電源は3φ3W 6 600V——三相3線式の高圧だ。ところが候補問題No.3で実際に光るのは、ランプレセプタクルと角形引掛シーリングという、ごく普通の単相100V照明器具だ。
図に描かれた変圧器は2台、記号は「V2V」とだけ書かれている。三相の電源から、なぜ単相100Vの照明が点くのか。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、この変換の仕組みが分かるようになっている。
まず前提を確認しておく。ここでは配線図そのものは載せない。試験センターが公表している候補問題のPDFを手元に開き、No.3の図を見ながら読み進めてほしい。
図から読み取るもの
No.3の配線図に描かれているのは、次の要素だ。
- 電源:3φ3W 6 600V
- 変圧器(単相2台・V結線「V2V」)
- ランプレセプタクル「イ」、スイッチ「イ」
- 角形引掛シーリング「ロ」、スイッチ「ロ」+接地極付コンセント(E)の連用
- アウトレットボックス、VVF用ジョイントボックス
変圧器のEB接地・「他の負荷へ」が施工省略に指定されている。
V結線から単相を取り出す仕組み
V結線は、単相変圧器2台を組み合わせて三相の電気を作るための結線方式だ。ただし、その二次側からは2通りの取り出し方がある。
No.3は、1台分の巻線の両端と中点という3点から単相100Vを取り出す構成だ。候補No.5は、同じV2Vの記号を持ちながら、3線間全体から三相200Vを取り出す構成になっている(詳しくは候補No.5のトピックで扱う)。どちらの取り出し方をするかは、当日配布される変圧器結線図が指定する。
複線図を起こす順序
- 変圧器結線図で単相100Vの取り出し位置を確認する — どの2端子(+中点)から100Vを取るかを最初に把握する
- ランプレセプタクル「イ」+スイッチ「イ」の回路を追う — 単純な1灯点滅の系統として結線する
- 角形引掛シーリング「ロ」+スイッチ「ロ」+接地極付コンセントの連用を追う — スイッチとコンセントを電気的に別系統として描き分ける
- ジョイントボックスでまとめる
この問題特有の難所
角形引掛シーリングとランプレセプタクルは、どちらも照明器具だが結線の作法が異なる。ランプレセプタクルは輪作りによるねじ締め、角形引掛シーリングは台座の構造に合わせた結線になる。器具ごとの作法を混同しないことが、この問題でのもう1つの注意点だ。
踏みやすい欠陥項目
- 3.誤接続,誤結線のもの — 変圧器結線図と異なる端子から取り出すと該当
- 8.器具への結線部分 — ランプレセプタクル・角形引掛シーリングそれぞれの結線作法を誤ると該当
一歩先の使い道
V結線の理解は、実際のキュービクルで単相変圧器2台がどう組まれているかを見分ける力につながる。三相の受電設備の中に、単相負荷用の取り出しがどう組み込まれているかを読む視点が身につく。
今日試せる行動
キュービクルや変圧器の写真を見る機会があれば、単相変圧器が2台並んでいるかどうかを観察してみるといい。V結線の可能性がある構成に、目が留まるようになる。
覚える意味
同じ結線方式でも取り出し方で結果が変わるという理解がないまま作業すると、意図しない電圧を負荷にかけてしまう危険がある。結線図どおりに結線することの重要性が、ここに集約されている。
面白さ
三相の電源から単相の照明が点いている、という日常のありふれた光景の裏に、こうした変換の仕組みが隠れていると知ると、電柱の上の変圧器の見え方が変わる。
ワクワクする未来
V結線の理解は、電力会社の配電設備から工場の受電設備まで、幅広い現場で応用が利く基礎知識になる。
冒頭の「三相の電源から、なぜ単相100Vの照明が点くのか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。