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安川電機完全ガイド|インバータGA700・サーボΣ-7・産業用ロボットMOTOMANの三本柱を選ぶ

読了目安: 8分 編集: 電材サーチ編集部(編集・出典ポリシー

「A1000の後継はGA700です」——販売店からそう言われて、型番を書き換えただけで発注し直したことはないだろうか。フレームサイズは近いし、パラメータも大方は互換らしい。そう聞けば安心してしまう。ところが現地で結線を終え、上位機器との通信を確認する段になって手が止まる。既設側はRS422/485を4線式で組んであるのに、GA700の端子台には2線式の口しか見当たらない。安川電機に問い合わせて初めて、通信端子の仕様が世代をまたいで変わっていたことを知る——「後継機種だから丸ごと同じ」という思い込みが、現場では一番危ういミスにつながる。

安川電機とは——モータ制御一本で育った専業メーカー

安川電機は、インバータ・サーボドライブ・産業用ロボットを三本柱に据える、北九州発の電気機器メーカーだ。1915年の創業から間もない頃、事業をモータとその制御装置に絞り込む決断をしている。何を手放して何に賭けるかを早い段階で決めた会社、と言い換えてもいい。以来「モータをどう精密に回すか」を追いかけてきた技術が、汎用インバータにも、位置決め用のサーボドライブにも、1977年に国内初の全電気式産業用ロボットとして世に送り出したMOTOMANにも流れ込んでいる。

ちなみに「メカトロニクス」という言葉も、この会社の技術者・森徹郎氏が1969年に考えた造語だ。商標登録までしながら、普及を優先して自ら手放している。今では業界の垣根を越えた一般用語として定着しているのだから、狙いは十分に果たされたと言っていいだろう。

製品体系——初心者向けの見取り図

カテゴリシリーズざっくり言うと
汎用インバータ(現行)GA700/GA500モータの回転数を変える。GA700は標準〜大容量、GA500は小型汎用
汎用インバータ(旧世代)A1000/V1000既設設備で今も稼働中。新規選定はGA700/GA500が基本
サーボドライブΣ-7(アンプSGD7S+モータSGM7)位置決め・精密動作用。エンコーダで実位置をフィードバック
産業用ロボットMOTOMAN+コントローラYRC1000溶接・搬送・組立等の多関節ロボット
マシンコントローラMPシリーズサーボ制御とPLC機能を統合した専用機向けの頭脳

汎用インバータの入り口——GA700・GA500と、まだ現役のA1000・V1000

回転数を変えるだけならインバータで足りる、という切り分け自体は他社と変わらない。ただし安川電機の場合、現行機種と旧世代機が現場に混在している点に注意がいる。GA700はA1000の、GA500はV1000の後継として、寸法や設定の親和性を保ちながら設計されている。

サーボドライブの入り口——Σ-7は何が違うのか

Σ-7は、速度応答周波数3.1kHzという当時業界最高水準の応答性能と、24bit高分解能エンコーダを組み合わせたシリーズだ。オートチューニングでノッチフィルタや振動抑制機能まで自動調整できるため、調整レスでの安定性は先代Σ-Vの約2倍とされる。半導体製造装置や電子部品実装機のように、速く動いて瞬時にぴたりと止まる動作を求められる現場ほど、この応答性能の差が効いてくる。

産業用ロボットの入り口——MOTOMANとYRC1000

MOTOMANは可搬重量3kgから500kgまで揃う多関節ロボットのブランドで、専用コントローラYRC1000と組み合わせて初めて動く。YRC1000は世界最小クラス(容積125L)のコンパクトさに加え、モータ減速時のエネルギーを回生する機能を標準搭載しており、ロボットの消費電力を約3割削減できるとされる。ロボット本体の可搬重量・リーチだけでなく、コントローラの世代も導入時に確認しておきたい点だ。

