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一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令 ・ 11 / 12

特定電気用品の線引き — 同じケーブルでも22mm²で扱いが変わる

読み終えると、こうなる

「特定かどうか」を丸暗記の運まかせではなく、品目と数値の線引きから判定できるようになり、ひし形と丸形のPSEマークが別物として見えてくる。

  • 試験に出る特定電気用品(絶縁電線・ケーブル・ヒューズ・配線用遮断器・漏電遮断器・差込み接続器・電気便座・電気温水器・携帯発電機など)を即答できる
  • ケーブルの公称断面積22mm²、点滅器30A、遮断器100A、接続器50Aといった数値の線引きで判定できる
  • ひし形PSE(<PS>E)と丸形PSE((PS)E)を、特定/特定以外の区分と結びつけて見分けられる
考えてみよう

電気便座は特定電気用品。電気こたつは特定以外。どちらもヒーターを内蔵した家電なのに、扱いが分かれる。ケーブルはもっと不思議だ。同じ600Vのビニル外装ケーブルでも、公称断面積22mm²以下なら特定電気用品、22mm²を超えると特定以外になる。太い方が電流も大きくて危なそうなのに、厳しい検査を受けるのは細い方だ。

この線は、誰が、何を基準に引いたのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この線引きの考え方と、試験で問われる品目・数値を自分の言葉で説明できるようになっている。

電気用品安全法は、電気用品のうち「構造・使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い」ものを特定電気用品として政令で指定する(2条2項)。区分の実益ははっきりしている。特定電気用品だけは、メーカー(届出事業者)の自己確認に加えて、国の登録を受けた検査機関による適合性検査(9条)を受けなければならない。事故が起きたときの被害が大きく、しかも使う側が欠陥に気づきにくいものほど、第三者の目を通してから世に出す——この設計思想が、2つの別表の線引きに表れている。

では、どこに線があるのか。試験で問われる範囲を、しきい値の数値ごと整理する。

区分主な品目(試験頻出)数値の線引き
特定電気用品(別表第一)絶縁電線・ケーブル・コード・キャブタイヤケーブル定格電圧100V以上600V以下。絶縁電線・キャブタイヤケーブルは100mm²以下、ケーブルは22mm²以下・線心7本以下
温度ヒューズ・その他のヒューズヒューズは1A以上200A以下(100V以上300V以下の交流用)
点滅器(タンブラースイッチ・タイムスイッチ等)定格電流30A以下
配線用遮断器・漏電遮断器・箱開閉器・フロートスイッチ定格電流100A以下
差込み接続器・ねじ込み接続器・ソケット・ローゼット定格電流50A以下・極数5以下
電流制限器定格電流100A以下
小形単相変圧器・放電灯用安定器変圧器は定格容量500VA以下、安定器は放電管の定格消費電力合計500W以下
電気便座・電気温水器・電気温蔵庫・水道凍結防止器・観賞魚用ヒーター電熱器具は定格消費電力10kW以下
電気ポンプ・電気マッサージ器・自動販売機電気ポンプは定格消費電力1.5kW以下
直流電源装置・携帯発電機直流電源装置は定格容量1kVA以下、携帯発電機は定格電圧30V以上300V以下
特定以外(別表第二)ケーブル(太い側)22mm²超100mm²以下
電線管類・附属品、ケーブル配線用スイッチボックス
カバー付ナイフスイッチ・電磁開閉器・ライティングダクト
単相電動機・かご形三相誘導電動機
電気こたつ・電気ストーブ・電気トースター・電気カーペット等
白熱電球・LEDランプ・電気スタンド等の電灯器具
リチウムイオン蓄電池

この表は施行令の別表を試験向けに要約したもので、実際の別表には品目ごとにさらに細かい限定が付いている。だが試験で問われるのは、この表にある代表品目としきい値がほとんどだ。

ケーブル(600V・ビニル外装等)の線引き 公称断面積 22mm²以下 → 特定電気用品 登録検査機関の適合性検査あり・ひし形PSE(<PS>E) 22mm²超〜100mm²以下 → 特定以外 メーカーの自己確認・丸形PSE((PS)E) 100mm²超(または線心8本以上) 電気用品の指定の外(電安法のPSE表示の対象外) 下にいくほど太く・業務用に近づき、規制は軽くなる ケーブルの断面積による区分(自作の概念図。施行令別表第一・第二にもとづく)。厳しい検査がかかるのは細い側
細い方が厳しいのは、逆説ではなく制度の狙いそのものだ。22mm²以下のケーブルや絶縁電線は、一般住宅の壁の中に大量に施工され、量販店でも売られ、電気の素人の生活のすぐそばに入り込む。**流通量が多く、使われる場所が生活に近く、欠陥があっても壁の中に隠れて気づかれないものほど、市場に出る前に第三者の検査を通す**——それが特定電気用品という区分の発想だ。100mm²を超えるような太いケーブルは、指定の枠の外にあり、専門の事業者が図面と検収で品質を確かめる世界で扱われる。電熱器具の仕分けも同じ目で読める。人がそばにいて使うこたつやストーブは特定以外、無監視で通電し続ける便座・温水器・観賞魚用ヒーターや、水気のそばで使うものは特定、という傾向だ。

