原子力発電所には、原子炉の中で発生した水蒸気をそのままタービンに送るタイプと、いったん別の水に熱を渡してから蒸気を作るタイプがある。同じ「原子力発電」という括りなのに、なぜ構造が違うのか。
火力発電のランキンサイクルは、燃料をボイラで燃やして蒸気を作るだけの一段構えだった。原子力発電も「炉で熱を作ってタービンを回す」という点は同じはずなのに、内部の作りが2系統に分かれている理由は何なのか。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この2つの方式の違いを、蒸気の作り方から説明できるようになっている。
原子力発電は、核分裂反応で生じる熱を使って蒸気を作り、タービンを回して発電する。火力発電と同じくランキンサイクルの仲間だが、蒸気の作り方によって沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)の2種類に分かれる。
沸騰水型(BWR)は、原子炉圧力容器の中で冷却水を直接沸騰させて蒸気を作り、その蒸気をそのままタービンへ送る。蒸気発生器を持たない分、系統の構成は単純になる。ただし、タービンを回す蒸気は炉心を通った水そのものなので、タービン側にも放射線管理が必要になる。制御棒は炉の下から挿入する構造だ。
加圧水型(PWR)は、一次冷却水を加圧器で加圧し、高温でも沸騰しない状態のまま炉心の熱を運び、蒸気発生器で別系統(二次系)の水に熱を渡して蒸気を発生させる。タービンを回すのは、放射性物質を含まない二次系の蒸気になる。制御棒は炉の上から挿入する。
再生可能エネルギーの側にも、それぞれ固有の仕組みがある。太陽電池は、半導体のpn接合に光が当たると起電力が生じる光起電力効果で直流を発電する。この直流を家庭や系統で使える交流に変えるのがパワーコンディショナ(PCS)で、①直流→交流変換(インバータ)②最大電力点追従制御(MPPT。日射に応じて最も電力を取り出せる動作点を追う)③系統連系保護、の3つの役割を担う。系統連系保護の中でも重要なのが単独運転検出だ。配電線側が停電したのに太陽光側だけで送電線に電気を送り続けてしまう「単独運転」状態は、保守作業者の感電などの危険につながるため、検出して解列する必要がある。系統喪失時の電気的変化を監視する受動的方式(電圧位相跳躍検出など)と、常に小さな変動を系統に与えて有無を確かめる能動的方式(周波数シフト・無効電力変動・次数間高調波注入など)に大別される。
太陽光発電システムの構成 ― 電気の道のりを一本道でたどる
パワーコンディショナの役割が分かったところで、システム全体の中でそれがどこに居るのかを、電気の流れる順にたどっておく。試験では機器の並び順そのものが問われるからだ。
太陽電池モジュールを何枚か直列につないだ1列をストリングと呼ぶ。ストリングが作るのは直流で、これが何列も屋根や架台に並ぶ。接続箱は、この複数のストリングからの直流を1つにまとめてパワーコンディショナへ送る直流側の機器だ。中には逆流防止素子(ダイオード)と開閉器が入っていて、影がかかるなどして電圧の下がったストリングへ他の回路から電流が逆流するのを防ぎ、点検のときはストリング単位で回路を切り離せるようになっている。
まとまった直流はパワーコンディショナで交流に変わる。ここが直流と交流の境目で、先に見た3つの役割(変換・MPPT・単独運転検出を含む系統連系保護)はすべてこの境目だからこそ担える仕事だ。パワコンから先は交流の世界になり、複数のパワコンの出力を交流集電箱・分電盤でまとめ、高圧・特別高圧で連系する設備では変圧器で系統に合わせた電圧へ昇圧して、電力系統へつながる。
並び順の問題は、暗記ではなく「直流と交流の境目」から解くのが確実だ。直流をまとめる接続箱はパワコンより前にしか置けないし、交流の電圧を変える変圧器はパワコンより後にしか置けない。この1点を押さえれば、機器を入れ替えた選択肢は自動的に消える。
風力発電は、風の運動エネルギーで風車を回して発電する。風車が受け取る風のパワーは、単位時間に通過する空気の運動エネルギー(質量×速度²/2)から導くことができる。単位時間に通過する空気の質量自体が風速に比例するため、全体のパワーは風速の2乗×風速、つまり風速の3乗に比例する関係になる。だからこそ風の強い立地の選定が発電量を大きく左右する。
