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電力 ・ 9 / 16

短絡容量と%インピーダンス法

読み終えると、こうなる

受変電設備の単線結線図を見たとき、その先に接続する遮断器に、どれだけの遮断容量が必要になるかを見積もる最初の一歩が分かるようになる

  • 変圧器の定格容量と%インピーダンスから短絡容量・短絡電流をその場で計算でき、計算した短絡電流をもとに、標準定格の中から実際に選定すべき遮断器の定格遮断電流を選べる
  • 基準容量が異なる機器の%インピーダンスを同じ基準容量に換算でき、%Zが小さいほど短絡電流が大きくなる関係を遮断器の選定と結びつけて説明できる
  • 故障点が変圧器端子から離れている場合に、線路の%Zを合成して短絡電流を求め、母線電圧の低下を%Zの比率から計算できる。あわせて%インピーダンスの異なる変圧器を並列運転したときの負荷分担(容量/%Zに比例する)も計算できる
  • 進相コンデンサの投入・開放にともなう需要家端の電圧変動率と、電源側から見た百分率リアクタンス%X・コンデンサ容量・基準容量の関係(ΔV[%]=Q×%X/Pb)を使って、電圧変動率から%Xを逆算する、または%Xから電圧変動率を見積もる計算ができる
考えてみよう

受変電設備の単線結線図には、変圧器・ケーブル・遮断器がそれぞれ違う電圧、違う容量で 並んでいる。もしその系統のどこかで短絡事故が起きたら、いったいどれだけの電流が 一瞬にして流れるのか。そして、その電流を安全に遮断できる遮断器を選ぶには、 何を計算すればいいのか。

電圧も容量も単位もバラバラな機器を、どうやって1つの計算に載せるのか。 このトピックを読み終えるころには、単線結線図を見て、遮断器にどれだけの遮断容量が 必要になるかを見積もる最初の一歩が分かるようになっている。

種明かしは、機器ごとのインピーダンス(Ω)をそのまま比較するのではなく、 「自分の定格に対する電圧降下の割合」という共通のものさしに変換してしまう 「%インピーダンス法(%Z法)」にある。

%インピーダンスとは何か

%インピーダンス(%Z)は、その機器に定格電流を流したときに生じる電圧降下が、 定格電圧に対して何%にあたるかを表した値だ。Ωで表されたインピーダンスの実際の値を 知らなくても、「%Z=5%の変圧器」といえば、それだけで「定格電流を流したとき、定格電圧の 5%分の電圧降下が生じる機器」だと分かる。この%という共通のものさしに変換することで、 電圧階級も容量も違う機器同士のインピーダンスを、同じ土俵で比較・合成できるようになる。

短絡容量・短絡電流の求め方

変圧器の二次側などで三相短絡事故が起きたときに流れる電流(短絡電流)と、それに相当する 皮相電力(短絡容量)は、%Zと定格値から次の式で求められる。

Ps=100%Z×Pn,Is=100%Z×InP_s = \frac{100}{\%Z} \times P_n, \quad I_s = \frac{100}{\%Z} \times I_n

PnP_n は機器の定格容量、InI_n は定格電流だ。%Zが分母にあることに注目してほしい。 %Zが小さい機器ほど、短絡電流・短絡容量は大きくなる。 インピーダンスが小さい (電流が流れやすい)機器ほど、事故時に流れる電流も大きくなる、という直感どおりの関係だ。

例題

定格容量1000kVA、%Z=5%の変圧器がある。二次側で三相短絡が発生した場合の短絡容量はいくらか。

Ps=1005×1000kVA=20×1000kVA=20000kVA=20MVAP_s = \frac{100}{5} \times 1000\text{kVA} = 20 \times 1000\text{kVA} = 20000\text{kVA} = 20\text{MVA}
%Zが小さい=効率が良い(電圧降下が少ない)というイメージだけで捉えると、短絡電流の 大きさを見落としやすい。%Zは「電圧降下の少なさ」と「短絡電流の大きさ」という、一見 逆方向に見える2つの性質を同時に決めている値だと覚えておくと、選定を誤らない。

基準容量をそろえないと、合成できない

%Zは基準にとった容量によって数値が変わる相対値だ。定格容量1000kVAの変圧器の%Zを、 基準容量10000kVA(10MVA)に換算すると、次のように大きくなる。

%Znew=%Zold×Pn,newPn,old=5%×100001000=50%\%Z_{\text{new}} = \%Z_{\text{old}} \times \frac{P_{n,\text{new}}}{P_{n,\text{old}}} = 5\% \times \frac{10000}{1000} = 50\%

