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法規 ・ 9 / 12

高圧受電設備の施設基準

読み終えると、こうなる

工場やビルの受電設備(キュービクル)を見たとき、そこに並ぶ機器(区分開閉器・主遮断装置・変圧器・保護継電器)が、それぞれ何のために・誰を守るために置かれているかを説明できるようになる

  • 高圧受電設備を構成する主要機器(区分開閉器・主遮断装置・変圧器・保護継電器)の役割と位置関係、及び避雷器を施設すべき箇所(発電所・変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線の引込口・引出口、一定規模以上の受電電力を持つ高圧・特別高圧の需要場所の引込口など)を説明できる
  • CB形とPF・S形という主遮断装置の使い分け、GR付きPASが「波及事故防止」のために置かれている理由、分散型電源の低圧連系時・高圧連系時に求められる施設要件(単相3線式の中性線不平衡対策、逆変換装置を用いない場合の逆充電の扱いなど)、及び異常の種類(発電電圧の異常・系統側短絡/地絡事故・単独運転)ごとに使い分けられる保護リレー等の対応関係を説明できる
  • 単線結線図に出てくる保護継電器(GR・OCR)や計器(電力量計・電圧計・電流計・力率計など)が、それぞれ何を検出・計測し、単線結線図のどのあたりに置かれる傾向があるかを指させる
  • 計器用変成器のうち変流器(CT)について、二次側を開放してはならない理由と、電流計交換時などにやむを得ず取り扱う際の正しい手順を説明できる
考えてみよう

高圧で受電している工場の電気室をのぞくと、入口近くに小さな開閉器(区分開閉器)、 その奥にもう1段、遮断器やヒューズが入った盤(主遮断装置)が並んでいる。 どちらも「電気を切るための装置」に見えるが、役割はまったく違う。

一方は、自分の設備で起きた事故が電力会社の配電線、ひいては近隣の他の需要家にまで 広がるのを防ぐために置かれている。もう一方は、自分の設備の中だけを守るために置かれている。 この2段構えの意味を取り違えると、法規の問題は簡単に足をすくわれる。

このトピックを読み終えるころには、キュービクルの中に並ぶ機器を見て、それぞれが 「誰を、何から守っているか」を順番に説明できるようになっている。

種明かしは、高圧受電設備が責任分界点から始まる一続きの保安システムとして設計されている、 という点にある。機器を1つずつ、外側(電力会社側)から内側(需要家側)へたどっていこう。

高圧受電設備とは — 責任分界点から始まる一続きの保安システム

工場やビル、大型店舗など、契約電力がある程度以上になる需要家は、電力会社から高圧(6600V)で 受電し、構内の変圧器で低圧(200V/100Vなど)に落として使用する。この一連の設備を高圧受電設備と呼ぶ。

構成をおおまかに並べると、次のような順序になる。

  • 責任分界点・区分開閉器(PAS・UGSなど)
  • 引込みケーブル
  • 主遮断装置(CB形・PF・S形)
  • 変圧器
  • 保護継電器(過電流継電器・地絡継電器など)や計器用変成器
  • 進相コンデンサなど力率改善設備

それぞれの機器が、電力会社側・需要家側のどちらに軸足を置いた保安装置なのかを意識すると、 法規の出題で問われる「目的の取り違え」を防ぎやすくなる。

区分開閉器(PAS/UGS)と「波及事故防止」という役割

責任分界点に置かれる区分開閉器(PAS:柱上に設置するタイプ、UGS:地中引込みで使うタイプなど)は、 需要家側の設備と電力会社側の配電線を切り離すためのスイッチだ。

この区分開閉器に地絡継電器(GR)を組み合わせたものを、GR付きPASと呼ぶ。需要家構内で地絡事故 (電線が地面や金属部分に触れて漏電する事故)が起きたとき、GR付きPASが自動的に動作して、 事故を起こした需要家を配電線から切り離す。

GR付きPASの目的を「自分の設備を守るため」と考えると、半分しか正しくない。 本質的な狙いは、事故を起こした需要家1軒を配電線から素早く切り離すことで、 同じ配電線につながる周辺の他の需要家にまで停電や事故が広がるのを防ぐこと ——**波及事故防止**——にある。地域全体の配電系統を守るための装置、と捉えると理解しやすい。

