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電気工学等 ・ 2 / 8

電気機器の基礎 — 変圧器・誘導電動機・同期発電機の構造と特性

読み終えると、こうなる

現場で見る変圧器・モーターの銘板や、発電機のプレートに書かれた数字が、単なる仕様表記ではなく機器の動作原理そのものを表していると読めるようになる

  • 変圧器が油入かモールドかを見分け、設置場所(屋内外・防火要求・保守のしやすさ)に合っているかを判断できる
  • 銘板の周波数と極数から、誘導電動機や発電機の同期速度をNs=120f/pでその場で計算できる
  • 誘導電動機が始動する瞬間に電流計の針が跳ね上がる理由を、すべりの考え方から説明できる
  • 変圧器の効率が最大になる負荷条件(鉄損=銅損)を踏まえ、軽負荷や過負荷での運用が損になる理由を説明できる
考えてみよう

現場を歩くと、電気機器はどれも「電気を機械的な仕事や別の電気に変える箱」に見えて、違いが分かりにくい。しかし変電室に据え付けられた変圧器の中には、絶縁油を満たしたものと、樹脂で固めただけのものがある。モーターの始動盤には、運転中の何倍もの電流に耐える大きなブレーカーが選ばれている。非常用発電機の銘板には「1500min⁻¹」のような回転数が刻まれている。

なぜ変圧器には燃えやすいものと燃えにくいものがあるのか。なぜモーターは動き出す瞬間だけ電流計の針が大きく跳ねるのか。そして、発電機の銘板に書かれた回転数は、何によって決まっているのか。

このトピックを読み終えるころには、据え付けられた変圧器・誘導電動機・同期発電機を見て、それぞれが何の原理で動いているか、現場でどんな注意が必要かをその場で説明できるようになっている。

施工管理技士がこの3つの機器に求められるのは、電験三種のような詳細な等価回路計算ではない。据え付け・検収・保守の判断に必要な「構造と特性」のレベルで、それぞれの機器が何によって動き、何に気をつけるべきかを押さえることだ。

変圧器 — 鉄心と巻線で電圧を変える

変圧器は、共通の鉄心に1次側コイルと2次側コイルを巻き付けた構造をしている。1次側コイルに交流電圧を加えると交流電流が流れて磁束が発生し、その磁束が鉄心の中を通って2次側コイルを貫くことで、2次側に電圧が誘導される。この電磁誘導の原理そのものは、機械的に動く部分を持たない変圧器の最大の特徴でもある。

鉄心には、短冊状の電磁鋼板を薄く積み重ねた積層鉄心が使われる。1枚の厚い鉄の塊ではなく薄い板を積層するのは、鉄心内部に発生する「うず電流」の経路を細かく分断し、うず電流損を抑えるためだ。

変圧器の損失と効率 — 鉄損と銅損の綱引き

変圧器の損失は、大きく2種類に分かれる。

  • 無負荷損(鉄損):負荷の有無にかかわらず、電圧をかけている限り鉄心に発生する損失。ヒステリシス損とうず電流損が主体で、周波数が一定であれば1次電圧の2乗に比例する。つまり負荷が軽くても重くても、電圧が変わらなければほぼ一定の大きさで発生し続ける。
  • 負荷損(銅損):巻線に負荷電流が流れることで発生する抵抗損。負荷電流の2乗に比例するため、負荷が大きくなるほど急激に増える。

この2種類の損失は負荷に対する増え方が違うため、効率が最も高くなる負荷点が存在する。鉄損と銅損が等しくなる負荷のときに、変圧器の効率は最大になる。軽負荷では銅損が小さく鉄損の割合が相対的に大きくなり、逆に過負荷に近づくほど銅損が急増して効率が下がっていく。

損失の負荷特性と最大効率点(概念図) 損失 大 損失 0 負荷率 100% 0% 鉄損(ほぼ一定) 銅損(負荷²に比例) 最大効率点 鉄損(ほぼ一定)と銅損(負荷²に比例)が交わる負荷点で、変圧器の効率は最大になる(概念図であり、実機の損失値を示すものではない)
実務で覚えておきたいのは、変圧器は「常に全負荷で使うのが一番効率的」とは限らないという点だ。配電用の変圧器は、実際の現場では最大効率点に近い負荷率で使われるよう容量が選定されることが多い。据え付け段階で想定より軽い負荷しかつながっていない場合、それ自体が悪いわけではないが、極端な軽負荷が続く設備は容量選定を見直す余地がある。

油入変圧器とモールド変圧器 — 現場での使い分け

変圧器は絶縁・冷却の方式によって、大きく2種類に分かれる。

油入変圧器は、内部に絶縁油を満たして絶縁と冷却を行う。自冷却方式で屋外の高温環境にも強く、過負荷耐量が高いことに加えて騒音・振動も比較的小さい。一方で絶縁油は可燃性のため火災リスクがあり、大容量機では消火設備が必要になることがある。重量・寸法も大きくなりやすく、絶縁油の劣化診断など保守の手間もかかる。

モールド変圧器は、巻線を自己消火性のエポキシ樹脂でモールド(含浸・固化)したもので、絶縁油を使わない。万一の事故でアークが発生しても発火しにくく、地下街やビル内など不燃化が求められる屋内設置に向いている。耐湿性・耐じん性にも優れ、長期間の休止後でも簡単な点検で運転を再開しやすい。寸法・重量が小さく搬入しやすい一方、機器単体のコストは油入より割高になりやすく、コイルが露出しているぶん屋外設置や感電対策には向かない。

「油入は屋外向き・過負荷に強い」「モールドは屋内向き・不燃性が高い」という大まかな傾向は覚えておく価値がある。ただしどちらもメリット・デメリットがある選択肢であり、一方が絶対的に優れているわけではない。設置場所の防火要求・搬入条件・保守体制から選定するのが実務での考え方だ。

変圧器の並行運転 — 条件を満たさないと負荷が偏る

工場やビルの受電容量を増やすとき、変圧器を1台丸ごと大きなものに交換せず、既設の変圧器にもう1台を追加して並行運転させることがある。ただし、どんな変圧器どうしでも自由に並行運転できるわけではなく、次のような条件を満たす必要がある。

  • 1次側・2次側の定格電圧が等しく、巻数比が一致していること
  • 極性(結線の向き)が一致していること
  • 各変圧器の%インピーダンス(基準容量をそろえたときの値)が等しいこと、または近いこと

この条件がそろっていれば、2台以上の変圧器を1つの負荷に対して並行に接続し、負荷を分担させられる。

負荷分担の計算 — 均等に半分ずつではない

並行運転させた変圧器どうしの負荷分担は、直感的には「2台あるから半分ずつ」と思いがちだが、実際には%インピーダンスに反比例して分担される。%インピーダンスが等しい条件であれば、負荷は各変圧器の定格容量の比のとおりに分かれる。

例題

定格容量が100kV・Aと300kV・Aの変圧器を並行運転し、200kV・Aの負荷に供給する。2台とも並行運転の条件(%インピーダンスが等しいこと等)を満たしているとき、それぞれの負荷分担を求める。

容量比は100:300=1:3なので、200kV・Aを1:3で分ければ、100kV・A変圧器が50kV・A、300kV・A変圧器が150kV・Aを受け持つ。

変圧器の並行運転で負荷が均等に半分ずつ分かれると思い込むのはよくある誤解。%インピーダンスが等しい前提であれば、負荷は定格容量の比で分担される。容量の小さい変圧器に大きい変圧器と同じだけの負荷がかかることはなく、逆に容量の小さい側が過負荷になっていないかは据付・増設計画で確認すべきポイントになる。

