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電線路の離隔距離・支持物の基準

読み終えると、こうなる

電柱・鉄塔・架空電線を見たとき、「なぜこの太さで、なぜこの高さ・位置に建っているか」を技術基準の考え方から言い当てられるようになる

  • 電圧区分(低圧・高圧・特別高圧)が上がるほど、建造物等との離隔距離の要求が厳しくなる理由、架空電線が他の工作物に接近するときの第1次接近状態・第2次接近状態の違い、高圧地中電線と特別高圧地中電線の離隔距離を0m以上(実質的に離隔なし)で施設できる条件を説明できる。また低高圧架空電線の地表上の高さの原則(道路横断・横断歩道橋・鉄道横断それぞれの基準)を挙げられる
  • 支持物が耐えなければならない荷重の種類(引張荷重・風圧荷重)を挙げ、安全率という余裕を持たせて強度を判定する考え方と、風圧荷重の甲種・乙種・丙種の区分を説明できる。また、連鎖的な倒壊のおそれがある区間で通常より厳しい強度基準を適用する高圧保安工事の考え方も説明できる
  • 支線に生じる引張荷重を電線の水平張力と支線の傾き(三角形の辺の比)から概算でき、高圧架空引込線に使用できる電線の種類と地表上の高さの原則・緩和条件を説明できる
  • 高圧屋側電線路の施設に求められる基本原則(展開した場所への施設・ケーブル工事・防護装置の接地等)を、高圧屋内配線や高圧架空引込線と対比しながら説明できる。また地中電線路の3つの施設方式(管路式・暗きょ式・直接埋設式)それぞれで求められる要件(重量物の圧力への耐力、埋設深さ、物件表示等)を区別できる
考えてみよう

道路沿いに立つ電柱と、送電線を支える鉄塔を見比べると、太さも高さもまるで違う。 同じ「電線を支える柱」なのに、なぜこれほど設計が違うのか。そしてその柱は、 台風が来ても倒れないという保証を、いったい何をもとに与えられているのか。

このトピックを読み終えるころには、電柱や鉄塔を見て「なぜこの太さで、 なぜこの位置に建っているか」を、技術基準の考え方から言い当てられるようになっている。

種明かしは単純だ。電気設備技術基準は、電線路と支持物のそれぞれに、 「壊れない・触れさせない」ための最低ラインを電圧区分ごとに、そして荷重の種類ごとに定めている。

電線路の離隔距離 — 電圧が高いほど、遠ざける

架空電線路(空中に張られた電線路)が建造物や他の工作物、樹木などに接近・交差するとき、 電気設備技術基準の解釈は、電線とそれらとの間に一定以上の離隔距離を確保するよう定めている。

この離隔距離の要求は、一律の数値ではない。低圧・高圧・特別高圧という電圧区分によって、 また電線が裸電線か、絶縁電線か、ケーブルかによって、要求される水準が変わる。電圧が高いほど 絶縁破壊やアーク飛び火のリスクが高まるため、より遠くに離すことが求められる方向に働く。 逆に、絶縁性能の高い電線(絶縁電線・ケーブル)を使うことで、必要な離隔距離を抑えられる 場合もある——これは接触・短絡のリスクを、物理的な距離ではなく電線自体の絶縁性能で 引き受けている、という設計の考え方の表れだ。

離隔距離の具体的な数値(何m以上、といった細部)は、建造物との位置関係(上方・側方・下方)や 電圧区分、電線の種類によって表で細かく規定されている。丸暗記しようとするより、 「電圧が上がるほど・相手が人に触れやすいほど、要求は厳しくなる」という向きだけを まず押さえ、具体的な数値は最新の電気設備技術基準の解釈で確認する習慣をつけるほうが実務的だ。

低高圧架空電線の高さ — 「その下を何が通るか」で基準が変わる

離隔距離が「横方向にどれだけ離すか」の基準だったのに対し、架空電線の「地表からの高さ」にも、電気設備技術基準の解釈が定める原則がある。電柱の上に張られた電線が、なぜ道路の上ではあの高さなのか、横断歩道橋のすぐそばではなぜもっと低い位置に見えるのか——その答えがここにある。

低高圧架空電線の地表上の高さは、電線の「下を何が通るか」によって、次のように原則が分かれている。

施設場所高さの原則
道路を横断する場合路面上6m以上(低圧・高圧共通)
横断歩道橋の上に施設する場合その歩道橋の路面上、低圧電線は3m以上、高圧電線は3.5m以上
鉄道又は軌道を横断する場合レール面上5.5m以上
上記のいずれにも該当しない、通常の場所地表上5m以上(道路以外の場所で交通に支障を及ぼすおそれがなければ4m以上に緩和可)
この表で一番見落としやすいのが、横断歩道橋の上だけは低圧と高圧で数値そのものが分かれているという点だ。道路横断(6m以上)や通常の場所(5m以上)は低圧・高圧で共通の基準なのに対し、横断歩道橋の上に限っては、低圧3m以上・高圧3.5m以上と、電圧区分ごとに異なる数値が設定されている。「横断歩道橋の上だけ例外的に電圧で数値が分かれる」と覚えておくと、丸暗記のときに取り違えにくい。

なぜ横断歩道橋の上だけ、他の場所よりずっと低い高さ(3m・3.5m)が認められているのか。横断歩道橋は歩行者が渡るための構造物であり、車両が通行する道路のような大きな高さの余裕を必要としないためだ。一方で歩行者が電線に手を伸ばして届いてしまわないよう、路面から一定の高さは確保しなければならない——「車両が通る場所」と「人が歩くだけの場所」で必要な高さの水準が変わる、という設計思想がここに表れている。

先に見た高圧架空引込線の高さの緩和(道路・鉄道・横断歩道橋のいずれも横断しない場合に限り、地表上3.5m以上まで緩和できる)も、この表の「通常の場所(原則5m以上)」を出発点にした、引込線特有の追加緩和だと位置づけると整理しやすい。

