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絶縁耐力試験と絶縁抵抗

読み終えると、こうなる

受変電設備の竣工検査で「なぜ絶縁抵抗測定と絶縁耐力試験の両方が必要なのか」を、自分の言葉で説明できるようになる

  • 低圧電路の対地電圧の区分から絶縁抵抗の基準値を判断でき、絶縁抵抗測定と絶縁耐力試験それぞれが証明していることの違いを説明できる
  • 公称電圧から最大使用電圧、そして絶縁耐力試験の試験電圧までを2段階の計算で導け、太陽電池モジュールのような対象ごとに定められた試験電圧の特例(直流1.5倍又は交流1倍・500V未満なら500Vなど)も区別できる
  • 変圧器の電路の絶縁耐力試験は、一般の電路の基準(最大使用電圧7,000V以下なら1.5倍)とは別に、7,000Vを超える場合は中性点接地式電路(多重接地)かどうかで0.92倍・1.25倍に分かれることを説明し、実際に試験電圧を計算できる
  • 高圧ケーブルの絶縁耐力試験で充電電流が問題になる理由と補償リアクトルが果たす役割、また低圧電線路・低圧屋内電路それぞれで絶縁抵抗測定が困難な場合に用いる漏えい電流による絶縁性能の確認方法(最大供給電流の1/2000以下、区切った電路ごとの1mA以下)を区別して計算できる
考えてみよう

高圧受電設備の竣工検査で、絶縁抵抗計を当てたところ「良好」の値が出た。担当者はこれで受電の準備が整ったと思っていたが、電気主任技術者から「耐圧試験はまだですよね」と念を押された。

絶縁抵抗の値が良好なら、それでもう十分に「絶縁されている」ことは確認できたはずだ。なぜ、それとは別にもう一つ試験をかける必要があるのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、絶縁抵抗測定と絶縁耐力試験がそれぞれ何を証明している検査なのかを、自分の言葉で説明できるようになっている。

答えは、この2つの検査が「同じ絶縁」を見ていながら、見ている角度がまったく違うという点にある。絶縁抵抗測定は静かな状態での抵抗値を測る診断、絶縁耐力試験は実際に使う条件に近い電圧をかけ続けて壊れないことを確かめる証明だ。

低圧電路の絶縁抵抗値 — まず「今の状態」を数値で読む

低圧電路には、絶縁抵抗計(メガー)で測る絶縁抵抗値の基準がある(電気設備技術基準第58条)。

使用電圧の区分対地電圧の区分絶縁抵抗値
300V以下150V以下0.1MΩ以上
300V以下150V超300V以下0.2MΩ以上
300V超(区分なし)0.4MΩ以上
数字を丸暗記するより、なぜこの値なのかを押さえたほうが忘れにくい。この基準は「多少の漏れ電流があっても、感電や火災の危険がない範囲」を、オームの法則で逆算して決めている。対地電圧100Vの回路で絶縁抵抗0.1MΩなら、漏れ電流はI=V/R=100/100,000=1mAほど。この程度の漏れ電流なら人体への感電の危険も火災のおそれも小さい、という考え方が基準値の裏側にある。電圧が高くなるほど同じ1mA程度に抑えるために必要な抵抗値も大きくなる——だから対地電圧が上がるほど、求められる絶縁抵抗値も大きくなる。

絶縁抵抗測定は、開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに行う。制御盤の中で分岐回路ごとにブレーカーが並んでいるのは、こうした区切りごとの絶縁管理・故障範囲の切り分けを可能にする実務上の理由もある。

高圧の絶縁耐力試験 — 「今の状態」ではなく「耐えられるか」を証明する

高圧・特別高圧の電路になると、話は絶縁抵抗値だけでは終わらない。最大使用電圧7,000V以下の交流の高圧電路は、最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を、連続して10分間かけ続ける絶縁耐力試験が求められる(電技解釈第15条)。

試験電圧を求めるには、まず「最大使用電圧」という基準値が必要になる。1,000Vを超え500,000V未満の電路では、最大使用電圧は公称電圧に係数1.15/1.1を掛けて求める(電技解釈第1条)。

例題

公称電圧6,600Vの高圧電路(交流)の絶縁耐力試験電圧を求める。

最大使用電圧=6,600×1.151.1=6,900V\text{最大使用電圧} = 6{,}600 \times \frac{1.15}{1.1} = 6{,}900\text{V} 試験電圧=6,900×1.5=10,350V\text{試験電圧} = 6{,}900 \times 1.5 = 10{,}350\text{V}

