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電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 4 / 21

計器用変成器(VT・CT・VCT) — 高圧を計器が扱える大きさに変える

読み終えると、こうなる

毎月の検針票の数字の裏に、高圧を計器サイズまで落とす変成器の仕組みがあると読み取れるようになる。

  • 計器盤に並ぶメーターを見て、それが需要家用(VT・CT)か電力会社の取引用(VCT)かを仕分けられる
  • CTの二次側を点検で外す前に、必ず短絡片(ショートバー)で短絡してから作業する手順を組み立てられる
  • 『110』と『5』という数字を見ただけで、どちらがVTの二次電圧でどちらがCTの二次電流かを言い当てられる
  • VTの定格負担がわずか百VA程度だと知ったうえで、その二次側に照明のような電力負荷をつないではいけないと判断できる
考えてみよう

毎月届く検針票を見て、ふと思う。キュービクルの中には計器盤らしきものが見えるのに、6600Vという高い電圧をどうやって普通の電圧計や電力量計で測っているのだろうか。

家庭用のテスタを高圧線に直接当てれば、テスタはもちろん人間も壊れてしまう。それなのに、計器盤には見慣れた形の針や数字がある。高圧と、計器という繊細な機械との間には、何があるのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、高圧をどうやって計器で扱える大きさに変えているかを説明できるようになっている。

答えは、電圧と電流をそれぞれ小さく変成する専用の機器にある。

  • VT(計器用変圧器 — 6600Vのような高圧を、計器・継電器が扱える小さな電圧に変成する。二次電圧は110Vが標準
  • CT(変流器 — 数百Aにもなる大電流を、小さな電流に変成する。二次電流は5Aが標準

VT・CTはどちらも、二次側を一次回路から電気的に絶縁したうえで、比例した小さな値を取り出す仕組みだ。6600Vや大電流をそのまま電圧計・電流計・OCR(過電流継電器)につなぐことはできないため、測るため、そして保護継電器を働かせるために、まずこの2つで値を落とす。

高圧を計器の値まで落とす2つの変成器 高圧6600V・大電流 VT 二次側 110V標準 CT 二次側 5A標準 VT=電圧を落とす(V)/CT=電流を落とす(A) VTとCTの役割の違い(自作の概念図)
「計器を高圧に近づける」のではなく、「高圧を計器に近づける」という発想の逆転がここにある。VT・CTがあるからこそ、危険な高圧・大電流に触れることなく、離れた場所の安全な電圧計・電流計・継電器で状態を把握できる。**計測とは、電気そのものを覗き込むのではなく、比例した小さな影を読む作業だ。**

ここでもう1つ、混同しやすい機器がある。VCT(電力需給用計器用変成器) だ。VT・CTが需要家自身の計測・保護のための機器であるのに対し、VCTはVTとCTを1つの箱にまとめ、取引用電力量計と組み合わせて、電力会社との料金取引の根拠となる受電電力量を計量する専用機器になる。所有・封印は電力会社側にあり、需要家は触れない。同じ「高圧を小さくする変成器」でも、VT・CTは需要家が読む値、VCTは電力会社が読む値、という違いがある。

もう1点、実務でも試験でも定番の注意点がある。CTの二次側は、通電中に開放してはならない。CTは一次側の電流に応じた磁束を発生させ続ける機器で、二次側を開放すると二次側に高電圧が発生し、危険な状態になる。点検で電流計を外すときは、必ず先に短絡片(ショートバー)で二次側を短絡してから作業する。

CTの端子記号 — K・Lは電源側と負荷側、短絡するのはCT側

CTの一次側・二次側には、それぞれ決まった端子記号が付く。一次側はK・L、二次側はk・l(JIS C 1731-1)。Kが電源側、Lが負荷側に接続する端子で、Kに対応する小文字のkが二次側でも同じ極性の端子になる。

CTの端子記号 ― 一次K・L/二次k・l K L 電源側 負荷側 鉄心 K→L 計器/継電器 k l 継電器試験で短絡するのはCT側のk-l間(計器・継電器側ではない) 一次はK(電源側)・L(負荷側)、二次はk・l。継電器試験で短絡するのはCT側の端子(自作の概念図)