変圧器の騒音 — 通電騒音と励磁騒音

変電所やキュービクル内の変圧器からは、常に「ブーン」という低い音が聞こえる。この騒音の発生源は、大きく2つに分けられる。

  • 通電騒音:負荷電流が流れることで、巻線間(または巻線とほかの導体間)に働く電磁力によって生じる振動が音になったもの。負荷電流の大きさに依存する。
  • 励磁騒音(磁歪音):鉄心が交流磁界で磁化されるとき、けい素鋼板がわずかに伸び縮みする「磁気ひずみ(磁歪)」によって生じる振動が音になったもの。変圧器騒音の主要な発生源とされ、鉄心の磁束密度に依存する。

励磁騒音を抑える対策としては、磁気ひずみの小さい高配向性けい素鋼板を鉄心に使うことや、鉄心の磁束密度を低くすることが有効だ。逆に、磁束密度を高くすると鉄心を小型化できる一方で、励磁騒音はかえって大きくなってしまう。「小型化」と「低騒音化」がトレードオフの関係にある点は、変圧器の効率(鉄損=銅損で最大)の話と同じく、一つの数値を動かすと別の特性が犠牲になる典型例といえる。

「鉄心の磁束密度を高くすることは騒音対策に有効」という記述は、一見『鉄心を強化する=対策になりそう』に見えるため紛れ込みやすいが、実際は逆で騒音を悪化させる。騒音対策として正しいのは「高配向性けい素鋼板の使用」と「磁束密度を低くすること」の2つだと押さえておく。

Δ結線の第3調波電流 — なぜY-Y結線と結果が変わるか

単相変圧器3台をΔ結線(Δ-Δ結線)して三相変圧器として使う構成は、V結線と同じく現場でよく見かける。Δ結線には、V結線にはないもう1つの利点がある。励磁電流に含まれる第3調波電流が、外部の送電線・通信線に流出しないという点だ。

変圧器の励磁電流には、鉄心の磁気飽和特性により第3調波(基本波の3倍の周波数を持つ成分)がわずかに含まれる。Δ結線は3つの巻線がそのまま1つの閉回路を構成しているため、この第3調波電流は閉回路の中をぐるぐる環流するだけで、外部の線路には現れない。

これに対し、閉回路を持たないY-Y結線(スター-スター結線)では、第3調波電流の逃げ場がないため電圧・電流のひずみとなって外部に現れやすく、近くの通信線に誘導障害を与える原因になることがある。実務でY-Y結線を使う必要がある場合は、三次巻線にΔ結線を追加したY-Y-Δ結線とすることで、この問題を回避するのが一般的だ。

「第3調波電流による通信線障害」という現象は、Δ結線とY-Y結線のどちらの話でも起こりそうに見えるが、実際にはこの障害が起きやすいのは閉回路(環流経路)を持たないY-Y結線の側。Δ結線は3つの巻線が閉回路になっているため、第3調波電流はその中を回るだけで外部には出ていかない、とイメージして区別する。

誘導電動機 — すべりがなければ回らない

現場で最も多く使われているモーターが、三相誘導電動機だ。固定子(電機子巻線)に三相交流を流すと、回転する磁界(回転磁界)が発生する。回転子はこの回転磁界を横切ることで電流が誘導され、その誘導電流と磁束の相互作用でトルクが生まれて回転する。

回転子の構造には主に2種類がある。

  • かご形:回転子の導体を両端で直接短絡した、単純で丈夫な構造。保守がほとんど不要で、現場で最も多く使われる。
  • 巻線形:回転子巻線をY結線し、一方をスリップリングを通じて外部の調整抵抗に接続できる構造。始動特性を調整できるが、かご形より構造が複雑になる。

すべり — 回転磁界より少し遅れて回る

回転磁界の速度(同期速度)をnsn_s、回転子の実際の回転速度をnnとすると、両者の差の割合を表すすべりssは次の式で定義される。

s=nsnnss = \frac{n_s - n}{n_s}

誘導電動機がトルクを生むには、回転子が回転磁界よりわずかに遅れて回っている(すべりが生じている)ことが必須だ。回転子が回転磁界とまったく同じ速度(すべりゼロ)で回ってしまうと、回転子と磁界の間に相対速度がなくなり、回転子に電流が誘導されなくなってトルクも発生しなくなる。定格運転付近のすべりは数%程度であることが多いが、負荷や摩擦がある限り、完全にゼロになることはない。

同期速度nsn_sは、周波数ffと極数ppから次の式で求まる。

ns=120fp [min1]n_s = \frac{120f}{p}\ [\text{min}^{-1}]

例題

4極、周波数50Hzの三相誘導電動機の同期速度を求める。

ns=120×504=1500 min1n_s = \frac{120 \times 50}{4} = 1500\ \text{min}^{-1}

この電動機が負荷をかけた状態で1440min⁻¹で回転していたとすると、すべりは次のようになる。

s=150014401500=601500=0.04 (4%)s = \frac{1500 - 1440}{1500} = \frac{60}{1500} = 0.04\ (4\%)
誘導電動機は、始動する瞬間に定格電流の5〜8倍程度もの大きな始動電流が流れることがある。始動直後は回転子がまだ止まっており、すべりが1(回転磁界に対して完全に静止した状態)に近いためだ。回転が上がってすべりが小さくなるにつれて電流も落ち着いていく。中大型の電動機では、この始動電流を抑えるためにスターデルタ始動など電圧を落として始動する方式が使われることがある——現場で始動盤のブレーカー容量が電動機の定格電流よりかなり大きく選ばれているのは、この始動時の大電流に耐える必要があるためだ。

同期発電機 — 誘導電動機とは逆に、すべりなく回る

同期発電機は、回転子の界磁巻線に直流電流を流して磁界を作りながら回転させることで、固定子の電機子巻線に交流を誘導する発電機だ。構造上は、界磁を回転子側に置く回転界磁形が主流で、電機子を回転子側に置く回転電機子形は小容量機に限られる。回転界磁形は、大電流が流れる電機子巻線を固定子側に置けるため、外部への電力の取り出しが容易になるという実務上の利点がある。

同期発電機の回転速度にも、誘導電動機と同じ同期速度の式が使われる。

ns=120fp [min1]n_s = \frac{120f}{p}\ [\text{min}^{-1}]

ただし誘導電動機と違うのは、同期発電機(および同期電動機)の回転子はすべりを持たず、常にこの同期速度そのもので回転する点だ。名前の通り、電源の周波数と「同期」して回るのが同期機であり、負荷に応じて回転磁界より遅れて回る誘導機とは、この点で挙動が異なる。

例題

6極、周波数60Hzの地域で運転する非常用発電機の同期速度を求める。

ns=120×606=1200 min1n_s = \frac{120 \times 60}{6} = 1200\ \text{min}^{-1}

50Hz地域であれば同じ6極機でもns=120×50/6=1000 min1n_s = 120 \times 50 / 6 = 1000\ \text{min}^{-1}になる。プレートに書かれた回転数を見たとき、それが極数と周波数だけで決まる値であり、負荷の大小には左右されないことを知っていれば、据え付け先の周波数(50Hz地域か60Hz地域か)を取り違えていないかの検算にも使える。

「誘導」機はすべり(速度差)があって初めて動作し、「同期」機は同期速度そのもので動作する——この対比を機器の名前から思い出せるようにしておくと、回転速度に関する設問で混同しにくくなる。

