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配線図 ・ 1 / 12

配線図とは何か・図記号の基礎

読み終えると、こうなる

配線図の図記号を、公式では導けない『取り決め』だと割り切り、暗記の的を絞れるようになる

  • 傍記のない図記号を『情報なし』ではなく『標準の定格(15A・125V等)』として読める
  • 選択肢に紛れる実在しない架空の記号を、見慣れない形として疑って除外できる
  • 同じ傍記の文字が器具ごとに別の意味を持つ場合でも、基本の形を先に確定させてから読み分けられる
考えてみよう

模擬試験を受けたある受験者は、50問中32問正解(64%)で、合格ライン60点をぎりぎり超えた。ホッとしたのも束の間、答え合わせで意外な事実に気づく。間違えた18問のうち、14問が配線図分野に集中していたのだ。

しかも本人は基礎理論の計算問題がもともと得意で、オームの法則も電力の計算もほぼ全問正解していた。計算は得意なはずなのに、なぜ配線図問題だけこれほど落としたのか。

理由は、この科目がほかの科目とは性質がまったく違う分野だから。このトピックを読み終えるころには、その理由がはっきり分かるはずだ。

配線図は、住宅やビルの電気配線工事を描いた設計図面のことだ。コンセント・スイッチ・照明器具・分電盤といった器具を、いちいち写実的に描くのではなく、決められた「図記号」で表現する。この図記号のルールを全国共通で定めているのが、JIS C 0303(構内電気設備の配線用図記号)という規格だ。

図記号は、丸や四角といった「基本の形」に、数字やアルファベットを書き添えることで意味が変わる。この書き添える文字を傍記と呼ぶ。たとえば同じ黒丸の点滅器(スイッチ)の記号でも、何も付かなければ片切スイッチ、「3」が付けば3路スイッチ、「WP」が付けば防雨形スイッチというように、傍記1文字で意味がまったく変わってくる。

3 WP 片切スイッチ 3路スイッチ 防雨形スイッチ 同じ黒丸(点滅器の基本形)でも、傍記が変わるだけで意味が変わる
図記号は、電圧や電流のように公式から導き出せるものではない。「この形にはこの意味」という取り決めそのものであり、見た形と意味をセットで覚えるしかない。

これは、電気に関する基礎理論のように「公式を1つ覚えれば応用が利く」科目とは根本的に性質が違うということだ。基礎理論はV=IRという1つの式から複数の設問に対応できるが、配線図は極端に言えば、覚えた図記号の数だけしか得点できない。逆に言えば、暗記さえ済ませてしまえば「知っていれば確実に取れる」問題が多く、他の科目より得点の再現性が高い分野でもある。

線種と傍記を、同時に照合する

「図記号(線種)と工事方法の組合せとして正しいもの/誤っているもの」を選ぶ問題は、 2つの情報を同時に見る必要がある。片方だけでは決まらない。

  • 線の引き方 → その配線がどこを通っているか(天井裏・床下・露出)
  • 線に添えた傍記何の管を使うか(E・PF・F2・数字だけ…)

4択を絞る手順

:「破線に (16) と傍記」「実線に E19 と傍記」のような組が4つ並ぶ。

  1. 傍記の記号と管の名前が一致しているかを見る 選択肢の説明文が「PF管による…」なのに傍記が E19 なら、その時点で矛盾=消せる
  2. 線種と施工場所が一致しているかを見る 説明文が「露出配線」なのに線が実線(=天井隠ぺい)なら矛盾=消せる
  3. 残ったものを、傍記の意味で確定する 傍記が数字だけなら薄鋼電線管。VE管は「VE16」のようにVEを、ねじなし電線管はE、厚鋼はG、合成樹脂製可とう管はPF・CDを記入する
**多くの選択肢は、①の「記号と名前の不一致」で消える。** 出題者は名前と記号を入れ替えて誤答を作るからだ。まずそこを潰す。

それでも2つ残ったら、線種で切る。それでも決まらなければ、 記号が無く数字だけ=薄鋼電線管(VE管はVEを傍記する)を思い出す。

見るもの判断できること
傍記の記号(E・G・PF・CD・F2・VE・数字のみ)管の種類
線種(実線・破線・点線)天井隠ぺい・床隠ぺい・露出

2つとも合っている組が正解で、どちらか一方でも食い違えば誤り。 「記号は合っているが線種が違う」という半分だけ正しい選択肢が、必ず混ぜてある。

線の引き方が、どこを通っているかを表す

図記号は「何があるか」を表すが、それをつなぐ線そのものにも意味がある。 線の種類が、その配線が建物のどこを通っているかを示す。

線種施工場所
実線天井隠ぺい配線(天井裏を通る)
破線床隠ぺい配線(床下を通る)
点線露出配線(壁や天井の表面に見えている)
一点鎖線地中埋設配線
住宅の配線図でいちばん多いのは**実線=天井隠ぺい**だ。屋内配線の大半は天井裏を通るため、 図面が実線だらけになる。そこに**破線**が混じっていれば「ここは床下」、 **点線**なら「ここは表に出ている」という合図になる。

