道路沿いに立つ電柱と、送電線を支える鉄塔を見比べると、太さも高さもまるで違う。 同じ「電線を支える柱」なのに、なぜこれほど設計が違うのか。そしてその柱は、 台風が来ても倒れないという保証を、いったい何をもとに与えられているのか。
このトピックを読み終えるころには、電柱や鉄塔を見て「なぜこの太さで、 なぜこの位置に建っているか」を、技術基準の考え方から言い当てられるようになっている。
種明かしは単純だ。電気設備技術基準は、電線路と支持物のそれぞれに、 「壊れない・触れさせない」ための最低ラインを電圧区分ごとに、そして荷重の種類ごとに定めている。
電線路の離隔距離 — 電圧が高いほど、遠ざける
架空電線路(空中に張られた電線路)が建造物や他の工作物、樹木などに接近・交差するとき、 電気設備技術基準の解釈は、電線とそれらとの間に一定以上の離隔距離を確保するよう定めている。
この離隔距離の要求は、一律の数値ではない。低圧・高圧・特別高圧という電圧区分によって、 また電線が裸電線か、絶縁電線か、ケーブルかによって、要求される水準が変わる。電圧が高いほど 絶縁破壊やアーク飛び火のリスクが高まるため、より遠くに離すことが求められる方向に働く。 逆に、絶縁性能の高い電線(絶縁電線・ケーブル)を使うことで、必要な離隔距離を抑えられる 場合もある——これは接触・短絡のリスクを、物理的な距離ではなく電線自体の絶縁性能で 引き受けている、という設計の考え方の表れだ。
低高圧架空電線の高さ — 「その下を何が通るか」で基準が変わる
離隔距離が「横方向にどれだけ離すか」の基準だったのに対し、架空電線の「地表からの高さ」にも、電気設備技術基準の解釈が定める原則がある。電柱の上に張られた電線が、なぜ道路の上ではあの高さなのか、横断歩道橋のすぐそばではなぜもっと低い位置に見えるのか——その答えがここにある。
低高圧架空電線の地表上の高さは、電線の「下を何が通るか」によって、次のように原則が分かれている。
| 施設場所 | 高さの原則 |
|---|---|
| 道路を横断する場合 | 路面上6m以上(低圧・高圧共通) |
| 横断歩道橋の上に施設する場合 | その歩道橋の路面上、低圧電線は3m以上、高圧電線は3.5m以上 |
| 鉄道又は軌道を横断する場合 | レール面上5.5m以上 |
| 上記のいずれにも該当しない、通常の場所 | 地表上5m以上(道路以外の場所で交通に支障を及ぼすおそれがなければ4m以上に緩和可) |
なぜ横断歩道橋の上だけ、他の場所よりずっと低い高さ(3m・3.5m)が認められているのか。横断歩道橋は歩行者が渡るための構造物であり、車両が通行する道路のような大きな高さの余裕を必要としないためだ。一方で歩行者が電線に手を伸ばして届いてしまわないよう、路面から一定の高さは確保しなければならない——「車両が通る場所」と「人が歩くだけの場所」で必要な高さの水準が変わる、という設計思想がここに表れている。
先に見た高圧架空引込線の高さの緩和(道路・鉄道・横断歩道橋のいずれも横断しない場合に限り、地表上3.5m以上まで緩和できる)も、この表の「通常の場所(原則5m以上)」を出発点にした、引込線特有の追加緩和だと位置づけると整理しやすい。
支持物の強度基準 — 何に耐えるべきかを、荷重の種類で分解する
電柱や鉄塔といった支持物は、ただ立っていればよいわけではない。電気設備に関する技術基準を 定める省令(32条)は、支持物が次のような荷重・環境変化に対して倒壊のおそれがないよう、 安全な構造であることを求めている。
- 支持している電線等による引張荷重(電線の重さ・張力)
- 風速40m/sを想定した風圧荷重
- 設置場所において通常想定される気象の変化・振動・衝撃その他の外部環境の影響
つまり支持物の強度は「自重に耐えればよい」ものではなく、電線の張力と風という 2つの外力を軸に組み立てられている。
風圧荷重の3区分 — 「どんな場所を想定した風か」で分ける
風圧荷重は、さらに次の3区分(および着雪時風圧荷重)に分かれる。
| 区分 | 想定する状況 |
|---|---|
| 甲種風圧荷重 | 通常想定する風圧を基礎に計算したもの |