支持物の強度基準 — 何に耐えるべきかを、荷重の種類で分解する

電柱や鉄塔といった支持物は、ただ立っていればよいわけではない。電気設備に関する技術基準を 定める省令(32条)は、支持物が次のような荷重・環境変化に対して倒壊のおそれがないよう、 安全な構造であることを求めている。

  • 支持している電線等による引張荷重(電線の重さ・張力)
  • 風速40m/sを想定した風圧荷重
  • 設置場所において通常想定される気象の変化・振動・衝撃その他の外部環境の影響

つまり支持物の強度は「自重に耐えればよい」ものではなく、電線の張力と風という 2つの外力を軸に組み立てられている。

風圧荷重の3区分 — 「どんな場所を想定した風か」で分ける

風圧荷重は、さらに次の3区分(および着雪時風圧荷重)に分かれる。

区分想定する状況
甲種風圧荷重通常想定する風圧を基礎に計算したもの
乙種風圧荷重架渉線(電線)の周囲に氷雪が付着した状態を想定し、甲種風圧荷重を基礎(0.5倍)に計算したもの
丙種風圧荷重人家が多く連なる場所などを想定し、甲種風圧荷重を基礎(0.5倍)に計算したもの
なぜ3区分もあるのか、と疑問に思うかもしれない。答えは「同じ強さの風でも、状況によって 支持物にかかる負荷が変わるから」だ。氷雪が電線に付着すると、電線の断面積が実質的に太くなり、 受ける風の力(受風面積)も自重も増える——だから乙種は甲種を基礎にしつつ氷雪荷重を 上乗せする発想になっている。逆に人家が多く連なる場所(丙種)では、実務上想定される リスクの性質が変わるため、異なる基準が用意されている。「甲種=基本形、乙種=着氷雪、 丙種=市街地」という対応関係で覚えると、区分の存在理由ごと頭に入る。

安全率 — 「ちょうど耐える」ではなく「余裕を持って耐える」

支持物の強度基準にはもう1つ重要な考え方がある。想定される荷重ちょうどに耐えれば 合格、ではない。実際の強度に、想定荷重に対する一定の余裕(安全率)を持たせることが 義務づけられている。例えば、木柱を支持物として用いる場合、風圧荷重に対する安全率は 2.0以上とされている。

材料が経年劣化すること、想定を超える突風が吹く可能性があること、施工誤差があることなどを 踏まえれば、ギリギリの強度設計では危険側に振れたときに支えきれない。安全率という余裕は、 こうした不確実性への備えだ。

高圧保安工事と連鎖倒壊防止 — 通常より厳しい区間、まとめて倒れないための備え

ここまで見てきた支持物の強度基準(引張荷重・風圧荷重・安全率)は、電線路全体に共通する原則だった。だが電気設備技術基準の解釈は、電線路の中でも特に事故時の影響が大きい区間に限って、通常よりさらに厳しい基準を上乗せする仕組みも持っている。それが高圧保安工事だ。

高圧保安工事が適用される代表例は、ある高圧架空電線路が、別の高圧架空電線路と接続・連系する箇所の前後の区間だ。こうした区間で万一断線・倒壊が起きると、1つの電線路の事故が別の電線路側へも波及し、影響範囲が広がりやすい。そこで、この区間に限り、支持物に木柱・A種鉄筋コンクリート柱を使用する場合と、B種鉄筋コンクリート柱・B種鉄筋コンクリート柱を使用する場合とで、それぞれ通常より短い径間の上限が定められている。一定以上の引張強度・断面積を持つ電線を使用する場合は、この径間制限が緩和される。

高圧保安工事は「電線路全体を常に厳しくする」規定ではない。むしろ「事故の影響が大きくなりやすい特定の区間だけ、径間を短く(=支持物の間隔を密に)して、1径間あたりに生じうる荷重・被害を抑える」という、区間限定の強化措置だと捉えると位置づけやすい。具体的な径間の数値・適用区間の条件は、電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。

もう1つ、支持物が直線状に連続する区間で問題になるのが連鎖倒壊だ。地震・強風などで支持物が1基倒れると、電線を介してつながっている隣接の支持物にも予想外の荷重がかかり、次々と倒壊が連鎖するおそれがある。これを防ぐため、技術上困難な場合を除き、一定の基数(目安16基)以下ごとに電線路に平行な方向の両側へ支線を設け、また一定の基数(目安5基)以下ごとに電線路と直角な方向の両側へ支線を設けることが求められる。

平行方向の支線は電線路が伸びる方向への転倒を、直角方向の支線は電線路と垂直な方向への転倒を、それぞれ食い止める役割を持つ。1基だけを強くするのではなく、電線路という一続きの構造物を、一定間隔ごとに「支線という切れ目」で区切ることで、倒壊の連鎖そのものを断ち切る発想になっている。支線に生じる引張荷重の考え方は、次の見出しで見る計算方法と同じだ。

制御盤や受変電設備の新設だけでなく、既設の高圧配電線路の近くで工事の相談を受ける場面でも、「この区間は他の系統と連系する箇所に近いか」「支持物が長く直線で続く区間か」という視点を持っておくと、支持物・支線の強化がなぜ必要とされているのかを施主に説明しやすくなる。

支線(しせん)の張力計算 — 電線の引っ張りを、斜めの一本で受け止める

電柱には、電線の水平張力(電線が電柱を引っ張る力)がかかる。特に電線路の始終端や、電線が角度を変える箇所(引留柱・角度柱)では、この水平張力を電柱本体だけで支えきれないことがある。そこで電柱の上部から地面近くのアンカーへ斜めに金属より線を張り、電柱が倒れる方向の力を打ち消す構造物を設ける。これが支線だ。

支線に生じる引張荷重を、三角形の辺の比で求める

支線に生じる引張荷重は、直角三角形の辺の比を使って概算できる。電柱への取り付け高さをh、電柱の根元から支線のアンカーまでの水平距離をaとすると、支線自体の長さLは三平方の定理でL=√(a²+h²)になる。