GR付きPASのSOG機能 — 短絡事故が起きたとき、PASはどう動くか

GR付きPASが「波及事故防止」の役割を持つことは前の見出しで見た。だが、この区分開閉器には、地絡事故だけでは説明しきれないもう1つの重要な仕組みがある。

区分開閉器(PAS)は、通常の負荷電流を開閉できるように作られている。ところが短絡事故のような桁違いに大きな電流までは、PAS自身の遮断能力では処理しきれない。では、GR付きPASより需要家側(負荷側)、つまりPASと構内の受電用遮断器との間で短絡事故が起きたとき、いったい何が事故を止めるのか。

答えは、PAS自身ではなく、一般送配電事業者側の配電用変電所の遮断器だ。短絡事故が起きると、まず配電用変電所側の遮断器が動作して配電線を停電させる。GR付きPASは、この間「開放する」という判断を一時的に保留し、待機状態を保つ。配電線が無電圧になったことを確認してから、はじめてPASが自動的に開放動作を行う——これがSOG機能のうちSO動作と呼ばれる仕組みだ。

PASが「事故を検知したらすぐ開く」のではなく、「電源側が止まって、電気が流れていないことを確かめてから開く」という順序を踏むのがポイントだ。通電状態のままPASを開閉しようとすると、PASの遮断能力を超える短絡電流にさらされて機器が壊れかねない。無電圧を確認してから動く、という手順そのものが、PASの遮断能力を超える電流から機器自身を守る安全装置になっている。

この仕組みが効いてくるのは、配電用変電所の遮断器が再投入(再閉路)されるときだ。PASはすでに開放されているため、事故が起きた需要家の設備は配電線から切り離されたままで、健全な他の需要家側だけに電気が戻る。停電の原因となった短絡事故が需要家構内で起きたものであっても、この時点では地絡継電器(GR)が検出して自ら遮断したわけではなく、電源側の遮断・再閉路という一連の流れの中でPASが受け身に開放されているだけなので、電力会社側の系統全体を巻き込む「波及事故」としては扱われない。

GR(地絡継電器)が能動的に検出して開放する地絡事故のケースと、SO動作のように電源側の停電・無電圧確認を経て受け身に開放する短絡事故のケースとでは、PASが「なぜ開いたか」という理屈がまったく違う。同じ「PASが開く」という結果だけを見て、両者を同じ仕組みだと思い込むと、この分野の設問では足をすくわれやすい。

主遮断装置 — CB形とPF・S形、容量で使い分ける

区分開閉器を通過した先、需要家構内に置かれるのが主遮断装置だ。ここは「自分の設備を守る」ための 装置で、大きく2つの方式がある。

  • CB形:高圧遮断器(VCBなど)を主遮断装置として用いる方式。
  • PF・S形:高圧限流ヒューズ(PF)と高圧交流負荷開閉器(LBS)を組み合わせた方式。

PF・S形はCB形に比べて構成がシンプルで経済的だが、ヒューズという特性上、適用できる設備容量に 上限がある。受電設備容量が大きくなる需要家では、より確実に大電流を遮断できるCB形を選ぶのが 一般的な考え方になる。どこまでの容量ならPF・S形でよいかという具体的な数値基準は、 最新の電気設備技術基準・高圧受電設備規程を確認すること。

キュービクル式受電設備 — 保安性と省スペースを両立する箱

区分開閉器から先の主要機器を、1つの金属製閉鎖箱にまとめて収める方式をキュービクル式と呼ぶ。 機器がむき出しの「開放形」の受電室に比べて、設置面積を抑えつつ、外部からの接触事故を防いで 保安性を高められることから、工場やビルの受電設備として広く普及している。

避雷器と保護継電器 — 見えない脅威に備える

架空電線路で高圧を受電する需要場所のうち、受電電力の容量が一定以上大きい需要場所では、 引込口への避雷器の設置が求められる——というのが電気設備技術基準の解釈でよく知られた基準だ (具体的な容量の閾値・条件は最新の解釈条文を確認すること)。雷サージという目に見えない脅威から、 高価な変圧器や機器を守るための装置になる。

避雷器を施設すべき箇所は、需要場所の引込口だけではない。発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所では、架空電線の引込口(需要場所の引込口を除く)だけでなく、架空電線の引出口又はこれに近接する箇所にも避雷器の施設が求められる。「引込口=雷サージが入ってくる場所だから避雷器を置く」という発想だけで止まると、引出口側にも同じ義務があることを見落としやすい。

避雷器の施設箇所は、発電所・変電所側と需要場所側の2つに分けて整理すると覚えやすい。発電所・変電所側は、そこに接続する架空電線の引込口・引出口の両方が対象になる(雷サージは電線を伝ってどちらの方向からも侵入しうるため)。需要場所側は、高圧架空電線路から受電する場合は受電電力の大きさ(一定規模以上で施設義務が生じ、小規模な需要場所では要しない場合がある)、特別高圧架空電線路から受電する場合は使用電圧の大きさによって、施設義務の有無が決まる。具体的な受電電力・使用電圧のしきい値は、電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。

