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配線図 ・ 6 / 12

分電盤・配線用遮断器の図記号

読み終えると、こうなる

遮断器の刻印を見ただけで、その回路が単相100Vか200Vかを読み戻せるようになる

  • 極数(P)と素子数(E)を、器具の外側の話と中身の話として役割で区別できる
  • 2P1Eと2P2Eの取り違えが動作確認では見抜けないと踏まえ、電圧方式から必要な素子数を判定できる
  • 配電盤と分電盤を、大きさではなく枠内の描き分けで見分けられる
考えてみよう

新設のエアコン専用回路(単相200V2線式)にブレーカーを取り付ける工事があった。手元にちょうど余っていた「2P1E」のブレーカーを使って配線を済ませ、試運転でも問題なく動作した。ところが後日の点検で、このブレーカーの選び方について指摘を受けることになる。

動いているのだから問題ないのでは、と思うかもしれない。しかし配線図に描かれた分電盤の図記号には、極数と素子数の組み合わせがきちんと傍記されていたはずだった。

このトピックを読み終えるころには、なぜ「動いている」ことと「正しい」ことが同じではないのか分かるようになっている。

分電盤・配電盤の図記号は、長方形がベースになっている。ここで注意したいのは、配電盤と分電盤が「大きさ」で描き分けられているわけではないことだ。JIS C 0303が与える図記号は「配電盤,分電盤及び制御盤」という1つだけで、図記号欄はどれも同じ大きさの長方形。種類は枠の中の描き分けで示され、配電盤は枠内に×、分電盤は枠内を斜めに2分割して片側を黒く塗る。制御盤などもこの同じ枠に、それぞれ別の塗り分けで並んでいる。直流用の場合はその旨が傍記され、防災電源回路用の盤は枠を二重にして表す。「大きい方が配電盤」という覚え方が広まっているが、これでは実際の図面で見分けられない。

遮断器そのものの図記号は、JIS C 0303では2つだ。四角にBが配線用遮断器、四角にEが漏電遮断器。そのうえで漏電遮断器の摘要が「過負荷保護付は,〔四角にBE〕を用いてもよい」としていて、BEと描いてあれば過電流と地絡電流の両方を受け持つ過負荷保護付漏電遮断器を指す。ただしBEは任意の代替表記なので、逆は言えない——過負荷保護付をEのまま描くこともできる。規格が過負荷保護の有無を書き分けているのは記号ではなく傍記のほうで、過負荷保護付にはフレームの大きさ(30AFなど)が加わる。

その図記号に、極数と素子数が傍記される。極数(P=Pole)は遮断器が接続できる電線の端子数、素子数(E=Element)は過電流を検知して実際に遮断できる端子の数だ。この2つは必ずしも一致しない(傍記のEは素子数の意味で、図記号としてのE=漏電遮断器とは別物なので、あわせて区別しておきたい)。

2P1E 単相100V回路用 素子あり 素子なし 2P2E 単相200V回路用 素子あり 素子あり 2P1Eは片側だけ、2P2Eは両側に過電流素子(黄色)がある。200V回路には両側に素子のある2P2Eが必要
極数(P)は「電線を何本つなげるか」、素子数(E)は「そのうち何本を実際に監視して遮断できるか」。この2つが一致しない組み合わせがあるからこそ、2P1Eと2P2Eという区別が生まれる。

単相100V2線式の一般的な家庭用回路には、片側にのみ過電流素子を持つ2P1Eが標準として使われる。一方、単相200V2線式(エアコンなど)の回路は、2本の電線がどちらも対地電圧を持つため、両方に過電流素子がある2P2Eを使うのが基本だ。2P1Eを200V回路に使ってしまうと、素子のない側の電線で過電流が起きても検知・遮断できないおそれがある。見た目の動作確認だけでは、この違いに気づけない。

2P1Eと2P2Eの読み分けが、200V回路増設の入口になる

極数と素子数の傍記が読めるようになると、分電盤が「電気の入り口」から「これから何を増やせるかの一覧表」に見え方が変わる。エアコン、IHクッキングヒーター、EV充電器——200Vを必要とする機器は住宅でも増え続けており、そのたびに問われるのは「空き回路はあるか」「その回路に正しい遮断器が入るか」だ。図記号が読めれば、この判断を図面と現物の両方から突き合わせられる。

今日できることとして、自宅の分電盤を開けて、並んでいるブレーカーの表示を読んでみるといい。定格電流のほかに、2P1E・2P2Eといった表記が本体に印字されていることが多い。100V用の分岐と、エアコンなど200V用の分岐で、表記が違っているのが見つかるはずだ。教科書の中の記号が、自分の家の壁の中で実際に使い分けられていることが確かめられる。

