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機械 ・ 13 / 16

自動制御の基礎(フィードバック制御)

読み終えると、こうなる

制御盤の温度調節器やインバータの速度ループを見たとき、それが「測って→比べて→直す」というフィードバックの輪になっているかどうかを見抜け、複雑なブロック線図や周波数特性のグラフも臆さず読み解けるようになる

  • 開ループ制御とフィードバック制御を、検出部・比較部の有無で判定できる
  • 負帰還の閉ループ利得の式 G/(1+GH) を使って、フィードフォワード経路を含む複雑なブロック線図でも全体の伝達関数を段階的に求められる
  • PID制御のP・I・Dそれぞれの役割を理解し、制御盤の温度調節器やインバータの速度制御になぜPID制御が実装されているかを説明できる
  • 一次遅れ要素のボード線図を、折れ点角周波数と-20dB/decadeの傾きを使った折線近似で概形を描ける
考えてみよう

制御盤の温度調節器は、扉を開け閉めして庫内の温度が下がっても、しばらくすると また設定温度にぴたりと戻っている。インバータで動くモータも、負荷がかかって 回転数が落ちそうになると、勝手に出力を上げて速度を保とうとする。

誰も操作していないのに、なぜこの装置たちは「ずれたら、自動で戻す」ことができるのか。 一方で、タイマーで時間だけを決めて動く装置は、同じ「自動」でもこの戻す力を持たない。 両者の違いはどこにあるのか。

このトピックを読み終えるころには、制御盤の中の機器を見て、それが 「測って→比べて→直す」というフィードバックの輪を持っているかどうかを、 その場で見抜けるようになっている。

種明かしは、制御には出力を測って目標値と比べ直す仕組みを持つもの(フィードバック制御)と、 それを持たないもの(開ループ制御)の2種類がある、という区別にある。

開ループ制御とフィードバック制御 — 「測って比べる」ループの有無

タイマーで一定時間モータを回して止める、あらかじめ決めたパターンで照明を点滅させる—— こうした制御は、出力(実際にどう動いたか)をまったく測定していない。決めた手順を 順番に実行するだけなので、開ループ制御と呼ばれる。手順どおりに動く保証はあるが、 負荷変動や外乱があっても、それに応じて動作を修正することはできない。

これに対してフィードバック制御は、制御量(実際の出力)を検出部で測定し、 目標値と比較部で比較して偏差(目標値と実際の値のずれ)を求め、その偏差を なくす方向に調節部・操作部を動かす。この「検出→比較→操作」のループが、 外乱があっても自動的に目標値へ近づけていく力の正体だ。

「自動で動く」ことと「フィードバックがある」ことは別の概念だ。タイマーで動く装置も 立派に自動化されているが、出力を測定して比較するループを持たなければ開ループ制御にすぎない。 見分けるポイントは、常に「出力を測定して目標値と比較しているか」の1点に絞られる。

フィードバック制御系の構成とブロック線図

フィードバック制御系は、次の要素で構成される。

  • 目標値:制御量をどうしたいかという設定値
  • 検出部:制御量(出力)を測定するセンサ
  • 比較部:目標値と検出値の差=偏差を求める部分
  • 調節部:偏差に応じて操作量を計算する部分(コントローラ)
  • 操作部:実際に制御対象を動かすアクチュエータ
  • 制御対象:温度・速度・圧力など、制御したいプロセスそのもの
  • 外乱:制御対象に外から加わる、望まない影響

制御対象までの一巡りの利得(伝達関数)をGG、検出部の伝達率をHHとすると、 目標値から制御量までの全体の利得(閉ループ利得)は次の式で表される。

G1+GH\frac{G}{1+GH}

分母に+GH+GHが加わっているのは、偏差=目標値-検出値という引き算の構造(負帰還)を 持つためだ。検出した値をそのまま目標値から差し引いて次の操作を決めるので、 単独の利得GGよりも全体の利得は小さくなり、これが制御系を安定側に働かせる。