支線は斜めに張られているため、その引張荷重のうち水平方向の分力だけが、電線の水平張力の合計を打ち消す役割を果たす。この関係を式にすると、次のようになる。

T支線×aL=T水平張力T_{支線} \times \frac{a}{L} = \sum T_{水平張力} T支線=T水平張力×LaT_{支線} = \sum T_{水平張力} \times \frac{L}{a}

例題

電柱の高さ8mの位置から、電柱の根元より水平に6m離れたアンカーへ支線を張る(6:8:10の直角三角形になる)。支線の長さはL=√(6²+8²)=10m。この電柱にかかる電線の水平張力の合計が3kNだったとき、支線に生じる引張荷重を求める。

T支線=3kN×1065kNT_{支線} = 3\text{kN} \times \frac{10}{6} \approx 5\text{kN}
支線の長さLは、水平距離aより必ず長くなる(直角三角形の斜辺だから)。つまりL/aの比は必ず1より大きく、支線に生じる引張荷重は、電線の水平張力の合計より必ず大きくなる。さらに、支線を電柱のすぐ近くに急な角度で張ると(aが小さいと)L/aの比が大きくなり、同じ水平張力を支えるのにより大きな引張荷重が必要になる。逆に支線をなるべく寝かせて(浅い角度で、aを大きく)張るほうが、少ない引張荷重で同じ水平張力を受け止められる——支線をできるだけ広い底辺で張るのが効率がよい、という設計上の理由がここにある。

支線の素線選定 — ここにも安全率という余裕がある

支線に生じる引張荷重(計算上の値)がわかっても、その値ちょうどの強さの支線を使ってよいわけではない。支持物の強度基準と同じく、支線にも安全率という余裕を持たせる考え方が適用される。目安として、計算上の引張荷重に対して安全率2.5程度を掛けた破断強度を持つ素線を選ぶ(亜鉛めっき鋼より線を使用する場合など、条件によって扱いが異なることがあるため、詳細は電気設備技術基準の解釈の該当条文で確認すること)。

先の例で引張荷重5kNを求めたケースでは、5kN×2.5=12.5kN以上の破断強度を持つ支線(金属より線)を選定する、という考え方になる。支線に使う金属より線が単線ではなく複数の素線をより合わせた構造になっているのも、一部の素線が傷ついても全体の強度が急激に落ちないようにするための工夫だ。

地中電線路の3つの施設方式 — 何が重量物の圧力から電線を守っているか

電線路には、空中に張る架空電線路のほかに、地面の下に埋設する地中電線路もある。地中電線路はケーブルを使用し、次の3つの施設方式のいずれかにより施設する。

  • 管路式:電線を管の中に通して施設する方式。電線を収める管が、これに加わる車両その他の重量物の圧力に耐えるものであることが求められる。公道等の下に高圧地中電線路を管路式で施設する場合は、地中電線路の物件の名称・管理者名・許容電流を、通行人などが確認できるよう一定の間隔で表示する(需要場所に施設する高圧地中電線路等で管理上支障がない場合を除く)。
  • 暗きょ式:電線を、人が中に入って点検できるトンネル状の構造物(暗きょ)の中に施設する方式。暗きょ自体が車両その他の重量物の圧力に耐えるものであることに加え、地中電線には耐燃措置を施す(暗きょ自体を不燃性のもので造る場合等を除く)。
  • 直接埋設式:電線を管や暗きょを介さず、地中に直接埋め込む方式。車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所では埋設深さを一定以上(目安1.2m以上)、それ以外の場所では一定以上(目安0.6m以上)とし、地中電線を衝撃から防護するため、堅ろうなトラフその他の防護物に収める、又は電線自体に十分な強度を持たせた堅ろうな管に収める。
3方式に共通する目的は「車両その他の重量物の圧力から電線を守る」ことだが、その主役が方式ごとに違う。管路式は「管」、暗きょ式は「暗きょ+耐燃措置」、直接埋設式は「埋設深さ+トラフ等の防護物」が、それぞれ圧力・衝撃から電線を守る役割を担う。「地中に埋めれば管や暗きょがなくても安全」という発想は誤りで、直接埋設式であっても、深さの確保と防護物への収納という2つの対策がセットで求められる点を見落としやすい。具体的な数値・条件は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。

例題

工場の構内で、車両が通行する場所の地下に高圧地中電線路を直接埋設式で施設する。この場合、地中電線をどのように保護すべきか。

車両の通行がある=重量物の圧力を受けるおそれがある場所にあたるため、埋設深さは目安1.2m以上を確保したうえで、地中電線を堅ろうなトラフその他の防護物に収める、又は電線自体に十分な強度を持たせた堅ろうな管に収める必要がある。深さの確保だけで防護物への収納を省略したり、逆に防護物に収めただけで深さを浅くしたりすると、どちらか一方の対策が欠けたことになる。

地中電線相互の接近・交差 — 離隔距離を0mにできる条件

ここまでは、空中に張られた架空電線路の話だった。だが電線路には、地面に埋設する地中電線もある。地中電線同士が接近・交差するときにも、電気設備技術基準の解釈は離隔距離の基準を定めている。

原則としては、電圧区分の異なる地中電線同士(高圧地中電線と特別高圧地中電線など)が接近・交差する場合、一定の離隔距離を確保しなければならない。ところが、次のいずれかに該当する場合には、この離隔距離を0m以上(実質的に離隔なしでもよい)で施設することが認められている。

  • それぞれの地中電線が、自消性のある難燃性の被覆を有する場合
  • それぞれの地中電線が、堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められる場合
  • いずれかの地中電線が、不燃性の被覆を有する場合
  • いずれかの地中電線が、堅ろうな不燃性の管に収められる場合
この4つの条件に共通しているのは、いずれも「万一の地絡・短絡で生じた熱やアークが、隣の地中電線へ燃え広がらない・絶縁を破壊しないようにする」という、物理的な延焼防止・絶縁破壊防止の性能に関する条件だという点だ。「地中電線相互の間に危険を表示する埋設標識を設ける」というのは、あくまで人(掘削工事の作業者など)に知らせるための対策であって、0m施設を認める条件には含まれない。架空電線の離隔距離の話で「表示・注意喚起」のイメージを持ったまま地中電線の基準を読むと、この違いを見落としやすい。

