新築住宅の階段照明は、1階と2階のどちらのスイッチからでもON/OFFできるように設計されていた。ところが引き渡し後、住人から「2階のスイッチが、効くときと効かないときがある」という連絡が入った。
行って確かめると、1階のスイッチを下げているあいだは、2階のスイッチをどちらに倒しても照明はうんともすんとも言わない。ところが1階のスイッチを上げた途端、今度は2階から普通に点けたり消したりできる。電球も器具も壊れていない。配線図通りに3路スイッチを2個使っているはずなのに、なぜ「1階の位置しだいで2階が死ぬ」ことになるのか。
このトピックを読み終えるころには、配線図のどの部分を見ればこの不具合の原因に気づけたか分かるようになっている。
点滅器(スイッチ)の基本図記号は、黒丸(塗りつぶした円)を描いた形だ。傍記が何もなければ片切スイッチを表す。定格電流も15Aなら書かない——「無印=標準」のルールはコンセントと同じで、15A以外のときだけ電流値を傍記する。そして黒丸に付く傍記の種類は、コンセントよりずっと多い。
| 傍記 | 意味 |
|---|---|
| なし | 片切スイッチ |
| 2P | 2極スイッチ(両切) |
| 3 | 3路スイッチ(3路スイッチの仕組みはこちら) |
| 4 | 4路スイッチ |
| H | 位置表示灯内蔵スイッチ(ほたるスイッチ) |
| L | 確認表示灯内蔵スイッチ(パイロットスイッチ) |
| D | 遅延スイッチ |
| RAS | 熱線式自動スイッチ |
| P | プルスイッチ(引きひもで操作する) |
| T | タイマ付スイッチ |
| A(容量を併記) | 自動点滅器(例:A(3A)) |
| WP | 防雨形 |
| EX | 防爆形 |
| 15A以外の電流値 | 定格電流(15Aは傍記しない) |
この表にRは入っていない。 リモコンスイッチ(●R)は点滅器の傍記ではなく、 JIS C 0303 4.3 で名称欄を別に立てた独立の図記号だからだ。姿は黒丸にRで 点滅器の傍記と見分けがつかないが、規格上の居場所が違う。「点滅器の傍記として 規定されているものはどれか」と問われたら、Rは答えにならない。
「点いているランプ」の意味が、HとLで逆になる
夜中に目が覚めて、真っ暗な廊下を歩く。壁のどこかにスイッチがあるはずだが、暗くて見えない——このときのために、スイッチ本体に小さなランプを仕込み、照明が消えている間だけ点けておくのが位置表示灯内蔵スイッチ(傍記H)だ。通称「ほたるスイッチ」。ランプの仕事は、暗闇の中で「スイッチはここだ」と居場所を教えることにある。
一方、洗面所の壁のスイッチには、換気扇を回している間だけ点くランプが付いていることがある。こちらは確認表示灯内蔵スイッチ(傍記L)、通称パイロットスイッチだ。浴室の換気扇や屋外の照明のように、動いているかどうかがその場から見えない・聞こえない負荷のために、「いま運転中だ」と知らせる。
つまり同じ「小さなランプ付きのスイッチ」なのに、点くタイミングは正反対になる。Hは消えている間に点いて場所を教え、Lは動いている間に点いて運転を教える。図記号のほうは助けてくれない。JIS C 0303:2000 の作図例では、●H と ●L は黒丸も文字の大きさも位置もまったく同じで、違うのはアルファベット1字だけだ。試験ではこの対応を入れ替えた選択肢が平然と並ぶが、「Hはほたる。ほたるは暗いところで光る」と結びつけておけば崩れない。
切り忘れと点け忘れを、スイッチ自身が引き受ける傍記
