候補問題No.1は、変圧器1台の二次側から、100Vと200Vという2つの異なる電圧の回路を同時に作る。どちらも同じ変圧器から出ている電線だ。
図には、変圧器の二次側にいくつかの端子が描かれているだけで、「これが100V用」「これが200V用」という説明書きはどこにもない。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、1台の変圧器から2種類の電圧を切り分けて取り出す考え方が分かるようになっている。
まず前提を確認しておく。ここでは配線図そのものは載せない。試験センターが公表している候補問題のPDFを手元に開き、No.1の図を見ながら読み進めてほしい。
図から読み取るもの
No.1の配線図に描かれているのは、次の要素だ。
- 電源:1φ2W 6 600V
- 変圧器(単相・二重円の記号)
- 100V回路:3路スイッチ「イ」×2(1個はコンセントと連用)、ランプレセプタクル「イ」
- 200V回路:両切スイッチ「ロ」(2P)、接地極付コンセント「ロ」(E・250V)
- アウトレットボックス、VVF用ジョイントボックス
変圧器のEB接地(接地極に至る部分)は施工省略に指定されている。図に特記はなく、接地工事の詳細は当日の出題で明記される。
実際に出題された実例から分かること
令和7年度上期に実際に配布された試験問題は、この候補No.1の骨格と一致する構成で出題された。このとき配布された材料表には、高圧絶縁電線(KIP)8mm2・約200mm、VVF2.0-2C(シース青色)、VVF1.6-3C、VVF1.6-2C×2、接地線用のIV5.5mm2緑・IV1.6緑、変圧器代用の端子台(3P・ねじ締め端子5箇所)などが並び、図2「変圧器代用の端子台説明図」・図3「変圧器結線図」が別途配布された。
なおこれは1回分の実施結果であり、令和8年度に実際に配布される試験問題での電線種・色別・接続方法(リングスリーブか差込形コネクタか)は当日の施工条件で確定する。「この問題はこの色」という覚え方はここでも通用しない。
複線図を起こす順序
- 変圧器結線図を先に確認する — 二次側のどの端子が100V用、どの端子が200V用かを、当日配布される結線図で確認してから複線図に着手する
- 100V回路を追う — 3路スイッチ2個(うち1個はコンセントと連用)でランプレセプタクル「イ」を点滅させる回路。連用部分は、スイッチとコンセントを電気的に別系統として描く
- 200V回路を追う — 両切スイッチ「ロ」(2P)は2極を同時に開閉する。200V側のu・vはどちらも非接地側(中点oがB種接地)なので、片方だけ切っても残りに電圧が残る。接地極付コンセント「ロ」の接地極には正しい緑線をつなぐ
- ジョイントボックスで系統ごとにまとめる — 100V系統と200V系統の電線を混同しないよう、接続点を分けて管理する
この問題特有の難所
3路スイッチとコンセントの連用は、外観上は1つの取付枠にまとまっているが、電気的には常時通電のコンセントと、点滅回路の一部であるスイッチという、まったく別の役割を持つ。この切り分けを複線図の段階でできるかどうかが、誤接続を防ぐ分かれ目になる。
踏みやすい欠陥項目
- 3.誤接続,誤結線のもの — 変圧器結線図どおりに結線しないと該当
- 4.電線の色別,配線器具の極性が施工条件に相違したもの — 100V回路・200V回路それぞれの色別指定を混同すると該当
- 8-3イ・ロ — 端子台への結線で、高圧側は20mm以上、低圧側は5mm以上の露出で欠陥
一歩先の使い道
1つの変圧器から複数の電圧を取り出す構成は、実際のキュービクルでも一般的だ。二次側の端子構成を読み、系統ごとに色を分けて追う力は、そのまま現場の受電盤の見方に応用できる。
今日試せる行動
自宅や職場の分電盤を見て、単相3線式であれば100V回路と200V回路がどう分かれているかを確認してみるといい。中性線を挟んで2種類の電圧を作る仕組みが、変圧器結線図の考え方と重なって見えてくる。
覚える意味
複数系統を1つの作品に正確にまとめる力は、電圧を取り違えたまま結線してしまう事故を防ぐための基本になる。
面白さ
同じ2本の端子から、つなぎ方しだいで違う電圧の世界が広がっていると知ると、変圧器という機器の見え方が変わる。
ワクワクする未来
複数電圧の系統を1つの現場でまとめて扱う力は、ビル・工場の受変電設備を任される第一種電気工事士としての、最初の一歩になる。
冒頭の「変圧器の二次側から、どうやって100Vと200Vを切り分けるか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。