3路スイッチは、ふつう2個で1組にして使う。階段の下と上、廊下の両端——どちらからでも同じ照明を点けたり消したりできるように、2個1組で組む器具だ。
ところが候補問題No.2の図には、3路スイッチが単独で1個だけ描かれ、「切替用」と注記されている。1個だけの3路スイッチに、何ができるのか。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、この1個の3路スイッチが回路の中でどんな役目を果たしているかが分かるようになっている。
まず前提を確認しておく。ここでは配線図そのものは載せない。試験センターが公表している候補問題のPDFを手元に開き、No.2の図を見ながら読み進めてほしい。
図から読み取るもの
No.2の配線図に描かれているのは、次の要素だ。
- 電源:1φ2W 6 600V(変圧器二次側 1φ2W 100V)
- 変圧器(単相)、配線用遮断器「B」
- ランプレセプタクル「イ」
- 自動点滅器「イ」(A(3A))
- 3路スイッチ「イ」(切替用・単独使用)
- アウトレットボックス、VVF用ジョイントボックス
変圧器二次側からの「他の負荷へ」とEB接地、自動点滅器の先の「他の負荷へ」が施工省略に指定されている。
自動点滅器と3路スイッチ、それぞれの役割
自動点滅器は周囲の明るさを検知して、暗くなれば自動的にON、明るくなれば自動的にOFFにする器具だ。街灯や屋外灯でよく使われる。ここに3路スイッチを「切替用」として組み込むことで、自動点滅器が判断した状態を、人が任意のタイミングで上書きできるようになる。たとえば、まだ暗くなっていなくても点けたい、あるいは自動点滅器が壊れたときに手動で対応したい、という場面に対応する構成だと理解できる。
複線図を起こす順序
- 施工省略の範囲を先にマークする — 変圧器二次側の「他の負荷へ」・EB接地、自動点滅器の先の「他の負荷へ」を確認し、その先は結線しない
- 自動点滅器の結線を確認する — 記号がA(3A)であることから、電源側・負荷側の端子構成を意識する。実物支給か端子台代用かは当日の材料表で確定する
- 3路スイッチの結線を追う — 単独使用でも3路スイッチである以上、3端子(共通端子+2つの切替端子)を持つ。切替用としての結線方法を、通常の2個1組の使い方と混同しない
- ランプレセプタクル「イ」への結線でまとめる
踏みやすい欠陥項目
- 3.誤接続,誤結線のもの — 自動点滅器と3路スイッチの結線を取り違えると該当
- 2.配置,寸法,接続方法等の相違 — 施工省略の範囲を誤って結線すると、逆に「12-2.不要な工事,余分な工事又は用途外の工事を行ったもの」に該当する可能性がある
一歩先の使い道
自動制御と手動介入を両立させる考え方は、屋外照明だけでなく、換気設備や防犯設備など幅広い制御回路に共通する設計思想だ。この問題を通じて、単なる器具の暗記ではなく「自動と手動を両立させる」という発想そのものを身につけられる。
今日試せる行動
街灯や自動販売機の照明を観察し、明るさセンサーだけで動いているのか、それとも手動スイッチも併設されているのかを見てみるといい。切替用スイッチの実物が、意外と身近にある。
覚える意味
自動点滅器だけに頼ると、故障時に手の打ちようがなくなる。手動での切替手段を残しておく設計は、いざというときに人が介入できる余地を確保するという考え方の表れだ。
面白さ
「3路スイッチ=2個1組」という思い込みが崩れる瞬間は、器具の名前ではなく回路図の意図そのものを読む面白さを教えてくれる。
ワクワクする未来
自動制御と手動制御を組み合わせる発想は、これから広がるスマート照明・自動化設備の設計にもそのまま通じる考え方だ。
冒頭の「1個だけの3路スイッチに何ができるのか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。