高圧ケーブルの接続工事を見ていると、作業員は導体(電気を流す芯線)だけでなく、ケーブルの外側を覆う薄い金属のテープ(遮へい)の継ぎ目にも、かなり神経を使っている。導体さえちゃんとつながっていれば電気は問題なく流れるはずなのに、なぜこの外側の金属テープの連続性にまでこだわる必要があるのか。
見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この遮へいの連続性が何のためにあるのかを説明できるようになっている。
電線を接続するときに満たすべき条件は、低圧・高圧を問わず第12条という1本の条文にまとまっている。
- 電気抵抗を増加させないこと
- 引張強さを20%以上減少させないこと
- 接続管その他の器具を使用するか、ろう付けすること
- 絶縁電線相互を接続する場合は、絶縁を元の絶縁物と同等以上に回復すること
「高圧だから別の条文がある」というわけではなく、この4条件がそのまま高圧にも適用される。第一種で新しく問われるのは、この4条件を高圧という電圧の高さの中でどう実現するかという実務の部分だ。
高圧絶縁電線の接続では、圧縮スリーブ等による圧縮接続が標準になっている。特に張力のかかる架空区間では、引張強さを20%以上減少させないという要件が実務上大きな意味を持つ。絶縁の回復についても、高圧では自己融着性絶縁テープを半幅重ねで規定の回数巻き、その上に保護テープをさらに巻くという多層の処理が行われる。ただし、この巻く回数や層の数そのものは電技解釈に書かれた数値ではない。第12条が求めているのは「絶縁を元と同等以上に回復すること」という性能の要件であり、具体的な巻き数は内線規程やケーブルメーカーの標準による設計値にすぎない。
高圧CVケーブル同士をつなぐ場合は、直線接続部(ジョイント)として工場で成形された部材や常温収縮チューブを使う。導体の接続は圧縮が基本で、ここまでは絶縁電線の接続と発想は同じだ。しかし高圧CVケーブルには、絶縁電線にはない層がある。ケーブルの外周を覆う遮へい銅テープだ。
遮へい銅テープは、ケーブルの外側に一定の電位(多くは接地電位)を保たせるための層で、高圧側で地絡(電線と大地との絶縁破壊)が起きたとき、その電流を検出する地絡保護装置(ZCT、零相変流器)が正しく働くための前提になっている。接続部で遮へいをつなぎ忘れたり浮かせたりすると、遮へいの電位が接続部を境に不連続になり、その区間で本来検出できるはずの地絡電流を正しく検出できなくなる。ケーブルの中を電気が流れるという意味では導体の接続で十分そうに見えても、保護装置が正常に働くかどうかは、目に見えにくい遮へいの連続性にかかっている。なお、ケーブルの端末部分の処理(ストレスコーン)は別の既存トピックで扱っているため、ここでは接続部分に絞って見ている。
ケーブルの接続部を見て、何が保護されているかを言い当てられるようになる
この整理が頭に入ると、高圧ケーブルの接続工事で作業員が導体以外の部分にも神経を使っている理由が分かるようになる。今日試せることとして、電気工事の専門誌やメーカーのカタログで高圧ケーブルの接続部材(ジョイントキット)の写真を見る機会があれば、遮へい部分の接続金具がどう表現されているかを観察してみるといい。
接続部の要件がこれほど細かいのは、電線の接続部が構造上もっとも弱点になりやすい箇所だからだ。導体・絶縁・遮へいという3つの層それぞれに、接続部でも連続性を保つための工夫が必要になる。第一種電気工事士が高圧ケーブルの接続工事に関わるとき、この「見えている部分(導体)」と「見えにくいが機能上重要な部分(遮へい)」の両方に目を配れるかどうかが、保護装置が正しく働く現場を作れるかどうかを左右する。
冒頭の遮へいの連続性、何のために確保されていたのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。