これが実務でも試験でも見落としやすいポイントだ。変圧器の%Z(ある基準容量での値)と、 ケーブルの%Z(別の基準容量での値)を、系統全体の合成%Zとして単純に足し合わせては いけない。両方を同じ基準容量に換算してから合成する、という手順を必ず踏む必要がある。 合成のしかた自体は直列であれば単純な足し算、並列であれば抵抗の並列合成と同じ考え方 (逆数の和の逆数)でよいが、その前提として「基準容量をそろえる」という下ごしらえが 欠かせない。

母線から離れた地点の短絡事故 — 線路インピーダンスを加算し、母線電圧の低下も求める

ここまでは、変圧器の二次側端子ちょうどで短絡が起きた場合を扱ってきたが、実際の短絡事故は、 変圧器の母線から何mか離れた線路の途中で起きることも多い。この場合、短絡電流を求めるには、 変圧器の%Zに加えて、故障点までの線路の%Zも合成した合計%Zを使う必要がある。

例題

二次電圧6.6kV・基準容量5000kVAの変圧器があり、変圧器の%Z(基準容量5000kVA)は8%である。 この変圧器の母線から延びる線路の途中で三相短絡事故が発生し、そこまでの線路の%Zを同じ基準容量に 換算すると2%だった。

まず、変圧器と線路を合成した%Zは、

%Z=8%+2%=10%\%Z = 8\% + 2\% = 10\%

定格電流は In=50003×6.6437AI_n = \dfrac{5000}{\sqrt{3} \times 6.6} \approx 437\text{A} なので、短絡電流は

Is=10010×4374370A=4.37kAI_s = \frac{100}{10} \times 437 \approx 4370\text{A} = 4.37\text{kA}

次に、短絡事故が起きる前は6.6kVに保たれていた変圧器母線の線間電圧が、短絡時にどこまで 低下するかを求める。母線は変圧器(電源側の%Z)と、故障点までの線路(線路側の%Z)の間に あるので、母線電圧は次の比率で決まる。

V母線=V定格×%Z線路%Z変圧器+%Z線路=6.6kV×210=1.32kVV_{\text{母線}} = V_{\text{定格}} \times \frac{\%Z_{\text{線路}}}{\%Z_{\text{変圧器}} + \%Z_{\text{線路}}} = 6.6\text{kV} \times \frac{2}{10} = 1.32\text{kV}
母線電圧の低下を求めるときは、「電源側(変圧器)の%Zと、故障点までの線路側の%Zの比率」で 電圧が按分される、という電圧分担の考え方を使う。故障点までの線路の%Zが相対的に小さい (電気的に電源に近い)ほど、母線側の電圧も大きく落ち込む。逆に線路の%Zが大きい(故障点が 電気的に遠い)ほど、電圧降下の大部分は線路側で起き、母線電圧の低下は小さくてすむ。

変圧器を並列運転したときの負荷分担 — 容量が大きい方が多く負担するとは限らない

短絡容量の計算とは別に、%インピーダンス法が活躍するもう一つの場面が、複数の変圧器を並列運転 したときの負荷分担の計算だ。設備の増強で変圧器をもう1台増設し、既設の変圧器と並列に接続して 運転する、という場面は受変電設備の更新でもよく見られる。

同じ二次電圧の変圧器を並列に接続すると、負荷電流はそれぞれの変圧器のインピーダンスに反比例して 分かれる。これを%Zと定格容量を使って表すと、各変圧器の負荷分担は、次の「定格容量÷%Z」の比に 比例する(%Zは必ず同一の基準容量に換算してから使う)。

SASB=PA/%ZAPB/%ZB\frac{S_A}{S_B} = \frac{P_A / \%Z_A}{P_B / \%Z_B}

PA,PBP_A, P_Bは各変圧器の定格容量、%ZA,%ZB\%Z_A, \%Z_Bは同一基準容量に換算した%Zだ。この式が示す 重要な点は、定格容量が大きい変圧器が、必ずしも多くの負荷を分担するわけではないという ことだ。%Zが小さい(インピーダンスが低い)変圧器ほど、同じ容量でもより多くの負荷を 引き受けやすくなる。

「容量が大きい変圧器の方が偉い(たくさん働く)」という直感は半分しか正しくない。負荷分担は 容量と%Zの両方に左右される2変数の関係で、%Zが極端に小さい変圧器が想定以上に負荷を 背負い込み、過負荷になってしまうことさえありうる。並列運転を計画するときは、容量だけでなく 必ず%Zもセットで確認する必要がある。