D(遅延スイッチ)は、OFFに操作してもすぐには切れず、しばらくしてから切れるスイッチだ。代表はトイレの換気扇で、人が出て操作したあとも換気扇だけが少し回り続けてから止まる。RAS(熱線式自動スイッチ)は、人の体から出る熱(赤外線)を検知して自動でON/OFFする。玄関ポーチの照明に使われ、人が近づくと点く。T(タイマ付)は設定した時間で切れるスイッチ、A(自動点滅器)は周囲の明るさを感じて門灯や防犯灯を自動で点滅させる器具で、「A」と容量(例:3A)を併記する。
2Pは2極(両切)スイッチを表す。屋外ならWP(防雨形)、可燃性ガスなどのある場所ならEX(防爆形)——このあたりの読み方はコンセントの傍記と共通になっている。なお●R(リモコンスイッチ)も、リモコン配線を通じてリレーを動かし離れた場所の照明を操作するという意味では同じ進化の流れに乗っているが、規格上は点滅器の傍記ではなく別の図記号だ。摘要が「リモコンスイッチであることが明らかな場合は,Rを省略してもよい」としているのも、Rが傍記ではなく記号の一部だからである。
2箇所から操作する——3路・4路スイッチ
傍記「3」の3路スイッチは、階段の上と下、廊下の両端など、2箇所のどちらからでも同じ照明をON/OFFできるようにするためのスイッチだ。片切スイッチと違い、3本の配線端子を持つ。そのうち1本は共通端子(コモン)で、電源側に置かれたスイッチなら電源と、照明側に置かれたスイッチなら照明と、決まった向きでつながる。残り2本が、対になるもう1台の3路スイッチとの間を結ぶ「渡り線」になる。
3箇所以上から同じ照明を操作したい廊下やホールでは、両端に3路スイッチを置き、その間に4路スイッチを中継役として挟み込む。4路スイッチが1台増えるごとに、操作できる箇所を1つずつ増やせる、というのが基本の考え方だ。
写真の下に、小さくもう1つ図が付いている
配線図問題の終盤には、こういう設問が混ざる。「この配線図の図記号から,この工事で使用されていないスイッチは。ただし,写真下の図は,接点の構成を示す。」——前置きと語尾を少し変えながら、この文面が繰り返し使われている。選択肢は器具の写真4枚。そして写真のいくつかには、その下に小さな回路図が添えられている。それが接点の構成図だ。
外から見た埋込スイッチは、どれもよく似ている。プレートを外した姿を並べられても、3路なのか確認表示灯内蔵なのかは外観では決まらない。だから試験は写真の下に内部の端子と接点を描き足し、「中身で判別せよ」と条件を足してくる。裏を返せば、この図が読めるようになった瞬間、写真の見比べという一番あてにならない作業から解放される。
端子の番号には、JISが意味を決めている
3路スイッチの端子には0・1・3という番号が振ってある。連番でないのが落ち着かないが、これはJIS C 8304が定めた端子表示だ。「0」は電源または負荷へ接続する端子の表示、「1及び3」はスイッチ間配線に接続する端子の表示、とされている。前の節でコモン(共通端子)と呼んだ端子が、この0番にあたる。学科試験の配線図にも同じ原則が書かれることがあり、図面の【注意】に「3路スイッチの記号「0」の端子には,電源側又は負荷側の電線を結線する。」と明記される。
図の上で「0」は、いつも決まった形で描かれる。小丸2個を縦線でつないだ形だ。小丸は2個でも端子は1つ、と読む。メーカーが公開している端子表示の図でも、3路スイッチは0番だけ電線の挿入口が2口あり、1番と3番は各1口で描かれている。
4路スイッチのほうは、端子が1・2・3・4の4つ。JIS C 8304はこの4つをすべて「スイッチ間配線に接続する端子の表示」としていて、注記に「1と3、2と4は、それぞれ接触しない端子である」と付け加えている。0番が無いのは、4路スイッチが電源にも負荷にも直接つながらないからだ。3路スイッチと3路スイッチのあいだにだけ座る中継役——パナソニックの資料も、4路スイッチは必ず3路スイッチとセットで使い、3路スイッチと3路スイッチの間に必要数を接続する、と明記している。端子番号を見るだけで、その器具が回路のどこに置かれるかまで分かる。