同期発電機の並行運転条件 — 変圧器とは違う5つの条件

非常用発電機を増設したり、複数台の発電機を1つの母線に接続して運転したりする場合にも、変圧器と同じく並行運転の条件を満たす必要がある。ただし、同期発電機の並行運転条件は、変圧器の並行運転条件(定格電圧・巻数比・極性・%インピーダンスの一致)とは中身が異なる、別物の条件だ。

同期発電機を並行運転させるには、次の5つが一致している必要がある。

  • 起電力の大きさが等しいこと
  • 起電力の周波数が等しいこと
  • 起電力の位相が一致していること
  • 起電力の波形(正弦波)が等しいこと
  • 相回転方向が一致していること

これらの条件がそろっていないまま接続すると、2台の発電機の間に大きな循環電流(横流)が流れ、遮断器が動作したり発電機に衝撃を与えたりする恐れがある。

同期発電機の並行運転条件でよく出題されるひっかけは、「定格容量が等しいこと」を条件に含めてしまうパターンだ。容量の異なる発電機どうしでも、上記5条件さえ満たせば並行運転できる。「定格容量が等しいこと」が条件になるのは変圧器の並行運転の話であり、同期発電機の条件とは混同しないよう区別しておく。

変圧器の電圧比・電流比 — 巻数比が決める2つの関係

変圧器の並行運転を扱う前に、そもそも1台の変圧器の中で1次側と2次側の電圧・電流がどう対応しているかを押さえておく。理想変圧器(損失を無視した変圧器)では、1次・2次の電圧比は巻数比に等しい。

V1V2=N1N2\frac{V_1}{V_2} = \frac{N_1}{N_2}

ここで見落としやすいのが電流の比だ。理想変圧器では入力電力と出力電力が等しくなる(V1I1=V2I2V_1 I_1 = V_2 I_2)ため、電流比は電圧比(巻数比)の逆数になる。

I1I2=N2N1=V2V1\frac{I_1}{I_2} = \frac{N_2}{N_1} = \frac{V_2}{V_1}

つまり、電圧が高くなる側(巻数が多い側)は電流が小さくなり、電圧が低くなる側(巻数が少ない側)は電流が大きくなる。

例題 — 2次側の情報から1次側電圧を逆算する

理想変圧器の1次側に電流I1=5I_1=5Aが流れているとき、2次側は電流I2=100I_2=100A、抵抗Rでの消費電力P=10P=10kWだった。1次側電圧E1E_1を求める。

まず2次側の抵抗値を消費電力の式から求める。

R=PI22=100001002=1 ΩR = \frac{P}{I_2^2} = \frac{10000}{100^2} = 1\ \Omega

次に2次側電圧を求める。

V2=I2×R=100×1=100 VV_2 = I_2 \times R = 100\times1 = 100\ \text{V}

理想変圧器では電流比が電圧比の逆数になるので、a=I2/I1=100/5=20=V1/V2a = I_2/I_1 = 100/5 = 20 = V_1/V_2。よって、

V1=20×100=2000 VV_1 = 20\times100 = 2000\ \text{V}
「2次側の電流・消費電力から2次側電圧を求める→巻数比(=電流比)を使って1次側電圧を逆算する」という2段階の手順を押さえておく。電流比を電圧比と同じ向き(N1/N2)で計算してしまうと、答えが逆数になってしまう典型的な誤りにつながる。

二次電池 — 非常用電源として現場で使われる2つのタイプ

変圧器・誘導電動機・同期発電機が「電気を変換・利用する」機器であるのに対し、二次電池(蓄電池)は「電気を蓄えて必要なときに使う」機器だ。非常用照明・自動火災報知設備・UPS(無停電電源装置)など、施工管理者が現場で接する設備の多くに組み込まれている。代表的な2種類の特性を対比しておく。

据置鉛蓄電池は、非常用電源設備として古くから使われてきた蓄電池だ。放電すると電解液の濃度(比重)が下がり、この比重の変化が残容量の目安にもなる。近年主流の制御弁式鉛蓄電池は、充電時に発生するガスを内部の触媒栓で水に戻す仕組みを持つため、補水(電解液の水の補充)が不要という保守上の利点がある。温度特性としては、温度が高いほど内部の化学反応が活発になり、自己放電(使っていなくても自然に容量が減っていく現象)は大きくなる。逆に低温では自己放電は抑えられるが、出力できる容量自体は下がる傾向がある。

リチウムイオン二次電池は、鉛蓄電池等の他の二次電池と比べて小型・軽量化がしやすく急速充電にも対応できるという長所を持つ。この長所が、スマートフォン・ノートPC・EV(電気自動車)など幅広い携帯・移動機器に採用されている理由になっている。一方で、内部圧力が上昇すると膨張・破裂・発火する危険性があり、鉛蓄電池以上に温度管理や過充電防止の保護回路が重要になる。繰り返し充放電できる回数(サイクル寿命)は比較的多く、この長寿命性もリチウムイオン電池が広く普及している理由の1つだ。

「リチウムイオン電池は取り扱いに注意が必要」という印象から、小型・軽量化のしやすさまで短所だと錯覚しやすいが、これは明確な長所。「鉛蓄電池は温度が高いほど自己放電が小さくなる」という説明も直感に反して誤りで、実際には高温ほど自己放電は大きくなる。どちらも「直感で逆に覚えやすいポイント」として意識しておきたい。

パワーコンディショナ(PCS) — 直流を交流に変え、系統を守る

太陽光発電設備や蓄電池を電力系統と接続する現場で必ず登場するのがパワーコンディショナ(PCS、パワコン)だ。太陽電池・蓄電池が生み出す電気は直流だが、家庭や工場の設備、電力系統は交流で動いているため、その間をつなぐPCSには大きく2つの基本機能がある。

  • 直流交流変換(インバータ)機能:太陽電池・蓄電池から出力される直流電力を、系統・負荷側で使える交流電力に変換する。あわせて、太陽電池の発電量が日射や温度で刻々と変化しても常に最大の電力を取り出せるよう電圧・電流の動作点を自動調整する最大電力点追従制御(MPPT制御)も、多くのPCSに組み込まれている。
  • 系統連系保護機能:電力系統側で停電や電圧・周波数の異常が発生した際に、PCSを系統から自動的に切り離す(解列する)機能。特に重要なのが単独運転検出で、系統が停電しているにもかかわらず、太陽光発電設備側だけで発電を続けて系統の一部に電気を送り続けてしまう状態(単独運転)を検出し、系統から切り離す。単独運転を放置すると、停電作業中の電力会社の作業員が、本来電気が流れていないはずの電線に感電する重大な事故につながりかねないため、系統連系する太陽光発電設備には必須の保護機能とされている。
PCSの機能は「直流を交流に変える(インバータ)」と「系統を異常から守る(系統連系保護)」の2本柱で覚えておく。特に単独運転検出は、太陽光発電設備そのものを守るためではなく、停電時に系統側で作業する人の感電事故を防ぐための機能だという点を押さえておくと、目的を取り違えにくい。MPPT制御は発電効率を最大化する機能であり、系統保護機能とは役割が別だと区別しておく。

単相誘導電動機の始動法 — 単相交流だけでは自力で始動できない

三相誘導電動機は、3本の巻線に三相交流を流すだけで自然に回転磁界が生まれ、そのまま始動できる。ところが単相誘導電動機は、単相交流を主巻線に流しただけでは、磁界の向きが単純に往復するだけで回転磁界が生じず、自力では始動できない。給水ポンプや換気扇など、家庭用・小型動力用の機器に単相誘導電動機が使われる場面は多く、始動のために補助的な仕組みを追加した、いくつかの始動方式が使い分けられている。