架空電線路の離隔距離が「電圧が高いほど、物理的に遠ざける」という発想だったのに対し、地中電線相互の0m施設の条件は「物理的に近づけても、被覆や管の性能で延焼・絶縁破壊を防げるなら認める」という、逆方向からの発想になっている。同じ「離隔距離」という言葉でも、架空電線と地中電線とでは、安全を確保する手段の組み立て方が違う——この対比で捉えると、どちらの基準も記憶に残りやすい。

動作時にアークを生じる開閉器等の施設 — 木部から遠ざけるか、囲うか

架空電線路や地中電線路の話だけでなく、高圧・特別高圧の開閉器や遮断器、避雷器のように「動作するとアークを飛ばす」機器の施設にも、電気設備技術基準の解釈は離隔距離の基準を定めている。開閉器が電路を開閉する瞬間、接点間には高温のアーク(電離した空気中を流れる放電)が発生する。このアークが木製の壁や天井のような可燃性の造営材に触れれば、火災につながりかねない。

このリスクへの対応は、大きく2通りに整理できる。

  • アークを生じる部分を耐火性のもので囲い、木製の壁・天井その他の可燃性のものから隔離する
  • 耐火性の囲いを設けない場合は、木製の壁・天井その他の可燃性のものとの間に、一定以上の離隔距離を確保する
「囲うか、離すか」という二者択一の構造は、地中電線相互の0m施設条件(不燃性の被覆や管で物理的に延焼を防ぐ)と同じ発想の応用だ。アークという熱源そのものを閉じ込めてしまえば距離を詰められるし、閉じ込めないなら距離で稼ぐしかない——この裏表の関係を覚えておくと、離隔距離の数値を丸暗記しなくても、規定の狙いから答えを推測しやすくなる。

離隔距離の水準は、高圧用の器具か特別高圧用の器具かで変わり、特別高圧用はさらに使用電圧の区分によって細かく分かれる。目安としては、高圧用の器具でおおむね1m以上、特別高圧用の器具ではより大きな離隔距離(区分によっては2m以上)が求められる。ただし、動作時に生じるアークの方向・長さを制限する対策(アークが特定方向にしか飛ばないような遮へい構造など)を講じた場合には、必要な離隔距離が短縮されることがある。具体的な数値・緩和条件は、電気設備技術基準の解釈の該当条文・表で細部まで規定されているため、実務・受験ともに最新の内容を確認する必要がある。

ここで見落としやすいのが、「特別高圧の方が高圧より必ず離隔距離が大きい」という単純な比例関係だけでなく、特別高圧の中でも電圧の区分やアーク方向の制限対策の有無によって、必要な離隔距離がさらに枝分かれする点だ。電圧が上がるほど厳しくなる、という大きな向きは正しいが、「対策を講じれば短縮できる」という緩和の余地まで含めて理解しておかないと、細部の設問で足をすくわれる。

低圧架空引込線の太さ — 「距離が短ければ、細くてよい」という緩和の構造

電柱から建物の引込口まで空中に張られる低圧架空引込線にも、電気設備技術基準の解釈は電線の太さ・強度の基準を定めている。基本の考え方は単純で、電線にケーブルを使う場合を除き、一定以上の引張強度・太さを持つ硬銅線を使用しなければならない。

ここに、径間(電柱と引込口の間の距離)が短い場合に限った緩和規定が加わる。径間が短ければ、その分だけ電線にかかる自重・張力そのものが小さくなるため、より細く・強度の低い電線でも実用上の安全性を確保できる、という考え方だ。目安としては、通常は直径2.6mm以上の硬銅線(引張強度2.30kN以上のもの)を用いるところ、径間が15m以下の場合に限り、直径2.0mm以上の硬銅線(引張強度1.38kN以上のもの)まで細くすることが認められている。

この緩和規定は「短い距離なら基準を甘くしてよい」という単純な話ではなく、「電線にかかる力そのものが小さくなるから、同じ安全率を保ったまま細い電線で足りる」という理屈で成り立っている。支持物の支線の話(電線の水平張力から引張荷重を計算する考え方)と同じく、電線・支線にかかる実際の力を起点に基準が組み立てられている点は共通している。

数値は目安として押さえつつ、最新の基準値は電気設備技術基準の解釈の該当条文で必ず確認すること。実務でも、既設の低圧引込線を見て「この太さは径間何mまでなら基準を満たすか」という視点を持てるようになると、更新工事の提案精度が上がる。

高圧架空引込線 — 低圧との違いに注意

前の見出しで見た低圧架空引込線の緩和規定(径間が短ければ細い電線でよい)を学んだ直後だと、高圧架空引込線にも同じ発想をそのまま当てはめたくなる。だが高圧の場合、緩和の組み立て方そのものが違う。

高圧架空引込線に使用する電線は、次のいずれかとされている。

  • 引張強度8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線を使用する高圧絶縁電線若しくは特別高圧絶縁電線
  • 引下げ用高圧絶縁電線
  • ケーブル

電線が絶縁電線の場合は、がいし引き工事によって施設する。

低圧架空引込線が「径間の長さ」で緩和される構造だったのに対し、高圧架空引込線は最初から複数の電線種別(太い硬銅線・引下げ用高圧絶縁電線・ケーブル)が選択肢として並んでいる。低圧の緩和規定をそのまま高圧に当てはめると、この選択肢の並びを見落としやすい。

電線の高さは、原則として低高圧架空電線の高さの規定に準じる。ただし、次のいずれの場合にも該当しないとき(道路を横断しない、鉄道又は軌道を横断しない、横断歩道橋の上に施設しない)に限り、地表上3.5m以上とすることができる。この緩和を受ける場合、電線がケーブル以外のものであるときは、その電線の下方に危険である旨の表示をしなければならない。

