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電気機器、蓄電池、配線器具、電気工事用の材料及び工具並びに受電設備 ・ 6 / 21

避雷器(LA) — 施設が義務になる条件と、義務でなくても壊れる理由

読み終えると、こうなる

受電電力500kW未満のビルでも、雷対策が必要かどうかを義務の有無とは別に判断できるようになる。

  • 受電電力500kW未満の架空引込設備でも、避雷器(LA)の設置を効果的な対策として提案できる
  • 避雷針と避雷器を、守る対象(建物への直撃雷か、電路に侵入する雷サージか)で見分けられる
  • キュービクルのカタログで『LA内蔵』の表示を見て、それが義務の有無に関係なく建物を守る保険的な設備だと見抜ける
考えてみよう

激しい雷雨があった翌朝、近所のビルのキュービクルだけが壊れて停電していた。同じ地域に落ちた同じ雷なのに、隣のビルは何ともなかった。何が明暗を分けたのか。

しかも後で分かったのは、そのビルの受電電力は500kWに届いておらず、法律上は雷対策の設備を必ず付けなければならない建物ではなかった、ということだ。義務がないのに壊れる。これはどういうことなのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、義務の有無と、実際の危険の有無が別の話であることを説明できるようになっている。

雷サージ(雷による異常過電圧)は、電路を伝って機器の絶縁を破壊することがある。これを防ぐのが避雷器(LA) だ。雷サージなどの異常過電圧を制限電圧まで抑えて大地に流し、機器を守る。

この避雷器の施設には、法令上の義務がある。電技解釈第37条第1項は、高圧・特別高圧の電路の一定の箇所(またはこれに近接する箇所)への避雷器の施設を求めており、第一種の学習で重要なのは第三号だ。

高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が500kW以上の需要場所の引込口

つまり、架空の高圧配電線から受電し、かつ受電電力が500kW以上の需要場所には、避雷器の施設が法令上の義務になる。第2項には緩和規定があり、直接接続する電線が短い場合などは省略が認められる。地中引込(架空電線路から供給を受けない場合)は、そもそもこの号の義務の対象ではない。

義務のライン(500kW)と、実際の危険のライン 0kW 受電電力(大) 500kW=法令上の義務ライン 義務あり(架空引込) 義務なし・でも雷は落ちる 架空引込なら設置が 効果的(推奨) 義務のラインは、危険がなくなるラインではない 500kWという義務のラインと、実際の雷害リスクは別軸であることを示す概念図(自作)
「義務がない」という言葉を、「設置しても意味がない」と読み替えてしまうと、冒頭のビルのような結果を招く。**法令の500kWというラインは、義務を課す最低限の基準にすぎず、雷そのものが500kW未満のビルを避けてくれるわけではない。** だからこそ、500kW未満でも架空引込の需要家では、引込口への避雷器設置が効果的とされ、実務ではPASの更新時にLA内蔵形を選ぶことが推奨されている。

避雷器と混同しやすいのが、建物の屋上に立つ避雷針だ。避雷針は建物への直撃雷を受け止めて大地に導く設備で、避雷器とは守る対象がまったく違う。避雷器は電路に侵入してくる雷サージから受電設備の機器を守るものであり、直撃雷そのものへの対策ではない。

避雷器の設置には、電技解釈第37条第3項によりA種接地工事が必要になる。避雷器が吸収した過電圧を確実に大地に逃がすための接地で、他の機器の接地種別(B種・C種・D種)とは区別して覚えておきたい。

E14という表記の出典は、条文が2つに分かれている

単線結線図の避雷器の接地には、たいてい「E14」という傍記が付く。E14の「E」は接地(Earth)を、「14」は接地線の太さ14mm²を表す。ここで見落としやすいのが、この2つの数字が、実は別々の根拠から来ているという点だ。

  • A種接地工事という「種別」を要求しているのは電技解釈 — 第37条第3項が、高圧・特別高圧の避雷器にA種接地工事を施すよう定めている
  • 14mm²という「太さ」を具体的に定めているのは電技解釈ではなく、高圧受電設備規程 — 電技解釈第17条第1項第二号ロが接地線に求めているのは「引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線」という条件で、14mm²という数値はここには出てこない