  • 分相始動形:主巻線とは別に、位相を90°近くずらした補助巻線を設け、主巻線との位相差によって回転磁界に近い状態をつくって始動する。
  • コンデンサ始動形:分相始動形と同様に補助巻線を使うが、その回路にコンデンサを直列に挿入することで位相差をより適切に調整する。分相始動形より小さな始動電流で大きな始動トルクを得られる。
  • 反発始動形:反発形交流整流子電動機として始動し、回転数が上がったところで整流子短絡装置により整流子を短絡して、誘導電動機として運転を続ける。
  • くま取りコイル形:固定子の磁極の一部に「くま取りコイル(短絡環)」を設け、その部分の磁束にわずかな時間遅れを生じさせることで、疑似的な回転磁界をつくって始動する。構造が単純で保守が容易な反面、始動トルクは小さい。
単相誘導電動機の始動方式としてよく問われるのは、この4つ(コンデンサ始動形・分相始動形・反発始動形・くま取りコイル形)のセットだ。三相誘導電動機の速度制御で使われるインバータは、単相誘導電動機の始動方式には含まれない——「インバータ始動形」という名称の始動方式は存在しない、という点を区別しておく。

三相誘導電動機の始動法 — 単相の始動法とは別の分類

三相誘導電動機は、単相機と違って3本の巻線に三相交流を流すだけで自然に回転磁界が生じるため、単相機のような補助巻線・コンデンサは不要だ。ただし小容量機を除けば、始動する瞬間に定格電流の5〜8倍程度という大きな始動電流が流れる点は変わらない。この始動電流をどう抑えるかによって、いくつかの始動法が使い分けられている。

  • 全電圧始動法(直入れ):定格電圧をそのまま加えて始動する、最もシンプルな方式。始動電流が大きいため、小容量機や、系統側に余裕がある場合に使われる。
  • スターデルタ(Y-Δ)始動法:始動の瞬間だけ巻線をY結線にして、1相あたりの電圧をΔ結線時の1/31/\sqrt3倍に下げる。この結果、始動電流・始動トルクとも全電圧始動の1/3に抑えられる。回転が上がったところでΔ結線に切り替えて運転を続ける。
  • リアクトル始動法:電動機と直列にリアクトルを接続し、印加電圧を1/n1/n倍に下げて始動する。始動電流は1/n1/n倍、始動トルクは1/n21/n^2倍になる。リアクトルにタップを設けて、下げ幅を調整できる機種もある。
  • 二次抵抗始動法:回転子巻線をスリップリング経由で外部抵抗に接続できる巻線形誘導電動機だけで使える方式。始動抵抗を調整することで、始動電流を抑えながら比較的大きな始動トルクを得られる。導体を短絡しただけのかご形にはこの方式は使えない。

例題

全電圧始動での始動電流が90Aの三相誘導電動機を、スターデルタ始動法で始動する場合の始動電流を求める。

90 A×13=30 A90\ \text{A} \times \frac{1}{3} = 30\ \text{A}
三相誘導電動機の始動法を選ぶ設問には、単相誘導電動機の始動法である「分相始動法」がひっかけの選択肢として混ざることがある。三相誘導電動機は自然に回転磁界が生じるため、単相機のような補助巻線で疑似的な回転磁界をつくる分相始動法は不要——「単相の始動法」と「三相の始動法」は別物のセットとして覚えておく。

直流発電機 — 自励式と他励式、界磁電流はどこから来るか

同期発電機と並んで、非常用電源や特殊用途で使われるのが直流発電機だ。直流発電機を理解するポイントは、界磁巻線に流す界磁電流をどこから得るかにある。

  • 他励式:界磁電流を、バッテリーなど外部の別電源から供給する方式。
  • 自励式:発電機自身が発生させた起電力を使って界磁電流を作る方式。電機子巻線と界磁巻線の接続方法によって、さらに3種類に分かれる。
    • 直巻発電機:電機子巻線と界磁巻線を直列に接続する。
    • 分巻発電機:電機子巻線と界磁巻線を並列に接続する。
    • 複巻発電機:直列・並列を組み合わせた接続。

直巻・分巻・複巻はいずれも自励式の仲間であり、他励式ではない。「界磁巻線が電機子と別回路に見える」という見た目から分巻発電機を他励式と誤解しやすいが、電源はあくまで発電機自身の端子電圧だと押さえておく。

残留電圧 — 界磁電流ゼロからでも電圧が立ち上がる理由

自励式の直流発電機は、界磁電流がまだゼロの起動直後でも、わずかながら電圧を発生させることができる。これは、磁極に残っている残留磁気による残留電圧があるためだ。この残留電圧が呼び水となってわずかな界磁電流を流し、それが磁束を増やしてさらに起電力を高める——という正のフィードバックによって、電圧が徐々に確立していく。

「界磁電流ゼロなのに電圧が出るのはおかしい」と感じやすいが、残留磁気がある限り、界磁電流ゼロでも残留電圧というわずかな出力は残る。直巻発電機の無負荷時の出力電圧が残留電圧に等しくなるのも、この仕組みによるものだと理解しておく。

変圧器油に求められる特性 — 「粘度は低いほうがよい」という逆説

油入変圧器の絶縁・冷却を担う変圧器油(絶縁油)には、次の4つの特性が求められる。

  • 絶縁耐力が大きいこと
  • 冷却作用が大きいこと
  • 粘度が低いこと
  • 引火点が高いこと

このうち紛らわしいのが粘度の向きだ。潤滑油のイメージから「粘度は高いほうが良さそうだ」と直感的に考えてしまいやすいが、変圧器油の役割には巻線・鉄心で発生した熱を対流によって運び去る冷却も含まれる。粘度が高い(ドロドロしている)と油が循環しにくくなり、冷却効果がかえって下がってしまう。そのため変圧器油では、粘度は低いことが求められる特性になる。

変圧器油の特性は「絶縁耐力・冷却作用・引火点は大きい(高い)ほうがよい」「粘度だけは低いほうがよい」と、粘度だけ向きが逆になる点をセットで覚えておく。

電気加熱の方式 — 熱をどうやって生み出すかで名前が変わる

現場で目にする電気加熱設備には、熱を発生させる原理が異なる複数の方式がある。名前が似ていても発熱の仕組みはそれぞれ別物だ。

  • 抵抗加熱:通電した際に発生するジュール熱を利用する。
  • 誘導加熱:交番磁界の中に置いた導電性の被加熱物に、電磁誘導で発生する渦電流のジュール熱を利用する。
  • 誘電加熱:電気絶縁物質である誘電体に高周波の交番電界を加え、物体内部に発生する誘電体損による発熱を利用する。
  • アーク加熱:電極間または電極と被加熱物との間に生じるアーク放電の熱を利用する。非常に高温(数千K)を得られる。
  • 赤外線加熱:赤外線電球などの発熱体からの放射熱(赤外放射)を被加熱物に吸収させて加熱する。
特に混同しやすいのがアーク加熱で、「電子ビームの照射による熱を利用する」という説明が紛れ込みやすい。しかしアーク加熱はあくまで電極間のアーク放電の熱を使う方式であり、電子ビームを使う方式は電子ビーム加熱という別の加熱方式になる。「アーク=放電」「誘電=交番電界中の誘電体損」「誘導=交番磁界中の渦電流」と、それぞれの名前が示す原理で区別しておく。

他励発電機の回転速度と起電力 — 界磁電流一定なら比例関係

直流機の誘導起電力EEは、磁束ϕ\phiと回転速度NNの両方に比例する(E=kϕNE=k\phi Nkkは機械の構造で決まる定数)。他励発電機は界磁電流を外部電源から供給するため、界磁電流を一定に保てば磁束ϕ\phiも一定になり、起電力EEは回転速度NNだけに正比例して変化する。

