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技能試験の基礎(試験の形・端子台・KIP・第一種固有の欠陥) ・ 4 / 6

高圧絶縁電線(KIP)の処理

読み終えると、こうなる

作品の中で『高圧』と呼ばれる部分が、実際には端子2箇所・電線約200mmという小さな範囲に収まっていると分かるようになる

  • より線特有の欠陥(減線・素線の未挿入)を、単線用の感覚と切り離して確認できる
  • 端子台の高圧側と低圧側で、心線の露出の許容値が違う理由を説明できる
  • 候補問題の中で実際に高圧部分に使う作業時間が、全体のごく一部だと見積もれる
考えてみよう

過去の試験問題で支給されたKIP(高圧絶縁電線)は、たった約200mm。切って、剥いて、端子台に差すだけの作業に見える。

それなのに欠陥の判断基準は、この高圧側だけ「心線の露出20mmまで」と、低圧側(5mm)の4倍も緩い数値を設定している。細くて短い電線のはずが、なぜそこだけ基準が緩いのか。

見当がつかなくて当然だ。というより、この数値差の理由は公表資料のどこにも書かれていない。読み終えるころには、書かれていないことを推測で埋めずに、2つの数値をそのまま使い分ける構えが身についている。

「KIP」という名前について、まず確認しておくこと

候補問題の公表資料(P_R08P.pdf)にも、欠陥の判断基準にも、技能試験の概要と注意すべきポイントにも、「KIP」という電線名は一度も登場しない。確認できるのは、実際に令和7年度上期に出題された試験問題(候補No.1の構成)の材料表と配線図だけだ。

材料表には「高圧絶縁電線(KIP),8mm2,長さ約200mm…1本」とあり、配線図では「KIP 8×2」として、電源(1φ2W 6 600V)から変圧器一次側(端子台のU・V)までの2本・各約100mmに使われていた。これは1回分の実施結果であり、令和8年度の各問で実際にKIPが支給されるかは当日の試験問題で確定する。過去の実績として「例年の試験問題ではKIPが支給されてきた」と理解しておくのが、事実に即した書き方になる。

より線であることが持つ意味

KIPは8mm2のより線だ。単線(VVFなど)を扱う感覚のまま結線すると、より線特有の欠陥に気づきにくい。

単線とより線、端子への収め方の違い 単線(VVFなど) 1本の芯線 引っ張って外れたら欠陥 より線(KIPなど) 複数の素線 持ち上げる程度で外れなければ可 より線は単線より判定基準が一部緩いが、素線を減らす・端子に入れ忘れるという単線にはない欠陥が別に存在する

判断基準5-4「より線を減線したもの」、8-2「より線の結線」では素線の一部が端子に入っていないことが欠陥にあたる。一方で8-1ロの解説には「より線の場合は,引っ張ると外れてしまう恐れがありますが,持ち上げる程度で外れなければ欠陥とはなりません」ともある。単線より緩い判定と、単線にはない独自の欠陥が、より線には両方存在する。

高圧側と低圧側で、数値がまったく違う

判断基準は、端子台からの心線露出について高圧側(8-3イ)を20mm、低圧側(8-3ロ)を5mmと、まったく別の数値で定めている。なぜ高圧側だけ4倍緩いのかは、公表資料に説明がない。判断基準が数値[mm]全般に添えている「試験環境や代用品の使用からくる制約等を勘案して設定したもの」という但し書きも、20mmだけを説明したものではない。理由は推測せず、**高圧側20mm・低圧側5mmという2つの数値を別々に覚える**ことだけを持ち帰りたい。

端子台への結線で押さえるべきは3点——①心線の確実な締め付け(単線は引っ張って外れない・より線は持ち上げて外れない・素線をはみ出させない)、②心線の露出(高圧側20mm・低圧側5mm未満)、③絶縁被覆を噛み込ませない——だが、②だけは高圧側と低圧側で数値がまったく違う。同じ「端子台への結線」という作業を、頭の中で2つの基準に分けておく必要がある。

実際に高圧を扱っている時間はどれだけか

候補問題No.7・No.10のような、VCB(真空遮断器)・CT(変流器)・VT(計器用変圧器)を含む高圧受電設備を模した課題でも、VCB・CT・VT本体はいずれも施工省略枠内に描かれている。実際に受験者が結線するのは、CT・変圧器・VTの端子台まわりと、そこから継電器・電流計・電圧計へ至る低圧の計器回路が中心と読める。

