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一般用電気工作物等の保安に関する法令 ・ 3 / 8

電気用品安全法 — PSEマークと電気用品の区分

読み終えると、こうなる

製品に印字された丸形・菱形のマークを見て、それがどんな安全確認を経てきたかを読み取れるようになる

  • 延長コードやACアダプタの表示を見て、菱形なら第三者検査、丸形なら自己確認と見分けられる
  • 極端に安い電源製品を見たとき、まず表示の有無を確かめる習慣に切り替えられる
  • 個人輸入した製品でも、表示がなければ第三者検査も自己確認も経ていないと判断できる
考えてみよう

海外の通販サイトで、国内の半額以下の値段のヘアドライヤーを見つけて個人輸入した。届いた製品を見ると、電源プラグの形も日本の100Vコンセントにちょうど合う。さっそく友人に見せたら、「それ、PSEマークついてる?」と聞かれ、答えに詰まってしまった。

値段が安いだけで、特に何の問題もなさそうに見える。プラグの形も合っているし、電源を入れれば普通に動く。それなのに、なぜPSEマークの有無を気にする必要があるのだろうか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、その理由がはっきり説明できるようになっている。

電気用品安全法(電安法)は、電気工事で使う配線器具や電気製品そのものの安全性を担保する法律だ。この法律の対象となる「電気用品」は、危険性の度合いに応じて2つに区分され、それぞれ表示するマークの形が異なる。

区分対象品目数(目安)マークの形安全性の確認方法
特定電気用品116品目菱形(ひし形)のPSEマーク国に登録された第三者検査機関による適合性検査が必須
特定電気用品以外の電気用品341品目丸形のPSEマーク製造・輸入事業者自身による自己確認(自主検査)

「特定電気用品」は、構造や使用状況からみて特に危険性が高い・火災につながりやすいと判断された品目(電線・配線器具・小形単相変圧器の一部など)が指定されている。菱形マークの方が、第三者機関のチェックを経ている分、規制が厳しい区分だと理解しておくとよい。

電気用品安全法が義務を課しているのは、電気用品を事業として製造・輸入・販売する者だ。個人が自分で使うためだけに輸入する行為は、この「事業として」に直接あたるわけではない。だが、PSEマークがないということは、第三者検査も自己確認も経ていない製品だという事実は変わらない。

第二種電気工事士が扱う配線器具・電線類の多くはこの電気用品安全法の対象品目であり、PSEマークのない無表示品を電気工事に使用することは認められていない。工事の現場では、この区分と表示義務が、資格と同じくらい厳格に守られるべきルールになっている。

電線管は「特定電気用品ではない」

ここは誤りやすい。電線管は特定電気用品に入らない。

電気用品安全法施行令には表が2つある。別表第一が特定電気用品別表第二が特定電気用品以外だ。 電線管がどちらに載っているかを原文で確かめると、こうなっている。

別表第二(=特定電気用品以外) 二 電線管類及びその附属品並びにケーブル配線用スイッチボックスであつて、次に掲げるもの… (一)電線管(可撓管を含み、内径が一二〇ミリメートル以下のものに限る。)

一方、配線用遮断器・漏電遮断器は別表第一(=特定電気用品)にある。

別表第一(=特定電気用品) 配線器具であつて、次に掲げるもの…(二)開閉器であつて、次に掲げるもの (定格電流が一〇〇アンペア以下…のものに限る)… 5 配線用遮断器漏電遮断器

品目どちらの表か範囲
配線用遮断器・漏電遮断器別表第一=特定電気用品定格電流100A以下、定格電圧100〜300V
点滅器(タンブラスイッチ等)別表第一=特定電気用品定格電流30A以下
電線管・その附属品別表第二=特定以外内径120mm以下
フロアダクト別表第二=特定以外幅100mm以下
線ぴ別表第二=特定以外幅50mm以下
換気扇別表第二=特定以外定格消費電力300W以下
蛍光ランプ別表第二=特定以外定格消費電力40W以下
電気便座・電気温水器別表第一=特定電気用品電熱器具は定格消費電力10kW以下
電気ストーブ・電気こたつ別表第二=特定以外
「**定格電流20Aの漏電遮断器**」と「**外径19mmの金属製電線管**」が並んだら、 **特定電気用品は漏電遮断器のほう**だ。電線管は寸法が範囲内でも、そもそも別表第二にしかない。

