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施工管理法(能力) ・ 3 / 5

品質管理の現場判断

読み終えると、こうなる

検査記録の数字を見たとき、その数字が本当に合格基準を満たしているかを、対地電圧や接地の種類まで含めて自分で計算し直せるようになる

  • 対地電圧の区分(150V以下・150V超300V以下・300V超)に応じた絶縁抵抗値の基準を、測定記録の数値と照合して合否を判定できる
  • A種・B種・C種・D種それぞれの接地抵抗値の基準と緩和条件を区別し、記録された数値が正しい基準と比較されているかを確認できる
  • パレート図・特性要因図・ヒストグラムなど品質管理の手法が、それぞれ『何を明らかにするための道具か』を区別して使い分けられる
  • 検査記録に『合格』と書かれていても、測定条件や基準値の取り違えがないかを疑い、是正処置・予防処置を時系列で判定できる
考えてみよう

制御盤更新工事の完成検査で、施工会社が提出した絶縁抵抗測定記録を確認している。対地電圧200Vの動力回路について、測定値0.15MΩ、判定欄には「合格」と書かれている。数字だけを見れば、絶縁抵抗計の指針は0を示していないし、判定欄にも合格と明記されている。

この記録を、そのまま受け取ってよいだろうか。

このトピックを読み終えるころには、この記録のどこに矛盾があるかを、自分で数値を照合して指摘できるようになっている。

種明かしは、品質管理の能力問題が問うているのが「基準値を知っているか」ではなく「記録された数値を基準値と照合し直せるか」だという点にある。検査記録は「合格」と書かれていれば正しいとは限らない。測定条件(対地電圧の区分、接地の種類)を取り違えたまま判定だけが記載されているケースがあるからだ。

絶縁抵抗値 — 対地電圧の区分を先に確定させる

低圧電路の絶縁抵抗値は、電気設備技術基準第58条により、対地電圧の区分ごとに次のように定められている。

対地電圧の区分絶縁抵抗値の基準
150V以下0.1MΩ以上
150V超300V以下0.2MΩ以上
300V超0.4MΩ以上
0.1・0.2・0.4MΩという3つの数字は覚えやすいが、それぞれが「どの対地電圧の区分に対応するか」まで正確に結びつけないと、検査記録の照合には使えない。100V級の回路は0.1MΩ、200V級の動力回路(対地電圧200V=150V超300V以下の区分)は0.2MΩ、400V級は0.4MΩ、という組み合わせで覚え直しておく。冒頭のシナリオの動力回路(対地電圧200V)に必要なのは0.2MΩ以上であり、測定値0.15MΩはこれを下回っている。判定欄の「合格」は、150V以下の基準(0.1MΩ以上)を誤って当てはめた記載ミスの可能性が高い。

接地抵抗値 — B種だけは固定値ではない

接地工事にはA種・B種・C種・D種があり、それぞれ用途と基準値が異なる。

接地の種類主な適用対象接地抵抗値の基準
A種高圧用機械器具の金属製外箱、避雷器など10Ω以下
B種変圧器の高低圧混触防止用固定値ではなく、1線地絡電流をもとに計算した値
C種300Vを超える低圧機器10Ω以下(緩和条件下で500Ω以下)
D種300V以下の低圧機器100Ω以下(緩和条件下で500Ω以下)
A種・C種・D種は「10Ω」「100Ω」という固定の数字を覚えれば済むが、B種だけは違う。B種接地抵抗値は、変圧器の高低圧が混触したときに想定される1線地絡電流の大きさをもとに計算する値であり、固定の基準値と単純に比較できるものではない。検査記録にB種の抵抗値が「固定の基準値と比較して合格」という形で書かれていたら、その比較の前提自体を疑う必要がある。

C種・D種は、0.5秒以内に自動遮断する漏電遮断器を設置するなどの条件を満たせば500Ω以下まで緩和できる。ただしこれはあくまで条件付きの緩和値であり、緩和条件を満たしているかを確認しないまま500Ω以下を基準として判定するのは誤りだ。