| 乙種風圧荷重 | 架渉線(電線)の周囲に氷雪が付着した状態を想定し、甲種風圧荷重を基礎(0.5倍)に計算したもの |
| 丙種風圧荷重 | 人家が多く連なる場所などを想定し、甲種風圧荷重を基礎(0.5倍)に計算したもの |
安全率 — 「ちょうど耐える」ではなく「余裕を持って耐える」
支持物の強度基準にはもう1つ重要な考え方がある。想定される荷重ちょうどに耐えれば 合格、ではない。実際の強度に、想定荷重に対する一定の余裕(安全率)を持たせることが 義務づけられている。例えば、木柱を支持物として用いる場合、風圧荷重に対する安全率は 2.0以上とされている。
材料が経年劣化すること、想定を超える突風が吹く可能性があること、施工誤差があることなどを 踏まえれば、ギリギリの強度設計では危険側に振れたときに支えきれない。安全率という余裕は、 こうした不確実性への備えだ。
高圧保安工事と連鎖倒壊防止 — 通常より厳しい区間、まとめて倒れないための備え
ここまで見てきた支持物の強度基準(引張荷重・風圧荷重・安全率)は、電線路全体に共通する原則だった。だが電気設備技術基準の解釈は、電線路の中でも特に事故時の影響が大きい区間に限って、通常よりさらに厳しい基準を上乗せする仕組みも持っている。それが高圧保安工事だ。
高圧保安工事が適用される代表例は、ある高圧架空電線路が、別の高圧架空電線路と接続・連系する箇所の前後の区間だ。こうした区間で万一断線・倒壊が起きると、1つの電線路の事故が別の電線路側へも波及し、影響範囲が広がりやすい。そこで、この区間に限り、支持物に木柱・A種鉄筋コンクリート柱を使用する場合と、B種鉄筋コンクリート柱・B種鉄筋コンクリート柱を使用する場合とで、それぞれ通常より短い径間の上限が定められている。一定以上の引張強度・断面積を持つ電線を使用する場合は、この径間制限が緩和される。
もう1つ、支持物が直線状に連続する区間で問題になるのが連鎖倒壊だ。地震・強風などで支持物が1基倒れると、電線を介してつながっている隣接の支持物にも予想外の荷重がかかり、次々と倒壊が連鎖するおそれがある。これを防ぐため、技術上困難な場合を除き、一定の基数(目安16基)以下ごとに電線路に平行な方向の両側へ支線を設け、また一定の基数(目安5基)以下ごとに電線路と直角な方向の両側へ支線を設けることが求められる。
制御盤や受変電設備の新設だけでなく、既設の高圧配電線路の近くで工事の相談を受ける場面でも、「この区間は他の系統と連系する箇所に近いか」「支持物が長く直線で続く区間か」という視点を持っておくと、支持物・支線の強化がなぜ必要とされているのかを施主に説明しやすくなる。
支線(しせん)の張力計算 — 電線の引っ張りを、斜めの一本で受け止める
電柱には、電線の水平張力(電線が電柱を引っ張る力)がかかる。特に電線路の始終端や、電線が角度を変える箇所(引留柱・角度柱)では、この水平張力を電柱本体だけで支えきれないことがある。そこで電柱の上部から地面近くのアンカーへ斜めに金属より線を張り、電柱が倒れる方向の力を打ち消す構造物を設ける。これが支線だ。
支線に生じる引張荷重を、三角形の辺の比で求める
支線に生じる引張荷重は、直角三角形の辺の比を使って概算できる。電柱への取り付け高さをh、電柱の根元から支線のアンカーまでの水平距離をaとすると、支線自体の長さLは三平方の定理でL=√(a²+h²)になる。
支線は斜めに張られているため、その引張荷重のうち水平方向の分力だけが、電線の水平張力の合計を打ち消す役割を果たす。この関係を式にすると、次のようになる。
例題
電柱の高さ8mの位置から、電柱の根元より水平に6m離れたアンカーへ支線を張る(6:8:10の直角三角形になる)。支線の長さはL=√(6²+8²)=10m。この電柱にかかる電線の水平張力の合計が3kNだったとき、支線に生じる引張荷重を求める。
支線の素線選定 — ここにも安全率という余裕がある
