パナソニックのロングセラー充電池「eneloop(エネループ)」。実はこの技術が生まれた会社は、もともとパナソニックではありませんでした。なぜ今「パナソニック製」として売られているのでしょうか。 パナソニック エナジー株式会社は、パナソニックグループのエネルギーデバイス事業を担う専門会社です。 円筒形リチウムイオン電池・家庭用蓄電システム・産業用蓄電システムをはじめ、アルカリ乾電池・ニッケル水素電池など幅広い電池製品を製造・販売しています。 民生用から産業・インフラ用途まで対応する電池を国内外へ供給しています。 EV向け円筒形リチウムイオン電池や定置用蓄電池など、脱炭素社会の実現に向けた製品開発にも積極的に取り組んでいます。
パナソニック エナジーの主力製品は、円筒形リチウムイオン電池(NCR・HX系)、家庭用蓄電システム(LJ系)、産業用蓄電システム、アルカリ乾電池(EVOLTA)、ニッケル水素電池です。
パナソニック エナジーの強みと主要製品の特長
創業メンバーの1人が、のちに『パナソニックを飲み込む会社』を興した
1918年の創業メンバー3人(松下幸之助、妻・むめの、義弟・井植歳男)のうち、当時15歳だった井植歳男は1946年に松下電器を退社し、 翌1947年に三洋電機製作所を設立した。三洋電機は独自に電池・家電事業を育てたが、2011年にパナソニックが三洋電機を完全子会社化し、 65年の時を経て創業メンバーの系譜が一つの電池事業として統合された。現行のニッケル水素電池(eneloop等)がSANYO由来の技術・生産基盤を 引き継いでいるのは、この経緯による(パナソニック エナジー公式「電池事業の歴史」年表、パナソニック ホールディングス公式沿革1918年ページ)。
電池事業の原点は、電池そのものではなく『自転車ランプ』だった
1923年、当時の自転車用電池式ランプは2〜3時間しか持たず故障も多かった。松下幸之助は半年間・数十個の試作を重ねた末、 従来の約10倍にあたる30〜40時間持つ「砲弾型電池式ランプ」を完成させた。問屋には電池式ランプへの不信感から取引を断られたため、 小売店に無償で置いて実際に点灯試験をしてもらい、結果がよければ買ってもらうという実物宣伝で評判を広げたという。 乾電池の自社生産開始(1931年、小森乾電池の工場を譲り受け)は、このランプ事業の8年後だった(パナソニック ホールディングス公式沿革1923年ページ、 パナソニック エナジー公式「電池事業の歴史」年表)。
『モデルS』に搭載された電池は、家庭用電池と同じ『18650』サイズだった
パナソニックはテスラモーターズ社と自動車用リチウムイオン電池の供給契約を締結し、供給した電池は同社の高級EVセダン「モデルS」に搭載された。 パナソニック エナジー公式の電池事業年表によれば、2012年に米EVメーカー向け車載用円筒形リチウムイオン電池(サイズ:1865、通称18650)の 供給を開始している。18650は直径18mm・長さ65mmの円筒形電池の規格呼称で、モバイル機器や電動工具向けの民生用電池にも広く使われる サイズだが、車載用と民生用では要求仕様・グレードが異なる(パナソニック エナジー公式「テスラモーターズ社とEV用リチウムイオン電池の 供給契約を締結」ページ、同社「電池事業の歴史」年表)。
単3形乾電池たった2本で、高さ約530mの断崖を登りきったロボットがいる
2008年5月、乾電池の長もち性能を実証するプロジェクト「エボルタチャレンジ」で、単3形乾電池エボルタたった2本を動力源とする 実証ロボット「エボルタくん」が米グランドキャニオンの断崖に挑戦した。雨やひょうが降る過酷な環境の中、6回目の挑戦で登頂に成功し、 東京タワーの約1.6倍にあたる高さ約530mのロープを6時間46分31秒で登りきった(パナソニック公式「エボルタチャレンジの軌跡」ページ)。
『金属の電池』も、パナソニックにとって国産初の挑戦だった
パナソニック エナジー公式の電池事業年表によれば、1954年に国産初となる完全金属外装の乾電池「ナショナルハイパー」を発売している。 乾電池は1931年の自社生産開始から23年後、外装の刷新という形でも「国産初」を打ち立てたことになる。
選定ポイント
- 1918年創業の松下電気器具製作所を源流とし、1931年から乾電池の自社生産を開始した100年超の電池専業の歴史を持つ。2022年4月にパナソニックグループの電池事業を統合し「パナソニック エナジー株式会社」として分社設立された。
- 2011年に三洋電機を完全子会社化しており、現行のニッケル水素電池(eneloop等)はSANYO由来の技術・生産基盤を統合したものである。
- EV向け円筒形リチウムイオン電池は米国ネバダ工場(2017年稼働)・カンザス工場(2025年稼働)で海外生産する一方、乾電池は国内の二色の浜工場(2023年11月に守口工場から移転)で生産しており、製品カテゴリごとに生産拠点が分かれている。