絶縁耐力試験 — 基準は公称電圧ではなく最大使用電圧

絶縁耐力試験は、電気設備技術基準の解釈第16条により、電路の最大使用電圧の1.5倍の電圧(試験電圧)を連続10分間加え、絶縁破壊が生じないことを確認する試験だ。

試験電圧を計算するときに基準とするのは、日常的に馴染みのある「公称電圧」ではなく「最大使用電圧」(公称電圧に規定の係数を掛けた、実際に想定される最高の使用電圧)だ。この基準とする電圧を取り違えると、試験電圧そのものが変わってしまう。「公称電圧の1.5倍」という記載を見たら、まず基準にしている電圧の選び方が正しいかを確認する。

検査の段階 — 材料受入検査・工程内検査・完成検査

品質管理は、工事の1つの時点だけで完結するものではない。材料が現場に届いた段階で発注どおりの品質を満たしているかを確認する材料受入検査、施工の各段階で作業が要求品質を満たしているかを確認する工程内検査、そして工事完了後に全体を確認する完成検査という段階がある。検査記録や施工写真は、監督員等からの請求に対していつでも提示できるよう、適切に管理・保管しておく必要がある。

接地抵抗測定の記録 — 「切り離して測る」を反対に書かれていないか

絶縁抵抗や電圧降下の基準だけでなく、接地抵抗測定の手順そのものを問う記録も、能力問題の題材になる。接地抵抗計(電位差計式)で接地極の接地抵抗を測定する前には、地電圧の確認・電池電圧の確認・検流計零位でのダイヤル読み取りに加えて、接地端子盤内で機器側と接地極側の端子を切り離した状態にすることを確認する必要がある。

検査記録に「機器側と接地極側の端子が**接続されている**ことを確認したうえで測定した」と書かれていたら、それは向きが逆の記載だと疑う。端子が接続されたままだと、測定電流が対象の接地極だけでなく、他の機器につながった別系統の接地極を経由しても流れてしまい、正しい抵抗値が測れない。「接続」と「切り離し」という似た言葉の記載を、判定欄の「合格」を見て読み飛ばさず、どちらの状態で測定すべき試験かを本文の知識と照合し直す。

QC7つ道具 — 何を明らかにしたいかで選ぶ

品質管理の手法として知られるQC7つ道具(パレート図・特性要因図・グラフ・ヒストグラム・散布図・管理図・チェックシート)は、どれも「品質管理のためのグラフ」という括りで一緒くたに覚えられがちだが、それぞれ明らかにしたい対象が違う。

  • パレート図:不良や問題の件数を大きい順に並べ、累積比率とあわせて示す。「どの不良から優先的に対策すべきか」を知りたいときに使う
  • 特性要因図:結果(特性)に対する原因を、魚の骨のような図で系統立てて整理する。「なぜその不良が起きるのか」という原因の構造を知りたいときに使う
  • ヒストグラム:測定値の分布状況を棒グラフで示す。データの「ばらつき」の傾向を知りたいときに使う
  • 散布図:2つの要素の関係性(相関)を点の分布で示す
  • 管理図:時系列でのデータの変動を、管理限界線とあわせて示し、工程が安定しているかを確認する
  • チェックシート:あらかじめ決めた項目についてデータを収集・記録するための表
7つの道具を区別する軸は「優先順位を知りたいのか」「原因の構造を知りたいのか」「ばらつきの分布を知りたいのか」という、明らかにしたい対象の違いだ。名前だけを並べて覚えるのではなく、この対応をペアで覚えておくと、能力問題で「〇〇を把握するために適切な手法はどれか」と問われたときに迷わない。

是正処置と予防処置 ― 時系列で区別する

品質管理の能力問題では、ISO 9000(JIS Q 9000)が定める用語を、架空の対応事例に当てはめて判定させる出題もある。特に混同しやすいのが、是正処置と予防処置だ。

是正処置は、**すでに発生した**不適合の原因を除去し、再発を防止するための処置。予防処置は、**まだ発生していない**、起こりうる不適合の原因をあらかじめ除去する未然防止の処置だ。区別の軸は対応の重大さではなく、時系列(不適合が起きた後か、起きる前か)にある。シナリオ文に「過去に発生した不具合を分析して対策した」とあれば是正処置、「まだ起きていないが、類似の工事で起こりうる不具合を予測して事前に対策した」とあれば予防処置、という読み分け方をする。