例題

単位フィードバック(H=1H=1)のフィードバック制御系で、制御対象の利得がG=9G=9のとき、 全体の閉ループ利得はいくらか。

G1+GH=91+9=910=0.9\frac{G}{1+GH} = \frac{9}{1+9} = \frac{9}{10} = 0.9
検算には$H=0$を代入するとよい。フィードバックが無い(検出していない)状態と同じになるので、 式は$G/(1+0)=G$、つまり開ループのGにそのまま戻るはずだ。閉ループ利得の式が $G/(1+GH)$であることの妥当性は、この極端なケースで確かめられる。

フィードフォワード経路が加わったブロック線図の合成

実際のブロック線図は、G/(1+GH)G/(1+GH)の単純な1経路だけとは限らない。制御対象へたどり着く 前に、外乱や目標値の情報を先回りして加えるフィードフォワード経路が、フィードバックの 主経路と並列に加わることがある。経路が増えると式が急に複雑に見えるが、考え方は変わらない。 信号が分岐・合流する点を1つずつ、入力側から順に追っていくだけでよい。

自作の簡単な例で確認しよう。前向き経路に要素G1G_1G2G_2が直列に入っており、G1G_1と並列に フィードフォワード経路(利得GfG_f)が加わって、G2G_2の手前の合流点で合流するとする。 フィードバックは単位フィードバック(H=1H=1)とする。

  1. 最初の合流点(偏差):目標値RRから、検出したフィードバック分HCH\cdot Cを引く。 E=RHCE = R - HC
  2. 2番目の合流点(フィードフォワードとの合流)G1G_1を通った信号と、GfG_fを通った フィードフォワード信号が、同じ点で足し合わされる。 G1E+GfE=(G1+Gf)EG_1 E + G_f E = (G_1 + G_f)E ここがポイントだ。並列に入った2つの経路は、同じ合流点で単純に足し算すればよい。
  3. 出力までの直列要素:合流した信号にG2G_2が直列に掛かって出力CCになる。 C=G2(G1+Gf)EC = G_2(G_1 + G_f)E

ここまでで分かるのは、G1G_1GfG_fをまとめた(G1+Gf)(G_1+G_f)G2G_2の積、つまり G2(G1+Gf)G_2(G_1+G_f)が、入力側から見た「等価な前向き利得」になっているということだ。 これをGeqG_{eq}と呼べば、あとは1章で使った公式にそのまま乗せられる。

E=RHC,C=GeqECR=Geq1+GeqHE = R - HC, \quad C = G_{eq} E \quad \Rightarrow \quad \frac{C}{R} = \frac{G_{eq}}{1+G_{eq}H}

例題

G1=2G_1=2G2=3G_2=3Gf=1G_f=1H=1H=1のとき、全体の閉ループ伝達関数を求める。

Geq=G2(G1+Gf)=3×(2+1)=9G_{eq} = G_2(G_1+G_f) = 3\times(2+1) = 9 CR=Geq1+GeqH=91+9=0.9\frac{C}{R} = \frac{G_{eq}}{1+G_{eq}H} = \frac{9}{1+9} = 0.9
経路がいくつ増えても、手順は同じだ。①合流点ごとに信号を足し合わせて、入力から出力までの 「等価な前向き利得(合成G)」を1つにまとめる。②その合成GをG/(1+GH)のGへそのまま代入する。 公式を捨てて微分方程式から解き直す必要はどこにもない。

P・I・D — 3つの動作が担う異なる役割

調節部の代表的な動作が、比例(P)・積分(I)・微分(D)の3つで、これらを組み合わせたものが PID制御だ。

  • 比例動作(P):偏差の大きさにそのまま比例して操作量を出す。応答は速いが、 負荷が変わり続ける状況では偏差がゼロになりきらず、定常偏差(オフセット)が残ることがある。
  • 積分動作(I):偏差を時間で積分(足し込み)した量に比例して操作量を出す。 偏差が残っている限りずっと出力を増やし続けるため、最終的に定常偏差をゼロに近づけることができる。 ただし応答が遅れがちで、行き過ぎ(オーバーシュート)や振動を招くことがある。
  • 微分動作(D):偏差の変化の速さに比例して操作量を出す。急激な変化に素早く反応するため、 応答を速め、行き過ぎを抑える働きを持つ。一方でノイズの影響を受けやすい。
PとIとDの役割は、名前が示す数学的な操作から辿ると取り違えにくい。積分(I)は 「偏差が続く限りずっと足し算され続ける」ので、偏差がゼロになるまで動作をやめない =定常偏差を消す。微分(D)は「変化の速さ」に反応するので、急な変化に素早く反応する =応答を速め、行き過ぎを抑える。丸暗記せずこの理屈で覚えれば逆転しない。

