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電気工事の施工方法 ・ 8 / 11

電線の接続方法 — 高圧では「遮へいの連続性」も接続の一部になる

読み終えると、こうなる

高圧ケーブルの接続工事で、作業員が導体だけでなくケーブル外側の薄い金属テープの継ぎ目にまで神経を使っている理由を、遠く離れた保護装置の視点から説明できるようになる

  • 高圧絶縁電線の接続でねじり接続ではなく圧縮スリーブが標準になっている理由を、電気抵抗を増加させないという条件から説明できる
  • 高圧CVケーブルの接続部で遮へい銅テープを連続させないと、地絡保護装置(ZCT)が異常を検知できなくなる理由を説明できる
  • 絶縁回復のためのテープ巻き層数が、法令の数値ではなく内線規程・メーカー基準による設計値であることを踏まえて扱える
考えてみよう

高圧ケーブルの接続工事を見ていると、作業員は導体(電気を流す芯線)だけでなく、ケーブルの外側を覆う薄い金属のテープ(遮へい)の継ぎ目にも、かなり神経を使っている。導体さえちゃんとつながっていれば電気は問題なく流れるはずなのに、なぜこの外側の金属テープの連続性にまでこだわる必要があるのか。

見当がつかなくて当然だ。このトピックを読み終えるころには、この遮へいの連続性が何のためにあるのかを説明できるようになっている。

電線を接続するときに満たすべき条件は、低圧・高圧を問わず第12条という1本の条文にまとまっている。

  • 電気抵抗を増加させないこと
  • 引張強さを20%以上減少させないこと
  • 接続管その他の器具を使用するか、ろう付けすること
  • 絶縁電線相互を接続する場合は、絶縁を元の絶縁物と同等以上に回復すること

「高圧だから別の条文がある」というわけではなく、この4条件がそのまま高圧にも適用される。第一種で新しく問われるのは、この4条件を高圧という電圧の高さの中でどう実現するかという実務の部分だ。

高圧絶縁電線の接続では、圧縮スリーブ等による圧縮接続が標準になっている。特に張力のかかる架空区間では、引張強さを20%以上減少させないという要件が実務上大きな意味を持つ。絶縁の回復についても、高圧では自己融着性絶縁テープを半幅重ねで規定の回数巻き、その上に保護テープをさらに巻くという多層の処理が行われる。ただし、この巻く回数や層の数そのものは電技解釈に書かれた数値ではない。第12条が求めているのは「絶縁を元と同等以上に回復すること」という性能の要件であり、具体的な巻き数は内線規程やケーブルメーカーの標準による設計値にすぎない。

接続部の絶縁が高圧で特に厳しく作られるのは、低圧よりも絶縁破壊が起きたときの被害が大きいからだ。だが法令が定めているのは「同等以上に回復すること」という結果であって、「何回巻けばよいか」という手順ではない。試験で問われる4条件(抵抗・強度・器具・絶縁回復)は結果の基準であり、実際の巻き数や施工手順はメーカー・業界の標準に委ねられている、という役割分担を意識しておくとよい。

高圧CVケーブル同士をつなぐ場合は、直線接続部(ジョイント)として工場で成形された部材や常温収縮チューブを使う。導体の接続は圧縮が基本で、ここまでは絶縁電線の接続と発想は同じだ。しかし高圧CVケーブルには、絶縁電線にはない層がある。ケーブルの外周を覆う遮へい銅テープだ。

接続部でも遮へい銅テープを連続させないと、地絡を検出できない 正しい接続 遮へい連続 → ZCTが正常に検出 誤った接続(欠陥) 遮へい途切れ(浮き) → ZCTが検出できない 接続部の中央にある四角は接続用のスリーブ・ジョイント部。遮へい銅テープ(帯線)が接続部の前後で連続しているか、途切れているかの違い