表示の記号も区分に対応している。特定電気用品にはひし形のPSEマーク、特定以外の電気用品には丸形のPSEマークが付される。電線・ヒューズ・配線器具のように表示スペースの確保が難しいものは、記号に代えて特定電気用品は<PS>E、特定以外は(PS)Eという文字表記でよいとされている(施行規則17条・別表第六・第七)。現場で電線の被覆に印字されているのは、この代替表記の方だ。

なお、この区分が製造・販売・施工それぞれの場面でどんな義務(表示・販売の制限・使用の制限)につながるかは、電気用品安全法の全体像のトピックで扱っている。このトピックはその手前、「そもそもどれが特定なのか」という線引きの地図にあたる。

資材の発注書が、法律の別表とつながって見える

この線引きが頭に入ると、実務の風景が変わる。電材の発注や検収でCVケーブルのサイズを見るとき、22mm²と38mm²の間には単なる太さの違いだけでなく、適合性検査の有無という制度上の段差があると分かる。分電盤に並ぶ配線用遮断器や漏電遮断器が、100A以下という枠で特定電気用品として検査を通ってきた部品だということも読み取れる。

今日試せることとして、手近な延長コードと、LED電球のパッケージを見比べてみるといい。コード側には<PS>E(特定)、LEDランプ側には丸形PSEまたは(PS)E(特定以外)——2種類のマークが、この線引きの実物だ。

冒頭の謎、細いケーブルの方が厳しい検査を受ける理由は。答え合わせは理解度チェックの問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 「熱くて危なそうな家電=特定電気用品」という直感で選ばせる(電気こたつ・電気ストーブは特定以外)

    なぜ引っかかる特定=危険度が高い、と覚えていると、高温になる採暖器具はすべて特定に見える。実際の別表は、こたつ・ストーブ・トースターなど人がそばで使う電熱器具を特定以外に置き、便座・温水器・観賞魚用ヒーターなど無監視で長時間通電したり水気のそばで使うものを特定に置いている

    見破り方電熱器具は「人が見ている前で使うか、目を離したまま通電し続けるか」という視点で仕分ける。便座・温水器・凍結防止器・観賞魚用ヒーターは無監視・水気側なので特定

  2. ケーブルの線引きを「太い方が危険だから特定」と思わせる

    なぜ引っかかる断面積が大きい=大電流=危険、という連想で、22mm²超の方を特定だと選びやすい。実際は22mm²以下が特定、22mm²超100mm²以下が特定以外

    見破り方一般住宅・小規模施設に大量に流通して素人の目に触れる細い側ほど厳しい検査をかける、という制度の向きを思い出す。「細い方が特定」と結論だけ固めてもよい

  3. LEDランプやリチウムイオン蓄電池など「新しい品目」を特定電気用品だと思わせる

    なぜ引っかかる近年追加された品目は話題性があり、規制も重そうに見える。実際はどちらも特定以外の電気用品として指定されている

    見破り方光源(白熱電球・LEDランプ)と蓄電池は特定以外、と品目で覚える。新しさと区分の重さは関係ない

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 特定電気用品は「構造・使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い」電気用品として政令で指定される(電気用品安全法2条2項)。区分の実益は、特定電気用品だけに登録検査機関の適合性検査(9条)が課される点にある
  2. 特定電気用品の代表(施行令別表第一):絶縁電線(100mm²以下)・ケーブル(22mm²以下・線心7本以下)・コード・キャブタイヤケーブル(100mm²以下)〔いずれも定格電圧100V以上600V以下〕、温度ヒューズ・1A以上200A以下のヒューズ、点滅器(30A以下)、配線用遮断器・漏電遮断器(100A以下)、差込み接続器等(50A以下)、電流制限器(100A以下)、小形単相変圧器(500VA以下)、電気便座・電気温水器等の電熱器具(10kW以下)、電気ポンプ(1.5kW以下)、電気マッサージ器、自動販売機、直流電源装置(1kVA以下)、携帯発電機(30V以上300V以下)
  3. 特定以外の電気用品の代表(施行令別表第二):22mm²超100mm²以下のケーブル、電線管類とその附属品、カバー付ナイフスイッチ・電磁開閉器、ライティングダクト、単相電動機・かご形三相誘導電動機、電気こたつ・電気ストーブ・電気トースターなどの家庭用電熱器具、白熱電球・LEDランプ・電気スタンド、リチウムイオン蓄電池
  4. 表示は、特定電気用品がひし形のPSEマーク(表示スペースが取れない電線等は<PS>Eの文字でも可)、特定以外が丸形のPSEマーク(同じく(PS)Eでも可)(施行規則17条・別表第六・第七)
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