが、監理技術者の資格要件は原則として満たさない
  5. 建設業法施行令5条の2(15条2号ただし書の建設業)は、施工技術の総合性・普及状況等を考慮して『指定建設業』を土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種に限定している。電気工事業はこの指定建設業の一つに当たる
  6. 指定建設業に係る建設工事の監理技術者になれる者は、建設業法26条2項のかっこ書により、15条2号イ(技術検定合格者等)又はハ(イの者と同等以上の能力を有すると国土交通大臣が認定した者)に該当する者に限られる。15条2号ロが定める実務経験ルート(発注者から直接請け負った工事で請負代金4,500万円以上のものに関し2年以上指導監督的な実務経験を有する者)は、指定建設業では使えない。電気工事業は指定建設業であるため、電気工事の監理技術者は実務経験だけではなれず、技術検定合格者等に限られる
  7. 公共性のある施設・多数の者が利用する施設に関する重要な工事で政令で定めるもの(請負代金4,000万円以上、建築一式工事は8,000万円以上)については、主任技術者・監理技術者は工事現場ごとに専任でなければならない(26条3項)
  8. 主任技術者・監理技術者の職務は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理、および施工に従事する者への技術上の指導監督を誠実に行うこと(26条の3)
  9. 建設業法7条2号は『営業所ごとに置く専任の技術者』(営業所技術者)の要件を定める条文であり、26条の主任技術者・監理技術者(工事現場ごとに置く技術上の管理者)とは配置される『場所』が異なる別のポストだ。ただし一般建設業では、主任技術者になれる者(7条2号イ・ロ・ハ)と営業所技術者になれる者は同じ基準で判定されるため、2級電気工事施工管理技士の技術検定合格者は、電気工事業の一般建設業の許可を受けた営業所の専任の営業所技術者にもなることができる
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