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電気工事の施工方法 ・ 9 / 11

バスダクト・金属線ぴ・ライティングダクト工事 — 支持間隔の数字が違う理由

読み終えると、こうなる

天井や壁に走る金属のダクトを見たとき、その支持間隔の数字から、中を流れている電流の大きさを逆算できるようになる

  • バスダクトの支持間隔3m・垂直6mという数字を、ダクト自体の重さと剛性から説明できる
  • ライティングダクトの開口部がなぜ下向きが原則なのかを、ほこりの侵入という理由から言い当てられる
  • 金属線ぴのD種接地が省略できる条件(長さ4m以下、または対地電圧150V以下かつ8m以下+簡易接触防護措置)を、条件の数を数えて判定できる
  • 写真の金属製の樋状配線材を、幅5cmと4cmの2本の境界線で金属ダクト・2種線ぴ・1種線ぴに仕分けられる
考えてみよう

工場の天井を見上げると、太い金属のダクトが3mおきに支持金物でつり下げられている。すぐ隣には、照明器具を差し込めるもっと細いダクトが、2mおきに支持されている。同じ「天井を這うダクト」なのに、支持する間隔の数字がなぜ違うのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、支持間隔の数字1つ1つに、ダクトの重さと役割が反映されていることを説明できるようになっている。

天井や壁を這うダクト・線ぴ工事には、バスダクト・金属線ぴ・ライティングダクトという3種類がある。名前も見た目も似ているが、条文の数字を並べてみると、それぞれが「何を通す配線か」によって数字が変わっていることが見えてくる。

バスダクト工事 — 大電流を流す、太くて重いダクト

バスダクトは、金属製のダクトの中に太い導体(バー)を絶縁して収めた配線方式で、大きな工場やビルの幹線のように、大電流を流す配線に使われる。電技解釈第163条第1項第二号は、バスダクトを造営材に取り付ける場合の支持点間の距離を3m以下と定めている。ただし、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所において、垂直に取り付ける場合は、支持点間の距離を6m以下まで緩和できる。

バスダクトの支持間隔 ― 水平3m/垂直6m 水平取付(原則) 支持点間 3m以下 垂直取付(出入制限区画) 支持点間 6m以下 水平取付は3m以下、取扱者以外が出入りできない場所での垂直取付に限り6m以下まで緩和される(自作の概念図)
なぜバスダクトだけ、こんなに長い支持間隔が許されるのか。バスダクトは、内部に太い導体を収めた金属の箱そのものであり、単体でも高い剛性を持つ。垂直に取り付けた場合は自重が支持点にまっすぐかかるだけで、水平取付のようにたわむ方向の力がかからない。しかも「取扱者以外の者が出入りできない場所」という条件が付くことで、万一のたわみが人の安全に影響しにくい環境に限定されている。**支持間隔の長さは、ダクト自体の剛性と、人がどれだけ近づけるかという2つの条件が組み合わさって決まっている。**

その他の要件として、終端部は換気型を除き閉そくすること、使用電圧300V以下はD種接地・300V超はC種接地(接触防護措置を施せばD種に緩和可)とすること、使用するバスダクトはJIS C 8364に適合するものであることが定められている(電技解釈第163条)。金属ダクト工事(第162条)も、支持間隔の基準は同じく3m・垂直6mだ。

写真で問われる — 金属ダクト・バスダクト・トロリーバスダクトの見分け

このダクト類は、条文だけでなく写真の鑑別でも出る。天井から吊られた金属の樋のような ものが1枚写っていて、「写真に示すものの名称は」と聞かれる形式だ。似た4つが並ぶので、 決め手を1つずつ持っておく。

名称中に入っているもの外観の決め手
金属ダクト電線(絶縁電線を何本も収める)幅5cm超の長い箱で、蓋がねじ留め。蓋を外して電線を入れる構造
バスダクト導体(ブスバー)箱と導体が一体。継ぎ目にボルト締めのジョイント部があり、断面は扁平。蓋を開けて配線する構造ではない
トロリーバスダクト導体(ブスバー)下面(または側面)に長手方向のスリット(開口)が走る。ここに移動体の集電子が入って走行する
銅帯(ブスバー単体)ダクトに入っていないむき出しの平たい銅の板。がいしで支持する
**トロリーかどうかは、開口があるかどうかだけで決まる。**トロリーバスダクトは、天井クレーンや 移動機器へ、走りながら給電するための方式だ。走行体の集電子(トロリー)がダクトの中の導体に 触れ続けるには、ダクトに**長手方向の連続した開口**が必要になる。逆に言えば、 **閉じたダクトはトロリーではない**。