10,350Vという数字は条文にそのまま書かれた値ではなく、公称電圧から2段階の計算を経て出てくる値だ。ケーブルを使用する電路を直流で試験する場合は、交流試験電圧の2倍の直流電圧を連続10分間かける(電技解釈第15条)——長いケーブルは大きな静電容量を持つため、交流での試験には大容量の試験電源が必要になり、現実的でないことが多い。直流に切り替える代わりに倍率を引き上げて、厳しさの帳尻を合わせている。

「1.5倍を10分間」は、単に高い電圧で壊れないか確認する試験ではない。電路には運転中、開閉サージや軽微な地絡によって、常時の使用電圧より高い異常電圧が繰り返し加わる。絶縁耐力試験は、こうした実運用で遭遇しうる異常電圧に耐えられることを、受電開始前に一度だけ証明する儀式だ。瞬間なら耐えられても、絶縁の弱点(内部の微小な空隙や傷)は電圧をかけ続けることで発熱・部分放電を起こし、そこで初めて露呈する。だから時間が要る。

高圧ケーブルの絶縁耐力試験 — 充電電流という現場の壁

ケーブルを交流で絶縁耐力試験する場合、条文どおりに試験電圧をかければそれで済むわけではない。ケーブルは心線と大地(シースなど)の間に静電容量(対地静電容量)を持っており、試験電圧をかけると、この静電容量に充電電流という電流が流れ込む。

充電電流Iは、角周波数ω(=2πf)、ケーブルの対地静電容量C、試験電圧Vを使って、次の式で近似できる。

I=ωCV=2πfCVI = \omega C V = 2\pi f C V

例題

対地静電容量0.5μFのケーブルに、周波数50Hz・試験電圧10,000Vをかけたときの充電電流を求める。

I=2π×50×0.5×106×10,0001.57AI = 2\pi \times 50 \times 0.5\times10^{-6} \times 10{,}000 \approx 1.57\text{A}

一見小さな電流に見えるが、この電流を試験用変圧器が供給しなければならない。必要な変圧器容量は概算でV×I=10,000×1.57≈15.7kVAとなり、ケーブルが長くなり対地静電容量が大きくなるほど、この容量はどんどん膨らんでいく。現場で持ち運べる可搬型の試験用変圧器の容量には限りがあるため、長尺の高圧ケーブルを試験しようとすると「試験電圧そのものはかけられても、必要な電流を変圧器が供給しきれない」という壁にぶつかる。

ここで登場するのが**補償リアクトル**だ。ケーブルの静電容量が引き込む電流は、電圧に対して90度進んだ(進み)電流になる。これに対して、コイル(リアクトル)に流れる電流は90度遅れた(遅れ)電流になる——ちょうど逆向きの性質を持つ。試験回路にケーブルと並列に補償リアクトルを接続すると、ケーブル側が引き込もうとする進み電流の大部分を、リアクトル側の遅れ電流が打ち消す。その結果、試験用変圧器が実際に供給しなければならない電流は、打ち消しきれなかった残り(主に損失分)まで小さくなる。これにより、小容量の試験用変圧器でも長尺の高圧ケーブルの絶縁耐力試験が現実的に行えるようになる。

補償リアクトルは電圧を底上げする装置ではない。あくまで主役は電流で、ケーブルの静電容量が要求する充電電流の負担を、試験用変圧器からリアクトルへ肩代わりさせる——そう捉えると仕組みが頭に入りやすい。

竣工検査の現場では、両方が並んで進む

受変電設備の竣工検査の現場を思い浮かべると、この2つの検査の役割分担がそのまま見えてくる。絶縁抵抗測定は工程の早い段階、機器を据え付けた直後から使える手早い診断として何度でも行える。絶縁耐力試験は受電の直前、規定の電圧を実際にかけて耐えることを証明する、一度きりの本番の検査だ。電材商社が絶縁抵抗計と耐圧試験器(試験用変圧器)をセットで扱う場面が多いのも、この2つが竣工検査で必ずセットになって求められる検査機器だからにほかならない。

絶縁抵抗測定を「入口の健康診断」、絶縁耐力試験を「出口の耐久証明」と位置づけると覚えやすい。健康診断で異常がなくても、実際の負荷に耐えられるかは別に確かめる必要がある——設備の絶縁も同じ発想で、2段階の検査が組まれている。