判定の順序を固定する。①どちらの別表に載る品目か → ②範囲(定格・寸法)に収まるか。 ①で決まれば②を見る必要はない。電線管は①の時点で特定電気用品から外れるので、 内径120mmという数字は「電気用品かどうか」の線引きであって、「特定かどうか」ではない。

なお内径120mmは内径基準だが、管の呼び方には外径基準(ねじなし電線管E19)と 内径基準(VE16)が混在する。ただし上のとおり、電線管では①で決着するので、 この基準の違いが特定電気用品の判定に効くことはない。

どれが特定電気用品か — 品目で覚えるより「危険度」で分ける

特定電気用品(116品目)と特定電気用品以外(約340品目)の区分は、丸暗記より 「なぜそちらに入るのか」で仕分けるほうが速い。分かれ目は危険度だ。

特定電気用品は、構造・使用方法から見て、危険・障害の発生するおそれが特に多いもの。 具体的には次のような性格を持つ。

  • 電路そのものに直結し、事故時に電路を守る責任を負うもの … 配線用遮断器、漏電遮断器、ヒューズ
  • 電線・ケーブル類、および電線どうしを接続するもの … 絶縁電線、ケーブル、コード、キャブタイヤケーブル
  • 人が日常的に抜き差しし、火災につながりやすいもの … 差込接続器、コンセント、点滅器
  • 水まわり・無監視で通電し続ける電熱器具 … 電気温水器、電気便座、電気温蔵庫、水道凍結防止器、観賞魚用ヒーター

一方、特定電気用品以外は、壊れても被害が電路全体に及びにくいものだ。 電線管とその附属品、ケーブル配線用スイッチボックス、カバー付ナイフスイッチ、電磁開閉器、ライティングダクト、 換気扇、電気ストーブ・電気こんろ・電気こたつ・電気トースター、白熱電灯器具、蛍光灯器具、テレビ、リチウムイオン蓄電池などが入る。

判定の物差しを1つ持つ。**「その機器が壊れたとき、事故は自分の中で止まるか、電路へ広がるか」**。
  • 配線用遮断器が壊れれば、保護そのものが失われて電路全体が危険になる → 特定
  • 絶縁電線の被覆が破れれば、その場で充電部が露出する特定
  • 電線管は電気を通さず、中の電線を収めて守るだけの容れ物特定以外(別表第二 第二号)
  • 換気扇が壊れても、その器具が止まるだけ特定以外
  • 電気ストーブは発熱するが、単体の器具であって電路の保護を担っていない特定以外

つまり境目は、その物が電路そのものを構成しているか、電路を入り切り・遮断しているかにある。 電線・ケーブル・遮断器・接続器は特定、電線管のように「収めるだけ」のものと、 換気扇・電気ストーブのように電路の先にぶら下がる完成品は特定以外だ。

出題は「外径19mmの金属製電線管」のように、**いかにも電路に関わりそうな部材**を紛れ込ませてくる。 **電線管は特定電気用品ではない。** 別表第二の第二号に「電線管類及びその附属品並びに ケーブル配線用スイッチボックス」としてはっきり置かれている。 「電線を守る大事な部品だから特定だろう」という推論は、条文の側では成り立たない。

なお、発熱の有無は判定基準にならない。「発熱するから特定」も「発熱するから特定以外」も、 どちらも別表と合わない。電気ストーブ・電気こんろ・電気こたつ・電気トースターは特定以外だが、 電気便座・電気温水器・電気温蔵庫・水道凍結防止器・観賞魚用ヒーターは別表第一の特定電気用品だ。

電熱器具だけは、上の物差し(電路の関門かどうか)の外にある。 ここは別の分かれ方をしていて、 人がそばにいる乾いた場所で使う器具が特定以外、目を離したまま通電し続けるもの・水気のそばで使うものが特定になる。 「電熱器具はまとめて特定以外」と覚えると、定番の出題である電気便座で外す。

