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電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 19 / 21

低圧の電線・ケーブル記号 — VVFもCVTも、暗記ではなく読む

読み終えると、こうなる

電線・ケーブルの記号を、意味のないアルファベットの暗記ではなく、構造と用途がそのまま綴られた「読める名前」として見分けられるようになる。

  • VVF・VVR・CV・CVTを『絶縁体→シース→形状』の順で分解し、初見の記号でも構造を推定できる
  • CVTとVCTのような並べ替えただけに見える記号を、幹線用ケーブルと移動用キャブタイヤケーブルとして取り違えずに仕分けられる
  • OW・DVを屋内配線に使ってよいかと問われたとき、電技解釈で除外されていると根拠つきで答えられる
  • MIケーブルを、銅管に無機物を充てんした構造から『燃えない絶縁体』の耐熱ケーブルだと言い当てられる
考えてみよう

IV、OW、DV、VVF、VVR、CV、CVT、VCT、CT、MI——電線とケーブルの記号は、初めて見ると意味のないアルファベットの羅列にしか見えない。しかもCVTとVCTのように、同じ3文字を並べ替えただけにしか見えないペアまである。

これを1つずつ丸暗記するのは苦行だし、本番で並べ替えのワナにかかる。だが実は、この記号たちは暗記するものではない。読むものだ。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、初見の記号でも前から順に分解して、構造と用途を推定できるようになっている。

種明かしはこうだ。記号には2つの流儀がある。

1つめはケーブル(絶縁体の外にシース=外装を持つもの)の流儀で、記号は前から「絶縁体→シース→形状」の順に、材料と形の頭文字を綴っている。使う文字はごくわずかで、V=ビニル、先頭のC=架橋ポリエチレン、F=平形(Flat)、R=丸形(Round)、T=3本より合わせ(トリプレックス)。これだけでVVF・VVR・CV・CVTがぜんぶ読める。

前から「絶縁体 → シース → 形状」と読む VVF = 600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形) V V F 形状=平形(Flat) シース(外装)=ビニル 絶縁体=ビニル 同じ読み方をCVTに当てると C V T 形状=3本より合わせ(Triplex) シース=ビニル 絶縁体=架橋ポリエチレン 記号の位置に意味がある。VVFとCVTを同じ規則で分解した図(自作)。初見の記号でもこの順で読めば構造を推定できる

2つめは絶縁電線(シースを持たず、導体に絶縁被覆1層だけのもの)の流儀で、こちらは構造ではなく用途で名前が付く。JISの規格名を見ると、そのまま使いどころが書いてある。

記号正式名称(JIS)使いどころ
IV600Vビニル絶縁電線屋内配線(電線管に入れる・がいし引き)
OW屋外用ビニル絶縁電線低圧架空電線
DV引込用ビニル絶縁電線低圧架空引込線
VVF / VVR600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(平形/丸形)低圧屋内配線の定番
CV / CVT架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVTは単心3本より合わせ)低圧幹線〜高圧引込
CT600Vゴムキャブタイヤケーブル移動して使う機器の電線
VCT600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル移動して使う機器の電線
MIMIケーブル(無機絶縁ケーブル)耐熱が要る場所の配線
そして、この用途の名前は単なる愛称ではない。**法令が記号の名前どおりに使い先を縛っている。** 低圧屋内配線の工事を定める電技解釈の条文([がいし](/terms/insulator/)引き工事の第157条など)は、使える電線を「絶縁電線」としながら、かっこ書きで**「屋外用ビニル絶縁電線、引込用ビニル絶縁電線及び引込用ポリエチレン絶縁電線を除く」**と明記している。つまりOWとDVは、名前のとおり屋外・引込専用で、屋内には持ち込めない。名は体を表す、が条文で担保されているわけだ。

架空の側にも同じ縛りがある。低圧架空電線には絶縁電線が使えるが、300Vを超える場合は引込用ビニル絶縁電線(DV)系が除外される(第65条の65-1表)。低圧架空引込線(第116条)では、電線がOWの場合は「人が通る場所から手を伸ばしても触れることのない範囲」、OW以外の絶縁電線なら「容易に触れることのない範囲」と、OWにだけ一段厳しい離隔が課されている。同じ絶縁電線でも、法令は記号ごとに扱いを変えている。

キャブタイヤケーブルは、造営材に固定せず移動して使う機器への電線——移動電線(第171条)——のためのケーブルで、外装が丈夫に作られている。ここで冒頭の並べ替え問題に答えが出る。VCTは「V(ビニル絶縁)+CT(キャブタイヤ)」であって、CVT(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースのトリプレックス)とはまったくの別物だ。先頭の文字が絶縁体、という読み順さえ守れば、この2つを取り違えることはない。同じ理屈で、CVの先頭のCは架橋ポリエチレンであって、キャブタイヤのCではない。位置が意味を決めている。