選び方

三本柱のどれを選ぶかは、実のところそれほど迷わない。求める動作が「だいたいこの回転数で回ればいい」ならインバータ、「この位置にミクロン単位で止めたい」ならサーボ、「複数軸を協調させて溶接・搬送・組立まで自動化したい」ならロボット——要求精度の高さでほぼ一直線に並ぶ。

迷うとすればインバータの中の世代選びだ。新規設備ならGA700・GA500を選んでおけば間違いない。問題は既設設備の更新で、A1000・V1000がまだ現役で動いている盤は全国に相当数あるはずだ。壊れてから探すのではなく、後継機種の対応表を事前に確認しておくと更新工事の手戻りを避けられる。

比較——三菱電機・富士電機との違い

では、同じ「制御機器メーカー」として名前が挙がる三菱電機・富士電機と、安川電機は何が違うのだろうか。

三菱電機は、PLC「MELSEC」を頭脳に据えた総合FAメーカーだ。PLC・インバータ・表示器・サーボ・遮断器まで、盤に必要な機器がひととおり揃う。富士電機は逆に、配線用遮断器や電磁接触器といった主回路機器に強みを持ち、インバータやUPSはそこに連なるラインという位置づけになる。

安川電機には、この2社が主力に据えるPLCや遮断器のラインがない。祖業がモータとその制御装置である以上、当然といえば当然だが、その代わりにインバータ・サーボ・ロボットという「モータをどう動かすか」の技術を、回転→位置決め→多軸協調という精度の階段としてひとつながりで持っている会社は、この3社の中でも安川電機だけだ。制御盤の頭脳は三菱、主回路は富士、モータの駆動そのものは安川——現場でそう棲み分けられているのは、各社の生い立ちがそのまま製品ラインに表れた結果でもある。

どこでどう使われているか

現場使う製品ポイント
ポンプ・ファン・コンベヤGA700/GA500回転数制御での省エネ
半導体製造装置・電子部品実装機Σ-7サーボ高速・高精度な位置決め
自動車部品溶接・パレタイジングMOTOMAN+YRC1000多軸協調の自動化ライン
専用機の多軸同期制御MPシリーズサーボ制御とPLC機能を統合

注意点

A1000・V1000は生産終了ではないが、後継としてGA700・GA500がある以上、新規に選ぶ理由は薄い。悩ましいのは、すでに盤の中で動いている旧世代機の扱いだ。故障時にそのまま同型を手配できればよいが、在庫切れで後継機への切り替えを迫られる場合は、通信端子の線数やパラメータ番号の対応関係まで確認しておかないと、冒頭の話のようにつまずく。

サーボドライブも似た注意が要る。アンプ(SGD7S等)とモータ(SGM7等)を組み合わせて初めて動く製品のため、容量・エンコーダの世代が合っていないと接続できない。型番を1つだけ指定して発注すると対になる相手側で手戻りが起きやすいので、既設設備の更新ではアンプ・モータ両方の銘板を確認してから見積もりに進みたい。

まとめ

インバータ・サーボ・ロボットという三本柱を、モータ制御という一本の技術軸で貫いているのが安川電機だ。回転数を変えたいだけならインバータ、精密に位置を決めたいならサーボ、複数軸を協調させたいならロボット——求める精度で選ぶ基準はシンプルだが、現場に残る旧世代機の扱いだけは、丸ごと同じと決めつけずに一つずつ確認したほうがいい。

どう注文するか——失敗しない発注のしかた

例: 「GA700 三相200V 3.7kW を1台」
    「SGD7S-2R8A00A+SGMJV-04ADA21 のセットで1台」
    「(銘板写真から)このA1000インバータの後継・GA700への置き換えを相談したい」
  • インバータは「電源(単相/三相・電圧)+容量(kW)」が最低限の2点
  • サーボはアンプとモータの型番を両方明記してください(片方だけでは組めません)
  • 旧世代(A1000・V1000)からの更新は、通信端子・パラメータの読み替えまで含めて後継照合からご相談ください
  • 型番がわかれば型番検索から見積リストへ追加できます

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参考文献・出典

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