太陽電池モジュールの絶縁性能 — 一般の高圧電路とは別の基準

ここまで見てきた「最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を10分間」という絶縁耐力試験の基準は、一般の高圧電路を対象にしたものだった。太陽電池モジュール(ソーラーパネル)の絶縁性能には、これとは別の基準が定められている。

太陽電池モジュールは、最大使用電圧の1.5倍の直流電圧、又は1倍の交流電圧(この電圧が500V未満となる場合は500V)を、充電部分と大地との間に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有することが求められる。

一般の高圧電路の基準と並べると、違いが2つ見える。1つは、交流で試験する場合の倍率が1.5倍ではなく**1倍**であること。もう1つは、太陽電池モジュールの最大使用電圧が低い場合でも、試験電圧に**500Vという下限**が設けられていることだ。太陽電池モジュール1枚あたりの最大使用電圧は、高圧電路ほど高くないことが多い。倍率をそのまま1倍で計算すると試験電圧が低くなりすぎるケースが出てくるため、500Vという下限を設けて、絶縁性能の確認として意味のある電圧を確保している。

例題

最大使用電圧250Vの太陽電池モジュールに、交流電圧で絶縁性能を確認する場合の試験電圧を求める。

250V×1=250V250\text{V} \times 1 = 250\text{V}

計算上は250Vになるが、これは500V未満のため、実際の試験電圧は500Vを用いる。「最大使用電圧×1倍」で計算しただけで終えると、この下限を見落としてしまう。

「絶縁耐力試験は最大使用電圧の1.5倍」という一般則を、対象を確認せずにそのまま太陽電池モジュールに当てはめると、直流試験なのか交流試験なのかで倍率が変わること、交流試験には500Vという下限があることの、両方を取りこぼす。試験の対象(一般の高圧電路か、太陽電池モジュールか)をまず確認する癖をつけておくと、この手の出題で足をすくわれにくい。

住宅用・産業用を問わず太陽光発電設備の設置は今後も増えていく分野であり、パワーコンディショナや接続箱を扱う電材商社にとっても、太陽電池モジュール特有の絶縁性能基準を押さえておくことは、施工後の竣工検査の場面で意味を持つ。

変圧器の電路の絶縁耐力試験 — 電路一般とは別の区分表がある

ここまで見てきた「最大使用電圧7,000V以下は1.5倍」という基準は、電路(電線路)一般に対するものだった。変圧器の巻線(放電灯用変圧器・エックス線管用変圧器等の特殊用途のものを除く)を絶縁耐力試験にかける場合は、電気設備技術基準の解釈が電路一般とは別の区分表を用意している。

変圧器の巻線の種類試験電圧
最大使用電圧が7,000V以下のもの最大使用電圧の1.5倍の電圧(500V未満となる場合は500V)
最大使用電圧が7,000Vを超え60,000V以下で、15,000V以下・中性点接地式電路(中性線を有し多重接地するものに限る)に接続するもの最大使用電圧の0.92倍の電圧
上記以外のもの(7,000Vを超え60,000V以下)最大使用電圧の1.25倍の電圧(10,500V未満となる場合は10,500V)

試験電圧は、試験される巻線と他の巻線・鉄心及び外箱との間に連続して10分間加える。なお、日本電気技術規格委員会規格JESC E7001が定める確認方法により絶縁耐力を確認したものであれば、この表によらなくてもよいとされている。

一見すると3行の表だが、見るべき分岐点は2つしかない。まず「7,000Vを境に、電路一般と同じ1.5倍が使えるかどうか」。次に、7,000Vを超えた場合に「その電路が中性点接地式(多重接地)かどうか」——接地されていれば0.92倍、されていなければ1.25倍になる。中性点が多重接地されている電路は、地絡時に異常電圧が跳ね上がりにくい構造のため、より低い倍率でも絶縁性能を確認できる、という理屈で覚えると、0.92倍という1.5倍・1.25倍より小さい数字にも納得がいく。

例題

公称電圧11,000Vの電線路に接続して使用する受電用変圧器(中性点接地式電路・多重接地に接続するもの)の絶縁耐力試験電圧を求める。

最大使用電圧=11,000×1.151.1=11,500V\text{最大使用電圧} = 11{,}000 \times \frac{1.15}{1.1} = 11{,}500\text{V}

