受電設備のカタログを見ていると、同じ「キュービクル」という商品なのに、「CB形」「PF・S形」という2つの型式が並んでいることに気づく。値段も中に入っている機器も、まったく違う。
同じ電気を受けて同じように低圧に変換する設備なのに、なぜ2つの方式が存在するのか。しかも一方には遮断器という大がかりな機器が入っているのに、もう一方には入っていないという。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この2つの方式の違いを、構成する機器の名前で説明できるようになっている。
主遮断装置とは、受電設備の心臓部にあたる装置で、短絡・過負荷・地絡といった事故から設備全体を守る最後の砦になる。これには2つの方式がある。
CB形 は、遮断器(実務ではほぼ真空遮断器VCB)を主遮断装置として使う方式だ。CT(変流器)とOCR(過電流継電器)で過負荷・短絡を、ZCT(零相変流器)とGR・DGR(地絡継電器)で地絡を検知し、継電器がCBを引き外すことで、短絡・過負荷・地絡すべてをCB1台が遮断する。
PF・S形 は、遮断器を使わない。主遮断装置は「限流ヒューズ(PF)+高圧交流負荷開閉器(LBS)」の組合せで成り立っている。短絡電流はPFが溶断することで遮断し、地絡はGR・DGRの信号でLBSをトリップさせて開く。PFにはストライカ(溶断表示棒)が付いており、1相だけ溶断したときにLBSを三相一括で引き外して欠相運転を防ぐ。
JIS C4620は、この2つの方式に受電設備容量の区分を設けている。CB形は4,000kVA以下、PF・S形は300kVA以下だ。遮断器や継電器を丸ごと省けるPF・S形は安価・簡素になる一方、規格上の適用区分としては小さな容量の設備に限られる。容量の大きな設備や、事故の種類ごとに動作条件を細かく整定して保護協調を取りたい設備では、CB形が採用される。
見積書の4文字で、キュービクルの中身とコストが読めるようになる
主遮断装置の形式が分かると、見積書に書かれた「CB形」「PF・S形」という4文字が、単なる型番ではなく設備の規模とコスト構造を示す言葉に見えてくる。今日試せることとして、身近な工場やビルの電気設備の見積書や仕様書を目にする機会があれば、その主遮断装置の形式欄を探してみるといい。300kVAを超える設備であれば、ほぼ確実にCB形が使われているはずだ。
この区分が定められているのは、小さな設備にまで高価な遮断器と継電器一式を義務づけると、コストが見合わなくなる需要家が出てくるからだ。規格は、安全性を保ちながら設備規模に応じた選択肢を用意している。
この知識は、太陽光発電や蓄電池を高圧で連系する設備の相談を受けたときにも生きてくる。増設や更新のたびに、その建物の受電設備容量がどちらの形式に該当するのかを把握していることが、提案の出発点になる。
冒頭の疑問——「S形」にも遮断器が入っているのかどうか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。