高さの緩和は「距離を短くする代わりに、人への注意喚起(下方への危険表示)を求める」という構図になっている。低圧引込線の緩和が電線自体の強度で完結していたのに対し、高圧引込線の高さの緩和には、表示という追加の対策がセットになっている点が異なる。数値・条件の細部は、電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。

電線路の接近状態 — 「第1次」より「第2次」のほうが近い

ここまで見てきた離隔距離の話は、「電線路の外側にどれだけの空間を確保するか」という視点だった。電気設備技術基準の解釈には、これとは別に、架空電線が他の工作物とどれだけ接近しているかを段階的に区分する「接近状態」という考え方がある。

第1次接近状態とは、架空電線が他の工作物の上方・下方又は側方において、一定の水平距離以上、かつ架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されることにより、電線路の電線が切断したり支持物が倒壊したりした際に、当該電線が他の工作物に接触するおそれがある状態をいう。これに対し第2次接近状態とは、この水平距離の基準値未満に施設される、より接近の度合いが強い状態をいう。

「第1次」「第2次」という順序から、番号が大きいほうが遠い(安全な)状態だと直感的に思いがちだが、逆だ。第1次接近状態は水平距離が一定値『以上』の状態、第2次接近状態はその水平距離『未満』——つまり数字が小さくなるほど、より工作物に近づいている。「次数が増える=より接近している」という向きだけを、まず外さないようにする。

なぜこの区分が必要かといえば、電線が万一切断したり支持物が倒壊したりしたときに、他の工作物(建造物・道路・索道など)へ実際に被害が及ぶかどうかは、単純な離隔距離だけでなく「電線路の支持物がどれだけの高さから、どの範囲に倒れうるか」という視点でも評価する必要があるからだ。接近状態の区分に応じて、電線路側に求められる保安上の措置(電線の強度の割増しなど)の水準が変わってくる。具体的な水平距離の数値や、区分ごとに求められる措置の詳細は、電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。

高圧屋側電線路 — 屋内配線・架空引込線とは別の施設基準

建物の屋外側面に沿って高圧の電線を配線する場合、「屋側電線路」という区分の施設基準が適用される。高圧屋側電線路(高圧引込線の屋側部分を除く)は、原則として次の条件で施設する。

  • 展開した場所(点検できる開放された場所)に施設する
  • 電線にはケーブルを使用する
  • ケーブルを造営材の側面や下面に沿って取り付ける場合は、被覆を損傷しないよう支持点間の距離を一定以下に保つ
  • ケーブルを収める防護装置の金属製部分には接地工事を施す
高圧屋内配線工事が「がいし引き工事(乾燥した展開場所限定)又はケーブル工事」の2択だったのに対し、高圧屋側電線路は最初からケーブル工事に絞られている。屋外に露出する配線であるぶん、がいし引き工事のような電線がむき出しの工法は選択肢に入らない、と捉えると覚えやすい。また高圧架空引込線が電線の種別(太い硬銅線・引下げ用高圧絶縁電線・ケーブル)を複数選べる構造だったのに対し、屋側電線路はケーブル一択という点でも異なる。

「高圧屋内配線」「高圧架空引込線」「高圧屋側電線路」は、いずれも「高圧の電線をどこにどう配線するか」という共通のテーマを扱いながら、施設される場所(屋内/空中/屋外側面)によって求められる工法や条件がそれぞれ異なる。名前が似ている規定ほど、まず「これはどの場所の配線の話か」を確認する癖をつけておくと、条文の取り違えを防げる。具体的な数値・条件は、電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。

電気さく — 原則禁止で、例外が限定される施設

離隔距離や支持物の話とは少し性格が違うが、電気設備技術基準の解釈にはもう1つ、「原則として施設してはならない」という強い書き方をする設備がある。それが電気さくだ。電気さくとは、屋外において裸電線を固定して施設したさくであって、その裸電線に充電して使用するものをいう。人や動物が触れれば感電するさくを、屋外にむき出しで張り巡らせる設備であるため、原則は禁止されている。

例外的に施設が認められるのは、田畑・牧場その他これに類する場所において、野獣の侵入又は家畜の脱出を防止する目的に限られる。この場合も、絶縁性がないことを考慮し、感電又は火災のおそれがないように施設することが条件になる。

「目的が正当(野獣被害の防止)だから施設できる」というのは半分だけ正しい。電気さくの施設が認められるのは、目的の正当性**と**、感電・火災のリスクを技術的に抑える具体的な条件の**両方**を満たした場合だけだ。目的さえあれば電源装置や漏電遮断器の要件を省いてよい、というわけではない。

電気さくに電気を供給する電気さく用電源装置にも、条件が付く。電気用品安全法の適用を受ける電気さく用電源装置を使うか、あるいは感電により人に危険を及ぼすおそれのないよう出力電流が制限される電源装置(電気用品安全法の適用を受ける直流電源装置や、蓄電池・太陽電池等の直流電源から供給を受けるもの)を使うことが求められる。さらに、電気さくを人が容易に立ち入る場所に施設するときは、当該電気さくに電気を供給する電路に、電流動作型で定格感度電流が一定値以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を施設しなければならない。

電気さくの規定は、離隔距離の話(電圧が高いほど遠ざける)や地中電線の0m施設の話(不燃性・難燃性の被覆で延焼を防ぐ)とは少し違うアプローチを取っている。電気さくは「距離を取る」代わりに、そもそも人が誤って触れる可能性がある場所へ施設することを前提に、電源側の出力制限・漏電遮断器という多重の安全策で感電・火災のリスクを抑え込む構造になっている。電材商社が農業用資材・獣害対策資材を扱う場面でも、電気さく用電源装置が電気用品安全法の適合品かどうかを確認する視点は、提案の安全性を裏付ける材料になる。