E2E1=N2N1\frac{E_2}{E_1} = \frac{N_2}{N_1}

非常用発電機の試運転で回転速度を変えながら電圧を確認する場面や、原動機側の回転数が変動したときに出力電圧がどう動くかを見当づける場面で使う関係式だ。

例題

回転速度1200min⁻¹のときの起電力が160Vの直流他励発電機を、界磁電流を一定に保ったまま回転速度900min⁻¹で運転したときの起電力を求める。

E2=E1×N2N1=160×9001200=120 VE_2 = E_1\times\frac{N_2}{N_1} = 160\times\frac{900}{1200} = 120\ \text{V}
「界磁電流を一定に保ったまま」という条件文を見たら、E=kφNのうち磁束φが一定になるため、起電力は回転速度だけに正比例すると単純化できる。回転速度の比を逆に使ってしまう(N1/N2で計算してしまう)取り違えに注意しておく。

変圧器の並行運転 — 結線の組み合わせにも条件がある

これまでの並行運転条件(定格電圧・巻数比・極性・%インピーダンスの一致)は、同じ結線方式どうしを前提にした話だった。実際には、結線方式そのものの組み合わせにも並行運転できる・できないの区別がある。

三相変圧器の結線(Δ結線・Y結線)は、1次側と2次側の電圧の位相関係(角変位)を決める。Δ-Δ結線やY-Y結線は角変位0°、Δ-Y結線は角変位30°になる。並行運転できるのは、角変位が一致する結線どうしの組み合わせだけだ。

  • 並行運転できる組み合わせ:Δ-Δ結線とΔ-Δ結線、Y-Y結線とY-Y結線、Δ-Δ結線とY-Y結線(いずれも角変位0°どうし)
  • 並行運転できない組み合わせ:Δ-Δ結線とΔ-Y結線、Y-Y結線とΔ-Y結線(角変位が0°と30°でずれる)

角変位が異なる変圧器を無理に並行運転させると、2次側の電圧に位相差が生じ、その差分が大きな循環電流となって巻線を焼損させるおそれがある。

「定格電圧・巻数比・極性・%インピーダンスが一致していれば並行運転できる」という4条件は、角変位が一致している結線どうしが前提になっている。Δ-Δ結線とΔ-Y結線のように角変位そのものが異なる組み合わせは、この4条件を満たしていても並行運転できない、と結線の組み合わせを先に確認する癖をつけておく。

変圧器の冷却方式 — 油と空気、それぞれどう循環させるか

油入変圧器の冷却方式は、絶縁油と冷却器表面の空気それぞれを「自然対流に任せるか」「ポンプ・送風機で強制的に循環させるか」の組み合わせで、次の4種類に分かれる。

  • 油入自冷式:絶縁油・空気ともに自然対流だけで冷却する、最も基本的な方式。構造が簡素で保守しやすい。
  • 油入風冷式:油入自冷式に送風機を追加し、冷却器表面の空気だけを強制冷却する方式。
  • 送油自冷式:送油ポンプで絶縁油を冷却器へ強制的に循環させる一方、空気側は自然対流に任せる方式。
  • 送油風冷式:送油ポンプによる絶縁油の強制循環と、送風機による空気の強制冷却を組み合わせた方式。冷却能力が最も高く、大容量の変圧器で採用されやすい。
「油入」は絶縁油側が自然対流、「送油」はポンプで絶縁油を強制的に循環させる方式だと、接頭語の違いから区別する。後ろに付く「自冷」は空気側が自然対流、「風冷」は空気側に送風機を追加した方式で、油側・空気側それぞれの冷却方法をセットで確認しておくと、4つの名称を取り違えにくい。

この資格を取ったあと、現場で何が変わるか

合格した次の現場では、キュービクルや動力盤の検収に、あなた自身が立ち会う側に回る。搬入されたモールド変圧器の銘板を見て「この容量なら鉄損と銅損のバランスはこの負荷率で合っているか」を電気工事士の説明を聞きながら自分で検算し、始動盤に取り付けられたブレーカーの容量を見て「この誘導電動機の始動電流に対して余裕があるか」をその場で判断する。今まで「言われた通りに施工する」側だった人が、「その施工が妥当かどうかを判断し、サインする」側に回る。

これは責任の重さがまるで違う。据え付けたモールド変圧器が実は地下街の防火要求に合っていなかった、非常用発電機のプレートの回転数を50Hz地域用と60Hz地域用で取り違えていた——こうした見落としは、検収印を押した施工管理者の判断ミスとして跡に残る。電気工事士が結線という「点」の正確さに責任を持つのに対し、施工管理者はその機器選定・据付計画という「線」全体の妥当性に責任を持つ立場になる。

電材商社との関係も変わる。「この容量の変圧器はありますか」という単純な発注ではなく、「この設置場所なら油入とモールドのどちらが適切か」「この負荷率で本当に効率が出るか」という、機器選定の理由まで問われる相手として見られるようになる。取引先の技術者から、単なる注文の受け手ではなく、選定根拠を一緒に詰められる相手として扱われるかどうかは、ここで説明した基礎知識をその場で使いこなせるかにかかっている。

冒頭の、燃えやすい変圧器と燃えにくい変圧器の違い、モーター始動時に電流計が跳ね上がる理由、発電機のプレートの回転数の意味——それぞれの答え合わせは、理解度チェックの問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 変圧器の効率を求める式で、負荷が変わっても鉄損は一定という前提を忘れ、鉄損も負荷に比例して変化すると考えてしまう

    なぜ引っかかる銅損(負荷損)は負荷電流の2乗に比例して変化するが、鉄損(無負荷損)は電圧が一定なら負荷の大小によらずほぼ一定という性質を混同しやすい

    見破り方「無負荷損」という名前の通り、鉄損は負荷をかけていない状態でも発生する損失だと意識する。負荷率によって変わるのは銅損側だけだと切り分ける

  2. 誘導電動機のすべりがゼロ(回転子が同期速度と同じ速さで回っている)状態を、正常運転の理想形だと錯覚する

    なぜ引っかかるすべりがなければ回転子と回転磁界の相対速度がゼロになり、回転子に電流も誘導されずトルクが発生しなくなる。「すべりが小さいほど良い」というイメージから、ゼロが理想だと誤解しやすい

    見破り方誘導電動機は名前の通り「誘導」によってトルクを生む。誘導には回転子側との速度差(すべり)が必須で、無負荷に近いごく小さいすべりはあっても、完全なゼロにはならないと押さえておく

  3. 誘導電動機と同期発電機の回転速度の関係を混同し、どちらも「同期速度よりわずかに遅く回る」と覚えてしまう

    なぜ引っかかる同じNs=120f/pの式を使う機器なので、両者の回転子の挙動まで同じだと思い込みやすい。しかし誘導電動機は負荷に応じてすべりが生じ同期速度よりわずかに遅く回るのに対し、同期発電機(同期電動機も同様)は名前の通り常に同期速度そのもので回る

    見破り方「誘導」機は速度差(すべり)があって初めて動作する機器、「同期」機は同期速度そのもので動作する機器、と機器の名前から回転の仕方を思い出す

  4. 変圧器を並行運転させたとき、負荷は単純に2台へ均等に(半分ずつ)分かれると思い込む

    なぜ引っかかる『2台まとめて運転している』という状態から、直感的に負荷も五分五分に分かれると誤解しやすい。実際には、それぞれの変圧器の定格容量や%インピーダンスが異なれば、負荷分担も均等にはならない

