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電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 3 / 21

主遮断装置の形式 — CB形とPF・S形、受電設備容量の区分

読み終えると、こうなる

見積書に書かれた『CB形』『PF・S形』という4文字が、設備の規模とコストを示す言葉に見えてくる。

  • 受電設備容量が300kVAを超える設備には、PF・S形ではなくCB形が採用されると判断できる
  • 『S形』という名前だけで遮断器が入っていると思い込まず、限流ヒューズ(PF)と負荷開閉器(LBS)の組合せだと見抜ける
  • 遮断器を丸ごと省いたPF・S形が、短絡はPF、地絡はLBSと機能を分散させて同じ仕事を成立させていると仕分けられる
考えてみよう

受電設備のカタログを見ていると、同じ「キュービクル」という商品なのに、「CB形」「PF・S形」という2つの型式が並んでいることに気づく。値段も中に入っている機器も、まったく違う。

同じ電気を受けて同じように低圧に変換する設備なのに、なぜ2つの方式が存在するのか。しかも一方には遮断器という大がかりな機器が入っているのに、もう一方には入っていないという。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この2つの方式の違いを、構成する機器の名前で説明できるようになっている。

主遮断装置とは、受電設備の心臓部にあたる装置で、短絡・過負荷・地絡といった事故から設備全体を守る最後の砦になる。これには2つの方式がある。

CB形 は、遮断器(実務ではほぼ真空遮断器VCB)を主遮断装置として使う方式だ。CT(変流器)とOCR(過電流継電器)で過負荷・短絡を、ZCT(零相変流器)とGR・DGR(地絡継電器)で地絡を検知し、継電器がCBを引き外すことで、短絡・過負荷・地絡すべてをCB1台が遮断する。

PF・S形 は、遮断器を使わない。主遮断装置は「限流ヒューズ(PF)+高圧交流負荷開閉器(LBS)」の組合せで成り立っている。短絡電流はPFが溶断することで遮断し、地絡はGR・DGRの信号でLBSをトリップさせて開く。PFにはストライカ(溶断表示棒)が付いており、1相だけ溶断したときにLBSを三相一括で引き外して欠相運転を防ぐ。

2つの主遮断装置の構成 CB形 遮断器(CB/VCB) CT・OCR(過電流検知) ZCT・GR/DGR(地絡検知) 短絡・過負荷・地絡を CBがすべて遮断 適用:4,000kVA以下 PF・S形 限流ヒューズ(PF) →短絡はPFの溶断で遮断 負荷開閉器(LBS) →地絡はGR/DGRの信号で LBSをトリップ 遮断器は使わない 適用:300kVA以下 CB形とPF・S形の構成の違い(自作の概念図。JIS C4620の容量区分を併記)
CB形を見ると「遮断器が中心にある方式」に見えるが、実はPF・S形も「遮断」という機能自体は失っていない。ただし1台に集約せず、**短絡はPF、地絡はLBSという形で、機能ごとに別々の機器へ分散させている。** 遮断器という1台の高価な機器をなくす代わりに、役割を分けた複数の安価な機器で同じ仕事を成立させているのがPF・S形だ。

JIS C4620は、この2つの方式に受電設備容量の区分を設けている。CB形は4,000kVA以下、PF・S形は300kVA以下だ。遮断器や継電器を丸ごと省けるPF・S形は安価・簡素になる一方、規格上の適用区分としては小さな容量の設備に限られる。容量の大きな設備や、事故の種類ごとに動作条件を細かく整定して保護協調を取りたい設備では、CB形が採用される。

見積書の4文字で、キュービクルの中身とコストが読めるようになる

主遮断装置の形式が分かると、見積書に書かれた「CB形」「PF・S形」という4文字が、単なる型番ではなく設備の規模とコスト構造を示す言葉に見えてくる。今日試せることとして、身近な工場やビルの電気設備の見積書や仕様書を目にする機会があれば、その主遮断装置の形式欄を探してみるといい。300kVAを超える設備であれば、ほぼ確実にCB形が使われているはずだ。

この区分が定められているのは、小さな設備にまで高価な遮断器と継電器一式を義務づけると、コストが見合わなくなる需要家が出てくるからだ。規格は、安全性を保ちながら設備規模に応じた選択肢を用意している。

この知識は、太陽光発電や蓄電池を高圧で連系する設備の相談を受けたときにも生きてくる。増設や更新のたびに、その建物の受電設備容量がどちらの形式に該当するのかを把握していることが、提案の出発点になる。

冒頭の疑問——「S形」にも遮断器が入っているのかどうか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. PF・S形にも遮断器(CB)が入っていると誤答させる

    なぜ引っかかる『S形』という響きから、CB形と同じように何らかの遮断器が入っていると連想しやすい

    見破り方PF・S形の主遮断装置は、遮断器を使わずPF(限流ヒューズ)とLBS(負荷開閉器)だけで構成される、と機器名で固定して覚える

  2. CB形の遮断器(CB)が単独で事故を検知して動作すると誤答させる

    なぜ引っかかるCB形はCB1台が主役に見えるため、検知も遮断もCBだけで完結していると誤解しやすい

    見破り方CB形でも検知はCT・OCRとZCT・GR/DGRが担い、CBは引外し信号を受けて動く実行役だと分けて考える

  3. CB形とPF・S形の受電設備容量区分の数値を入れ替える

    なぜ引っかかる4,000kVAと300kVAという桁の違う2つの数字が並ぶため、どちらがどちらの上限か混同しやすい

    見破り方『簡素な方式ほど上限が小さい』と関連づけて覚える。機器を省いた簡素なPF・S形のほうが300kVAと小さく、遮断器を使うCB形のほうが4,000kVAと大きい

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. CB形は遮断器(VCB)を主遮断装置とし、CT・OCRとZCT・GR/DGRの検知で短絡・過負荷・地絡すべてをCBが遮断する
  2. PF・S形は限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(LBS)の組合せ。短絡はPFの溶断、地絡はGR/DGRの信号によるLBSのトリップで対応する
  3. JIS C4620では、キュービクルのCB形は受電設備容量4,000kVA以下、PF・S形は300kVA以下に区分される
  4. PF・S形は遮断器や継電器を省けるため安価・簡素だが、適用は300kVA以下という規格上の区分に限られる
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