最初に見るのは、端子の数ではない
接点構成図を渡されると、つい小丸を数えたくなる。けれど数えても分かれない。単極(片切)も、防雨形も、位置表示灯内蔵(H)も、遅延(D)も、図の上ではどれも小丸4個だ。左右それぞれの上下2個が縦線でつながれていて、その1組で1端子——つまりどれも2端子。2極(両切)にいたっては、縦線なしの小丸4個である。番号の付かない器具は5種類あって、どれを数えても答えは「4個」。写真4枚のうち複数が同じ答えになる、ということがふつうに起きる。
効くのは別のところにある。端子に番号が振ってあるかどうかだ。番号が振られる器具は4種類しかない——3路スイッチ、確認表示灯内蔵スイッチ、異時点滅型の表示灯内蔵スイッチ(この3つがどれも0・1・3)、そして4路スイッチ(1・2・3・4)。単極・防雨形・2極・位置表示灯内蔵・遅延には、番号が一切書かれない。だから読む順序はこうなる。
- 端子番号が振ってあるか
- 振ってあれば、その番号(0・1・3か、1・2・3・4か)
- 振ってなければ、ランプがあるか・「遅れ機構」の箱があるか・上下2段が独立しているか
番号の有無は、図を凝視しなくても一目で分かる。ここを第一の切り分けだと決めておくだけで、選択肢の前で止まる時間がほとんど消える。
番号が振ってある側——0・1・3が3種類、1・2・3・4が1種類
番号が読めたら、次の分岐は短い。1・2・3・4なら4路スイッチで、これは1種類しかない。左上が1、右上が2、左下が3、右下が4に置かれ、1-2と3-4を結ぶ水平線と、1-4・3-2を結ぶX字が引かれる。0番が無いのは、4路が電源にも負荷にも直接つながらない中継役だからだ。なお、水平線とX字のどちらを実線にしどちらを破線にするかは、過去問の図とメーカーの結線図で逆になっている。つまり、どちらが「今の接点位置」なのかを覚えても意味がない。読み取るべきは、この器具が2通りのつなぎ方を行き来する、という構造のほうだ。
厄介なのは0・1・3のほうで、この番号を持つ器具は3つある。ここで「0・1・3でランプがあれば確認表示灯内蔵」という覚え方を作ってしまうと、必ずどこかで外す。3つ目の器具——異時点滅型の表示灯内蔵スイッチ——が、まさに0・1・3でランプ付きだからだ。
分けるのは2軸でいい。1つめは、0から出た線がY字に分かれているか。Y字は「行き先を2つ持って、どちらかに倒す」という構造で、3路の本質そのものだ。2つめは、大きい白丸(ランプ)があるか。
- Y字あり・ランプなし → 3路スイッチ
- Y字なし(可動接点は0と1のあいだだけ)・1と3のあいだにランプ → 確認表示灯内蔵スイッチ(同時点滅)
- Y字あり・1と3のあいだにランプ → 異時点滅型の表示灯内蔵スイッチ
この3つ目は、確認表示灯内蔵と同じ4択に並べられたことがある。1軸の覚え方だと2枚が同じ器具に見えて、そこで手が止まる。
上下の並びにも癖がある。過去問の図では、3路は「3」が上・「1」が下、確認表示灯内蔵は「1」が上・「3」が下で、目視で確かめた範囲では例外がない。ただしこれはJISやメーカー資料が定めた並びではなく、試験の作図の慣行だ。メーカーの結線図には3路を1が上・3が下で描いた例もある。補助の手がかりとしては使えるが、これ1本で決めにいかないほうがいい。
番号がない側——同じ骨格に、ランプと箱が足されていく
番号が振られていない器具は、骨格がよく似ている。単極スイッチ(片切)は、小丸4個・左右それぞれに縦線・一方の辺にだけ可動接点が1組——それだけだ。ランプもなければ箱もない。防雨形(WP)もこれと同じ骨格で描かれる。
