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配線図 ・ 5 / 12

照明器具類の図記号

読み終えると、こうなる

天井の丸い照明器具を見ただけで、そのまま付け替えられるのか、天井を開ける工事が要るのかを見分けられるようになる

  • CLとDLの1文字差から、天井直付けか埋込かという下地工事の違いを言い当てられる
  • 黒丸や白丸が照明とスイッチの双方で使われることを踏まえ、図面上の位置で系統を確定できる
  • 誘導灯や非常用照明の記号を、避難方向や設置場所を示す傍記まで含めて読み解ける
考えてみよう

新築マンションの内装工事で、配線図には廊下とリビングの天井に埋め込む「ダウンライト」が12台指定されていた。ところが発注担当者は図記号を見誤り、天井に直付けする「シーリングライト」を12台発注してしまった。

現物が現場に届いて初めて、担当者は「そもそも取り付け方が違う」ことに気づく。同じ「照明器具」という括りなのに、なぜここまで話が変わってしまうのか。

このトピックを読み終えるころには、配線図のどこを見れば発注前にこのミスに気づけたか分かるようになっている。

照明器具の図記号は、JIS C 0303:2000 の 4.1「照明器具」に一枚の表としてまとまっている。名称欄に並ぶのは5つのグループだ——一般用照明(白熱灯/HID灯)、蛍光灯、非常用照明(建築基準法によるもの)、誘導灯(消防法によるもの)、保安用・発電回路用(建築基準法,消防法によらないもの)。後ろの3つはそれぞれ「白熱灯」と「蛍光灯」の2段に分かれるので、記号の数だけなら8種類ある。

8種類と聞くと身構えるが、これを描くのに使う部品は2つしかない。丸と、横長の長方形だ。まずは、いちばん数の多い一般用照明から見ていく。

図記号JIS C 0303:2000 の名称
白丸(○)一般用照明(白熱灯/HID灯)
円の中央に水平線1本ペンダント
円の中に「CL」シーリング(天井直付)
円の中に「CH」シャンデリヤ
円の中に「DL」埋込器具
円の中央に向かい合う弧2本引掛シーリングだけ(丸)
横長の長方形の中央に向かい合う弧2本引掛シーリングだけ(角)
円の壁側の半分を黒く塗る壁付(またはWを傍記)
CL CH DL 一般用照明 白熱灯/HID灯 ペンダント 文字は使わない シーリング (天井直付) シャンデリヤ 埋込器具 (ダウンライト) 引掛シーリング だけ(丸) 引掛シーリング だけ(角) 壁付 壁側の半分を塗る 一般用照明の図記号一式(JIS C 0303:2000 4.1 一般用照明の図記号欄と摘要 b) c) をもとにした自作図)

円の中の文字は、器具名ではなくJISが挙げた例

丸の中に文字を書いて器具の種別を示す、というのが 4.1 一般用照明の摘要 a) b) の決まりだ。そこに例として挙げられているのは6つだけ——ペンダント、シーリング(天井直付)、シャンデリヤ、埋込器具、引掛シーリングだけ(角)、引掛シーリングだけ(丸)。

注意したいのは名前のほうだ。CL・DLは実務では「シーリングライト」「ダウンライト」と呼ばれるが、JISが名称欄に書いているのは「シーリング(天井直付)」と「埋込器具」である。名称を問う設問は、この規格上の言い方で選択肢を作る。実務名だけで覚えていると、目の前にある正解を読み飛ばすことになる。

6つのうちペンダントだけは、文字を使わない。円の中央に水平線を1本引いて上下に二分した形——それがペンダントの図記号だ。CLやCHが実在するせいで「ペンダントにも2文字の記号がありそうだ」と思わせる選択肢(CP)が混ぜられるが、JISにその記号はない。

引掛シーリングは、角と丸の2種類が規定されている。どちらも中央に、向かい合う小さな弧を2本——括弧を寄せたような形——描く。角は横長の長方形の中に、丸は円の中に。この弧2本が見えたら、それは照明器具の種類ではなく、器具を後から回して着脱する取付金具の記号だ。配線図に引掛シーリングの記号があっても、そこに実際どんな器具が付くかは、仕様書や図面の注記で確認するしかない。

丸には、文字以外の情報も乗る。壁付は円の壁側の半分を黒く塗る(またはWを傍記)、床付はFを傍記する。容量はワット数×ランプ数で傍記し(○100、○200×3)、HID灯なら容量の前に種類の文字を置く——水銀灯H、メタルハライド灯M、ナトリウム灯N。○H100と書かれていれば、100Wの水銀灯という意味になる。

