候補問題No.3とNo.5は、変圧器の記号にどちらも「V2V」と書かれている。同じ単相変圧器2台のV結線だ。
ところがNo.3の二次側は1φ2W 100V、No.5の二次側は3φ3W 200V。同じ記号、同じ結線方式なのに、取り出せる電気がまったく違う。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、V結線の端子台からどうやって2種類の電気を取り出し分けているかが分かるようになっている。
変圧器は端子台で代用される
第一種の候補問題10問は、すべて変圧器の結線を含んでいる。候補問題の注6は「機器・器具においては,端子台で代用するものもある」とし、実際に令和7年度上期に出題された試験問題(候補No.1の構成)では「変圧器は端子台で代用する」と明記されていた。このとき配布されたのは次の2枚だ。
- 図2「変圧器代用の端子台説明図」 — 一次側U・V(6 600V)、二次側u・o・v(210/105V)、3Pねじ締め端子5箇所、内部結線図つき
- 図3「変圧器結線図」 — 100V回路・200V回路をどう取り出すか、黒・白の色別つき
施工条件には「変圧器代用の端子台は,図2に従って使用すること」「結線は,図3に従って行うこと」と指定された。つまり、変圧器の結線はテスターで動作確認する作業ではなく、配布された結線図どおりに端子をつなぐ作業だ。
候補問題10問の変圧器構成
10問を変圧器の形で整理すると、次のようになる。
| 候補問題 | 変圧器の表記 | 二次側の系統 |
|---|---|---|
| No.1 | 単相1台 | 1φ2W 100V + 1φ2W 200V の2系統 |
| No.2・No.4・No.9 | 単相1台 | 1φ2W 100V |
| No.3 | V2V(単相2台のV結線) | 1φ2W 100V |
| No.5 | V2V(単相2台のV結線) | 3φ3W 200V |
| No.6 | △3△(三相Δ結線) | 3φ3W 200V |
| No.7 | 単相(高圧側CT課題) | 高圧側のCT二次回路が主対象 |
| No.8 | 結線表記なし | 3φ3W 200V |
| No.10 | VT×2(PF付)のV-V結線=計器用変圧器 | 不足電圧継電器・電圧計へ至る計器回路 |
単相1台が5問(No.1・No.2・No.4・No.9と、高圧側CTが主対象のNo.7)、V結線が2問(No.3・No.5)、三相Δ-Δが1問(No.6)、結線表記のない問題が1問(No.8)、計器用変圧器のV-V結線が1問(No.10)で、合わせて10問だ。表記のないNo.8は、単相か三相か・何台かが公表資料からは確定できない。No.1だけは二次側が100Vの1系統では終わらず、200V側に両切スイッチ(2P)と接地極付250Vコンセントがぶら下がる2系統構成になっている。
V結線から2種類の電気が出る理由
V結線は、単相変圧器2台を組み合わせて三相の電気を作る方式だが、その二次側からは2通りの取り出し方がある。
- 3つの線間から三相200Vを取り出す(No.5のような構成)
- 1台分の巻線の両端+中点から単相100V/200Vを取り出す(No.3のような構成)
端子台のどの端子から何本取り出すかを指定するのが当日の変圧器結線図だ。これを読み違えると、回路全体が成立しない。V結線の理解が、10問中2問(No.3・No.5)の土台になっている。
緑の電線が2種類ある理由
候補問題の「施工省略」に指定されている部分の多くは、この接地線(変圧器のEB接地、機器のED接地)にあたる。省略される部分だからといって、太さの区別を知らなくていいわけではない——省略枠の内と外の境界を正確に把握しておくことが、結線ミスを防ぐ。
端子台への結線そのものの注意点
端子台への結線は、座金付き端子へのねじ締めで行う。押さえるべきは3点。
- 心線の確実な締め付け — 単線は引っ張って外れない、より線は持ち上げて外れない、素線をはみ出させない
- 心線の露出 — 高圧側は20mm以上、低圧側は5mm以上で欠陥(次のトピックで詳しく扱う)
- 絶縁被覆を噛み込ませない
ねじの締め付けすぎによる破損(ねじ切り・ねじ山つぶれ)も欠陥の対象になる。
一歩先の使い道
変圧器結線図を読んで端子台に正しくつなぐ作業は、現場でキュービクルの更新や変圧器の増設に立ち会うときの読図力にそのままつながる。結線図という「指示書」を正確に再現する力は、電気的に動くかどうかとは別の能力だ。
今日試せる行動
候補問題10問の変圧器欄を1つずつ見て、V2V・△3△・表記なしのどれに当たるかを書き出してみるといい。10問の骨格が一覧できる。
覚える意味
結線図どおりに結線する、という要求は、現場での「勝手な判断で配線を変えない」という規律の縮図になっている。動けばよいという発想は、後から点検・保守をする別の人が読めない配線を生む。
面白さ
同じ記号から違う電圧が取り出せると知ると、変圧器という機器そのものの見え方が変わる。街のキュービクルの中で、同じような端子台がどちらの取り出し方をしているのか、想像する材料が増える。
ワクワクする未来
変圧器・端子台の読み方は、受変電設備の更新工事という、これから需要が増える現場仕事の入口になる。
冒頭の「なぜ同じV2Vから違う電気が取れるのか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。