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自家用電気工作物の検査方法 ・ 5 / 9

接地抵抗の測り方 — なぜ杭を2本も打つのか

読み終えると、こうなる

接地抵抗計になぜ補助の杭が2本要るのかを、電流と電圧の役割分担から見分けられるようになる。

  • 接地抵抗計が直流ではなく交流を使う理由を、絶縁抵抗計と対比させて仕分けられる
  • E・P・Cの3電極を、それぞれの役割から見分けられる
  • 測定結果がおかしいとき、補助極の配置が近すぎたのではという見当をつけられる
考えてみよう

回路のテスタ(回路計)で抵抗を測るときは、2本のリード線を対象に当てるだけでいい。ところが接地抵抗を測るときは、わざわざ補助の杭を2本も地面に打ち込む。

同じ「抵抗を測る」という作業なのに、なぜ接地抵抗だけこんな手間のかかる方法を取るのか。杭を1本、あるいは0本で済ませられない理由はどこにあるのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、接地抵抗計に補助極が2本必要な理由を、電流と電圧の役割分担から説明できるようになっている。

接地抵抗の測定には、接地抵抗計(アーステスタ)を使う3電極法(電位降下法)という方法が一般に用いられる。使うのは3つの電極だ。

  • E … 被測定接地極(抵抗を知りたい、実際に施設された接地極)
  • P … 電圧用補助極
  • C … 電流用補助極
3電極法(電位降下法)の配置 測定電流(交流) E P C 被測定接地極 電圧用補助極 電流用補助極 電位差(電圧)を測定 E-C間に交流電流を流し、E-P間の電位差から接地抵抗を求める(E・P・Cの間隔・一直線配置は実務上の目安であり、条文の規定ではない)

E-C間に交流電流を流し、そのときE-P間に生じる電位差を測定して、電位差÷電流=抵抗という形でE極の接地抵抗を求める。実務では、E極からP極、さらにC極までを、ほぼ一直線になるよう、適切な間隔(目安として約10m)を空けて配置する。この間隔や一直線という配置は、電技解釈などの条文に規定された数値ではなく、測定器メーカーの取扱説明資料などに基づく実務上の標準として押さえておく。

なぜ2本も電極が要るのか。答えは、測りたい抵抗の「もう一方の端子」が地球そのものだから、という点にある。**電流を流すための電極(C)自体にも、当然ながら接地抵抗がある。** もしE極とC極だけの2端子で測ろうとすると、E極の抵抗とC極の抵抗が直列に混ざってしまい、E極だけの値を取り出せない。そこで電流を流す役(C)と電圧を測る役(P)を分離し、電圧を測るP極にはほとんど電流を流さないようにすることで、C極の抵抗の影響を避け、E極自身の抵抗だけを取り出している。

さらに交流を使うことにも理由がある。もし直流を大地に流すと、土の中の水分やミネラル分によって電気分解・分極という反応が起き、測定値に誤差が生じてしまう。これを避けるため、接地抵抗計はわざわざ交流を電流源に使っている。

補助極をほぼ一直線に、間隔を空けて配置するのも、電極どうしがつくる電位分布が近すぎると重なり合ってしまい、正しい電位差が測れなくなるためだ。地味に見える測定作業の裏に、電流と電圧の役割を分ける、電気分解を避ける、電位分布を重ねない、という3つの工夫が詰まっている。

地味な測定器に、電気計測の考え方が詰まっている

接地抵抗計の仕組みが分かると、他の測定器を見るときの視点も変わってくる。たとえば電圧を測る回路と電流を流す回路をあえて分離する、という考え方は、精密な電気計測の世界ではしばしば使われる発想だ。

今日試せることとして、もし接地抵抗計(アーステスタ)の実物や写真を見る機会があれば、本体から出ているリード線が何本あるかを数えてみるといい。E・P・Cの3本の端子があることを確認できれば、この3電極法の仕組みがそのまま形になっていると分かる。

太陽光発電のパネル架台や、EV充電設備の接地工事でも、竣工時にはこの3電極法で接地抵抗を確認することになる。杭を2本打つ手間の意味を理解していれば、測定結果に疑問を持ったときに「配置が近すぎたのではないか」といった原因の見当も自分でつけられるようになる。

冒頭の謎、なぜ杭を2本も打つ必要があるのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 接地抵抗もテスタのような2端子で測れると思わせる

    なぜ引っかかる一般的な抵抗測定(回路計・テスタ)は2端子で行うため、接地抵抗も同じ発想で測れると錯覚しやすい

    見破り方測りたい抵抗のもう一方の端子が『大地』そのものであり、電流を流すための補助極自体にも接地抵抗があるため2端子では混ざってしまう、と目的から考える。電流を流す役(C)と電圧を測る役(P)を分離する3電極法が必要になる

  2. 接地抵抗計も絶縁抵抗計と同じ直流で測定すると思わせる

    なぜ引っかかる絶縁抵抗計(メガー)が直流を使うため、同じ測定器という括りで接地抵抗計も直流だと錯覚しやすい

    見破り方接地抵抗計は交流を使う。直流を大地に流すと大地中で電気分解・分極が起き測定値に誤差が生じるため、交流を使うと理由から区別する

  3. 補助極E-P-Cは、間隔や並び順を気にせず適当に打ってよいと思わせる

    なぜ引っかかる『補助極を2本打つ』という事実だけを覚え、配置の意味(電位分布の重なりを避ける)を見落としやすい

    見破り方E-P-Cをほぼ一直線に、適切な間隔(実務では約10mが目安)で配置する理由は、電極どうしの電位分布が重ならないようにするためだと理解して覚える

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 接地抵抗の測定は接地抵抗計(アーステスタ)による3電極法(電位降下法)で行う
  2. 被測定接地極E・電圧用補助極P・電流用補助極Cの3つを使い、E-C間に交流電流を流してE-P間の電位差から接地抵抗を求める
  3. 交流を使うのは、直流を大地に流すと電気分解・分極作用によって測定誤差が生じるため
  4. 補助極の配置間隔(実務では約10m目安)や一直線配置は、条文の規定ではなく測定器メーカー資料・実務標準として理解する
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