その骨格の空いている辺にランプ(大きい白丸)を1つ足すと、位置表示灯内蔵スイッチ(傍記H、ほたるスイッチ)になる。ランプが可動接点と並列に橋渡しされる形だ。パナソニックがほたるスイッチの原理を「スイッチOFFでほたるランプに電圧がかかり点灯」「スイッチONでほたるランプに電圧がかからなくなり消灯」と説明しているのは、この並列の形がそのまま働いた結果である。裏返せば、位置表示灯内蔵からランプを1個取り除いた図が単極スイッチだ。
さらに可動接点から下へ破線が伸び、「遅れ機構」と書かれた四角い箱につながっていれば、遅延スイッチ(傍記D)。骨格はHとまったく同じで、違いは破線と箱だけである。この2つが同じ4択に並ぶ出題は実際にあり、破線と箱を見落とせば、2つは同じ器具に見える。
2極スイッチ(両切)だけは骨格が別だ。小丸2個と可動接点1組の段が、上下に完全に独立して2組ある。合計4個の小丸だが、上下をつなぐ縦線がない。2本の電線を同時に切るための形で、主に200V回路に使う。4路も上下2段に見えるが、あちらは1・2・3・4の番号と破線のX字を持っているので、番号を見た時点で混ざらない。
なお、可動接点が上の辺にあるか下の辺にあるかは、同定の根拠にしないほうがいい。確認できた範囲では単極が上の辺、防雨形が下の辺に描かれていたが、これが規則なのかたまたまなのかは裏が取れていない。見るべきはランプと箱の有無であって、上下ではない。
図が付いていない選択肢は、付いていないことが手がかり
「写真下の図は,接点の構成を示す」と断ってあっても、4枚全部に図が付くとは限らない。ただし枚数は回によってばらつく。4枚とも付く回もあれば、2枚だけの回も、1枚だけの回もある——目視で確かめた範囲では、むしろ4枚全部という回がいちばん多かった。だから「図が付くのは何枚」と数で身構えても当たらない。境界は枚数ではなく、器具の性格のほうにある。
図が付くのは、埋込スイッチ本体の形をしていて、接点の開閉だけで動作を説明できる器具だ——単極、防雨形、2極、3路、4路、位置表示灯内蔵、確認表示灯内蔵、遅延、異時点滅型。いっぽう図が付かないのは、細長い電極棒(フロートレススイッチ電極)、ON・OFFの押しボタン(電磁開閉器用押しボタン)、自動点滅器、リモコントランス、一般形調光器、熱線式自動スイッチ、リモコンセレクタスイッチ——接点の開閉だけでは中身を語れない器具である。
そして図の有無は、使う道具を切り替える合図になる。図が付いているものは中身で判別する。付いていないものは、外観の特徴——器具の下半分を占める乳白色の受光部(自動点滅器)、下向きに傾いた白いセンサ窓と調整つまみ(熱線式自動スイッチ)、細長い電極棒(フロートレススイッチ電極)、ON・OFFの押しボタン(電磁開閉器用押しボタン)——で判別する。図が無いことは情報が足りないのではなく、「こちらは外観で来い」という指示だ。
「使用されていないスイッチ」は、写真ではなく図面が決める
器具の同定ができても、それだけでは答えが出ない。この出題型の本体は、図面側の全数チェックだ。手順は4つ。
- 設問の「されていない」「されている」に印を付ける。同じ配線図問題の中に肯定形の設問が混ざる(「使用されているコンセントは」の直後に「使用されていないスイッチは」が並ぶ、という作りが実際にある)
- 図面の黒丸を端から端まで拾い、傍記を書き出す(傍記なし・3・4・H・L・D・RASなど)
- 選択肢の写真と接点構成図を、器具名に翻訳する
- 2と3を突き合わせ、図面側に現れなかった1つを選ぶ
この2の段階に、落とし穴が1つある。傍記「3」の個数から4路の要否を推論してはいけない。3路スイッチは1回路あたり常にちょうど2個だ。両端を3路で挟み、そのあいだに4路を必要な数だけ入れる——これが3箇所以上から操作する回路の作り方で、パナソニックも「3路スイッチ-4路スイッチ-3路スイッチの順で、配線してください」と書いている。4路が1個入ろうが2個入ろうが、3路は2個のまま変わらない。