保護継電器も同様に、過電流継電器(OCR)や地絡継電器(GR)・地絡方向継電器(DGRなど)が、 それぞれ過電流事故・地絡事故を検知して主遮断装置を動作させる、需要家設備内部の「見張り役」だ。

単線結線図に並ぶ機器と計器 — 「見張り役」と「計測役」を見分ける

高圧受電設備の単線結線図(電気の流れを1本の線で簡略化して描いた図)を見ると、四角や丸の記号とともに、 アルファベットの略号がいくつも並んでいる。これらは大きく2つのグループに分けて考えると整理しやすい。

  • 見張り役(保護継電器):事故や異常を検出し、主遮断装置を動作させて電路を遮断する
    • 地絡継電器(GR):地絡事故(漏電)を検出する
    • 過電流継電器(OCR):短絡・過負荷による過電流を検出する
  • 計測役(計器):電気の状態を数値として表示する。事故を検出して機器を動作させることはない
    • 電力量計(Wh):一定期間に使った電力量(積算値)を表示する。検針・請求の根拠になる
    • 電圧計(V):電圧の瞬時値を表示する
    • 電流計(A):電流の瞬時値を表示する
    • 電力計(W):電力の瞬時値を表示する
    • 力率計:力率(電力の有効利用度合い)を表示する
GR・OCRのような「継電器(リレー)」は、異常を検出して**遮断装置を動かす**主体になる。 一方、Wh・V・A・W・力率計のような「計器(メーター)」は、電気の状態を**数値で表示するだけ**で、 それ自体が何かを動作させることはない。単線結線図で略号を見たとき、まずこの2グループの どちらに属するかを判断すると、機器の役割を取り違えにくくなる。

配置される位置にも傾向がある。電力量計(Wh)は検針・請求の根拠になる数値のため、責任分界点に近い 受電点付近に置かれることが多い。電圧計(V)・電流計(A)・電力計(W)・力率計は、変圧器の二次側など、 実際に電気を使っている箇所に近い場所に置かれる傾向がある。保護継電器(GR・OCR)は、それぞれが 監視したい電路(区分開閉器付近、主遮断装置付近など)のそばに配置される。ただし配置の詳細は 設備ごとの設計によって変わるため、あくまで「傾向」として捉え、個別の単線結線図は図面そのもので確認すること。

計器用変成器(CT・PT) — 継電器・計器に「電気の縮図」を送る変換役

GR・OCRのような保護継電器も、電圧計・電流計のような計器も、高圧の電気をそのまま受け取っているわけではない。数千Vの高圧・数十Aの高圧電流を、継電器や計器がそのまま扱うのは危険で非現実的だ。そこで間に入るのが計器用変成器で、高圧側の電圧・電流を、扱いやすい小さな値に変換して継電器・計器へ送る役割を持つ。

  • 計器用変圧器(VT・PT):高圧側の電圧を、低い電圧(一般に110V)に変換する
  • 変流器(CT):高圧側の電流を、低い電流(一般に5A)に変換する
CTとPTは、どちらも「変成器」という同じカテゴリでくくられるが、通電中に取り扱う際の禁止事項は正反対だ。PT(計器用変圧器)は二次側を短絡してはならない。CT(変流器)は二次側を開放してはならない。名前が似ているからと同じ感覚で扱うと、この正反対の注意点を取り違える。

なぜCTの二次側を開放してはいけないのか

CTは、一次電流が作る磁束によって二次電流を発生させる仕組みを持つ。通常、二次側には電流計や保護継電器といった負荷がつながっており、二次電流が流れることで鉄心の磁束は一定の範囲に保たれている。

ところが通電中に二次側を無防備に開放すると、二次電流が流れなくなる分、一次電流のほぼすべてが鉄心を励磁する電流として働き、鉄心の磁束が急激に増大する。この結果、二次側の巻線には異常な高電圧が発生し、絶縁破壊や感電を招く危険がある。だからCTの二次側には、開閉器やヒューズのような「うっかり回路を切ってしまう」機器を設置してはならない。

「電流を測る機器なのに、なぜ回路を切ると危険なのか」と疑問に思うかもしれない。答えは、CTの二次側が「常に電流の逃げ道(負荷)を持っていること」を前提に設計されているからだ。逃げ道をふさぐ(開放する)と、行き場を失ったエネルギーが電圧という形で跳ね上がる——この一点を押さえると、CTにまつわる規定はすべて腑に落ちる。