なぜ制御盤の中でPID制御が使われているのか

制御盤の温度調節器(TIC)は、庫内温度という制御量を熱電対などで検出し、設定温度との 偏差をPID演算にかけてヒーターの出力を調整している。比例動作だけでは扉の開閉のような 外乱のたびに温度がわずかにずれたままになるが、積分動作が加わることで最終的に設定温度へ ぴたりと戻る。微分動作は、急な温度変化に対する応答を速め、行き過ぎを抑える役割を担う。

インバータの速度制御ループも同じ構造だ。モータの実際の回転数を検出し、指令速度との 偏差をPID演算で処理して出力周波数を調整することで、負荷変動があっても目標の回転数を 保ち続けている。

ボード線図 — 周波数によってゲインがどう変わるかを折線で見る

制御系の性質は、時間の経過だけでなく「入力の周波数を変えたとき、出力がどう追従するか」 という周波数特性でも評価される。これをグラフにしたものがボード線図で、横軸に 角周波数ω\omegaの対数、縦軸にゲイン(利得)をdB(デシベル)で取る。

制御系でよく登場する一次遅れ要素を例に考えよう。伝達関数は次の形をしている。

11+jωT\frac{1}{1+j\omega T}

TTは時定数だ。このゲイン(dB表示)は次の式で求められる。

20log1011+jωT=20log101+(ωT)220\log_{10}\left|\frac{1}{1+j\omega T}\right| = -20\log_{10}\sqrt{1+(\omega T)^2}

この式を毎回計算するのは大変なので、実務では次の折線近似で概形をつかむ。

  • ωT1\omega T \ll 1(折れ点より低い周波数)1+(ωT)21\sqrt{1+(\omega T)^2}\approx 1となるので、 ゲインはほぼ0dB一定。低い周波数の入力には、ほぼそのまま追従する。
  • ωT1\omega T \gg 1(折れ点より高い周波数)1+(ωT)2ωT\sqrt{1+(\omega T)^2}\approx \omega Tと 近似でき、ゲインはω\omegaが10倍(1デカード)増えるごとに-20dBずつ下降する (-20dB/decadeの傾き)。高い周波数の入力には追従しきれなくなっていく。

この2本の直線が交わる点を折れ点角周波数と呼び、ωT=1\omega T=1、つまり

ω=1T\omega = \frac{1}{T}

で求められる。

例題

時定数T=0.1sT=0.1\,\text{s}の一次遅れ要素のボード線図を、折線近似で描く。

折れ点角周波数はω=1/T=1/0.1=10rad/s\omega = 1/T = 1/0.1 = 10\,\text{rad/s}。したがって、 10rad/s10\,\text{rad/s}より低い周波数ではゲインはほぼ0dB0\,\text{dB}で横ばい、 10rad/s10\,\text{rad/s}を超えると20dB/decade-20\,\text{dB/decade}の傾きで下降していく。 たとえば1デカード上の100rad/s100\,\text{rad/s}では約20dB-20\,\text{dB}、 2デカード上の1000rad/s1000\,\text{rad/s}では約40dB-40\,\text{dB}まで下がる。

折れ点角周波数は「$\omega=T$」ではなく「$\omega=1/T$」という**逆数**の関係である点に 注意したい。また折線近似はあくまで概形をつかむための近似で、折れ点そのものの実際の ゲインは0dBぴったりではなく約$-3\,\text{dB}$($\sqrt{2}$分の1)とわずかにずれる。 とはいえ試験で問われるのは主に「折れ点の位置」と「傾きの大きさ」なので、 $\omega=1/T$と$-20\,\text{dB/decade}$の2点を押さえておけば十分に対応できる。

ベクトル軌跡(ナイキスト線図)— 複素平面上でゲインと位相を一度に見る

ボード線図は、ゲイン(大きさ)と位相を別々の2枚のグラフに分けて表す。これに対し ベクトル軌跡(ナイキスト線図)は、一巡伝達関数G(jω)G(j\omega)を、ω\omegaを0から∞まで 変化させながら複素平面上に1本の曲線としてプロットしたものだ。曲線上のある1点の 位置が、その周波数での「大きさ(原点からの距離)」と「位相(実軸となす角度)」を 同時に表している。