電材商社の実務で、この知識がどう効いてくるか

電設資材を扱う実務では、電線路そのものを設計する機会は少なくても、既設の電線路の近くに 新しい建物や看板、太陽光パネルなどを設置する相談を受けることがある。そのとき「電線から どれだけ離す必要があるか」「電圧区分によって話が変わる」という土台の理解があるかどうかで、 提案の精度が変わる。具体的な数値は都度、最新の電気設備技術基準の解釈や電力会社の 基準で確認するとしても、「なぜその数値が要求されているか」という設計思想を理解している ことが、現場での判断や顧客への説明の質を支える。

冒頭の「電柱や鉄塔の太さ・高さがなぜ違うのか」という問いかけの答え合わせは、 理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 電圧区分に関係なく、建造物等との離隔距離は一律の数値だと思い込む

    なぜ引っかかる『電線と建物は〇m離す』という一つの数字で丸暗記しようとすると、低圧・高圧・特別高圧という電圧区分ごとに要求水準が違うことを見落とす

    見破り方問題文にまず『電圧区分は何か』を確認する癖をつける。電圧が高いほど、絶縁破壊やアーク飛び火のリスクが上がるため、離隔距離の要求も厳しくなる、という向きだけは外さない

  2. 風圧荷重は『どこでも同じ強い風』を想定した一種類の基準だと思い込み、乙種・丙種の存在を見落とす

    なぜ引っかかる風圧荷重という言葉を『風の強さの基準』とだけ覚えると、着氷雪や市街地といった設置場所の条件による区分があることを見落としやすい

    見破り方風圧荷重の話が出たら『甲種・乙種・丙種のどれを使う場面か』を先に確認する。乙種は着氷雪(積雪地帯)、丙種は人家が多く連なる場所など、区分ごとに『どんな場所を想定しているか』とセットで覚える

  3. 支持物の強度基準を『想定される最大荷重にちょうど耐えれば良い』というギリギリの基準だと誤解する

    なぜ引っかかる技術基準の数値(風速40m/sなど)だけを見ると、その値ちょうどで壊れなければ合格だと考えやすい

    見破り方強度の基準には必ず安全率という余裕分が乗っていないか確認する。木柱の安全率2.0以上のように、想定荷重に対して実際の強度に倍近い余裕を持たせるのが基本の考え方だ

  4. 高圧保安工事を、電線路全区間に一律で適用される基準だと思い込む、あるいは連鎖倒壊防止の支線を単なる景観目的の設備だと誤解する

    なぜ引っかかる『保安』という言葉の印象から、電線路のどこにでも同じ強化基準がかかっていると思い込みやすい。また支線をよく見かける設備だと思っても、その配置間隔に『連鎖倒壊を防ぐ』という明確な設計上の意味があることは見落としやすい

    見破り方高圧保安工事は、他の電線路と連系する箇所の前後など、事故時の影響が特に大きい区間に限って適用される、通常より厳しい基準だと確認する。連鎖倒壊防止の支線は、直線状に連続する支持物のうち一定基数ごとに、電線路に平行な方向・直角な方向のそれぞれに配置され、1基の倒壊が隣接する支持物へ次々と波及するのを断ち切る役割を持つと理解する

  5. 支線の引張荷重を、電線の水平張力とそのまま同じ値だと思い込む

    なぜ引っかかる支線が電柱に対して斜めに張られていることを見落とすと、『支柱を引っ張る力=支線にかかる力』と単純に等号で結んでしまいやすい

    見破り方支線は電柱から斜めに張られているため、支線の長さL(取り付け高さhと水平距離aの三平方の定理)と水平距離aの比L/aは必ず1より大きくなる。水平張力の合計にこの比を掛けて初めて支線の引張荷重になる、と一段階計算を挟むことを忘れない

  6. 地中電線相互の離隔距離を0mにできる条件を、『埋設標識・危険表示をすればよい』という表示上の対策だと誤解する

    なぜ引っかかる架空電線の離隔距離の話で『表示』や『注意喚起』のイメージが強いと、地中電線の場合も同様に表示だけで済むと錯覚しやすい

    見破り方0m施設が認められる条件は、いずれも『不燃性・難燃性の被覆や管』という物理的な延焼防止・絶縁破壊防止の性能に関するものであって、埋設標識や危険表示のような『人に知らせる』対策は、この条件には含まれないと区別する

  7. アークを生じる器具の離隔距離を、地中電線の0m施設条件と同じく『表示や注意喚起で済む』と誤解する、あるいは高圧・特別高圧で必ず同じ離隔距離だと思い込む

    なぜ引っかかる地中電線相互の0m施設条件を学んだ直後だと、『対策を講じれば距離が要らなくなる』という発想を、そのままアーク離隔にも当てはめて『表示すれば足りる』と誤読しやすい。また高圧・特別高圧という電圧区分の違いを見落とし、一律の数値だと思い込みやすい

    見破り方アーク離隔の緩和条件は『耐火性の囲い』または『アークの方向・長さを制限する対策』という物理的な対策であって、表示・注意喚起ではないと区別する。また高圧用と特別高圧用とで求められる離隔距離の水準が異なることを、電圧区分をまず確認する癖で防ぐ

  8. 低圧架空引込線の細い電線(直径2.0mm程度の硬銅線等)が、径間の長さに関係なくいつでも使えると誤解する

    なぜ引っかかる『緩和規定がある』という情報だけを覚えると、その緩和が径間の長さという条件付きであることを見落とし、長い径間でも細い電線で済むと誤読しやすい

    見破り方緩和規定には必ず『径間が短い場合に限り』という条件が付くことを思い出す。径間が長くなれば電線にかかる張力・自重が増えるため、原則の太さ(直径2.6mm以上等)に戻ると考える

  9. 低圧架空引込線の緩和規定(径間15m以下で細い電線可)を、高圧架空引込線にもそのまま当てはめてしまう

    なぜ引っかかる『引込線』という同じ名前でくくられるため、低圧の緩和規定(径間による太さの緩和)が高圧にもそのまま適用されると誤解しやすい

    見破り方高圧架空引込線の電線には、低圧のような『径間が短ければ細くてよい』という緩和の考え方ではなく、そもそも高圧用に定められた別の電線種別(引張強度8.01kN以上又は直径5mm以上の硬銅線、引下げ用高圧絶縁電線、ケーブル)が指定されていると確認する。高さの緩和条件も、低圧とは別に高圧独自の条件(道路等を横断しない場合に限り3.5m以上、下方に危険表示)で定められている

