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配線図 ・ 1 / 13

単線結線図とは何か — 1本の線でなぜ三相が表せるのか

読み終えると、こうなる

単線結線図の1本の線を見て、そこにまとめられた本数や情報を読み解けるようになる。

  • 単線結線図の線に入った斜線や数字を見て、まとめられている導体の本数を読み取れる
  • 平面図と単線結線図を、位置を描く図か、機能と順序を描く図かで仕分けられる
  • 初めて見る単線結線図でも、上流から下流へという順で辿り始められる
考えてみよう

高圧受電設備の単線結線図を初めて見ると、誰もが同じところで戸惑う。受電点から変圧器まで、電気の通り道がたった1本の線で描かれているのだ。

高圧回路は三相3線式、つまり本来は3本の電線が並んで走っているはずだ。それなのに図には1本の線しかない。省略しすぎて、情報が欠けた手抜きの図なのだろうか。それとも、この1本の線には何か仕掛けがあるのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、なぜ1本の線で三相3線式だと言い切れるのか、その根拠を説明できるようになっている。

第二種電気工事士の配線図問題は、住宅や小規模店舗の平面図が中心だった。部屋のどこに照明があり、どこにコンセントがあり、それらを何本のケーブルでつなぐかを、複線図に描き起こして読み解く問題だ。

第一種電気工事士の配線図問題では、これに加えてまったく別の種類の図が主役になる。単線結線図——高圧で受電した電気が、変圧器や遮断器、保護継電器といった機器をどの順に通って低圧側まで届くかを、1本の線と図記号だけで表した系統図だ。

平面図と単線結線図は、そもそも目的が違う図

平面図・複線図は「施工のための図」だ。どの部屋の、どの壁の、どの高さにスイッチを付け、そこから照明まで何本の電線をどう配線するかという位置の情報が主役になる。

単線結線図は「機能と順序のための図」だ。位置の情報をあえて捨てる代わりに、電気が上流からどの機器をどの順に通るか、どの継電器がどの遮断器を動かすかというつながりの意味を読み取れるように描かれている。同じ「配線図」という科目名でも、読み方の視点がまるで違う。

なぜ1本の線で三相3線式だと言えるのか

ここで冒頭の疑問に戻る。高圧回路は三相3線式なので、本来なら3本の電線が並んでいる。単線結線図はその3本を、省略しているのではなくまとめて描いている。

JIS C 0617-3には、1本にまとめた線が実は複数の導体であることを示す、はっきりした約束がある。線を横切る短い斜線を本数分(3本なら3本)付けるか、斜線1本に数字(3)を添えて示す、という2通りの表記だ。相数・中性線・周波数・電圧をまとめて「3N〜50Hz 400V」のように傍記する例も規格票に載っている。

3本の電線を1本にまとめる約束(JIS C 0617-3) 実際の電線は3本(R・S・T) R S T 単線結線図でのまとめ方(表記1:斜線3本) 斜線3本=3導体をまとめた合図 単線結線図でのまとめ方(表記2:斜線+数字3) 3 実際の3本の電線(上)を、JIS C 0617-3の2通りの表記で1本にまとめた例(自作)
単線結線図の1本の線を見て「省略された図」だと感じるのは自然な反応だ。だが実際には何も情報を捨てていない。**3本の導体という情報は、線の上に乗った小さな斜線という「合図」の形に、そのまま畳み込まれている。** この約束を知っているかどうかだけで、1本の線が「情報の欠落」に見えるか「圧縮された情報」に見えるかが変わる。この後の科目で出てくるZCT(零相変流器)の図記号にも、三相3線を一括して1個の鉄心に通したことを示すために、まさにこの「斜線+数字3」の注記が使われている。

上流から下流へ、が読み方の基本

単線結線図は、受電点から変圧器・低圧側まで電気が流れていく順序をそのまま図の並びにしている。だから読むときは、原則として上流(電力会社側)から下流(負荷側)へ辿るのが基本になる。区分開閉器・断路器・計器用変成器・主遮断装置・変圧器・進相コンデンサ回路といった個々の機器が、単線結線図の中でどの順に並び、どんな図記号で描かれるかは、この先の各トピックで1つずつ見ていく。単線結線図を上流から下流へ辿る手順そのものは、この科目の最後のトピックでまとめて練習する。

単線結線図が読めると、キュービクルの銘板が地図に変わる

この「まとめる」約束を知ってから単線結線図を見ると、1本の線がただの記号ではなく、圧縮された情報の塊に見えてくる。今日試せることとして、電気工事の専門書や設備の竣工図に単線結線図が載っていたら、線に注記された斜線や数字を探してみてほしい。注記が付いていれば、何本の導体がまとめられているかがその場で読める。付いていない図も多いが、その場合も高圧受電設備の主回路は三相3線式が前提だと分かっていれば、線の本数に迷うことはない。

この約束が規格として定められているのは、複雑な高圧設備を1枚の図に収めながら、読み手が本数を誤解しないようにするためだ。図を簡略化することと、情報を失うことは違う——この単線結線図の設計思想は、この先のあらゆる図記号を読むときの土台になる。

第一種電気工事士がこの単線結線図を読めるようになるということは、キュービクルの扉の内側に貼られた結線図を見て、その建物の受電設備がどんな構成になっているかをその場で説明できるようになる、ということでもある。

冒頭の疑問、1本の線がなぜ三相3線式だと言い切れるのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 単線結線図の『単線』を、単相(1相分の電気)を表す図だと読み替えさせる

    なぜ引っかかる『単線』という言葉の響きから、複線(三相)に対する単相の図だと連想しやすい

    見破り方『単線』は導体の本数の描き方(1本の線でまとめて描く)を指す言葉であって、相数(単相か三相か)とは無関係だと切り分ける。高圧受電設備の単線結線図はほぼ例外なく三相3線式を描いている

  2. 単線結線図にも、平面図のような部屋・壁の位置情報が描かれていると思わせる

    なぜ引っかかる『図』という言葉から、配線図=建物内の設置場所を示すものという第二種での経験が先入観になる

    見破り方単線結線図の主目的は『電気が上流からどの機器をどの順に通るか』という機能と順序を示すことだと確認する。機器の物理的な設置場所は単線結線図には表れない

  3. 1本の線に斜線の注記が無ければ、単相の1本線だと誤読させる

    なぜ引っかかる斜線の注記を見落とすと、まとめて描かれた複数導体を文字どおり1本の電線だと誤解しやすい

    見破り方本文中に斜線や数字の傍記が省略されている図でも、高圧受電設備の主回路は原則として三相3線式であることを前提に読む。傍記があるときはその本数表示を優先する

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 単線結線図は、三相3線式の3本の導体と各機器を、1本の線と1個の図記号で代表させて描いた系統図
  2. 第二種の配線図(平面図・複線図)が位置と配線本数を描くのに対し、単線結線図は位置情報を捨てる代わりに機能と順序を表す
  3. 1本にまとめた線が複数導体であることは、線を横切る短い斜線(本数分)か、斜線1本+本数の数字で示す約束がJIS C 0617-3にある
  4. 単線結線図は原則として上流(電力会社側)から下流(負荷側)へ読み進める
  5. 試験問題に使う図記号は、電気用図記号がJIS C 0617シリーズ、構内電気設備用図記号がJIS C 0303:2000に原則準拠すると試験センターが明記している
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