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電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 2 / 21

断路器・遮断器・高圧交流負荷開閉器 — 何を切れて何を切れないか

読み終えると、こうなる

キュービクルの中に並ぶ似たレバーが、同じ『電気を切る道具』ではなく、切れる電流の大きさで役割の違う3種類に分かれていると仕分けられるようになる。

  • 通電中のレバーに触れる前に『これは開けてよいか』と自問し、断路器(DS)だけは無負荷でしか操作してはいけないと判断できる
  • 『開閉器』という名前だけで能力を判断せず、DS・LBS・CBを切れる電流の大きさ(負荷電流・短絡電流)で仕分けられる
  • CBが単独で事故を判断しているのではなく、CTやZCTからの信号を受けて動く実行役にすぎないと切り分けられる
  • 電動機やコンデンサのように1日に何度も入り切りする負荷には、遮断器ではなく高頻度開閉用の真空電磁接触器を選べる
考えてみよう

キュービクルの中には、見た目のよく似た金属の箱やレバーがいくつも並んでいる。断路器、遮断器、負荷開閉器——どれも「電気を切る」ための機器のように見える。

ところが、この3つには「電流が流れたまま操作してよいかどうか」という、命に関わる決定的な違いがある。同じように見えるレバーの1つを、通電中に操作してしまうと、接点の間に火花が飛び、機器が焼け焦げる事故につながることがある。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この3つを見分ける1つの基準を説明できるようになっている。

見分ける基準はただ1つ、「どれだけの大きさの電流まで切れるか」 だ。

  • 断路器(DS) — 消弧能力(アークを消す装置)を持たない。JIS C 4606の定義は「単に充電された電路を開閉分離するために用いる開閉機器で、負荷電流の開閉を目的としないもの」。負荷電流すら切れない
  • 高圧交流負荷開閉器(LBS) — 負荷電流が流れている回路を開閉できる。ただし短絡電流のような大きな故障電流は遮断できない
  • 遮断器(CB・実務ではほぼ真空遮断器VCB) — 負荷電流はもちろん、短絡電流のような故障電流まで安全に遮断できる
切れる電流の大きさで並べると DS(断路器) 負荷電流すら切れない(無負荷専用) LBS(負荷開閉器) 負荷電流を開閉できる CB(遮断器・VCB) 負荷電流+短絡電流まで遮断できる 小さい電流 大きい電流(短絡) 3機器が対応できる電流の大きさを、面積の大小で表した概念図(自作)

DSが負荷電流すら切れないのは、消弧能力を持たないからだ。電流が流れたままDSを開くと、接点間にアークが生じて短絡・焼損に至る。だからDSは、必ず主遮断装置(CBまたはLBS)で先に電流を止めた無負荷の状態でしか操作してはいけない。この操作順序が固定される理由そのものが、DSの構造にある。

CBやLBSが事故のときに電路を切る「実行役」だとすると、事故そのものを見つける「見張り役」は別にいる。CT(変流器)とOCR([過電流継電器](/terms/ocr/))が過負荷・短絡を、ZCT([零相変流器](/terms/zct/))とGR・DGR(地絡継電器)が地絡を検知し、その信号を受け取ってはじめてCBが引き外される。**CB自身は事故を判断していない。判断は継電器の仕事で、CBはそれに従って動く実行部隊にすぎない。**

この役割分担は、PF・S形という別の主遮断装置の構成にも表れている。LBSは負荷電流の開閉はできるが短絡電流は遮断できないため、そこに限流ヒューズ(PF)を組み合わせ、短絡はPFの溶断で、地絡はGR・DGRの信号でLBSをトリップさせる、という形で役割を分け合う。PFにはストライカ(溶断表示棒)が付いており、1相だけ溶断したときにLBSを三相一括で引き外して、欠相運転を防ぐ仕組みになっている。