そして、CLとDLの1文字差は器具名の差では終わらない。シーリングライトは天井面にそのまま取り付ける器具で、多くは引掛シーリングという着脱式の金具を介して設置される。一方ダウンライトは天井裏に埋め込むタイプで、あらかじめ天井材に開口(掘り込み)を設けておく必要がある。傍記を読み違えると、照明器具そのものの発注ミスにとどまらず、天井の下地工事が必要かどうかという前提から食い違ってしまう。

蛍光灯の記号は、長方形と丸の合成でできている

ここから先が、この分野の本題だ。

蛍光灯を「横長の長方形」とだけ覚えていると、本番で手が止まる。JIS C 0303:2000 の蛍光灯の図記号は、横長の長方形の中央に白丸(輪郭線だけの円)を重ねた形である。しかも円は長方形より背が高く、上下に少しはみ出す。中央の丸を落としてしまうと、蛍光灯だと読み取れなくなる。

摘要 a) には、もう1つの書き方が示されている。長方形の外枠を描かず、平行な水平線2本の中央に白丸を重ねる形だ。図面によってはこちらで描かれていることがあるので、枠が無くても蛍光灯だと読めるようにしておきたい。

蛍光灯(基本の形) 長方形+中央に白丸 蛍光灯(摘要a)の書き方) 平行な水平線2本+中央に白丸 蛍光灯の図記号(JIS C 0303:2000 4.1 蛍光灯の図記号欄と摘要 a) をもとにした自作図)。円は長方形の上下からはみ出す大きさで描かれる

なぜ、長方形の真ん中に丸がいるのか。理由は、次の表を見た瞬間に分かる。

同じ丸が、塗り方だけで別の器具になる

一般用照明 非常用照明 誘導灯 保安用・発電回路用 白熱灯 蛍光灯 白丸 全面を黒く塗る ×で4分割し上下を塗る 斜線で塗る 4.1 照明器具の図記号は、丸の塗り方と長方形の有無の組合せでできている(JIS C 0303:2000 4.1 の図記号欄をもとにした自作図)

白熱灯の段は、輪郭が全部同じ丸だ。一般用照明は白丸○、非常用照明は全面を黒く塗った●、誘導灯は円を斜めの×で4分割して上下の2区画だけを黒く塗った記号(左右の2区画は白のまま残るので、白い三角が向かい合って見える)、保安用・発電回路用は円の内部を斜線で塗った記号。形は一切変わらず、塗り方だけが変わる。

蛍光灯の段は、もっと単純だ。白熱灯の段の丸を、そのまま横長の長方形の中央に重ねればいい。長方形+白丸で蛍光灯、長方形+黒丸で非常用照明(蛍光灯)、長方形+×4分割の丸で誘導灯(蛍光灯)、斜線で塗った長方形+白丸で保安用・発電回路用(蛍光灯)。

蛍光灯の記号の中央に丸が要る理由は、ここにある。あの丸は飾りでも装飾でもなく、灯種を語る場所だ。照明器具の図記号には、覚えるべき「形」がほとんど存在しない。丸と長方形の2つだけで、丸の塗り方が灯種を、長方形の有無が蛍光灯かどうかを表している。一つずつ暗記する記号の羅列に見えていたものが、2行4列の組合せ表に変わる。

そして、この塗り分けにはもう一段の落とし穴がある。黒丸●は 4.1 の非常用照明(白熱灯)であると同時に、4.3 点滅器の一般形——ごく普通のスイッチ——でもある。白丸○も同じで、一般用照明であると同時に、4.3 f) が定める「別置された確認表示灯」でもある(スイッチの黒丸の隣に置かれる)。丸は形だけでは決まらない。塗り方で灯種の系統を読み、そのうえで図面上のどこにいるか——天井の器具の位置か、壁のスイッチの並びか——と傍記で確定させる。この2段構えを持っていない人が、照明器具の設問で黒丸を見た瞬間に「これはスイッチだ」と外してしまう。

非常用照明には、もう1つの書き方も用意されている。摘要 b) は、白熱灯を一般の蛍光灯に組み込む場合、長い蛍光灯のバーの中に白丸と黒丸を並べて重ねた図記号でもよい、としている。1台の器具の中に、ふだん点いている一般照明と、停電時だけ点く非常用照明が同居していることを、そのまま記号にしたものだ。壁付ならWを傍記する(摘要 d))。誘導灯と違い、非常用照明の摘要には床付Fの規定がない。