一次遅れ要素にゲインKKが掛かったG(jω)=K1+jωTG(j\omega)=\dfrac{K}{1+j\omega T}の形を例に、 軌跡がどんな曲線を描くか追ってみる。

  • ω=0\omega=0G(j0)=KG(j0)=K(実軸上の点(K,0)(K,0))。位相は0°
  • ω=1/T\omega=1/T(折れ点角周波数):分母の実部と虚部の大きさが等しくなるため、 位相はちょうど45°-45°、大きさはK/2K/\sqrt2
  • ω\omega\to\infty:分母が限りなく大きくなるため、G(jω)0G(j\omega)\to0(原点に収束)。位相は90°-90°に近づく

実部・虚部に分けて整理すると、

G(jω)=K1+jωT=K1+(ωT)2jKωT1+(ωT)2G(j\omega)=\frac{K}{1+j\omega T}=\frac{K}{1+(\omega T)^2}-j\frac{K\omega T}{1+(\omega T)^2}

虚部の符号が常に負であることから、軌跡は実軸より下側(第4象限)にだけ現れる。 この式は、実軸上の(0,0)(0,0)(K,0)(K,0)を直径の両端とする、半径K/2K/2半円を描く—— ω=0\omega=0で実軸上の(K,0)(K,0)から出発し、ω\omegaが大きくなるにつれて下側へ弧を描きながら、 ω\omega\to\inftyで原点(0,0)(0,0)に収束する。

例題(自作の数値例)

G(jω)=101+jω×0.2G(j\omega)=\dfrac{10}{1+j\omega\times0.2}のベクトル軌跡を考える。

  • ω=0\omega=0G(j0)=10G(j0)=10(実軸上の点(10,0)(10,0)
  • 折れ点角周波数ω=1/T=1/0.2=5rad/s\omega=1/T=1/0.2=5\,\text{rad/s}:位相45°-45°、大きさ10/27.0710/\sqrt2\approx7.07
  • ω\omega\to\infty:原点(0,0)(0,0)に収束

実軸上の(0,0)(0,0)(10,0)(10,0)を直径とする、下側(第4象限)に膨らむ半円を描く。

ベクトル軌跡の出発点(ω=0)は必ずボード線図の低周波ゲイン(ほぼ0dB一定の領域の値)と 一致し、収束点(ω→∞)はボード線図の高周波でゲインが下がりきった先(0に近づく)と 対応している。ボード線図とベクトル軌跡は、同じ周波数特性を「2枚のグラフ」で見るか 「1枚の複素平面」で見るかの違いにすぎず、どちらか一方の要点(低周波・高周波での挙動、 折れ点での位相-45°)が分かれば、もう一方もそのまま流用できる。

冒頭の問いかけ——「なぜ装置は、ずれたら自動で戻せるのか」の答え合わせは、 理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. あらかじめ決めた手順どおりに動く「自動化された制御」を、フィードバック制御と誤答する

    なぜ引っかかる「自動で制御される」という言葉の印象だけで判断すると、出力を測定していないタイマー式の制御なども「フィードバック制御」だと思い込みやすい。自動化とフィードバックは別の概念である。

    見破り方「出力(制御量)を測定して、目標値と比較しているか」を確認する。測定・比較のループがなければ、どれだけ自動化されていても開ループ制御に分類される。

  2. 閉ループ伝達関数の式を、符号を取り違えてG/(1-GH)と立ててしまう

    なぜ引っかかる正帰還(プラスフィードバック)の式G/(1-GH)と、負帰還(マイナスフィードバック)の式G/(1+GH)を混同する。制御では通常、目標値から検出値を引き算する負帰還が基本形になる。

    見破り方偏差=目標値-検出値という引き算の構造(負帰還)になっているかを確認する。検算として、フィードバック要素H=0を代入すると開ループのGにそのまま戻ることを確かめれば、分母が1+GHであることに納得できる。

  3. P・I・Dそれぞれの役割を取り違える(例:Pが定常偏差を消す、Iが応答を速める、と逆に覚える)

    なぜ引っかかる比例・積分・微分という数学的な操作の名前と、制御上の効果を結びつけずに丸暗記すると、どれが定常偏差を消す動作で、どれが応答を速める動作かが逆転しやすい。