支線に生じる引張荷重(計算上の値)がわかっても、その値ちょうどの強さの支線を使ってよいわけではない。支持物の強度基準と同じく、支線にも安全率という余裕を持たせる考え方が適用される。目安として、計算上の引張荷重に対して安全率2.5程度を掛けた破断強度を持つ素線を選ぶ(亜鉛めっき鋼より線を使用する場合など、条件によって扱いが異なることがあるため、詳細は電気設備技術基準の解釈の該当条文で確認すること)。
先の例で引張荷重5kNを求めたケースでは、5kN×2.5=12.5kN以上の破断強度を持つ支線(金属より線)を選定する、という考え方になる。支線に使う金属より線が単線ではなく複数の素線をより合わせた構造になっているのも、一部の素線が傷ついても全体の強度が急激に落ちないようにするための工夫だ。
地中電線路の3つの施設方式 — 何が重量物の圧力から電線を守っているか
電線路には、空中に張る架空電線路のほかに、地面の下に埋設する地中電線路もある。地中電線路はケーブルを使用し、次の3つの施設方式のいずれかにより施設する。
- 管路式:電線を管の中に通して施設する方式。電線を収める管が、これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えるものであることが求められる。公道等の下に高圧地中電線路を管路式で施設する場合は、地中電線路の物件の名称・管理者名・許容電流を、通行人などが確認できるよう一定の間隔で表示する(需要場所に施設する高圧地中電線路等で管理上支障がない場合を除く)。
- 暗きょ式:電線を、人が中に入って点検できるトンネル状の構造物(暗きょ)の中に施設する方式。暗きょ自体が車両その他の重量物の圧力に耐えるものであることに加え、地中電線には耐燃措置を施す(暗きょ自体を不燃性のもので造る場合等を除く)。
- 直接埋設式:電線を管や暗きょを介さず、地中に直接埋め込む方式。車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所では埋設深さを一定以上(目安1.2m以上)、それ以外の場所では一定以上(目安0.6m以上)とし、地中電線を衝撃から防護するため、堅ろうなトラフその他の防護物に収める、又は電線自体に十分な強度を持たせた堅ろうな管に収める。
例題
工場の構内で、車両が通行する場所の地下に高圧地中電線路を直接埋設式で施設する。この場合、地中電線をどのように保護すべきか。
車両の通行がある=重量物の圧力を受けるおそれがある場所にあたるため、埋設深さは目安1.2m以上を確保したうえで、地中電線を堅ろうなトラフその他の防護物に収める、又は電線自体に十分な強度を持たせた堅ろうな管に収める必要がある。深さの確保だけで防護物への収納を省略したり、逆に防護物に収めただけで深さを浅くしたりすると、どちらか一方の対策が欠けたことになる。
地中電線相互の接近・交差 — 離隔距離を0mにできる条件
ここまでは、空中に張られた架空電線路の話だった。だが電線路には、地面に埋設する地中電線もある。地中電線同士が接近・交差するときにも、電気設備技術基準の解釈は離隔距離の基準を定めている。
原則としては、電圧区分の異なる地中電線同士(高圧地中電線と特別高圧地中電線など)が接近・交差する場合、一定の離隔距離を確保しなければならない。ところが、次のいずれかに該当する場合には、この離隔距離を0m以上(実質的に離隔なしでもよい)で施設することが認められている。
- それぞれの地中電線が、自消性のある難燃性の被覆を有する場合
- それぞれの地中電線が、堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められる場合
- いずれかの地中電線が、不燃性の被覆を有する場合
- いずれかの地中電線が、堅ろうな不燃性の管に収められる場合
架空電線路の離隔距離が「電圧が高いほど、物理的に遠ざける」という発想だったのに対し、地中電線相互の0m施設の条件は「物理的に近づけても、被覆や管の性能で延焼・絶縁破壊を防げるなら認める」という、逆方向からの発想になっている。同じ「離隔距離」という言葉でも、架空電線と地中電線とでは、安全を確保する手段の組み立て方が違う——この対比で捉えると、どちらの基準も記憶に残りやすい。
動作時にアークを生じる開閉器等の施設 — 木部から遠ざけるか、囲うか
