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計器と変成器の記号 — VT・CT・計器類・切換開閉器VS/AS

読み終えると、こうなる

VT・CTという2つの変成器の記号を見て、なぜ片方は短絡禁止、もう片方は開放禁止なのかを言い当てられるようになる。

  • 計器の記号を、円の中の量記号(V・cosφなど)から読み取れる
  • VTとCTの二次側にどんな機器がどうつながっているかを、記号から辿れる
  • VCT(MOF)の記号が、JIS正式な記号ではなく慣用の描き方だと見分けられる
考えてみよう

高圧の回路にいきなり電圧計や電流計をつなぐことはできない。だから間に、電圧や電流を計器が扱える大きさまで落とす機器が入る。VT(計器用変圧器)とCT(変流器)だ。

この2つには、正反対の注意書きが付いている。CTの二次側は「開放してはいけない」。VTの二次側は「短絡してはいけない」。同じように高圧を下げて計器につなぐための機器なのに、なぜ禁止事項がまったく逆になるのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この2つの記号を見ただけで、なぜ禁止事項が逆なのかを説明できるようになっている。

VT(計器用変圧器)とCT(変流器)は、どちらも高圧の電気を、計器や継電器が安全に扱える大きさに変成する機器だ。図記号を見ると、この2つがまったく違う原理で動いていることが分かる。

VTとCTの図記号(JIS C 0617-6) VT(計器用変圧器) CT(変流器) VT(円2個重ねのだるま形)とCT(導体を円がまたぐ形)の図記号(自作、JIS規格票の形状記述に基づく)

VT(計器用変圧器) は、変圧器の一般図記号とまったく同じ様式(円2個を上下に少し重ねただるま形)で描かれる。名前のとおり「小さな変圧器」であり、電圧を落として電圧計・継電器へ送る。二次側には電圧計や不足電圧継電器(UVR)が並列にぶら下がる。

CT(変流器) は、一次導体の縦線を小さい円がまたぎ、円から横に二次側の線が出る記号で描かれる。二次側には電流計や過電流継電器(OCR)が直列につながる。規格票の図では、二次側の線に斜めの短線2本(2本の導体という注記)が付されている。

VTの二次側には電圧計が**並列**に、CTの二次側には電流計が**直列**につながっている。この回路のつなぎ方の違いこそが、禁止事項が逆になる理由そのものだ。VTは一定の電圧を出す「電圧源」なので、二次を短絡すると過大な電流が流れて焼損する。CTは一次電流がそのまま流れ込む「電流源」なので、二次を開放すると行き場を失った磁束が二次側に高電圧を発生させる。**禁止事項は機器の格の違いではなく、回路のつなぎ方(直列か並列か)から導ける。**

計器の記号は「円の中に量記号」が原則

指示計器はJISでは円の中に測る量の文字を書くのが一般則だ。電圧計は円の中に「V」、力率計は円の中に「cosφ」。電力量計だけは積算計であるため円ではなく縦長の長方形に「Wh」と書き、長方形の上部に区切り線が1本入る。

計器の図記号(JIS C 0617-8) V 電圧計(V) cosφ 力率計(cosφ) Wh 電力量計(Wh) 円の中に量記号を書く指示計器の一般則と、長方形で描く電力量計(自作、JIS規格票の形状記述に基づく)

1台の計器で三相を測る切換開閉器

三相の電圧・電流を測るのに、相ごとに専用の計器を3台も置くのは無駄が多い。そこで1台の計器を、切換開閉器で相を切り換えながら使う。

計器用切換開閉器の記号 VS VS(電圧計切換開閉器) AS AS(電流計切換開閉器) VS・AS=正方形の枠に文字と切換接点線を描いた簡略記号(自作、JIS規格票の形状記述に基づく)

VS(電圧計切換開閉器) は1台の電圧計で三相の各線間電圧を切り換えて測る。AS(電流計切換開閉器) は1台の電流計で各相電流を切り換えて測るが、CTの二次側は開放禁止という制約があるため、切り換えの途中でどこかを短絡させながら測る相を切り換える、少し特殊な構造を持つ。見た目は似た記号でも、内部の要求はVTとCTの性質の違いをそのまま引き継いでいる。