特性要因図の説明文に、パレート図の役割が紛れ込んでいないか

QC7つ道具のうち特性要因図とパレート図は、能力問題で説明文をまるごと入れ替えて出題されることがある。特性要因図についての正しい説明を、もう一段具体的に整理しておく。

  • 図の形が魚の骨に似ていることから、フィッシュボーン図とも呼ばれる
  • 問題としている特性と、それに影響を与える要因との関係を、体系的に整理した図である
  • データを活用しながら、事実に基づいて作りあげていく
  • 作成の過程では、参加者から広く意見を集めるブレーンストーミングが有効に働く
これらの説明はすべて特性要因図に当てはまる正しい記述だが、そこに「問題の大きさの順位が容易にわかる」という一文を混ぜられると、一見自然に読めてしまう。この役割はパレート図(不良の件数を大きい順に並べ、優先順位を見る図)のものであり、特性要因図の役割ではない。似た説明文の中に、別の道具の役割を1文だけ混ぜて誤りに仕立てる、という能力問題の典型的な作られ方の1つとして押さえておく。

特性要因図の「大骨」に何を置くか — 4Mで原因を見渡す

特性要因図が魚の骨に似た図だという説明だけを覚えていても、実際に大骨(背骨から枝分かれする主要な軸)に何を立てるかまで理解していないと、能力問題で「この特性要因図の大骨の組合せとして適切なものはどれか」と問われたときに対応できない。

特性要因図の大骨には、一般に**4M**と呼ばれる4つの分類軸を立てる。**Man(人=作業者の技量・経験)・Machine(機械=使用工具や設備の状態)・Material(材料=電線やスリーブ等の品質・ばらつき)・Method(方法=作業手順や施工方法)**の4つで、これに測定(Measurement)や環境(Environment)を加えて5M・6Mとして扱う場合もある。大骨をこの枠組みで立てる理由は、「誰の問題か」「何の設備の問題か」「材料の問題か」「手順の問題か」という**性質の異なる原因群を1つの図の中で見渡せるようにする**ため。思いついた要因を作業日や担当会社ごとに並べただけの図は、原因の性質を区別できておらず、特性要因図の大骨としては成立しない。

例えば、分電盤の結線ミスが多発している現場で原因を整理するなら、大骨は「作業者(技量・経験年数)」「使用工具(圧着工具の状態)」「材料(電線・スリーブのロット差)」「方法(結線手順の周知度)」という4Mで立て、それぞれの大骨から具体的な要因(小骨)を枝分かれさせていく。「月曜日に発生した分」「A社が担当した分」のような分類は、それ自体は事実の記録として有用でも、特性要因図の大骨が担うべき「原因の性質による分類」の役割は果たしていない。

パレート図の数値を読み違えない — 合計件数も改善効果も、勘では出せない

QC7つ道具の使い分けを理解していても、パレート図そのものの数値を読み取らせる出題もある。パレート図は、各不良項目の件数(棒グラフ)と、件数の多い順に足し合わせた累積不良率(折れ線)の2つの情報を同時に示す図だ。能力問題では、この2つの情報から、次のような数値を実際に計算させる。

  • 工事全体の不良件数:各項目の棒の高さ(件数)をすべて足し合わせた値。折れ線が100%に到達しているという見た目の印象だけで「だいたいこのくらいの合計だろう」と見積もると、実際の合計とずれた選択肢に引っかかる
  • 特定項目の占有率:ある項目の件数を、全体の合計件数で割った割合
  • 複数項目を改善したときの改善効果:改善対象にした項目の件数を合計し、それが全体の合計件数に対してどれくらいの割合を占めるかを計算する。累積不良率の折れ線を使えば、その項目までの累積値と、その手前までの累積値の差としても求められる
パレート図の設問は、「何を明らかにする図か」という定義を知っているだけでは解けない。棒グラフに書かれた各項目の件数を実際に1つずつ読み取り、自分の手で足し算・割り算をして初めて、選択肢の数値が正しいかどうか判定できる。合計件数を尋ねる選択肢は、特に「折れ線が100%まで到達しているから、合計もきりのよい大きな数字だろう」という目分量の錯覚を誘う作りになりやすい。目盛りを読んで実際に計算するまで、合計件数は確定しない。