覚え方はシンプルだ。大文字(K・L)が一次側、小文字(k・l)が二次側。KとLはアルファベット順のまま「電源→負荷」の向きに対応している。K・L逆接続でも単純な電流計の指示自体は変わらないが、電力計・力率計・方向性を持つ継電器(DGRなど)は極性を取り違えると誤動作する。

配線図でこの記号の組合せを問う出題もあるが、実務でより重要なのは試験時の作業手順だ。過電流継電器(OCR)などの単体試験でCT二次回路を切り離すときは、継電器側ではなくCT側の端子(k-l間)を短絡してから作業する。継電器側を短絡してもCT二次回路そのものは開放されたままで、CTの保護にはならない。守るべきはCTであり、短絡すべきもCT側だ、という対応関係を崩さないようにする。

VTの定格負担は、たった100VA程度しかない

VTを「変圧器」という名前だけで捉えると、一般の変圧器のように電力を供給できる機器だと錯覚しやすい。だが、VTの定格負担(二次側に接続してよい負荷の容量)は、一般に15・50・100・200VA程度と、電球1個分にも満たないほど小さい。これは、VTがそもそも計器・継電器を動かすためだけの機器であり、電力を送るための変圧器ではないからだ。

「VTの二次側で照明を点灯させた」は、定番の誤り選択肢だ。**VTは電力を供給する機器ではなく、電圧の値を計器・継電器に伝えるための機器**であり、その容量はわずか100VA程度しかない。二次側に照明のような電力負荷をつなぐと、たちまち過負荷になる。

VTの一次(電源)側には、限流ヒューズを施設する。この目的は、VT内部で短絡故障が起きたときに、高圧電路からVTを速やかに切り離し、停電や短絡事故の拡大を高圧電路側に波及させないためだ。消防庁告示第7号の別図備考にも「VTに取り付けるヒューズは限流ヒューズを使用すること」という記述があり、実務上もこの一次側ヒューズは標準構成になっている。

本数は「2本×台数」で数える

試験で問われるのは、この限流ヒューズが何本要るかだ。数え方は難しくない。

VTは1台あたり2本。VTの一次巻線には両端があり、その両方を高圧電路から切り離せなければ 保護にならないので、各VTに2本ずつ入る。したがって——

VTの構成限流ヒューズの本数
VT1台(単相)2本
VT2台(V結線=V2V)4本

6.6kV三相3線式受電の標準構成はV結線のVT2台なので、一次側の限流ヒューズは計4本になる。 単線結線図では2台のVTが「V2V」と傍記された1つのだるま形にまとめて描かれ、その一次側に ヒューズの記号が1つだけ描かれることが多い。図の上でヒューズ記号が1つに見えても、実物は 4本——ここが引っかけどころだ。「図に1つだから2本」と数えると外す。

同じ数え方はCT側には使えない。CTの一次側にヒューズは入れない。CTは主回路の電流を そのまま測る機器で、一次側にヒューズを入れれば主回路を切ることになってしまうからだ。 ヒューズが要るのはVT側だけ、と対で覚えておくと混同しない。

本数と形は別々に問われる — VT用ヒューズは「細い」

配線図では「④の部分に施設する機器と使用する本数は」という聞かれ方をする。 選択肢にはヒューズの写真が2種類×本数2通りの計4つが並ぶ。つまり本数を当てても、 形を間違えれば点にならない。本数と形は別々の判断だと分けて構えておく。

見分けは、そのヒューズがどれだけの電流を流すために作られているかで決まる。

用途流れる電流外観
VT(計器用変圧器)の一次側ごくわずか細身の筒。両端は小さなキャップ
変圧器・コンデンサの保護(LBSに付くPF)数A〜数十A太い筒。端子が平たい板(タブ・刃形)になっているものが多い

理由は単純だ。VTの定格負担は100VA程度しかない。6.6kV側から見れば一次電流はごく小さく、 そこに入れるヒューズも細くて済む。一方、変圧器やコンデンサを守るPFは負荷電流そのものを 流し続けるので、太くなり、端子も大きな電流を通せる板状になる。

だから**VT回路に太い刃形のヒューズが並ぶ選択肢は、それだけで消せる**。 図の④や⑤が「V2Vと傍記されたVTの一次側」を指しているなら、答えは**細身の筒が4本**。 「VT=細い・4本」「変圧器=太い」の2点セットで押さえておくと、 本数を当てて形で落とす、形を当てて本数で落とす、という取りこぼしが両方防げる。