だから「階段に『3』が2つあるだけだから、この工事は2箇所操作で4路は無い」という読みは成り立たない。実際、階段の照明を1階から3階までの3か所でON/OFFするために4路を組み込んだ配線図が過去に複数回出ていて、そこでも傍記「3」はきっちり2個である。4路の要否を決める材料は1つだけ——傍記「4」の黒丸が図面に1個でもあるか。あれば使われている、なければ使われていない。「3」はいくら数えても答えに近づかない。図面の端に置かれた黒丸1個で、選択肢1つの生死が決まる。
この出題型の性格は、続けて出た回を並べると見えてくる。位置表示灯内蔵(H)と確認表示灯内蔵(L)を、どちらも4択の中に入れておくのが定番の組み方だ。片方は図面のどこかに——集会所の蛍光灯のスイッチ、洗面所の換気扇のスイッチといった形で——きちんと描かれていて、もう片方だけが図面に存在しない。そしてどちらが「無い側」に回るかは、回ごとに入れ替わる。だからHとLの区別が曖昧なまま「なんとなくランプ付きのほう」で選ぶと、続けて2回、逆を選ぶことになる。決着をつけるのは記憶ではなく、図面の黒丸を端から端まで拾って傍記を書き出す作業だ。
ひし形は「調光器」ではない — ワイドハンドル形の点滅器だ
ここは取り違えの多いところなので、規格の表そのものの形で押さえておきたい。 JIS C 0303:2000 の「4.3 点滅器」は、点滅器という1つの名称に対して 図記号を2つ(一般形とワイドハンドル形)並べている。
点滅器の一般形が黒丸(●)、ワイドハンドル形が黒いひし形(◆)だ。
規格の摘要欄の例も、●20A と ◆20A、●3 と ◆3、●H と ◆H というように、
同じ傍記が丸とひし形の2列で並べて示されている。傍記の意味は共通で、形だけが一般形/ワイドハンドル形を表す。
では調光器はどう描くのか。調光器も一般形とワイド形の2つを持つが、 どちらにも斜めに貫く矢印が付く。矢印が調光器の目印で、 その土台が丸なら一般形、ひし形ならワイド形、という組み合わせになっている。
- 矢印なし → 点滅器。丸なら一般形、ひし形ならワイドハンドル形
- 矢印あり → 調光器。丸なら一般形、ひし形ならワイド形
図面で黒いひし形を見つけて反射的に「調光器」と答えると外す。
ひし形はワイド形であることを示しているだけで、調光器かどうかを決めているのは矢印のほうだ。
容量の傍記も手がかりになる——調光器には 800W のようにワット数が傍記される。
調光器は白熱灯やLEDの明るさを連続的に変える器具なので、照明の回路にしか現れない。 コンセント回路の途中に調光器があることはない、という位置の手がかりも併せて使える。
傍記は、規格に書かれているものだけを覚える
点滅器の傍記は、JIS C 0303:2000 の「4.3 点滅器」に何を傍記するかが明記されている。 規格に載っているものだけを、そのまま覚えるのが確実だ。
| 傍記 | 意味(規格の記載) |
|---|---|
| 3・4・2P | 3路・4路・2極 |
| P | プルスイッチ(ひも引き) |
| H | 位置表示灯を内蔵するもの |
| L | 確認表示灯を内蔵するもの |
| T | タイマ付 |
| A | 自動点滅器(容量も併記する) |
| WP | 防雨形 |
| EX | 防爆形 |
- H(位置表示灯) … スイッチが「切」のときに点灯する。暗い場所でスイッチの在り処を示す。玄関・階段
- L(確認表示灯) … スイッチが「入」のときに点灯する。負荷が動いていることを確認する。屋外灯・換気扇