例題

変圧器A(定格容量6000kVA、%Z=10%、自己容量基準)と変圧器B(定格容量3000kVA、%Z=4%、 自己容量基準)を並列運転し、合計2700kWの負荷をかけた場合の負荷分担を求める。

PA%ZA=600010=600,PB%ZB=30004=750\frac{P_A}{\%Z_A} = \frac{6000}{10} = 600, \qquad \frac{P_B}{\%Z_B} = \frac{3000}{4} = 750 SB=2700×750600+750=2700×7501350=1500kW,SA=27001500=1200kWS_B = 2700 \times \frac{750}{600+750} = 2700 \times \frac{750}{1350} = 1500\text{kW}, \qquad S_A = 2700 - 1500 = 1200\text{kW}

変圧器Aの定格容量は変圧器Bの2倍あるにもかかわらず、実際の負荷分担は%Zの小さいBの方が 大きくなる(1500kW対1200kW)。定格容量の比だけを見て「Aの方が多く負担するはず」と考えると、 この逆転を見落としてしまう。

計算した短絡電流から、実際の遮断器定格を選ぶ — 「近い値」ではなく「上回る値」

ここまでの計算で求めてきた短絡電流は、あくまで理論上の計算値だ。実際に受変電設備に 設置する遮断器を選ぶときは、この計算値をそのまま遮断器の仕様として発注するわけではない。 遮断器の定格遮断電流は、5・8・12.5・20・25・31.5kAのように、規格で定められた飛び飛びの 標準的な値の中から選ぶことになる。

このときに注意したいのが、選び方の向きだ。計算した短絡電流に最も近い標準定格を選んで しまうと、その定格が計算値をわずかに下回ってしまうことがある。遮断器の定格遮断電流は 「その値までなら安全に遮断できる」という上限の保証値なので、計算値を下回る定格を選ぶと、 実際に短絡事故が起きたときに遮断しきれず、遮断器自体が破損する重大事故につながりかねない。

正しくは、計算した短絡電流を上回る、直近上位の標準定格を選定する。

例題

定格容量30MVA、二次電圧6.6kVの変圧器があり、%Z(30MVA基準)は15%である。この変圧器の 一次側に接続する電源の%Z(同じ30MVA基準)は2%であった。この変圧器の二次側に設置する 遮断器の定格遮断電流を求める。

電源と変圧器を合成した%Zは、

%Z=2%+15%=17%\%Z = 2\% + 15\% = 17\%

定格電流は In=300003×6.62625AI_n = \dfrac{30000}{\sqrt{3}\times 6.6} \approx 2625\text{A} なので、短絡電流は

Is=10017×262515,440A15.44kAI_s = \frac{100}{17} \times 2625 \approx 15{,}440\text{A} \approx 15.44\text{kA}

標準定格(5, 8, 12.5, 20, 25, 31.5kA)の中で、この計算値に最も近いのは12.5kAだが、 これは計算値を下回ってしまうため選定できない。計算値(約15.44kA)を上回る直近上位の 標準定格は20kAであり、これが正しい選定値になる。

遮断器の定格選定は「四捨五入」ではなく「切り上げ」で考える。計算値ぴったりの定格が 存在することはまれで、標準定格のどこかに挟まれた中途半端な値になるのが普通だ。そのときに 「近い方」ではなく「上回る方」を選ぶ、という一点だけを固定して覚えておけば、選定を誤らない。

進相コンデンサ投入時の電圧変動率 — もう1つの「%基準」の使い道

%インピーダンス法は、短絡事故の計算だけに使う道具ではない。進相コンデンサの投入・開放に ともなって需要家端の電圧がどれだけ変動するかを見積もる計算にも、同じ「%基準」の考え方が 登場する。

力率改善用の進相コンデンサを分割して設置・運用している場合、その1台を投入(または開放) すると、需要家端の電圧がわずかに変動する。この電圧変動率は、投入するコンデンサの容量 QQ[Mvar]・需要家端から電源側を見た百分率リアクタンス%X\%X[%]・基準容量PbP_b[MVA]を 使って、次の近似式で計算できる(線路インピーダンスを純リアクタンスとみなし、抵抗分を 無視した式)。

ΔV[%]=Q×%XPb\Delta V[\%] = \frac{Q \times \%X}{P_b}

この式は、短絡容量の式 Ps=(100/%Z)×PnP_s = (100/\%Z)\times P_n と同じ発想でできている。コンデンサ容量 QQを基準容量PbP_bに対する比率に直し、そこに%X\%Xを掛けることで、電圧変動という「割合」を 求めている。