  10. 第1次接近状態と第2次接近状態を、水平距離の大小関係が逆だと思い込む

    なぜ引っかかる『第1次=軽い、第2次=重い』という語感から、数字が大きい第2次のほうが遠い(安全な)距離だと直感的に錯覚しやすい

    見破り方第1次接近状態は一定の水平距離『以上』(かつ支持物の高さ相当の距離以内)、第2次接近状態はその水平距離『未満』と確認する。数字が小さくなる=より接近している=第2次、という向きを、まず『次数が増えるほど近づく』と押さえておく

  11. 高圧屋側電線路の施設基準を、高圧屋内配線(がいし引き工事又はケーブル工事)や高圧架空引込線の基準とそのまま同じだと思い込む

    なぜ引っかかる『高圧の配線・電線路』という括りが共通しているため、屋内配線・引込線・屋側電線路という異なる場面の基準を1つの規定として混同しやすい

    見破り方高圧屋側電線路は原則としてケーブル工事に限られ(高圧屋内配線のようながいし引き工事の選択肢はない)、防護装置の金属製部分への接地工事が求められる点で、屋内配線や架空引込線とは別の基準が組まれていると区別する

  12. 電気さくを「田畑・牧場での野獣侵入防止目的なら、どんな電源でも使ってよい」と誤解する

    なぜ引っかかる『野獣の侵入防止という目的が正当だから、その先の電源装置の要件までは緩やかだろう』と考えやすい

    見破り方電気さくの施設が認められるのは目的の正当性だけでなく、電気用品安全法の適用を受ける電源装置を使う、出力電流を制限する、人が容易に立ち入る場所では漏電遮断器を設けるなど、感電・火災のリスクを技術的に抑える条件がセットで求められると確認する。目的だけで無条件に認められるわけではない

  13. 低高圧架空電線の高さの基準を、電圧区分(低圧・高圧)に関係なく一律の数値だと思い込む、あるいは横断歩道橋の上でも通常の場所と同じ高さでよいと誤解する

    なぜ引っかかる『架空電線の高さ=道路の上で6m』という一番覚えやすい数字だけが記憶に残ると、横断歩道橋の上のように場所が変わると基準そのものが変わること、また横断歩道橋の上に限っては低圧と高圧で数値自体が異なることを見落としやすい

    見破り方『どこを横断するか(道路・横断歩道橋・鉄道)』を先に確認してから、高さの基準を当てはめる癖をつける。横断歩道橋の上だけは低圧3m以上・高圧3.5m以上と、低圧・高圧で数値そのものが分かれている点を、他の『電圧が上がるほど厳しくなる』という一般則とセットで覚えておくと取り違えにくい

  14. 地中電線路の3方式(管路式・暗きょ式・直接埋設式)を、名前だけ覚えて中身を区別せず、どれも『地中に埋める』という共通点だけで一括りにしてしまう

    なぜ引っかかるいずれも『地中電線路』という同じカテゴリに属するため、施設方式が違っても要求される内容は似たようなものだろうと考えやすい

    見破り方3方式に共通するのは『車両その他の重量物の圧力に耐える』という目的だが、その実現の仕方が方式ごとに違うと確認する。管路式は『管』自体が圧力に耐え、暗きょ式は『暗きょ』自体が圧力に耐えたうえで地中電線に耐燃措置を施し、直接埋設式は『埋設深さ+堅ろうな防護物(トラフ等)』の組合せで電線を守る、というように守り方の主役が方式ごとに変わる