誘導灯は1種類しかない——方向も場所も傍記が語る

避難口誘導灯と通路誘導灯。実物は形も置き場所も違うので、図記号も別々にあるはずだと考えたくなる。ところが JIS C 0303:2000 は、この2つを別の図記号としては規定していない。どちらも同じ誘導灯の記号で描かれ、摘要 a)「器具の種類を示す場合は,文字記号などを記入する」と、d)「通路誘導灯の避難方向表示は,必要に応じ,矢印を記入する」によって区別される。

S W F SD 通路誘導灯 避難方向を矢印で記入 客席誘導灯 白熱灯形はSを傍記 壁付 Wを傍記 床付 Fを傍記 連動式誘導灯用 信号装置 階段の非常用照明 (蛍光灯形)と兼用 誘導灯は記号が1種類で、傍記が種類・方向・取付場所を語る(JIS C 0303:2000 4.1 誘導灯の図記号欄と摘要 b)〜g) をもとにした自作図)

摘要で決まっているものを並べると、こうなる。b) 客席誘導灯(白熱灯形)はSを傍記してもよい。d) 通路誘導灯の避難方向は、記号の下に矢印(←、→)を記入する。e) 壁付はW、f) 床付はF。g) には、四角い枠の中に「SD」と書いた連動式誘導灯用信号装置の記号が置かれている。そして c) は、階段に設ける誘導灯で非常用照明(蛍光灯形)と兼用のものを、黒く塗りつぶした横長の長方形の中央に×4分割の丸を重ねた記号で表してよい、としている。

覚え方は逆算がいい。「誘導灯の記号は1つしかない」と決めてしまえば、残りはすべて傍記の問題になる。逆に、避難口用と通路用で別の形を探しはじめると、存在しない記号を探して時間を溶かすことになる。

屋外灯は、名称欄に独立した行を持たない

門灯や庭園灯を表す「屋外灯」も、独立した項目としてはJISに存在しない。4.1 一般用照明の摘要 e) に「屋外灯は[図記号]としてもよい」と、任意の代替表記として1行あるだけだ。8.「屋外設備」の表を見ても屋外灯は入っておらず、そこに並ぶのは電柱・支線・支柱・架空配線・地中配線・マンホール・ハンドホール・埋設標の8つだけになっている。

一般用照明 白熱灯/HID灯 屋外灯 摘要 e) の代替表記 屋外灯の図記号は、円の上下に外側へ張り出す弧を1本ずつ添えた形(JIS C 0303:2000 4.1 一般用照明 摘要 e) をもとにした自作図。全体の形のみを示す)

形は、丸の上下に外側へ張り出す弧を1本ずつ添えたもの。上の弧は上向きに凸、下の弧は下向きに凸で、どちらも円の直径より横に広く、円の左右は開いたままだ。弧の端がどこで切れるかまでは規格票のスキャンから読み取れなかったので、ここでは全体の形だけを示している。

「保安灯」という名前の記号を探しても見つからない、というのも同じ話だ。4.1 の最終行にあるのは「保安用/発電回路用(建築基準法,消防法によらないもの)」で、摘要は「一般用照明の摘要を準用する。」の一文だけ。傍記のルールは一般用照明と同じで、独自の情報は「斜線で塗る」という塗り分けだけになっている。

廊下の照明を一斉に落とす回路は、図面の上で三角に化ける

集合住宅の共用廊下では、何十台もの照明が1つの操作で一斉に点き、一斉に消える。この一括点滅を担うのがリモコン方式で、記号は 4.3 点滅器の後半と 3.「機器」に分かれて置かれている。

R 9 T R リモコンスイッチ リモコンセレクタスイッチ 点滅回路数を傍記 リモコンリレー リモコン変圧器 小形変圧器にRを傍記 リモコン方式を構成する4つの図記号(JIS C 0303:2000 4.3 点滅器および 3. 機器 小形変圧器 摘要 b) をもとにした自作図)

図面の上での見え方は、少し意地が悪い。廊下の天井には、蛍光灯や一般用照明の記号がただ並んでいるだけで、「ここは一括で切れます」と書いてある記号は1つもない。実際に回路を入り切りしているのは、盤の側に描かれた黒塗りの三角——リモコンリレー——のほうだからだ。管理人室の壁には●R(リモコンスイッチ)か、円を縦線1本と斜め線2本で6分割したホイール状のリモコンセレクタスイッチが点滅回路数の傍記付きで描かれ、盤の中には枠の中に三角を3つ並べた集合形の記号がリレー数の傍記とともに置かれる。そして操作用の電源を作る小形変圧器(円の中にT)にRが傍記されていれば、それがリモコン変圧器だ。

