在庫確認・見積は今すぐ フォームで依頼する 24時間受付 / 電話は平日 9:00〜17:00 03-3833-6431
電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 13 / 21

ケーブルの端末処理とストレスコーン — 電気力線の逃げ場をつくる

読み終えると、こうなる

キュービクルの中で、ケーブルの先が1か所だけ太く膨らんでいる理由が読み取れるようになる。

  • ケーブル端末の太く膨らんだ部分を見て、破損の補修跡ではなく電界を逃がすための構造だと見分けられる
  • 遮へい銅テープを剥いだだけの状態を、まだ端末処理が終わっていないと判断できる
  • 屋外のケーブルヘッドが複雑な形をしている理由を、沿面距離の確保という一点から言い当てられる
考えてみよう

高圧ケーブルの端末処理で、遮へい銅テープを剥いだあと、切り口をそのまま「切りっぱなし」にしてはいけない。わざわざストレスコーンという部品で、端部を円すい状に太らせる作業が必ず入る。

見た目を整えるだけの作業には見えない。見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この一手間が何を防いでいるかを説明できるようになっている。

前のトピックで見たとおり、CVケーブルの絶縁体内の電界は、接地された遮へい銅テープがあることで軸対称に均一に保たれている。遮へい銅テープが絶縁体の外周をぐるりと覆い、表面を零電位に保っているからこそ、電界は乱れずに済んでいる。

ところが、機器につなぐためにケーブルの端末で遮へい銅テープを切断・除去すると、その均一だった電界のバランスが崩れる。切断端部に電気力線(電界)が集中し、そのままでは部分放電や沿面放電から絶縁破壊に至るおそれがある。

遮へい端部の処理による電界の違い 対策なし(切りっぱなし) 切断端部に電気力線が集中 ストレスコーンあり 電界がなだらかに分散 左:遮へい端部で電気力線が一点に集中する状態/右:ストレスコーンで電界をなだらかに分散させた状態(自作の概念図)
「高圧ケーブル事故の多くは端末部で起きる」という現場の常識は、電界の図1枚で腑に落ちる。**ケーブル本体は同心円状の構造で電界が守られているのに、端末はその構造を人の手で断ち切る場所** だ。だからこそ、切った分だけ、電界を逃がす手当てが別に必要になる。

そこで用いられるのがストレスコーンだ。遮へい端部を円すい状に広げ、等電位線をなだらかに分散させて電界集中を緩和する。市販のケーブル端末処理材(ケーブルヘッド用キット)には、このストレスコーン(応力緩和層)があらかじめ組み込まれている。

こうした端末処理を担う部分をケーブルヘッド(CH)と呼ぶ。ケーブルヘッドは、導体を機器・電線に接続するだけでなく、遮へい銅テープの端部処理(ストレスコーン)、雨水の侵入防止、沿面距離の確保までを一体で担う。屋外で使うケーブルヘッドには、雨や汚損に耐えて沿面距離を確保するための、がいし形・ゴムとう管形などの構造がある。

塩害地区では、ゴムとう管形を選ばない

高圧引込ケーブルの終端処理には、耐塩害屋外終端処理・ゴムとう管形屋外終端処理・ 屋内終端処理などがある。試験で問われるのは、塩害地区(重汚損地域)で何を選ぶかだ。

答えは耐塩害屋外終端処理で、ゴムとう管形は塩害地区には適さない。 海岸に近い地域では塩分を含んだ湿気が絶縁物の表面に付着し、表面漏れ電流が流れて 沿面放電(トラッキング)が起きやすくなる。耐塩害形はひだ(笠)を深く多く取って 沿面距離を稼ぐ構造になっていて、この表面伝いの放電を防いでいる。

「屋外だから屋外終端処理でよい」で止まると外す。**屋外の中でさらに塩害の有無で分かれる**。 選択肢に「塩害地区」「重汚損」「海岸に近い」という言葉が出たら、**耐塩害形**を選ぶ。

太さは自分で決めない — 一般送配電事業者との協議事項

高圧引込ケーブルの電線の太さは、需要家側が計算だけで決めるものではない。 短絡電流に耐えられるかは系統側の短絡容量に左右されるため、一般送配電事業者と 協議して決めるのが実務であり、試験でもそう問われる。

使用するケーブルは、トリプレックス形6600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル (6600V CVT)が一般的だ。単心3本をより合わせた形で、放熱に有利で許容電流が大きく、 曲げやすいため引込に向く。

端末が「弱点」だと知っていると、点検の目が変わる

この構造が分かると、キュービクルの中でケーブルヘッドが施された端末部分を見たときに、「なぜここだけ太く、複雑な形をしているのか」が理由つきで見えてくる。ケーブル本体は均一な電界に守られているが、端末はその均一さを人為的に断ち切る場所であり、だからこそ手当てが必要になる。

ストレスコーンや端末処理が丁寧に扱われるのは、端末部の絶縁破壊事故が、現場で繰り返し起きてきた事故の記録の上に立っているからだ。目立たない一手間が、長年の失敗から生まれた対策であることが分かる。

高圧ケーブルの端末処理は、太陽光発電所や高圧受電設備の増設工事など、これから増えていく高圧設備の接続工事で必ず必要になる作業でもある。この構造を理解していることが、その現場に立つための土台になる。

冒頭の「なぜ切りっぱなしにせず、わざわざ端部を太らせるのか」。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. ストレスコーンを絶縁体の破損を補修する部品だと誤解させる

    なぜ引っかかる『端末処理』という言葉から、傷んだ部分を直す補修部品をイメージしやすい

    見破り方ストレスコーンは破損の補修ではなく、遮へい銅テープの切断端部に生じる電界集中をあらかじめ緩和するための構造だと確認する

  2. 遮へい銅テープを端末でできるだけ多く除去した方が安全だと誤答させる

    なぜ引っかかる『遮へいを除去して導体を露出させる作業』というイメージから、除去そのものが目的だと錯覚しやすい

    見破り方遮へい銅テープを除去すること自体が電界集中の原因になる。除去した切断端部の処理(ストレスコーン)まで含めて初めて端末処理が完成すると考える

  3. ケーブルヘッド(CH)の役割を導体の接続だけに限定させる

    なぜ引っかかる『ヘッド』という言葉から、電線をつなぐ接続部品としての機能だけを思い浮かべやすい

    見破り方ケーブルヘッドは導体の接続に加えて、遮へい端部の処理(ストレスコーン)、雨水侵入防止、沿面距離の確保という複数の役割を兼ねている点を確認する

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. CVケーブルの絶縁体内の電界は、接地された遮へい銅テープがあることで軸対称に均一に保たれている
  2. 端末処理で遮へい銅テープを切断・除去すると、その切断端部に電気力線(電界)が集中し、部分放電や沿面放電から絶縁破壊に至るおそれがある
  3. ストレスコーンは遮へい端部を円すい状に広げ、等電位線をなだらかに分散させて電界集中を緩和する部品で、市販のケーブル端末処理材(ケーブルヘッド用キット)に組み込まれている
  4. ケーブルヘッド(CH)は、導体を機器・電線に接続するための処理部で、遮へい銅テープの端部処理(ストレスコーン)、雨水侵入防止、沿面距離の確保を担う。屋外用にはがいし形・ゴムとう管形などがある
Xでシェア
打ち合わせを予約 見積依頼