つまり、作品の中で本当に「高圧」なのは、電源から変圧器一次側(KIP約200mm・端子2箇所)までの、ごく狭い範囲にとどまる。60分の作業のうち、高圧部分そのものに使う時間は決して多くない。「高圧の試験」の実体は、高圧を安全に低圧へ落とす、その結線を正確にやれるかにある。

一歩先の使い道

高圧絶縁電線の処理は、キュービクル内の高圧引込線まわりの工事に直結する。より線の端子処理、端子台の高圧側・低圧側の使い分けは、この技能試験だけの知識ではない。

今日試せる行動

手元により線の電線があれば、素線を1本だけ意図的にはみ出させてみて、端子にどう入るかを観察してみるといい。素線の未挿入がどれだけ見た目で分かりにくいかが実感できる。

覚える意味

高圧側の数値が低圧側と違う理由は、公表資料に書かれていない。理屈で埋めようとせず、高圧側20mm・低圧側5mmを別々の数字として覚えておく。いずれにせよ判断基準は合否の最低ラインであって、実際の工事ではより厳密な施工が求められる。

面白さ

高圧・低圧という言葉の重さに反して、実際に施工する範囲がごく限られていると分かると、高圧受電設備そのものへの見方が変わる。

ワクワクする未来

高圧絶縁電線の処理ができるということは、ビルや工場の受変電設備の新設・改修という、これから需要が続く現場に入っていける、ということでもある。

冒頭の「なぜ高圧側だけ基準が緩いのか」——公表資料はその理由を書いていない。書かれていないことを推測で埋めない構えについては、理解度チェックの最後の問題で確かめてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 『候補問題にKIPが出る』と断定させる

    なぜ引っかかる令和7年度上期の実例でKIPが使われたことは確認できるが、これは1回分の実施結果であり、公表されている候補問題の骨格そのものには電線種の記載がない。断定した覚え方は、当日別の高圧絶縁電線が指定されたときに対応できなくなる。

    見破り方『KIPが出る』ではなく『過去の試験問題ではKIPが支給された実績がある』という理解にとどめ、当日は材料表で電線種を確認する習慣をつける。

  2. 単線の感覚のまま、より線であるKIPの心線を扱わせる

    なぜ引っかかる第二種で扱う電線の多くは単線(VVFなど)で、心線が1本という前提が身についている。KIPはより線で、素線を減らしたり、一部を端子に入れ忘れたりする独自の欠陥がある。

    見破り方より線を端子に入れるときは、素線がすべて端子内に収まっているかを確認してから締め付ける。より線は『持ち上げる程度で外れなければ欠陥ではない』という判定もあるが、素線の未挿入・減線は別の欠陥として扱われる。

  3. 高圧側の20mmという数値を、低圧側の5mmと同じ感覚で運用させる

    なぜ引っかかる同じ『端子台への結線』という作業なのに、高圧側と低圧側で許容値が4倍違う。1つの数値だけ覚えていると、もう一方の作業でその数値を誤って適用してしまう。

    見破り方端子台に結線する前に、その端子が高圧側(KIPなど)か低圧側かを確認し、20mmか5mmかを声に出してからストリップする。

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 『KIP』という電線名は、候補問題公表資料・欠陥の判断基準・概要と注意すべきポイントのいずれにも登場しない。確認できるのは実際の試験問題の材料表と配線図のみ
  2. 令和7年度上期の試験問題(候補No.1構成)の材料表には『高圧絶縁電線(KIP),8mm2,長さ約200mm…1本』とあり、配線図では『KIP 8×2』として電源から変圧器一次側までの2本・各約100mmに使われた
  3. KIPはより線なので、素線を減らす(5-4)、素線の一部が端子に入っていない(8-2)といった、より線特有の欠陥が関わる
  4. 端子台への結線で、心線の露出は高圧側が20mm以上、低圧側が5mm以上で欠陥。高圧側だけ許容値が4倍緩い
  5. KIPのはぎ取りに電工ナイフが必要という説明は広く言われているが、概要ポイントが名指しで注意喚起しているのはエコケーブル(EM-EEF)とVVRで、KIPは『ケーブルの種類に応じた適切な方法』という一般論の対象にとどまる
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