架空電線路や地中電線路の話だけでなく、高圧・特別高圧の開閉器や遮断器、避雷器のように「動作するとアークを飛ばす」機器の施設にも、電気設備技術基準の解釈は離隔距離の基準を定めている。開閉器が電路を開閉する瞬間、接点間には高温のアーク(電離した空気中を流れる放電)が発生する。このアークが木製の壁や天井のような可燃性の造営材に触れれば、火災につながりかねない。
このリスクへの対応は、大きく2通りに整理できる。
- アークを生じる部分を耐火性のもので囲い、木製の壁・天井その他の可燃性のものから隔離する
- 耐火性の囲いを設けない場合は、木製の壁・天井その他の可燃性のものとの間に、一定以上の離隔距離を確保する
離隔距離の水準は、高圧用の器具か特別高圧用の器具かで変わり、特別高圧用はさらに使用電圧の区分によって細かく分かれる。目安としては、高圧用の器具でおおむね1m以上、特別高圧用の器具ではより大きな離隔距離(区分によっては2m以上)が求められる。ただし、動作時に生じるアークの方向・長さを制限する対策(アークが特定方向にしか飛ばないような遮へい構造など)を講じた場合には、必要な離隔距離が短縮されることがある。具体的な数値・緩和条件は、電気設備技術基準の解釈の該当条文・表で細部まで規定されているため、実務・受験ともに最新の内容を確認する必要がある。
低圧架空引込線の太さ — 「距離が短ければ、細くてよい」という緩和の構造
電柱から建物の引込口まで空中に張られる低圧架空引込線にも、電気設備技術基準の解釈は電線の太さ・強度の基準を定めている。基本の考え方は単純で、電線にケーブルを使う場合を除き、一定以上の引張強度・太さを持つ硬銅線を使用しなければならない。
ここに、径間(電柱と引込口の間の距離)が短い場合に限った緩和規定が加わる。径間が短ければ、その分だけ電線にかかる自重・張力そのものが小さくなるため、より細く・強度の低い電線でも実用上の安全性を確保できる、という考え方だ。目安としては、通常は直径2.6mm以上の硬銅線(引張強度2.30kN以上のもの)を用いるところ、径間が15m以下の場合に限り、直径2.0mm以上の硬銅線(引張強度1.38kN以上のもの)まで細くすることが認められている。
数値は目安として押さえつつ、最新の基準値は電気設備技術基準の解釈の該当条文で必ず確認すること。実務でも、既設の低圧引込線を見て「この太さは径間何mまでなら基準を満たすか」という視点を持てるようになると、更新工事の提案精度が上がる。
高圧架空引込線 — 低圧との違いに注意
前の見出しで見た低圧架空引込線の緩和規定(径間が短ければ細い電線でよい)を学んだ直後だと、高圧架空引込線にも同じ発想をそのまま当てはめたくなる。だが高圧の場合、緩和の組み立て方そのものが違う。
高圧架空引込線に使用する電線は、次のいずれかとされている。
- 引張強度8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線を使用する高圧絶縁電線若しくは特別高圧絶縁電線
- 引下げ用高圧絶縁電線
- ケーブル
電線が絶縁電線の場合は、がいし引き工事によって施設する。
電線の高さは、原則として低高圧架空電線の高さの規定に準じる。ただし、次のいずれの場合にも該当しないとき(道路を横断しない、鉄道又は軌道を横断しない、横断歩道橋の上に施設しない)に限り、地表上3.5m以上とすることができる。この緩和を受ける場合、電線がケーブル以外のものであるときは、その電線の下方に危険である旨の表示をしなければならない。
電線路の接近状態 — 「第1次」より「第2次」のほうが近い
ここまで見てきた離隔距離の話は、「電線路の外側にどれだけの空間を確保するか」という視点だった。電気設備技術基準の解釈には、これとは別に、架空電線が他の工作物とどれだけ接近しているかを段階的に区分する「接近状態」という考え方がある。
第1次接近状態とは、架空電線が他の工作物の上方・下方又は側方において、一定の水平距離以上、かつ架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されることにより、電線路の電線が切断したり支持物が倒壊したりした際に、当該電線が他の工作物に接触するおそれがある状態をいう。これに対し第2次接近状態とは、この水平距離の基準値未満に施設される、より接近の度合いが強い状態をいう。