遮へい銅テープは、ケーブルの外側に一定の電位(多くは接地電位)を保たせるための層で、高圧側で地絡(電線と大地との絶縁破壊)が起きたとき、その電流を検出する地絡保護装置(ZCT、零相変流器)が正しく働くための前提になっている。接続部で遮へいをつなぎ忘れたり浮かせたりすると、遮へいの電位が接続部を境に不連続になり、その区間で本来検出できるはずの地絡電流を正しく検出できなくなる。ケーブルの中を電気が流れるという意味では導体の接続で十分そうに見えても、保護装置が正常に働くかどうかは、目に見えにくい遮へいの連続性にかかっている。なお、ケーブルの端末部分の処理(ストレスコーン)は別の既存トピックで扱っているため、ここでは接続部分に絞って見ている。

ケーブルの接続部を見て、何が保護されているかを言い当てられるようになる

この整理が頭に入ると、高圧ケーブルの接続工事で作業員が導体以外の部分にも神経を使っている理由が分かるようになる。今日試せることとして、電気工事の専門誌やメーカーのカタログで高圧ケーブルの接続部材(ジョイントキット)の写真を見る機会があれば、遮へい部分の接続金具がどう表現されているかを観察してみるといい。

接続部の要件がこれほど細かいのは、電線の接続部が構造上もっとも弱点になりやすい箇所だからだ。導体・絶縁・遮へいという3つの層それぞれに、接続部でも連続性を保つための工夫が必要になる。第一種電気工事士が高圧ケーブルの接続工事に関わるとき、この「見えている部分(導体)」と「見えにくいが機能上重要な部分(遮へい)」の両方に目を配れるかどうかが、保護装置が正しく働く現場を作れるかどうかを左右する。

冒頭の遮へいの連続性、何のために確保されていたのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 高圧の電線接続には低圧とは別の専用条文があると思い込ませる

    なぜ引っかかる高圧という言葉から、低圧とは別の特別な条文が存在すると連想しやすい。しかし電線接続の一般原則は第12条1本で、低圧・高圧を問わず共通の要件(抵抗・強度・器具・絶縁回復の4条件)が適用される

    見破り方『高圧だから条文が違う』と決めつける前に、まず第12条の4条件がそのまま当てはまるかを確認する。高圧で変わるのは条文ではなく、その条件を満たすための具体的な実務(圧縮スリーブ、多層テープ処理等)だと理解する

  2. 絶縁テープの巻き数を法令で決まった数値だと思い込ませる

    なぜ引っかかる『高圧では自己融着テープを規定回数巻く』という表現から、その回数が電技解釈に明記された数値だと錯覚しやすい。実際には第12条が求めるのは『絶縁を元と同等以上に回復すること』という性能要件であり、具体的な巻き数は内線規程やケーブルメーカーの標準による設計値にすぎない

    見破り方巻き数や層数のような施工手順の細部が出てきたら、それが電技解釈の条文の数値か、業界規程・メーカー基準の目安かを区別する。第12条自体は性能(絶縁の回復)を求めているだけで、手順の細部までは規定していない

参考文献・出典

理解度チェック(5問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、5問で確認しよう。 内訳は基本3問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 5 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 電線接続の一般原則(第12条、低圧・高圧共通):電気抵抗を増加させない・引張強さを20%以上減少させない・接続管等の器具を使用又はろう付けする・絶縁を元の絶縁物と同等以上に回復する
  2. 第一種の新出は高圧実務。高圧絶縁電線の接続は圧縮スリーブ等による圧縮接続が標準で、張力のかかる架空部では引張強さの規定が特に効く
  3. 絶縁回復では、高圧の場合は自己融着性絶縁テープを半幅重ねで規定回数巻き、その上に保護テープを巻く多層処理になる。具体の層数は法令の数値ではなく、内線規程・メーカー標準による設計値
  4. 高圧CVケーブル相互の接続は直線接続部(ジョイント)として工場成形品や常温収縮チューブを使う。導体接続は圧縮が基本で、遮へい銅テープの連続性の確保と接地が必須
  5. 遮へい銅テープが接続部で途切れる(浮く)と、地絡電流を検出するZCT(零相変流器)が正しく機能しなくなる。ケーブルの端末処理(ストレスコーン)は別の既存トピックが扱うため、このトピックでは接続に限定する
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