ヒストグラムの離れ小島形 — 少数のデータほど、検算をサボれない

パレート図の数値を実際に計算させる出題があるのと同じように、ヒストグラムでも「分布の形を見て終わり」ではなく、度数(各区間のデータ数)を実際に読み取って平均や総度数を計算し直す出題がある。

制御盤の端子台ねじを30個抜き取り、締付けトルクを測定した自作の数値例で確認する。

締付けトルクの区間(代表値)度数
6N・m台2個
7N・m台3個
8N・m台8個
9N・m台9個
10N・m台4個
11N・m台2個
15N・m台2個

6〜11N・m台までの主分布から離れて、15N・m台に2個だけ孤立したデータが現れている。このような形は離れ小島形と呼ばれ、メインの分布とは別の原因(測定ミス、トルクレンチの校正ズレ、別ロットの部品混入など)が混ざっているサインだ。少数だからといって誤差扱いで無視してよいものではなく、その2個がなぜそこに現れたのかを個別に調べる対象になる。

総度数は各区間の度数を単純に足し合わせた**2+3+8+9+4+2+2=30個**。平均は「代表値×度数」の合計を総度数で割って求める。6×2+7×3+8×8+9×9+10×4+11×2+15×2=270、270÷30=**9.0N・m**になる。ここで「主分布の山が8〜9N・m台に集中しているから、平均も8.0N・mくらいだろう」と目分量で判断すると、離れ小島形の15N・m台2個が平均を押し上げている分を見落とし、実際の計算結果(9.0N・m)とずれた選択肢に引っかかる。パレート図の合計件数と同じく、平均値も「印象」ではなく「代表値×度数の合計÷総度数」という計算で確定させる必要がある。

規格の上限(この例では12N・m)を外れている測定値があるかどうかも、離れ小島形の分布からそのまま読み取れる。15N・m台の2個は明らかに規格の上限を超えており、規格外れの測定値として扱う。分布の形状(離れ小島形かどうか)・総度数・平均値・規格外れの有無という4つの視点を、いずれも実際の数字にもとづいて確認する、という姿勢がヒストグラムの能力問題では問われる。

ヒストグラムの中央値、算出方法まで確認したか

QC7つ道具の1つであるヒストグラムでは、分布の代表値として中央値や平均値が使われる。ここでも、能力問題は数値そのものより算出方法の記載が正しいかを問う。

中央値(メジアン)はデータを大きさの順に並べたときの真ん中の値、平均値はデータの総和をデータの個数で割った値。この2つは別の計算方法であり、報告書に『中央値は◯◯mmで、総和を個数で割って求めた』と書かれていたら、それは平均値の求め方を中央値の説明に当てはめた誤りだと判断する。数値だけを見て納得せず、「その数値はどちらの計算で出したものか」まで記録を確認する姿勢は、絶縁抵抗値や接地抵抗値の記録を照合するときと同じ考え方だ。

冒頭のシナリオを読み解く

冒頭の絶縁抵抗測定記録(対地電圧200V、測定値0.15MΩ、判定「合格」)をもう一度見てみる。対地電圧200Vは150V超300V以下の区分に入るため、必要な基準は0.2MΩ以上だ。測定値0.15MΩはこの基準を下回っているため、本来は不合格のはずであり、「合格」という判定はどこかで基準の当てはめを誤った記載ミスだと考えられる。

品質管理の能力問題を解くコツは、検査記録の「判定」欄の文字を信じないことにある。記載されている測定値そのものを、測定条件に対応する正しい基準値と自分で照合し直す。この一手間を省略しないことが、施工不良の兆候を見抜く出発点になる。

この資格を取ったあと、現場で何が変わるか

取引先から絶縁抵抗や接地抵抗の測定記録を見せられたとき、これまでは「合格」の文字を見て安心していたのが、合格後は対地電圧の区分や接地の種類を自分で確認し、「この対地電圧なら基準は0.2MΩ以上のはずですが、この数値で合っていますか」と、記載内容そのものを照合できるようになる。渡された書類を受け取るだけの立場から、書類の中身を検証できる立場への変化だ。