CTの通電中に、電流計をやむを得ず交換する必要が生じることがある。このとき正しい手順は、①先に二次側端子を短絡する、②その状態で電流計を取り外し・交換する、③交換後に短絡を外す、という順序だ。短絡することで二次電流の逃げ道を確保したまま作業できる。PTの二次側短絡が禁止されているのとは、まったく逆の発想であることに注意したい。

分散型電源の系統連系 — 太陽光・風力をつなぐときの「解列」という考え方

ここまでは、需要家が電力会社から電気を「もらう」側の保安の話だった。だが近年は、高圧で受電する需要家の構内に太陽光発電や風力発電などの分散型電源を設置し、電力系統へ電気を送り出す(逆潮流させる)ケースが増えている。電気を「もらう」だけでなく「送る」側にもなると、保護の考え方に新しい要素が加わる。

分散型電源を高圧の電力系統に連系する場合、電気設備技術基準の解釈は、異常時に分散型電源を電力系統から自動的に切り離す——解列する——ための保護装置の設置を求めている。解列が必要になる代表的な異常には、次のようなものがある。

  • 分散型電源自体の異常・故障
  • 連系している電力系統側の短絡事故・地絡事故
  • 単独運転(分散型電源が接続している配電線が電力系統から切り離されているのに、分散型電源だけがその配電線に電気を送り続けてしまう状態)
単独運転は、分散型電源を扱ううえで特に重要な異常状態だ。電力会社が保守・復旧作業のために配電線を無電圧にしたつもりでも、太陽光発電などがその配電線に電気を送り続けていれば、作業者は「電気が来ていない」と誤認したまま、実際には充電された電線に触れてしまう危険がある。単独運転の検出・解列は、需要家自身の設備を守るためではなく、配電線で作業する電力会社側の作業者の安全を守るための仕組みだと理解しておくと、GR付きPASの「波及事故防止」と同じ発想——**自分ではなく、外側の系統・人を守るための保護**——だと気づきやすい。

逆潮流有りの高圧連系で使い分けられる保護リレー

分散型電源を「解列させる」ための判断は、単独運転の検出だけで完結するわけではない。逆変換装置(パワーコンディショナ)を用いて連系し、かつ逆潮流(発電した電気を電力系統側へ送り出すこと)がある場合、電気設備技術基準の解釈は、検出する異常の種類ごとに、次のような保護リレー等を受電点その他異常の検出が可能な場所に設置するよう求めている。

検出する異常保護リレー等の種類
発電電圧の異常上昇過電圧リレー
発電電圧の異常低下不足電圧リレー
系統側の短絡事故不足電圧リレー
系統側の地絡事故地絡過電圧リレー
単独運転周波数上昇リレー・周波数低下リレー・転送遮断装置又は単独運転検出装置
この表を見て気づくのが、「発電電圧の異常低下」と「系統側の短絡事故」がどちらも不足電圧リレーで検出される点だ。分散型電源自体の保護用に設置するリレーで検出・保護できる場合は、この不足電圧リレーを重複して設置する必要がなくなることがある——1つのリレーが複数の役割を兼ねられる、という発想がここにある。地絡事故だけは不足電圧リレーではなく地絡過電圧リレーが担当する、という組み合わせの違いも押さえておきたい。

単独運転の検出には、周波数上昇リレー・周波数低下リレーに加え、転送遮断装置(配電用変電所の遮断器の遮断信号を伝送し、分散型電源を解列させる装置)や、能動的に系統への信号を送って単独運転状態を検出する単独運転検出装置が用いられる。単独運転検出装置には能動的方式を1方式以上含むことが求められ、必要な時間内に確実に検出できること、頻繁な不要解列を生じさせない検出感度であること、能動信号が系統への影響上問題とならないことという条件を満たす必要がある。

もう1つ重要なのが、一般送配電事業者側が配電線の再閉路(事故等で停止した配電線を再び通電させる操作)を行う場合の扱いだ。分散型電源は、この再閉路が行われるときには、あらかじめ電力系統から解列されていなければならない。理由はSOG機能のSO動作と同じで、無関係な電源が生きたまま再閉路すると、位相のずれた電気同士がぶつかって機器を損傷させたり、無電圧を前提に作業している人を危険にさらしたりするおそれがあるからだ。