VT・CT・VCTの台数と接地種別

6.6kV三相3線式で受電する設備の標準構成は、VTがV結線で2台1組(2台で三相の線間電圧をすべて測定できる)、CTが2台1組(R相・T相に設置し、2台で三相電流を測定できる)、そして取引用計量のために両者をまとめたVCT(電力需給用計器用変成器)が1台(電力量計と組み合わせ、一般に電力会社の財産)。

「VT2台・CT2台」という台数を、電技解釈が定めた法定の数字だと思ってはいけない。**電技解釈が規定しているのは接地種別であって、台数そのものではない。** 台数は、三相の電圧・電流を2台の変成器で測定できるという回路理論(V結線・2CT法)に基づく標準的な構成にすぎず、機器構成によっては台数が変わることもある。

接地種別は、電技解釈第28条・第29条にはっきり定めがある。高圧計器用変成器の二次側電路はD種接地工事(特別高圧計器用変成器の二次側はA種接地工事)。機器の金属製外箱(外箱がない計器用変成器は鉄心)は、29-1表によりA種接地工事。つまり「6.6kVのVT・CTの二次側はD種、外箱・ケースはA種」という2段構えの接地になる。二次側は人が直接触れる可能性がある低圧側の保護、外箱は高圧機器そのものの保護、と目的が違う点まで押さえておくと、接地種別を取り違えにくい。

変圧器とCTが直列に並ぶと、比が2段になる

配電理論と受電設備がつながる場所がここだ。変圧器で電圧を落とし、その回路にCTを入れて 電流を測る——この構成では、変圧比と変流比が2段でかかる

たとえば 6300/210V の変圧器の二次側に負荷があり、その二次回路に 20/5A のCTが 入っているとする。二次側の負荷電流が分かっているとき、CTの二次に流れる電流は 次の順で出す。

  1. 負荷電流(変圧器二次側) をそのままCTの一次電流とみなす
  2. CT二次電流 = 一次電流 × (5/20) … 変流比の逆数を掛ける

逆に、変圧器の一次側電流を知りたければ、変圧比を使う。 変圧器は電力が保存されるので、一次電流 : 二次電流 = 二次電圧 : 一次電圧 (=巻数比の逆)になる。6300/210V なら比は30なので、一次電流は二次電流の 1/30だ。

2段の比が出てきたら、**電圧と電流で向きが逆**になることを毎回確認する。
  • 電圧は変圧比のとおり(6300→210 は 1/30 に下がる
  • 電流は逆(二次で30倍に増える
  • CTは「大きな電流を小さくする」ので、二次電流は一次の 5/20 に減る

どちらに掛けるか迷ったら、CTの二次は必ず5A前後という標準値を思い出せばいい。 計算結果が数十Aになったら、比を逆に掛けている。

検針票の数字が、どの機器を通ってきたかが分かるようになる

VT・CT・VCTの違いが分かると、キュービクルの計器盤に並ぶメーターやランプが、それぞれ誰のための値なのかを見分けられるようになる。今日試せることとして、自宅や職場の電力量計(スマートメーター含む)を眺めてみるといい。低圧の需要家では変成器なしで直接計量しているが、高圧受電の建物ではその手前に必ずVCTが挟まっている、という構造の違いを意識できるようになる。

この仕組みが標準化されているのは、高圧をそのまま計測機器に触れさせないという安全上の要求と、電力会社との取引を公平に計量するという2つの目的を、別々の機器に分けて確実に果たすためだ。

太陽光発電や蓄電池を高圧で建物に連系する設備でも、発電した電力を正しく計量するために、この変成器の仕組みがそのまま使われる。これから増えていく高圧連系の設備を扱うときも、まずVT・CT・VCTのどれが、誰のために、何を測っているのかを整理するところから始めることになる。

冒頭の疑問——高圧をどうやって計器盤のメーターに変えているのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. VTとCTの二次側の標準値を入れ替える