ここで引っかかるのが、天井から下りてくる吊りボルトだ。棒が何本も垂直に立っているように 見えるので、これを集電子と読み違えると、閉じたバスダクトをトロリーバスダクトと答えてしまう。 吊りボルトはダクトの上から天井へ伸びる、集電子はダクトの下面の開口に差し込まれる。 棒がどちら側に付いているかを見れば、取り違えない。

金属ダクトとバスダクトの見分けは、蓋があるかが早い。金属ダクトは電線を後から入れる箱なので、 長辺に沿ってねじ留めの蓋が付く。バスダクトは導体が中に組み込まれた製品なので開ける蓋が無く、 代わりにユニット同士をつなぐジョイント部(ボルトが数本まとまって出ている箇所)が周期的に現れる。

金属線ぴ工事 — 電線を細い樋(とい)で覆う配線

金属線ぴ工事は、電線を細い金属の樋(線ぴ)で覆って施設する工事方式で、露出配線を保護したいがバスダクトほどの大電流は流さない場所に使われる。電技解釈第161条が定める要件は次のとおりだ。

  • 電線:絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線=OWを除く)
  • 接続点:線ぴ内には原則として設けない。例外は、分岐のために2種金属製線ぴを使い、点検が容易にでき、D種接地工事を施す場合
  • D種接地:原則として施すが、次のいずれかで省略できる
    • (イ) 線ぴの長さ(接続して使う場合は全長)が4m以下
    • (ロ) 使用電圧が直流300V又は交流対地電圧150V以下で、線ぴの長さが8m以下のものに、簡易接触防護措置を施すとき、または乾燥した場所に施設するとき
この省略条件は「短ければ省略できる」という1本の基準ではなく、実は**2つの独立した条件**がある。(イ)は対地電圧を問わず、とにかく4m以下という長さだけで省略できる条件。(ロ)は対地電圧150V以下という電圧の制約と引き換えに、8m以下まで長さの上限を緩め、そのかわり簡易接触防護措置か乾燥した場所という追加条件を付けている。**「4m以下ならフリー、8m以下は150V以下+もう1条件」という2段構え**だと理解しておくと、数字を混同しない。

1種と2種の見分け ― 決め手は「幅」

第161条には「2種金属製線ぴ」という言葉が出てくる(線ぴ内の分岐接続が条件付きで認められるのは2種だけだった)。では1種と2種は何が違うのか。写真鑑別で問われたときの決め手は、幅の寸法だ。

そもそも金属製線ぴとして扱われるのは、幅5cm以下のものに限られる(電気用品安全法施行令別表第二第2号)。5cmを超えると、それはもう線ぴではなく金属ダクトで、電技解釈第162条も金属ダクトを「幅が5cmを超え、かつ、厚さが1.2mm以上の鉄板等」と定義している。つまり幅5cmが、線ぴとダクトを分ける境界線になる。

その5cm以下の世界の中で、1種と2種が分かれる。

  • 1種金属製線ぴ(通称メタルモール):幅4cm未満。規格上の寸法はベースの幅23.2mm(A型)・37.0mm(B型)の2種類で、ベースにキャップをかん合させる構造。壁面に沿わせてスイッチやコンセントの増設配線を保護する、細い成形モールとして使われる
  • 2種金属製線ぴ(通称レースウェイ):幅4cm以上5cm以下。規格上の外のりの幅は40mm・45mmで、本体にカバーをビス等で取り付ける構造。天井から吊りボルトで支持し、照明器具の支持を兼ねながら配線を通す使い方が典型だ
写真から見分ける手順は2段階でよい。**まず幅を見る。** 明らかに幅広(5cm超)の箱状なら金属ダクト。5cm以下の細い樋なら線ぴで、**4cmを境に細ければ1種、太ければ2種**。次に使われ方を見る。壁面沿いの細いモールなら1種、天井吊りで照明器具がぶら下がっていれば2種、という現場での役割の違いが、そのまま幅の違いに対応している。第161条の「線ぴ内の分岐は2種のみ」という規定も、幅に余裕がある2種だからこそ接続点を収められる、と考えるとつながって覚えられる。