マークの形を見る癖がつくと、売り場の景色が変わる

菱形と丸形の違いを知ると、店で製品を裏返す癖がつく。延長コード、テーブルタップ、ACアダプタ。電源まわりの製品にはたいていPSEマークが印刷されていて、形を見れば第三者検査を経ているのか自己確認なのかが分かる。通販で相場より極端に安い電源製品を見たとき、まず表示の有無を確かめる、という判断ができるようになる。

今日試せるのは、家にある延長コードを1本手に取って表示を読むことだ。PSEの記号のそばには、届出をした事業者の名前も一緒に印字されている。何かあったとき誰が責任を持つ製品なのかが、その小さな刻印だけで追える。制度は書類の中ではなく、手元の製品の表面に出ている。

覚える意味は、資格を取ったあとにはっきりする。施主から「ネットで買ったこの器具、使えますか」と聞かれる場面は必ず来る。そのとき、表示の有無を根拠に答えられるかどうかで、頼まれ方が変わる。輸入も個人売買も手軽になり、表示のない製品が家の中に入り込む経路はむしろ増えている。この区分を知っている人の目が、最後の関門になる。

冒頭のヘアドライヤー、友人の指摘にどう答えるべきだったのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 国産か輸入かでPSEマークの形が変わるかのように書く

    なぜ引っかかる「輸入事業者は、輸入した特定電気用品に丸形のPSEマークを付すことができる」という一文が、正しい記述に混ぜて置かれる。輸入品は国内で作られていないのだから扱いも違うのだろう、という筋の通りそうな推測が働くため、まったくの作り話でも見抜きにくい。同じ手口で「<PS>Eの記号は輸入した特定電気用品以外の電気用品を示す」という形も使われる。

    見破り方マークの形を決めているのは区分だけ、と一点に絞る。特定電気用品ならひし形、特定以外なら丸形。製造か輸入か、国産か海外製かは、形とは何の関係もない。輸入という語が出てきたら、まずそこを疑う。

  2. 特定電気用品にひし形と丸形の両方を付せるとする

    なぜ引っかかる2つの区分と2つの形を別々に覚えていると、どちらがどちらに対応するかの結びつきが緩む。そこへ「特定電気用品にはひし形または丸形の表示が付されている」と書かれると、上位の区分だからどちらも使えそうに感じてしまう。

    見破り方ひし形は第三者検査を通った印、丸形は自己確認の印、と確認の方法とセットで覚える。第三者検査が必須の特定電気用品に、自己確認を意味する丸形が付くことはありえない。

  3. 「事業として」という前提を外し、個人の行為まで違反にする/逆にすべて問題なしとする

    なぜ引っかかるこの法律が義務を課すのは電気用品を事業として製造・輸入・販売する者だ。ところが選択肢では、個人輸入をただちに違反とするものと、個人輸入なら安全性が保証されているとするものが、両極端に並ぶ。どちらも極端さで判断を誘う作りになっている。

    見破り方法律上の義務がかかるかどうかと、製品が安全かどうかを分けて考える。個人が自分で使うためだけに輸入する行為はただちに違反にならないが、表示がないという事実は、第三者検査も自己確認も経ていないという意味のまま残る。

参考文献・出典

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 電気用品は危険性の高さに応じて2区分。特定電気用品(約116品目)は菱形のPSEマークで、国に登録された第三者検査機関による適合性検査が必須
  2. 特定電気用品以外の電気用品(約341品目)は丸形のPSEマークで、製造・輸入事業者自身による自己確認(自主検査)でよい
  3. 電気工事で使う配線器具・電線類の多くはこの法律の対象品目。工事にPSEマークのない無表示品を使用することは認められていない
  4. 電気用品安全法は電気用品を事業として製造・輸入・販売する者に義務を課す法律。個人が自分で使うためだけに輸入した製品は、ただちに法律違反になるわけではないが、第三者検査も自己確認も経ていない製品であることに変わりはなく、そのリスクを負うのは使う本人になる
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