11,500Vは15,000V以下であり、中性点接地式電路(多重接地)に接続するため、倍率は0.92倍を用いる。

試験電圧=11,500×0.92=10,580V\text{試験電圧} = 11{,}500 \times 0.92 = 10{,}580\text{V}
最大使用電圧を求めるところまでは、電路一般の絶縁耐力試験(このトピック前半の6,600Vの例題)とまったく同じ計算だ。違うのはその先——「対象が変圧器の巻線であること」に気づいたら、7,000Vを超えているかどうか、超えていれば中性点接地式かどうかまで、区分表をもう一段たどる必要がある。電圧の数字だけを見て「7,000Vを超えたから1.25倍」と即断すると、中性点接地式という条件を見落とし、0.92倍を使うべき場面で1.25倍を使ってしまう誤りにつながる。

低圧電線路の漏えい電流試験 — 電路を止められないときの絶縁性能確認

ここまで見てきた絶縁抵抗測定は、開閉器や過電流遮断器で区切った電路に、絶縁抵抗計(メガー)を当てて数値を読む方法だった。しかし、配電用の低圧電線路のように、常時電気を供給し続けていて簡単には停止できない電路では、この方法をそのまま使えない場面がある。

電技第58条は、こうした場合の代替手段として、電路を使用状態のままにしておき、その電路の使用電圧を電路と大地との間に加え、そのとき流れる漏えい電流を測定することで絶縁性能を確認する方法も認めている。この方法による場合、漏えい電流は電路の最大供給電流の1/2000を超えないことが基準となる。

絶縁抵抗測定が「電路を止めて、抵抗値という物差しで読む」方法だったのに対し、漏えい電流試験は「電路を止めずに、電流という物差しで読む」方法だ。物差しがΩからAに変わるだけで、確かめたいこと(絶縁がどれだけ保たれているか)自体は同じだと捉えると位置づけが分かりやすい。

例題

定格容量42kVA、二次電圧210/105Vの単相3線式変圧器の二次側に接続した低圧電線路について、漏えい電流による絶縁性能の確認試験を行う。

まず、電線路の最大供給電流を求める。

最大供給電流=42,000VA210V=200A\text{最大供給電流} = \frac{42{,}000\text{VA}}{210\text{V}} = 200\text{A}

この最大供給電流から、許容される漏えい電流の最大値を求める。

許容漏えい電流=200A2,000=0.1A\text{許容漏えい電流} = \frac{200\text{A}}{2{,}000} = 0.1\text{A}

次に、使用電圧105Vを電路と大地との間に加えたときの許容漏えい電流0.1Aから、二次側電線路と大地との間で許容される絶縁抵抗の相当値(1線当たりの最小値)を、オームの法則で逆算する。

R=VI=105V0.1A=1,050ΩR = \frac{V}{I} = \frac{105\text{V}}{0.1\text{A}} = 1{,}050\text{Ω}
この計算の流れは2段階に分かれている。まず変圧器の定格容量と二次電圧から「電路に流れうる最大の電流」を求め、その1/2000という基準で「許容される漏えい電流」を出す。次に、実際に加える使用電圧と、その許容漏えい電流から、オームの法則で「絶縁抵抗として見たときの最小値」を逆算する。低圧電路の絶縁抵抗基準(0.1MΩ・0.2MΩ・0.4MΩ)が使用電圧の区分で一律に決まっていたのに対し、この漏えい電流試験の許容値は、電路ごとの最大供給電流という実際の使用状況を起点に、そのつど計算して求める値になる。

低圧屋内電路の漏えい電流基準 — 区切った電路ごとの、もう一つの基準

ここまで見てきた「最大供給電流の1/2000」は、配電用の低圧電線路(電力会社側の線路全体)を対象にした基準だった。これとは別に、住宅・ビルの屋内に施設された低圧屋内電路にも、絶縁抵抗測定が困難な場合の代替基準が用意されている。

低圧屋内電路は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとに、絶縁抵抗測定が困難な場合、その電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が、1mA以下であることが求められる。

同じ「漏えい電流で絶縁性能を確認する」という発想でも、対象によって基準の立て方がまったく違う。低圧電線路全体は「最大供給電流の1/2000」という、その電路の規模に応じた**相対的な**基準。低圧屋内電路を開閉器・過電流遮断器で区切った個々の回路は、「1mA以下」という、回路の規模によらない**絶対的な**基準。どちらも単位はAで似ているが、片方は電路のスペック(最大供給電流)から毎回計算し直す必要があり、もう片方は固定値で判定できる、という計算の手間そのものが違う点も見落としやすい。数値の細部・最新の適用条件は電気設備技術基準の解釈の最新版で確認すること。