ライティングダクト工事 — 照明器具を差し替える前提のダクト

ライティングダクトは、店舗やショールームなどで照明器具の位置を自由に差し替えられるようにした配線ダクトだ。電技解釈第165条第3項が定める要件は次のとおり。

  • 支持点間の距離2m以下
  • 終端部:閉そくする(エンドキャップ)
  • 開口部:原則として下向きに施設する。横向きにできるのは、簡易接触防護措置を施しじんあいが侵入し難い場合、またはJIS C 8366の固定II形ダクトを使用する場合に限る
  • 造営材:貫通させない
  • D種接地工事:施す。ただし絶縁物で金属製部分を被覆したダクトの場合、または対地電圧150V以下かつダクト全長4m以下の場合は省略できる
  • 地絡遮断装置:電路に施設する。簡易接触防護措置を施す場合は省略できる
ライティングダクト ― 支持2m以下・開口部は下向き 支持点間 2m以下 開口部は原則 下向き 終端部は閉そく (エンドキャップ) ライティングダクトは支持間隔2m以下、開口部は原則下向きで照明器具を吊り下げる(自作の概念図)

開口部を下向きにするのは、上向きや横向きだと、ダクトの中にほこりが積もりやすくなるからだ。ほこりが導体近くに堆積すると、湿気を含んだときに絶縁性能を落とし、トラッキング(絶縁物表面を伝う微小な放電の繰り返しによる劣化)の原因になりうる。下向きであれば、ほこりは自然に落ち、堆積しにくい。横向きが認められる例外(簡易接触防護措置+じんあいが侵入し難い場合、またはJIS C 8366固定II形)は、いずれもほこりの侵入・堆積という同じリスクに別の方法で対処している場合に限られている。

3つの数字を、ダクトの重さと役割から並べ直す

バスダクト3m(垂直6m)、金属線ぴは長さ基準(4m/8m)、ライティングダクト2m――これらの数字を丸暗記しようとすると、似た響きの数字同士で混同しやすい。だが、それぞれのダクトが「何を通し、どう使われるか」から考え直すと、数字の大小関係にも理由が見えてくる。

工事支持間隔電線・想定用途接地(D種の省略条件)
バスダクト3m以下(垂直・出入制限区画で6m以下)太い導体を収めた大電流用の幹線300V以下D種・300V超C種(接触防護措置でD種可)
金属線ぴ(線ぴ自体の支持間隔規定は無く、長さで接地省略を判定)絶縁電線(OWを除く)を通す細い樋長さ4m以下で省略可/対地電圧150V以下かつ8m以下+簡易接触防護措置か乾燥した場所で省略可
ライティングダクト2m以下照明器具を差し替える軽量な配線ダクト絶縁物被覆または対地電圧150V以下かつ全長4m以下で省略可
条番号はいずれも電技解釈(第161条・第163条・第165条第3項)。バスダクトの支持間隔が長いのは、ダクト自体の剛性と、垂直取付時の力のかかり方の違いによる。

工事の種類は、場所が決める — 電技解釈第156条の表

ここまでダクト・線ぴの構造を見てきたが、実際にその工事を採用できるかどうかは、どんな場所に施設するかで先に決まっている。電技解釈第156条は、低圧屋内配線について「施設場所の区分 × 工事の種類」の可否を1枚の表(156-1表)にまとめている。

場所の区分は、次の2軸の掛け合わせだ。

  • 展開した場所 / 点検できる隠ぺい場所 / 点検できない隠ぺい場所
  • 乾燥した場所 / 湿気の多い場所又は水気のある場所

表を丸暗記する必要はない。両端だけ覚えれば、真ん中は挟み撃ちで決まる

**場所を選ばない4つ** — 合成樹脂管工事・金属管工事・金属可とう電線管工事・**ケーブル工事**。この4つは、展開/点検できる隠ぺい/点検できない隠ぺいのどこでも、乾燥/湿気水気のどちらでも使える。**「迷ったらこの4つは○」**が出発点になる。

ただしケーブル工事には、電線の側の制限が別にある。 156-1表が可否を決めているのは「工事の種類」までで、その工事でどの電線を使えるかは第164条の164-1表が別に定めている。使用電圧300V以下を展開した場所・点検できる隠ぺい場所に施設する場合しか使えない電線があり、2種キャブタイヤケーブル、ビニルキャブタイヤケーブル、耐燃性ポリオレフィンキャブタイヤケーブルなどがこれにあたる。つまりキャブタイヤケーブルを使うケーブル工事は、点検できない隠ぺい場所には施設できない(3種・4種など一部を除く)。「ケーブル工事だから場所は自由」と読むと、この肢を取りこぼす。