解列そのものは、次のいずれかの遮断器等で行う。

  • 受電用遮断器
  • 分散型電源の出力端に設置する遮断器(またはこれと同等の機能を持つ装置)
  • 分散型電源の連絡用遮断器
  • 母線連絡用遮断器
「単独運転の検出」と「再閉路時の解列」は、どちらも分散型電源を電力系統から切り離す点は同じだが、目的が違う。単独運転の検出は、分散型電源自身が異常な状態(系統から孤立しているのに電気を送り続けている状態)にあることを検知して切り離す。再閉路時の解列は、分散型電源側に異常がなくても、電力系統側の都合(再閉路)に合わせて先回りして切り離しておく、という受け身の対応だ。両方とも「解列」という同じ言葉でくくられるため、目的の違いを区別せずに覚えると、設問で原因と結果を取り違えやすい。

電材商社の立場からも、太陽光発電設備や自家発電設備の高圧連系案件に関わる機会は増えている。パワーコンディショナや保護継電器を選定する際、「この保護装置は分散型電源自身を守るためのものか、それとも系統・作業者を守るためのものか」を意識できると、需要家への説明や機器選定の精度が上がる。

キュービクルに収めない高圧機械器具 — 「発電所等に準ずる場所」以外で施設する条件

ここまで見てきたキュービクル式は、高圧の機械器具を金属製の箱にまとめて収め、外部からの接触を防ぐ方式だった。だが現場によっては、機械器具を箱に収めず露出した状態で施設したいケースもある。この場合、電気設備技術基準の解釈は、原則として高圧の機械器具を発電所・変電所・開閉所若しくはこれらに準ずる場所以外の場所に施設することを禁止しつつ、次のいずれかの方法を満たせば例外的に施設できるとしている。

  • 機械器具の周囲にさく・へい等を設け、その高さと充電部分までの距離の和を一定値以上確保し、危険である旨を表示する
  • 工場等の構内において、機械器具の周囲に高圧用機械器具である旨を表示する
  • 屋内であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する
  • 機械器具を堅ろうな箱等(コンクリート製の箱やD種接地工事を施した金属製の箱など)に収め、充電部分が露出しないように施設する
  • 充電部分が露出しない機械器具を、人が接近又は接触しないよう、さく・へい等を設けて施設する
この5つの方法に共通しているのは、いずれも「人が機械器具の充電部分に容易に触れられない状態を、物理的に作る」という点だ。工場等の構内での表示だけで足りるように見える方法も、「工場等の構内=部外者の立入りが実務上制限されている場所」であることが前提になっている。まったく人の出入りを制限できない公道沿いのような場所で、表示だけに頼って高圧機械器具を露出させることは認められない。地中電線相互の0m施設条件(不燃性の被覆や管という物理的な性能)と同じく、ここでも「表示・注意喚起」だけでは足りず、物理的な隔離や制限とセットになっていることを意識しておくとよい。

分散型電源の施設要件 — 保護リレーとは別に、電圧区分ごとの決まりがある

ここまで見てきた過電圧リレー・不足電圧リレー・地絡過電圧リレーといった保護リレー等は、「異常が起きたときにどう検出し、解列するか」という話だった。分散型電源の連系には、これとは別に、電圧区分(低圧・高圧)ごとに定められた具体的な施設要件がある。

低圧連系 — 単相3線式の中性線を守る

単相3線式(100V/200Vを1本の中性線と2本の電圧線で供給する方式)の低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合、負荷の不平衡(片側の電圧線に偏って負荷がかかること)により、中性線に最大電流が生じるおそれがある。このおそれがあるときは、分散型電源を施設した構内の電路であって、負荷及び分散型電源の並列点よりも系統側に、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設することが求められる。

なぜ「系統側」に遮断器を置くのか。負荷側ではなく系統側に遮断器を置くことで、中性線に異常な電流が流れたときに、分散型電源を含む構内の電路全体を系統から切り離せる。負荷側だけに遮断器を置いても、分散型電源からの電流供給までは止められない、という考え方がここにある。

もう1つ、低圧連系で見落としやすいのが、逆変換装置(パワーコンディショナ)の有無による扱いの違いだ。逆変換装置を用いずに低圧の電力系統へ分散型電源を連系する場合は、逆変換装置を用いる場合と同等の単独運転検出及び解列ができない限り、電力を電力系統側へ送り出す状態を生じさせないことが求められる。逆変換装置がないと、系統の状態をリアルタイムに検知して安全に解列する仕組みが働きにくいため、より慎重な扱いが必要になる、と理解すればよい。

