医師や弁護士の資格には、「5年以内に決められた講習を受けないと資格を返納させられ得る」というような義務はない。ところが第一種電気工事士には、これに近い義務がある。免状を取った後も、5年以内ごとに講習を受け続けなければならない。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この義務がなぜ第一種電気工事士だけに課されているのかを説明できるようになっている。
電気工事士免状は第一種・第二種の2種類があり、いずれも都道府県知事が交付する(電気工事士法4条1項・2項)。交付を受けるための要件は、第一種と第二種で違う。第二種は試験に合格すれば免状の交付を受けられる(4条4項)。これに対して第一種は、試験合格に加えて実務経験3年以上が必要になる(4条3項、施行規則2条の4第2項)。誰でも受験できる点は共通だが、免状の交付段階でこの差がつく。
免状交付後、第一種電気工事士には第二種にはない義務が課される。免状交付日から5年以内に、経済産業大臣の指定する者が行う「自家用電気工作物の保安に関する講習」を受けなければならず、受講した日以降も同じように5年以内ごとに受講を続ける必要がある(4条の3)。第二種電気工事士には、この定期講習の義務はない。
そして、電気工事士がこの法律または電気用品安全法28条1項に違反したとき、都道府県知事は免状の返納を命ずることができる(4条6項)。定期講習を受けないことも、この違反にあたり得る。免状は一度交付されたら永久に有効な証明書ではなく、講習という形で保安体制の一部として維持し続けることが前提になっている。
なお作業に従事するときは、免状(または認定証)を携帯する義務(5条2項)があり、作業自体は電気事業法の技術基準(自家用・小規模事業用は39条1項、一般用は56条1項)に適合させる義務(5条1項)がある。免状は「持っていること」だけでなく「携帯していること」「基準に適合させて作業すること」まで含めて義務が続く、という点も押さえておきたい。
免状を「取得して終わり」ではなく「維持するもの」として扱えるようになる
この構造が分かると、第一種電気工事士として働き続けるうえで、次にいつ講習を受けるべきかを自分で管理する習慣がつく。免状交付日または前回受講日をメモしておき、5年という期限が近づいたら講習の予定を組む、という実務が具体的にイメージできるようになる。
今日試せることとして、もし手元に電気工事士免状があれば、交付年月日を確認してみるといい。第一種であれば、そこから5年以内という期限が動き出している。
この定期講習の制度がある背景には、自家用設備の技術が更新され続けているという事情がある。免状を取得した時点の知識だけでは、5年後・10年後の現場にそのまま対応できるとは限らない。だからこそ、資格を維持する仕組みとして講習が組み込まれている。
独立して電気工事業を営むようになれば、この定期講習の受講管理は自分自身の仕事の継続性そのものに関わってくる。受講を怠って免状の返納を命じられれば、仕事自体ができなくなるからだ。
医師にも弁護士にもないこの5年ごとの義務が、なぜ第一種電気工事士だけにあるのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。