「事故のとき切れるか」と「何万回も入り切りできるか」は別の性能 — 真空電磁接触器

ここまでの3機器は「どれだけ大きな電流を切れるか」という1本の軸で並んでいた。だが開閉機器にはもう1本、見落としやすい軸がある。何回入り切りできるか——開閉の耐久性だ。

遮断器(CB)は短絡電流まで切れる最上位の機器だが、その役割はあくまで事故という非常時の一撃にある。ところが現場には、高圧の三相誘導電動機や進相コンデンサのように、運転のたびに1日何度も入り切りを繰り返す負荷がある。この「日常の頻繁なスイッチ」を受け持つのが真空電磁接触器(高圧交流電磁接触器)だ。操作機構が電磁石で簡単に構成されているため多回数・多頻度の開閉に向いており、メーカーカタログでは電気的開閉耐久性25万回・機械的開閉耐久性250万回・開閉頻度600回/時といった、遮断器とは桁の違う数値が示されている。

ただし、頻繁に切れることと大電流を切れることは両立しない。真空電磁接触器の短絡遮断電流は小さく(カタログ例で4kA)、短絡保護は組み合わせた限流ヒューズが担う。ヒューズと組み合わせたコンビネーションユニットにすることで、40kAの短絡回路まで適用できるようになる。気づいただろうか——これはLBS+PFで見たPF・S形とまったく同じ役割分担の再演だ。日常の開閉は開閉器(LBS・接触器)が受け持ち、短絡の一撃はヒューズが受け持つ。「頻繁に入り切りする」用途と「事故電流を切る」用途は、機器の世界でははっきり別物として設計されている。

高調波を「出す」機器と「出される」機器 — コンデンサは被害者の側

開閉機器の写真鑑別とあわせて問われるのが、高調波の発生源の見分けだ。ここにも「登場するから犯人に見える」というワナがある。

高調波を出すのは、半導体のスイッチングで正弦波の波形を刻む機器——整流装置(整流器)、インバータ、サイリスタ応用装置(無停電電源装置の変換部など)だ。きれいな正弦波を高速で切り刻んで直流や別の周波数を作るため、電流波形がひずみ、基本波の整数倍の周波数成分(高調波)が系統に流れ出す。

一方、**進相コンデンサは高調波の発生源ではない。** コンデンサには波形を刻む仕組みがそもそも無い。それどころか、コンデンサのリアクタンスは周波数が高いほど小さくなるため、系統に漂う高調波電流はコンデンサに**集中して流れ込んでくる**。コンデンサは加害者ではなく、過熱・損傷のおそれにさらされる被害者の側だ。進相コンデンサのトピックで見た直列リアクトルの役割——第5高調波に対して回路を誘導性にして高調波の拡大を防ぐ——は、まさにこの流れ込みからコンデンサを守るための対策だった。「コンデンサが高調波を出すから対策する」のではなく、「高調波が流れ込んでくるからリアクトルで守る」。因果の向きを逆にしないことが、この論点の決め手になる。

キュービクルの中で、どのレバーに触れてよいかが分かるようになる

この3機器の違いが分かると、キュービクルの扉を開けたときに見える無数のレバーやハンドルが、ただの部品ではなく「役割の違う道具」に見えてくる。今日試せることとして、家庭の分電盤の主開閉器(ブレーカー)を思い浮かべてほしい。あれは負荷電流はもちろん、ある程度の故障電流まで遮断できる、つまりCBに近い役割の機器だ。一方で電力量計の横にある検針用の端子台のような、電流を切る目的を持たない部品もある。「これは電流を切るためのものか」を意識するだけで、身の回りの機器の見え方が変わる。

この区別が厳格に決められているのは、過去に操作順序を誤って起きた事故の積み重ねがあるからだ。断路器を無負荷以外で操作してはいけないというルールは、規則のための規則ではなく、消弧能力を持たないという物理的な事実そのものから来ている。

そして受電設備の保守・改修に関わる仕事では、この3機器の見分けが最初の一歩になる。太陽光発電や蓄電池を高圧で連系する設備でも、どこかに必ずこの3種類の開閉機器が使われており、どれが「切れる」機器で、どれが「切り離すだけ」の機器かを見誤ると、作業そのものが危険になる。