高圧連系 — 配電用変電所での潮流の向き

高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合にも、独自の施設要件がある。分散型電源を連系する配電用変電所において、保護協調(配電用変電所側に保護装置を施設する等の方法により、分散型電源と電力系統との協調をとること)ができない限り、逆向きの潮流を生じさせないことが原則になる。

「逆潮流」という言葉は、系統連系保護のところで見た「発電電圧の異常」「系統側の短絡・地絡事故」「単独運転」とは別の切り口の話だ。保護リレー等は事故や異常が起きたときの検出・解列を扱うのに対し、この潮流の向きに関する要件は、平常時に電力がどちら向きに流れることを前提に系統が設計・運用されているかという、系統運用側の制約に関わる話になる。保護協調(配電用変電所側での対策)がとれれば、この原則にも例外が認められる、という構造は、他の分散型電源の規定と同じ「対策とセットでの緩和」パターンだ。

具体的な条文番号・数値条件は改正が入りやすい分野でもあるため、実務・受験ともに電気設備技術基準の解釈の最新版で確認することが前提になる。

なぜこの構造を知っておくべきか

高圧受電設備の更新やキュービクルの入れ替え工事に関わる場面では、どの機器が誰のために 置かれているかを取り違えると、見積もりや提案の中で機器の役割を誤って説明してしまうリスクがある。 区分開閉器は地域(電力会社側)を守るため、主遮断装置・保護継電器は自分の設備を守るため—— という位置づけを軸にすれば、法規の問題も、実際の設備を前にしたときも、迷わず整理できるようになる。

冒頭の「区分開閉器と主遮断装置、2段構えの意味」——答え合わせは理解度チェックの 最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. GR付きPASの目的を「自分の設備を守るため」と誤解する

    なぜ引っかかる「保護」という言葉から、真っ先に自分自身の設備を守るイメージを持ちやすいが、GR付きPASの本質的な役割は地域の配電系統(電力会社側)への事故波及防止にある。

    見破り方「波及事故防止」という用語とセットで覚える。設問に「電力会社側」「他の需要家」「配電線」といったキーワードが出てきたら、GR付きPASの本来の目的を問う設問だと見抜く。

  2. 主遮断装置(CB形/PF・S形)と、区分開閉器(PAS/UGS)を混同する

    なぜ引っかかるどちらも「高圧」「開閉」「遮断」という言葉が絡むため、責任分界点にある区分開閉器と、需要家構内の主遮断装置を同じもの、あるいは同じ役割だと誤解しやすい。

    見破り方設置場所で区別する。区分開閉器(PAS/UGS)は責任分界点に、主遮断装置(CB形/PF・S形)はその奥の需要家構内に置かれる、という位置関係を先に確認する。

  3. 容量の小さい設備ほど保安上厳しい基準が課される、と直感的に考えてしまう

    なぜ引っかかる一般的な感覚では「大きい設備の方が危険=基準が厳しい」と思いがちだが、実際には主遮断装置の選定基準のように、容量が一定を超えるとより確実な遮断方式(CB形)が要求されるなど、容量に応じて基準の中身が変わる。

    見破り方「容量が大きいほど、より確実な保護方式が必要になる」という一般則を軸に、個別の基準がどちらの方向に働くかをそのつど確認する。

  4. 地絡継電器(GR)と過電流継電器(OCR)が検出する事故の種類を取り違える、または電力量計(Wh)と電力計(W)を同じものだと思い込む

    なぜ引っかかるどちらも「継電器」「計器」という同じカテゴリの言葉でくくられるため、名前だけを見ると区別があいまいになりやすい。

    見破り方継電器は検出対象の漢字で覚える(GR=地絡を検出、OCR=過電流(短絡・過負荷)を検出)。計器は単位で覚える(Wh=積算した電力量、W=その瞬間の電力)と混同しにくい。

  5. 計器用変圧器(PT)と変流器(CT)を同じ感覚で扱い、CTの二次側を無防備に開放してよいと誤解する

    なぜ引っかかる「計器用変成器」という同じカテゴリの言葉でくくられるため、PTとCTで正反対の取り扱い上の注意点(PTは二次側短絡厳禁、CTは二次側開放厳禁)があることを見落としやすい。

    見破り方PTは電圧を扱う変成器で二次側短絡が危険、CTは電流を扱う変成器で二次側開放が危険、と正反対の禁止事項をセットで覚える。CTの二次側は常に何かにつながっていなければならない(開放禁止)、PTの二次側は短絡してはならない、と整理する。