乾燥した場所にしか使えないもの金属線ぴ工事金属ダクト工事・ライティングダクト工事・平形保護層工事(このほかフロアダクト工事・セルラダクト工事も乾燥した場所に限られる)。156-1表で、湿気の多い場所又は水気のある場所の行に○が1つも付かない工事がこれだ。このうち金属線ぴ・ライティングダクト・平形保護層は300V以下にも限られ、金属ダクトだけは300Vを超えても使える。開口があったり、床や壁に貼り付ける構造だったりして、水に弱い工事がここに集まる。

点検できない隠ぺい場所に使えないもの — がいし引き工事・金属線ぴ工事・金属ダクト工事・バスダクト工事・ライティングダクト工事・平形保護層工事あとから見に行けない場所には、露出して初めて成り立つ工事は置けない、という理屈だ。逆にフロアダクト工事・セルラダクト工事は、点検できない隠ぺい場所(乾燥・300V以下)にこそ○が付く。

出題は「点検できる隠ぺい場所で、かつ湿気の多い場所に施設できない工事はどれか」という形で来る。選択肢に金属管・合成樹脂管・ケーブルが並んでいたらそれらは○なので、残る1つが答えになる。金属線ぴ工事や金属ダクト工事が混じっていれば、それだ——どちらも乾燥した場所専用だからだ。

この観点で見ると、線ぴやライティングダクトの「幅5cm以下」「開口部は下向き」といった構造の規定が、そのまま場所の制限とつながっていることが分かる。開口があるということは、水やほこりが入るということで、だから乾燥した場所に限られ、だから見に行ける場所にしか置けない。構造が場所を決めている。

平形保護層工事 — 床に貼る配線という、特殊な一種

156-1表の右端にある平形保護層工事は、名前だけ見ても中身が想像しにくい。これは、平たい導体を持つ電線(平形導体合成樹脂絶縁電線)を、保護層で挟んで床面や壁面に貼り付ける工事だ。カーペットの下を通して、後からOA機器の配線を足す——そういう用途で生まれた工法である。

電技解釈第165条第4項が、住宅以外の場所について次の条件を並べている。

  • 施設できない場所:旅館・ホテル・宿泊所等の宿泊室、小中学校・幼稚園等の教室、病院・診療所等の病室、フロアヒーティング等の発熱線を施設した床面、第175〜178条の特殊場所
  • 造営物の床面又は壁面に施設し、造営材を貫通しないこと
  • 電線は電気用品安全法の適用を受ける平形導体合成樹脂絶縁電線で、20A用又は30A用、かつアース線を有するもの
  • 電路の対地電圧は150V以下
  • 定格電流30A以下の過電流遮断器で保護される分岐回路であること
  • 地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること
  • 平形保護層内の電線を外部に引き出す部分は、ジョイントボックスを使用すること
  • 上部保護層・上部接地用保護層、ジョイントボックス・差込み接続器の金属製外箱にはD種接地工事
条件の並びを眺めると、**この工事が想定している危険**が見えてくる。人が床の上を歩き、家具を引きずり、後から釘を打つ——**電線が「人の足元」にあることが前提**の工事なのだ。

だから、寝ている人が逃げ遅れる宿泊室、子どもが走り回る教室、動けない人がいる病室は外され、造営材の貫通は禁じられ(貫通すれば見えないところを通ることになる)、対地電圧は150V以下に抑えられ、地絡遮断装置まで要求される。禁止されている場所の顔ぶれを「そこにいる人」で読むと、条件はひとまとまりの理屈になる。

PF管とCD管 — 見た目が似た2つの管が、置ける場所で分かれる

合成樹脂製の可とう電線管には、PF管(合成樹脂製可とう電線管)とCD管(Combined Duct)がある。どちらも蛇腹状の樹脂管で、写真だけでは色(CD管はオレンジ色が一般的)くらいしか手がかりがない。ところが施設できる場所がまったく違う

電技解釈第158条第3項第七号は、CD管についてこう定めている。

CD管は、次のいずれかにより施設すること。 イ 直接コンクリートに埋め込んで施設すること。 ロ 専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管又はダクトに収めて施設すること。

つまり**CD管は、コンクリートに埋めるか、別の不燃性の管・ダクトの中に収めるかしか許されない**。二重天井の中や点検口の裏に、そのまま転がして配管することはできない。