    見破り方%インピーダンスが等しい前提であれば、負荷は定格容量の比で分担されると覚えておく。容量の異なる変圧器を並行運転させる設問では、まず『%インピーダンスが等しいか』『容量比はいくらか』を確認する

  5. 理想変圧器の電流比を、電圧比と同じ向き(N1/N2)で計算してしまう

    なぜ引っかかる『比率』という言葉の響きから、電圧比と電流比が同じ向きの比になると思い込みやすいが、実際には電流比は電圧比の逆数になる(電圧が高い側は電流が小さい側)

    見破り方入力と出力の電力が等しい(I1V1=I2V2、損失を無視する理想変圧器の場合)という関係を先に思い出す。電圧比V1/V2=N1/N2を求めたら、電流比はその逆数I1/I2=N2/N1になると検算する

  6. リチウムイオン電池の『小型・軽量化』を、他の二次電池と比べて『困難』な特性だと逆に覚えてしまう

    なぜ引っかかるリチウムイオン電池は取り扱いに注意が必要(発火リスク等)という印象が強く、そこから『扱いにくい=あらゆる特性で不利』と連想し、実際には長所である小型・軽量化のしやすさまで短所だと誤解しやすい

    見破り方リチウムイオン電池がスマートフォンやノートPC、EVに広く使われている理由を思い出す。携帯機器に使われているのは、鉛蓄電池等より小型・軽量にしやすいという長所があるからで、小型・軽量化が『困難』なら携帯機器には使われない、と逆算して確認する

  7. 据置鉛蓄電池の自己放電と温度の関係を、『温度が高いほど活発になるので自己放電は小さい』のように直感で逆に覚える

    なぜ引っかかる『高温=活発』という一般的なイメージから、化学反応が活発になること自体は正しいが、それがそのまま『電池の性能維持に有利』だと連想してしまい、実際には高温ほど自己放電(充電していないのに自然に容量が減っていく現象)が大きくなるという逆の結果を見落とす

    見破り方電池は総じて高温に弱く、寿命が縮む・自己放電が増えるという方向で覚えておく。『高温=何かが早く進む』という方向性は合っているが、それが電池にとって望ましくない方向(自己放電の増加)に働くことを押さえる

  8. 単相誘導電動機の始動方式に『インバータ始動形』という分類があると思い込む

    なぜ引っかかる三相誘導電動機ではインバータによる速度制御が広く使われているため、単相誘導電動機でも『インバータ始動』という始動方式が存在すると連想しやすいが、単相誘導電動機の始動方式の分類にインバータ始動形という名称は存在しない

    見破り方単相誘導電動機の代表的な始動方式は、コンデンサ始動形・分相始動形・反発始動形・くま取りコイル形の4つだと覚えておく。インバータは『速度を変える装置』であって『始動のための補助巻線に代わる方式』ではない、と役割の違いで区別する

  9. 三相誘導電動機の始動法の設問に、単相誘導電動機の始動法である『分相始動法』が選択肢として混ざっているのを見落とす

    なぜ引っかかる分相始動形は単相誘導電動機の代表的な始動方式の1つとして紹介されるため、三相誘導電動機の文脈でも同じ名前が出てくると、深く考えずに『始動法の1種だから正しい』と判断してしまいやすい

    見破り方三相誘導電動機は3本の巻線に三相交流を流すだけで自然に回転磁界が生じ、単相誘導電動機のように補助巻線で回転磁界をつくり出す必要がない。分相始動形・コンデンサ始動形・反発始動形・くま取りコイル形は、いずれも単相誘導電動機が自力で回転磁界をつくれないことを補うための方式であり、三相誘導電動機の始動法(全電圧始動・スターデルタ始動・リアクトル始動・二次抵抗始動)とは別の分類だと区別する

  10. V結線の出力を、単純に変圧器2台の定格容量の合計と同じだと思い込む

    なぜ引っかかる『2台使っているのだから、出力も2台分そのまま』という直感的な足し算をしてしまいやすいが、V結線は3相分の電圧・電流をΔ結線のように対称よく作れない構成のため、2台の定格容量をそのまま活かしきれない

    見破り方V結線の出力は、2台の定格容量の合計の√3/2倍(約86.6%)にとどまると覚えておく。さらにΔ結線3台のうち1台が故障してV結線に切り替えた場合は、故障前の出力の1/√3倍(約57.7%)まで低下するという、性質の異なる2つの比率(86.6%と57.7%)を混同しないよう注意する

  11. ヒステリシス曲線の面積(ヒステリシス損)が大きい磁性体を、変圧器の鉄心に適した材料だと誤解する

    なぜ引っかかる『磁力が強そう』という漠然としたイメージから、ヒステリシス特性の善し悪しを磁石としての強さと同じ基準で判断してしまいやすいが、交流で繰り返し磁化される鉄心にとっては、ループの面積が大きいほど1サイクルごとの損失(発熱)が増えてしまう

    見破り方『交流で繰り返し使う部品(変圧器・電動機の鉄心)にはヒステリシス損が小さい軟磁性材料』『磁化を保持し続けたい部品(永久磁石)には保磁力・残留磁気が大きい硬磁性材料』と、用途によって求められる特性が逆になる点をセットで覚える

  12. 同期発電機の並行運転条件を、変圧器の並行運転条件(定格容量・%インピーダンスの一致)と混同し、『定格容量が等しいこと』を条件に含めてしまう

    なぜ引っかかる同じ『並行運転』という言葉のため、変圧器で学んだ条件(定格電圧・巻数比・極性・%インピーダンスの一致)をそのまま同期発電機にも当てはめてしまいやすいが、両者は仕組みが異なる別の機器であり、条件の中身も一致しない

    見破り方同期発電機の並行運転条件は『起電力の大きさ・周波数・位相・波形・相回転方向』の5つ(語呂合わせ『きしゅいはそう』)で覚え、容量そのものの一致は条件に含まれないと区別する。異なる容量の発電機どうしでも、この5条件さえ満たせば並行運転できる

  13. 変圧器の鉄心の磁束密度を高くすることを、騒音対策として『有効』だと逆に覚えてしまう

    なぜ引っかかる鉄損を減らす対策(高配向性けい素鋼板の使用など)と、磁束密度そのものを操作する対策を同じ『鉄心側の対策』として一括りにしてしまい、磁束密度を下げることが騒音低減になる、という向きを取り違えやすい

    見破り方磁束密度が高いほど、けい素鋼板の磁気ひずみによる振動(励磁騒音)は大きくなると覚えておく。騒音対策として有効なのは、磁気ひずみの小さい高配向性けい素鋼板を使うことと、鉄心の磁束密度を『下げる』ことの2つで、『上げる』ことではない

  14. 分巻発電機を、『界磁巻線が電機子と別回路になっているから他励式』のように誤解し、他励発電機に分類してしまう

    なぜ引っかかる他励式は『外部の別電源から界磁電流をもらう』方式、自励式は『発電機自身の起電力を使って界磁電流を作る』方式という違いだが、分巻発電機の界磁巻線は電機子巻線と並列に接続されているだけで、電源はあくまで発電機自身の端子電圧。回路が電機子と別に描かれることから、外部電源を使う他励式と混同しやすい

    見破り方『界磁電流の元になる電源は、発電機の外か中か』で判定する。直巻・分巻・複巻はいずれも自分自身の起電力を使う自励式の仲間で、他励式は文字通り外部の別電源(バッテリーや別の発電機)を使う方式だけだと区別する