この式は、短絡電流を求める式と違って$\%X$が分子側にそのまま掛かる形をしている。短絡電流の 計算では$\%Z$が小さいほど電流が大きくなる(分母にある)のに対し、電圧変動率の計算では $\%X$が大きいほど電圧変動も大きくなる(分子にある)——同じ%基準の考え方でも、式の形が 逆になっている点を区別しておきたい。

例題

需要家端から電源側を見た百分率リアクタンス%X=15%\%X=15\%、基準容量Pb=30P_b=30MV・Aの系統が ある。この需要家端に容量3Mvarの進相コンデンサを投入したときの電圧変動率を求める。

ΔV[%]=3×1530=1.5%\Delta V[\%] = \frac{3 \times 15}{30} = 1.5\%

逆に、電圧変動率から%X\%Xを逆算することもできる。容量2Mvarのコンデンサを投入したときの 電圧変動率が1.2%、基準容量20MV・Aであったとすると、

%X=ΔV×PbQ=1.2×202=12.0%\%X = \frac{\Delta V \times P_b}{Q} = \frac{1.2 \times 20}{2} = 12.0\%
この計算でつまずくとしたら、ほぼ確実に単位のそろえ忘れだ。コンデンサ容量は現場の資料では kvar表記されることが多いが、基準容量はMV・A表記されることが多い。どちらもMvar・MVA (またはkvar・kVA)にそろえてから代入する、という一手間を先に済ませておくと、1000倍の 桁違いを防げる。

なぜこの計算が受変電設備の選定に直結するのか

短絡容量計算の最終的な目的は、その系統に流れうる最大の事故電流を見積もり、その電流を 安全に遮断できる遮断容量を持つ遮断器を選ぶことにある。遮断器の遮断容量が実際に流れうる 短絡電流を下回っていれば、いざ短絡事故が起きたときに遮断器自体が壊れ、事故を遮断しきれない という重大な事態になりかねない。受変電設備・キュービクルを選定・提案する実務では、 変圧器の%Zと定格容量から短絡電流を見積もり、それに見合う遮断容量の遮断器を選ぶ、という 流れが土台になっている。%インピーダンス法は、この一連の計算を、電圧階級の違う機器が 混在する系統でも矛盾なく行うための共通言語だ。

冒頭の「電圧も容量も単位もバラバラな機器を、どうやって1つの計算に載せるのか」—— 答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 基準容量が異なる複数の%Zを、換算せずにそのまま足し合わせて合成%Zとしてしまう

    なぜ引っかかる%Zは電圧・容量に対する相対値であり、同じ値の抵抗やリアクタンス(Ω)と違って、基準にとった容量が変わればインピーダンスが同じでも%Zの数値は変わる。この「基準に依存する値」であることを意識せず、単に%表示された数値同士を足してしまう。

    見破り方%Zの合成計算を始める前に、必ず「すべての%Zが同じ基準容量になっているか」を最初に確認する。基準容量が異なっていれば、%Z_new = %Z_old × (新基準容量/旧基準容量) で共通の基準に揃えてから足し合わせる。

  2. %Zが小さいほど安全(事故が軽い)だと思い込んでしまう

    なぜ引っかかる%Zが小さい=インピーダンスが小さい=電圧降下が少なく効率が良い、という良いイメージだけで捉えると、短絡電流もまた%Zに反比例して大きくなるという事実を見落としやすい。

    見破り方Ps = (100/%Z) × Pn の分母に%Zがあることを思い出す。%Zが小さい機器・系統ほど、短絡電流や短絡容量はむしろ大きくなり、遮断器に求められる遮断容量も大きくなる、という逆方向の効果があることをセットで押さえる。

  3. 定格容量Pnが大きい機器ほど、必ず短絡容量Psも大きくなると考えてしまう

    なぜ引っかかるPsはPnに比例するが、%Zにも反比例して依存する2変数の式であることを忘れ、定格容量だけを見て短絡容量の大小を判断してしまう。定格容量が同じでも%Zが違えば短絡容量は大きく変わる。

    見破り方Ps = (100/%Z) × Pn は、PnとZの両方が結果を左右する式だと捉える。定格容量だけで比較せず、必ず%Zとセットで確認する。

  4. 計算で求めた短絡電流に一番近い遮断器の定格遮断電流を選んでしまう(計算値を下回る定格を選んでしまうことがある)

