作品のどこにも接地棒は打たない。それなのに、緑色の電線が2種類——5.5mm2と1.6mm——別々に支給される。
どちらも同じ「緑」という色だ。太さの違いは、何を意味しているのか。
見当がつかなくて当然だ。読み終えるころには、この2種類の緑線がそれぞれ何のためにあるのかが分かるようになっている。
まず前提を確認しておく。ここでは配線図そのものは載せない。試験センターが公表している候補問題のPDFを手元に開き、No.6の図を見ながら読み進めてほしい。
図から読み取るもの
No.6の配線図に描かれているのは、次の要素だ。
- 電源:3φ3W 6 600V
- 変圧器(三相・「△3△」表記=Δ-Δ結線)
- 電流計「A」(施工省略)を経る回路
- 開閉器「S」(3P15A) → 三相誘導電動機「M 3〜」(施工省略・ED接地)+コンデンサ(施工省略・ED接地)
- ランプレセプタクル「R」(運転表示灯)
- アウトレットボックス
変圧器のEB接地は施工省略に指定されている。
三相の動力回路——他の問題との違い
No.6は、10問の中で唯一「△3△」という三相Δ-Δ結線の変圧器を単独で使う問題だ。二次側は3φ3W 200Vで、三相誘導電動機という動力負荷が登場する。ここまでの候補問題(No.1〜No.5)は、照明・コンセント中心の低圧回路が主だったが、No.6からは動力回路の要素が加わる。
2種類の緑線——B種接地とD種接地
運転表示灯とその他の要素
ランプレセプタクル「R」は運転表示灯として使われている。開閉器「S」が入って電動機が動作しているときだけ点灯するよう、開閉器の負荷側に接続する。電流計「A」は施工省略の対象で、実際に結線するのはその手前までになる。前の候補No.5で扱った表示灯の考え方——「いつ点くべきか」で結線先を決める——は、No.6のランプレセプタクル「R」にもそのまま当てはまる。器具の名前や記号が変わっても、判断の軸は変えない。
複線図を起こす順序
- 三相200Vの動力回路であることを確認する — 照明回路とは異なる、電動機を含む構成であることを最初に押さえる
- 施工省略の範囲を明確にする — 電流計・電動機・コンデンサ・各接地のうち、どこまでが省略対象かを図と施工条件で確認する
- 接地線を太さで見分ける — 変圧器二次側(B種・5.5mm2)と機器側(D種・1.6mm)を混同しない
- 運転表示灯「R」を開閉器の負荷側に結線する
踏みやすい欠陥項目
- 3.誤接続,誤結線のもの — 接地線の太さ・行き先を取り違えると該当
- 2.配置,寸法,接続方法等の相違 — 施工省略の範囲を誤ると該当
一歩先の使い道
接地の種類ごとに電線を使い分ける感覚は、実際の工場・ビルの電気設備における接地工事の設計・点検にそのまま生きる。
今日試せる行動
自宅の分電盤やコンセントのアース線がどの太さかを確認してみるといい。用途に応じて接地線の太さが変わるという感覚が、身近なところからも実感できる。
覚える意味
接地の種類を混同すると、本来求められる保護性能が得られないまま「接地されている」と誤認することになる。太さの違いは、単なる規格上の都合ではなく、守るべき対象の重みの違いを表している。
面白さ
同じ緑色の電線に、こんなに明確な役割の違いがあると知ると、電気設備を見る目の解像度が上がる。
ワクワクする未来
三相の動力回路と接地の使い分けを理解する力は、工場の設備更新やモーター周りの保守という、これから需要が続く現場仕事の土台になる。
冒頭の「2種類の緑線、太さの違いは何を意味するか」——答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。