実家の物置から、昔ながらの豆電球のイルミネーションを引っ張り出してきた。去年までは元気に光っていたはずなのに、コンセントに挿しても真っ暗のまま。
コードに沿って豆電球を1個ずつ見ていくと、フィラメントが切れているのはどうやら1個だけらしい。残りは見た目に何の異常もない。なのに、たった1個切れているだけで、なぜかイルミネーション全体が真っ暗になっている。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、その理由がその場で説明できるようになっている。
複数の抵抗を1本の道でつないだ「直列回路」では、電流の通り道が1本しかないため、合成抵抗は各抵抗の値をそのまま足し算するだけでよい。
例題
10Ωと15Ωの抵抗を直列に接続したときの合成抵抗は何Ωか。
直列は「道を継ぎ足していく」イメージなので、合成抵抗は必ず元の各抵抗より大きくなる。この方向性を覚えておけば、計算結果が明らかにおかしいときにすぐ気づける。
電球のフィラメントが焼き切れるというのは、まさにこの状態だ。電気が通る細い金属線が途中で断たれ、そこだけ抵抗が事実上無限大になる。直列回路は1本道だから、抵抗値の合計がどれだけ大きくても小さくても関係なく、途中の1か所が無限大になった時点で回路全体がつながらなくなり、電流はゼロになる。他の電球のフィラメントがどれだけ健全でも、電流という「水」そのものが流れてこなければ光りようがない。
なお、最近のLEDイルミネーションでは、色ごとに必要な電圧が異なることもあり、直列ではなく並列に配線してそれぞれに抵抗をつける構成がよく使われている。並列であれば道は複数本になるので、1個が不点灯になっても他の道の電流には影響しにくい。同じ「電球の1個切れ」でも、回路のつなぎ方次第で結果はまったく違ってくる。
保護装置がわざわざ「1本道」に入っている理由
ブレーカーもヒューズもスイッチも、負荷と直列に入っている。1本道のどこか1か所が開けば全体が止まる——この性質は、電球にとっては故障だが、保護装置にとっては仕事そのものだ。合成抵抗が足し算だという知識の一歩先には、「危ないときに確実に止められる場所をどこに置くか」という設計の思想がある。
故障探しも同じ理屈で進む。電源からブレーカー、スイッチ、器具までは1本道なので、電源を切ったうえでテスタの導通レンジを区間ごとに当てていけば、切れている場所を機械的に絞り込める。今日なら、スイッチ付きの電源タップをコンセントから抜いて、スイッチのONとOFFで導通が変わることを確かめてみるといい。「スイッチとは、抵抗を無限大にしたり戻したりする部品だ」という感覚がつかめる。
この考え方は、これから増える設備でも変わらない。太陽光発電では、パネルを何枚も直列につないで電圧を積み上げた単位(ストリング)を作る。1本道である以上、1枚に影が落ちればその列全体の出力が落ちてしまう。だからパネルにはバイパスダイオードが組み込まれ、影になったセルを電流が迂回できるようにしてある。直列の弱点を正確に知っている人が、それを回避する部品を設計したわけだ。
冒頭のイルミネーションで何が起きていたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。