この論点が試験に出るのは、2P1Eを200V回路に使っても「普通に動いてしまう」からだ。動作確認では見抜けず、素子のない側で過電流が起きたときに初めて差が出る。動いていることと正しいことは違う——という判断を、図面の傍記だけで下せるようにするための出題といえる。分電盤の構成そのものについては分電盤の解説も参考になる。

冒頭のエアコン回路で何が指摘されたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。

出題者のワナ — ここで受験者を転ばせにくる

この論点は、知っているだけでは足をすくわれる。試験でよく仕掛けられる崩し方を、先に知っておこう。

  1. 2P1Eと2P2Eを、回路の電圧方式ごと入れ替える

    なぜ引っかかる写真鑑別では、見た目のほとんど同じ遮断器を2枚並べ、本体に刻まれた「2P1E」「2P2E」の1文字違いだけで正誤を分けてくる。単相200V2線式の回路は2本ともが対地電圧を持つので両側に素子のある2P2Eが必要だが、2P1Eを付けても回路は普通に動いてしまうため、実感として誤りに感じにくい。

    見破り方回路の電線のうち、対地電圧を持つ線が何本あるかを数える。単相100V2線式は接地側があるので素子は1つ(2P1E)、単相200V2線式は2本とも対地電圧を持つので素子は2つ(2P2E)。素子の数は、監視しなければならない線の数と一致する。

  2. 極数(P)と素子数(E)の頭文字を、別の語に読み替えさせる

    なぜ引っかかるEはEarth(接地)、PはPower(電力)やProtect(保護)と読めてしまう。とくにEは分電盤まわりで接地の意味でも頻繁に登場するため、素子数のEと結びつきにくい。ここが崩れると、2P1Eという表記そのものが読めなくなる。

    見破り方P=Pole(電線をつなげる端子の数)、E=Element(そのうち過電流を検知して遮断できる端子の数)と、単語で覚える。Pは器具の外側の話、Eは器具の中身の話、と役割で分けると混ざらない。

  3. 遮断器の種類と用途を1つずつずらして並べる

    なぜ引っかかる「この図記号の器具を用いる目的は」という問い方では、過電流を遮断する・地絡電流を遮断する・過電流と地絡電流を遮断する、といった一字違いの用途が並ぶ。この3つはそれぞれ配線用遮断器・漏電遮断器・過負荷保護付漏電遮断器の正しい仕事なので、器具名を取り違えると用途の側で必ず外れる。さらに「不平衡電流を遮断する」のような、どの器具の仕事とも一致しない肢が混ざる。零相変流器(ZCT)は行きと帰りの電流の差=地絡電流を検出する変流器であって、遮断する機能そのものを持たない。

    見破り方図記号から器具名を先に確定させる。JIS C 0303の図記号は、四角にBが配線用遮断器(遮断するのは過電流だけ)、四角にEが漏電遮断器。摘要が「過負荷保護付は,〔四角にBE〕を用いてもよい」としているので、BEと描いてあれば過電流と地絡電流の両方を受け持つ過負荷保護付漏電遮断器だ(Eのままでも過負荷保護付のことがあるので、傍記のフレームの大きさまで見る)。そのうえで肢の動詞が「遮断する」か「検出する」かまで読む——検出しかしない器具を遮断する側に置いた肢は、そこで落とせる。

参考文献・出典

理解度チェック(6問)

このトピックの内容がどれくらい身についたか、6問で確認しよう。 内訳は基本4問・応用1問・ひっかけ1問。基本が解けたら、条件を足した応用と、本番で足をすくいにくるひっかけまで踏み込む。

/ 6 問正解

覚えておきたいポイント

  1. 分電盤・配電盤の図記号は同じ大きさの長方形が1つで、種類は枠の中の描き分けで示す(配電盤は枠内に×、分電盤は枠内を斜めに2分割して片側を黒く塗る)。大小で区別するのではない
  2. 配線用遮断器・漏電遮断器には、極数(P=Pole、電線を接続できる端子数)と素子数(E=Element、過電流を検知して遮断できる端子数)が傍記される
  3. 単相100V2線式の一般回路は2P1E、単相200V2線式(エアコン等)の回路は2P2Eが基本。この組み合わせを取り違えると、本来遮断すべき側の電流を検知できないおそれがある
  4. 遮断器の図記号は、四角にB=配線用遮断器(遮断するのは過電流だけ)と四角にE=漏電遮断器の2つ。過負荷保護付には四角にBEを用いてもよいとされているので、BEと描いてあれば過電流と地絡電流の両方を受け持つ過負荷保護付漏電遮断器だが、Eのままでも過負荷保護付のことがある
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