  6. SOG機能のSO動作を、地絡継電器(GR)が地絡事故を検出して能動的にPASを開放する動作と同じ仕組みだと混同する

    なぜ引っかかるどちらも『PASが開く』という結果は同じであり、GR付きPASという名前から、開放の原因はすべてGRの検出によるものだと思い込みやすい。

    見破り方地絡事故はGRが能動的に検出して開放するのに対し、短絡事故のケースは電源側の遮断・無電圧確認を経てPASが受け身に開放する(SO動作)という、開放の『きっかけ』が違う2つの仕組みが同居していると整理する。

  7. 分散型電源の単独運転検出・解列を、需要家自身の設備を守るための保護だと誤解する

    なぜ引っかかる『解列』という言葉が、需要家設備の損傷を防ぐイメージと結びつきやすく、GR付きPASの波及事故防止と同じ発想(外側を守る)であることを見落としやすい。

    見破り方単独運転の検出・解列は、無電圧だと思って作業する電力会社側の作業者を感電から守るための仕組みだと確認する。GR付きPASの波及事故防止と同じく『自分ではなく外側を守る保護』というカテゴリで整理すると混同しにくい。

  8. 系統連系保護のリレーを、種類を問わず『全部同じような役割』とひとまとめにして覚える

    なぜ引っかかる過電圧・不足電圧・地絡過電圧・周波数上昇/低下という似た名前のリレーが並ぶため、それぞれが何を検出するために置かれているかを区別せずに覚えてしまいやすい。

    見破り方検出する異常の種類(発電電圧の異常/系統側の短絡・地絡事故/単独運転)ごとに、対応するリレーの組み合わせを表で整理する。特に短絡事故を不足電圧リレーで、地絡事故を地絡過電圧リレーで検出するという組み合わせは、名前の印象だけでは結びつきにくいので意識して覚える。

  9. 高圧の機械器具の施設について「表示さえすれば距離や囲いは要らない」あるいは「地表からの高さだけで足りる」と誤解する

    なぜ引っかかる電気さく・地中電線の0m施設条件などで学んだ『対策を講じれば緩和される』という発想を機械的に流用し、高圧機械器具の施設でも表示や高さだけで条件を満たせると錯覚しやすい

    見破り方高圧の機械器具を発電所等以外の場所に施設できる方法は、さく・へい等+高さと距離の和の確保+表示、工場構内での表示、屋内での立入制限、堅ろうな箱への収納など複数用意されているが、いずれも『人が容易に触れられない』状態を物理的に作る対策とセットであり、表示や高さのどちらか一方だけでは条件を満たさない場合があると条文の全体で確認する

  10. 分散型電源の連系要件を、系統連系保護(過電圧・不足電圧・地絡過電圧・周波数リレー等による解列)だけで理解が完結すると思い込み、電圧区分ごとの施設要件(遮断器の位置、逆潮流の扱いなど)を見落とす

    なぜ引っかかる『分散型電源の保護=保護リレーで異常を検出して解列する話』という理解に落ち着くと、それとは別に電圧区分(単相3線式の低圧、高圧)ごとに定められている個別の施設要件があることに気づきにくい

    見破り方分散型電源の連系規定には、①異常時に解列するための保護リレー等の設置、②電圧区分ごとの施設要件(低圧の中性線不平衡対策、逆変換装置を用いない場合の扱い、高圧連系での潮流の向き)という、性格の異なる2つのレイヤーがあると整理する。どちらか一方だけを覚えて満足しないようにする

  11. 避雷器の施設義務を『架空電線の引込口だけ』の話だと思い込み、発電所・変電所の引出口や、高圧受電の需要場所の引込口にも施設義務があることを見落とす

    なぜ引っかかる『避雷器=雷サージの侵入口である引込口に置く装置』という理解で止まると、発電所・変電所側からみて電気が出ていく引出口にも同様の施設義務があること、需要場所側にも受電電力に応じた施設義務があることに気づきにくい

    見破り方避雷器の施設箇所を『発電所・変電所側』と『需要場所側』の2つに分けて整理する。発電所・変電所側は引込口と引出口の両方が対象になる(需要場所の引込口は除く)。需要場所側は、高圧架空電線路から受電する場合は受電電力の大きさ、特別高圧架空電線路から受電する場合は使用電圧の大きさによって施設義務の有無が決まると確認する