VCT(MOF)はJISの記号ではなく慣用のまとめ方

VCT(MOF)の表し方 VT CT Wh 点線の枠=JISの正式な記号ではなく慣用のまとめ方 VCT(電力需給用計器用変成器)=MOF VCT(MOF)=VTとCTを一体の枠で描き、二次側にWh(電力量計)をつなぐ慣用表現(自作)

VCT(電力需給用計器用変成器、通称MOF)は、VTとCTを1台にまとめた機器だが、JIS C 0617にはVCT単独の図記号は無い。 単線結線図では、VTとCTを一体の枠で描いて「VCT」と文字を添え、二次側に取引用の電力量計(Wh)をつなぐ、という慣用の描き方で表される。図の点線枠は、規格の正式な記号ではなく理解のための概念図であることを示すために、あえて実線と描き分けている。

記号のつながり先を追えるようになると、禁止事項が暗記でなくなる

VT・CTの記号とその二次側のつながりが読めるようになると、「CT二次開放禁止」「VT二次短絡禁止」という注意書きが、丸暗記のルールから、回路図を見れば導ける結論に変わる。今日試せることとして、電気設備のカタログや教材にある単線結線図を見つけたら、VTとCTのそれぞれの二次側に何がつながっているか(電圧計か、電流計か、継電器か)を指でたどってみるといい。

この禁止事項が厳格に決められているのは、二次側の誤操作が過去に高圧感電や機器焼損の事故につながってきたからだ。特にCTの二次開放は、瞬間的に人体に危険な高電圧を発生させることがあり、変成器の中でも特に注意を要する。

第一種電気工事士としてキュービクルの保守に関わる仕事では、この2つの記号を見分け、二次側の配線を安全に扱えることが、点検作業の入口になる。

冒頭の疑問、CTとVTの禁止事項がなぜ逆なのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. CTの二次側の開放禁止と、VTの二次側の短絡禁止を逆に覚えさせる

    なぜ引っかかる『変成器』としてVTとCTをひとくくりにしてしまい、禁止事項も同じだろうという先入観を持ちやすい

    見破り方記号のつながり先を見る。CTの二次には電流計・継電器が直列につながる(電流源だから開放すると高電圧が発生)。VTの二次には電圧計が並列につながる(電圧源だから短絡すると大電流が流れる)。回路のつなぎ方の違いから禁止事項を導く

  2. 電流計切換開閉器(AS)が電圧計切換開閉器(VS)と同じ構造だと思わせる

    なぜ引っかかるどちらも正方形の枠に文字を書いた似た記号のため、内部構造も同じだと考えやすい

    見破り方ASは切り換えの途中でCTの二次側を開放しない(=常にどこかの回路を短絡させながら切り換える)特別な構造を持つ点をVSと区別して覚える。VSは電圧計を切り換えるだけで、この制約はない

  3. VCT(MOF)にJISで定められた専用の図記号があると思い込ませる

    なぜ引っかかるVCTは試験に頻出する名称で、専用の決まった記号が規格上あるように見えやすい

    見破り方VCT(MOF)はVTとCTを一体化した機器の通称であり、JISには単独の図記号が無いと理解する。図面上はVTとCTを一体の枠で描き『VCT』と文字で傍記しているだけだと確認する

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 計器用変圧器(VT)は変圧器と同じ様式(円2個を重ねただるま形)の記号で描かれ、高圧を計器・継電器用の低い電圧に変成する
  2. 変流器(CT)は導体の縦線を小さい円がまたぐ記号で描かれ、大電流を計器・継電器用の小さい電流に変成する
  3. 指示計器はJISでは円の中に量記号を書く一般則で表され、電圧計(円+V)・力率計(円+cosφ)・電力量計(長方形+Wh)は個別の図記号として規格票で確認できる
  4. 電圧計切換開閉器(VS)・電流計切換開閉器(AS)は正方形の枠に文字と切換接点線を描いた簡略記号で、1台の計器で三相を切り換えて測る
  5. VCT(MOF)はVTとCTを一体化した機器だが、JISに単独の図記号は無く、VTとCTを一体の枠で描いて『VCT』と傍記する慣用表現
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