理由は材質にある。CD管には自消性が無い——燃え広がりを自分で止める性質を持っていない。だから、火が回りうる空間にむき出しで置くことを規格が認めていない。コンクリートの中なら周りに燃えるものが無く、不燃性のダクトに収めればその外側が守ってくれる。「燃えない場所に閉じ込めて使う管」がCD管だと考えると、条文の2択がそのまま腑に落ちる。

一方のPF管は耐燃性(自消性)を持つので、この制限が掛からない。露出でも隠ぺいでも、コンクリート埋設でも使える。現場でオレンジ色の管が二重天井の中を這っていたら、それは不適切、という判断ができる。

もう1つ、同条第八号に見落としやすい規定がある。合成樹脂製可とう管相互、CD管相互、そして合成樹脂製可とう管とCD管とは、直接接続しないこと。 管どうしを直につながず、必ずカップリング等の附属品を介せ、という意味だ。性質の違う管を安易につなぐことも、ここで封じられている。

天井のダクトを、支持間隔から読み解けるようになる

この数字の違いが頭に入ると、天井を這うダクトを見上げたとき、支持金物の間隔から「これは大電流の幹線か、照明用の軽いダクトか」をおおよそ見分けられるようになる。今日試せることとして、工場やショッピングモールの天井を見上げる機会があれば、ダクトの太さと支持金物の間隔を目測してみるといい。太くて支持間隔が広ければバスダクト、細くて2mおきに支持され照明器具がぶら下がっていればライティングダクトだと、数字と実物が結びついてくる。

支持間隔という地味な数字が条文に定められているのは、ダクトのたわみや落下が、その下を歩く人や動く設備にそのまま危険として跳ね返るからだ。3m・2m・4m・8mという数字は、暗記のための羅列ではなく、それぞれのダクトの重さ・剛性・想定される使われ方から逆算された、安全のための境界線になっている。

冒頭の謎、支持間隔の数字がなぜ違うのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. バスダクトとライティングダクトの支持間隔(3mと2m)を入れ替える

    なぜ引っかかるどちらも『ダクトを支持する間隔』という同じ種類の数字のため、どちらが3mでどちらが2mかを覚え違えやすい

    見破り方ダクトの重さと剛性で対応づける。バスダクトは大電流用の太い導体を収めた重く頑丈なダクトなので支持間隔が長い3m(垂直6m)、ライティングダクトは照明器具を差し替えて使う軽量な配線ダクトなので支持間隔は短い2mと覚える

  2. ライティングダクトの開口部の向きを、上向きでも下向きでも自由だと誤答させる

    なぜ引っかかる『照明器具を差し込む口だから、向きは施工者が決めてよい』と考えてしまいやすい

    見破り方開口部は原則下向きで施設すると条文に明記されている。横向きにできるのは簡易接触防護措置を施しじんあいが侵入し難い場合、またはJIS C 8366の固定II形ダクトを使用する場合という限られた例外に限る

  3. 金属線ぴのD種接地の省略条件を、長さの基準だけで一括りにして覚えさせる

    なぜ引っかかる『短ければ接地を省略できる』というおおまかなイメージだけで覚えると、対地電圧の条件を見落とす

    見破り方省略条件は2種類あることを区別する。(1)線ぴの長さが4m以下であれば対地電圧を問わず省略可。(2)対地電圧150V以下であれば、長さ8m以下かつ簡易接触防護措置または乾燥した場所という追加条件付きで省略可。長さの基準だけでなく、対地電圧の条件が付くかどうかを数えて判定する

  4. 写真鑑別で、1種金属製線ぴ・2種金属製線ぴ・金属ダクトを見た目の印象だけで答えさせる

    なぜ引っかかるどれも『金属の樋(とい)状の配線材』で見た目が似ているため、雰囲気で答えると取り違える。実際の区分は幅の寸法で機械的に決まっており、5cm以下が線ぴ(うち4cm未満が1種、4cm以上5cm以下が2種)、5cm超が金属ダクトという境界線がある

    見破り方写真問題ではまず幅に注目する。壁面沿いの細い成形モール(幅4cm未満、ベースにキャップをかん合させる構造)なら1種=メタルモール。天井から吊られ照明器具の支持を兼ねる溝形(幅4cm以上5cm以下、本体にカバーをビス等で取り付ける構造)なら2種=レースウェイ。明らかに幅広(5cm超)の箱状なら金属ダクト、と幅と構造で判定する