なお、第17条にmm²表記がまったく無いわけではない。同じ第二号のハが、移動して使用する電気機械器具の可とう性を必要とする部分について「多心キャブタイヤケーブルの遮へいその他の金属体であって、断面積が8mm²以上のもの」と定めている。mm²が条文に無いのではなく、避雷器の接地線に使う14mm²が条文に無い、と対象を限って覚える。

「E14=電技解釈が定めた数値」と一括りにして覚えると、条文を確認する場面で足をすくわれる。**A種にせよという指示は電技解釈、14mm²というものさしは高圧受電設備規程――出典が2階建てになっている**、という構造を分けて持っておく必要がある。電技解釈はあくまで「太さの下限を満たす電線であること」しか求めておらず、14mm²という具体的な数字は、実務上の標準として規程側が定めているものだ。

避雷器の電源側に、ヒューズを入れてはいけない理由

避雷器のまわりでもう1つ押さえておきたいのが、避雷器の電源側(上位)に過電流保護のヒューズや開閉器を施設してはならないという実務上の要求だ。高圧カットアウトを介して避雷器を接続する場合も、ヒューズ筒にはヒューズではなく素通し線(銅線)を入れるのが実務になっている。

ここで例外になるのが断路器(DS)だ。断路器を介して避雷器を施設すること自体は標準的な実務であり、禁止の対象ではない。保守点検・絶縁測定のときに避雷器を電路から切り離す目的で使われ、常時は閉(投入)にしておく。ヒューズのように電流の大きさに応じて自動的に「切れて」しまう機器ではなく、人が意図的に操作しない限り開路しないという点が、禁止対象のヒューズ・開閉器との決定的な違いになる。

理由は単純だ。**避雷器は、雷サージが来たときに動作して電流を大地に流す機器だが、その動作電流や動作後にわずかに流れ続ける続流によって、電源側のヒューズが溶断してしまうことがある。** ヒューズが溶断すれば、避雷器はその瞬間に電路から切り離される。切り離された避雷器は、以後どれだけ大きな雷サージが来ても、もう機器を守れない。**保護のための機器(避雷器)を守るはずの装置(ヒューズ)が、逆に保護そのものを機能停止させてしまう**、という本末転倒が起きるのを防ぐための決まりだ。

ここで注意したいのは、この禁止事項の出典だ。電技解釈第37条は、避雷器の施設箇所(500kW以上の需要場所の引込口など)とA種接地工事を定めるのみで、「ヒューズを施設してはならない」という明文は条文には無い。禁止の理由(溶断による保護機能の喪失)はメーカーの技術資料等で広く一致しているが、条番号を挙げて答える場面では、施設箇所・接地は電技解釈、ヒューズ禁止は実務・規程上の要求、と出典を分けて扱う必要がある。E14の出典が2階建てだったのと同じ構造が、ここにも表れている。

キュービクルの銘板の「LA内蔵」という3文字の重み

避雷器の位置づけが分かると、キュービクルのカタログや銘板にある「LA内蔵」という表示が、単なるオプションではなく、義務の有無にかかわらず建物を雷害から守る保険のような設備だと理解できるようになる。今日試せることとして、天気予報で落雷の可能性が伝えられた日には、身の回りにある高圧受電設備が架空引込かどうかを気にしてみるといい。柱上のPASから直接ケーブルが降りてきていれば架空引込、地面から立ち上がっていれば地中引込であることが多い。

500kWという数字が法令に置かれているのは、規模が大きい需要場所ほど停電の影響も損害も大きくなるため、最低限の防護を義務化する必要があったからだ。だが規模の小さい建物が雷から無縁というわけではなく、そこは需要家自身の判断に委ねられている。

太陽光発電や蓄電池を高圧で連系する設備では、パワーコンディショナなど雷サージに弱い電子機器が増える。避雷器の要否を義務の有無だけで判断せず、実際のリスクで考える視点は、これから増えるこうした設備の設計・提案でも欠かせなくなる。

