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電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 10 / 21

アルカリ蓄電池とリチウムイオン — 鉛蓄電池にはない強さ

読み終えると、こうなる

電圧の低い電池を『性能が劣る』と思っていたのが、実は現場での頑丈さで選ばれている場合があると気づく。

  • 据置蓄電池を選ぶとき、電圧の高さだけでなく低温特性・過充電への強さも比べて選び直せる
  • 電解液がKOH水溶液か希硫酸かを聞いただけで、鉛蓄電池とアルカリ蓄電池のどちらかを見分けられる
  • 極寒地の設備になぜ低電圧のアルカリ蓄電池が選ばれるのか、頑丈さという観点から言い当てられる
考えてみよう

セルあたりの電圧を比べると、鉛蓄電池は2V、これから見るアルカリ蓄電池は1.2Vしかない。数字だけ見れば見劣りする。それなのに、極寒地の屋外や、過酷な使われ方をする設備では、あえて鉛ではなくアルカリ蓄電池が選ばれることがある。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、電圧の低さの裏にある強さを説明できるようになっている。

据置蓄電池には、鉛蓄電池のほかに、アルカリ蓄電池と呼ばれる系統がある。代表的なのがニッケル・カドミウム蓄電池で、正極活物質はオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、負極活物質は金属カドミウム(Cd)。電解液は水酸化カリウム(KOH)水溶液で、鉛蓄電池の希硫酸とは違うアルカリ性の液体を使う。「アルカリ蓄電池」という呼び名は、この電解液の性質からきている。

公称電圧はセルあたり1.2V。鉛蓄電池の2Vと比べると、同じ電圧を得るのに多くのセルを直列につながなければならない。ここだけ見ると不利に思える。

鉛蓄電池とアルカリ蓄電池の比較 公称電圧 鉛:2V/セル アルカリ:1.2V/セル 電解液 希硫酸(酸性) KOH水溶液(アルカリ性) 低温特性 凍結のおそれ 比較的優れる 過充電・過放電 比較的弱い 比較的丈夫 電圧の高さでは測れない強さが、アルカリ蓄電池にはある 鉛蓄電池とアルカリ蓄電池(ニッケル・カドミウム)の主な違い(自作の比較図)
電圧の数字だけを見ると、アルカリ蓄電池は鉛蓄電池に劣るように見える。だが実際には、高率放電特性・低温特性に優れ、寿命も比較的長い。大電流放電での耐久性が高く、過充電・過放電に対しても鉛蓄電池より丈夫とされる。**「電圧の高さ」と「頑丈さ」は別の評価軸であり、据置蓄電池を選ぶときはこの2つを天秤にかけている。**

温度と容量の関係はアルカリ蓄電池にも当てはまる。周囲温度が常温付近のとき電池容量は最も大きくなり、低温・高温では容量が減少する。それでも、低温での性能低下の度合いは鉛蓄電池より穏やかとされ、これが極寒地の設備で選ばれる理由の一つになっている。

もう一つ、近年の据置蓄電池の話に欠かせないのがリチウムイオン二次電池だ。公称電圧はセルあたり3.7Vと高く、エネルギー密度が他の二次電池より高い、自己放電が小さい、サイクル特性が良いという特徴を持つ。定置用でもUPSや非常用電源への採用が広がりつつある。ただし、自家用受変電設備の制御電源・防災電源の解説としては、鉛蓄電池(特に制御弁式)とアルカリ蓄電池が依然として中心的な存在だ。

「頑丈さで選ぶ」という発想が現場にあると分かること

蓄電池を選ぶとき、電圧やエネルギー密度の数字だけを比較する人は多い。だが実際の現場では、極寒の屋外や振動の多い場所、過充電・過放電が起きやすい運用条件など、環境の厳しさに耐えられるかどうかが選定の決め手になることがある。この視点が分かると、なぜ設備によって鉛蓄電池とアルカリ蓄電池が使い分けられているのかが見えてくる。

こうした使い分けが定着しているのは、電圧やエネルギー密度だけで選んで環境に負けた蓄電池が、非常時に働かなかったという教訓の積み重ねがあるからだ。

据置蓄電池の世界は、太陽光発電やEV関連の設備が広がるにつれて選択肢が増えている分野でもある。リチウムイオン電池が定置用に広がりつつあるのも、その流れの一つだ。それぞれの電池の強みを知っていることが、これからの設備選定に関わる仕事の土台になる。

冒頭の「なぜ電圧の低いアルカリ蓄電池があえて選ばれることがあるのか」。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. アルカリ蓄電池の公称電圧を鉛蓄電池と同じ、あるいはより高いと誤答させる

    なぜ引っかかる『高性能』というイメージから電圧も高いはずだと思い込みやすい

    見破り方公称電圧はセルあたりで比較する。鉛蓄電池2V、アルカリ蓄電池(ニッケル・カドミウム)1.2Vと、数値を対にして覚える。優劣は電圧の高さだけでは決まらない

  2. 電解液の性質を鉛蓄電池と同じ酸性だと誤答させる

    なぜ引っかかる『蓄電池の電解液=希硫酸』というイメージを鉛蓄電池以外にも当てはめてしまう

    見破り方鉛蓄電池は希硫酸(酸性)、アルカリ蓄電池は水酸化カリウム水溶液(アルカリ性)と、電池の種類ごとに電解液の性質が違うことを名前(アルカリ蓄電池)と結びつけて覚える

  3. アルカリ蓄電池は過充電・過放電に弱いと誤答させる

    なぜ引っかかる『鉛より小型・特殊な用途』という印象から、扱いに気を使う繊細な電池だと誤解しやすい

    見破り方実際は逆で、大電流放電での耐久性が高く、過充電・過放電に対して鉛蓄電池より丈夫とされる。低温特性に優れる点とあわせて、頑丈さが特徴だと覚える

  4. リチウムイオン蓄電池がすでに定置用の主流になっていると誤答させる

    なぜ引っかかる民生用途での普及イメージから、据置形の分野でも同じ位置づけだと思い込みやすい

    見破り方定置用途では『UPSや非常用電源への採用が広がりつつある』段階であり、自家用受変電設備の制御電源・防災電源の中心は依然として鉛蓄電池(特に制御弁式)とアルカリ蓄電池であることを確認する

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. アルカリ蓄電池(ニッケル・カドミウム蓄電池)の正極活物質はオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、負極活物質は金属カドミウム(Cd)、電解液は水酸化カリウム(KOH)水溶液
  2. 公称電圧はセルあたり1.2Vで、鉛蓄電池の2Vより低い
  3. 高率放電特性・低温特性に優れ、寿命も比較的長い。過充電・過放電に対しても鉛蓄電池より丈夫とされる
  4. 周囲温度が常温付近のとき電池容量が最も大きくなり、低温・高温では容量が減少する
  5. リチウムイオン二次電池は公称電圧3.7V/セルと高く、高エネルギー密度・自己放電が小さい・サイクル特性が良いという特徴を持ち、定置用でもUPSや非常用電源への採用が広がりつつある
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