破線と点線は紙面では見分けにくいので、線の長さで区別する。 破線は長めの線が並ぶ(- - - -)、点線は短い点が並ぶ(‥‥‥)。

なお、JIS C 0303 の本表は線種の使い分けを厳密に固定しているわけではなく、 図面によっては注記で凡例を示すこともある。まず図面の凡例を確認し、 無ければ上の対応で読む、という順序が安全だ。

そして線種は、使える工事の種類にもつながる。露出配線なら金属管・合成樹脂管・ ケーブル工事などが見えるところに施工され、隠ぺい配線なら仕上げ材の中に納まる。 図面の線1本から、その区間の工事方法まで推し量れるようになる。

覚えた図記号は、他人が描いた図面を開く鍵になる

図記号を覚える見返りは、試験の20問だけではない。図面が読めるということは、自分が設計していない回路を理解して施工できるということだ。見積の拾い出し、改修工事の打ち合わせ、他社が引いた既設配線の追跡——現場で図面を前にした人が話している内容が、そのまま分かるようになる。

今日試せることを一つ挙げるなら、自宅の竣工図や、入居時に渡された図面一式を引っ張り出してみるといい。新築の引き渡し資料やマンションの重要書類の中に、電気設備図が紛れていることが多い。丸がいくつ、黒丸がいくつ並んでいるかを数えるだけでも、「この壁の向こうに何が通っているか」という視線で家を見るようになる。リフォームや器具の増設を検討するときに、最初に開くのがこの図面だ。

JIS C 0303という規格で全国共通に定められている、という点も効いてくる。北海道の現場でも九州の現場でも、同じ黒丸は同じ意味を持つ。図面はCADからBIMへと作られ方が変わってきているが、記号そのものは規格が変わらない限り生き続ける。暗記のコストは一度きりで、使える期間は職業人生の全期間にわたる——この分野の暗記が割に合うのは、そういう構造になっているからだ。

次のトピックからは、コンセント・スイッチ・照明器具・分電盤という分類ごとに、代表的な図記号を見ていく。冒頭の受験者がなぜ配線図だけを大きく落としたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。 記号が読めるようになったら、次はその記号を図の上で追う技術が要る。試験の配線図は1枚の図面を 20問で共有し、①②③…の丸数字が引出線で対象を指す形式で出る。どの丸数字がどこを指しているかを 取り違えると、知識があっても連鎖して落とす。そこは読図の手順で扱う。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 同じアルファベットが器具ごとに別の意味を持つことを利用して、傍記の文字だけで答えさせる

    なぜ引っかかるJIS C 0303は、点滅器の傍記Hを「位置表示灯を内蔵するもの」、コンセントの傍記Hを「医用」と、同じ文字に別の意味を与えている。屋外灯ではHが水銀灯を指す。傍記を文字だけで暗記表にしていると、基本の形(黒丸か、壁側を黒く塗った円に水平な線2本か、屋外灯か)を見ないまま意味を決めてしまう。

    見破り方傍記は必ず「基本の形+文字」の組で読む。まず記号の形で器具の種類を確定させ、そのうえで文字を引く。文字を先に読んだ時点で、この種のワナには半分かかっている。

  2. 傍記がないことを「情報がない」と読ませ、標準の定格を見落とさせる

    なぜ引っかかるJISは、コンセントは15A 125Vのとき、点滅器は15Aのときに傍記しないと定めている。つまり無印は「不明」ではなく「標準」を意味する。ところが傍記のある記号ばかり練習していると、何も書かれていない記号を前にしたとき、定格を判断する手がかりがないように感じてしまう。

    見破り方無印=15A(コンセントは125V)と決めておく。逆に20A以上なら定格電流が、250V以上なら定格電圧が必ず傍記される。傍記が付いているかどうかそのものが、標準か否かの情報になっている。

  3. 実在しない図記号や傍記を混ぜる

    なぜ引っかかる選択肢には、それらしく作った架空の記号が置かれることがある。抜け止め形の傍記を問う問題では、正解のLKに対して存在しない「K」や、点滅器の確認表示灯を意味する「L」が並ぶ。照明では、シーリングのCLやシャンデリアのCHは実在するのに、ペンダントを表す「CP」という記号が作られて混ぜられる。

    見破り方見慣れない記号は、それらしく見えても採らない。JISで定められた記号は数が限られていて、増えることはない。知っている記号の中に正解がなければ読み違えを疑い、記号を増やす方向には考えない。

参考文献・出典

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 配線図はJIS C 0303(構内電気設備の配線用図記号)という共通規格に基づいて描かれている
  2. 図記号は「基本の形」に数字やアルファベットの傍記(そばに書き添える文字)が付くことで意味が変わる
  3. 図記号は計算で導き出せない。基礎理論のように公式を覚えれば解けるわけではなく、見た形をそのまま暗記するしかない
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