つまり「操作する記号」「動く記号」「電源を作る記号」が、図面の3か所に分かれて描かれる。照明の記号だけを追っていても、その回路が一括点滅であることは絶対に分からない。三角と●Rと円のTを見つけて初めて、廊下の照明が1つの操作でまとめて動く回路だと読める。リモコン関係の記号そのものは動力・制御機器の図記号で詳しく扱っている。

記号を、実物の姿に戻す

図記号から器具名は分かる。だが写真問題では逆を問われる。「この写真の器具はどれか」—— このとき必要なのは記号の知識ではなく、その器具が天井でどう見えるかだ。

器具記号天井での見え方
シーリングライト(CL)丸にCL天井に平たく張り付いた円盤。出っ張りが少なく、面で光る
ダウンライト(DL)丸にDL天井に埋まっていて、円い開口だけが見える。器具本体は天井裏にある
シャンデリア(CH)丸にCH多灯。腕が枝分かれし、装飾的に吊り下がる
ペンダント円の中央に水平線1本(文字記号は使わない)1灯をコードやチェーンで吊り下げる。ダイニングの上が定番
見分けの軸は2つだけだ。**①天井から出ているか、埋まっているか ②灯が1つか、複数か**。
  • 埋まっていて開口だけ → DL
  • 平たく張り付いている → CL
  • 吊り下がっていて1灯 → ペンダント
  • 吊り下がっていて多灯・装飾的 → CH

CLとDLの差は、天井に穴を開けるかどうかでもある。DLは天井裏に器具本体を納める スペースが要るので、下地の状況に左右される。記号1文字の裏に、工事の中身の違いがある。

CLとDLの1文字が、天井に手を入れるかどうかを分ける

照明の図記号が読めるようになると、器具の入れ替えを頼まれたときに「天井を開ける工事なのか、そのまま付け替えられるのか」を図面の段階で判断できるようになる。これは工期にも見積にも直結する差だ。引掛シーリングの記号があれば器具の交換は住人でもできる範囲だが、埋込器具(DL)なら開口の径と天井裏の納まりを先に確認しなければならない。

今日試せることとして、部屋の天井を見上げてみるといい。器具が天井面に載っているならシーリング(CL)の側、天井に埋まって面がフラットなら埋込器具(DL)の側だ。前者の多くは、天井に付いた円盤状の金具(引掛シーリング)に器具を回してはめ込んでいる。自分の家の照明が、どちらの取り付け方で載っているのかが分かるようになる。

そのうえで、次に外を歩くときは天井の「黒い丸」と「四角い箱の中の丸」を探してみてほしい。駅の通路、商業ビルの階段、ホテルの廊下——どの建物にも、ふだん点いていない照明が必ず混ざっている。停電した瞬間だけ点く非常用照明と、煙の中でも出口の方向を示し続ける誘導灯だ。この2つが建築基準法と消防法によって別々に義務づけられていることは、JISが名称欄にわざわざ「(建築基準法によるもの)」「(消防法によるもの)」と書き添えていることからも読み取れる。図記号を丸の塗り分けとして覚えた人は、図面を見た瞬間に「この建物は、暗くなったときにどう人を逃がす設計になっているか」まで読めるようになる。

傍記1文字の読み違いがここまで大きな影響を持つのは、照明が「電気の器具」であると同時に「建築の一部」でもあり、ときには「人命を守る設備」でもあるからだ。器具のLED化・調光調色化が進み、既存建物の照明を丸ごと入れ替える改修は増え続けているが、そのすべてがこの読み分けから始まる。改修では一般照明だけを新しくして非常用照明や誘導灯を積み残す、という事故が起きやすく、それを図面の段階で防ぐのが丸の塗り分けだ。改修の考え方はLED照明のリニューアルにもまとめてある。

冒頭の12台の発注ミスで何が起きていたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。 照明とスイッチの対応が読めるようになったら、複線図への変換へ進む。 単線図の1本の線が実際には何本の電線なのかは、複線図に描き起こして初めて確定する。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 黒丸●を「スイッチ」と一意に覚えさせておいて、照明器具の側で出す