これは取引先を疑うための知識ではなく、あとから問題が表面化する前に気づくための知識だ。B種接地抵抗が固定値ではないことや、絶縁耐力試験の基準が公称電圧ではなく最大使用電圧であることを知っていれば、取引先の担当者が計算を誤っていても、その場で「基準にしている電圧が違うかもしれません」と穏やかに指摘できる。こうした指摘は、関係を壊すのではなく、むしろ専門性を認められるきっかけになる。

パレート図や特性要因図といったQC7つ道具の使い分けを理解していると、取引先で不具合の再発防止策を検討する場に同席したときも、「その分析なら特性要因図で原因を整理したほうが分かりやすいのでは」と、資材の話を超えた提案ができるようになる。品質管理の言葉で対話できることは、電材商社の担当者としての役割を、納品から改善提案へと一段引き上げる。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 対地電圧の区分を取り違え、150V超300V以下の回路に150V以下の基準(0.1MΩ)を当ててしまう

    なぜ引っかかる絶縁抵抗値の基準は0.1・0.2・0.4MΩという3段階の数字だけが記憶に残りやすく、それぞれがどの対地電圧の区分に対応するかという組み合わせがあいまいになりやすい。特に200V級の動力回路(対地電圧200V=150V超300V以下の区分)に、100V級の基準を当ててしまう誤りが起きやすい。

    見破り方測定値を見る前に、その回路の対地電圧がどの区分(150V以下・150V超300V以下・300V超)に入るかを先に確定させる。100V回路は0.1MΩ、200V級の動力回路は0.2MΩ、400V級は0.4MΩ、という組み合わせを電圧の値とセットで覚え直す。

  2. B種接地抵抗を、C種・D種と同じような固定値(例えば10Ωや100Ω)だと思い込む

    なぜ引っかかるA種・C種・D種は10Ωや100Ωという固定の基準値を持つため、B種も同じように固定値があるはずだと類推してしまいやすい。

    見破り方B種接地抵抗値は固定値ではなく、変圧器の高低圧混触時に想定される1線地絡電流をもとに計算する値だと覚え直す。検査記録にB種の抵抗値が『固定の基準値と比較して合格』と書かれていたら、その比較自体が誤りである可能性を疑う。

  3. 絶縁耐力試験の試験電圧を、公称電圧に1.5倍を掛けて計算してしまう

    なぜ引っかかる『公称電圧』という言葉の方が日常的に馴染みがあるため、試験電圧の基準となる電圧を公称電圧だと誤解しやすい。

    見破り方絶縁耐力試験の試験電圧は、公称電圧ではなく最大使用電圧(公称電圧に一定の係数を掛けた、実際に想定される最高の使用電圧)を基準に1.5倍して求める、という基準となる電圧の違いを先に確認する。

  4. 検査記録に『合格』と書かれていることをそのまま信用し、記載された数値と基準値の照合を省略する

    なぜ引っかかる検査記録という公式な書類に『合格』と明記されていると、その判定自体を疑わずに受け入れてしまいやすい。

    見破り方検査記録を見るときは、判定欄の『合格』という文字ではなく、記載されている測定値そのものを基準値と自分で照合し直す。測定条件(対地電圧、接地の種類)を取り違えたまま『合格』と記載されているケースがあるため、判定と生データの両方を確認する。

  5. QC7つ道具を『どれも同じような品質管理のグラフ』として区別せずに覚える

    なぜ引っかかる7つの道具が一括りに紹介されることが多く、それぞれが『何を明らかにするための道具か』という個別の目的まで踏み込んで覚えないまま、名前だけを暗記してしまいやすい。

    見破り方各道具を目的で区別し直す。パレート図は不良の件数を大きい順に並べて優先順位を見る道具、特性要因図は原因の構造を魚の骨のような図で整理する道具、ヒストグラムはデータのばらつきの分布を見る道具、という対応をペアで覚える。

  6. 是正処置と予防処置を、対応の『重大さ』や『規模』の違いだと思い込む

    なぜ引っかかるどちらも品質改善のための本格的な対応という点で似て見えるため、時系列(起きた後か前か)という区別の軸に意識が向きにくい

    見破り方是正処置は、すでに発生した不適合の原因を除去し再発を防止する処置。予防処置は、まだ発生していない不適合の原因をあらかじめ除去する未然防止の処置。シナリオに『すでに起きた不具合への対応』と書かれていれば是正処置、『まだ起きていないが起こりうる不具合への事前対応』と書かれていれば予防処置、という時系列で判定する。