風車の形式 ― 回転軸の向きで2つに分かれる
風車には、回転軸が地面に対して水平か垂直かで、大きく2つの系統がある。
水平軸の代表がプロペラ形で、大型の風力発電所ではこの形式が主流になっている。風を受けて揚力で回る揚力形で、回転面が風向きに正対する。垂直軸には、揚力形のダリウス形・ジャイロミル形(どちらも風向きを選ばず発電できる利点がある)と、風の抗力を利用して低速でも大きなトルクを出すサボニウス形(静音性に優れる)がある。
なお、似た名前で紛らわしいクロスフロー形は、発電の実務でよく知られているのは主に小水力発電の水車(貫流水車) としての用途だ。風車の分類を扱う文献の中にはクロスフロー形風車を挙げるものもあるが、試験で問われる文脈では「風車ではなく水車の形式」として扱われることが多い。プロペラ形・ダリウス形・サボニウス形が風車として確実に実在するという事実を先に固めておけば、紛れ込んだ選択肢に振り回されずに済む。
燃料電池は、水素と酸素を電気化学反応させて(水の電気分解の逆)化学エネルギーから直接電気を取り出す方式で、燃焼→熱→運動→電気という熱機関の経路を通らない。発電と同時に出る熱を給湯などに使うコージェネレーションにすれば総合効率を高められる。バイオマス発電は、間伐材や廃材などの有機資源を燃焼またはガス化して発電する方式で、天候に左右されず安定的に発電できる点が太陽光・風力と異なる。
りん酸形燃料電池の原理図 — どちらの極に何が入るか
燃料電池は「水素と酸素で発電する」とだけ覚えていると、原理図の穴埋めで止まる。 試験で問われるのは、どちらの電極に何が入り、水がどちら側に出るかだ。
りん酸形燃料電池(PAFC)は、電解質にりん酸水溶液を使い、水素イオン(H⁺)が 電解質の中を移動するタイプだ。この「何が動くか」が分かれば、図の向きは自然に決まる。
| 電極 | 呼び方 | 供給されるもの | 起きること |
|---|---|---|---|
| 負極(燃料極・アノード) | マイナス側 | 水素 H₂ | H₂ → 2H⁺ + 2e⁻。電子を外部回路へ送り出す |
| 正極(空気極・カソード) | プラス側 | 空気(酸素 O₂) | 2H⁺ + ½O₂ + 2e⁻ → H₂O。水ができる |
- 水素が入る側が負極(電子を出す側がマイナス)
- 水ができるのは正極側(H⁺ が移動してきた先で、酸素と結びつく)
つまり生成した水は空気極から出ていく。「水素を入れた側から水が出る」と考えると 反対になる。移動しているのは H⁺ なので、水素は電解質を渡って正極側へ行き、 そこで酸素と出会って水になる——この道筋を1本たどれば、未反応ガスや排出物の 矢印の向きもすべて決まる。
全体の反応は H₂ + ½O₂ → H₂O で、燃焼と同じ反応を「燃やさずに」電気として取り出している。 燃焼を経由しないのでカルノー効率の制約を受けず、発電効率が高いのはこのためだ。 排熱も給湯などに使えば、総合効率をさらに上げられる。
系統に電気を送り込む前に、まず系統の有無を確かめる作法
太陽光発電の設備が「今、系統は生きているか」を常に確かめながら電気を送っているという事実は、意外と知られていない。この確認の仕組みがあるからこそ、停電時に保守作業者が安全に作業できる。
今日試せることとして、自宅や近所の太陽光発電設備のパワーコンディショナの表示を眺めてみるといい。多くは発電量とあわせて、系統との連系状態を示すランプや表示を持っている。
BWRとPWRという2つの構造が並立しているのも、単独運転検出という保護の仕組みが整備されているのも、事故や停電を防ぐための積み重ねの結果だ。そして、太陽光や蓄電池が電力システムに占める割合が増えるほど、この「系統の有無を確かめながら電気を送る」という発想は、これからの電気工事の現場でますます重要になっていく。
冒頭の謎、原子力発電所の構造がなぜ2系統に分かれているのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。