制御盤の分岐回路ごとに漏えい電流を測る場面と、配電線路全体の漏えい電流を測る場面は、現場の担当者としては同じ「漏えい電流計を当てる」作業に見えても、判定基準はまったく別物だと意識しておく必要がある。

冒頭の疑問、絶縁抵抗が良好でも耐圧試験を省略できないのはなぜか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 絶縁抵抗値の基準を、使用電圧の区分だけで覚えてしまう

    なぜ引っかかる使用電圧300V以下/300V超という区分と、対地電圧150V以下/150V超という区分が同じ表の中に混在するため、300V以下の中にさらに対地電圧の細分があることを見落とし、300V以下なら一律0.1MΩと思い込みやすい

    見破り方使用電圧300V以下の区分の中で、対地電圧150V以下なら0.1MΩ以上、150V超300V以下なら0.2MΩ以上に分かれ、使用電圧300V超は一括して0.4MΩ以上になる、と2段階で確認する

  2. 絶縁抵抗測定だけで高圧受電設備の竣工検査が完了すると思わせる

    なぜ引っかかるどちらも『絶縁』を確かめる検査という共通点があるため、片方の結果で他方を省略できると錯覚しやすい

    見破り方絶縁抵抗測定は直流をかけて定常時の抵抗値を数値で読む診断、絶縁耐力試験は規定電圧を一定時間かけ続けて壊れないことを証明する試験——目的が異なるため両方が必要だと切り分ける

  3. 試験電圧の倍率(1.5倍)を、対象や印加方式が変わっても常に同じだと思い込む

    なぜ引っかかる『絶縁耐力試験は1.5倍』という数字が強く印象に残るため、直流試験や電圧区分が変わる場合にも同じ倍率のまま計算しやすい

    見破り方対象(電路・変圧器・回転機)・印加方式(交流・直流)・電圧区分(7,000V以下かどうか)の組み合わせで倍率が変わることを、条文の区分ごとに確認する

  4. 補償リアクトルを、試験電圧を底上げするための装置だと誤解する

    なぜ引っかかる『リアクトルを追加する=電気的に何かを強化する』という漠然としたイメージから、補償リアクトルも試験電圧を高めるための機器だと思い込みやすい

    見破り方補償リアクトルの役割は電圧を上げることではなく、ケーブルの静電容量が引き込む充電電流(進み電流)を、リアクトルの遅れ電流で打ち消し、試験用変圧器が供給すべき電流を減らすことだと確認する。主役はあくまで電流の負担軽減であって、電圧の話ではない

  5. 太陽電池モジュールの絶縁耐力試験も、一般の高圧電路と同じ『最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を10分間』という基準がそのまま当てはまると思い込む

    なぜ引っかかる『絶縁耐力試験=1.5倍・交流・10分間』という一般の高圧電路の基準が強く印象に残るため、対象が変わっても同じ倍率・同じ方式が適用されると錯覚しやすい

    見破り方太陽電池モジュールには専用の基準(最大使用電圧の1.5倍の直流電圧、又は1倍の交流電圧で500V未満となる場合は500V、を連続10分間)があると確認する。交流試験では倍率が1.5倍ではなく1倍になる点、500Vという下限が設けられている点が、一般の高圧電路の基準と異なる

  6. 低圧電線路の漏えい電流による絶縁性能の確認を、絶縁抵抗測定と同じ『MΩ』の基準で判定できると思い込む

    なぜ引っかかる『絶縁性能の確認=絶縁抵抗計でMΩを読む』という低圧電路の基本パターンが先に定着していると、漏えい電流という別の物差し(A、電流の単位)で判定する方法があることを見落としやすい

    見破り方電路を停止できず絶縁抵抗計が使えない場面では、電路の使用電圧を電路と大地間に加えたまま漏えい電流を測定し、その値が最大供給電流の1/2000を超えないことで絶縁性能を確認する、という別ルートがあると区別する。基準の物差しがΩではなくA(電流)に変わる点が見落としどころ

  7. 低圧電線路の漏えい電流基準『最大供給電流の1/2000』を、低圧屋内電路を区切った電路ごとの基準にもそのまま当てはめてしまう

    なぜ引っかかる『漏えい電流による絶縁性能の確認』という同じ手法が出てくるため、対象(電線路全体か、屋内の区切られた回路か)が変わっても同じ計算式が使えると思い込みやすい