  5. バスダクトの接地種別を、電圧にかかわらず一律D種だと誤答させる

    なぜ引っかかる低圧の機器接地はD種という印象が強く残っていると、バスダクトも電圧を確認せずD種で固定してしまう

    見破り方使用電圧で場合分けする。300V以下はD種、300V超はC種(接触防護措置を施せばD種に緩和可)と、電圧の境目を必ず確認してから種別を答える

参考文献・出典

  • 電気設備の技術基準の解釈(経済産業省・令和7年11月20日改正) (第161条(金属線ぴ工事)、第162条(金属ダクト工事。ダクトは幅5cm超と規定)、第163条(バスダクト工事)、第165条第3項(ライティングダクト工事)、第156条・156-1表(低圧屋内配線の施設場所の区分×工事の種類の可否)、第165条第4項第一号(平形保護層工事の施設条件。イ 宿泊室・教室・病室・発熱線を施設した床面等に施設不可、ロ 造営材を貫通しないこと、ハ 20A用又は30A用でアース線を有する平形導体合成樹脂絶縁電線、ト 対地電圧150V以下・定格電流30A以下の過電流遮断器で保護される分岐回路・地絡遮断装置)、第158条第3項第七号(CD管は直接コンクリートに埋め込むか、専用の不燃性又は自消性のある難燃性の管・ダクトに収める)・第八号(合成樹脂製可とう管相互、CD管相互及び両者は直接接続しない))
  • 電気用品安全法施行令 別表第二(e-Gov法令検索) (線ぴを『幅が5cm以下のものに限る』と規定(電気用品としての線ぴの上限幅))
  • 電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈 別表第二・附表第四(経済産業省) (一種金属製線樋(ベースとキャップのかん合構造、ベース幅23.2mm・37.0mmの2種類)と二種金属製線樋(本体とカバーの構造、外のり幅40mm・45mm)の構造・寸法)
  • eleking「金属線ぴ工事」 (一種金属製線ぴ=幅4cm未満、二種金属製線ぴ=幅4cm以上5cm以下という区分の整理)

理解度チェック(10問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、10問で確認しよう。 内訳は基本5問・応用3問・ひっかけ2問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 10 問正解

覚えておきたいポイント

  1. バスダクト工事は、ダクトの支持点間の距離を3m以下(取扱者以外が出入りできない場所で垂直に取り付ける場合は6m以下)とする(電技解釈第163条第1項第二号)。終端部は閉そくし、使用電圧300V以下はD種・300V超はC種接地(接触防護措置でD種に緩和可)
  2. 金属線ぴ工事の電線は絶縁電線(OWを除く)。線ぴ内に接続点を設けないのが原則だが、2種金属製線ぴで点検容易・D種接地を施す場合の分岐は例外。D種接地は線ぴの長さ4m以下、または対地電圧150V以下かつ長さ8m以下+簡易接触防護措置か乾燥した場所で省略できる(電技解釈第161条)
  3. 金属線ぴは幅の寸法で区分される。線ぴとして扱われるのは幅5cm以下まで(電気用品安全法施行令別表第二第2号)で、5cmを超えると金属ダクト(電技解釈第162条)。線ぴの中では、1種(メタルモール、ベースとキャップのかん合構造、幅4cm未満)と2種(レースウェイ、本体とカバーの構造、幅4cm以上5cm以下)に分かれる
  4. ライティングダクト工事は、支持点間の距離2m以下・終端部を閉そく・開口部は原則下向き(簡易接触防護措置+じんあいが侵入し難い場合かJIS C 8366固定II形なら横向き可)・造営材を貫通しない・D種接地(対地電圧150V以下かつ全長4m以下で省略可)・地絡遮断装置(簡易接触防護措置で省略可)を施す(電技解釈第165条第3項)
  5. 3つとも『ダクト・線ぴを支持する間隔』を定めているが、数字が違うのはダクト自体の重さ・剛性・想定する使われ方(固定配線か、器具を移動させる配線か)が違うため
  6. 写真鑑別の決め手。金属ダクトは電線を後から入れる箱なのでねじ留めの蓋が付く。バスダクトは導体が組み込まれた製品なので蓋が無く、周期的なジョイント部が現れる。トロリーバスダクトは走行する集電子のため長手方向の連続した開口がある。銅帯はダクトに入っていないむき出しの平たい銅板
  7. 天井から垂直に伸びる棒は吊りボルトであって集電子ではない。吊りボルトはダクトの上から天井へ、集電子はダクトの下面の開口へ差し込まれる。棒の有無ではなく開口の有無でトロリーかどうかを決める
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