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一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令 ・ 5 / 12

免状と5年以内ごとの定期講習

読み終えると、こうなる

医師や弁護士にはない『取った後も維持し続けるべきもの』という免状の性格を、第一種電気工事士に見つけられるようになる。

  • 第一種電気工事士の免状交付日から5年以内という期限を、自分で管理して次の定期講習の予定を組み立てられる
  • 第二種電気工事士の免状しか持たない人に、定期講習の義務はないと言い切れる
  • 定期講習を受けなかった場合、免状の返納を命じられ得ると、法令違反の一種として位置づけられる
考えてみよう

医師や弁護士の資格には、「5年以内に決められた講習を受けないと資格を返納させられ得る」というような義務はない。ところが第一種電気工事士には、これに近い義務がある。免状を取った後も、5年以内ごとに講習を受け続けなければならない。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この義務がなぜ第一種電気工事士だけに課されているのかを説明できるようになっている。

電気工事士免状は第一種・第二種の2種類があり、いずれも都道府県知事が交付する(電気工事士法4条1項・2項)。交付を受けるための要件は、第一種と第二種で違う。第二種は試験に合格すれば免状の交付を受けられる(4条4項)。これに対して第一種は、試験合格に加えて実務経験3年以上が必要になる(4条3項、施行規則2条の4第2項)。誰でも受験できる点は共通だが、免状の交付段階でこの差がつく。

第一種電気工事士免状のライフサイクル 試験合格+実務経験3年以上 → 免状交付(都道府県知事) 交付日から5年以内に定期講習を受講(4条の3) 受講日から5年以内にまた受講(以後くり返し) 未受講・法令違反があれば 都道府県知事が免状返納を命令できる(4条6項) 第一種電気工事士免状のライフサイクル(自作の概念図。電気工事士法4条・4条の3にもとづく)

免状交付後、第一種電気工事士には第二種にはない義務が課される。免状交付日から5年以内に、経済産業大臣の指定する者が行う「自家用電気工作物の保安に関する講習」を受けなければならず、受講した日以降も同じように5年以内ごとに受講を続ける必要がある(4条の3)。第二種電気工事士には、この定期講習の義務はない。

そして、電気工事士がこの法律または電気用品安全法28条1項に違反したとき、都道府県知事は免状の返納を命ずることができる(4条6項)。定期講習を受けないことも、この違反にあたり得る。免状は一度交付されたら永久に有効な証明書ではなく、講習という形で保安体制の一部として維持し続けることが前提になっている。

ここで見方を反転させたい。「なぜ第一種だけにこんな面倒な義務があるのか」ではなく、「第一種が扱う設備の性質を考えれば、この義務は自然に出てくる」と読み替えるとよい。第一種が触るのは高圧の自家用設備で、そこでの事故は感電だけにとどまらず、[波及事故](/terms/cascading-accident/)として構外の一般家庭の停電にまで広がりうる。**免状を『取得した瞬間の知識の証明書』としてではなく、『取得後も更新し続けるべき保安体制の一部』として設計する**――この5年以内ごとの定期講習は、その設計思想がもっとも具体的な形で現れた条文だと言える。

なお作業に従事するときは、免状(または認定証)を携帯する義務(5条2項)があり、作業自体は電気事業法の技術基準(自家用・小規模事業用は39条1項、一般用は56条1項)に適合させる義務(5条1項)がある。免状は「持っていること」だけでなく「携帯していること」「基準に適合させて作業すること」まで含めて義務が続く、という点も押さえておきたい。

免状を「取得して終わり」ではなく「維持するもの」として扱えるようになる

この構造が分かると、第一種電気工事士として働き続けるうえで、次にいつ講習を受けるべきかを自分で管理する習慣がつく。免状交付日または前回受講日をメモしておき、5年という期限が近づいたら講習の予定を組む、という実務が具体的にイメージできるようになる。

今日試せることとして、もし手元に電気工事士免状があれば、交付年月日を確認してみるといい。第一種であれば、そこから5年以内という期限が動き出している。

この定期講習の制度がある背景には、自家用設備の技術が更新され続けているという事情がある。免状を取得した時点の知識だけでは、5年後・10年後の現場にそのまま対応できるとは限らない。だからこそ、資格を維持する仕組みとして講習が組み込まれている。

独立して電気工事業を営むようになれば、この定期講習の受講管理は自分自身の仕事の継続性そのものに関わってくる。受講を怠って免状の返納を命じられれば、仕事自体ができなくなるからだ。

医師にも弁護士にもないこの5年ごとの義務が、なぜ第一種電気工事士だけにあるのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 第一種電気工事士免状の交付者を、認定証と同じ経済産業大臣だと思わせる

    なぜ引っかかる前のトピックで認定電気工事従事者認定証・特種電気工事資格者認定証が経済産業大臣交付だと学んだ直後だと、免状も同じ交付者だと思い込みやすい

    見破り方電気工事士免状(第一種・第二種)は都道府県知事、認定証(経産大臣)とは交付者が違う2系統だと意識して分ける

  2. 第一種電気工事士試験の受験資格そのものに実務経験が必要だと思わせる

    なぜ引っかかる『第一種は実務経験3年以上』という数字だけを覚えると、試験を受けるための条件だと勘違いしやすい

    見破り方実務経験3年以上が必要なのは『試験に合格した後、免状の交付を受けるとき』の要件で、受験そのものに実務経験の制限はない、と順序で覚える

  3. 定期講習の義務を第二種電気工事士にもあるものとして混同させる

    なぜ引っかかる免状や電気工事士としての義務は第一種・第二種で共通するものが多いため、定期講習も両方に共通する義務だと思い込みやすい

    見破り方定期講習(4条の3)は第一種電気工事士にのみ課される義務だと条文の主語を確認する。第二種にこの義務はない

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 電気工事士免状は第一種・第二種の2種類で、いずれも都道府県知事が交付する(電気工事士法4条1項・2項)
  2. 第一種免状の交付には、第一種試験合格に加えて実務経験3年以上が必要(4条3項、施行規則2条の4第2項)。第二種は試験合格のみで交付される(4条4項)
  3. 第一種電気工事士は、免状交付日(前回受講日)から5年以内ごとに、自家用電気工作物の保安に関する講習を受けなければならない(4条の3)。第二種にはこの義務はない
  4. 都道府県知事は、電気工事士法違反または電気用品安全法28条1項違反があったとき、免状の返納を命ずることができる(4条6項)。定期講習の未受講もこの対象になり得る
  5. 作業従事時は免状(認定証)の携帯義務があり(5条2項)、作業は電気事業法の技術基準(自家用は39条1項、一般用は56条1項)に適合させる義務がある(5条1項)
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