見えない負荷を動かすスイッチにはL(換気扇が回っているか室内から見えない)、 暗い場所のスイッチにはH(そこにスイッチがあると分かる)——用途から考えると取り違えない。
なお A(自動点滅器)は容量も一緒に傍記する決まりで、A(3A) のように書く。
記号だけでなく容量が付く点が、他の傍記と違う。
リモコンスイッチは点滅器の傍記ではなく、別の図記号として規定されている。 「Rを傍記する」と覚えていると、記号を探す場所を間違える。
一般形とワイド形 — 形そのものが種類を表している
点滅器・調光器には、一般形(従来の小さいスイッチ)とワイド形/ワイドハンドル形 (面積の広い、押しやすいスイッチ)がある。住宅で今よく使われるのはワイド形だ。
規格は、この2つを記号の形そのもので書き分けている。
| 種類 | 図記号 |
|---|---|
| 点滅器(一般形) | 塗りつぶした丸 ● |
| 点滅器(ワイドハンドル形) | 塗りつぶしたひし形 ◆ |
| 調光器(一般形) | 塗りつぶした丸に斜めの矢印が貫く |
| 調光器(ワイド形) | 塗りつぶしたひし形に斜めの矢印が貫く |
このとき見るべきものは2つだけ。矢印の有無(点滅器か調光器か)と、 丸かひし形か(一般形かワイド形か)。どちらか片方だけで答えようとすると、 必ず2つまでしか絞れない。
暗い廊下を歩かずに済む家は、図面の段階で決まっている
3路・4路の図記号は、突き詰めれば「住む人がどう動くか」を回路に翻訳したものだ。玄関で点けた廊下の照明を寝室の前で消せるか、階段を上りきってから振り返って消せるか——その快適さは、図面に黒丸がいくつ描かれ、そこに「3」や「4」が添えられているかで決まっている。寝室のスイッチをほたる(H)にするか、換気扇のスイッチをパイロット(L)にするかも同じで、傍記の1文字を書き分けられる人だけが、暮らしのその細部を設計できる。逆に言えば、記号が読めれば新築やリフォームの打ち合わせで「ここにもう1箇所、操作できる場所が欲しい」と、施工側に通じる言葉で言える。
今日試せることとして、自宅の階段や廊下を歩いてみるといい。どこで点けて、どこで消せるか。2箇所から操作できていれば3路スイッチが2個、3箇所以上なら間に4路が入っている。暗くなってから廊下を見て、小さく光っているスイッチがあればそれがH、換気扇の運転中だけ点くランプがあればそれがLだ。図記号が暗記の対象から、自分の家の説明図に変わる。
共通端子(コモン)の結線ミスが問われるのは、これが「1回試しただけでは出てこない」不具合だからだ。点く組合せは残っているので、施工直後にスイッチを1回上げて点いたのを見て終わりにすると、そのまま引き渡してしまう。2個のスイッチには上下×上下の4通りしかないのだから、4通りを順に試せば必ず露見する——住み始めてから毎日ひっかかる違和感として現れる、そういう種類の間違いを、図面と結線の段階で潰させるための出題だといえる。そして傍記の側は、スイッチが「人の代わりに切り忘れを消す」方向へ進化してきた歴史そのものだ。遅延(D)も熱線式自動(RAS)も、住宅のスイッチが単なる入切の器具から自動化の入口へ変わっていく流れの上にあり、図面にはその進化が1〜3文字の傍記として刻まれている。リモコンスイッチ(●R)に至っては、傍記の枠に収まらず独立した図記号を与えられている——規格の側でも、もはや点滅器の一種ではなく別の器具として扱われている、ということだ。
冒頭の階段照明で何が起きていたのか、答え合わせは理解度チェックの最後の問題でしてみよう。 スイッチは、配線図の中で電線の本数を最も動かす器具でもある。3路・4路が入るとボックスに入る 心線が増え、リングスリーブの個数まで変わる。記号を読めるようになったら、 複線図への変換→最小電線本数の数え方と進むと、 スイッチの傍記が本数に直結していることが見えてくる。