    見破り方対象を確認する。低圧電線路(配電線路全体)は電路の規模に応じた相対的な基準(最大供給電流の1/2000)で判定するのに対し、低圧屋内電路を開閉器・過電流遮断器で区切ることができる電路ごとの確認は、回路の規模によらない絶対的な基準(1mA以下)で判定する、と使い分ける

  8. 変圧器の絶縁耐力試験を、電路一般の基準と同じ『最大使用電圧の1.5倍』という単一の倍率で計算してしまう

    なぜ引っかかる電路一般の絶縁耐力試験の基準(最大使用電圧7,000V以下は1.5倍)が強く印象に残るため、対象が『変圧器の電路』に変わっても同じ倍率がそのまま使えると錯覚しやすい

    見破り方対象が変圧器の電路だと分かったら、最大使用電圧が7,000V以下かどうかだけでなく、7,000Vを超える場合はさらに15,000V以下かつ中性点接地式電路(多重接地)かどうかで倍率が0.92倍と1.25倍に分かれることを確認する。中性点接地式(多重接地)は地絡時の異常電圧が抑えられやすいため、倍率が低く抑えられている、と理由まで押さえると混同しにくい

参考文献・出典

理解度チェック(16問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、16問で確認しよう。 内訳は基本8問・応用6問・ひっかけ2問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 16 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 低圧電路の絶縁抵抗値(電技第58条):使用電圧300V以下・対地電圧150V以下は0.1MΩ以上、300V以下・対地電圧150V超は0.2MΩ以上、300V超は0.4MΩ以上
  2. 最大使用電圧7,000V以下の交流の高圧電路は、最大使用電圧の1.5倍の電圧を連続10分間かける(電技解釈第15条)
  3. 最大使用電圧は、公称電圧に係数1.15/1.1(1,000V超500,000V未満の電路)を掛けて求める(電技解釈第1条)
  4. ケーブルを直流で絶縁耐力試験する場合は、交流試験電圧の2倍の直流電圧を連続10分間かける(電技解釈第15条)
  5. 絶縁抵抗測定は定常状態の抵抗値を読む診断、絶縁耐力試験は規定電圧をかけ続けて耐えることを証明する試験——目的が異なるため、片方で他方を省略できない
  6. 高圧ケーブルの交流絶縁耐力試験では、対地静電容量に起因する充電電流I=ωCV(=2πfCV)が試験用変圧器の容量を圧迫する。並列に補償リアクトルを接続し、ケーブル側の進み電流とリアクトル側の遅れ電流を打ち消し合わせることで、試験用変圧器の負担を軽減できる
  7. 太陽電池モジュールの絶縁性能は、一般の高圧電路(最大使用電圧の1.5倍の交流電圧を10分間)とは別の基準で定められている。太陽電池モジュールは、最大使用電圧の1.5倍の直流電圧、又は1倍の交流電圧(この電圧が500V未満となる場合は500V)を、充電部分と大地との間に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有することが求められる
  8. 変圧器(放電灯用変圧器等の特殊用途のものを除く)の電路の絶縁耐力試験は、電路一般の基準とは別の区分で試験電圧が定められている。最大使用電圧7,000V以下のものは最大使用電圧の1.5倍(500V未満となる場合は500V)、最大使用電圧が7,000Vを超え15,000V以下であって中性点接地式電路(中性線を有し多重接地するものに限る)に接続するものは0.92倍、それ以外の7,000Vを超え60,000V以下のものは1.25倍(10,500V未満となる場合は10,500V)の試験電圧を、試験される巻線と他の巻線・鉄心及び外箱との間に連続して10分間加える。日本電気技術規格委員会規格JESC E7001が定める確認方法で絶縁耐力を確認したものであれば、この表によらなくてもよい
  9. 電技第58条は、絶縁抵抗の測定が困難な場合の代替手段として、電路を使用状態のままにしておき、その使用電圧を電路と大地との間に加えて絶縁性能を確認する方法(漏えい電流による確認)も認めている。この方法による場合、漏えい電流は電路の最大供給電流の1/2000を超えないことが基準となる。運用中の低圧電線路のように、電路を停止させて絶縁抵抗計を当てることが難しい場面で使われる代替的な確認手段だと理解すると位置づけがつかみやすい
  10. 低圧屋内電路については、開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとに、絶縁抵抗測定が困難な場合、その電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が1mA以下であることが基準となる。低圧電線路全体を対象にした『最大供給電流の1/2000』という相対的な基準とは対象・基準の立て方が異なる、別の規定である
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