高圧の活線作業では、絶縁性能のあるゴム手袋を着けるだけでは終わらない。そのゴム手袋の上から、さらに使い古した皮の手袋を重ねて着ける。絶縁のためならゴムだけで十分なはずなのに、なぜもう1枚、電気を通しそうな皮手袋を重ねるのか。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この重ね着けが何を守っているかを説明できるようになっている。
高圧の活線作業・活線近接作業では、感電を防ぐための道具が、大きく2つの種類に分けられる。絶縁用保護具と絶縁用防具だ。
絶縁用保護具は、高圧用絶縁ゴム手袋、絶縁衣・絶縁ズボン、電気用保護帽など、作業者の身体に着けて感電を防ぐものだ。使用電圧7000V以下が対象とされる。これに対して絶縁用防具は、絶縁シート(高圧プラスチックシート)、絶縁管、がいしカバーなど、作業者に着けるのではなく、作業者が触れるおそれのある充電部・支持物側に取り付けて充電部を覆うものだ。絶縁用保護具等の規格(昭和47年労働省告示第144号)は、この保護具・防具に加えて活線作業用装置・活線作業用器具の4区分を規定している。
高圧用絶縁ゴム手袋は単独では傷みやすいため、外側にはめる保護革手袋の併用が必要とされる。ゴム手袋が絶縁を担い、保護革手袋がその絶縁層を鋭利なものや擦り傷といった外的損傷から守る、という役割分担だ。
告示144号は、使用電圧区分ごとに耐電圧試験の電圧を定めている。使用電路600V超〜3500V以下のものは12000V、3500V超〜7000V以下のものは20000Vに、それぞれ1分間耐えることが求められる。
これとは別に、労働安全衛生規則第351条は、絶縁用保護具等について6月以内ごとに1回の定期自主検査を義務づけ、検査年月日・方法・箇所・結果・実施者・補修等の内容を3年間保存すると定めている。検査で異常が見つかれば、補修その他必要な措置をとった後でなければ使用してはならない。
道具の名前が、着け方の答えを教えてくれる
保護具と防具の区別が身につくと、キュービクルの点検写真に写っている資材が、作業者の装備なのか、電路側の対策なのかを、名前を聞く前に見分けられるようになる。今日試せる行動として、電気工事関連の資材カタログや安全用品店の商品分類を眺めてみると、「保護具」と「防具」がはっきり別の棚に分かれていることに気づけるはずだ。
この区別と定期自主検査が厳格に定められているのは、絶縁用保護具の劣化や損傷を見逃した結果として起きた感電事故の記録があるからだ。6月ごとの検査という頻度も、思いつきの数字ではなく、事故と保守の歴史の上に決められている。
高圧の活線作業・活線近接作業は、太陽光発電や蓄電池設備の高圧連系工事でも避けて通れない場面だ。保護具と防具を正しく使い分け、定期自主検査を怠らないという基本が、その現場に立つための土台になる。
冒頭の「なぜゴム手袋の上に皮手袋を重ねるのか」。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。