    なぜ引っかかる点滅器(一般形)の図記号は黒丸●だが、JIS C 0303:2000 の 4.1 では非常用照明(白熱灯)の図記号も黒丸●だ。白丸○も同じで、一般用照明であると同時に、4.3 f) の「別置された確認表示灯」でもある。「黒丸=スイッチ」「白丸=照明」と1対1で暗記していると、照明器具を問う設問に黒丸が出た瞬間、正解を選択肢から外してしまう。非常用照明・誘導灯を落とす原因の多くがここにある。

    見破り方丸は形だけでは決まらない。まず塗り方で灯種の系統を読む——白丸なら一般用照明の系統、全面黒塗りなら非常用照明の系統、×で4分割して上下を黒く塗ってあれば誘導灯、斜線で塗ってあれば保安用・発電回路用。そのうえで図面上のどこにいるか(天井の器具の位置か、壁のスイッチの並びか)と傍記で確定させる。照明器具の系統を問われているなら、黒丸の第一候補は非常用照明だ。

  2. 実在しない図記号を作って選択肢に混ぜる

    なぜ引っかかるペンダントを指定する図記号を選ばせる問題で、丸の中に「CP」と書いた記号が置かれる。シーリング(天井直付)のCL、シャンデリヤのCHが実在するため、ペンダントにもそれらしい2文字があってよさそうに見えてしまう。しかしJIS C 0303にCPという記号はない。ペンダントは文字ではなく、円の中央に水平線を1本引いた専用の形で表す。

    見破り方見慣れない記号は、それらしく見えても採らない。JISで定められた記号は数が限られていて、増えることはない。4.1 一般用照明の摘要 b) に例として挙がっているのは、ペンダント・シーリング(天井直付)・シャンデリヤ・埋込器具・引掛シーリングだけ(角)・引掛シーリングだけ(丸)の6つだけだ。知っている記号の中に正解が見つからなければ、読み違えを疑って戻る。記号を増やす方向には考えない。

  3. 同じ丸(○)の記号を、一般用照明と確認表示灯で取り違えさせる

    なぜ引っかかる一般用照明(白熱灯/HID灯)の図記号も、点滅器に別置される確認表示灯(パイロットランプ)の図記号も、どちらも白丸だ。JIS C 0303:2000 は 4.3 点滅器の摘要 f) で「別置された確認表示灯は白丸とする」と定めていて、スイッチの黒丸と並べて描かれる。形だけを見ていると区別がつかない。

    見破り方白丸の記号を見たら、それが天井に描かれているのか、スイッチの並びに描かれているのかを確認する。点滅器の黒丸とセットで並んでいれば確認表示灯、同じ位置のスイッチと同じ回路記号(イ・ロなど)が付いていればなおさらだ。形ではなく、図面上のどこにいるかで決める。

  4. 傍記1文字で工事方法が変わることを、器具名の違いだけと読ませる

    なぜ引っかかるCL(シーリング=天井直付)とDL(埋込器具=ダウンライト)は、記号の形も傍記の文字数も同じで、見分けは1文字だけ。ところが実物では、天井面に載せるか天井裏に埋め込むかという、下地工事の要否から変わる。「照明器具の種類が少し違うだけ」と読むと、発注も見積も食い違う。さらにJISの名称欄は「シーリング(天井直付)」「埋込器具」であって、シーリングライト・ダウンライトという実務名ではない。名称を問う設問では、実務名だけで覚えている人が正解の選択肢を読み飛ばす。

    見破り方CはCeiling(天井面)、DはDown(下へ落とし込む)と、方向で覚える。図記号を読んだら器具名だけで止めず、「天井を開ける工事が要るか」まで一緒に思い出す癖をつける。そのうえで、JISの名称と実務名を対にして持っておく——CL=シーリング(天井直付)=シーリングライト、DL=埋込器具=ダウンライト。