  15. 変圧器油の粘度は、『粘り気があるほうが油膜が安定して絶縁に有利』のように考え、粘度が高いことを良い特性だと誤解する

    なぜ引っかかる潤滑油などでは粘度が高いほうが油膜を保ちやすく望ましいとされる場面もあるため、変圧器油でも同じ発想で『粘度は高いほうがよい』と誤って一般化しやすい

    見破り方変圧器油の役割は絶縁だけでなく、巻線・鉄心で発生した熱を対流によって運び去る冷却でもある。粘度が高い(ドロドロしている)と油が循環しにくくなり冷却効果が下がるため、変圧器油では粘度は低いことが求められる、と『冷却のための対流のしやすさ』から向きを判断する

  16. アーク加熱を、電子ビームの照射による熱を利用する方式だと誤解する

    なぜ引っかかるアーク加熱・誘電加熱・誘導加熱はどれも『放電や電磁気を使う特殊な加熱方式』という漠然とした共通イメージがあり、それぞれの発熱源(アーク放電、誘電体損、渦電流)を取り違えやすい。特に電子ビーム加熱という別方式が実在するため、アーク加熱と混同しやすい

    見破り方『アーク』という名前から、電極間に生じる放電(アーク)そのものの熱を利用する方式だと直接思い出す。電子ビームを使うのは電子ビーム加熱という別の方式であり、アーク加熱とは発熱源が異なると区別する

  17. Δ結線を含む変圧器の結線方式で、第3調波電流が外部の通信線に障害を与えると誤解する

    なぜ引っかかる『第3調波電流による通信線障害』という現象自体は変圧器の結線方式の話でよく登場するため、Δ結線・Y-Y結線のどちらの話でもこの障害が起きると一括りに考えてしまいやすい

    見破り方Δ結線は3つの巻線がひとつながりの閉回路になっているため、各巻線の第3調波電流はこの閉回路内をぐるぐる回るだけで外部には出ていかない、とイメージする。第3調波が外部に出て通信線障害を起こしやすいのは、この環流経路を持たないY-Y結線の方だと区別する

  18. 他励発電機の起電力を求めるとき、界磁電流が一定という条件を見落とし、回転速度の変化を計算に反映し忘れる

    なぜ引っかかる他励発電機の起電力E=kφNは磁束φと回転速度Nの両方に比例する式だが、『界磁電流一定』という条件文の意味(=磁束φが一定になる)に気づかないと、回転速度だけが変化する単純な比例計算だと判断できず、計算そのものを省いてしまうことがある

    見破り方『界磁電流を一定に保ったまま』という条件を見たら、E=kφNのうちφが一定になるため、Eは回転速度Nだけに正比例すると単純化できる、とまず確認してから比の計算に入る

  19. 変圧器の並行運転可否を、定格電圧・巻数比・極性・%インピーダンスの一致という4条件だけで判断し、結線方式の組み合わせによる角変位のずれを見落とす

    なぜ引っかかる同じ結線どうし(Δ-Δ&Δ-Δ、Y-Y&Y-Y)の並行運転条件を学ぶと、結線の種類が違っても、この4条件さえ満たせば並行運転できると一般化してしまいやすい

    見破り方Δ-Δ結線とΔ-Y結線のように、結線の組み合わせ自体で2次側電圧の位相(角変位)が0°と30°でずれてしまう場合、定格電圧や%インピーダンスが一致していても大きな循環電流が流れる。角変位が一致する組み合わせ(Δ-Δ&Y-Y、Y-Y&Y-Yなど)かどうかを、4条件の確認より前にまず押さえる

  20. 変圧器の冷却方式の名称にある『送油』と『油入』の違いを、単なる呼び方の違いだと思い込み、冷却の仕組み(自然対流かポンプによる強制循環か)を区別しない

    なぜ引っかかる『送油』も『油入』もどちらも絶縁油を使う冷却方式という共通点があるため、名前の違いに気づかず同じ自然対流方式だと一括りにしてしまいやすい

    見破り方『油入』は絶縁油の自然対流(自冷)、『送油』はポンプで絶縁油を強制的に循環させる方式、と接頭語の違いから区別する。後ろに付く『自冷』は空気側が自然対流、『風冷』は空気側に送風機を追加した方式だと、油側・空気側それぞれの冷却方法をセットで確認する

  21. PCSの単独運転検出機能を、太陽光発電設備そのものの故障を防ぐための機能だと思い込む

    なぜ引っかかる『保護機能』という言葉から、太陽電池パネルやPCS自体を守る機能だと連想しやすいが、単独運転検出の本来の目的は系統側の安全確保にある

    見破り方単独運転検出は『系統が停電しているのに、太陽光発電設備側だけが発電を続けて電気を送り続けてしまう状態』を検出し、系統から切り離す機能だと押さえる。これを怠ると、停電作業中の電力会社の作業員が本来無電圧のはずの電線に感電する重大事故につながるため、設備保護ではなく人身安全のための機能だと理解する

