新築住宅のエアコン設置日。業者が室外機と室内機をつなぎ終え、最後に電源プラグを壁のコンセントへ挿そうとした。ところが刃の向きがまるで合わず、差込口に入らない。プラグもコンセントも壊れてはいないし、壁の中の配線に問題があるようにも見えない。それでも工事はここで止まった。何が起きているのか。
後で配線図を見返すと、そのコンセントには「20A250V」「E」という傍記がはっきりと添えられていた。しかし現場に実際に取り付けられていたのは、傍記が何もない、ごく普通のコンセントだったのだ。
図面の上では、どちらも同じ「丸」に見える。なぜこの2つは、挿さりもしないほど別物として扱われるのか。このトピックを読み終えるころには、配線図のどこを見ればこの違いに気づけたか分かるようになっている。
コンセントの図記号は、円の内側を水平な平行線2本が横切り、壁のある側の三日月部を黒く塗った形が基本だ。JIS C 0303:2000 の 4.2 a) が「図記号は,壁付きを示し,壁側を塗る。」と定めているとおり、この黒い三日月は飾りではなく「壁に付く」という情報そのものを担っている。傍記(そばに書き添える文字)が何もなければ、15A・125Vの一般用コンセントを表す。差込口が2口以上なら「2」「3」と口数を、3極以上なら「3P」と極数を傍記する。
| 傍記 | 意味 |
|---|---|
| なし | 一般用コンセント(15A・125V) |
| 20A | 定格電流(20A以上のとき傍記) |
| 250V | 定格電圧(250V以上のとき傍記) |
| 2、3 など | 口数(2口以上のとき傍記) |
| 3P など | 極数(3極以上のとき傍記) |
| E | 接地極付コンセント |
| ET | 接地端子付コンセント |
| EET | 接地極付接地端子付コンセント |
| EL | 漏電遮断器付コンセント |
| LK | 抜け止め形コンセント |
| T | 引掛形コンセント |
| WP | 防雨形(屋外用)コンセント |
| H | 医用コンセント |
| EX | 防爆形コンセント |
傍記がなければ「15A・125V」。逆にいえば、定格やアルファベットが1つ付くだけで、コンセントの定格も、そこに挿してよいプラグの形状もまったくの別物になる。
黒い三日月は「壁」を意味している
図記号の片側が黒く塗ってあるのは、装飾ではない。JIS C 0303:2000 の 4.2 は、コンセントの図記号を取り付け場所ごとに書き分けている。a) の一般形は壁付きを示し、壁のある側を塗る。c) の天井に取り付ける場合は塗りつぶしをやめ、内側の線を垂直に立てる。d) の床面に取り付ける場合は、その天井付の形の下に黒い三角を足す。e) の二重床用は、長方形の枠で囲んで示す。
つまり塗りつぶしの有無と線の向きは、「どこに付くコンセントか」を一目で伝えている。図面から床のコンセントを拾いたいなら、黒い三角を探せばいい。逆に、塗りつぶしのない丸を見て「一般形だ」と読んでしまうと、壁ではなく天井や床の器具を数えていることになる。
「アース付き」には3つの顔がある
洗濯機の電源プラグの根元から、もう1本だけ細い緑の線が出ているのを見たことがあるだろう。先端がY字形の金具になっていて、どこかにねじで留めるようになっている——あのアース線をねじ留めするための端子を備えたのが、接地端子付コンセント(傍記ET)だ。
一方、エアコンや電子レンジのプラグには、刃が3本のものがある。2本の平行な刃に加えて3本目の刃(接地極)が生えていて、差し込むだけでアースがつながる。この3本目の刃を受ける穴を備えたのが、接地極付コンセント(傍記E)だ。
つまり同じ「アースが取れるコンセント」でも、機器側がアースを「線」で出してくるならET、「プラグの刃」で出してくるならE。両方に対応できるのがEET(接地極付接地端子付)になる。さらにEL(漏電遮断器付)は一歩進めて、漏電遮断器そのものをコンセント本体に内蔵したものだ。試験では「ET」を「接地極付」と読ませる引っかけが定番だが、ETのTが端子(Terminal)を指していると知っていれば崩れない。
抜けては困る場所の、2つの方式
