断路器と遮断器と負荷開閉器。単線結線図では、どれも同じ斜め線1本で描かれている。違うのは、線の先端に付いている小さな印だけだ。なぜこんな似た描き方をするのか。
3つとも「電気を切る」機器なのだから、性能もだいたい同じなのではないかと思うかもしれない。だが実際には、負荷電流すら切れない機器と、短絡電流まで切れる機器が、ほとんど同じ見た目の記号で描き分けられている。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この3つの記号を、丸暗記ではなく1つの法則で見分けられるようになっている。
前のトピックで、単線結線図は「まとめる」ことで情報を圧縮していることを見た。図記号にも同じ発想がある。開閉する機器の記号は、共通の土台の上に、機能を示す小さな印を足し算する形でできている。
共通の土台と、3つの印
JIS C 0617-7の開閉装置の記号は、上下の端子線と、それをつなぐ斜めの可動接点という共通の基本形を持つ。違いはすべて、固定側端子の先端に付く印にある。
横棒は「断路機能」——無負荷のときだけ切り離せる。丸は「負荷開閉機能」——負荷電流を開閉できる。×は「遮断機能」——短絡電流のような故障電流まで遮断できる。印が示す機能は、この順で強くなっていく。
4つの記号を並べて確認する
断路器(DS・07-13-06) は横棒だけ。可動接点の斜め線は横棒の手前で止まり、開いた状態を表す。遮断器(CB/VCB・07-13-05) は×だけ。負荷開閉器(LBS・07-13-08) は横棒+丸の組み合わせで、「断路もできて、負荷も切れる」という2つの機能を持つことをそのまま表している。
そしてヒューズ付き負荷開閉器(07-21-09)——PF・S形の主遮断装置に使われる機器——は、固定側端子の印はLBSと同じ横棒+丸だが、可動接点そのものが細長い長方形に中心線が通ったヒューズの形で描かれる。つまり「断路+負荷開閉」の機能に、ヒューズによる短絡保護の機能が、可動接点の形を変えることで足し算されている。3つの機能を1つの記号に重ねる、この科目でいちばん密度の高い記号だ。
JISに専用記号がない機器名もある
ここまでの4種はJIS C 0617-7に明確な図記号がある。だが、試験や実務の単線結線図でよく見る名前の中には、JISに専用の図記号を持たないものがある。高圧カットアウト(PC)・柱上気中開閉器(PAS)・地中線用ガス開閉器(UGS)だ。
これらは機器の商品名・慣用の略称であって、図記号の名称ではない。PCはヒューズ付きの開閉器系の記号に「PC」と文字を添えて示され、PAS・UGSは負荷開閉器の記号(多くはZCT・GRを併記した形)に「PAS」「UGS」と傍記して示される。つまりここまで見てきた「機能の印を足し算する」記号の語彙と、「機器名を文字で書き添える」実務の慣用表現は、別のレイヤーだと理解しておく必要がある。JISの記号だけを見て機器名を特定しようとすると、この2つのレイヤーを混同してしまう。
記号の語彙を覚えると、初見の図でも読み解ける
横棒・丸・×という3つの印の意味さえ押さえれば、この先の科目で出てくる知らない組み合わせの記号にも、慌てず対応できるようになる。今日試せることとして、電気設備のカタログや竣工図に単線結線図が載っていたら、開閉器系の記号の先端にどんな印が付いているかを探し、それが断路・負荷開閉・遮断のどの機能を意味するか、自分で言い当ててみるといい。
この記号の設計が「足し算」になっているのは、現場でとっさに機器の能力を判断できるようにするためだ。負荷電流すら切れない断路器を、電流が流れたまま操作してしまう事故は実際に起きており、記号を見ただけでその機器に何ができて何ができないかが分かることが、安全な作業手順の土台になっている。
冒頭の疑問、なぜ3つの機器が似た斜め線1本の記号で描かれるのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。