なぜこの区分が必要かといえば、電線が万一切断したり支持物が倒壊したりしたときに、他の工作物(建造物・道路・索道など)へ実際に被害が及ぶかどうかは、単純な離隔距離だけでなく「電線路の支持物がどれだけの高さから、どの範囲に倒れうるか」という視点でも評価する必要があるからだ。接近状態の区分に応じて、電線路側に求められる保安上の措置(電線の強度の割増しなど)の水準が変わってくる。具体的な水平距離の数値や、区分ごとに求められる措置の詳細は、電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。
高圧屋側電線路 — 屋内配線・架空引込線とは別の施設基準
建物の屋外側面に沿って高圧の電線を配線する場合、「屋側電線路」という区分の施設基準が適用される。高圧屋側電線路(高圧引込線の屋側部分を除く)は、原則として次の条件で施設する。
- 展開した場所(点検できる開放された場所)に施設する
- 電線にはケーブルを使用する
- ケーブルを造営材の側面や下面に沿って取り付ける場合は、被覆を損傷しないよう支持点間の距離を一定以下に保つ
- ケーブルを収める防護装置の金属製部分には接地工事を施す
「高圧屋内配線」「高圧架空引込線」「高圧屋側電線路」は、いずれも「高圧の電線をどこにどう配線するか」という共通のテーマを扱いながら、施設される場所(屋内/空中/屋外側面)によって求められる工法や条件がそれぞれ異なる。名前が似ている規定ほど、まず「これはどの場所の配線の話か」を確認する癖をつけておくと、条文の取り違えを防げる。具体的な数値・条件は、電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。
電気さく — 原則禁止で、例外が限定される施設
離隔距離や支持物の話とは少し性格が違うが、電気設備技術基準の解釈にはもう1つ、「原則として施設してはならない」という強い書き方をする設備がある。それが電気さくだ。電気さくとは、屋外において裸電線を固定して施設したさくであって、その裸電線に充電して使用するものをいう。人や動物が触れれば感電するさくを、屋外にむき出しで張り巡らせる設備であるため、原則は禁止されている。
例外的に施設が認められるのは、田畑・牧場その他これに類する場所において、野獣の侵入又は家畜の脱出を防止する目的に限られる。この場合も、絶縁性がないことを考慮し、感電又は火災のおそれがないように施設することが条件になる。
電気さくに電気を供給する電気さく用電源装置にも、条件が付く。電気用品安全法の適用を受ける電気さく用電源装置を使うか、あるいは感電により人に危険を及ぼすおそれのないよう出力電流が制限される電源装置(電気用品安全法の適用を受ける直流電源装置や、蓄電池・太陽電池等の直流電源から供給を受けるもの)を使うことが求められる。さらに、電気さくを人が容易に立ち入る場所に施設するときは、当該電気さくに電気を供給する電路に、電流動作型で定格感度電流が一定値以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を施設しなければならない。
電材商社の実務で、この知識がどう効いてくるか
電設資材を扱う実務では、電線路そのものを設計する機会は少なくても、既設の電線路の近くに 新しい建物や看板、太陽光パネルなどを設置する相談を受けることがある。そのとき「電線から どれだけ離す必要があるか」「電圧区分によって話が変わる」という土台の理解があるかどうかで、 提案の精度が変わる。具体的な数値は都度、最新の電気設備技術基準の解釈や電力会社の 基準で確認するとしても、「なぜその数値が要求されているか」という設計思想を理解している ことが、現場での判断や顧客への説明の質を支える。
冒頭の「電柱や鉄塔の太さ・高さがなぜ違うのか」という問いかけの答え合わせは、 理解度チェックの最後の問題でしてみよう。