業務用の冷凍ショーケースや医療機器のように、「知らないうちにプラグが抜けていた」では済まない場所がある。そこで使われるのが抜け止め形(傍記LK)と引掛形(傍記T)だ。どちらも「回して抜けなくする」仲間だが、変えている場所が違う。抜け止め形はコンセント側だけの工夫で、普通の平行刃プラグを差し込んでから右へ回すとロックが掛かる。引掛形は刃そのものが円弧状にわん曲した専用の引掛プラグを使う方式で、プラグとコンセントの両方が専用になる。天井の引掛シーリングと同じ思想の器具だと考えると覚えやすい。どちらも回す向きが決まっているため、JIS C 8303:2007 の 6.11 a) は実物に回転方向を示す表示をするよう求めている——差込口のわきに小さな矢印が刻まれていたら、それは「回して留める」仲間の目印だ。医用(傍記H)は病院のベッドまわりなどに設ける医用コンセントを表す——スイッチの傍記H(位置表示灯内蔵)とは別の意味になる点も、試験の引っかけどころだ。
200V専用回路で傍記が本領を発揮する
この傍記のルールが特に重要になるのが、200Vで動く機器の専用回路だ。エアコンをはじめとする200V機器は、消費電力が大きく起動時の電流も跳ね上がりやすいため、他の負荷と共有しない専用回路・専用コンセントが求められる。実際の200V回路のコンセントは接地極付が基本で、刃受の形は定格ごとに分かれている。15A250Vは横向きのスリット2本が一直線に並び、左右が同じ長さ。20A250Vの埋込品として売られているのは15A・20A兼用形で、一方が横棒の端から下に折れたL字状のスリット、もう一方が横棒のスリット、その下にD形の接地極穴が入る(JIS C 8303:2007 図A.16、明工社ML1256W、パナソニックWN1922)。
ここで効いてくるのが、定格の傍記のルールだ。JIS C 0303:2000 の 4.2 f) は、電流と電圧で条件を別々に立てている。20A以上のときは定格電流を傍記する。250V以上のときは定格電圧を傍記する。15A・125Vはどちらも傍記しない。つまり200Vであることを図面に載せているのは、電流値ではなく「250V」という電圧の傍記のほうだ。15A250Vに至っては15Aなので電流は傍記されず、図記号に付くのは「250V」と接地極付の「E」だけになる。電流値だけを目印にして200V指定を探していると、この1枚をまるごと見落とす。
逆に、写真の刃受の向きから定格を決めにいくと足をすくわれる。「縦の平行スリットなら100V、横向きの要素があれば200V」という覚え方は、20A125Vの前で崩れるからだ。JIS C 8303:2007 の図A.15(2極接地極付20A125V)の刃受はT字状のスリットと縦スリットの組合せで、横に伸びる腕をもっている。明工社の20A接地2P125Vには、左が横棒・右が縦棒という極配置の品まである。ところが20A250V専用の極配置(図A.12)も、縦スリット1本と横スリット1本だ。言葉にしてしまうと、125Vのある品と同じ説明になってしまう。だから定格を確定させるのは図記号の傍記のほうで、刃受の向きは、傍記で出した答えを写真の上で確かめるための補助にとどめる。使えるのは「横スリット2本が一直線に並ぶのは15A250V」という限定つきの手がかりまでだ。
つまり配線図の段階で「250V」や「E」の傍記を読み落とすと、現場では見た目が似ている一般形コンセントと専用コンセントを取り違えかねない。しかも刃受の向きも数も違うので、200V機器のプラグはそもそも差込口に入らない。電気が来ていないのではなく挿さらない、という形で問題が表面化する。
傍記が2つ並んだ図面から、写真を1枚に絞る
図面のコンセントに傍記が1つしか付かないとは限らない。屋外の壁なら「WP」と「LK」が並ぶことがあるし、エアコンの専用回路なら「20A250V」と「E」が並ぶ。ここで起きる事故は決まっていて、目に付いたほうの傍記だけで写真を選んでしまう。防雨形だから屋外用らしい1枚、と決めた瞬間に、抜け止め形かどうかの照合が丸ごと抜け落ちる。