    見破り方積分(I)は「偏差が残っている限り、ずっと足し算され続ける」動作なので、偏差がゼロになるまで出力を動かし続ける=定常偏差を消す。微分(D)は「変化の速さ」に反応するので、急な変化に素早く反応する=応答を速め行き過ぎを抑える。名前の数学的な意味から辿れば取り違えない。

  4. フィードフォワード経路が加わったブロック線図では、G/(1+GH)の公式がもう使えないと思い込む

    なぜ引っかかる式の見た目が複雑になった分、まったく別の解き方が必要だと錯覚しやすい。実際には合流点が増えただけで、負帰還の基本構造そのものは変わっていない。

    見破り方合流点ごとに信号を1つずつ足し合わせて、入力から出力までの『等価な前向き利得(合成G)』をまず作る。あとはその合成GをG/(1+GH)のGにそのまま代入すればよい、という手順を機械的に踏めば取り違えない。

  5. ボード線図の折れ点角周波数を、時定数Tそのものと取り違える(ω=Tと誤る)

    なぜ引っかかる「折れ点=T」と数字だけで覚えてしまい、正しくはω=1/Tという逆数の関係であることを忘れる。

    見破り方折れ点は、一次遅れ要素の分母1+jωTにおいて実部1と虚部ωTの大きさが釣り合う条件ωT=1、つまりω=1/Tから導かれる。T=0.1sなら折れ点はω=10rad/sであって、ω=0.1rad/sではない。

  6. ベクトル軌跡の実軸切片(ω=0の点)を、伝達関数の分子のゲインKを掛け忘れて常に(1,0)だと思い込む

    なぜ引っかかる1/(1+jωT)という基本形だけを見慣れていると、ω=0での値が常に1になると錯覚しやすい。実際には分子にゲインKが掛かっている場合、ω=0での値はKであり、Kが1でない限り出発点は(1,0)にはならない。

    見破り方ω=0を式にそのまま代入して検算する。G(j0)は分母のjωTの項が消えて1になるので、G(j0)=K/1=K。軌跡の実軸上の出発点は必ずこのKの値になる。

参考文献・出典

理解度チェック(11問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、11問で確認しよう。 内訳は基本5問・応用4問・ひっかけ2問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 11 問正解

覚えておきたいポイント

  1. フィードバック制御は「検出→比較→操作」のループを持ち、外乱があっても自動的に目標値へ近づけていく。タイマー動作のような開ループ制御と区別すること
  2. フィードバック制御系の基本要素は、目標値・検出部・比較部(偏差)・調節部・操作部・制御対象。負帰還では偏差=目標値-検出値として引き算される
  3. 負帰還時の閉ループ利得はG/(1+GH)(単位フィードバックH=1のときG/(1+G))。分母に+GHが加わることで単独のGより利得が下がり、安定側に働く
  4. P制御は応答が速いが定常偏差(オフセット)が残る、I制御は定常偏差を消すが応答が遅れやすい、D制御は変化の速さに反応して応答を速め行き過ぎを抑える
  5. PID制御はP・I・Dを組み合わせ、速応性と定常精度と安定性をバランスさせる。制御盤の温度調節器やインバータの速度制御に広く実装されている
  6. ブロック線図にフィードフォワード経路が加わっても、合流点ごとに信号を足し合わせて等価な前向き利得(合成G)を作れば、閉ループ伝達関数はG/(1+GH)と同じ型で求められる
  7. 一次遅れ要素1/(1+jωT)のボード線図は、折れ点角周波数ω=1/Tより低い周波数でゲインがほぼ0dB一定、それを超えると-20dB/decadeの傾きで下降する折線近似で概形をつかめる
  8. ベクトル軌跡(ナイキスト線図)は、一巡伝達関数G(jω)をωを0から∞まで変化させながら複素平面上に描いた曲線。ゲインK/(1+jωT)の形なら、ω=0で実軸上の点(K,0)から出発し、折れ点角周波数ω=1/Tで位相-45°・大きさK/√2を通り、ω→∞で原点に収束する、実軸下側(第4象限)に膨らむ半円を描く
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