最後にMIケーブル。これは他の記号と毛色が違い、銅管の中に粉末状の酸化マグネシウムなど絶縁性のある無機物を充てんした構造をしている(電技解釈第9条)。ビニルもポリエチレンも有機物だから燃えるが、酸化マグネシウムは無機物だから燃えない。だから耐熱・防災用途の配線に使われる。低圧配線に使う電線は直径1.6mmの軟銅線と同等以上が原則のところ、MIケーブルだけは断面積1mm2以上から認められている(第146条)のも、この構造の頑丈さを法令が織り込んでいる例だ。

初見の記号が、その場で「読める」ようになる

この読み方が身につくと、試験で見たことのない記号に出会っても慌てなくなる。EV(ポリエチレン絶縁ビニルシース)のような記号でも、位置の規則から構造を推定できる。丸暗記した10個の記号は10個のままだが、読み方を覚えた人には、記号の数だけ応用が利く。

今日試せることとして、ホームセンターの電材コーナーか、手近にある延長コードの刻印を見てみるといい。VVFの束、VCTのコード——刻印された記号を前から分解して、絶縁体とシースの材料を言い当ててみる。電材商社のカタログがそのまま読み物になる。

そしてこの読み分けは、実務ではそのまま安全に直結する。屋外用のOWを屋内に流用しない、移動電線にVVFを使わない——記号が読めるということは、法令が決めた使い先の線引きが読めるということでもある。

冒頭のCVTとVCT、並べ替えただけに見える2つの正体。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. CVTとVCTを、同じ文字の並べ替えとして混同させる

    なぜ引っかかる3文字が同じアルファベットの組み合わせに見えるため、断面写真や用途を問われたときにどちらがどちらか分からなくなる

    見破り方前から読む。CVTはC(架橋ポリエチレン絶縁)→V(ビニルシース)→T(3本より合わせ)で幹線・高圧引込に使うケーブル。VCTはV(ビニル絶縁)+CT(キャブタイヤ)で、移動して使う機器の電線。先頭の文字=絶縁体、と読む順さえ守れば取り違えない

  2. OWやDVも絶縁電線なのだから屋内配線に使える、と思わせる

    なぜ引っかかるがいし引き工事などの条文が『電線は絶縁電線であること』と書いてあるため、絶縁電線という括りに入るOW・DVも使えるように読めてしまう

    見破り方条文にはかっこ書きで『屋外用ビニル絶縁電線、引込用ビニル絶縁電線及び引込用ポリエチレン絶縁電線を除く』と明記されている(電技解釈第157条ほか)。OW・DVは名前のとおり屋外・引込用であって、屋内配線には使えない

  3. CVの『C』とCTの『C』を同じ意味だと思わせる

    なぜ引っかかる同じ文字が別の意味で使われているため、CV=キャブタイヤ?と誤読しやすい

    見破り方先頭にあるC(CV・CVT)は絶縁体の架橋ポリエチレン。後ろに続くCT(VCTのCT、単独のCT)はキャブタイヤ。位置で読み分ける

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. ケーブルの記号は前から『絶縁体→シース→形状』の順に読む。V=ビニル、C(先頭)=架橋ポリエチレン、F=平形、R=丸形、T=3本より合わせ(トリプレックス)。VVF=ビニル絶縁・ビニルシース・平形、CV=架橋ポリエチレン絶縁・ビニルシース、CVT=その単心3本より合わせ
  2. 絶縁電線(シースを持たない)は用途で名前が付く。IV=600Vビニル絶縁電線(屋内配線用)、OW=屋外用ビニル絶縁電線(低圧架空電線用)、DV=引込用ビニル絶縁電線(低圧架空引込線用)。いずれもJISの規格名にそのまま用途が書かれている
  3. OW・DVは低圧屋内配線には使えない。電技解釈第157条(がいし引き工事)をはじめ、屋内配線の各工事の条文が『屋外用ビニル絶縁電線、引込用ビニル絶縁電線を除く』と明記している
  4. キャブタイヤケーブルは移動して使う機器の電線(移動電線・電技解釈第171条)に使う。CT=600Vゴムキャブタイヤケーブル、VCT=600Vビニル絶縁ビニルキャブタイヤケーブル。CVT(幹線用トリプレックス)とVCT(移動用)は文字の並びが違うだけで別物
  5. MIケーブルは、銅管の中に粉末状の酸化マグネシウムなど絶縁性のある無機物を充てんした構造(電技解釈第9条)。絶縁体が無機物なので燃えず、低圧配線では断面積1mm2以上から使える(第146条)
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