傍記が並んでいるとき、それはひとつの長い名前ではなく、条件が2つ書いてあると読む。JIS C 0303:2000 の 4.2 は、定格の表し方、口数、極数、種類(LK・T・E・ET・EET・EL)、防雨形WP、防爆形EX、医用Hを、それぞれ独立した項目として並べている。そして傍記どうしの打消しや優先順位を定めた規定は、4.2 のどこにも置かれていない。だから条件は重ねて読むのが自然だ——「WP LK」は、防雨形であって、かつ抜け止め形でもあるコンセント、つまり2つの条件を同時に満たす1枚を探すことになる。
| 傍記 | 意味(JIS C 0303:2000 4.2) | 写真で当たる決め手 |
|---|---|---|
| なし | 15A・125Vの一般用(定格は傍記しない) | 傍記がないこと自体が条件。20A・250Vの特徴を写真側に探さない |
| 20A、250V、20A250V | 20A以上は定格電流を、250V以上は定格電圧を傍記(15A・125Vはどちらも傍記しない) | 定格を決めるのは傍記のほう。刃受は確認用——横スリット2本が一直線なら15A250V。20A125Vにも横向きの腕があるので「横向き=200V」では決めない |
| 2、3 | 口数(2口以上のとき傍記) | 差込口の数 |
| 3P | 極数(3極以上のとき傍記) | 図面側の指定として読む |
| E | 接地極付 | 差込口の中に、D形(かまぼこ形)の穴が1つ増える |
| ET | 接地端子付 | 差込口の外に、アースターミナルのふたが付く |
| EET | 接地極付接地端子付 | 穴とふたの両方がある |
| EL | 漏電遮断器付 | 外観の決め手は確認できていない。傍記の意味で答える |
| LK | 抜け止め形 | 差込口が円形で、円周上に弧状の開口。決め手はプラグ側(普通の平行刃プラグをそのまま使う) |
| T | 引掛形 | 差込口が円形で、円周上に弧状の開口。決め手はプラグ側(刃が円弧の専用プラグが要る) |
| WP | 防雨形 | 屋外用。差込口を覆う化粧カバーが付く製品がある |
| EX | 防爆形 | 外観の決め手は確認できていない。傍記の意味で答える |
| H | 医用 | 病院用。JIS T 1022:2023 では色が電源の種別を表す |
手順は4つでいい。まず図記号の傍記を、1つ残らず紙に書き出す。次に、書き出した傍記を上の表で外観の決め手に翻訳する。そして選択肢の写真を1枚ずつ、条件を上から順に当てていく。1つでも満たさない条件が出たら、その時点でその写真を落とす。残りの条件は見なくていい。最後に、残ったのが1枚ならそれが答えだ。2枚残ったなら翻訳し損ねた傍記があるし、0枚なら翻訳をどこかで1つ間違えている——どちらの場合も、写真を見比べ直すのではなく図面に戻る。
この「1つでも満たさなければ落とす」という進め方が肝心だ。似ている順に選ぼうとすると、条件を半分だけ満たした写真が最後まで生き残って迷いを生む。満たすか満たさないかの二択を、条件の数だけ繰り返す。
接地系は、穴とふたで見分ける
EとETは文字が似ているが、実物では見る場所そのものが違う。接地極付(E)で増えるのは差込口の中の穴だ。プラグの3本目の刃を受けるための穴が、2本のスリットの下に加わる。この穴は正円ではない。頭が半円で下が直線的な、かまぼこのようなD形をしている——JIS C 8303:2007 の図A.9〜A.16でも、明工社の差込口図でも、パナソニックWN1131の製品写真でも同じ形だ。図に描くときも、丸ではなくD形で描かないと実物と合わなくなる。
接地端子付(ET)で増えるのは差込口の外のふたで、パナソニックの埋込アースターミナル付コンセント(WN1031K)の製品写真では、差込口は縦のスリット2本だけで接地極の穴がなく、そのかわり差込口の下に小さなふたが付いている。アース線をねじ留めする端子は、このふたの内側にある。両方をもつ埋込アースターミナル付接地コンセント(WN1131)では、スリット2本の下にD形の接地極穴があり、さらにその下にふたが付く——これがEETだ。
中の穴か、外のふたか。この一言で、E・ET・EETの3つは写真の上で分かれる。ついでに縦のスリット2本もよく見てほしい。左右で長さが違う。パナソニックのFAQは「左側が右側より2mm長くなっており」「電源の接地側(いわゆる中性線側)を左側に接続するよう義務付けられております」と説明していて、JIS C 8303:2007 の図A.1でも刃受穴の寸法が接地側極8.7±0.4、電圧極7±0.3と書き分けられている。長いほうが接地側だ。