  7. 特性要因図の説明に『問題の大きさの順位が容易にわかる』という一文を紛れ込ませ、パレート図の役割とすり替える

    なぜ引っかかるどちらもQC7つ道具の一員として並んで紹介されることが多く、それぞれの図が『何を明らかにする道具か』まで踏み込んで区別していないと、優先順位の把握という役割を取り違えやすい

    見破り方特性要因図は、問題(特性)とそれに影響する要因の関係を、魚の骨のような図で体系的に整理する道具であって、件数の大小や優先順位を示す道具ではない。『件数の多い順に並べて優先順位を見る』のはパレート図の役割だと覚え直し、特性要因図の説明にこの一文が混ざっていたら誤りだと判断する

  8. 接地抵抗測定の記録に『端子が接続されていることを確認した』と書かれているのを、正しい手順の記録だと受け取ってしまう

    なぜ引っかかる導通試験のような他の試験では『接続されていること』の確認が正しい手順のため、同じ言葉づかいの記録を見ても違和感を覚えにくい

    見破り方接地抵抗測定は、機器側と接地極側の端子を**切り離した**状態で行う試験だ。記録に『接続されていることを確認した』とあれば、それは手順の取り違えを疑うべきサインであり、『合格』の判定だけを見て済ませてはいけない

  9. 検査報告書のヒストグラム解説で、中央値の定義を平均値の定義(総和÷個数)にすり替える

    なぜ引っかかる中央値も平均値も『データを代表する1つの値』という点で似ており、報告書の文章を流し読みすると定義の違いに気づきにくい

    見破り方中央値はデータを大きさの順に並べたときの真ん中の値、平均値は総和をデータの個数で割った値。報告書の説明文に『中央値とは総和を個数で割った値』とあれば、それは平均値の定義を誤って当てはめた記載だと判定する

  10. パレート図の合計不良件数を、棒の本数や累積不良率の折れ線の見た目の印象から大きめに見積もらせる

    なぜ引っかかる累積不良率の折れ線が100%まで到達しているのを見ると、件数の合計も『きりのよい大きな数字』だろうと直感的に錯覚しやすい

    見破り方合計件数は各項目(棒)の件数を実際に足し算した値であり、折れ線の到達点や『だいたいこのくらいだろう』という印象では確定できない。各項目の件数を1つずつ読み取り、自分で合計してから選択肢の数値と照合する

  11. ヒストグラムに離れ小島形の分布が現れているのに、選択肢に書かれた『平均値』をそのまま正しい数値として受け入れさせる

    なぜ引っかかる平均という言葉には『中心付近の代表値』という漠然としたイメージがあり、選択肢に具体的な数字が書かれていると、わざわざ検算せずに受け入れてしまいやすい

    見破り方各区間の測定値(代表値)と度数をかけ合わせて合計し、総度数で割るまでは、平均値は確定しない。離れ小島形のように分布の端に少数のデータが孤立している場合は特に、その孤立データも含めて計算し直さないと、選択肢の数字が正しいかどうか判断できない

  12. 特性要因図の大骨に、思いついた要因をカテゴリ分けせずそのまま並べても問題ないと考えさせる

    なぜ引っかかる『魚の骨のような図に要因を書き込む』という作業のイメージだけが先行し、大骨という分類の枠組みを設ける意味まで意識が向きにくい

    見破り方特性要因図の大骨は、人(作業者)・機械(設備)・材料・方法という性質の異なる原因群を整理して見渡すための枠組みだ。大骨を立てずに要因を脈絡なく並べると、原因が『誰の問題か』『何の問題か』を区別できず、対策の検討にもつながりにくい。4M(Man・Machine・Material・Method)という枠組みとセットで覚える

