セルあたりの電圧を比べると、鉛蓄電池は2V、これから見るアルカリ蓄電池は1.2Vしかない。数字だけ見れば見劣りする。それなのに、極寒地の屋外や、過酷な使われ方をする設備では、あえて鉛ではなくアルカリ蓄電池が選ばれることがある。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、電圧の低さの裏にある強さを説明できるようになっている。
据置蓄電池には、鉛蓄電池のほかに、アルカリ蓄電池と呼ばれる系統がある。代表的なのがニッケル・カドミウム蓄電池で、正極活物質はオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、負極活物質は金属カドミウム(Cd)。電解液は水酸化カリウム(KOH)水溶液で、鉛蓄電池の希硫酸とは違うアルカリ性の液体を使う。「アルカリ蓄電池」という呼び名は、この電解液の性質からきている。
公称電圧はセルあたり1.2V。鉛蓄電池の2Vと比べると、同じ電圧を得るのに多くのセルを直列につながなければならない。ここだけ見ると不利に思える。
温度と容量の関係はアルカリ蓄電池にも当てはまる。周囲温度が常温付近のとき電池容量は最も大きくなり、低温・高温では容量が減少する。それでも、低温での性能低下の度合いは鉛蓄電池より穏やかとされ、これが極寒地の設備で選ばれる理由の一つになっている。
もう一つ、近年の据置蓄電池の話に欠かせないのがリチウムイオン二次電池だ。公称電圧はセルあたり3.7Vと高く、エネルギー密度が他の二次電池より高い、自己放電が小さい、サイクル特性が良いという特徴を持つ。定置用でもUPSや非常用電源への採用が広がりつつある。ただし、自家用受変電設備の制御電源・防災電源の解説としては、鉛蓄電池(特に制御弁式)とアルカリ蓄電池が依然として中心的な存在だ。
「頑丈さで選ぶ」という発想が現場にあると分かること
蓄電池を選ぶとき、電圧やエネルギー密度の数字だけを比較する人は多い。だが実際の現場では、極寒の屋外や振動の多い場所、過充電・過放電が起きやすい運用条件など、環境の厳しさに耐えられるかどうかが選定の決め手になることがある。この視点が分かると、なぜ設備によって鉛蓄電池とアルカリ蓄電池が使い分けられているのかが見えてくる。
こうした使い分けが定着しているのは、電圧やエネルギー密度だけで選んで環境に負けた蓄電池が、非常時に働かなかったという教訓の積み重ねがあるからだ。
据置蓄電池の世界は、太陽光発電やEV関連の設備が広がるにつれて選択肢が増えている分野でもある。リチウムイオン電池が定置用に広がりつつあるのも、その流れの一つだ。それぞれの電池の強みを知っていることが、これからの設備選定に関わる仕事の土台になる。
冒頭の「なぜ電圧の低いアルカリ蓄電池があえて選ばれることがあるのか」。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。