参考文献・出典

理解度チェック(26問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、26問で確認しよう。 内訳は基本13問・応用7問・ひっかけ6問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 26 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 電気設備に関する技術基準を定める省令(32条)は、支持物が電線の引張荷重・風速40m/sを想定した風圧荷重・通常想定される気象の変化や振動等に対して倒壊のおそれがないよう、安全な構造であることを求めている
  2. 風圧荷重は甲種(通常想定する風圧を基礎にしたもの)・乙種(架渉線に着氷雪した状態を想定し、甲種の0.5倍を基礎にしたもの)・丙種(人家が多く連なる場所などで甲種の0.5倍を基礎にしたもの)に区分され、設置場所の気象条件によって使い分ける
  3. 電線路が建造物等に接近・交差するときの離隔距離は、電圧区分(低圧・高圧・特別高圧)や電線の種類(裸電線・絶縁電線・ケーブル)によって要求水準が変わる。具体的な数値は電気設備技術基準の解釈の該当条文・表で細かく定められており、最新の内容を確認すること
  4. 支持物の強度は『想定荷重ぎりぎりで耐えれば良い』ではなく、一定の余裕(安全率)を持たせて判定する。例えば木柱を支持物として用いる場合、風圧荷重に対する安全率は2.0以上とされている
  5. 高圧架空電線路のうち、事故が起きると影響が大きい区間(他の高圧架空電線路と連系する箇所の前後など)には、通常の施設基準より一段厳しい『高圧保安工事』が適用される。木柱・A種鉄筋コンクリート柱・A種鉄筋コンクリート柱を使用する場合の径間、B種鉄筋コンクリート柱・B種鉄筋コンクリート柱を使用する場合の径間、それぞれに上限が定められ、一定以上の引張強度・断面積を持つ電線を使用する場合はこの径間制限が緩和される(具体的な数値は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること)
  6. 支持物が直線状に連続する区間で、地震・強風等により1基が倒れると隣接する支持物へ連鎖的に荷重が波及し、まとめて倒壊するおそれがある。これを防ぐため、技術上困難な場合を除き、一定の基数(目安16基)以下ごとに電線路に平行な方向の両側へ支線を設け、また一定の基数(目安5基)以下ごとに電線路と直角な方向の両側へ支線を設けることが求められる(連鎖倒壊防止)
  7. 支線に生じる引張荷重は、電線の水平張力の合計ΣTと、支線の傾き(取り付け高さhと水平距離aがつくる直角三角形の比L/a、L=√(a²+h²))から、T支線=ΣT×(L/a)で概算できる。支線の素線は、計算上の引張荷重に安全率(目安2.5程度)を掛けた強度を持たせて選定する(亜鉛めっき鋼より線の場合など、条件によって扱いが異なることがあるため詳細は電気設備技術基準の解釈で確認すること)
  8. 高圧地中電線と特別高圧地中電線が接近・交差する場合、原則としては一定の離隔距離が求められるが、いずれかの地中電線が堅ろうな不燃性の管に収められる場合、いずれかが不燃性の被覆を有する場合、それぞれが自消性のある難燃性の被覆を有する場合、それぞれが堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められる場合のいずれかに該当すれば、離隔距離を0m以上(実質的に離隔なしでも可)で施設できる。埋設標識や危険表示のような『人に知らせる』対策だけでは、この条件にはならない
  9. 高圧用又は特別高圧用の開閉器・遮断器・避雷器等でアークを生じるものは、耐火性のもので囲って可燃性の造営材から隔離するか、隔離しない場合は木製の壁・天井等との間に一定の離隔距離(高圧はおおむね1m以上、特別高圧はさらに大きい値)を確保して施設する。アークの方向・長さを制限する対策を講じれば、必要な離隔距離が短縮される場合がある
  10. 低圧架空引込線は、電線にケーブルを使う場合を除き、一定以上の引張強度・太さの硬銅線を使用する。ただし径間が短い場合(目安15m以下)に限り、より細く強度の低い電線でも認められる緩和規定がある。径間が短いほど電線にかかる張力そのものが小さくなることが、緩和の根拠になっている
  11. 高圧架空引込線に使用する電線は、引張強度8.01kN以上のもの又は直径5mm以上の硬銅線を使用する高圧絶縁電線・特別高圧絶縁電線、引下げ用高圧絶縁電線、ケーブルのいずれかとする。電線の高さは低高圧架空電線の高さ規定に準じるのが原則だが、道路・鉄道・横断歩道橋を横断しない場合に限り、地表上3.5m以上まで緩和でき、電線がケーブル以外のときはその電線の下方に危険である旨の表示を行う(具体的な数値・条件は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること)
  12. 架空電線が他の工作物と接近する状態は、水平距離のとり方によって2段階に区分される。第1次接近状態は、架空電線が他の工作物の上方・下方又は側方において一定の水平距離以上、かつ架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されることにより、電線の切断・支持物の倒壊等の際に当該電線が他の工作物に接触するおそれがある状態をいう。第2次接近状態は、この水平距離未満に施設される、より接近の度合いが強い状態をいう。どちらの状態にあたるかによって、電線路側に求められる保安上の措置(強度の割増しなど)の水準が変わる(具体的な水平距離の数値は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること)
  13. 高圧屋側電線路(高圧引込線の屋側部分を除く)は、原則として展開した場所に、電線にケーブルを使用して施設する。ケーブルを造営材の側面や下面に沿って取り付ける場合は、被覆を損傷しないよう支持点間の距離を一定以下に保ち、ケーブルを収める防護装置の金属製部分には接地工事を施すことが求められる。高圧屋内配線が『がいし引き工事又はケーブル工事』の2択だったのに対し、屋側電線路はケーブル工事に絞られている点が異なる(具体的な数値・条件は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること)
  14. 低高圧架空電線の地表上の高さは、周囲の状況に応じて次のように原則が定められている。道路を横断する場合は路面上6m以上(低圧・高圧共通)。横断歩道橋の上に施設する場合は、その路面上、低圧電線は3m以上、高圧電線は3.5m以上。鉄道又は軌道を横断する場合はレール面上5.5m以上。それ以外の通常の場所では地表上5m以上が原則だが、道路以外の場所で交通に支障を及ぼすおそれがない場合は4m以上まで緩和できる。横断歩道橋の上だけ、低圧と高圧で高さの基準そのものが異なる点に注意
  15. 地中電線路はケーブルを使用し、管路式・暗きょ式・直接埋設式のいずれかにより施設する。管路式は電線を収める管が車両その他の重量物の圧力に耐えるものとし、公道等の下に高圧地中電線路を施設する場合、物件の名称・管理者名・許容電流を一定の間隔で表示する(需要場所に施設する高圧地中電線路等で管理上支障がない場合を除く)。暗きょ式は暗きょ自体が車両その他の重量物の圧力に耐えるものとし、地中電線に耐燃措置を施す(不燃性の暗きょとする場合等を除く)。直接埋設式は、車両その他の重量物の圧力を受けるおそれがある場所では埋設深さを一定以上(目安1.2m以上)、それ以外の場所では一定以上(目安0.6m以上)とし、地中電線を衝撃から防護するため、堅ろうなトラフその他の防護物に収める、又は十分な強度を有する堅ろうな管に収める。3方式とも『重量物の圧力に耐える』という共通の目的を持ちながら、その実現方法(管・暗きょ・埋設深さ+防護物)が方式ごとに異なる(具体的な数値は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること)
  16. 電気さく(屋外で裸電線を固定し、その裸電線に充電して使用するさく)は原則として施設してはならない。ただし田畑・牧場等で野獣の侵入や家畜の脱出を防止する目的に限り、感電又は火災のおそれがないように施設すれば例外的に認められる。この場合、電気さく用電源装置は電気用品安全法の適用を受けるもの、又は感電により人に危険を及ぼすおそれのないよう出力電流が制限されるものに限られ、人が容易に立ち入る場所に施設する場合は、電流動作型で定格感度電流が一定値以下・動作時間0.1秒以下の漏電遮断器を、電気さくに電気を供給する電路に施設することが求められる
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