参考文献・出典

理解度チェック(21問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、21問で確認しよう。 内訳は基本11問・応用4問・ひっかけ6問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 21 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 高圧受電設備は、電力会社と需要家の責任分界点(区分開閉器)から始まり、主遮断装置・変圧器・保護継電器などで構成される
  2. 主遮断装置にはCB形(遮断器)とPF・S形(高圧限流ヒューズ+高圧交流負荷開閉器)の2方式があり、PF・S形は比較的小容量の設備に限られる
  3. 区分開閉器にGR(地絡継電器)を組み合わせる(GR付きPAS)目的は、自家用設備内の事故が電力会社側の配電線に波及するのを防ぐこと(波及事故防止)
  4. キュービクル式は受電設備一式を金属製閉鎖箱に収める方式で、省スペース・保安性の面で広く普及している
  5. 具体的な数値基準(容量の閾値・離隔距離など)は、電気設備技術基準や高圧受電設備規程の最新版で必ず確認する
  6. 単線結線図には、地絡継電器(GR)・過電流継電器(OCR)といった保護継電器と、電力量計(Wh)・電圧計(V)・電流計(A)・電力計(W)・力率計といった計器が並ぶ。保護継電器は事故を検出して機器を動作させる「見張り役」、計器は電気の状態を数値で表示する「計測役」という役割の違いがある
  7. 計器用変成器の変流器(CT)は、一次電流から生じる磁束によって二次電流を発生させる機器で、通電中に二次側を開放すると一次電流のほぼすべてが励磁電流となり、二次側に異常高電圧が発生して絶縁破壊や感電の危険を招く。CTの二次側には開閉器やヒューズを設置してはならず、電流計をやむを得ず交換する場合は、先に二次側端子を短絡してから作業し、作業後に短絡を外す手順を取る
  8. GR付きPASは通常の負荷電流は遮断できるが、短絡事故のような大電流までは遮断できない。PASより負荷側で短絡事故が起きた場合、一般送配電事業者側の遮断器が動作し配電線が無電圧になったことを確認してから、PASがSOG機能のSO動作として自動的に開放する。GRが地絡事故を能動的に検出して開放するのとは異なる、受け身の仕組みが働いている
  9. 高圧の電力系統に太陽光発電・風力発電等の分散型電源を連系する場合、異常時に自動的に解列する保護装置の設置が求められる。解列が必要な異常には分散型電源自体の異常・系統側の短絡/地絡事故に加え単独運転(系統から切り離された配電線に分散型電源だけが送電し続ける状態)があり、単独運転の検出は主に配電線で作業する電力会社側の作業者の安全を守るための仕組みである
  10. 逆変換装置を用いて逆潮流有りで高圧連系する場合、検出する異常の種類ごとに保護リレー等が使い分けられる。発電電圧の異常上昇は過電圧リレー、異常低下は不足電圧リレーで検出し(分散型電源自体の保護用リレーで検出・保護できる場合は省略可)、系統側の短絡事故は不足電圧リレーで、系統側の地絡事故は地絡過電圧リレーで検出し、単独運転は周波数上昇・低下リレーや転送遮断装置又は単独運転検出装置で検出する
  11. 高圧の機械器具(キュービクルのような箱に収めず、露出した状態で施設する場合など)は、原則として発電所・変電所・開閉所若しくはこれらに準ずる場所以外の場所に施設してはならない。ただし、機械器具の周囲にさく・へい等を設けてその高さと充電部分までの距離の和を一定値以上確保し危険である旨を表示する、工場等の構内で高圧用機械器具である旨を表示する、屋内で取扱者以外が出入りできないように措置する、機械器具を堅ろうな箱等に収め充電部分が露出しないように施設する、といった方法のいずれかを満たせば例外的に施設できる
  12. 分散型電源の連系には、系統連系保護(異常検出・解列)とは別に、電圧区分ごとの具体的な施設要件がある。単相3線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合、負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときは、分散型電源を施設した構内の電路であって負荷及び分散型電源の並列点よりも系統側に、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設する必要がある。逆変換装置を用いずに低圧の電力系統へ分散型電源を連系する場合は、逆変換装置を用いる場合と同等の単独運転検出・解列ができない限り、電力を電力系統側へ送り出す状態を生じさせないことが求められる。高圧連系についても、配電用変電所側で保護協調がとれない限り、逆向きの潮流を生じさせないことが原則になる。具体的な条文・数値は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること
  13. 避雷器を施設すべき箇所は、電気設備技術基準の解釈でおおむね次のように整理できる。(1)発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所では、架空電線の引込口だけでなく引出口(需要場所の引込口を除く)にも施設する、(2)高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所のうち、受電電力が一定規模(目安500kW)以上の需要場所の引込口には施設する、(3)使用電圧が一定値以下の特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口にも施設する。受電電力が小さい需要場所(目安50kW未満など)には施設を要しない場合がある。具体的な受電電力・使用電圧のしきい値は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること
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