冒頭のビル、なぜ義務がないのに壊れたのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 避雷器(LA)と避雷針を同じものだと混同させる

    なぜ引っかかるどちらも『雷から守る』機器という点で似ているため、屋上の避雷針と受電設備の避雷器を同一視しやすい

    見破り方守る対象で区別する。避雷針は建物への直撃雷を大地に導くもの、避雷器は電路に侵入してきた雷サージなどの過電圧から機器を守るものと分ける

  2. 500kW未満は避雷器を『設置しても意味がない』と誤答させる

    なぜ引っかかる義務がないという事実から、設置しても効果がないという結論に飛躍しやすい

    見破り方義務の有無と、効果の有無は別の話だと分ける。500kW未満でも架空引込の需要家では引込口への設置が効果的とされ、PAS更新時にLA内蔵形が推奨されている

  3. 避雷器の接地種別を、他の機器と同じ種別だと誤答させる

    なぜ引っかかる接地工事の種別(A種・C種・D種など)は数が多く、機器ごとの対応を混同しやすい

    見破り方避雷器にはA種接地工事が必要と、この機器に限定して固定的に覚える

  4. 避雷器の接地線の太さ(E14)を、電技解釈第17条が定めた数値だと思い込ませる

    なぜ引っかかる『A種接地工事は電技解釈第17条』という正しい知識があるからこそ、その延長で『14mm²も同じ第17条に書かれている』と誤って結びつけてしまう

    見破り方出典を2つに分けて覚える。A種接地工事という『種別』を要求しているのは電技解釈第37条・第17条。14mm²という『太さ』を具体的に定めているのは電技解釈ではなく高圧受電設備規程。第17条第1項第二号ロが接地線に求めているのは『引張強さ1.04kN以上又は直径2.6mm以上の軟銅線』という条件で、14mm²という数値は条文に登場しない。ただし同号ハには移動して使用する機器の可とう部について断面積8mm²以上という規定があるので、『第17条にmm²は一切出てこない』と広げて覚えないこと

  5. 避雷器の電源側にヒューズを入れてはいけない理由を、条文に明記された禁止事項だと思い込ませる

    なぜ引っかかる電技解釈第37条には避雷器の施設箇所やA種接地の規定があるため、ヒューズの施設禁止も同じ条文に明記されていると錯覚しやすい

    見破り方禁止の理由(雷電流や続流でヒューズが溶断すると避雷器が電路から切り離され、以後の雷サージに対して保護機能を失うから)と、その明文の所在を分けて考える。電技解釈第37条は施設箇所とA種接地を定めるのみで、ヒューズ禁止の明文は条文には無い。禁止は実務・規程上の要求であり、条番号を偽って答えないようにする

参考文献・出典

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ2問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 避雷器(LA)は雷サージなどの異常過電圧を制限電圧まで抑えて大地に流し、機器の絶縁破壊を防ぐ
  2. 電技解釈第37条第1項第三号により、高圧架空電線路から受電する受電電力500kW以上の需要場所の引込口には避雷器の施設が義務になる
  3. 500kW未満は義務ではないが、引込口への設置が効果的とされ、PAS更新時はLA内蔵形の採用が推奨されている
  4. 避雷器にはA種接地工事が必要(電技解釈第37条第3項)。建物への直撃雷を防ぐ避雷針とは別物
  5. 単線結線図で避雷器の接地線に付く記号はE14が正しい。ただし14mm²という太さの出典は電技解釈ではなく高圧受電設備規程で、電技解釈第17条第1項第二号ロが接地線に定めているのは『引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線』という条件で、14mm²という数値は条文に無い(同号ハには、移動して使用する機器の可とう部について断面積8mm²以上というmm²表記がある)
  6. 避雷器の電源側にヒューズや開閉器を施設してはならない。理由は、雷電流や避雷器動作後の続流でヒューズが溶断・開閉器が動作すると避雷器が電路から切り離されてしまい、以後の雷サージに対して保護機能を失うため。断路器(DS)は例外で、常時閉で保守点検時のみ操作する機器のため施設してよい。ただしこの禁止の明文は電技解釈第37条には無く、施設箇所とA種接地のみを条文は定めている
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