参考文献・出典

理解度チェック(30問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、30問で確認しよう。 内訳は基本8問・応用8問・ひっかけ14問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 30 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 変圧器は鉄心と巻線による電磁誘導で電圧を変換する。無負荷損(鉄損、電圧の2乗に比例)と負荷損(銅損、電流の2乗に比例)があり、鉄損=銅損のとき効率が最大になる
  2. 油入変圧器は絶縁油で冷却・絶縁し過負荷耐量が高いが、火災リスクと保守コストが大きい。モールド変圧器は樹脂でモールドして不燃性が高く保守が容易だが、初期コストと騒音は大きくなりやすい
  3. 誘導電動機は固定子が作る回転磁界より回転子がわずかに遅れて回ることでトルクを生む(すべりs=(ns-n)/ns)。すべりがゼロになるとトルクも消える
  4. 同期速度Ns=120f/p〔min⁻¹〕は誘導電動機・同期発電機のどちらでも使う基本式。周波数fと極数pだけで決まり、負荷の大きさには左右されない
  5. 同期発電機は回転子の界磁巻線に直流を流して磁界を作り、固定子の電機子巻線に交流を誘導する回転界磁形が主流。誘導電動機とは違い、回転子は同期速度そのもので回る
  6. 変圧器を並行運転するには、1次・2次の定格電圧と巻数比が等しいこと、極性が一致していること、%インピーダンス(基準容量をそろえたときの値)が等しいことなどの条件がそろっている必要がある
  7. 並行運転の条件を満たした変圧器どうしが負荷を分担する割合は、%インピーダンスに反比例する。%インピーダンスが等しい場合は、定格容量の比のとおりに負荷を分担する
  8. 理想変圧器では、1次・2次の電圧比が巻数比に等しく(V1/V2=N1/N2)、電流比は電圧比の逆数になる(I1/I2=N2/N1、つまりI1V1=I2V2で入出力の電力が等しい)。2次側の電流・消費電力から先に2次側電圧を求め、そのあと巻数比(=電流比I2/I1)を使って1次側電圧を逆算する、という2段階の計算になる
  9. リチウムイオン二次電池は、鉛蓄電池など他の二次電池と比べて小型・軽量化しやすく、急速充電にも対応できる。一方で内部圧力の上昇による膨張・破裂・発火のリスクがあり、繰り返し充放電できる回数(サイクル寿命)は比較的多い
  10. 据置鉛蓄電池は、放電すると電解液の濃度(比重)が下がる。制御弁式は補水が不要で、触媒栓は充電時に発生するガスを水に戻す機能を持つ。自己放電は温度が高いほど大きくなる(低いほど小さくなる)。充電時にガスが発生するのは、充電がほぼ完了したあとも充電を続けると電解液中の水が電気分解され、陰極から水素ガス、陽極から酸素ガスが発生するため。放電時は極板と電解液の間の酸化還元反応(硫酸鉛の生成)が主体で、水の電気分解という反応が生じないため、ガスは発生しない
  11. 単相誘導電動機は、単相交流を印加しただけでは回転磁界が生じず自力で始動できないため、始動用の補助巻線やコンデンサ等を追加した始動方式が使われる。代表例はコンデンサ始動形・分相始動形・反発始動形・くま取りコイル形の4つで、『インバータ始動形』という始動方式の分類は存在しない(インバータはかご形誘導電動機の速度制御に使う装置で、始動方式の名称ではない)
  12. 三相誘導電動機は三相交流を流すだけで自然に回転磁界が生じるため、単相機のような補助巻線は不要。始動法には全電圧始動(始動電流が定格の5〜8倍程度になる)、スターデルタ始動(始動時だけY結線にして始動電流・始動トルクとも全電圧始動の1/3に抑える)、リアクトル始動(直列リアクトルで印加電圧を1/nに下げ、始動電流を1/n、始動トルクを1/n²に抑える)があり、分相始動法は単相誘導電動機の始動法であって三相誘導電動機の始動法には含まれない
  13. 同一定格の単相変圧器2台をV結線(V-V結線)して三相変圧器として使う場合、線間電圧と変圧器の巻線電圧が等しくなる(Δ結線と同じ)。V結線の出力(利用率)は、変圧器2台の定格容量の合計の√3/2倍(約86.6%)にとどまり、2台の定格容量の合計とは等しくならない。またΔ結線3台のうち1台が故障したときは、残り2台をV結線に組み替えることで運転を継続できる(この場合の出力は故障前の1/√3倍、約57.7%に低下する)
  14. ヒステリシス曲線(B-Hループ)の形状は磁性体の種類によって異なる。保磁力が小さく、ループの面積(=ヒステリシス損)が小さい磁性体は軟磁性材料と呼ばれ、変圧器や電動機の鉄心のように交流で繰り返し磁化される用途に適する。保磁力が大きく、外部磁界を取り除いても磁化(残留磁気)が残りやすい磁性体は硬磁性材料と呼ばれ、永久磁石に適する。曲線の読み取り方としては、曲線が横軸(H軸)と交わる点の値が保磁力、縦軸(B軸)と交わる点の値が残留磁気(残留磁束密度)を表し、曲線が囲む面積(ヒステリシス損)が大きいループの磁性体ほど、1サイクルごとの発熱が大きく交流での繰り返し使用には不向きになる
  15. 直流発電機は、界磁巻線に流す界磁電流をどこから得るかで他励式(外部の別電源から界磁電流を供給)と自励式(発電機自身の起電力を使って界磁電流を作る)に分かれる。自励式はさらに電機子巻線と界磁巻線の接続方法で、直列に接続する直巻発電機、並列に接続する分巻発電機、両方を組み合わせる複巻発電機に分かれる。直巻・分巻・複巻はいずれも自励式で、他励式ではない。直巻発電機は界磁巻線と電機子巻線が直列につながっているため、界磁巻線に流れる電流と電機子巻線に流れる電流(=負荷電流)は常に同じ値になる(直列接続=界磁電流と電機子電流が等しい、という帰結)
  16. 自励式の直流発電機が界磁電流ゼロの状態からでも電圧を立ち上げられるのは、磁極にわずかに残る残留磁気による残留電圧があるため。この残留電圧が呼び水となってわずかな界磁電流を流し、それが磁束を増やしてさらに起電力を高めるという正のフィードバックで電圧が確立していく
  17. 油入変圧器に用いる変圧器油(絶縁油)に要求される特性は、絶縁耐力が大きいこと・冷却作用が大きいこと・粘度が低いこと・引火点が高いことの4つ。粘度は『低い』ほど油の対流(循環)による冷却効果が高まるため望ましく、『粘度が高いこと』を求められる特性に含めるのは誤り
  18. 電気加熱には、抵抗加熱(通電時に発生するジュール熱を利用)、誘電加熱(交番電界中で絶縁性の被加熱物内部に生じる誘電体損による発熱を利用)、アーク加熱(電極間または電極と被加熱物の間に生じるアーク放電の熱を利用)、赤外線加熱(赤外線電球などの発熱体からの放射熱を利用)、誘導加熱(交番磁界中の被加熱物に電磁誘導で生じる渦電流のジュール熱を利用)など複数の方式があり、それぞれ熱を生み出す原理が異なる。アーク加熱は電子ビームの照射ではなくアーク放電の熱を利用する方式である点に注意
  19. 同期発電機の並行運転条件は、変圧器の並行運転条件(定格電圧・巻数比・極性・%インピーダンスの一致)とは別物。同期発電機では、起電力の大きさ・位相・周波数・波形(正弦波)・相回転方向の5つが一致している必要があり、変圧器のような『定格容量が等しいこと』は条件に含まれない
  20. 変圧器の騒音には、巻線間に働く電磁力による振動が原因の通電騒音(負荷電流に依存)と、鉄心がけい素鋼板の磁気ひずみで振動する励磁騒音(磁束密度に依存)の2種類がある。励磁騒音を抑えるには、磁気ひずみの小さい高配向性けい素鋼板を使う、または鉄心の磁束密度を低くするのが有効で、逆に磁束密度を高くすると励磁騒音は悪化する
  21. 変圧器の三相結線でΔ結線を含む構成(Δ-Δ結線など)は、励磁電流に含まれる第3調波成分がΔ結線の閉回路内を環流し、外部の送電線・通信線には流出しない。これに対しY-Y結線(スター-スター結線)は、この環流経路を持たないため第3調波電流・電圧が外部に現れやすく、近くの通信線に誘導障害を与える原因になりうる。実務でY-Y結線を使う場合は、三次巻線にΔ結線を追加したY-Y-Δ結線として、この問題を回避することが多い
  22. 直流機の誘導起電力Eは、磁束φと回転速度N(回転数)に比例する(E=k×φ×N)。他励発電機は界磁電流を外部電源から一定に供給するため、界磁電流を一定に保ったまま回転速度を変化させると、磁束φは変わらず、起電力Eは回転速度Nに正比例して変化する
  23. 三相変圧器を並行運転できるかどうかは、各変圧器の結線に含まれるΔとYの数の偶奇(角変位)が一致しているかで決まる。Δ-Δ結線どうし、Y-Y結線どうし、Δ-Δ結線とY-Y結線の組み合わせは角変位(0°)が一致し並行運転できるが、Δ-Δ結線とΔ-Y結線のように角変位が0°と30°でずれる組み合わせは、大きな循環電流が流れ巻線焼損のおそれがあり並行運転できない
  24. 油入変圧器の冷却方式には、絶縁油・冷却器表面の空気ともに自然対流で冷やす油入自冷式(ONAN)、これに送風機を追加した油入風冷式(ONAF)、送油ポンプで絶縁油を強制的に冷却器へ循環させる送油自冷式(OFAN)、送油ポンプと送風機の両方を使う送油風冷式(OFAF)の4種類がある。大容量の変圧器ほど、送油・送風による強制冷却方式が使われる傾向がある
  25. パワーコンディショナ(PCS)の基本機能は、太陽電池・蓄電池の直流電力を交流に変換するインバータ機能(あわせてMPPT制御で発電量を最大化する)と、系統側の停電・電圧異常時にPCSを系統から切り離す系統連系保護機能の2つ。特に単独運転検出は、停電作業中の電力会社の作業員の感電事故を防ぐために系統連系する太陽光発電設備に必須の保護機能
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