弧の本数では決まらない——LKとTの分かれ目
LKとTは、どちらも差込口が円形になり、円周上に弧状の開口が並ぶ。ここで多くの人が、覚えやすいほうの手がかりを掴んでしまう。「弧が2本なら抜け止め形、3本の風車状なら引掛形」——これが落とし穴だ。
JIS C 8303:2007 の附属書Aの図を並べてみると、何が本数を動かしているのかがはっきりする。2極抜止形15A125V(図A.6)は弧2本。2極引掛形15A125V(図A.20)も弧2本。ところが接地極が付くと、2極接地極付抜止形(図A.17)は開口が3つになり、2極接地極付引掛形(図A.23)も弧3本になる。
実物がそれを裏づけている。パナソニックの屋外用防水コンセントWK4602形は抜け止め式の製品だが、公式ページに載っている極配置図は、円周上におよそ120度おきに弧が3本並ぶ風車状だ。「風車状=引掛形」と覚えていたら、この1台で崩れる。ハタヤの形状一覧表も同じで、2P15A抜止と2P15A引掛はどちらも弧2本、接地2P15A抜止と接地2P15A引掛はどちらも弧3本として描かれている。
では何で分けるのか。決め手は1点、プラグ側の刃の形だ。
JIS C 8303:2007 の 3.6 は抜止形を、図A.1または図A.9の差込プラグを差し込み、右方向に回転させて容易に抜けない構造としたもの、と定義している。図A.1は普通の平行刃の2極プラグ、図A.9は接地極付のプラグだ。つまり抜止形が使うのは世の中に出回っている普通のプラグで、抜止形専用のプラグというものが存在しない。工夫はコンセント側だけにある。対して 3.7 の引掛形は「刃及び刃受が円弧でわん曲しており」と書かれる。曲がっているのは刃受だけではない。プラグの刃そのものが円弧なのだ。だから引掛形には、適合する専用の引掛形差込プラグが要る。
規格の図の構成にも、この違いがそのまま出ている。抜止形の図A.6に描かれているのは刃受穴だけで、刃の図がない。引掛形の図A.20には刃と刃受穴の両方が描かれている。刃を規定する必要があるかどうかが、そのまま2つの方式の差になっているわけだ。ハタヤの資料も、抜止めコンセントは「一般の差し込みプラグ(平行刃のプラグ)を差し込んで使用することができます」、引掛けコンセントは「専用のプラグ(引掛け型プラグ)を差し込んで使用する必要があります」と書き分けている。
ここは正直に言っておきたい。写真だけでLKとTを見分ける確実な方法は、今回の調べでは用意できなかった。とくに接地極付どうしは、抜け止め式のWK4602形と接地2P15A引掛のWF2312Wの極配置を並べても、ほとんど同じ姿に見える。だから写真で迷ったときの戻り先は図記号のほうだ。LKと書いてあるか、Tと書いてあるか——答えはそこにしかない。
屋外の1台に、傍記が4つ乗る
防雨形(WP)は、屋外で雨がかかる場所に使うコンセントを指す。JIS C 8303:2007 は防水形を防雨形と防浸形に分け、JIS C 0920 による保護等級を防雨形はIPX3、防浸形はIPX7としている。実物では、パナソニックの屋外用防水コンセントWK4602形のように、上から大きな化粧カバーが差込口を覆い、差込口が奥まって斜め下を向く形のものがある。雨だれが差込口に入らないための姿だ。カバーの下には別区画が設けてあり、アースターミナルのふたとねじが見える。
ただし「防雨形なら必ずふたが付く」と決めてかからないほうがいい。規格の 6.12 a) 2) が求めているのは「ふたその他適切な方法で刃受穴から水が入りにくい構造」であって、ふたに限定していないからだ(付ける場合は、同 c) が紛失しないよう鎖などで連結することまで決めている)。なお、差込口の内側で刃受穴を自動的に遮へいする「扉付きのもの」(3.14)はこれとは別の機能で、屋内用の埋込扉付コンセントにも付いている。屋外の化粧カバーと混同しない。