参考文献・出典

  • JIS C 0303:2000 構内電気設備の配線用図記号(全文テキスト) (4.1 照明器具の名称欄(一般用照明(白熱灯/HID灯)/蛍光灯/非常用照明(建築基準法によるもの)/誘導灯(消防法によるもの)/保安用・発電回路用(建築基準法,消防法によらないもの))と各摘要。一般用照明 a) b) の器具種別(ペンダント・シーリング(天井直付)CL・シャンデリヤ CH・埋込器具 DL・引掛シーリングだけ(角)(丸))、c) 壁付・床付、d) 容量の傍記、e) 屋外灯、f) HID灯の種類(水銀灯H・メタルハライド灯M・ナトリウム灯N)。蛍光灯 a) の別の書き方(外枠を描かず平行線2本にする形)。非常用照明 b) 一般蛍光灯への組込み、d) 壁付W。誘導灯 b) 客席誘導灯S、c) 階段の非常用照明(蛍光灯形)との兼用、d) 避難方向の矢印、e) 壁付W、f) 床付F、g) 連動式誘導灯用信号装置SD。保安用・発電回路用の摘要「一般用照明の摘要を準用する。」。4.3 点滅器(一般形の黒丸・ワイドハンドル形のひし形、f) 別置された確認表示灯は白丸、リモコンスイッチ・リモコンセレクタスイッチ・リモコンリレー)。3. 機器 小形変圧器 b)(Rの傍記=リモコン変圧器)。8. 屋外設備の全項目)
  • JIS C 0303:2000 規格票 本文6ページ(図版) (一般用照明の白丸、ペンダント(円の中央に水平線1本)、CL・CH・DL、引掛シーリング(角)(丸)の向かい合う弧2本、壁付の半円黒塗り、床付F、容量傍記(○100・○200×3)、屋外灯の代替図記号、HID灯の○H100、蛍光灯(長方形+白丸で円が上下にはみ出す)、小形変圧器(円の中にT)の形状を拡大して確認)
  • JIS C 0303:2000 規格票 本文7ページ(図版) (非常用照明(●/長方形+黒丸)、誘導灯(円を×で4分割し上下2区画を黒塗り/長方形+同記号)、S・W・Fの傍記、避難方向の矢印、SDの枠、階段の非常用照明(蛍光灯形)と兼用の黒塗り長方形+×4分割丸、保安用・発電回路用(斜線ハッチングの円/斜線ハッチング長方形+白丸)の形状を拡大して確認)
  • JIS C 0303:2000 規格票 本文9ページ(図版) (点滅器の基本形(黒丸/黒ひし形)と、別置された確認表示灯の白丸(○●)の描かれ方を確認。照明器具の白丸・黒丸と形が重なることの確認に使用)
  • JIS C 0303:2000 規格票 本文10ページ(図版) (リモコンスイッチ●R、リモコンセレクタスイッチ(円を縦線1本と斜め線2本で6分割したホイール状・点滅回路数を傍記)、リモコンリレー▲、集合取付の枠付き▲▲▲+リレー数の傍記・T/Uを拡大して確認)
  • JIS C 0303:2000 規格票 本文8ページ(図版) (4.2 コンセントの天井付(円の中に縦線2本)と壁付一般形(円を水平な線2本が横切り壁側の三日月部を黒く塗る)。照明器具の丸と取り違えないための対照として確認)
  • JIS C 0303:2000 規格票 本文23ページ(図版) (8. 屋外設備の表に屋外灯が含まれず、電柱・支線・支柱・架空配線・地中配線・マンホール・ハンドホール・埋設標の8項目のみであることを確認)

理解度チェック(8問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、8問で確認しよう。 内訳は基本5問・応用1問・ひっかけ2問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 8 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 一般用照明(白熱灯/HID灯)は白丸○。蛍光灯は横長の長方形の中央に白丸を重ねた形で、円は長方形の上下からはみ出す。摘要 a) では、外枠を描かず平行な水平線2本の中央に白丸を重ねる書き方も認められている
  2. 白熱灯の段はすべて丸で、塗り方だけが違う。一般用照明=白丸○、非常用照明=全面を黒く塗った●、誘導灯=円を×で4分割し上下2区画を黒く塗った記号、保安用・発電回路用=内部を斜線で塗った円
  3. 蛍光灯の段は「横長の長方形+その灯種の丸」で作られる。長方形+白丸=蛍光灯、+黒丸=非常用照明、+×4分割の丸=誘導灯、斜線で塗った長方形+白丸=保安用・発電回路用
  4. 丸の中の文字はJISが挙げた例で、名称は CL=シーリング(天井直付)、DL=埋込器具、CH=シャンデリヤ。ペンダントは文字ではなく「円の中央に水平線1本」、引掛シーリングは「円/長方形の中央に向かい合う弧2本」で表す
  5. 黒丸●は非常用照明(白熱灯)と点滅器(一般形)の両方、白丸○は一般用照明と別置の確認表示灯の両方で使われる。形だけでは決まらず、図面上の位置と傍記で確定させる
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