    なぜ引っかかる「最も近い値を選ぶ」という一般的な四捨五入の感覚で選定してしまうと、計算値をわずかに下回る定格を選んでしまうことがある。

    見破り方遮断器の定格遮断電流は、その値までなら安全に遮断できるという上限の保証値だと捉える。計算した短絡電流を1Aでも下回る定格を選ぶと、実際の事故電流を遮断しきれない危険があるため、必ず計算値以上になる直近上位の標準定格を選ぶ、というルールを固定して覚える。

  5. 母線から離れた地点の短絡事故で、変圧器の%Zだけを使って短絡電流を計算し、線路の%Zを合成し忘れる

    なぜ引っかかる既に慣れた「変圧器の%Zと定格容量だけ」のパターンで計算を終えてしまい、故障点までの経路にある線路インピーダンスの存在を見落としやすい。

    見破り方故障点の位置を確認し、変圧器の端子ちょうどでなければ、そこまでの線路(またはケーブル)の%Zを必ず基準容量をそろえたうえで合成してから短絡電流を求める、という手順を毎回意識する。

  6. 並列運転する変圧器の負荷分担を「定格容量が大きい方がそのまま多く負担する」と単純に考えてしまう

    なぜ引っかかる定格容量が大きい変圧器の方が『能力が高い』という印象から、容量の比だけで負荷分担が決まると思い込みやすい。だが実際の分担は容量と%Zの両方に左右される2変数の関係になっている。

    見破り方負荷分担は各変圧器の『定格容量÷%Z』の比に比例する、という式を思い出す。定格容量が同じでも%Zが小さい変圧器の方がより多く負担し、逆に定格容量が大きくても%Zがそれ以上に大きければ負担は少なくなる。容量だけでなく%Zとセットで確認する。

  7. 電圧変動率の式ΔV[%]=Q×%X/Pbで、コンデンサ容量Qと基準容量Pbの単位(kvarとMVAなど)をそろえずに計算してしまう

    なぜ引っかかるコンデンサ容量は現場感覚でkvar表記されることが多い一方、基準容量はMV・A表記されることが多く、単位をそろえないまま計算すると1000倍の桁違いが生じる。

    見破り方計算前に必ずQとPbの単位をどちらも同じ接頭語(Mvar・MVAなど、またはkvar・kVAなど)にそろえてから代入する。桁数がおかしい値が出たら、まず単位の食い違いを疑う。

参考文献・出典

理解度チェック(13問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、13問で確認しよう。 内訳は基本5問・応用3問・ひっかけ5問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 13 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 短絡容量: Ps = (100/%Z) × Pn(Pn:定格容量、%Z:百分率インピーダンス)
  2. 遮断器の定格遮断電流は、5・8・12.5・20・25・31.5kAのように飛び飛びの標準的な値(規格で定められた定格)の中から選ぶ。計算で求めた短絡電流にちょうど近い値ではなく、その値を上回る直近上位の標準定格を選定する。計算値未満の定格を選ぶと、実際の短絡電流を安全に遮断しきれない
  3. 短絡電流: Is = (100/%Z) × In(In:定格電流)
  4. %Zは基準容量に依存する値なので、複数の機器の%Zを足し合わせるときは、必ず同じ基準容量に換算してから合成する
  5. 基準容量の換算式: %Z_new = %Z_old × (新基準容量 ÷ 旧基準容量)
  6. %Zが小さい機器ほど、短絡電流・短絡容量は大きくなる(インピーダンスが小さい=電流が流れやすい)
  7. 故障点が変圧器端子から離れた線路上にある場合は、変圧器の%Zに線路の%Zを合成した合計%Zで短絡電流を求める。また、短絡時の母線電圧の低下は、電源側と線路側の%Zの比率で按分される
  8. 定格容量・%Zが異なる変圧器どうしを並列運転すると、それぞれの負荷分担は各変圧器の『定格容量÷%Z』(同一基準容量に換算した%Zを使う)の比に比例する。容量が大きい変圧器ほど多く負担するとは限らず、%Zが小さい(インピーダンスが低い)変圧器ほど、より多くの負荷を引き受ける
  9. 進相コンデンサの投入・開放による需要家端の電圧変動率は、コンデンサ容量Q[Mvar]・電源側の百分率リアクタンス%X[%]・基準容量Pb[MVA]を使って、ΔV[%]=Q×%X/Pbという比例式で近似計算できる(線路インピーダンスを純リアクタンスとみなし、抵抗分を無視した近似式)。短絡容量の式Ps=(100/%Z)×Pnと同じ『%基準』の考え方で、コンデンサ容量を基準容量に対する比率に直してから%Xを掛ける、という組み立てになっている
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