    なぜ引っかかる『110』と『5』という2つの数字が並ぶため、どちらが電圧でどちらが電流かを覚え違えやすい

    見破り方電圧を表す単位はV、VTのVも『電圧』のVだと結びつけて覚える。VT=電圧=110V、CT=電流=5Aという対応をセットで固定する

  2. VCTと、需要家が保護・計測用に使うVT・CTを同じ機器だと混同させる

    なぜ引っかかるどちらも高圧を小さくする変成器という点では同じ働きに見える

    見破り方『誰が読む値か』で区別する。VT・CTは需要家の計器盤・継電器のため、VCTは電力会社の取引用電力量計のための機器だと分ける

  3. CTの二次側を通電中に開放してよいと誤答させる

    なぜ引っかかる『開放すれば安全になる』という一般的な感覚をそのまま当てはめてしまう

    見破り方CTは一次側の電流に応じた磁束を発生させ続ける機器で、二次側を開放すると二次側に高電圧が発生する。通電中の二次側開放は禁止と覚える

  4. 継電器試験でCT二次回路を切り離すとき、継電器側の端子を短絡させればよいと誤答させる

    なぜ引っかかる『回路を切り離すなら、外す側を短絡すればよい』という感覚で、継電器側を短絡してしまいやすい

    見破り方短絡するのはCT側の端子(k-l間)であって、継電器側ではないと固定して覚える。継電器側を短絡してもCT二次回路自体は開放されたままなので、CTの保護にはならない

  5. VTの二次側に照明のような電力負荷をつないでも問題ないと誤答させる

    なぜ引っかかるVTが『変圧器』という名前を持つため、一般の変圧器と同じように電力を供給できると錯覚しやすい

    見破り方VTの定格負担(二次側に接続できる負荷の容量)はわずか100VA程度しかないと確認する。計器・継電器を動かすだけの小さな容量しか想定されておらず、照明のような電力負荷をつなぐと過負荷になる

  6. 『VT2台・CT2台』という6.6kV受電の標準構成を、法令が定めた台数だと思い込ませる

    なぜ引っかかる教科書や現場で繰り返し出てくる構成のため、法令上の義務だと誤解しやすい

    見破り方電技解釈が規定しているのはVT・CTの接地種別(二次側D種、外箱A種)であって、台数そのものではないと確認する。VT2台・CT2台という構成は、三相の電圧・電流をV結線・2CTで測定できるという回路理論に基づく標準的な構成であり、絶対的な法定台数ではない

参考文献・出典

理解度チェック(11問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、11問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用3問・ひっかけ4問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 11 問正解

覚えておきたいポイント

  1. VT(計器用変圧器)は高圧を計器・継電器が扱える小さな電圧に変成する。二次電圧は110Vが標準
  2. CT(変流器)は大電流を小さな電流に変成する。二次電流は5Aが標準
  3. VT・CTは自家用の計測・保護用。VCT(電力需給用計器用変成器)はVTとCTを1つの箱に組み込んだ、電力会社との取引計量専用の機器
  4. VT・CTの二次側は一次回路から絶縁されている。CTの二次側は通電中に開放してはならない
  5. CTの端子記号は一次側がK・L、二次側がk・l。Kが電源側、Lが負荷側に対応する(JIS C 1731-1)。継電器試験でCT二次回路を継電器から切り離すときに短絡するのは、継電器側の端子ではなくCT側の端子
  6. VTの定格負担(二次側に接続できる負荷の容量)は100VA程度と小さく、照明のような電力負荷を二次側につなぐと過負荷になる。VTの一次(電源)側に施設する限流ヒューズは、VT内部の短絡故障時に高圧電路から速やかに切り離し、波及を防ぐための保護。6.6kV三相3線式受電の標準構成はVT2台・CT2台(またはVCT1台)だが、これは法定の台数ではなく標準的な構成。接地は高圧計器用変成器の二次側電路がD種接地工事、機器の金属製外箱(外箱がない場合は鉄心)がA種接地工事(電技解釈第28条・第29条)
  7. VT一次側の限流ヒューズは1台あたり2本。V結線(VT2台)なら計4本になる。単線結線図では2台が「V2V」と傍記された1つの記号にまとめて描かれるため、記号の数を本数と読み違えやすい。CTの一次側にはヒューズを入れない(主回路そのものを切ってしまうため)
  8. 配線図では『機器と使用する本数』としてヒューズの写真2種×本数2通りの4択で問われる。本数と形は別々の判断。VT用は流す電流がごく小さいため細身の筒、変圧器・コンデンサ保護用のPFは負荷電流を流すため太く端子も板状(タブ・刃形)になる。VT回路なら『細身の筒が4本』
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