- 創業時(1918年)の最初の製品は電池ではなく「アタッチメントプラグ(差込プラグ)」だった。乾電池の自社生産開始(1931年、小森乾電池の工場を譲り受け)は創業から13年後であり、電池専業に見える現在の姿は後年の事業統合・再編を重ねて形成されたものである(パナソニック ホールディングス公式沿革、パナソニック エナジー公式「電池事業の歴史」)。
- パナソニック エナジーは2016年、鉛蓄電池事業を株式会社GSユアサへ譲渡している。産業用蓄電システムやリチウムイオン電池・乾電池には注力する一方、鉛蓄電池分野は他社へ委ねた経緯があり、現行の製品ラインアップに鉛蓄電池が含まれないのはこの事業再編を反映している(パナソニック エナジー公式「電池事業の歴史」)。
取扱品種一覧
| 品種名 | 代表型番 | 用途 | カテゴリ | 詳細 |
|---|---|---|---|---|
| 円筒形リチウムイオン電池 | NCR18650B・NCR21700A 他 | 電動工具、電気自動車、産業機器、ポータブル電源 | リチウムイオン電池 | 詳細を見る → |
| 家庭用蓄電システム | LJPB21A・LJPC31 他 | 住宅用太陽光発電連携、停電時バックアップ、電力ピークシフト | 蓄電池 | 詳細を見る → |
| 産業用蓄電システム | XLJVL06A・XLJVL12A 他 | 工場・商業施設の停電対策、デマンドコントロール、再生可能エネルギー蓄電 | 蓄電池 | 詳細を見る → |
| EVOLTA乾電池 | LR6EJ/2B・LR03EJ/2B 他 | 家電製品、計測器、防災備品、リモコン、各種電気機器 | 乾電池 | 詳細を見る → |
| ニッケル水素電池 | BK-3MCC・BK-4MCC 他 | 充電式電池を使用する機器 | 蓄電池 | 詳細を見る → |
会社概要
| メーカー名 | パナソニック エナジー株式会社(Panasonic Energy) |
|---|---|
| 略称 | パナソニック エナジー |
| 主力品種カテゴリ | リチウムイオン電池、蓄電池、乾電池 |
参考資料・出典
- パナソニック エナジー 会社概要・沿革
- パナソニック 家庭用蓄電システム LJ-SK84A 仕様(豪州法人ページ)
- パナソニック 乾電池エボルタ単3形2本パック LR6EJ/2B 商品概要
- パナソニック ニッケル水素電池単3形 HHR-3MPS/4B 商品概要
- パナソニック エナジー公式「電池事業の歴史」年表
- パナソニック エナジー公式「テスラモーターズ社とEV用リチウムイオン電池の供給契約を締結」
- パナソニック ホールディングス公式「パナソニックの歴史」1918年(大正7年)
- パナソニック ホールディングス公式「パナソニックの歴史」1923年(大正12年)
- パナソニック公式「エボルタチャレンジの軌跡」
- パナソニック プレスリリース「充電式ニッケル水素電池「エネループ」シリーズを発売」(2023年3月30日発表、BK-3MCD/BK-4MCDを4月25日発売予定として発表、従来品BK-3MCC/BK-4MCCとの比較を記載)
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よくある質問
eneloop(エネループ)は、なぜもともとパナソニックの技術ではなかったのですか?
パナソニック エナジーは1918年創業の松下電気器具製作所を源流とし、2011年に三洋電機を完全子会社化しています。現行のニッケル水素電池(eneloop等)はこのSANYO由来の技術・生産基盤を統合したもので、2022年4月にパナソニックグループの電池事業をまとめて「パナソニック エナジー株式会社」として分社設立された経緯があります。
見積フォームへ進む →NCR系とHX系の違いを教えてください。
NCR系は高エネルギー密度を重視した高容量タイプで、長時間使用する機器に適しています。HX系は高出力・急速充電を重視したタイプで、電動工具など瞬間的な高出力が必要な用途に向いています。
見積フォームへ進む →創蓄連携システムの設置条件や対応パワーコンディショナを教えてください。
創蓄連携システムはパワーステーション(LJPB21A・LJPC31等)と対応するパワーコンディショナとの組み合わせが必要です。
見積フォームへ進む →既存設備への後付け導入は可能ですか?
既存設備への後付け導入も対応可能な場合があります。
見積フォームへ進む →EVOLTAとEVOLTA NEOの違いは何ですか?
EVOLTA NEOはEVOLTAシリーズの最上位グレードで、従来のEVOLTAよりもさらに長持ちする設計です。業務用・長期備蓄用途にはEVOLTA NEOをおすすめしています。
見積フォームへ進む →eneloopと産業用HHR系の違いを教えてください。
エネループとHHR系は別系統の型番で、電池容量・くり返し使用回数・使用温度範囲などの仕様は型番ごとに異なります。用途に合わせて、各型番のメーカー公式資料で仕様を比較してお選びください。
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