冒頭の停電作業の朝、先輩が止めたのは何だったのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 断路器(DS)にも負荷電流や短絡電流を切る能力があると誤答させる

    なぜ引っかかる「開閉器」という名前がついている機器はどれも電流を切る能力があるという先入観を持たれやすいが、DSは開閉分離が目的で、消弧能力を持たない

    見破り方その機器が『通電中に操作してよいか』を基準に考える。DSは無負荷の状態でしか操作してはいけない、という一点だけを固定して覚える

  2. LBSに短絡電流の遮断能力があると誤答させる

    なぜ引っかかるLBSは負荷電流の開閉ができるため、遮断器(CB)と同じように故障電流まで処理できると誤解しやすい

    見破り方LBS単体でできるのは負荷電流の開閉までと固定する。短絡電流の遮断が必要な場面では、LBSに限流ヒューズ(PF)を組み合わせた構成になっているはずだと考える

  3. CBが単独で事故を検知して遮断していると誤答させる

    なぜ引っかかるCBが実際に電路を『切る』最終動作をするため、事故の検知もCB自身が行っていると勘違いしやすい

    見破り方検知(CTとOCR、ZCTとGR・DGR)と遮断(CB本体)を別の役割として分けて考える。CBは信号を受け取って動くだけの実行部隊だと整理する

  4. 高頻度で入り切りする負荷の開閉器として、遮断器(CB)を選ばせる

    なぜ引っかかる遮断器は負荷電流も短絡電流も切れる最上位の機器なので、日常の開閉にも一番適していると思い込みやすい

    見破り方『事故電流を切る』能力と『何万回も入り切りできる』耐久性は別の性能。電動機や進相コンデンサのような高頻度開閉には、電磁石操作で開閉耐久性が数十万回級の真空電磁接触器(高圧交流電磁接触器)が向く。そのかわり短絡遮断電流は小さく、短絡保護は組み合わせた限流ヒューズが担う、という役割分担で覚える

  5. 進相コンデンサを高調波の『発生源』として選ばせる

    なぜ引っかかる高調波の話題にコンデンサが必ず登場するため、コンデンサ自身が高調波を出していると錯覚しやすい

    見破り方高調波を出すのは、整流装置・インバータ・サイリスタ応用装置のように半導体スイッチングで正弦波を刻む機器。進相コンデンサは高調波に対してリアクタンスが小さくなるため電流が流れ込んでくる側であり、発生源ではない。だからこそ直列リアクトルを入れて守る、と因果の向きで確認する

参考文献・出典

理解度チェック(7問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、7問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用2問・ひっかけ2問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 7 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 断路器(DS)は負荷電流の開閉を目的とせず、消弧能力を持たない。無負荷でしか操作してはいけない
  2. 遮断器(CB・実務ではほぼ真空遮断器VCB)は、負荷電流に加えて短絡電流のような故障電流まで遮断できる
  3. 高圧交流負荷開閉器(LBS)は負荷電流の開閉はできるが、短絡電流は遮断できない
  4. CBやLBSは自分では事故を検知できず、OCRやGR・DGRといった継電器からの引外し信号で動作する
  5. LBSに限流ヒューズ(PF)を組み合わせると、短絡保護をPFが担い、PF・S形の主遮断装置になる
  6. 電動機・進相コンデンサのような高頻度の開閉には、電磁石で操作する真空電磁接触器(高圧交流電磁接触器)が向く。開閉耐久性は数十万回級だが短絡遮断電流は小さく、短絡保護は組み合わせた限流ヒューズが担う
  7. 高調波の発生源は、整流装置・インバータ・サイリスタ応用装置のように半導体スイッチングで波形を刻む機器。進相コンデンサは発生源ではなく、高調波電流が流れ込んでくる側の機器で、だからこそ直列リアクトルで守る
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