そしてこのWK4602形は、傍記の複合を考えるうえで格好の実例になる。公式の品名は「スマート接地防水ダブルコンセント」、仕様の表記は「(抜け止め式・アースターミナル付)(露出・埋込両用)」だ。防雨形であり、抜け止め形であり、品名のとおり接地極付でもあり、アースターミナルも備えている。図記号に直せば「WP LK EET」相当——傍記が2つどころか4条件そろった器具が、屋外の壁に普通に付いている。図面に「WP」と「LK」が並ぶのは、無理な組合せでも念のための重ね書きでもなく、実在する1台を名指ししている。
並び順に意味を読まない
傍記が2つ並ぶと、「どちらを先に書くか決まっているのでは」と考えたくなる。JIS C 0303:2000 には確かに「表3 傍記の表示順序」という表がある。ただしこの表を呼び出しているのは 4.3 点滅器の摘要 n)「傍記の表示順序は,表3による。」であって、表そのものは「分類」「併記記号」「表示順序」の3列でできている。分類として並ぶのは、回路方式・タイマ機能・遅れ機能・スイッチ機能・ランプ表示機能・スイッチ用途の6つ——どれも点滅器の機能で、併記記号の欄に入るのも2P・3・4・T・D・DF・RAS・RA・H・L・WP・EXという点滅器の傍記だ。コンセントの 4.2 の側からは、この表は参照されていない。
だから「WP LK」と「LK WP」のどちらが規格上正しい書き方か、という問いに、この規格から答えは出ない。裏を返せば、並び順は写真を絞る手がかりにならないということでもある。読むべきは順序ではなく、条件がいくつ書いてあるかだ。
外観で決めにいかない傍記
一方で、傍記の中には外観の決め手を用意できないものもある。EL(漏電遮断器付)とEX(防爆形)は、メーカーの公式資料で外観の決め手まで確認できなかった。この2つは、写真から入るのではなく、傍記の意味そのものを問われる問題として扱うのが安全だ。
医用(H)は少し事情が違う。病院で医療用電気機械器具を使う部屋のコンセントは、内線規程3202-3により JIS T 1021(医用差込接続器)に適合するものを使い、JIS T 1022(病院電気設備の安全基準)に基づいて接地工事を施す必要がある。そしてJIS T 1022:2023 では、コンセントの色が電源の種別を表している——ミルキーホワイトは商用電源だけから供給されるもの、赤は一般非常電源から、緑は無停電非常電源から供給されるものだ。停電しても止まってはいけない機器が、どの色に挿さっているか。壁の色そのものが安全の設計になっている。
図面の丸ひとつが、その部屋で使えるものを決めている
コンセントの図記号が読めるようになると、家や店舗の図面を「暮らしの側」から検算できるようになる。洗濯機の位置に接地端子付(ET)はあるか、屋外の水栓まわりに防雨形(WP)は取られているか、店舗の什器の裏に抜け止め形(LK)が指定されているか、キッチンの電子レンジと炊飯器が同じ回路に載っていないか。コンセントは後から増やすと壁や天井を開ける工事になるため、図面の段階で気づけるかどうかで手間がまるで違う。
今日試せることとして、家を一周してコンセントを数えてみるといい。差込口の穴が3つあるもの——スリット2本に加えて、頭が半円で下が直線のD形の穴があるコンセント、つまり接地極付がどこにあるかを見ていくと、洗濯機・冷蔵庫・電子レンジ・エアコンの周りに集中しているはずだ。水や湿気を扱う機器、消費電力の大きい機器から優先的にアースが取られている——という設計の意図が、間取りの上に浮かび上がってくる。ついでに縦のスリット2本の長さも見比べてみてほしい。向かって左が2mmほど長い。その長いほうが接地側で、白い電線がつながっている側だ。
傍記の読み落としが試験で厳しく問われるのは、それが現場では「そもそもプラグが挿さらない」「アースを取る場所がない」という、やり直しの効きにくい形で表面化するからだ。そしてこの読み分けの出番は増えている。EV充電用の屋外200Vコンセント、店舗の屋外電源、駐車場の防雨形——傍記が付いたコンセントが図面に載る場面は、住宅でも確実に広がっている。
冒頭のエアコンのプラグが、なぜ差込口に入らなかったのか。答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。 コンセントの記号が読めたら、読図の手順で丸数字の追い方を確認しておくといい。 記号を覚えることと、図の上でその記号を特定することは別の技術で、試験で問われるのは後者だ。