参考文献・出典

理解度チェック(14問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、14問で確認しよう。 内訳は基本2問・応用3問・ひっかけ9問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 14 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 低圧電路の絶縁抵抗値は電気設備技術基準第58条により、対地電圧150V以下は0.1MΩ以上、150V超300V以下は0.2MΩ以上、300V超は0.4MΩ以上と定められている
  2. 接地抵抗値はA種10Ω以下、C種10Ω以下(300V超の低圧機器)、D種100Ω以下(300V以下の低圧機器)。B種は固定値ではなく、変圧器の高低圧混触時に想定される1線地絡電流をもとに計算する値。C種・D種は0.5秒以内に自動遮断する漏電遮断器の設置などの条件を満たせば500Ω以下に緩和できる
  3. 絶縁耐力試験は電気設備技術基準の解釈第16条により、電路の最大使用電圧の1.5倍の電圧(試験電圧)を連続10分間加えて絶縁破壊が生じないことを確認する試験。試験電圧の基準は公称電圧ではなく最大使用電圧である点に注意する
  4. 品質管理には、材料が届いた段階で確認する材料受入検査、施工の各段階で確認する工程内検査、完成後に確認する完成検査という段階がある。検査記録・施工写真は監督員等の請求に対しいつでも提示できるよう適切に保管する
  5. QC7つ道具(パレート図・特性要因図・ヒストグラム・散布図・管理図・チェックシート・グラフ)は、それぞれ異なる目的を持つ道具の集合であり、『不良の優先順位を知りたいのか』『原因の構造を知りたいのか』『ばらつきの分布を知りたいのか』で使い分ける
  6. 検査記録の数字だけを見て『合格』の表記を鵜呑みにせず、測定条件(対地電圧や接地の種類)に対応した基準値と照合し直す姿勢が、施工不良の兆候を見抜く出発点になる
  7. ISO 9000(JIS Q 9000)の是正処置は、すでに発生した不適合の原因を除去し再発を防止する処置。予防処置は、まだ発生していない、起こりうる不適合の原因をあらかじめ除去する未然防止の処置。『重大さ』ではなく『不適合が起きた後か、起きる前か』という時系列で区別する
  8. 特性要因図(フィッシュボーン図)は、図の形が魚の骨に似ていることからその名がある。問題としている特性と、それに影響を与える要因との関係を体系的に整理する図で、データや事実に基づきながら、ブレーンストーミングなどで参加者の意見を集めて作り上げていく。『問題の大きさの順位が容易にわかる』という説明はパレート図の役割であり、特性要因図の説明として持ち出すと誤り
  9. 接地抵抗計(電位差計式)で接地極の接地抵抗を測定する前には、地電圧の確認・電池電圧の確認・検流計零位でのダイヤル読み取りに加えて、接地端子盤内で機器側と接地極側の端子を切り離すことを確認する必要がある。端子が接続されたままだと、他の機器の接地系統を経由した電流が混ざり、対象の接地極単独の抵抗値を正しく評価できない
  10. ヒストグラムの中央値(データを大きさの順に並べたときの真ん中の値)と平均値(データの総和をデータの個数で割った値)は別の統計量。『中央値=総和÷個数』という説明は平均値の定義であり、報告書やヒストグラムの解説に紛れ込んでいたら取り違えを疑う
  11. パレート図は『何を明らかにする図か』を知っているだけでは解けない。棒グラフ(各不良項目の件数)と累積不良率の折れ線から、工事全体の不良件数の合計・特定項目の占有率・複数項目を改善したときの改善効果を、実際に足し算・割り算して求めさせる出題がある。折れ線が100%まで到達している見た目の印象だけで合計件数を大きめに見積もると、実際の合計とずれた選択肢に引っかかる
  12. ヒストグラムも、パレート図と同じく『分布の各区間の度数を実際に読み取り、自分で平均・総度数を計算し直す』出題がある。分布の形が離れ小島形(メインの山から離れた場所に少数のデータが孤立する形)になっているときは、その孤立データを含めて平均を計算すると、直感的な『中心あたりの数字』とはズレた値になることがあり、選択肢に書かれた平均値をそのまま信用せず自分で検算する必要がある
  13. 特性要因図の『大骨』(背骨から枝分かれする主要な軸)には、Man(人)・Machine(機械)・Material(材料)・Method(方法)という4M、あるいはこれに測定(Measurement)・環境(Environment)を加えた枠組みで要因を分類することが多い。作業者の技量・使用機材の状態・材料のばらつき・作業手順という、性質の異なる原因群を1つの図の中で見渡せるように大骨を立てるのが目的で、思いついた要因を脈絡なく並べる図ではない
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